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【グループ会社インタビュー】株式会社アイデアランプ 宮原 秀文 社長 ~前編~

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2025.01.22

D-POPS GROUPでは、現在約23社のグループ会社が仲間となっています。
今回は、2023年12月にグループ入りした株式会社アイデアランプの宮原 秀文 社長へ、インタビューしました。
(こちらのインタビューは、2024年12月に実施しました。)

◆設立経緯

-杉原-
今回は、アイデアランプの宮原社長にインタビューさせていただきます。宜しくお願いします。
まず先日のグループ総会では、特別賞を受賞されたということで、おめでとうございます!

-宮原-
ありがとうございます!

-杉原-
業績はもちろんですが、ディ・ポップスグループやその他グループ会社のホームページリニューアル、グループにジョインして1年以内に様々なコラボをしているなど、いろいろな活動が評価されたのだと思います。

それでは早速ですが、アイデアランプ社を創業した経緯を教えていただけますか?

-宮原-
アイデアランプは、2008年に創業しました。2006年頃から個人事業主として活動をしていて、最初は実は売れないミュージシャンをしていました。作曲業をやってまして、アイドルやラジオのジングルの楽曲制作などをやっていました。その当時は1日3・4時間しか寝ない生活を3年ぐらいやっていたらうつ病気味になってしまって…。

これはまずいなと思い、それでも音楽の仕事をやっていこう!としたんですけど、やっぱり社会経験もそんなにないので、ことごとく仕事がなくなっていき、ついに月収3万円になってしまったんです。これはもう食べていけないと思って、なにか初めようと思って始めたのが、企画屋さんだったんです。

じゃあ、企画をなんか立てて、 提案して、案件を取るというところから、はじめないといけないと。「企画屋」として漠然としていたので、イベントの企画や店舗の内装、看板・パンフレット・チラシ・ホームページ制作などいろいろあったんです。そしたら、1番可能性を感じることができたのがホームページ制作だったんです。

2008年はちょうどリーマンショックで、yahooとかはもうありつつもガラケーの時代だったんです。ちょっとずつIT系がベンチャーとして出始めた頃だったんですけど、その頃になぜか始めちゃったんです。とにかく案件を取るためにWEBディレクションの本を1冊だけ読んで、あとはドアノックをひたすらやる、みたいな。(笑)その本をボロボロになるまで3周読んで、それを全部頭に叩き込んで営業活動をしていました。

お恥ずかしい話なんですが、お客さんの方が知識があるんですよね。「SEO対策どうするんだ」とか聞かれても、 わかんないんですよ。でもとりあえず「頑張ります!」って、やっていくうちに身につけていったんです。

-杉原-
めちゃくちゃベンチャーですね!

-宮原-
そうですね、割と最近のITで起業する方たちって 大手のIT系の会社に就職してそのあとで独立されて起業される方が多いと思うんですけど、全然セオリーがない状態でした。
なので、当時IT系の友人知人が全然いなくて、むしろ土建屋さんとか、ガーデニングの社長さんとか、飲食店さんとか、そういう系ばっかりの知り合いが多くいました。

◆ディ・ポップスグループへジョインした経緯

-杉原-
地道に一歩ずつ始めてこられたんですね。そこから約16年やってこられて、社員も増えて売上も増えてきた中で、約1年前に、D-POPS GROUPへジョインしましたよね。その経緯、その決断をされた理由などを教えていただけますか?

-宮原-
1番大きかったのは、独学での経営の限界を感じたということです。コロナの前ぐらいに、ちょうど弊社が官公庁系のお仕事をさせてもらうことが多くありました。その時期の案件は、ちょうど3月末に納品するものが多く、売上も伸ばす予定でいたんです。そんな折、2月ぐらいにコロナが起きたんです。 一気にほとんどの案件がストップしてしまい、数千万単位のプロジェクトがすべてキャンセルになって売り上げも一気に下がってしまったんです。

そこから4月・5月ってもう何もないので、暇だからどうしようかなという時に事業をピボットしようと思ったんです。
それまでは、広告代理店さんとか、メディア関係とかの、デジタルキャンペーンやプロモーションとかのお仕事が多かったんです。いかに面白くするかみたいな。でもそれって結構売上的には浮き沈みが激しすぎるんですよね。なので、もともとやりたかったモノづくりとか、そこに根ざしたことっていうことで考え始めたのが、システムを使うとか、もっとテクノロジーを使ったサービスやソリューションを作ろうとおもって今の会社の形の基盤が生まれました。

コロナ禍にそういった経験を得たことで、もっと経営を学びたい、本質的な事業に向きあいたい、という欲求が出てきました。 そんな中で、どうしても自分の限界とか我流の限界を感じて、これからの時代を生き抜くこととか、残された人生を考えた時に、もっと面白いこと、もっと本質的なこと、もっと大きなことやりたいと思ったんです。それができそうな人たちと一緒になれたらなと思いがあって、いろんな方とお会いさせていただいた中で、後藤代表との出会いが一番印象的だったんです。

たくさんの会社の代表の方とお会いしたのですが、最初は皆さん、数字の話と規模の話、あと事業計画の話などから入るんですけど、後藤代表だけは、マインドの話やフィロソフィーの話など、そこから話が始まったんです。10人いる中で、そのような話をしてくださったのは1人だけ。それがとても強く印象に残り惹かれていったんです。だから、「あ、この会社と一緒にやりたい!」「経営を学ばせて欲しい!」と強く思いました。

◆事業概要

-杉原-
そうだったんですね。そんなD-POPS GROUPには様々な会社がありますが、アイデアランプ社の事業について教えて下さい。

-宮原-
そうですね、「デジタルでのモノづくり」というのがベースになっています。そしてその中でも、自己満足で作るのではなく、お客様が求めるものを作って、サービスやソリューションを提供して、お客様の価値を高めていくということを大切にしております。

後藤代表がよく言う、陸・海・空・宇宙戦略の中で言うと、アイデアランプって武器製造工場というか、 グループのいろいろな会社が戦略を進める中で必要な武器を作って、新たな事業を一緒に創造していく、そういう側面があるのかなと思っています。

-杉原-
この1年間で、グループ内だけでもデジタルの企画やホームページ制作などをお願いしましたが、事業としてカテゴリー分けをされているなどございますか?

-宮原-
正直、デジタル領域は割と幅広くやらせていただいています。
ですので、デジタル領域での多様性を膨らませて事業を絞っていなかったところはメリットでもあるんですけれど、その分一つに特化できていないところは、経営課題でもあります。

-杉原-
要は、「これしかできない」じゃなくて、あくまでも顧客の課題をヒアリングして、それをデジタルで解決しましょうという提案ができるということですね。

-宮原-
そうですね。やっぱりITは特に流行の移り変わりが早いじゃないですか。例えば、 ガラケーからスマホになって、次はスマホのアプリに注目が集まりアプリの業者がいっぱい出来上がるとか。 その次はSNSが主流になりSNSの業者がいっぱい出来て、次はゲーム。というように、かなり移り変わりのスピードが早いので、毎回これを追いかけるっていうよりかは、その時々に、お客様の課題解決に必要な提案を行うという感じです。

◆コロナ禍での会社の状況について

-杉原-
それは素晴らしいですね。 2020年から始まったコロナ禍は、経営にインパクトはありましたか?

-宮原-
わかりやすいところとして、先ほど申し上げたことでもあるのですが、当時、広告代理店さんから頂戴するお仕事って、どうしてもクリエイティブ寄りなものが多かったんです。その中で、システム的な対応ができると重宝される。一方で、SIerさんなど大手のシステム会社さんはシステムに強くて、クリエイティブがあまり得意ではない。だから、UI・UXの領域は結構重宝される。

ですので、アイデアランプ社としては、その両方の側面を持つ=クリエイティブとシステムの両面を持つことで、コロナ禍を生き抜いたというところがありました。

-杉原-
大手のシステム会社さんたちは、コロナ中でもビジネスは動いていらっしゃったんですね。

-宮原-
そうですね。大きな基幹システムの開発などをやられてる会社さんって、3年計画・5年計画で動かれているので、コロナ禍でも長期案件が動いている印象でした。

◆市場について

-杉原-
コロナが明けた今の市場観を教えてください。世の中全体的に上向いてるというか、これはまた風が戻ったのか、もうずっと変わらずなのか。コロナ明けの追い風はありますか。

-宮原-
ちょっと戻っていますけど、ITにおいては、2025年はまた少しだけ市場が沈むような気がしています。今以上に、準委任やSESの領域が結構増えてくるかなと思っています。なので、ちょっと仕事の取り方を間違えると大変なことになるかなっていうのと同時に、質の高いサービスができることでチャンスもあるのかなって考えています。

◆強みについて

-杉原-
なるほど。それではアイデアランプの強みについて教えてください。

-宮原-
10年以上、ワンストップでデジタルなものづくりを続けてきた歴史があることは1つの強みであると考えています。 エンタメ系から金融系まで、業種・業界問わず幅広いデジタルソリューションを構築してきて、現在では、1000プロジェクト以上の実績と経験があります。その実績とノウハウがもう1つの強みかなと感じています。
あとは、システムとクリエイティブを、いい意味で両方が混ぜこぜになってワンストップで質の高いWEBサービスを創れる会社っていうのがこの規模感であまり多くないと思いますので、その点もやっぱり強みかなと思います。

また、グローバルのメンバーが結構いるので、日本語、英語、フランス語、アラビア語等、言語に強く、これまでもグローバル案件の成功事例が多々あることも特異な点かと思っています。

-杉原-
すごくグロ-バルですね!それは偶然なんですか?それとも意図的にやってこられたんですか?

-宮原-
実は、創業時2、3人から始まったような小さなスタートアップ会社に誰が入社するんだ?という課題を解決するところから、実はグローバル化が始まっているんです。当時、10年以上前ですが、優秀な日本人の方はなかなか採用できない状況でして、それであれば、優秀な外国人、優秀なグローバル人を採用しようってなったのがきっかけでした。

-杉原-
現在、社員は何名なんですか?

-宮原-
今、大体日本国内で約50人ぐらいです。50人中2、3割はグローバルな方々です。

-杉原-
宮原社長って、仕事の仕方がだれよりもきちっとされている印象があって理論型の方なのかなと勝手に思っていたんですが、しっかりお話してみると意外と人間味あふれる方だなということを感じました。宮原社長ご自身は、自分のことをどんなリーダーだなという風に感じていらっしゃいますか?

-宮原-
どうなんですかね...でも、あんまり表に出るのは得意じゃないから、みんなを支えていこうというリーダーかもしれないですね。あとは楽しくできればなと考えているぐらいですかね。

~後編に続く~

☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太

 

【株式会社アイデアランプ】
代表者:代表取締役 宮原 秀文
所在地:東京都渋谷区神宮前6-18-13 神宮前浅間ビル4F
設 立:2008年8月1日
株式会社アイデアランプ HP:https://idealump.com/
WEBサイト無料診断:https://idealump.com/webshindan/
定額制ウェブ運用サービス「ウェブ担さん」:https://web-tantou.com/

 

次回後編のインタビューでは、
・定額制WEB運用サービス「ウェブ担さん」について
・社風、文化について
・ディ・ポップスグループの印象
・「ベンチャーエコシステムの実現」に向けて
・10年後の理想の姿
などについてお伺いしています。

後編もぜひご覧ください!

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経営者の皆さんは意思が強く自由な方が多いので、最後まで飽きさせないコンテンツの内容や登壇の順番、緻密な時間配分など、細部まで徹底的にこだわったんです。 ただ、いざ蓋を開けてみたら、そこには後藤社長が心から信頼して招待した方々の姿がありました。登壇者も参加者も、驚くほど「誠実・謙虚・感謝」を重んじる方ばかりで、全員が自分事として本気で参加してくださった。苦労するだろうと覚悟して準備したことが、拍子抜けするほどスムーズに進んだことが、私の中では一番の驚きであり、深い感銘を受けたポイントでした。 ◆イベントの出演者について -杉原- ありがとうございます。今回のセミナーは、登壇者のラインナップも非常に豪華でしたね(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。まずは、千本さんや藤崎さんといった日本を代表する方々に講演を依頼された経緯と、参加者の皆さんの反応について教えてください。 -後藤- まず、千本さんと藤崎さんのご講演が聴けるというだけで、「何としても参加したい」と感じた方は相当多かったのではないでしょうか。 お二人の話がどれほどプライスレスな価値を持っているか。それは弊社のメンバーであればよく理解していますが、多くの起業家にとっても同様です。千本さんは、挑戦を続ける起業家なら誰もが一度は直接お話を伺いたいと願う存在ですし、一方で藤崎さんのような、元駐米大使という立場で外交や国際情勢の最前線にいらした方のお話は、経営者といえども普段はなかなか触れる機会がありません。 しかし現在、世界情勢は激動の中にあります。アメリカや中国といった大国の動向がビジネスに直結する今、経営者の皆さんは非常に高いアンテナを張っています。だからこそ、藤崎さんの視点を知りたいというニーズは確実にありました。このお二人の登壇が決まった時点で、イベント成功に向けた「盤石な土台」は固まったと確信していました。 ですので、企画の真っ先に、まずはお二人にお願いすることを決めました。千本さんにご相談したところ、「素晴らしい試みだ。ぜひ私も参加するし、全面的に協力しよう」と即諾していただいたんです。当日のプレゼンテーションからも、お二人が本気で起業家たちにメッセージを届けようとしてくださっているのがひしひしと感じられましたね。 -杉原- 今回はさらに、ファインドスターグループの内藤社長や、NTTドコモビジネスの本髙様にもご講演いただきました。お二人に依頼される際、どのようなやり取りがあったのでしょうか。 -後藤- 内藤さんは弊社の社外取締役を務めていただいていますし、本髙さんも親友のような間柄ですので、お二人とも快く引き受けてくださいました。ただ、非常に深い関係性だからこそ、あえてこちらからも高いハードルをお願いしました。 相手は感度の鋭い起業家集団です。例えば内藤さんであれば、これまで数多くの講演や勉強会に登壇されていますが、「今までどこにも話したことがないような、一歩踏み込んだ内容をプレゼンしてほしい」とオーダーしました。資料も事前に提出していただき、こちらの意図を反映していただくようお願いしたのですが、私にとって内藤社長は兄のような存在の深い間柄だからこそ、そこまでの依頼ができ、それを引き受けて頂けたのだと思っています。 参加者の皆さんが満足し、納得するためには、全体の設計が極めて重要です。すべてのピースをフルスペックで揃え、内容に重複が一切ないよう、パズルを埋めるように構成を練り上げました。「今の起業家が求めているピースは何か」を徹底的に考え、それを埋めにいく感覚です。 例えば、数百億円規模の売上を築き上げた内藤さんがお話しされる横で、同じ規模感の社長が同じような話をしても重なってしまいます。だからこそ、大企業の視点というピースがどうしても必要でした。その役割を担っていただくには、人間的にも心から尊敬している本髙さんが最適だと考えたのです。 -杉原- プログラムの構成ひとつとっても、そこまで綿密に計算されていたのですね。 -後藤- そこはもう、めちゃくちゃ考えましたね。若手起業家による魂の揺さぶられるようなピッチや、書道家の岡西佑奈さんによるパフォーマンスもそうです。岡西さんのパフォーマンスは、当初はプログラムの最後に持ってくる予定でしたが、チームで議論を重ねた結果、あえて冒頭に持ってくることにしました。 最初にあの圧巻のパフォーマンスを観ていただくことで、会場の空気を一気に引き締め、参加者の意識を一点に集中させることができました。普段のイベントでは少しやんちゃな振る舞いをする社長さんも、この日ばかりは背筋を正して聞き入っていましたね。 岡西さんは華があるだけでなく、人間性も素晴らしく、彼女から放たれる気が会場を良いエネルギーで満たしてくれたのだと感じています。ちなみに、パフォーマンスで書き上げていただいた2枚のパネルは、1枚をヒカリエに展示し、もう1枚を抽選でプレゼントしたのですが、イベント終了後に「あのパネル、売ってもらえませんか?」と問い合わせがあったほど好評でした(笑)。 ◆準備過程の裏話 -杉原- 確かに、あのパフォーマンスは素晴らしかったですね。制作物の手配や、書道家さんとの連携は川口さんが担当されたと伺いました。パフォーマンスを実現させるにあたって、準備段階で工夫されたことはありますか? -川口- 後藤社長から「イベントで書道パフォーマンスをやりたい」というお話をいただいたとき、実は私が当初イメージしていたスケールと、社長が描いていた理想の大きさが、あまりにもかけ離れていたんです(笑)。 私は「1メートルくらいの高さかな」と予想していたのですが、いざ相談してみると、社長室に飾ってある大きなユニコーンパネルを指して「あれの倍、2メートルくらいの高さにしたい」と仰ったんです。「本当にその大きさで作るんですか・・・?」と何度か確認しながら、実際にメジャーでサイズを測り、最終的に「やはり2メートルの迫力が必要だ」という結論に至りました。 ただ、いざ発注しようとすると、それほどの特大サイズを制作できる業者さんがなかなか見つかりませんでした。見つかっても「紙を2枚繋ぎ合わせるしかない」「強度が保てるかわからない」という回答がほとんどでした。 そこで、弊社のオフィス内装を手掛けてくださったベストサポートシステムズさんに相談したんです。社内のユニコーンパネルをすべて制作してくださった実績がありましたので。内装業者さんにパネル制作だけの依頼ができるか不安でしたが、快く引き受けてくださいました。サイズはもちろん、ユニコーンの顔の位置といった細かなデザインの微調整まで、何度も何度もやり取りを重ねて完成させてくださったんです。彼らの真摯な協力がなければ、あのパフォーマンスは実現しませんでした。本当に感謝しています。 結果的にあのパネルは大好評で、参加された社長様から「自社のイベントでも使いたいから業者さんを紹介してほしい」というお声をいただいたり、書道家の岡西さんからも「とても書きやすい材質だったので詳しく知りたい」と問い合わせをいただいたりしたほどでした。 -杉原- これほど盛りだくさんな内容のセミナーですから、当日の進行や準備にも相当なご苦労があったかと思います。進行担当の松谷さんは、当日の朝3時に起きて進行台本を完成させたと伺いました。進行を司る上で、特にこだわったポイントを教えてください。 -松谷- 後藤社長には「起業家の未来が変わる1日にする」という明確なビジョンがありました。私の役割は、その想いをいかに具体的な形に落とし込むかだ。そう考えていました。 イベント運営において最も避けるべきは、進行が滞ることで参加者の集中力を削いでしまうことです。参加者の皆さんに余計なストレスを感じさせず、コンテンツだけに没入していただくにはどうすればいいか。そこを一番に考えました。 イベントの大きな流れは後藤社長が作り込まれていたので、私は、懇親会会場へ移動する際の誘導ルートやスタッフの配置、さらには飲食テーブルのレイアウトといった細部に至るまで徹底的にこだわりました。それらをいかに正確にスタッフ全員へ共有し、動いてもらうかという点に心血を注ぎましたね。 実は学生時代にも1,000人規模のプレゼンイベントを運営した経験があるのですが、当時は若さゆえに2日間一睡もせずに準備をしていました。さすがに社会人になるとそうもいかず、前日は深夜1時から3時まで2時間ほど仮眠をとってから最後の仕上げに取り掛かりました(笑)。 司会を務めていただいたトークナビの樋田さんには、前々日に台本のたたき台をお送りし、最終版をお渡ししたのは当日の朝でした。そんなタイトなスケジュールにもかかわらず、樋田さんは当日の変更や修正にも非常に柔軟に対応してくださり、抜群の安定感で進行を支えてくださいました。本当に感謝しかありません。 -杉原- 確かに、これだけの規模のイベントにありがちなミスやトラブルが、当日は一切見受けられませんでしたね。 -松谷- ミスがなかったわけではないですが。(笑)実は事前の全体リハーサルも行えていなかったので、個人的には「奇跡的だった」と感じています。 スライド投影の最終確認なども当日の朝に行いましたが、会場スタッフの皆様の多大なるご協力のおかげで乗り切ることができました。会場の支配人の方も様子を見に来てくださり、途中で「本当に素晴らしい会ですね」とお褒めの言葉をいただいたことも、大きな励みになりましたね。 ~後編に続く~ ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 次回後編のインタビューでは、 ・懇親会について ・運営メンバーについて ・後藤社長と準備を進める中で感じたこと ・「ベンチャーエコシステムの実現」について などについてお伺いしています。 後編もぜひご覧ください!  
  • INTERVIEW
2026.02.17
渋谷を起点に、世界と日本をつなぐエコシステムを実現する!シブヤスタートアップス株式会社 会長 渡部志保さん【後編】
今回は、ベンチャーエコシステムサミット2025にご登壇いただいた、シブヤスタートアップス株式会社 会長の渡部さんにインタビューさせて頂きました。 (このインタビューは2025年11月に実施いたしました。) 前編の記事は、こちらからご確認ください。 ◆スタートアップ支援を選んだ理由 -杉原- さて、ここからは少し時計の針を戻してお話を伺いたいと思います。モルガン・スタンレーでのアナリストからキャリアをスタートされ、Google、さらにはメルカリやELSA Speakといった最前線のスタートアップで華々しい経歴を積んでこられました。そんな渡部さんが、なぜ今スタートアップ支援という道を選ばれたのでしょうか。 -渡部- 正直なところ、一番は「ご縁」に導かれたというのがありますが、自分なりに振り返ると二つの理由があるように思います。 一つは、私を育ててくれた「渋谷」という街への恩返しです。外資系企業やスタートアップで経験を積み、改めて自分の原点を見つめたとき、ホームカミングのような感覚で、この街に何かを還元したいという思いが自然と湧いてきました。 もう一つは、私の人生のキーワードでもある「逆張り」の精神です。 シリコンバレーなどの王道キャリアであれば、ユニコーン企業で働くか、あるいは自ら起業し、後に投資家になる……といった道が一般的かもしれません。でも私は意図せずに「主流ではない道」を選ぶ事が多かった気がします。今回も例外ではないかもしれません。 例えば、リーマンショック前(2008年)の時代に、モルガン・スタンレー投資銀行部から第二新卒としてGoogleへ転職したときも、日本におけるテック業界の認知度も投資銀行ほど確立されておりませんでした。実はもう一つの選択肢として、学生時代に学び夢でもあったジャーナリズムを活かせる「外資系テレビ局の経済レポーター」というオファーもあったんです。私はGoogleを選びました。考え抜いた決断というよりかは予感かもしれません。未知の業界に飛び込むことは一見難しそうですが、ワクワク感もあると思います。Googleでは、面接をしてくださった方々が楽しそうに仕事をされていた事も印象的でした。 「10人中9人が選ばない道」を選んでみる。リスクも大きそうですが、そうすれば、多くの気づきがあると思いますし、予想もしなかった新しいステージにキャリアを導けるかもしれない。自分のスキルが職場でお役に立つというのは大前提ですが、今回のスタートアップ支援という選択も、そんな私の「逆張り人生」の延長線上にあるものなのかもしれません。 ◆渋谷の魅力 -杉原- ありがとうございます。 「渋谷」という街の話が出ましたが、シブヤスタートアップスを率いる渡部さんから見て、渋谷にはどのような魅力があると感じていらっしゃいますか? -渡部- 「ボヘミアン指数」という指標を用いると分かりやすいかもしれません。社会学者のリチャード・フロリダが提唱したもので、人口あたりの芸術家やクリエイターの割合を示す指標です。この指数が高い街ほど、多様性や寛容性に富み、結果として経済発展やイノベーションが起きやすいと言われています。まさに渋谷は、このボヘミアン指数が極めて高い、変化に対してオープンな街。そこが最大の魅力ですね。 ◆日本の魅力や課題 -杉原- 確かに、日本で最もその指数が高いのは渋谷でしょうね。 世界を渡り歩いてこられた渡部さんから見て、日本の魅力や、逆に課題だと感じる部分はどこにありますか。 -渡部- 魅力については、日本人である私からは逆に見えにくいものですが、食の豊かさや治安の良さ、ものづくりやおもてなしといった「当たり前の質の高さ」は、一歩海外へ出るといかに稀有なことかが分かります。 一方で課題というより特徴に近いのですが、日本のビジネスシーンでは「ステークホルダーへの配慮」を非常に重視しますよね。独自の「察する文化」は美徳でもありますが、意思決定のスピードという面では弱点にもなり得ます。 例えば、国家主導でスピーディーに動く中国や、自由と利益を追求するリバタリアニズムのアメリカ、規制は多いが官民の役割が明確な欧州。日本はそのどれとも違い、時には同調圧力や暗黙の了解にたよる時も多く、チーム内の全員がシンクロしながらしなやかに、かつ慎重に、物事を進めている印象があります。いい面もあるものの、「よそ者」が組織に入ってきた時に、そのようなシステムやルールは簡単に壊れてしまいます。 また、日本人が「これは仕方ない」「こういうものだ」と諦めていることの中に、実は膨大なビジネスチャンスが眠ってるかも。例えば、日本独特の「中抜き構造」や「過剰な書類・承認プロセス、アナログ前提の業務フロー」による不当な高コストや低い効率性を是正するだけでも、それは立派な事業になります。「よそ者」の視点が入ることで、日本の当たり前を疑い、新しい価値を生み出せるはずです。 -杉原- 日本独特の合議制は、全員が納得するまで時間をかける分、決定後の後戻りが少ないという長所もありますが、今の時代、変化への対応が遅れるという弊害も目立ちますね。この「見えない壁」は参入障壁として機能してきた反面、日本人がグローバルで通用しにくくなっている要因かもしれません。 -渡部- そうですね。ただ、その壁の内側で育まれてきた独自文化やクリエイティビティ、そして安全性は、世界に誇れる日本の「文化」そのものです。 もう一つ、アメリカに住んでいて痛感するのは、日本の社会保障の充実ぶりです。起業を志したとき、日本では「保険はどうするの?」という心配をせずに済みます。これは挑戦する上での強烈なアドバンテージです。 -杉原- 確かに! 私がGoogleに入社した直後、米国で研修を受けた際、最初のセッションで参加者が一斉に質問したのは「保険はあるか?」でした。人事が保険の充実をアピールする姿を見て、日本での当たり前が世界では特権なのだと驚いた記憶があります。 -渡部- 本当にそうなんです。アメリカでは救急車を呼ぶだけで数十万単位かかる事もあるし、治療費はさらに別という世界ですから。失敗してもセーフティーネットがある。だからこそ、私は「日本で起業したらいい」と、自信を持って言いたいですね。 ◆日本の成長市場について -杉原- 未来の展望についてもお伺いさせてください。起業や新規事業という視点で見たとき、これからの日本において、特に有望だと考えられる成長市場はどの分野でしょうか? -渡部- それは間違いなく超高齢化・少子化に紐づく領域です。 介護そのものはもちろん、その周辺にあるあらゆるビジネスに大きな可能性があります。それが業務効率化のSaaSなのか、ロボティクスなのか、あるいは生成AIなのか。アプローチは様々ですが、この分野のソリューションは今後ますます重要になります。 例えば、私たちが支援している企業の一つに、AIを搭載したゲームで遊ぶだけで認知症の早期発見ができるアプリを開発しているスタートアップがあります。早期発見ができれば、適切な治療によって進行を劇的に遅らせることが可能です。こうした技術は、これから確実に求められます。 日本は世界で最も早く高齢化が進む課題先進国ですが、それは裏を返せば、世界に先駆けて解決策を提示できる市場の最前線にいるということです。 さらに日本は、ディープテックやエッジAI、量子コンピューティングといったハードウェア面での技術蓄積もあります。こうした最先端のハードウェアと、社会課題を解決するソフトウェアが掛け合わさる領域は、非常に強力な成長分野になると確信しています。 -杉原- 心から賛同します。そうしたイノベーションを、シブヤスタートアップスや私たちディ・ポップスグループが協力して支援することで、さらに大きな可能性が広がっていきますね。 ところで、昨今の生成AIの急速な浸透は、ビジネス環境を根本から変えようとしています。「消える職業」や「新たに生まれる職業」、あるいは「人間に問われる能力」など様々な議論がありますが、渡部さんご自身は現状をどう捉えていますか。 -渡部- 私は、テクノロジーは目まぐるしく変化し流行り廃りもありますが、人間の根底にある「文化」というものは、そう簡単には変わらないものだと考えています。 もちろん、AIのポテンシャルは極めて高く、上手に活用すれば効率化が進み、消えていく職業も確実にあるでしょう。ただ、私たちにとって「AIと共存する道を探る」以外に選択肢はないのも事実です。AIは人間には不可能な処理を瞬時に行えますが、それをどう使いこなすかが重要になります。 これからの時代は、教育の現場も大きく変わるはずです。これまでのように「答えを出す力」を競うのではなく、「AIに対して、いかに精度の高い問い(プロンプト)を投げかけられるか」という、問いを立てる力の方が重要になります。 ただ、世界が明日からガラリと全く別の場所になってしまうかと言えば、私はそうは思いません。人間がそれを許容し、コントロールする意思を持ち続ける限り、テクノロジーが人間を置き去りにして暴走することはないのではないかと考えています。 -杉原- そのような未来予測や社会環境の変化を踏まえたとき、起業家やシブヤスタートアップスにとっては、どのような影響があるとお考えですか? これは大きなチャンスでしょうか、それともチャレンジでしょうか。 -渡部- 間違いなくチャンスだと捉えています。 現在、私たちが支援している企業の7割以上がAIを活用した企業になっていますが、これは特別なことではなくなりつつあります。かつて、あらゆるスタートアップがインターネットを活用することを前提としたように、これからはAIを使いこなすことがごく当たり前の風景になっていくでしょう。 ここで重要なのは、AIはあくまで目的ではなく手段だということです。 例えばUberは、本質的には「配車サービス」の会社であって、テクノロジーはそのためのインフラに過ぎません。最高の効率でサービスを回すために、テクノロジーを徹底的に活用しているに過ぎないのです。 これからのスタートアップも同じです。「AIの会社」と名乗らなくても、自社のミッションを最高効率で達成するために、当たり前のようにAIを使いこなす。そんな実利を伴った企業が主流になっていくはずですし、そこには無限のビジネスチャンスが広がっていると考えています。 ◆シブヤスタートアップスが考える、スタートアップエコシステムとは -杉原- それではシブヤスタートアップスが考える、「スタートアップエコシステム」について教えてください。 -渡部- スタートアップエコシステムは、単にスタートアップが存在するだけでなく、成長した企業が次世代の顧客や支援者となり、そこに投資家も加わって、成長のサイクルがその中で完結する状態だと考えています。 現在、日本には支援するリソースはあるものの、スタートアップの数そして人材自体がまだ不足しているのではないかと考えています。そこで私たちは、海外にいる日本に興味を持つ優秀な人材を招聘し、日本のスタートアップエコシステムがより良くなるような取り組みを試みます。 私たちのコミュニティには、ブロックチェーン「Polygon」の共同創業者の創業したスタートアップや、Googleの卒業生コミュニティであるXooglerの共同創業者によるスタートアップなど、スーパースターが52名ほど集まっています。彼らは米国のトップVCから資金を調達できるような実力者たちです。 なぜこうした人材を渋谷に招聘するのか。それは、周囲にユニコーン企業を作る友人がいれば、自分にとってもそれが「当たり前の選択肢」になるからです。逆に、小規模なIPO(上場)が当たり前の環境にいれば、そこが基準になります。 私の役割は、いわばオーケストラの指揮者です。私自身が楽器を弾く(事業を作る)のではなく、最高の演奏ができるプレイヤーを集め、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えていくこと。それが、私たちが目指すエコシステムの形です。 ◆「ベンチャーエコシステムの実現」について -杉原- さて、最後に、ディ・ポップスグループが目指す「ベンチャーエコシステムの実現」について、共感すること、協業できる領域などがあれば、ぜひお願いします。 -渡部- そうですね、私が協業の可能性を感じるのは「人材の多様性」という領域です。 今、私たちが支援している海外出身の起業家たちは、高い技術力を持つ一方で、日本には詳しくありません。私は、これからのスタートアップはアイドルグループのような多国籍チームが最強だと考えています。各国の出身者がチームにいることで、海外展開の際に現地の販売網やニーズを即座に掴めるからです。「日本人だけ」「外国人だけ」にこだわる必要は全く無いと思っています。 「Sakana AI」や 「Shisa AI」のように、日本の国家戦略を担うAIモデルを開発している創業チームに外国人がいるということも興味深いと思っております。GoogleやOpenAIが米国企業である以上、有事の際にAIインフラが止まる事もあり得るので、自国のAIモデル開発は大事なプロジェクトです。さらに、自国のLLMを開発することはインターネットでは残らないかもしれない日本の文化の細かい部分をAI時代に継承する事にも繋がります。このような日本のインフラ作りの分野にも外国人人材が参入してきています。 こうした多様性を持ってこそ気づける日本の課題や価値は非常に多い。彼らのような「外からの視点」を持つ優秀な人材と、日本国内で強固な基盤を持つ企業が手を取り合い、人材の流動性を高め、多様なチームを支援する仕組み作りで、ぜひ連携していきたいですね。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【シブヤスタートアップス株式会社】 代表者:会長 渡部 志保 代表取締役社長 田坂 克郎 所在地:渋谷区東一丁目29番3号 Shibuya Bridge B棟 設 立:2023年2月 U R L:https://upshibuya.com/
  • INTERVIEW
2026.01.27
渋谷を起点に、世界と日本をつなぐエコシステムを実現する!シブヤスタートアップス株式会社 会長 渡部志保さん【前編】
今回は、ベンチャーエコシステムサミット2025にご登壇いただいた、シブヤスタートアップス株式会社 会長の渡部さんにインタビューさせて頂きました。 (このインタビューは2025年11月に実施いたしました。) ◆ベンチャーエコシステムサミット2025について -杉原- 今回は、株式会社シブヤスタートアップス 会長 渡部志保さんにインタビューさせていただきます。宜しくお願い致します! 2025年10月2日に開催した「ベンチャーエコシステムサミット2025」では、私と一緒にご登壇いただき、ありがとうございました。お陰様でイベントも渡部さんのセッションも大盛況でした。本イベントも第二部の懇親会にもご参加いただきましたが、イベントに対する率直な感想をお願いします。 -渡部- こちらこそ、ありがとうございました。セッションも盛り上がり、私自身とても楽しませていただきました。 今回のイベントに参加して一番に感じたのは、他にはないファミリー感と一体感です。日頃から多くのイベントに登壇していますが、これほど温かい雰囲気は珍しいですね。レジェンドである千本さんや藤崎さんはもちろん、後藤社長のご家族までいらっしゃっていたり、人事の方が事務局としてお弁当を配っていたりと、組織の垣根を超えた手作り感と連帯感に感動しました。 また、私にとって大きな収穫だったのは、日本の起業家の熱量に直接触れられたことです。普段、私は海外起業家の招致に注力しているため、日本のドメスティックなエコシステムと深く接する機会が少なかったのですが、「日本にもこんなに面白いスタートアップがたくさんあるんだ!」と新鮮な驚きがありました。 さらに驚いたのは、参加者の多様性です。日本語のイベントでしたが、在日外国人の起業家の知り合いも参加しており、「なぜこんなに日本っぽい場所にあなた(渡部)がいるの!」と言われ笑ってしまったほどです(笑)。 日本のベンチャーエコシステムという枠組みでありながら、実は非常にオープンで多様性に富んでいる。その姿を見て、私たちがシブヤスタートアップスで取り組んでいることと、根底にある精神は同じなのだと強く実感しました。 -杉原- 本当におっしゃる通りですね。外部のイベント会社を一切入れず、1年以上前から後藤社長と社内スタッフだけで準備を進めてきた手作りイベントだったことも、あの一体感に繋がったのだと思います。 実は、参加者の方々から「渡部さんは素晴らしいご経歴をお持ちなのに、驚くほど自然体で親しみやすい」「キラキラしていて憧れる」といった、議論の内容だけでなく渡部さんのお人柄に惹かれたという声が多く寄せられました。こうした反響については、どのように感じていらっしゃいますか? -渡部- そう言っていただけるのは、本当に光栄です。ただ、「キラキラしている」なんて、自分ではとんでもない話だと思っています(笑) 外からはそう見えるのかもしれませんが、自分自身としては、常に「崖っぷち」のような必死な思いで毎日を駆け抜けているのが本音です。私の方こそ、挑戦し続けている起業家のみなさんを見ていると、まぶしく、時には羨ましく感じることもあります。 私は、ベンチャーエコシステムの主役は、あくまで挑戦している起業家の方々だと思っています。私たちが運営するコミュニティでもそれは同じです。 ですので、私個人への過分な評価は恐縮してしまいますが、私の自然な姿を見て何かを感じていただけたのなら、それは素直に嬉しいですね。これからも主役である起業家の皆さんが最高に輝けるよう、裏方として支えていきたいと改めて思いました。 -杉原- 逆に、イベントに参加した一人のゲストとして、刺激を受けたり知見を得られたりしたセッションはありましたか? 以前、別の記事で「書道に興味がある」と拝見したのですが、今回の書道パフォーマンスはいかがでしたか。 -渡部- 私自身、幼い頃に書道を嗜んでいたこともあり、とても感慨深かったです。 現代はインターネットやテクノロジーがあふれ、誰もが多忙な日々を送っていますよね。そうした中で、書道や茶道、ピラティスのように「ゆっくり動くこと」に価値を置く世界観に触れると、驚くほど心が静まります。デジタルのスピード感とは対照的な、あの静かな時間は、今の時代にこそ大切なものだと改めて感じました。 また、サミット全体を振り返ると、本当に多くの方々と対話できたことが大きな刺激になりました。起業家の皆さんが熱を持ってご自身の事業を語ってくださる姿や、会場で偶然再会した起業家の皆さん、日本を代表するリーダーシップからのお話。 そうした交流を通じて、日本にも次世代のイノベーションコミュニティがあることを肌で感じられたのは、私にとって非常に大きな収穫でした。 -杉原- 後藤社長自身が非常にグローバルな視点をお持ちなので、すでに培われたネットワークから素晴らしい方々を招待されていたのでしょうね。ディ・ポップスグループとしても、今後は海外起業家への投資を本格的に検討しており、この輪はさらに広がっていくはずです。改めて、今回はサミットへのご登壇、本当にありがとうございました。 ◆シブヤスタートアップスについて -杉原- さて、ここからは「シブヤスタートアップス」の活動についてお伺いします。改めて、どのような取り組みをされているのかご紹介いただけますか? -渡部- シブヤスタートアップスは、渋谷区と日本を代表する大企業がタッグを組んだ、官民連携のスタートアップ支援組織(アクセラレーター)です。 国内のスタートアップだけでなく、海外から優秀な起業家を日本へ誘致する活動も行っています。グロース支援に合わせ、ビザ申請や銀行口座開設のサポートもしており、現在は参加スタートアップの創業者のうち80%以上が海外出身者という非常に国際色豊かなコミュニティになっています。 私たちが注力しているのは、日本の社会課題を解決する技術を持つ企業の発掘です。例えば、少子高齢化社会に対応する「エイジテック」や「ロンジェビティ(長寿)」、物流業界の人手不足解消といった領域、さらには日本が強みを持つアニメ・ゲーム・VTuberなどの「ファンダムエコノミー」など、多岐にわたります。 こうした日本の市場特性に魅力を感じる才能を、私たちが世界中から直接スカウトしてくるのが特徴です。彼らが日本でのビジネスを志した際に、スムーズに活動できるよう伴走支援を行っています。来日する前から私たちがスカウトし、日本に降り立った時にはすでにパートナーとして関係が築けている。そんなイメージで活動を広げています。 -杉原- 現在は、海外に拠点を持つスタートアップが日本市場へ参入する際のサポートがメインになるのでしょうか? -渡部- そうですね、そうしたケースが多いです。日本に支社を構える場合もあれば、日本に本社を置く決断をするチームもありますが、すでに複数の拠点で活動しているグローバルな視点を持った会社が多いです。 私たちが特に注力して支援しているのは、いわば「グローバルニッチ」な領域です。 例えばアニメ業界を例に挙げると、アニメファンは世界中のあらゆる国に存在しますが、一つのコミュニティとしてはまだ「ニッチ」な側面を持っています。しかし、そのニッチな層が世界中に点在しているため、掛け合わせれば非常に大きな「グローバル・スケール」の市場へと成長します。少子高齢化や介護などの市場も同じ見方ができると思います。 このように、特定分野で深い専門性を持ちながらも、世界規模で戦えるポテンシャルを秘めたスタートアップ。私たちは、そうした「グローバルニッチ」な輝きを持つ企業を優先的に発掘し、日本市場へと繋いでいます。 -杉原- シブヤスタートアップスが支援する企業は、やはり渋谷区内に拠点を置くことが条件になるのでしょうか? -渡部- いえ、実はそうではないんです。他の区であっても、東京都以外であっても構いません。 もともと渋谷区には、この会社ができる前から『Startup Welcome Service』という窓口があり、ビザ取得などの煩雑な行政手続きから日本での生活面に至るまで、包括的に一元サポートする体制が整っていました。さらに『Shibuya Startup Support』を通じて、スタートアップ支援に関する情報をオープンに発信する取り組みも積極的に行っています。 私たちの根本にあるのは、「日本でビジネスをしたい」という志を持って渋谷にやってくる起業家の皆様を全力で支援したいという思いです。渋谷という場所を入り口にしつつも、広く日本全体のエコシステムに貢献していくことを目指しています。 -杉原- なるほど。地域という枠に縛られず、日本への入り口を広く構える素晴らしい取り組みですね。 ちなみに、現時点で支援されているスタートアップは何社ほどになるのでしょうか? -渡部- 現在は、支援している企業数で言うと52社になります。 その顔ぶれは非常に幅広く、エイジテックやクリエイターテックをはじめ、物流、ロボティクスなど多岐にわたりますが、一貫しているのは「日本で取り組むからこそ価値がある」という視点です。 日本の社会課題解決に直結するものや、日本の強みを活かせる領域を中心に、私たちが直接リクルートしています。その52社のうち、現在7社に対しては出資という形でも支援を行っています。 ◆スタートアップへの具体的な支援や伴走の内容 -杉原- スタートアップへの具体的な支援や伴走の内容について、いくつか例を挙げていただけますか? そこには、渡部さんやスタッフの皆さんのどのような経験・知見が反映されているのでしょうか。 -渡部- 大きく分けて2つの軸があります。 1つ目は、日本でのビジネスを立ち上げるための「基盤づくり」の支援です。 ビザ取得のサポートや拠点の提供などが挙げられます。例えば、今このインタビューを行っている『渋谷ブリッジ』は渋谷区のコワーキングスペースですが、ここに来れば、渋谷区の支援会社や我々のアクセラレーター(UPプログラム)の参加企業はもちろん、イベントに参加する起業家や支援者と交流できるようなコミュニティの場を私たちが渋谷区さんとデザイン・運営しています。 また、海外起業家にとって壁となるのが「銀行口座の開設」です。通常は1年近くほどかかるケースもあると理解していますが、私たちは最短2週間程度で開設できる支援体制を目指します。その他、登記や会計などの支援にも繋ぐといった活動も行っています。 2つ目は、事業を加速させる「グロース支援」です。 市場開拓の戦略立案からリサーチ、実証実験(PoC)のデザイン・実行までを支援します。資金調達の面でも、アジア、北米、そして日本の投資家を、そのスタートアップに最適な形で繋いでいます。 私たちは、いわば「スイスのアーミーナイフ」のような存在でありたいと思っています。起業家の皆さんのあらゆる困りごとに対応し、必要なツールを差し出す。そんな万能なコンシェルジュとして、多角的なアドバイスと実務支援を行っています。 -杉原- こうした多岐にわたる支援は、渡部さんお一人で担われているのでしょうか? -渡部- 領域によって役割を分担しています。例えば、最初にお話しした手続きや事務周りのサポートについては、専門チームと密に連携して進めています。その一方で、私自身が主軸として担当しているのは、2つ目の「グロース支援」の領域です。 -杉原- 支援を受ける側からすれば、渡部さんのような方が並走してくれるのは本当に心強いでしょうね。 -渡部- ハンズオン支援は非常に奥が深く、一筋縄ではいかない難しさもあります。ただ、ここで私自身のこれまでのキャリアが一番活きていると感じます。私自身もかつてスタートアップ側で同じ苦労を経験してきたので、彼らが直面する大変さが痛いほど分かるんです。 ですから、彼らと一緒に走ることは全く苦ではありません。単にアドバイスをするだけでなく、時には起業家と一緒に私自身が資金調達のストーリーを練り、メディアへの橋渡しをしてピッチの場を作ることもあります。自分にできることは、文字通り「全部やる」というスタンスです。 そうやって彼らと間近で向き合っていると、ふと「自分もまたスタートアップの現場に戻りたいな」と羨ましくなってしまうこともありますね(笑) -杉原- ご自身がプレイヤーだったからこそ、現場の熱量に触れると「自分もまた」という気持ちになりますよね(笑)。 それにしても、支援先が52社というのは驚異的な数です。これほどの企業を、どのような形で集められたのでしょうか。 -渡部- 実は、この会社を創業後、しばらく私一人で活動していたこともあり、海外で広報活動はしなかったので(そもそも海外媒体はどこも取り上げないのでニュースにもならなず)採択したスタートアップのほとんどが口コミや私の人脈からの推薦による広がりなんです。私が代表に就任した2023年前後は、コロナ禍を経て世界が大きく動き出し、生成AIやブロックチェーンといったテクノロジーが急激に普及した時期でした。米国をはじめとする国際情勢の変化も重なり、海外の起業家の間で「日本市場に挑戦したい」という機運が高まっていたんです。 そんなタイミングで私がこの仕事を始めたことを伝えると、ありがたいことに世界中の友人や知人が声をかけてくれました。「日本にぴったりの面白い会社があるよ」「うちのVCの投資基準とは少し違うけれど、日本市場なら間違いなく輝くはず」といった紹介が次々と舞い込んできたんです。 また、Google時代に切磋琢磨した元同僚たちのコミュニティからも多くの縁がありました。かつて20代・30代を共に過ごした仲間たちが今や起業家となり、互いに助け合える関係になっていることは大きな財産です。さらに、スタンフォード大学院での恩師であり、ご自身もベンチャーキャピタリストであるリチャード・ダッシャー博士がアドバイザーとして参画してくださったことも、コミュニティの信頼を高める大きな力となりました。 振り返れば、これまで築いてきた世界中のコミュニティが、今の仕事に生きていると感じ感謝の気持ちで一杯です。 (リチャード・ダッシャー博士:スタンフォード大学にてアジアとイノベーションの研究をしている。2025年には長年の日米交流と教育研究への貢献が評価され、日本政府から外務大臣表彰を受けた。設立当時アドバイザーで現在は退任。) -杉原- リチャード・ダッシャー博士のような存在がバックアップしてくださるのは非常に大きいですね。 ディ・ポップスグループでも、会長でありKDDI共同創業者の千本さんや顧問の藤崎元駐米大使といった方々が名を連ねてくださっていますが、そうした「重鎮」の存在は起業家へのエールになるだけでなく、事業開拓においても信頼の証となります。トップ層が応援したくなるような志の高い取り組みは、本当に大切ですね。 そうした活動の結果、具体的に飛躍を遂げたスタートアップの事例があれば、ぜひ教えてください。 -渡部- 一つは、もともと日本進出を全く考えていなかった才能を日本へ呼び込めたケースです。 Xoogler (元Google社員からなるコミュニティ)コミュニティ創業者の二人が、テック業界での大規模なレイオフ(一時解雇)に直面した人々のためのプラットフォームにインスパイアされた、Key.aiというスタートアップを始めました。当初、彼らの視界に日本はありませんでしたが、私たちが投資し、伴走することで日本への道筋を拓こうとしています。このように「本来なら日本を素通りしていたはずの層」をエコシステムに巻き込むことこそ、私たちの存在意義だと感じています。 また、生成AIを活用したアニメ制作のスタートアップも印象的です。 2023年に国連から労働環境について指摘を受けるなど、日本のアニメ業界(特に大手を除いて)は人手不足や過酷な環境という課題を抱えています。そこへ、日本のアニメを愛する海外からきた創業者が「生成AIでクリエイターを支援できれば」と活動しています。 私たちは、いわば「産業プロデューサー」のような立ち位置です。製品・サービス、マーケティング・PR、市場進出・資金調達など幅広い戦略を、起業家と二人三脚で練り上げることもします。そうして一企業の運命が変わる瞬間に少しでも力添えできたとき、この仕事の意義を深く実感しますね。だからこそ、サポートの質には徹底的にこだわっています。 ~後編に続く~   ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【シブヤスタートアップス株式会社】 代表者:会長 渡部 志保 代表取締役社長 田坂 克郎 所在地:東京都渋谷区東一丁目29番3号 Shibuya Bridge B棟 設 立:2023年2月 U R L:https://upshibuya.com/   次回後編のインタビューでは、 ・スタートアップ支援を選んだ理由 ・渋谷、日本の魅力 ・シブヤスタートアップスが考える、スタートアップエコシステムとは ・「ベンチャーエコシステムの実現」について などについてお伺いしています。 後編もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.01.22
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