「健康は最高の投資」40年のキャリアが語る、経営者の体と姿勢の真実|青山一丁目カイロプラクティック・山口博院長インタビュー【Part3】
【このパートについて】
全3回にわたるインタビューの最終回となるPart3では、テレビ出演のきっかけとなった「利他の精神」の実践、そして修行先の院に通っていた本田宗一郎氏が語った「経営者が健康でなければならない本質的な理由」、「トップリーダーの意思決定の速さ」に関する伝説のエピソードを公開します。さらにベンチャーエコシステムと山口先生の「全体のつながりを見る」という哲学の共通点などをお届けします。(このインタビューは2026年3月に実施しました。)
■ 青山一丁目への移転と、テレビ出演につながった「利他の精神」
-杉原-
四半世紀にわたって青山でカイロプラクティック院を経営されている山口先生ですが、現在の場所に移られた経緯を教えてください。
-山口-
実は最初、渋谷で開業しました。ただ当時の渋谷は、タワーレコードの近くで歩いていると女性の腕を引っ張ってナンパしてくるキャッチセールスが流行っていた時代で、来院される方から「今日も2回捕まりました」とか「道が混んで歩きにくいですね」というお声をいただいていました。
場所を変えようと考えた時に、表参道や外苑前にはカイロプラクティック院のホームページがあったのに、青山一丁目にはなかったんです。渋谷に来られている方も半蔵門線を使えば青山一丁目はそれほど不便ではないなと思い、実際に来てみたら道も広くて、2000年に青山一丁目に移りました。
その後、大江戸線が開通してアクセスが良くなったり、NHK以外のテレビ局が港区に集まっていたりしたこともあって、アシスタントディレクターの方から肩こりや腰痛に関するリサーチの依頼が来るようになりました。
電話で話すだけでなく、Word文書にまとめてメールで送ったり、資料を作って郵送したりしていたんです。するとある時、「テレビに出ることはできますか?」という話をいただきました。それがきっかけで、いろいろな番組に出演することになりました。
後日、ディレクターになった方に「なぜ私を選んでいただいたのですか?」と聞いたところ、「どこよりも丁寧に対応して、資料も書類も作って送ってくれたのはあなただけだった。ADから番組を持つようになった時には必ず声をかけようと思っていた」とおっしゃっていました。
これは稲盛和夫さんの言葉で言えば「利他」の精神ですね。何かを求めてやったのではなく、その人のために誠実に対応しようと思ってやったことが、後になって大きな形で返ってきた。もし何かを求めながらやっていたら、そうはならなかったかもしれません。
この話をうちに来院される経営者の方にすると、「経営と同じですね」とおっしゃる方が多いんです。求めすぎるより、相手のためを思って誠実に動いた方が、後で大きなものが返ってくるという経験をされている方が多いですね。
■ 本田宗一郎氏が語った「経営者が健康でなければならない本質的な理由」
-山口-
修行させてもらっていた院には、経営者の方もよく通われていました。その中で今も語り継がれているエピソードがあります。自動車メーカーの創業者、本田宗一郎さんのお話です。私は本田さんとは直接お会いしたことがないのですが、私の先輩が本田さんに施術をされていたそうです。
ある時、先輩が本田さんに「大きな会社のトップとして大変なお仕事しながら、特にどこかが痛いとか困ったことがないのに、なぜ定期的にいらっしゃるのですか?」と伺ったそうです。すると本田さんはこうおっしゃったと聞いています。
「会社のトップとして、業績が良くて進軍ラッパを鳴らして前進しているときほど気持ちのいいものはない。だけど、時には進軍を止めて、退却ラッパを鳴らして戻らなければならない時もある。このタイミングを間違えると会社に大きな損害をもたらす。そのラッパを吹くタイミングは、健康でなければ間違えてしまう。だから私はここに通っているんだ。」
この言葉が後輩たちの間で語り継がれています。経営者にとって「健康であること」は単に体調管理ではなく、重要な意思決定を正確に行うための根幹なんだと、改めて感じさせられます。
もう一つエピソードがあります。院長が本田さんを施術している際に、当時の車のシート(ふかふかと沈み込むタイプ)が体に良くないという話をされたそうです。すると本田さんが「そうか」と言って帰られ、翌日にはホンダの技術者が何人も来て、院長と話し合いながらシートの設計図を作っていったという話を聞きました。その試作シートは、その後リリースされた車に、早速、活かされたそうです。
一番すごいと思ったのは、「乗る方のためにした方がいい」と思ったら、翌日にはもう行動に移している、そのスピード感と決断力です。トップがそう動けるということの意味を、深く感じます。
■ 日本姿勢教育協会 —「姿勢の大切さ」を社会に広める活動
-杉原-
四半世紀にわたって青山でカイロプラクティック院を経営されている山口先生ですが、他にもいろんな活動をされていますね。一般社団法人日本姿勢教育協会について教えていただけますか。
-山口-
この協会は、姿勢の大切さを理解し、人に伝えられる人材を育成することを目的としています。姿勢から心と体をサポートし、健康長寿な社会を目指す活動です。
「姿勢は大切」とはわかっていても、なぜ大切なのか、姿勢が悪いと何がいけないのか、良くするためにはどうすればいいのか、これを分かりやすく伝えることは実は難しいんです。そのための「姿勢教育アドバイザー」「姿勢教育指導士」という資格を設けて育成しています。興味のある方向けのセミナーも、講師を目指す方向けのセミナーも開催しています。
■ 放送大学での講義 — 毎回抽選になる人気講座の秘密
-杉原-
他にも放送大学で長年、授業を担当されていますね。どんな方々に向けた、どんな内容の講座なのでしょうか?
-山口-
放送大学では最初、「姿勢と健康」という講座を担当していました。その後、その講座は協会の若い先生に引き継いでいただいて、今は「負けない体を作る姿勢学」という講座を担当しています。
放送大学の受講者は、大学の資格を取りたい方が少なく、社会教養として来ている方が多いです。40代、50代、60代が中心ですね。カイロプラクティックの内容は一切やっていません。
-杉原-
教養として来ている一般の方向けということですね。大人気らしいですね。
-山口-
おかげさまで毎回抽選になっています。放送大学の中でも最も受講者が多い講座のひとつになっています。コロナ前には北海道や九州から飛行機で受講に来られた方もいらっしゃいました。土曜日・日曜日の集中講義で8コマをまとめてやるので、1泊のホテル代で受講できる。その話を聞いただけで、私たち講師もますます頑張ろうという気になります。
■ ベンチャーエコシステムとカイロプラクティックの哲学 —「全体のつながり」という共鳴
-杉原-
ディ・ポップスグループでは「リアル×テクノロジー×グループシナジー」を組み合わせた事業展開で、ベンチャーエコシステムの実現を目指しています。グループ内外の企業が、お金だけでなく営業や人材紹介など様々な形で助け合うプラットフォームを作ろうとしているのですが、先生の取り組みと共通すると感じる点や共感できる点があれば教えてください。
-山口-
共感するのは「一つの部分だけを見るのではなく、全体の流れ・つながりを通して見ている」というところです。
私たちも、たとえば肘をぶつけて小指がしびれても、小指だけを治療するのではなく、なぜそうなったのか、姿勢全体の問題を探ります。肩こりであれば、肩だけでなく、モニターの高さや椅子の設定、生活環境全体を見て改善する。この「つながりを通して見る」という視点は、まさに共通していると感じます。
-杉原-
流れを良くするということは、本当にそうだと思います。弊社のグループ会社の定期的な役員会では全員参加で進捗報告をして、その後オンラインでお互いの悩みや困りごとを共有し合って、アイデアや経験を持ち合います。
そしてグループ会社じゃなくても、出資という関係でベンチャーエコシステムのメンバーとして繋がっている会社ともその関係があります。お金だけではなく、一緒に営業に行ったり、必要な人材を紹介したり、顧客を繋いだり。それがエコシステムの「流れを良くする」ということですね。今こうして話しながら、血流の流れを良くするというイメージが重なります。
-山口-
血流が滞るのは、身体の重さを支えることによる物理的な疲労もありますが、気疲れによる神経的なものもあります。物理的な疲労は動くことで解消できますが、気疲れの場合は感動や笑い、あるいは朝日を浴びながら呼吸と歩調を合わせてゆっくり歩くことでセロトニンが分泌されて、発想力が上がり、気持ちも整ってきます。経営者で朝に歩かれる方が多いのも、納得できますよね。
ぜひ、目が悪くなければサングラスはせずに朝歩いた方がいいですよ。目に光が入ることで、セロトニンがより多く分泌されるんです。これは研究者の方がしっかり確認されているデータです。
■ 読者へのメッセージ — 最高のお医者さんは、あなたの体の中にいる
-杉原-
最後に、読者の皆さんに向けて一言お願いします。
-山口-
ぜひ、ご自身の体と健康のために投資してほしいと思います。健康は業績と直結しています。
皆さんにとって最高のお医者さんはどこにいると思いますか?有名な大学病院でしょうか?実は、皆さんの体の中に最高のお医者さんがいます。何か異変があると体はそれを脳に伝え、脳が解決策を体に指示する。それを担っているのが「自律神経」です。
この自律神経の多くは、背骨を通って体の各部位に届きます。つまり、背骨が健康であることは、全身の健康にとって極めて重要なんです。そして背骨と姿勢はイコールです。姿勢が崩れれば背骨も崩れる。だから、姿勢を整えることは自律神経を整えることにつながります。
また、関節は動かさないと動かなくなります。体がずっと丸まっていると、だんだん伸びなくなる。だからこそ、意識的に動かしてほしい。健康への投資が事業の成功につながります。少しでも皆さんのお力になれたら嬉しいです。ありがとうございました。
☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太
【青山一丁目カイロプラクティック】
院 長:山口博
所在地:東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山740
公式サイト:https://aoyama1.jp/