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D-POPS GROUPが考える「のれん」とは?「のれん償却」見直しの考察

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2025.06.25

ディ・ポップスグループは、「リアルビジネス × テクノロジー × グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、100年後も社会から必要とされ続けるベンチャーエコシステムの実現を目指しています。また、このベンチャーエコシステムの成長のために、既存事業のオーガニック成長、新規事業・新会社の設立、M&A、CVC、資本業務提携の5つの基本戦略を推進しております。

今回は、この5つの基本戦略の1つである「M&A」と関わりの深い会計における「のれん」について、その会計処理についてニュースとなっていることもあり、取り扱いたいと思います。特に、「のれん」の「非償却」の可能性についても、言及できればと思います。

「のれん」に関しては、2025年5月30日に「のれんの非償却の導入およびのれん償却費計上区分の変更」に関する要望が、日本の会計基準の設定主体であるASBJ(会計基準委員会)にテーマ受付表として提出されました。この要望は、経済同友会、スタートアップ関連13団体、スタートアップ有志35社、企業経営者有志138名の連名で提出され、首相の諮問機関である規制改革推進会議もこれをフォローし、さらにASBJの議論においても、スタートアップ関係者の問題意識が十分くみ取られ、適切な議論が行われるよう、検討プロセスも含めフォローする旨を公表しています。このことは、日経新聞にも「のれん償却の見直し、民間13団体など会計基準機構に提案」という見出しでニュースになりました。

1.「のれんの非償却の導入およびのれん償却費計上区分の変更」の要旨

なお、今回提出された要望の要旨は、以下のとおりです。

①のれんの非償却を導入(選択制)
のれんの償却と併せてのれんの非償却も認める選択制を適用する。
(遅くともスタートアップ育成5か年計画の終期である2027年度までに結論・措置に至るよう検討を要望)

②のれん償却費の計上区分変更
現在、販売費及び一般管理費として営業費用に計上しているのれんの償却費を営業外費用もしくは特別損失に計上する。
(2026年度の結論・措置の可能性も含めて検討を要望)

2.現在の日本の会計基準における「のれん」の定義と取り扱い

現在の日本の会計基準において、M&Aの代金のうち、対象企業の純資産額を上回る金額については、「のれん」として無形固定資産に計上したうえで、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、規則的に償却するとしています。例えば、純資産3億円の対象企業を10億円の代金でM&Aする場合、7億円が「のれん」として無形固定資産となります。またその際に、投資回収期間を7年と想定していたならば、この7億円の「のれん」を毎年1億円づつの定額、7年間で費用化(償却)することになります。

一方で、IFRS(国際会計基準)、米国会計基準においては、「のれん」について規則的な償却は行わず、「のれん」の価値が損なわれた時に減損処理を行う方法が採用されています。これが、今回提出された要望における「のれんの非償却」です。なお、減損処理とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合に、将来において確実に回収可能な額を除き、資産を費用化することをいいます。先ほどの例でいうと、7億円の無形固定資産が計上されていたが、対象企業が赤字決算続きとなり回復が見込めない場合には、価値が損なわれた、つまり投資額の回収が見込めなくなったとして、7億円の全額を一時に費用化することになります。

これまで、日本の会計基準は、企業の財務報告の透明性と比較可能性の向上を目的として、IFRSとの整合性を目指し基準の改訂を行ってきましたが、このように「のれん」の会計処理についてはIFRSと相違しています。そのため、M&Aを積極的に行っている上場企業では、この相違を理由として、IFRSに移行している企業も多くあると考えられます。IFRSへの移行には、会計コンサルティングの導入、会計監査報酬の増加といった追加コストはあるものの、それを上回るメリットがあると経営判断した上場企業もあるのではないでしょうか。

3.今回提出された要望の背景

政府は2022年に「スタートアップ5カ年計画」を策定していますが、この計画において、M&Aは、スタートアップのエグジット戦略(出口戦略)のみとしてだけではなく、既存の大企業とのオープンイノベーションの推進策として、その重要性について触れられています。(スタートアップを成長させるM&A)

今回提出された要望は、このスタートアップを成長させるM&Aの促進において、日本の会計基準における「のれん」の償却が、阻害要因になっているということを背景としています。すなわち、「のれん」が償却される場合には、営業費用(販売費及び一般管理費)に計上されるため営業利益がのれん償却による費用額の分、減少することとなりますが、これがM&A検討の障害や、M&Aを断念する理由となっているということを背景としています。

特にスタートアップについては、企業価値(M&A代金)に占める純資産額の割合が小さいことが多く、「のれん」は比較的多額となるケースがあります。また、日本の多くの成長企業において、企業価値の源泉であるコアコンピタンスが、人的資本(従業員の知識やスキル、経験)、知識資本(特許、商標、企業ノウハウ)で構成されていることが多いと考えられますが、スタートアップにおいては、その傾向はさらに強いと考えられます。今後ますますAI領域におけるスタートアップの増加が加速すれば、その傾向も加速的に強まっていくと考えられます。

このように人的資本、知識資本は、企業価値の源泉として極めて重要ですが、現在の会計基準では、これらの「自社で生み出された」無形資産は、原則として資産計上することが認められていません。これは、その価値を客観的に測定することが困難であること、また将来の収益の獲得への貢献が不確実であることなどが理由とされています。

このこともあり、非常に価値の高い人的資本、知識資本を有する企業は、企業価値(M&A代金)は高く評価されるものの、会計上の純資産額は小さいというケースが増加していくと考えられます。この結果、これらを対象企業とするM&Aにおいては、「のれん」は多額となっていく可能性は極めて高いと考えられますし、M&Aを行う企業は、その「のれん」の償却により、営業利益も圧迫される可能性も極めて高いと考えられます。

ところで、営業利益は、企業の本業における収益力を示す重要な指標であり、企業価値に大きな影響を与えるものではありますが、「のれん」の償却、非償却による営業利益の増減は、理論的には企業価値に直接的な影響を与えるものではありません。これは、理論的には企業が将来生み出すキャッシュ・フローにより企業価値は評価されますが、「のれん」の償却は現金支出を伴わない営業費用の計上であり、実際の事業活動から生じるキャッシュ・フローには影響しないためです。

それでもなお、「のれん」の償却による営業利益の圧迫が、M&A検討の障害や、M&Aを断念する理由となるのは、営業利益が企業の本業における収益力を示す重要な指標であり、実務においては理論を超えて企業価値評価に大きな影響を与えているということだと思います。

IFRSではこれまで、営業利益の明確な定義がなく、表示も義務付けされていなかったのですが、今後はその定義を明確化して、表示を義務付けすることを検討しています。このことも、営業利益という指標が、実務においては投資家にとって重要な情報であるということを示唆していると思われます。また、日本においては、IFRS適用企業の多くが、「営業利益」あるいはそれに類する項目を損益計算書に表示しています。

4.ベンチャーエコシステムの実現を目指すディ・ポップスグループが考える「のれん」とは

ディ・ポップスグループも、財務状況や経営状況をステークホルダーに説明する義務を果たすうえで、「のれん」の償却、非償却の双方にメリット、デメリットがあることを十分に理解したうえで、「のれん」の非償却、もしくは、その選択制に賛同いたします。ディ・ポップスグループは、ベンチャーエコシステムの実現、成長の戦略の1つとして、M&Aも積極的に行ってきましたが、やはり「のれん」の償却による営業利益の圧迫が、ディ・ポップスグループが実現している企業成長を含めた経営状況の実態を適切に説明する阻害要因になっていると感じているからです。

また、「のれん」を償却する場合には、決算期ごとに「のれん」の額は償却により減少していきますが、一方で営業利益が圧迫されることにより純資産額の積み上げは少額となります。一方で、「のれん」を非償却とする場合には、減損処理を行うような経営状況にさえならなければ、「のれん」は多額のままとなり総資産額も多額となりますが、営業利益は圧迫されないため純資産額の積み上げも早くなります。

財務状況を表す貸借対照表における資産の本質は、平易にいうと、「企業が現在持っている、将来の稼ぐ力のもとになるもの」であり、そして、純資産額は、株主からの出資を除くと、「企業が獲得した利益の蓄積」を表していると考えます。

ディ・ポップスグループにおいては、M&Aでグループ企業としてベンチャーエコシステムに参画してもらう際には、投資額よりも多く将来の稼ぎ、つまり投資回収としてのキャッシュ・フローをもたらすことに確信をもっています。それは、戦略の1つであるコングロマリット・プレミアムによるグループシナジーがあるからであり、そして、ベンチャーエコシステムという共存共栄関係のなかでの事業成長により、このキャッシュ・フローが年々増加していくことを目指しています。

そのため、「のれん」が多額となったとしても、それは、M&A投資による将来の稼ぐ力を適切に表し、そのM&Aの投資回収が純資産の積み上げとなることは、獲得した利益の蓄積を適切に表すと考えるため、財務状況のステークホルダーへの説明においても適切であると考えます。

最後に、ディ・ポップスグループでは、M&Aを行う際に優れたビジネスモデルに着目する場合もありますが、多くの場合には優れた経営戦略を着実に実行する経営者の能力、ノウハウにより重点をおいています。これはディ・ポップスグループが目指すベンチャーエコシステムが、自立支援を重視し、独立した経営者集団であることを目指していることと関連しています。

つまり、コングロマリットプレミアムなビジネス環境を提供し、グループシナジーのなかで更なる自社の成長を望む経営者のためのエコシステムであり、そのため、基本的にはグループジョイン後も継続して自社の経営、成長にリードしていただきたいと考えています。

このような経営者が創ってきた企業は、ディ・ポップスグループにジョインする段階で、研究開発費、人材育成費、マーケティング投資など、将来の収益拡大や競争優位性の構築を目指すための戦略的な投資により、非常に価値の高い人的資本、知識資本が構築されています。

資産の本質は、「企業が現在持っている、将来の稼ぐ力のもとになるもの」であり、画期的な技術を開発するための研究開発費や、優秀な人材を育成するための研修費も、将来の収益増加に貢献するはずであるのに、前述のように、これらの「自社で生み出された」無形資産は、原則として資産計上することが認められていません。このことは、特に無形資産が企業価値の大部分を占める現代の知識集約型社会において、企業の財務諸表がその企業の真の価値や投資の実態を十分に反映していないという課題を生んでいると考えます。

このような状況下で、M&Aによってグループ参画した企業の「のれん」を償却することは、ある種の二重費用計上のような側面を持つ可能性があると考えています。なぜならば、「のれん」の大部分は、グループ企業が過去に人的資本や知識資本に投じた費用、「将来の企業成長のための投資となる費用」であり、資産として計上されなかったものが、M&Aによってようやく「のれん」という形で資産計上されたものと考えられるからです。つまり、過去に一度費用として処理された投資が、「のれん」の償却で再度費用となりかねないという問題があります。

これまで述べてきたように、ベンチャーエコシステムの実現を目指すディ・ポップスグループにとって、「のれん」の大部分の本質は、人的資本、知識資本であり、コングロマリットプレミアムのコアとなる重要な資産であると考えています。そして、これがグループシナジーに拍車をかけ、エコシステム内により多くのキャッシュ・フローが創出され、それがまた将来のエコシステムの成長のために投資されていくという好循環を生み出すことでイノベーションを加速し、日本の未来に貢献したいと考えています。

東京証券取引所のグロース市場の見直しにより、M&Aは、成長戦略の重要な柱として、エグジット戦略の1つとして、その重要性はますます高まっていくと考えられます。「M&A」と関わりの深い「のれん」の会計処理について、これから行われるASBJの検討内容に注目していきたいと思います。

これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。

D-POPS GROUP 執行役員 公認会計士 米谷好弘

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ディ・ポップスグループは、「社会に変革をもたらす多数の成長ベンチャーを輩出する」というミッションを掲げ、「誠実・謙虚・感謝の心で、共に学び、共に成長する」をバリューとしています。 アドバイザーを務める杉原は、昨夏「ユニコーンTシャツを着て日本百名山100座を踏破する」という目標を掲げ、これまで全国の山々を登り続け、執筆時点で56座に登頂しました。本連載では、その挑戦の中で経験した成功や失敗、そこからの学びを、ベンチャー経営や組織運営になぞらえながら考察しています。 この挑戦は後半に入りましたが、昨年までは力不足で登れなかった山にも徐々に挑み始めています。それにつれて、諦めたくなるような厳しい山も増えてきました。ベンチャー企業で勤めていた時にも、何度も諦めたくなるような難しい局面は多々ありました。あそこで諦めていたら、その後の人生は今とは違うものになっただろうな、と思うと同時に、無謀な行動や慎重さを欠いた取り組みは命取りになるという事も経験してきました。 第五部では、ビジネスでも登山でも、「不撓不屈(ふとうふくつ)の強い心」と同時に、「慎重さや臆病な心」も併せ持たなければならない、ということについて考えてみます。  13. 「もう無理」と「あと一歩」は紙一重~不撓不屈の精神で困難に立ち向かえ~ まずい・・頭が熱い。吐き気がする。脚に力が入らない・・。 スマートウォッチの心拍数の数字は170/分を超えている。明らかに異常な数値だ。 8月初旬、山形県・朝日連峰の主峰、大朝日岳(おおあさひだけ)に挑戦した日のことでした。 山頂まであと1kmほどの急登を前にして、最後の水場の休憩ポイントで、力尽きてしまいました。その1時間程前には両足の太ももが痙攣を起こし、そしてこの場所で熱中症と思われる症状となって、ついに体が動かなくなってしまいました。 「体力的難易度が非常に高い上級者向けの行程」と言われるルートで挑戦した登山は、まさに苦行となりました。その日は全国的に気温が高く、早朝に出発した時点ですでに高温多湿な天候でした。登り始めて早々に滝のような汗をかき、アップダウンの激しい、険しい山道を延々と歩き続けました。 そして4時間後、冒頭の症状となってしまいました。 すれ違ったベテランの登山者からは、「山は逃げませんから」と、下山を勧められたりもしました。しかし、撤退を決める前に、まずは冷静に、回復のためにできるだけのことをしようと決めました。塩分補給のためみそ汁の素とおにぎりを水で喉に流し込み、湧き水で濡らしたタオルで頭を冷やしながら、岩場に横になって休むことにしました。 そして30分を過ぎた頃、体温も心拍数も下がり、だいぶ楽になりました。倒れた時は「もう無理だ」と弱気になりましたが、体調と共に気力が戻り、その考えは「あと一歩。あと少し、歩を進めてみよう」に変化しました。 もちろん、体調が回復しなければ撤退すべき場面です。不撓不屈とは、危険を無視して前進することではありません。その点については後ほど改めて触れます。 しかし、この時は休息によって体調が回復し、もう一度前に進める状態になりました。 その後、一歩一歩を積み重ね、ついに難度の高い大朝日岳の山頂に到達することができ、その時は、嬉しさと達成感、そして恐怖から解放された安堵から、男泣きしてしまいました。 (足が攣り、熱中症と思われる症状にも見舞われたが、休憩と回復を経て、登頂を果たした) あの時、重い足を持ち上げながら、何を考えていたのか。 それは、「これまでも仕事では数々の難局を乗り越えてきた。逃げ出したくなるような状況や、『もう無理だ』と諦めたくなるような状況。その度に、不撓不屈の強い心で乗り越えてきたじゃないか。あれらの苦労に比べたら、ここは何とかなる。ベンチャー魂の踏ん張り所だ!」ということでした。 PHS事業会社の立ち上げ期、徹夜続きの開業準備、そして開業直後にはアンテナからの電波が全停止した事故が発生し、担当する代理店から殺到するクレームへの対応に追われました。 Googleがまだ日本で市場シェア30%ほどだった頃には、当時日本最大の検索ポータルサイトからシェアを奪うべく、パソコンメーカーや主要ポータルサイトとの事業提携交渉に奔走しました。交渉条件を巡ってチキンレースのような状況となり、毎週のように日本から深夜、本社の役員会議に案件を上申し続けたこともありました。  あの時、途中で投げ出したり、苦しい状況から逃げたりしていたら、その後の充実した人生はなかったと思います。 読者の皆さん、特に大きなリスクを背負って挑戦している起業家の皆さんは、きっとこれまでに数々の難局に直面してきたことと思います。 それぞれの記憶の中に、「あの時、諦めなくて良かった」「あの難局を乗り越えたから今がある」と思える経験があるのではないでしょうか。 世の中には、ベンチャー企業、一般的に言うスタートアップが無数にあります。その多くが、その時代を反映した成長領域や事業モデルで製品やサービスを市場に送り出そうとするため、必然的に類似した企業も数多く生まれます。しかし、その中で成長を続け、生き残るスタートアップはごく僅かです。成功したベンチャーと、途中で消えていったベンチャーを分けたものは何なのか? 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不採算事業から撤退できず赤字を拡大してしまったり、潜在的な問題を抱えたまま新規事業のスタートや新商品のリリースをしてしまったり、組織の価値観に合わない人材を採用し、後に大きな軋轢を生んでしまったりと、取り返しのつかない経営判断につながることがあります。 このようなことにならないよう、重要な決断をする際には、自分たちがサンクコストの罠にはまっていないかどうかを、経営者は特に意識し、冷静に判断をすることが求められます。 諦めてはいけない時に諦めないこと。そして、諦めるべき時には、それまで費やした時間やお金、努力に囚われず、潔く撤退すること。その両方ができてこそ、本当の意味で「不撓不屈の精神と、慎重な判断力を併せ持つ」ことになるのだと思います。 ———————— 以上、【百名山から学ぶベンチャー経営論】の第五部でした。 この挑戦も一年が過ぎました。タイトルは「百名山から学ぶ」としていますが、実は裏を返せば、私の想いとしては、「これまでのベンチャー経営の経験を登山にも適用して取り組めば、登山の素人でも短期間で百名山を踏破できる、ということを証明してみよう」というものでした。これまでのところ、大いにその経験が活かされていると思います。 次回は、「失敗から学び、成長を続ける」 をテーマに、場数を踏み、鍛錬を積み、一つ一つ学びながら、自らの成長を続けることについて考えてみたいと思います。 なお、シリーズのこれまでの記事をまだお読みでない方は、こちら↓をぜひお読みください。 第一部「頂を決め、準備する」第二部「計画は綿密に、実行は地道に」第三部「戦略・戦術・戦闘」第四部「アンテナを張り、センサーを研ぎ澄ませ」 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
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2026.09.17
【The Salons Japan】美容師の新しいカタチの独立開業支援サービス『THE SALONS』の心斎橋店・梅田茶屋町店を訪問!
2026年7月30日に資本業務提携企業のThe Salons Japan株式会社が運営する完全個室美容モール『THE SALONS』の心斎橋店と梅田茶屋町店にお邪魔してきました! 『THE SALONS』とは? 『THE SALONS』は、美容師やビューティシャンが月額賃料のみで自分だけの完全個室サロンをオープンできる、全く新しいカタチの独立開業支援サービス(モール型サロン)です。大きな特徴として、以下のポイントが挙げられます。 ・   低リスクで“自分のサロン”を持てる:初期費用0円から開業可能であり、資金に縛られず自身のタイミングで独立の夢を叶えることができます。 ・   あなたらしいサロンを叶える:内装から働き方まで全て自由となっており、美容室をはじめ、エステやネイルなど幅広い業種に対応しています。 ・   充実の設備と独立を支えるサポート体制:各区画にはフルフラットバックシャンプー台やシンク、照明、Wi-Fiが完備されており、光熱費や月300枚までのレンタルタオルも料金に含まれています。また、融資相談から将来の路面店出店までトータルで支援する体制が整っています。 一般的な半個室のシェアサロン(利用者契約)とは異なり、完全個室の独立店舗として「店舗出店契約」を結ぶため、1人のサロンオーナーとしての社会的信用が得られるのも大きな魅力となっています。 【THE SALONS 心斎橋店】 THE SALONS心斎橋店は、四ツ橋駅から徒歩1分、心斎橋駅から徒歩4分ととても通いやすい場所にあります。心斎橋駅からはクリスタ長堀の地下街を通って、北12番出口を出るとすぐの場所にあります。地下街にはいろいろなお店が並んでいるので、予約の時間まで少し余裕があるときでも楽しく過ごせそうだなと思いました! 訪れたのは平日だったこともあり、お休みの店舗も多く見られましたが、7月末時点で満室となっていました! 完全個室の独立型サロンで、美容師さんお一人で営業されている店舗も多いからか、お子様連れのお客様の姿もちらほら見かけました。気心の知れた美容師さんのもとであれば、安心してお子さんを連れて行けますよね。これもTHE SALONSならではの魅力だなと感じました。 【THE SALONS 梅田茶屋町店】 THE SALONS梅田茶屋町店は、大阪梅田駅から徒歩2分ととても通いやすい場所にあります! カラーやパーマは施術時間が長くなりがちで、待っている間についお腹が空いてしまうこともありますよね。そんなときに同じビル内にバーガーキングがあるのは心強いポイント。施術帰りはもちろん、待ち時間にサッと小腹を満たせるのも嬉しいところです。 梅田茶屋町店は、個室の広さや窓の角度などが部屋ごとに違っていて、同じ店舗の中でもサロンごとの雰囲気がまったく異なっているのが印象的でした。個室の形がそれぞれ違うからこそ、光の入り方や開放感など、自分にとってぴったりの空間を探すことができます! THE SALONSの各店舗には、あらかじめシンクとシャンプー台が備え付けられています。それ以外の家具などは自分の好みで自由に選べるので、水道まわりの心配をせずに、自分らしい店舗づくりが楽しめるのは嬉しいポイントだなと思いました。 今回心斎橋店と梅田茶屋町店を紹介してくださった、The Salons Japanの秋山さんには、店舗について詳しく教えて頂きました。ありがとうございました! 同社の取締役も務める、ディ・ポップスグループのアドバイザーの杉原と共に写真を撮らせていただきました。 ディ・ポップスグループは、「リアルビジネス × テクノロジー × グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、100年後も社会から必要とされ続けるベンチャーエコシステムの実現を目指しています。 The Salons Japanもベンチャーエコシステムの仲間として精一杯応援してまいります。 ディ・ポップスグループ ブランド戦略室 川口
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2026.09.09
【百名山から学ぶベンチャー経営論】 第四部「アンテナを張り、センサーを研ぎ澄ませ」
ディ・ポップスグループは、「社会に変革をもたらす多数の成長ベンチャー(ユニコーン企業)を輩出する」というミッションを掲げ、「誠実・謙虚・感謝の心で、共に学び、共に成長する」をバリューとしています。 アドバイザーを務める杉原は、昨夏「ユニコーンTシャツを着て日本百名山100座を踏破する」という目標を掲げて以来、全国の山々を登り続け、執筆時点で53座まで登りました。本連載では、その挑戦の中で経験した成功や失敗、判断や学びを、ベンチャー経営や組織運営になぞらえながら考察しています。 山では、計画や装備が万全でも事故は起こります。その多くは、変化の兆候を見逃し、判断が遅れた時に起こります。第四部では、ベンチャー企業経営にも通じる、外部と内部の変化を察知し、適切な判断につなげることの重要性について考えてみます。 10. アンテナを張り巡らせよ ~外部環境の変化に敏感になれ~ バスケットボールや卓球などの屋内スポーツと登山の決定的な違いは、天候の影響を大きく受けること、そして自然が相手だということです。 登山の計画段階で、台風はもちろんのこと、暴風や雷の予報があれば登山を延期すべきことは明白です。しかし、予報段階をクリアして、いざ実行段階に入ってからも、山の天候は変わりやすく油断はできません。また、森深い山では最近特に話題の熊のみならず、猪や蜂やヒルなどに遭遇することもあります。岩山では突然の落石に見舞われることもあります。 それらに適切に対処することはもちろんですが、できるだけ事前に察知できることが理想です。 肌で感じる気温の急激な変化、ザワザワという笹の音、怪しい木の動き、小石が上から転がってくる音…。これらはその後の大きな危機が襲いかかる前兆かもしれません。 私自身も、晴れ予報の日の登山だったにも関わらず、突如としてガスが湧いて視界が真っ白になったために、道を誤り30分ほど道なき道を歩いてしまったことがあります。あの時は、視界が悪くなった段階で早めにGPSで現在地を確認すべきだったと反省しました。 また、笹の濃い山道を歩いている時、突然、笹がざわざわと揺れました。「ついに熊か」と身構え、一度立ち止まり、万が一熊だった場合にどう対処するかを頭の中で整理しました。結局、茂みから現れたのは大きな鹿でしたが、あの時も外部の小さな変化を見逃さないことの大切さを実感しました。 (左:ガスで視界不良となった岩道、中:後を付けられた猿、右:突如現れた鹿) このように、登山中は常に外部にアンテナを張り巡らせ続けなければならないのです。このアンテナの感度を高く保ち、そこで捉えた変化を素直に受け止め、適切に判断できるかどうか。それが、登山中の事故を未然に防げるかどうかを左右するのです。 このことは、ベンチャー経営にも例えられます。屋内スポーツをビジネススクールで学ぶ座学に例えるとすると、外部環境の影響を受ける屋外スポーツは実際の事業運営に、そして自然環境に左右される登山はベンチャー企業の経営に、より近いものだと思います。 企業が受ける外部環境、すなわち市況の変化、新技術の登場、法律の改正などからの影響は計り知れません。あらゆる企業は、外部環境の変化の中で事業を営んでいると言っても過言ではありません。顧客の反応が少し鈍くなった、利用率が減少に転じた、営業現場から同じ質問が増えてきた。こうした小さな変化は、大きな市場変化よりも早く現れることがあります。大企業でも影響を受けるくらいですので、ましてやベンチャー企業にとっては、存続が危ぶまれるほどの激しい変化もあるのです。最近では、AIエージェントの急速な普及、グローバルプラットフォーマーの勢力拡大、少子化、金利上昇による投資家の投資方針の変化などが挙げられます。 ベンチャーの経営チームは、これらの変化を敏感に察知すると共に、先手先手で戦略や計画を練り直し、適切に対処する。場合によっては、ピンチをチャンスに変えるほどの大胆な一手を打つ。その覚悟と行動力が求められるのです。 危機は、突然現れるように見えて、その多くは小さなサインを出しています。そのサインに気付けるかどうかが、登山でも経営でも、生き残る者とそうでない者を分けるのです。 11. センサーを研ぎ澄ませよ ~内部環境の変化に気が付け~ 外部環境の変化に目を向けることと同じくらい重要なのが、内部環境の変化に気付くことです。 登山における内部環境とは、ソロ登山であれば自分自身の、グループで登る場合には自分だけでなく、メンバー一人ひとりの調子やバイオデータの変化を指します。登山中は、自分の体が発するさまざまな情報を受け取るセンサーを持つ必要があります。 バイオデータの取得に関しては、最近、登山用アプリやスマートウォッチなどで、歩行ペースを確認したり、歩きながら心拍数を確認したり、休憩中に血中酸素濃度を測定したりできるようになりました。また、そういったデバイスでは測れない、膝や足腰の関節の調子、筋肉の疲労度、発汗量などの変化にも敏感である必要があります。 デジタル機器では測れない変化こそ、自分自身の感覚で捉えなければなりません。 私の場合、登山を始めたばかりで膝が今よりも弱かった頃は、山を登っている間に、「この調子で登り続けたら、下山できなくなる」と感じた日は、途中で勇気を持って下山に切り替えたことがあります。あのまま登り続けて、下山できなくなるよりも、はるかに正しい判断だったと思います。 (左:通常の登山中、中:異常な心拍数、右:2700m下での血中酸素濃度) 一方、ベンチャー経営においては、社長の体調を整えることはもちろん重要ですが、会社の内部環境の微妙な変化を察知することも重要です。 何気ない会話や挨拶が減った、オフィス内の整理整頓が乱れ始めた、ボトムアップで情報が上がってこなくなった、無断欠勤者や理由が不明確な退職者が増えてきた…。これらはいずれも会社が傾く前の予兆です。 経営者は、ビジネスのセンスだけでなく、こういった内部環境の変化に敏感に気付けるセンサーも持ち合わせていなければなりません。 そのセンサーが鈍いと、社長自身はエネルギーにあふれ、やる気に満ち、前を向いて邁進しているにもかかわらず、ふと立ち止まると、メンバーは誰一人ついてきていなかったとか、皆疲弊してパフォーマンスを発揮できなくなっていた、ということが起きがちです。 リーダーは前を見るだけでなく、社内全体を見渡し、小さな異変を見逃さない余裕を持たなければなりません。組織は突然崩れるのではなく、小さなほころびが積み重なった結果として崩れていくからです。 12. 重要な局面では特に冷静になれ ~状況を見極め、最善の一手を打て~ さて、張り巡らせたアンテナから情報を受け取り、研ぎ澄ませたセンサーが危険な信号を捉えたら、その時、どう対処すればよいのでしょうか。 登山においても経営においても、特に悪い情報、危険な信号を検知した時ほど、冷静になることが大事です。登山では、濃霧の中での道間違い、突然の土砂降り、岩場での捻挫や打撲、疲労による筋肉の痙攣など、さまざまな外部環境・内部環境の変化から生じる危機に直面します。 ベンチャー経営においても、AIの普及による顧客ニーズの劇的な変化、競合企業同士の合併発表、関連法規の変更、経営幹部の突然の退職、顧客情報の漏洩事故など、同じく様々な危険信号を受信します。 そんな時こそ、決してパニックに陥らず、冷静さを保ち、慎重かつ適切に判断し、その判断に基づいて迅速に行動することが求められます。パニックになり右往左往すれば、間違った方向にさらに進んだり、無駄な体力を消耗したり、怪我を悪化させたりすることにもなりかねません。 事が起きたら、まず一旦落ち着いて情報を集め、状況を把握し、分析する。次に、最悪の事態を想定しながら、それでも生き残る方法、登山であれば無事に下山する方法を考える。 そして、取るべき行動を決めたら、迅速に実行する。熟考は必要です。しかし、決めた後まで迷い続けていては、対応が遅れます。 私自身も、月山で雪渓を下山中に滑落したことがあります。その瞬間は頭が真っ白になりました。しかし、すぐに冷静さを取り戻し、這って安定した場所まで移動し、靴下を脱いで患部をチェックしました。パニックになって慌てて歩き出すのではなく、まず体の状態を確認し、山頂を目指すべきではないと冷静に判断し、しっかりと休みを取ってから下山を開始しました。 また久住山では、登頂に成功した後の下山中ということで疲労が溜まっていたとに加え、ガスによる視界不良、そして晴れていても間違えやすいという藪道が重なって、数度の道間違いを起こしました。いずれも立ち止まって現在位置を確認し、間違えたポイントまで引き返す、という鉄則を守ったことで事なきを得ました。 いずれも、焦って無理な行動を取っていたら、状態をさらに悪化させていたかもしれません。 (二度も道に迷った久住山の藪の道) これらは登山でもベンチャー経営でも同じです。重要な岐路を迎えた時、危険を察知した時ほど、冷静に対処し、最善のアクションを考え、行動に移すことが求められるのです。 日本百名山には様々なタイプの山があり、それぞれに様々な危険が潜んでいます。そしてその自然環境は季節により、日により変化するし、自分の体調も日々変わります。ベンチャー経営の現場においても、市場も、競合も、顧客も、そして社内のメンバーも日々変化しています。 アンテナを張り巡らせる。センサーを研ぎ澄ます。危険を察知した時ほど、慌てず冷静に状況を見極める。熟考した上で取るべき行動を決めたら、迅速に最善の一手を打つ。 これらの習慣が、ベンチャー企業が生き残り、飛躍的な成長を遂げるための土台となるのです。 ———————— 以上、【百名山から学ぶベンチャー経営】の第四部でした。 この挑戦も一年が過ぎました。当初は恐る恐る始めた本格的な登山ですが、今や全ての行程や景色を楽しめる余裕が出てきました。と同時に、挑戦する山も徐々に険しくなり、怪我や事故のリスクが高まってきました。 アンテナを張り、センサーを研ぎ澄ませて細心の注意を払いながら、諦めない心で、一座一座挑戦しながら、この連載を続けていきたいと思います。 次回は「不撓不屈と慎重さの両立」 をテーマに、「もう無理」と「あと一歩」が紙一重であること、大胆さと慎重さの両立、恐怖心を乗り越えることなどについて考えてみたいと思います。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
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