COLUMN

【グループ代表インタビュー】後藤 和寛(D-POPS GROUP 代表取締役)~前編~

  • INTERVIEW
2025.07.28

今回は、D-POPS GROUP の後藤代表にインタビューしました!D-POPS GROUPは社会になくてはならないベンチャーエコシステムの実現を目指し、ベンチャー企業の成長プラットフォームの創造に取り組んでいます。
ベンチャーエコシステムの実現や社会貢献活動に対する思いなどについてお伺いしました。
(こちらのインタビューは、2025年7月に実施しました。)

-杉原-
祖業であるD-POPSの創業から27年以上経ち、またD-POPS GROUPを設立してグループ経営に移行してから10月1日でちょうど10年経ちますね。そして5年ほど前からは、エコシステム経営を提唱されていますが、これまでの27年、またグループ経営の10年、エコシステム経営の5年はどんな道でしたか?

-後藤-
一言でお伝えすると、修行僧のような経営者人生だったと思います(笑)あらゆる逆境、逆風、谷底など苦難の連続でしたが、その一方、たくさんの感動や出会いがあり、本当に充実した27年だったと言えます。

最初は事業会社の社長として事業に集中し100億企業を実現しましたが、事業に集中することはすなわち、単一事業のみに依存することで、大きなリスクになりえることも経験し、そこから本格的なグループ会社経営に移行することを決めました。

グループ会社経営に移行し10社、15社と経営するようになった時に、講演依頼や勉強会の講師をしてもらえないかという話が非常に多くなり、出来る範囲でお受けしていくことにより、起業家や経営者の皆さん、私と同様に本当に苦労しながら経営されている実情を知り、その中でも最も手触り感のある(参加者の全ての顔と事業が覚えられる)勉強会の講師が、最終的に現在毎月のように開催している後藤塾として発展し、これまで累計約300名の起業家や経営者の方々に参加して頂きました。その結果、湧き出るようにインスピレーションが出て来たのが、人生を懸けて、ベンチャーのエコシステムを実現すること、つまり「エコシステム経営」の始まりです。

ベンチャーエコシステムと言うプラットフォームを創ることで、仲間を増やし、お互いがノウハウや情報、そしてネットワークなどシェアし、どこかの会社が突然の逆風で大赤字や谷底に落ちても、エコシステム全体で守り合い、助け合い、強固なリスクポートフォリオを実現する。仲間になるのは、グループ会社、投資会社、資本業務提携などどのような形態でも良く、もっと言うと資本関係が全くない会社も支援しているケースも多々ありますので、究極で言うと、私が実現したいことは「起業家や経営者に伴走しながら支援する社会的な仕組みの確立」とも言えます。

-杉原-
起業家として、世の一般会社員には想像を絶する険しい道を歩み続けてこられた原動力、情熱の源泉は何だったのでしょうか?

-後藤-
情熱に関しては、起業してから一度たりとも失ったことはありません。25歳から今までずっと、溢れ出ています。源泉は何かというと、起業のきっかけは、イギリスの大学への留学でした。

多くの世界中の学生が明確に将来の夢を持ち、そこに向かって猛勉強をしている。私は留学する前まで、正直、遊んでばかりの大学生活を送っていましたが(テニスサークルやインカレサークルの代表など)、未来の日本に対して大きな危惧を持つようになりました。

10年後、20年後に、日本の経済力が下がり、特に東南アジアやBRICSなどの国が大きく発展し、相対的に戦前戦後の諸先輩方が築き上げた恵まれた日本を維持出来なくなるのでは、ということでした。日本の若者を力強く育成し変革したいと思っていた時に、松下幸之助氏の書籍と巡り合い、会社経営を通して、若者育成をする道があるということに気付きました。

最初は若者を直接育成することに情熱を燃やし、人数が数百名と増えた時には幹部育成に力を入れ、社員数が数千名になってからは、起業家や社長の育成に尽力してきましたが、原点はずっと同じ、日本の未来を担う若者がしっかりと成長する環境、挑戦する環境を創りたいという想いです。それが私の中ではずっと情熱の源泉であり続けたと思います。

自分がこの世にいなくなった後でも、次の子供達の世代、そしてその先の世代とより良い社会を残していけるようにと常に思っています。究極で言うと日本だけでなく、地球上のあらゆる人々に対して、同じ気持ちを持っています。

-杉原-
その険しい道のりには数々の幸運、強運に救われたという経験がおありだと思いますが、後藤さんの考える”強運の掴み方”のコツのようなものを読者の方に公開していただけますか?

-後藤-
一言でいうと、神様が応援したくなるような人間であるか、ということを大切にしています。誰にも負けない情熱があり、誰にも負けない努力をしている。自分が成し遂げようとしているビジョンや目標は社会的な意義があることか、などをとても大切にしています。加えて誠実・謙虚・感謝の心を持っていることもとても大切だと思っています。

これらのことから少しでもズレていると強運が全く起きず、しっかりと出来ていると驚くほど強運が起きるのには、自分自身もとても驚いています。もう一つ加えると、運気が良い人と付き合う事もとても大切だと思っています。当社の会長の千本さんも顧問の藤崎さんも私の中では強運のパワースポットのような方々です。社外取締役の内藤さんやアドバイザーの石黒さんも同じように感じています。

-杉原-
また、後藤さんのお話の中には数々の”ご縁のおかげ”という話が出てきます。良縁をつなぐために日頃意識されていることは何でしょうか?

-後藤-
強運の質問に対してお答えしたことと、かなり近い回答になりますが、 自分自身からより良い気が溢れ出るようにしておくこと、つまり、利他的な心や愛を持つことなどが良縁に繋がると思っています。そしてチャンスが目の前を通った時に、自分が実現しようとしているビジョンや社会的な意義をきちんと伝えること。そこに賛同して頂けると、ご縁が深くなり、時に支援して頂いたり、助けて頂いたり、と最終的な良縁になることを感じています。

-杉原-
後藤さんは個人的にも、またD-POPS GROUPとしても、【公益財団法人 こどもたちと共に歩む会】や【特定非営利活動法人 BONDプロジェクト】への支援など、多くの社会貢献活動をされています。CSR活動に力を入れていることもそういう思いからなのでしょうか?

-後藤-
はい、その通りです。少しでも苦しんでいる子供達を支援したいという想いは純粋なものですが、そのような活動に力を入れていると、まだ自分に強運が戻ってくるような不思議な感覚があります。でも強運にならないとしても、目の前に苦しんでいる子供や人がいたら、純粋に何かが出来ないかと思うことは、人として自然な考えだと思います。

-杉原-
経営者としての実力と絶え間ない努力によって、そして幸運と良縁に恵まれて、グループをここまで大きくしてきたのですね。売上は300億越えとなり、既に新基準においても東証に上場できる規模になっていますが、非上場を維持している理由を教えていただけますか?

-後藤-
上場の良い点など当然理解していますが、私の経営はかなり独特ですから、全ての投資家の方々に理解して頂くのは厳しいと思っています。中長期ビジョンでどんどん投資をかけていきますし(短期の結果はあまり気にしていません)、虐待児童を支援する財団の活動にも15%ぐらいは自分の時間を割いています。ボランティアの一環として依頼を受けた際に開催している経営者の成長支援の後藤塾も20%ぐらいは時間を割いています。

上場企業の社長になったら、自社の実績を出すことに当然集中することがミッションですから、今の私にはフィットしないと感じています。ただ、ベンチャーエコシステムの中から上場企業は既に生まれていますし、これからはさらに続々と誕生していく予定です。

-杉原-
ご自身は上場が目標や目的とは全く考えていないということですね。一方で投資や経営相談に乗るなどして上場を目指すスタートアップの応援をされています。また、ユニコーンを多数輩出するプラットフォームを構築するというビジョンを描いています。D-POPS GROUPとして、また個人として、どのような支援活動をされているのでしょうか?

-後藤-
これも一言でお答えするのは正直難しいですね。
起業家や経営者の相談や質問に関しては、365日・24時間体制とも言えます。私のあらゆる知見、経験、ノウハウやネットワークなどをフルに動員して、特に本当に厳しい局面の経営者、または成長曲線に入っている成長企業の経営者に時間を割く事が多いですね。それもあらゆる角度からボールが飛んでくるため、私の27年間のデータベースをフルに活用して、支援をしています。

自分が現役の経営者でこれまでにたくさんの事業会社を経営してきて、現在までにグループ会社と投資会社で60社近く、後藤塾で300社、その他を入れると、同じような立ち位置の経営者は世の中に非常に少ないと思っています。だからこそ、自分が日本にベンチャーエコシステムを創り上げなければという気持ちで日々尽力しています。これまでに、倒産するかもしれないという局面の起業家・経営者をV字回復の実現に導けたときなどは、自分の仕事の社会的な意義を心から実感できます。

-杉原-
プライベートカンパニーであるのに、取締役会メンバーや顧問団は驚くような陣容です。また、私を含めてアドバイザーメンバーも徐々に増やしてこられました。この体制の意味、狙いなどについて、公開できる範囲でお考えを紹介いただけますか?

-後藤-
私は正直、経営戦略のプロですから、テクニカル的なことはその道のプロが担当することが一番だと思っています。その意味ではアドバイザー陣にスーパースペシャリストがたくさんいることはとても重要だと思っていますし、皆さんのことをとても頼もしく思っています。

支援する相手は起業家なので、「スーパー」と言える実力がある人でなければ起業家や経営者は耳を傾けてくれません。そのため、数年に1人でもそのような人が仲間としてジョインしてもらえるよう、常にアンテナを張っています。また取締役会メンバーや顧問の方々などは、私にとって、メンターであり、コーチであり、時に父であり、兄であり、お姉さんという感覚です。つまり私自身の成長においても、ベンチャーエコシステムが機能しており、いつも助けられているのです。

☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太

【株式会社ディ・ポップスグループ】
代表者:代表取締役 後藤和寛
所在地:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ32F
設 立:2015年10月1日(創業:1998年2月4日)
U R L:https://d-pops-group.co.jp/

 

次回後編のインタビューでは、
・エコシステムならではの成功例
・複雑化戦略
・理想とするベンチャーエコシステムの形
・「ベンチャーエコシステムサミット2025」
などについてお伺いしています。

後編もぜひご覧ください!

 

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  • INTERVIEW
2026.06.18
採用DXで人事を刷新。HRクラウド中島社長と「採用一括かんりくん」の挑戦 ~Part1~
D-POPS GROUPは、HRクラウド株式会社への出資を行っています。同社は「採用一括かんりくん」を主力サービスとして、中堅・中小企業の採用DXを推進するHRテクノロジー企業です。創業から3年で年商1億円を達成し、コロナ禍を転機に急成長を遂げた中島悠揮社長の起業家としての軌跡と、同社が描く未来を全3回にわたって紐解きます。 Part 1では、27歳での起業を志した原点から、学情・楽天を経て創業に至るまでのストーリー、そして創業3年で1億円を達成した軌跡をお届けします。 (このインタビューは2026年4月に実施しました。) ◆ 「27歳で起業する」――少年時代から芽生えた経営者への憧れ -杉原- まず初めに、中島社長が14年前にHRクラウド社を創業されたきっかけを教えていただけますか。 -中島- 創業自体は、27歳で会社を立ち上げるということだけはもう決めていたんです。そこまでは具体的に考えていなかったんですが、「30歳までに1億円の会社を作る」という目標がありました。 その理由は、私自身が20歳ぐらいの頃にすごくお世話になった先輩がいまして、その方が32〜33歳の頃に「1億」というワードを口にしていたからです。その人の年齢に自分がなった時に、超えていなければいけないという気持ちになって。『30歳で1億円』ということが就活の頃に明確になりました。そこから逆算すると3年はかかるだろうということで、27歳で起業するということだけは漠然と決めていたんです。 -杉原- 子供の頃から、社長への憧れはあったんですか? -中島- そうですね。子供の頃から社長に対する憧れはすごくありました。親戚のおじさんが会社経営をされていて、その生き方がとても豪快でかっこよかったんです。 また、少年野球をやっていた頃の最初の3年間、監督が自分で会社経営をされていて、これまたすごく豪快な方でした。「お前ら、飯食え!」と言って、チーム全員をロイヤルホストに連れて行ってくれるんです。私の家はかなり貧乏でしたので、ロイヤルホストに行けること自体もすごかったし、しかも全員に、「家族も呼んでいいよ」と言ってくれて。そういう姿がかっこいいな、憧れるなと思っていたのがあります。 まずは起業するという夢があって、20歳になって「いつ」「どれくらいの規模に」するかが明確になったという感じですね。 ◆ 学情・楽天での下積み――「いろんな業界を知りたい」という原動力 -杉原- どんな事業で起業するかという計画はあったんですか? -中島- 全然なかったですね。27歳の段階でも全くなかったです。1社目に学情という会社に入社したんですが、そこは人材と広告の事業をされている300人ぐらいの会社でした。なぜそこで働いたかというと、いろんな業界やいろんな会社を知れるところに行きたかったからです。 将来起業したいんだけど、何をやればいいか正直全然わからない。だからいろんな業界、いろんな会社が見られるところに行きたいなと思って、それなら人材か広告だな、と。両方やっていた学情に入社し、そこでいろんな会社を見ました。 ただ、そこでは2年間しか勤めませんでした。でも気づいたのは、当時はITというのがそこまで大きくなかった頃で、スマホも出始めのタイミング。ITにもっと強くならないといけないという気持ちが強くなりました。当時は大阪にいたんですが、大きな会社を作るには東京に行かなきゃダメだなとも思っていました。 -杉原- それで楽天に転職されたんですね。 -中島- はい。そのタイミングでご縁をいただいて転職しました。いろんなビジネスモデルを学びたいという気持ちもありましたし、楽天は10年で1万人になった会社ですから、そのシステムを知りたいという思いもありました。楽天時代にはいろんなベンチャー社長との繋がりも増えていきまして、実はその時にディ・ポップスグループの後藤さんにも出会いました。 ◆ 「周りに言いまくった」――退路を断つことで生まれた決断 -杉原- 2014年に1人で起業されたんですよね。 -中島- はい、共同創業者などもなく1人で立ち上げました。楽天時代にいろんなベンチャー社長との繋がりが増えていったので、「来年の春に起業します。いろいろと応援してください。」とその皆さんにひたすらお伝えしていました。 それが年末になってくると、来年の春に起業するのがすごく怖くなって。「やっぱり楽天を辞めたくないな」と思ったんですけど(笑)、周りにも言っちゃったしもう後戻りできない、と。退路を断つことで決断できました。 -杉原- 最初のオフィスはどうされたんですか? -中島- 会社を立ち上げた一番最初は、株式会社HRteamさんの一席をお借りしました。現在新卒紹介では日本のトップレベルの会社です。代表の方が「創業するんだったら一席使っていいよ。その代わり、これから人材事業を始めるから教えてくれ」と言ってくださって。一席をお借りする代わりに人材事業のノウハウを色々お伝えしながら一緒にHRteamさんの人材事業の立ち上げに携わりました。 私自身も逆にベンチャー企業の作り方やスケールの仕方など楽天では学べないベンチャーならではのことを多く学ばせていただきました。 本当に貴重な期間だったと思います。 ◆ 創業3年で年商1億円達成――「空手で培った精神力」が支えた -杉原- 目標だった、「創業3年で1億円」は達成できたんですか? -中島- ちょうど3年目で達成しました。 -杉原- 自ら立てた目標を達成、素晴らしいですね!起業のきっかけは深い話ですね。やっぱり行動力というか、意思の強さを感じます。学生時代、何か部活などはやっていたんですか? -中島- 空手をやっていまして、そこで精神力はつきましたね。戦いたくないし、痛いし。でもやらなきゃいけない、勝ちたい。この葛藤は大会に出場する度にありました。 この空手で培った「やらなければならない時にやりきる精神」は、創業後の困難な局面においても軸になりましたね。 -杉原- 中島社長の、”一見穏やかだけど内面には熱いものがある雰囲気”は空手から来ていたんですね。ところで、ホームページのご挨拶の中では、お父様は新卒から定年まで40年勤め上げた会社員だとありますよね。起業家が当たり前という環境ではなかったと思うんですが、お父様は応援してくれていたんですか?また書籍や経営者の言葉で影響を受けたこと等ありますか? -中島- 父親は「人に迷惑をかけるな」ということをずっと言っていまして。うちの会社がある程度形になってからは、「人を尊重しろ」という言葉に変わりました。 また、書籍ではないのですが、サイバーエージェントの藤田さんのブログは当時よく読んでいました。実は楽天に転職する際、サイバーエージェントでも面接を受けたのですが、残念ながら落ちました。(笑) -杉原- 確かにあの時代、みんな藤田さんのブログを読んでいましたよね!今はブログやYouTubeで学べる時代なので、書籍に限らずいろいろなところで学びを得られますね。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【HRクラウド株式会社】 代表者:代表取締役社長 中島 悠揮 所在地:東京都千代田区紀尾井町3-6 紀尾井町パークビル7階 設 立:2014年4月 コーポレートサイト:https://hr-cloud.co.jp/ Part 2では、 ・主力サービス「採用一括かんりくん」について ・コロナ禍の大きな決断 ・生成AIを活用した採用DX などについてお伺いしています。 Part2もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.06.16
「健康は最高の投資」40年のキャリアが語る、経営者の体と姿勢の真実|青山一丁目カイロプラクティック・山口博院長インタビュー【Part3】
【このパートについて】 全3回にわたるインタビューの最終回となるPart3では、テレビ出演のきっかけとなった「利他の精神」の実践、そして修行先の院に通っていた本田宗一郎氏が語った「経営者が健康でなければならない本質的な理由」、「トップリーダーの意思決定の速さ」に関する伝説のエピソードを公開します。さらにベンチャーエコシステムと山口先生の「全体のつながりを見る」という哲学の共通点などをお届けします。(このインタビューは2026年3月に実施しました。) ■ 青山一丁目への移転と、テレビ出演につながった「利他の精神」 -杉原- 四半世紀にわたって青山でカイロプラクティック院を経営されている山口先生ですが、現在の場所に移られた経緯を教えてください。 -山口- 実は最初、渋谷で開業しました。ただ当時の渋谷は、タワーレコードの近くで歩いていると女性の腕を引っ張ってナンパしてくるキャッチセールスが流行っていた時代で、来院される方から「今日も2回捕まりました」とか「道が混んで歩きにくいですね」というお声をいただいていました。 場所を変えようと考えた時に、表参道や外苑前にはカイロプラクティック院のホームページがあったのに、青山一丁目にはなかったんです。渋谷に来られている方も半蔵門線を使えば青山一丁目はそれほど不便ではないなと思い、実際に来てみたら道も広くて、2000年に青山一丁目に移りました。 その後、大江戸線が開通してアクセスが良くなったり、NHK以外のテレビ局が港区に集まっていたりしたこともあって、アシスタントディレクターの方から肩こりや腰痛に関するリサーチの依頼が来るようになりました。 電話で話すだけでなく、Word文書にまとめてメールで送ったり、資料を作って郵送したりしていたんです。するとある時、「テレビに出ることはできますか?」という話をいただきました。それがきっかけで、いろいろな番組に出演することになりました。 後日、ディレクターになった方に「なぜ私を選んでいただいたのですか?」と聞いたところ、「どこよりも丁寧に対応して、資料も書類も作って送ってくれたのはあなただけだった。ADから番組を持つようになった時には必ず声をかけようと思っていた」とおっしゃっていました。 これは稲盛和夫さんの言葉で言えば「利他」の精神ですね。何かを求めてやったのではなく、その人のために誠実に対応しようと思ってやったことが、後になって大きな形で返ってきた。もし何かを求めながらやっていたら、そうはならなかったかもしれません。 この話をうちに来院される経営者の方にすると、「経営と同じですね」とおっしゃる方が多いんです。求めすぎるより、相手のためを思って誠実に動いた方が、後で大きなものが返ってくるという経験をされている方が多いですね。 ■ 本田宗一郎氏が語った「経営者が健康でなければならない本質的な理由」 -山口- 修行させてもらっていた院には、経営者の方もよく通われていました。その中で今も語り継がれているエピソードがあります。自動車メーカーの創業者、本田宗一郎さんのお話です。私は本田さんとは直接お会いしたことがないのですが、私の先輩が本田さんに施術をされていたそうです。 ある時、先輩が本田さんに「大きな会社のトップとして大変なお仕事しながら、特にどこかが痛いとか困ったことがないのに、なぜ定期的にいらっしゃるのですか?」と伺ったそうです。すると本田さんはこうおっしゃったと聞いています。 「会社のトップとして、業績が良くて進軍ラッパを鳴らして前進しているときほど気持ちのいいものはない。だけど、時には進軍を止めて、退却ラッパを鳴らして戻らなければならない時もある。このタイミングを間違えると会社に大きな損害をもたらす。そのラッパを吹くタイミングは、健康でなければ間違えてしまう。だから私はここに通っているんだ。」 この言葉が後輩たちの間で語り継がれています。経営者にとって「健康であること」は単に体調管理ではなく、重要な意思決定を正確に行うための根幹なんだと、改めて感じさせられます。 もう一つエピソードがあります。院長が本田さんを施術している際に、当時の車のシート(ふかふかと沈み込むタイプ)が体に良くないという話をされたそうです。すると本田さんが「そうか」と言って帰られ、翌日にはホンダの技術者が何人も来て、院長と話し合いながらシートの設計図を作っていったという話を聞きました。その試作シートは、その後リリースされた車に、早速、活かされたそうです。 一番すごいと思ったのは、「乗る方のためにした方がいい」と思ったら、翌日にはもう行動に移している、そのスピード感と決断力です。トップがそう動けるということの意味を、深く感じます。 ■ 日本姿勢教育協会 —「姿勢の大切さ」を社会に広める活動 -杉原- 四半世紀にわたって青山でカイロプラクティック院を経営されている山口先生ですが、他にもいろんな活動をされていますね。一般社団法人日本姿勢教育協会について教えていただけますか。 -山口- この協会は、姿勢の大切さを理解し、人に伝えられる人材を育成することを目的としています。姿勢から心と体をサポートし、健康長寿な社会を目指す活動です。 「姿勢は大切」とはわかっていても、なぜ大切なのか、姿勢が悪いと何がいけないのか、良くするためにはどうすればいいのか、これを分かりやすく伝えることは実は難しいんです。そのための「姿勢教育アドバイザー」「姿勢教育指導士」という資格を設けて育成しています。興味のある方向けのセミナーも、講師を目指す方向けのセミナーも開催しています。 ■ 放送大学での講義 — 毎回抽選になる人気講座の秘密 -杉原- 他にも放送大学で長年、授業を担当されていますね。どんな方々に向けた、どんな内容の講座なのでしょうか? -山口- 放送大学では最初、「姿勢と健康」という講座を担当していました。その後、その講座は協会の若い先生に引き継いでいただいて、今は「負けない体を作る姿勢学」という講座を担当しています。 放送大学の受講者は、大学の資格を取りたい方が少なく、社会教養として来ている方が多いです。40代、50代、60代が中心ですね。カイロプラクティックの内容は一切やっていません。 -杉原- 教養として来ている一般の方向けということですね。大人気らしいですね。 -山口- おかげさまで毎回抽選になっています。放送大学の中でも最も受講者が多い講座のひとつになっています。コロナ前には北海道や九州から飛行機で受講に来られた方もいらっしゃいました。土曜日・日曜日の集中講義で8コマをまとめてやるので、1泊のホテル代で受講できる。その話を聞いただけで、私たち講師もますます頑張ろうという気になります。 ■ ベンチャーエコシステムとカイロプラクティックの哲学 —「全体のつながり」という共鳴 -杉原- ディ・ポップスグループでは「リアル×テクノロジー×グループシナジー」を組み合わせた事業展開で、ベンチャーエコシステムの実現を目指しています。グループ内外の企業が、お金だけでなく営業や人材紹介など様々な形で助け合うプラットフォームを作ろうとしているのですが、先生の取り組みと共通すると感じる点や共感できる点があれば教えてください。 -山口- 共感するのは「一つの部分だけを見るのではなく、全体の流れ・つながりを通して見ている」というところです。 私たちも、たとえば肘をぶつけて小指がしびれても、小指だけを治療するのではなく、なぜそうなったのか、姿勢全体の問題を探ります。肩こりであれば、肩だけでなく、モニターの高さや椅子の設定、生活環境全体を見て改善する。この「つながりを通して見る」という視点は、まさに共通していると感じます。 -杉原- 流れを良くするということは、本当にそうだと思います。弊社のグループ会社の定期的な役員会では全員参加で進捗報告をして、その後オンラインでお互いの悩みや困りごとを共有し合って、アイデアや経験を持ち合います。 そしてグループ会社じゃなくても、出資という関係でベンチャーエコシステムのメンバーとして繋がっている会社ともその関係があります。お金だけではなく、一緒に営業に行ったり、必要な人材を紹介したり、顧客を繋いだり。それがエコシステムの「流れを良くする」ということですね。今こうして話しながら、血流の流れを良くするというイメージが重なります。 -山口- 血流が滞るのは、身体の重さを支えることによる物理的な疲労もありますが、気疲れによる神経的なものもあります。物理的な疲労は動くことで解消できますが、気疲れの場合は感動や笑い、あるいは朝日を浴びながら呼吸と歩調を合わせてゆっくり歩くことでセロトニンが分泌されて、発想力が上がり、気持ちも整ってきます。経営者で朝に歩かれる方が多いのも、納得できますよね。 ぜひ、目が悪くなければサングラスはせずに朝歩いた方がいいですよ。目に光が入ることで、セロトニンがより多く分泌されるんです。これは研究者の方がしっかり確認されているデータです。 ■ 読者へのメッセージ — 最高のお医者さんは、あなたの体の中にいる -杉原- 最後に、読者の皆さんに向けて一言お願いします。 -山口- ぜひ、ご自身の体と健康のために投資してほしいと思います。健康は業績と直結しています。 皆さんにとって最高のお医者さんはどこにいると思いますか?有名な大学病院でしょうか?実は、皆さんの体の中に最高のお医者さんがいます。何か異変があると体はそれを脳に伝え、脳が解決策を体に指示する。それを担っているのが「自律神経」です。 この自律神経の多くは、背骨を通って体の各部位に届きます。つまり、背骨が健康であることは、全身の健康にとって極めて重要なんです。そして背骨と姿勢はイコールです。姿勢が崩れれば背骨も崩れる。だから、姿勢を整えることは自律神経を整えることにつながります。 また、関節は動かさないと動かなくなります。体がずっと丸まっていると、だんだん伸びなくなる。だからこそ、意識的に動かしてほしい。健康への投資が事業の成功につながります。少しでも皆さんのお力になれたら嬉しいです。ありがとうございました。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【青山一丁目カイロプラクティック】 院 長:山口博 所在地:東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山740 公式サイト:https://aoyama1.jp/ Part1の記事はこちらからご確認ください。 Part2の記事はこちらからご確認ください。  
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2026.06.02
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