採用DXで人事を刷新。HRクラウド中島社長と「採用一括かんりくん」の挑戦 ~Part2~
Part 1では、中島社長の起業家としての原点と、27歳での創業に至るまでのストーリーをお届けしました。Part 2では、採用DXを革新する主力サービス「採用一括かんりくん」の誕生秘話と驚きの機能、コロナ禍を追い風に変えた成長戦略、そしてAI活用の最前線についてお届けします。
◆ 中堅・中小企業の「採用三重苦」を解決するサービスへ
-杉原-
人材業界のプラットフォーマーになることをミッションとして掲げていらっしゃいますが、具体的にはどんな顧客向けにどのような製品を展開されているんでしょうか?
-中島-
今の現状でいくと、新卒採用を5名以上されている中堅・中小企業様向けに、採用のAIエージェントサービスを提供しています。
中堅・中小企業様の悩みは、母集団が集まらないということと、辞退されてしまうということと、人手が足りないという三重苦です。
楽天や学情で営業をやっていて、いろんな中堅・中小の企業様の経営者や人事と話をするたびに、この悩みを共通でおっしゃっていました。それをクリティカルに解決するサービスが世の中になかなかない。そこから最初は人材紹介事業からスタートして、今に至るという流れです。
-杉原-
人材紹介に加えて、採用業務をロボットとAIが自動化するサービスも提供していたということですね。
◆「採用一括かんりくん」――人事の仕事を8割削減する仕組み
-杉原-
主力サービスの「採用一括かんりくん」について改めて教えていただけますか?
-中島-
人事の方って、ほとんどの会社がExcelかスプレッドシートなどで採用管理されています。マイナビとかリクナビ、オファーボックスやその他人材紹介会社など、いろんな媒体を使って応募者を集めますよね。
集まってきた応募者情報をExcelに転記して、説明会のご案内の有無、参加の有無、アンケート回収、一次選考の案内…ということをスプレッドシートで何千人という管理をする。とにかく手間がかかって大変なんです。
しかも1人1人に個別にメール送ったり電話をしたりとか。面接の評価の後、面接官にどうだったか聞いて、やり取りが発生して。最近は面接がオンラインなので、面接日程が確定したらオンラインのURLも発行して送って…みたいなことを何千人ってやらなきゃいけないんです。
-杉原-
確かにこうやって並べるとかなり大変ですね。それをどう自動化するんですか?
-中島-
我々のシステムは、まずクラウド上で管理ができる、かつ自動化が強いシステムです。応募者がまず媒体に集まってくると、自動的にかんりくんに登録されます。登録されたら、応募者に自動的に説明会の案内を送信します。
しかも応募者はその案内がLINE上に届くので、LINEのメッセージをタップするだけで予約ができる。予約をすると説明会の詳細案内が来て、オンラインのURLも自動的に発行される。説明会が終わったら、かんりくんの機能でアンケートを送る。
そのアンケート上で求職者の方が「次回選考に進みたい」ボタンをポチっと押すと、またLINEに次の選考案内が届く。学生はLINEで次の選考の予約が完了して、オンラインのURLも勝手に送信されるという、人事の方が何もしなくても全部回っていく仕組みです。
そして実際、人事の仕事は8割減るんです。実際にインタビューさせていただいた株式会社ボールド様は、年間300名の新卒採用をされているんですが、人事は1人で回しているんですよ。
☆株式会社ボールド様の導入事例
https://www.career-cloud.asia/lp/interview/bold
300名の採用ということは、1,000人ぐらいの応募者がいるわけじゃないですか。それを人事1人で回すのは、普通ならありえないですよね。弊社も中途採用でかんりくんを使っていて、人事がゼロの状態で年間20名の採用ができています。
でも人事担当者にしかできないことがあります。面接と面談はやはり人がやるべき業務です。それ以外のプロセス管理は「採用一括かんりくん」が勝手に自動的に動きますので、人事担当者は人がやるべき業務に集中してほしいという思いでシステムを作っています。
◆ なぜ「採用一括かんりくん」というネーミングなのか
-杉原-
ところで、このサービスのネーミングがいいですよね。「採用一括かんりくん」って、ひらがなで「かんりくん」ですし、CMもライトな印象で。
これにはどんな意図があるのでしょうか?
-中島-
そうですね。大手であればかっこいい横文字のサービス名にして、PRにコストをかけて、ようやく大衆が名前を覚え始めるんですが、我々はそんなに多額のPRコストをかけられない。
だから1回聞いたら何をやっているサービスかわかる、かつ勝手に広まっていく、というのが大事だなと思ったんです。「採用一括かんりくん」って聞いたら、採用を一括で管理できるシステムなんだなとわかる。人事の方の間で「何使ってるんですか?」という会話になると、「うち、かんりくん使ってます」とすぐ出てくる。それが横文字のサービス名だったら、「あ、なんだっけ…」ってなっちゃいますよね。
-杉原-
言われてみれば、確かにそうですね。これは社長のアイデアなんですか?
-中島-
私のサーフィン仲間でよくしていただいている先輩経営者がいまして、よく経営の相談をさせて頂いているんです。このサービスを立ち上げるときに、「サービス名は何がいいですかね」と相談したら、「採用一括かんりくんがいいんじゃないか」とアドバイスをいただいたんです。
社名も、もともとはRootsという社名だったんですが、その方に「何をやっているかわからないから、HRクラウドにしたらどうか」とアドバイスいただきました。
-杉原-
中島社長が素直な性格だからこそ、素晴らしい先輩経営者に囲まれているんですね。ネーミングを取り入れるところもまさにそうですね。
◆ コロナ禍を転機に――追い風を掴んだ「勝負の判断」
-杉原-
「採用一括かんりくん」の利用アカウント数が1800社を突破されていますが、ここまでの過程に転換期はありましたか?
-中島-
まずコロナの時が大きかったですね。コロナまでは100社ぐらいまでしか伸びていなかったんです。営業にちゃんと力を入れられておらず、そのころはまだ人材紹介に力を入れていたということもあって、100社ぐらいで止まっていました。
それが2020年のタイミングでコロナが来て、一旦企業の採用が縮小になったんですが、その後やっぱり採用が必要だねということで採用が動き始めた。コロナ禍なのでリモートで採用するという企業さんが増え始めたんですね。そうすると、リモートで採用するにはクラウド上で管理しないといけないよね、採用管理システムはどこだ、ということで「採用一括かんりくん」への問い合わせが急に増え始めました。
そのタイミングで、「これはチャンスだ」ということでタレントを起用してCMを打ったという流れなんですが、裏話もあって。
実は弊社は人材紹介業をやりながら、システムへの投資もずっとしてきたので、2億円の債務超過にまでいっていたんです。かなり危機的な状態になっていたタイミングでコロナが来て、人材紹介業の売り上げも半減してしまって。これはまずいなと。
そのときに国のセーフティーネットで2億円ぐらいの借り入れができた。そこへ「採用一括かんりくん」の問い合わせが増え始めて、「いや、これは勝負に出よう」と、借り入れた2億円を使ってPRを打ちました。私の中で、人生最大の勝負でしたね。
1年で300社ぐらい一気に導入企業が増えて、そこから現在1800社になりました。NewsPicksにも広告を出して、また今回CMを打ったりもして、ここ数ヶ月は昨年対比倍の勢いで導入していただいています。
◆ AI活用の最前線――ChatGPT・Claudeを活用した採用DX
-杉原-
昨年来、続々とAIスカウト、アトラクトAIなどのAI機能がリリースされていますが、これは明確な戦略の一環ですか?
-中島-
そうですね。人事の業務をなくしていくということと、採用に転換させるということ。先ほどお伝えした三重苦を解決するために必要なことを考えた時に、とにかく多すぎる人事の業務をAIとロボットで自動化させていかなきゃいけない。
あと、辞退されてしまうという課題に対して、本来人事の方がきちんと面接フィードバック文を作って、「ぜひ次回の選考においでください」という愛のある文章を作って送らなきゃいけないんですが、人事の方々が多忙すぎてなかなかできていないんです。それをAIが代替していく。人事の作業を軽減しつつ、集まってきた応募者の志望度を上げていく、『アトラクトする』ことに焦点を当ててサービスを開発してきました。
-杉原-
生成AIが大ブームになる前から考えていたんですか?
-中島-
RPA(注:Robotic Process Automation)に関しては、かなり他社よりも1歩先に進んでいるシステムになっていましたね。自動化というロボットの機能はすごくありました。ただAIは全然着手できていなかったんです。
技術的には、Claude(アンソロピック)やChatGPTにデータを飛ばして、返ってきたものを「採用一括かんりくん」上で表示するという形です。我々の方でプロンプトを組ませていただいて、人事専門の辞退率を下げる愛のあるメッセージを自動生成するノウハウがあるのがこのサービスの肝ですね。
☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太
【HRクラウド株式会社】
代表者:代表取締役社長 中島 悠揮
所在地:東京都千代田区紀尾井町3-6 紀尾井町パークビル7階
設 立:2014年4月
コーポレートサイト:https://hr-cloud.co.jp/
Part 3では、
・組織づくりの危機と成長
・CESでの未来体験
・D-POPS GROUPとの関係
・ベンチャーエコシステムについて共感すること
などについて伺っています。Part3もお楽しみに!