
【このパートについて】
全3回にわたるインタビューの第3回となるPart3では、ラーメンという日本食が持つ国際展開の可能性、ブランドを活かしたコラボレーションの広がり、これから飲食店を経営する方に伝えたいこと、そしてD-POPS GROUPが目指すベンチャーエコシステムへの共感についてお聞きしました。(このインタビューは2026年7月に実施しました。)
◆ 出会いが導いた特別な機会
—杉原—
少し余談も挟ませてください。ZOZOの前澤さんのご自宅でラーメンを振る舞われたというお話や、京都で大谷翔平さんとジョニー・デップさんに振る舞う予定だったお話、これはイベント自体が中止になってしまったと伺いましたが、ここで少し触れてもよろしいでしょうか。
—近藤—
前澤さんの件はご自宅ではなく、店舗でのことでした。京都の件はセレブの方が沢山こられてチャリティーイベントをする予定でしたが、ロサンゼルスで火災があったタイミングと重なってしまい、「チャリティーをやっている場合ではない」ということで中止になってしまいました。実現していたら、きっとみなさん喜んでくださったと思うので、残念です。
—杉原—
前澤さんには今年もお声がけいただいているそうですね。
—近藤—
はい。僕がわくわくできるかどうかを基準にしているので、面白い方向に進んでいきたいなと思っています。面白くないことを続けていても、いいものはできませんし、いい結果も出せません。特にリーダーが面白いと思うことに、周りのスタッフもついてきてくれるものだと思っています。
◆ ラーメンという「本物」は世界で戦える——国際展開とコラボレーションの可能性
—杉原—
いいお話ですね。では、グローバルな話に移らせてください。鮨というジャンルは、すでに世界中で日本食として高い人気を得ています。最近ではラーメンというジャンルも日本食として認識されつつあります。もともとは中華から来たものだと思いますが、ラーメンの国際展開について、その可能性はどう感じていらっしゃいますか?
—近藤—
これは正直、恐ろしいほど可能性があると思っています。先日、ケニアのナイロビからラーメンを教えに来てほしいと言われて、本気で行こうと思っていたくらいです。予防接種の関係もあり、家族から止められて今回は見送りましたが、僕自身は行ってみたいと思っていました。
—杉原—
ラーメンは、素材の面でも難しそうな気がしてしまいますが。
—近藤—
意外とそうでもなくて、理屈さえわかっていれば、実現できるものなんです。それくらい可能性があると思っていますし、美味しすぎる食べ物でもあります。海外のシェフからオファーをいただくことも増えていて、価格帯で勝負すると、ラーメンに勝てる料理がほとんどないと感じています。
海外だと、例えば同じような価格帯の食事がいわゆるファーストフード店でもかかることも珍しくないのですが、3000円くらいでたべるファーストフードとと、ラーメンのようにそれ以上の満足感を与えられる料理とでは、勝負にならないと思っています。低価格でありながら庶民的で、小麦とスープと言う世界中どこでも受け入れられるという設計思想は、実はラーメンが1番強いのではないかと思います。
実際、海外にでた和食のシェフの方が「ラーメンを作ってほしい」と頼まれることも増えているらしくて、困ってしまうと聞いたこともあります。和食の方からすると特殊な作り方なので、考え方自体が逆転の発想になることが多く、戸惑われる方も少なくありません。それくらいラーメンというのはちょっと変わったコンテンツだと思っています。
—杉原—
日本の食の中でも、唐揚げやカレーのようなソウルフードとは、また違うレベルで抜けているということですね。
—近藤—
本物と偽物という話にもつながりますが、やはり全然違うと思っています。海外に行くと、日本人ではない方が「私は日本人です」と名乗って営業されているようなケースも見かけますが、素材とネタさえよければ多少雑でも成立してしまう料理もある一方、ラーメンはまずいと日本人はまず食べません。
だからこそ、日本の技術を持ってきちんと輸出すれば、「これは違う」と思ってもらえるジャンルだと思っています。実際、ラーメンの作り方を教えてほしいという海外の方はたくさんいますし、ラーメン学校をやるという構想も現実的にできると思っています。可能性は無限大で、極端な話、アフリカにケンタッキーのようなラーメンチェーンを作る未来があってもおかしくないと思っています。
—杉原—
それだけの需要があるということですね。それは面白いですね。
—近藤—
僕自身はやりたいと思っていて、家族を説得しているところです。ただ、資本主義的な株式会社の形でしんどくなりすぎるのは違うなという感覚もあって、そのあたりのバランスは考えています。

—杉原—
「麦と麺助」のブランドを活かした海外展開や、他業界とのコラボレーションについては、今後どのようにお考えでしょうか?
—近藤—
面白そうであれば、何でもやってみたいと思っています。実際、月末にはフランス料理店とのコラボレーションを予定していますし、焼き鳥の『石井』さんという、関西ナンバーワンと言われる焼き鳥店ともコラボレーションの予定もあります。以前には『とんかつ乃ぐち』というとんかつ部門1位のお店とのコラボもさせていただきました。そこからまた吸収して、もう1歩上、より他社が追いつけない領域を目指していきたいと思っています。
—杉原—
これは代表の後藤がよく言っている「複合化」「複雑化」というお話ですね。単体であればレシピを真似されて似たようなことをされてしまう可能性がありますが、コラボレーションまで踏み込むと、「近藤社長だからこそ組める」という関係性が生まれて、簡単には真似できないネットワークが築かれていく、ということですね。
◆ 「安易に始めない」— 飲食店経営者へのメッセージ
—杉原—
飲食業界について、少しご意見を伺いたいと思います。開業するお店が非常に多い一方で、閉店するお店も多いという業界だと感じています。これからお店を始めたいと考えている方、あるいは今お店を経営していて、これからも生き残っていきたいと考えているオーナーの方にとって、1番大切にすべきことは何でしょうか?
—近藤—
まず良い方のヒントからお伝えすると、日本の食のレベルは本当に高いので、海外という選択肢を視野に入れると、生存確率は格段に上がると思います。日本の「美味しい」という基準は、世界的に見ても決して普通ではありません。
一方で厳しい方のヒントをお伝えすると、飲食店で10年生き残れる確率は、正直かなり低いと思っています。10年で9割近くのお店がなくなってしまうというくらいの覚悟で臨むべきだと思います。「たこ焼き屋さんならできそうだ」というくらいの気持ちで始めてしまう方が多いのですが、そういった感覚で入ってしまうと、生き残るのはかなり厳しいと思います。真剣に、本当に腹をくくって取り組まないと、生き残ることは難しいです。
逆に腹をくくって本当に一生懸命努力していると誰か見ていて助けてくれたりします。
でも厳しいことは間違いないので「90点は取れても、100点を取るのはなかなか難しい」これは常に忘れずに危機感と共にすすんで行ってます。3年以内で言うと、6〜7割のお店が撤退してしまうという現実がありますので。

◆ D-POPS GROUPが目指す「ベンチャーエコシステム」への共感
—杉原—
D-POPS GROUPは「リアル×テクノロジー×グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、グループ内外の企業に対してワンストップソリューションを提供できる、ベンチャー企業の成長プラットフォームの創造に取り組んでいます。この取り組みについて、近藤社長の取り組みと共通すること、共感していただけることがあれば、ぜひ伺いたいです。
—近藤—
共感できる部分はたくさんあります。中でも特に意識しているのは「尖らせる」ということです。みんなと同じ、いわゆる平均点を目指してしまうと、それがどれだけマイナスになるか、ということを強く感じています。起業をするのであれば、そのマインドを持たないといけないと思っていて、極端な話、他の要素は多少低くてもいい、1点だけ突き抜けていればそれで十分だと思っています。
実際、あるレストランをオープンした知り合いに、ものすごく変わった特技を持つ兄弟がいたんです。ナイフを研ぐということに人生の何時間も費やしているような子で、最初はその研ぐ技術以外の能力はかなり低かったんですが、その1点だけを突き詰めた結果、ミシュランのシェフたちがこぞって面白い!と彼に注目するようになりとんでもないスピードで成長していきました。そういうことは実際によく起こる話で、目を引くというのは、最初からすべてのステータスを高く持つことよりも、1点特化することの方が近道だったりするんです。
あとはやはり人間関係ですね。少し重複する部分もありますが、物を売るのは人間であるということを忘れてしまうと、痛い目に遭うと思います。今はオンラインで、顔を見なくても物が届いてしまう時代になっていますが、それでも商品を買っているのはAIでもコンピューターでもなく、人間です。それはあらゆる商売、ビジネスの基本だと思っています。
—杉原—
私たちも、グループ各社のメンバーの力を1番大切にしていて、お客様に対しては誠実、謙虚、感謝の気持ちを持って接することを大事にしています。投資先についても、リアルな実態のあるものを扱っていること、そしてその人物、経営者としての人柄を1番重視して選んでいるのですが、そうすると気づけば、このエコシステムの仲間たちはみんないい人ばかりになっているんです。うまくいっている時期ばかりではないですが、助け合いの精神で成り立っていると感じます。
最後に、読者の方々にメッセージをお願いできますでしょうか。私たちの読者は、経営者や起業家といったプロフェッショナルの方が中心で、週の始まりにまとめてこのインタビュー記事を読んでくださっているような読まれ方をしています。
—近藤—
最近、海外に行かせていただいて感じたことなのですが、中国の華僑のグループが海外のどこでも成功する理由の1つは、圧倒的なチームワークだと感じています。困っている人がいれば助け合う、例えばロサンゼルスでトヨタがテキサスに移転するという話があった時、周辺にあった日本食堂には、その情報が全く共有されず、ぽつんと日本人の食堂だけが取り残されてしまったという話を聞きました。
そういった話を聞くと、日本人としてもう少し団結してもいいのではないかと感じます。僕自身が偉そうに言えることではないのですが、自分にできることがあれば助けたいと思っていますし、むしろいままでは助けてもらうことの方が圧倒的に多いです。そういった形で、日本がワンチームで世界に向かっていけたら、それが再生の道につながるのではないかと、1番強く感じています。
☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太
【麦と麺助】
オーナー:近藤佑介
所在地:大阪府大阪市北区豊崎3-4-12
開業:2018年5月19日(2016年4月、姉妹店「燃えよ麺助」を大阪・福島にオープン)
姉妹店:燃えよ麺助(大阪・福島)、なにわ麺次郎各店舗(大阪・難波&梅田)
