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ディストリビューションビジネスとは?~その解説とストック型ビジネスへの応用~

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2025.07.15

ディ・ポップスグループの基本戦略には、”事業の柱を増やしストックビジネスで固める”、”ストックの蓄積により業績のブレ幅を右肩上がりにする”という項目があります。(https://d-pops-group.co.jp/business/

中核事業会社の一社であるディ・ポップス社が行っており、着実にその利用者が伸びている「スマホ相談窓口TOP1」や、代理店として取り次いでいる通信キャリアのスマートフォンの月額基本料収益などは、典型的なストックビジネスと言えるでしょう。

この記事では、各種ストックビジネスとは一見関係がなさそうに思われる、「ソフトウェアのディストリビューション」という販売モデルの事例を理解していただくことで、ストックビジネスの営業戦略を練る上での参考となることを目指します。

1. ストック型ビジネスの特徴

一般的に「ストック型ビジネス」とは、一度顧客を獲得すれば継続的に安定した収益が得られるビジネスモデルを指します。代表的な例には、サブスクリプション型のソフトウェアサービス(SaaS)、定額制の動画配信やフィルタリングサービス、賃貸不動産の家賃収入、保険の保険料収入などがあります。当社で言えば、出資先のAdora社のコドマモアプリやThe Salons Japan社の美容モールというサブリース事業はその典型と言えます。

これに対し、単発の売上に依存するモデルを「フロー型ビジネス」と言いますが、ストック型ビジネスは将来の収益予測が立てやすく、事業の安定性や企業価値の向上にもつながります。その主なメリットとしては収益の安定性と高い利益率が挙げられますが、顧客の解約(チャーン)を防ぐための継続的な価値提供や顧客満足度の維持が重要です。

ストックビジネスでは、月次収益(MRR=Monthly Recurring Revenue)、年間収益(ARR=Annual Recurring Revenue)、顧客生涯価値(LTV=Life Time Value)、顧客獲得コスト(CAC=Customer Acquisition Cost)などの指標が経営判断に活用されます。長期的な視点で信頼関係を築きながら収益を積み上げるモデルといえます。

2. ディストリビューションとは?

さて、事業における「ディストリビューション」とはどういう活動でしょうか?

ディストリビューションとは、製品やサービスを製造元から消費者や販売チャネルに届けるための「流通・供給」に関する一連の活動を指します。一般には、形あるモノの物流や卸売を含む言葉ですが、オンラインで販売するソフトウェアや、IT業界においては、製品の販売・拡販チャネルの構築や管理といったビジネス的な側面を強く含みます。

たとえば、パートナー企業との連携によってソフトウェア製品をプリインストールしたり、他の製品とセットで提供したりすることで、効率的に市場に広げていく仕組みを指します。多くのグローバルIT企業では、このディストリビューション部門がマーケティング部門や営業部門と連携しながら、製品の認知拡大やユーザー獲得を支援する戦略的な役割を担っています。

3. ストック型サービスのディストリビューション

ここからが本題です。

スマホファーストの時代に、少し古いですが、読者の誰もが使っている、もしくは目にしたことがある、PC版の「Google Chromeブラウザ」を題材にして、ストック型サービスのディストリビューションについて解説します。

1) Chromeはストック型ビジネスのソフトウェア
意外に思われるかもしれませんが、Google Chromeは無料のブラウザソフトですが、Google社にとってはストック型ビジネスの収益の源泉、そのソフトそのものがストック型サービスとも言えるのです。

Chromeブラウザの上部にある空白の入力スペースを「アドレスバー」と言いますが、ここが検索ボックスを兼ねています。Chromeユーザーは、わざわざGoogleやYahoo!、そして少し古いですがniftyやSo-netやMSNといったポータルサイトに行かなくても、このブラウザ標準の検索ボックスにキーワードを入力するだけで、知りたいことを調べられます。

そしてご存じのように、ユーザーが検索をすると、その検索結果ページの上位には検索連動型広告が掲載されます。ユーザーがそれらの広告をクリックすると、Google社は広告料収益を得られます。一度のクリックで得られる収益はわずかですが、ユーザーがそのパソコンを利用している間、毎月一定数の検索をし、一定数の広告のクリックをすることで、ちりも積もれば山となり、1つのChromeブラウザから毎月一定の収益が上がることが期待できるのです。

2) ディストリビューションモデル
このように考えると、Google Chromeのディストリビューションとは、その検索連動型広告により得られる収益向上のために、Chromeブラウザを世界中に広めるための流通・拡販戦略を指し、ユーザー自身の手によるホームページからのダウンロードの促進に加えて、パートナー企業との提携によって大規模に展開した戦略的な事業活動でした。

その主な手法には、
① メーカー各社のパソコンへのプリインストール
② ウィルス検知ソフト等他のソフトウェアへのバンドル配布(*)
③ ADSL等ブロードバンドの設定ソフトとのバンドル(*)
④ 通信事業者やインターネットプロバイダ等との連携

などが挙げられます。(※ソフトウェアバンドルとは、そのソフトウェアのインストール時に、ユーザーの確認の上で一緒にパソコンにインストールされるような仕組みのこと。)

スマホ時代が到来する前、まだパソコンが全盛期だった2010年代には、T社製、S社製、L社製、H社製といったパソコンには、店頭に並んだ時点からChromeがデフォルトのブラウザとして設定されるようになっていました。

3) ディストリビューションの狙い
Google社において、このディストリビューションビジネスは非常に重要な位置付けをされていました。なぜなら、前記のパートナーシップ提携を通じて、次の狙いがあってChromeブラウザを普及させたかったからです。

① Googleの白いホームページ ”以外の” アクセスポイントを増やすため
② 検索エンジンの競争環境において、その根っこであるブラウザを抑えるため
③ ITリテラシーの低い一般消費者へもリーチを広げるため
④ GoogleやChromeの製品ロゴの露出を広めるブランディングのため

2010年前後に活発に行われたこのディストリビューションビジネスの後に始まった、テレビCMを含む積極的なマーケティング活動により、事前に普及させていたChromeブラウザからの検索数が急速に増えたのでした。

なお筆者は、このディストリビューションビジネスにおけるAPAC地域の初代リーダーを務め、Chromeの普及及びそれに伴ってのGoogleの検索シェアの向上に貢献をしました。

4. ファイナンシャルモデル

では、上記で挙げた協業パートナー各社は、無条件でGoogleに協力したのでしょうか?

そんな訳はありません。Win-Winの関係を築くには、市場創出という理念の一致だけではなく、相手方にとっての金銭的なメリットも必要でした。協業パートナーからは、Chromeを製品にバンドルすることにかかるコスト相応かそれ以上の対価が求められました。以下、いくつかの支払いモデルを示します。

① レベニューシェアモデル
② バンドル台数に応じた支払いモデル
③ アクティベーション件数に応じた支払いモデル
④ これらの複合

①は、ポータルサイトとの協業で主流だったモデルで、検索連動型広告から得られる収益からお互いの取り分(xx%)を分け合うモデル。収益が大きければ支払いも大きくなります。逆に言えば、Chromeが使われなければ支払いもされません。PCメーカーなど、バンドルするための作業コストや製造負荷がかかる事業者は、そのコストの補填を要求するので、ディストリビューションモデルには適しませんでした。

②は、Chromeブラウザをバンドルしたパソコンの台数に応じて支払うモデル。パソコンメーカーにとっては、この手数料を当てにして製造原価を下げることができるので望ましいと受け止められました。ただしChromeが全く使われなかった場合、Googleにとっては痛手です。バンドル手数料を支払っても、そのパソコンからは検索連動広告の収益があがらないので、支払った手数料が無駄になってしまうからです。

そこで③です。あらかじめバンドルされたChromeブラウザが、ユーザーの手に渡り、初回起動された(=アクティベーション)ことを検知したら、その台数分だけ、支払いの対象とするというモデルで、双方にとって納得感のあるモデルです。

少し細かくなってしまいましたが、ここからが重要なポイントです。

この場合の、一台あたりに支払う手数料は、いくらまでなら許容されるでしょうか?

相手に言われるがまま無制限に支払っていては、Googleにとっての利益が上がらずメリットがありません。一方で少なすぎては協業したい企業とのディールは成立しません。そのさじ加減は、適当な感覚で決めるものではなく、非常に綿密な計算のもと、限界値を割り出し、そこを念頭に入れながら交渉をしなければならないのです。

ここでは、非常にざっくりとした仮定の数字を使って説明をします。

日本における単位検索件数(1000件)あたりの広告売上=50円
Chromeユーザーの1ヶ月あたりの検索数=200回
日本における平均的なパソコンの買い替えまでの年数=5年
Chromeブラウザ1つから期待できる将来収益
=50円 ÷1000 x (200 x 12ヶ月) x 5年 = 600円

よって、一台のアクティベーションから、将来パソコンが買い換えられるまでの間に600円の収益が見込まれる。それをベースに、販管費や開発コストなどと必要な利益を考慮した結果、例えばその1/3である200円までが、協業相手に支払いできる限度額になる、といった具合になります。

実際には、検索数の増加率やパソコン毎のユーザ特性も勘案した綿密なシミュレーションの上で割り出されるし、限度額もそのマーケットの競争環境によって上下します。そしてパソコンメーカーあたりの新規出荷台数は年間何百万台もあり、手数料支払額は数十億円にもなるため、非常に慎重で大がかりなディールとなります。

ここで示したモデルのポイントは、あらかじめその製品から見込まれるLTVを把握して、そのうちの何%までなら販売コストとして支払うことができるか、というディールの限界条件を決めた上で、営業戦略や業務提携契約の交渉に入る必要がある、ということです。

5. サブスク事業やSaaS事業への応用

さて、Chromeブラウザを題材にしたディストリビューションビジネスのファイナンシャルモデルを例としてご紹介しましたが、この考え方は、決して古いものではなく、現在盛んに新規事業が立ち上がっているサブスクリプション型事業やSaaS事業や月額料金制のモバイルアプリの販売戦略とも大いに関連するのです。

前記の②、③の先払い方式では、GoogleはChromeをバンドルしたパソコンが使われ始めても当分の間は一台当たりで見れば赤字です。複数のメーカーと協業を開始してからの当初数年間は深く赤字を掘りました。

しかし、ある時から、あらかじめパソコンに忍び込ませていたChromeの存在を知ったユーザーが検索を使い始め、徐々に検索連動型広告からの収益が上がりました。そのパソコンの台数が市場に流通するに連れて、Chromeディストリビューションビジネスは黒字に転換し、その後の売り上げはずっとGoogleの手取りになったのです。また、一度使い慣れてしまえば、そのユーザーはパソコンを買い替えてもまたChromeを使いたくなるといった具合に、メインブラウザのIEからChromeへの切り替えが進んだのでした。

・・・そして現代。市場に溢れる各種SaaSやサブスク事業も同様です。ディストリビューションビジネスのような協業パートナーを開拓できれば、プロダクトを市場に投下した当初は一時的に赤字になっても、いずれ黒字転換し、以降はその勢いが加速するという販売戦略が実現可能です。

ただし、このことが成り立つのは、

① LTVの予測と綿密な計算により販路コストの限度額を割り出す
② ストックビジネスの基本である低い解約率を維持する
③ Win-Win関係が継続する協業パートナーを開拓する

の3点がとても重要となります。

以上、(株)ディ・ポップスグループがその基本戦略で掲げている、ストックビジネスをどのように拡販するのか、その営業戦略の参考となり得る、ディストリビューションというビジネスモデルについて、解説させていただきました。読者の皆さんのビジネスのヒントになれば幸いです。

これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。

D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太

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坪効率とは?「場所の最適化」が営業利益を最大化する
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では坪効率がなぜ重要か、以下の例を元に解説してみたいと思います。 上記での解説通り、都心型、郊外型等の出店場所と扱い商品が違う会社同士は比較しても家賃と単価が異なり有効な比較対象とならないため、の前回の「1人当り売上高」の時と同様に、同じ商品を販売していて、同じ都市型に立地している家電販売店をモデルケースに解説していきたいと思います。(モデルケースの会社は架空の会社ですが、実際の会社がベースとなっております) モデルケース 【家電量販店B社】 店舗数24店、売り場面積75,000坪、坪効率10,093千円、売上高7,500億円、経常利益500億円、経常利益率6.7% 【家電販売店C社】 店舗数45店、売り場面積74,000坪、坪効率6,002千円、売上高4,400億円、経常利益40億円、経常利益率0.9% 今回モデルケースとして採用したB社は前回の「1人当たり売上高」で取り上げたB社と同じ会社です。C社は前回の「1人当たり売上高」で取り上げたC社と同じ会社ですが、C社は沢山の屋号をもつグループ経営の会社ですので、今回は都市型店舗の屋号だけを切り抜いて取り上げました。各種数字は坪効率の年度のものに合わせたことと、売り場面積は坪効率と売上から逆算して算出しています。B社とC社はライバル会社として知られる会社で、どちらも都市型に出店しており、新宿等の大都市では隣接して出店している会社です。 今回見比べていただきたいポイントは売り場面積、坪効率です。 B社は7,500億円程度の売上を作る為に売り場面積を75,000坪使用し、C社は4,400億円程度の売上を作る為に売り場面積を74,000坪使用しています。坪効率に換算するとB社は10,093千円、C社は6,002千円です。両社とも非常に高い坪効率を誇る会社ですが、B社とC社の売り場面積はほぼ同じ75,000坪程度ですので、B社とC社の坪効率の差額4,091千円を売り場面積75,000坪に換算すると、3,000億円以上の差がでます。 この差が売り上げの差であり、売上総利益率を家電量販店の平均的な数字30%として両社とも計算すると、売上総利益では900億円近い差が出ます。家賃に相当する金額に換算することは非常に困難でここでは行いませんが、どちらも都市型店舗で同じような場所に出店しているため、仮に同じ額の家賃がかかっていいたとすると、この売上総利益の差がそのまま利益の差につながります。B社とC社の経常利益の差が460億円、経常利益率で5.8%の差がありますが、この差の大きな要因の一つが坪効率であることは明確かと思います。 前回の「1人当たり売上高」の時もお話ししましたが、多少の違いはあれども同じ商品を扱っている家電販売店業界ではB社、C社以外をみても売上総利益率は大体30%程度で、どの会社も同じような水準です。業界問わず、同じ商品を扱っている業態で同じような売上規模だと売上総利益率に大きな差は出にくいと思います。 今回のB社、C社の比較の場合で、前述しておりますが、売上総利益率を30%と仮定した坪効率からくる売上総利益で約900億円の差が生じます。同じ商品を扱い、同じような立地に出店し、同じような売り場面積を使用しているにも関わらず、競合他社とこれだけの経営効率の差が出るのは、坪効率以外では「在庫回転率」、「一人当たり売上高」くらいしかでないのではないかと考えます。 今回のモデルケースだけでなく、店舗を構えるビジネスであれば、飲食でもアパレルでも、スーパーでも店舗を構える限り、店舗一坪当たりの売上高(坪効率)から逃げることはできません。同等の立地に出店し競合他社を大きく上回る坪効率を実現することができれば、ビジネスをする上で避けて通れない競合他社との競争において、大きなアドバンテージを持つことに直結していきます。 4.坪効率を上げるポイント 坪効率の重要性はご認識いただけたかと思いますので、坪効率を如何に上げるか?というお話をさせていただきます。坪効率を上げるポイントはいくつかございますので以下に代表例を挙げてみたいと思います。 坪効率を上げるポイント① 購入頻度が高い、又は単価が高い商品を扱うということです。食料品や日用品の様に単価が安くても購入頻度が高いと坪効率は上がりやすく、ブランド品の様に単価が高い商品は、購入頻度が低くても購入頻度の低さをはじき返すだけの購入単価があるので坪効率が上がりやすいです。地域密着型のドラックストアが品揃えとしてドラックより購入頻度が高い食品や日用品の扱いをしているのは、坪効率の観点から考えると当を得た商品展開と言えますし、家電量販店が品揃えを増やし購入頻度が高い消耗品と単価が高いハード品をMIXさせて扱うということも坪効率の観点から考えると当を得た商品展開と言えます。 坪効率を上げるポイント② 扱う商品の大きさとお店全体を無駄にしないということです。要は小型の商品を隙間なく展示することです。ドンキホーテやコンビニ、ドラックストア、都市型家電量販店をみれば一目瞭然で、一部の店には大型商品がありますが、小型商品が中心で隙間なくそれこそ天井までびっしり並べられています。 このような展開は坪効率の観点から考えると当を得た商品展開です。家電量販店がわかりやすいので例にとりますと、現状家電量販店は都市型が○○カメラで郊外型が○○電機という屋号に大きくは分類されるわけですが、なぜこうなったかというと、昔の都市型店舗はどの店舗も非常に小さく、冷蔵庫や洗濯機を置いたら数台で店舗が埋まってしまう店舗でした。結果、都市型店舗はカメラや時計、ポータブル機器、理美容機器、小型のOA機器等が販売の中心になり、郊外型店舗は家賃が安い為、坪効率の悪さを跳ね返せるので冷蔵庫や洗濯機等の大型商品が中心になったことは、坪効率の観点から考えると必然の結果と言えます。 ちなみに昔は都市型で冷蔵庫や洗濯機等の大型商品中心の店がたくさんありました。秋葉原を見ればわかりますが、現状では体力のある大型店に集約され、0ではありませんがほとんど残っていません。これも坪効率の観点から考えると必然の結果と言えます。 坪効率を上げるポイント③ クロスセル、アップセルを行い購入単価を上げることです。クロスセル、アップセルは店舗の努力で大きく変えることができます。スーツを買いに行けば多くの店でスーツにあったワイシャツやネクタイを進められますし、パソコンを買いに行けば多くの店でセレロンの様な安いCPUを搭載した安いモデルではなく、コアiシリーズの様な性能の高いCPUを搭載したモデルを勧められます。 全社がクロスセルで後者がアップセルです。アップセルで購入単価は変えることができ、単価が上がれば坪効率が上がります。また、クロスセルで購入点数を増やすことができ、購入点数が増えれば一人当たりの購入単価が上がり坪効率は上がります。 上記が坪効率を上げるための代表的な例です。もちろん坪効率を上げるためのポイントは他にもございますが、最大のポイントは「在庫回転率」、「一人当たり売上高」と同様に坪効率の重要性の教育が従業員になされており、常に会社と従業員が坪効率を高めるための仕入れや、展示、接客に創意工夫をし続ける血の通った経営を在庫や売上点数/売上単価の可視化がきるテクノロジーを使い実現させることだと思います。 結果的には、経営効率を飛躍させる坪効率の向上も、ヒト × テクノロジー × 経営戦略の掛け算の上に成り立つということになると思います。 5.まとめ 今回は、坪効率のお話をさせていただきました。店舗ビジネスで場所を使わないビジネスは存在しません。この場所の最適化こそが、坪効率として数値化され営業利益の最大化につながり、同じような場所に出店する競合他社との大きなアドバンテージポイントになります。 坪効率は、商品の単価、大きさ、購入頻度といった商品特性、品揃えを増やしお店に隙間なく陳列すると品揃えと陳列手法、クロスセル/アップセルに代表される接客技術で大きく変えることができます。つまりは、扱い商品のコンセプトを決める会社と仕入れ、陳列、接客を具体的に行う従業員が常に生産性を高めるための創意工夫をし続けることが坪効率を上げるポイントになるということです。 今回の坪効率で、店舗経営の3種の神器とも言える指標である、在庫、人件費、家賃の3つが出そろいました。前々回の「在庫回転率」前回の「一人当たり売上高」から一連の流れとしてご一読いただきますと店舗経営ポイントがより見えてくると思います。 ディ・ポップスグループとして、「在庫回転率」「一人当たり売上高」「坪効率」の3部作を通じお伝えしたいことは、ビジネスはヒトにより成り立っているということです。商品を購入いただくお客様もヒトであり、経営戦略を考えるもの、テクノロジーを使うのもすべてはヒトであります。 AIをはじめとするテクノロジーを使いこなさなければ、ビジネス上で競争に勝ち生き残ることはできないと思いますが、テクノロジーだけでも生き残ることはできないと思います。テクノロジーが良いから、経営戦略が良いから、ビジネスが成功するのではなく、ヒト × テクノロジー × 経営戦略の掛け算が大切であるとディ・ポップスグループは考えます。 この考えの元、ディ・ポップスグループはヒトが輝くために、また社会課題解決のためにベンチャー企業に対して、出資を通じた支援と効率という数字だけではない価値を通じたベンチャーエコシステムの実現を目指しています。 これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。 D-POPS GROUP 常務執行役員 渡辺哲也
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2026.01.15
年末のご挨拶
師走の候、今年も残すところあと僅かとなりました。 今年も1年を通して、「ベンチャーエコシステムを実現する」というビジョンに向けて、グループの仲間と共に最大限の挑戦をして参りました。 1998年の創業から、100億企業を実現するまでは、祖業の2社に経営資源を集中し事業を拡大して参りましたが、20周年を機に、本格的なグループ会社経営に移行し、さらにその後は、「ベンチャーエコシステムを創造すること」(エコシステム経営)に全ての力を注ぎ、現在は、グループ会社25社、投資会社35社体制となりました。やっと今、ベンチャーエコシステムの実現というビジョンのスタートラインに立ったと思っています。 これまでの弊社の取組み、そして社会的な仕組みとしてのベンチャーエコシステムをより広く世の中に伝え、何よりも起業家・経営者がインスピレーションを得て成長し、未来が変わる、そんなターニングポイントになるような1日を提供しようと1年前に決断し、長い準備期間を経て、今年10月2日には「ベンチャーエコシステムサミット2025」をシェラトン都ホテル東京(白金)で開催致しました。総勢270名の方々に参加頂き、とても大きな反響を頂く事ができ、安堵するとともに大変嬉しく思っております。参加された方々の中から、未来に飛躍的な成長を実現し、将来、ユニコーン企業が出てくることを、非常に楽しみにしております。 ベンチャー企業の経営は、本当に一筋縄ではいかず、非常に複雑で難易度が高いものであります。未来に上場を実現し、100億企業、さらにユニコーン級の企業になっていくスタートアップは本当に一握りです。だからこそ、支援体制を整え、伴走していくことで、一つ一つの大きな壁を力強く乗り越えていけるよう、起業家・経営者の皆さんを後方支援していくことが、我々ベンチャーエコシステムとしての大きなミッションです。 これからさらに志やポテンシャルの高い起業家や経営者、そして我々が注力すべきフィールドで高度なビジネスモデルを確立しているベンチャー企業に仲間になって頂き、5年以内にグループ会社、投資会社、資本業務提携会社を100社体制にし、真の意味で、世の中になくてはならないベンチャー支援のプラットフォーム=ベンチャーエコシステムを実現することで、社会に貢献して参ります。 この1年間で、新会社の設立、CVC、資本業務提携により、新たな仲間が9社加わりました。半数の会社がAI企業またはAIをフル活用した企業、また残りの半数が激変する社会のニーズや時代の要請に応えるような新たなビジネスモデルを確立した企業です。起業家、ビジネスモデル、経営戦略、どれをとっても、素晴らしいポテンシャルを感じる企業ばかりです。 次世代の若者、さらにその先の世代の若者が挑戦し易い環境やステージをより一層整えることで、「挑戦するカルチャー」を世の中に広め、「懐の深い社会の実現」を目指して参りたいと思います。 また、今年も例年同様に、公益財団法人「こどもたちと共に歩む会」を通して、全国の児童心理治療施設27カ所に寄付を行うことが出来ました。またその他にも、ライツオンチルドレンやボンドプロジェクト、千本財団など合計7カ所の児童養護施設やNGO団体を支援させて頂きました。毎年、たくさんの起業家や経営者の方々に、ご賛同頂き、多額の寄付を頂いております。ベンチャーエコシステムサミットでも参加者の皆さんから総額256万円の寄付が集まりました。改めて、この場をお借りして、御礼を伝えさせて頂きます。本当に有難うございました。今後もより一層、未来の日本を担う子供達の支援を強化して参りたいと思います。 引き続き、ディ・ポップスグループ、そしてベンチャーエコシステムの仲間と共に、高い志と大きなビジョンで、一意専心、尽力してまいりますので、変わらぬご支援、ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。 益々の皆様の繁栄を心より祈念しております。良い年をお迎えください。 ディ・ポップスグループ 代表 後藤 和寛
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2025.12.26
名経営者からの学び ー ”道”(松下幸之助)
ディ・ポップスグループでは、ベンチャーエコシステムを、「共通のアイデンティティと理念の元に集まり、革新性の高い事業モデルにより、社会課題解決に挑戦し続ける企業群の集合体を支える、成長と永続のためのプラットフォームのこと」と捉え、その理想の形の実現に向けて日々挑戦と努力を続けています。 ※詳しくはこちらをお読みください。「ベンチャーエコシステムとは?」 その実現のためには、起業から世界的大企業に育てるまでを行ってきた、過去の名経営者から謙虚に学ぶ姿勢が欠かせません。 「名経営者からの学び」シリーズでは、筆者が影響を受けた名経営者や思想家らの言葉をご紹介し、実体験からの想い、事業や実生活で活かされた事例などをご紹介していきます。 第一回目は、グループのアドバイザー、杉原が担当致します。 1. ”道”(松下幸之助) 自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、他の人には歩めない。自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。淡々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。 この道が果たしてよいのか悪いのか、思案に余るときもあろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか。 あきらめろと言うのではない。いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、ともかくもこの道を休まず歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道ではないか。自分だけに与えられているかけがえのない道ではないか。 他人の道に心をうばわれ、思案にくれてたちすくんでいても、道はすこしもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。 それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。 ーー「道をひらく」(松下幸之助著、PHP研究所発行)より、原文のまま引用 2. この言葉を選んだ理由 これまでに多くのビジネス書、経営関連本、MBA関連本、未来予測本を乱読してきました。その中で、いくつかはその年のベストセラーになったものの、その数年だけのブームに終わったり、未来予測は外れたり(それもまた勉強にはなるが)、名経営者と言われた人がその後凋落したり逮捕されたりというケースも、ありました。 一方で、著者の方が亡くなった後も、長年ベストセラーであり続けるような名著と呼ばれる本は、時代が変わっても普遍的に重要なポイントを教えてくれる、誰にとってもバイブルや羅針盤とも言える本であり、定期的に立ち止まって読み返すべき、価値ある書籍です。 「道をひらく」は、パナソニックホールディングスを一代で築き上げ、その後の数多くの経営者らに影響を与えた、松下幸之助氏のベストセラー本です。私は、折り目や蛍光ペンだらけとなって読み倒した本と、改めて購入した、きれいな本を持っていますが、改めて読むと、経験を積んだからこそ深く共感できることや、今でも新鮮であり、新たな気付きを与えてくれる書籍です。 その本の正に最初のページのタイトルが、”道”です。 この機会に、この本を初めて手に取った30数年前の思いを振り返りたいと思います。 3. 自らの経験とこの言葉への想い 「道をひらく」を購入したのは、会社員となってまだ間もない、20代前半だったと思います。私はその当時、明確なキャリアプランを描けておらず、起業するほどの強い情熱や社会課題意識もなく、何となく会社員を選んでいた、主体性に欠ける若者でした。 そして、運の悪いことに?その時代、すなわち昭和から平成にかけては、「24時間働けますか?」というフレーズのCMが流行るなど、とてもブラックな(笑)環境で、連日、満員の通勤電車に乗って7時半に出社、終電やタクシーで帰るという生活で、じっくりとキャリアをデザインしたり、起業プランを練ったりする熱意も余裕もない若者でした。 この本を読み始めた時に、まず、この「広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。淡々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。この道が果たしてよいのか悪いのか、思案に余るときもあろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう」という冒頭の文を読んだ時に、泣きそうになった覚えがあります。・・いや実際泣いていた気がします。心身共に疲れていたのでしょう。 しかし、その後に続く、「道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ」という言葉が心に響き、その言葉に奮い立たされ、この後に続く数々の言葉に励まされ、「何としてでも自分だけの道を切り開いていこう、決して逃げず、諦めず、歩みを止めず、たとえそれが険しくても、自分だけの道を作って行こう」と決心することができた、という思い出があります。 あの時代背景の中で、ある人は失踪してしまい、ある人は自分の意見や意志は捨て言われたことだけをやる姿勢になり、またある人はストレス解消のため、度が過ぎる酒や煙草やギャンブルに走ってしまったりと、険しすぎる道から脱落していく先輩方や同僚達の姿を見ました。 が、私はこの「道をひらく」に出会い、その中の数々の言葉を信じて歩み続けたおかげで、目の前の道を踏み外すことなく、そして新しい道を作っていくことができました。 そして徐々に・・といっても30年程もかかってしまいましたが、自分の道、すなわち社会における役割が、「数多くの国内・海外ベンチャー企業の立ち上げ期とその後の栄枯盛衰の期間に従事してきた経験を通して、ベンチャー起業家やそこで働く人々をサポートする伴走者」という役割ではないか、と思うに至ったのです。 「それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる」という言葉の通り、20代、下っ端で四苦八苦していた頃には上記のような役割、すなわち自分の道、はイメージなどできませんでした。しかしその後の人生において、逃げずに、常に与えられた環境で与えられた目標を達成し、自ら発案し行動を起こし、そしてまた新時代の潮流を感じたら勇気をもってその領域に挑戦する、ということを続けた結果、「新たな道が開けた」という経験をたくさん積み重ねることができました。 不安とコンプレックスの塊だった10代から20代前半を経て、しかしこの本のこの言葉に出会い、その後の人生を歩み、今日この記事を書いていて改めて思います。「歩み続ける者には、必ず道は開ける」のだと。そして、自分の道を切り開いてきた結果、「深い喜びも生まれてくる」のだと。 この本を世に出してくれた松下幸之助氏に感謝すると共に、これまで、登りも下りもあった険しい道を、かきわけ、切り開いてきた自分自身を、今なら褒められるなと感じています。 4. 読者の方々へのメッセージ 自分に与えられた道、すなわち人生という道は、他人と比べるものではありません。他人の人生を羨んだり妬んだり、輝かしい経歴の有名人と比較して嘆いたり、逆に自慢したり過度に誇ったりするべきものではありません。ただ、自分なりに歩み続け、努力し続ける。 あらかじめゴールを立てて歩むことが理想的でしょう。でも、ゴールが明確でない道に価値が無いということではないと思います。今はゴールが見えていなくても、しっかりと歩み続ける中で、突如明確になることもあります。 人生は選択の連続だと言われるように、自分の道にも定期的に分かれ道、すなわち右に行くか左に行くかの選択を迫られるシーンが登場するものです。また乗り越えねばならない大きな壁が登場するものです。それらの選択と挑戦の連続の結果、自分だけの道が描かれます。 舗装された、もしくは決められたレールの上を歩むのか、より険しく先が見えないけれども大きな可能性を秘めた道を選ぶのか。 時代は常に変化します。特にAIがどんどん浸透する今後の10年は激動になると思います。そんな時代背景の中で築いていく道は、ある人にとっては突如途切れてしまうような困難なものに、またある人にとっては新時代を切り開くものにもなり得ます。 ぜひ、AI時代を大きなチャンスにすべく、そして後に「深い喜びが生まれる」ような、自分自身の道を切り開いて下さい。 以上、こちらの記事が、少しでも皆様のお役に立てたら大変嬉しく思います。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
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2025.12.03
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