COLUMN

デジタルポスティングがもたらす日本社会への貢献とは?

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2025.04.23

ディ・ポップスグループは、「リアルビジネス × テクノロジー × グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、100年後も社会から必要とされ続けるベンチャーエコシステムの実現を目指しています。

今回は、その中でも最初に掲げている「リアルビジネス × テクノロジー」の分野で当社の出資先であるクロスロケーションズPaykeの人流データ分析プラットフォーム 及び スマホの位置情報データを活用した「デジタルポスティング」の可能性について書いていきたいと思います。

デジタルポスティングとは従来の紙媒体を用いた広告配信をデジタル技術に置き換えたものであり、ターゲティング精度や効果測定能力を飛躍的に向上させる広告手法です。

1.デジタルポスティングの概要

デジタルポスティングは、位置情報、行動履歴、購買データなどのデジタルデータを活用し、特定のターゲット層にパーソナライズされた広告を配信する仕組みです。この手法は、企業が顧客との接点を最適化し、ROI(投資対効果)を最大化するための重要なツールとなっています。

2.戦略的意義

①ターゲティングの精緻化
デジタルポスティングでは、AIやデータ分析技術を駆使して顧客セグメントを細分化し、適切なタイミングで適切なメッセージを届けることが可能です。これにより、従来の一律的な広告配信から脱却し、顧客体験の質を向上させます。

②オペレーショナル効率の向上
紙媒体や人的リソースへの依存が減少し、広告運用コストが削減されます。また、リアルタイムで配信状況や効果測定が可能なため、PDCAサイクルを迅速に回すことができます。

③競争優位性の構築
デジタルポスティングは単なる広告手法ではなく、企業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として位置付けられます。これにより、顧客理解を深め、新たな収益モデルや事業機会を創出することが可能です。

3.実装における課題と成功要因

①課題
データプライバシーへの配慮や社内人材のスキル不足が障壁となる場合があります。

②成功要因
「コアテクノロジー近代化」や「データ主導型意思決定」の推進が鍵です。
デジタルポスティングは単なる技術導入ではなく、企業全体の競争力強化につながる戦略的アプローチです。その実現には、高度なデータ活用能力と組織変革が不可欠です。

4.ターゲティング精度とROIの向上

データやAI技術を活用し、顧客セグメントに基づいた精緻なターゲティングが可能となり、広告効果を最大化します。効果測定が容易であり、広告投資対効果(ROI)の向上が期待できます。

5.組織変革と競争優位性の確立

デジタルポスティングは単なる広告手法ではなく、企業全体のデジタル変革を加速させるツールとして位置付けられています。経営層から現場まで全社的な変革を支援し、クライアント企業が競争優位性を確立することを目指しています。

6.デジタルポスティングを導入する効果

①顧客体験の向上と収益増加
デジタルポスティングを活用することで、顧客ジャーニーを再構築し、パーソナライズされた広告配信が可能になります。これにより、顧客満足度が向上します。

②コスト削減と効率化
紙媒体や人的リソースへの依存を減らし、広告運用コストを削減できます。また、プロセスの自動化により、運用効率が大幅に向上します。

③データ活用による意思決定の強化
デジタルポスティングでは、膨大なデータを分析し、ターゲット層の行動やニーズを深く理解することで、戦略的なマーケティングが可能です。

7.持続可能性の向上

紙媒体を使用しないため環境負荷が軽減され、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)目標達成にも寄与します。これらの利益により、デジタルポスティングは企業の成長と持続的競争力強化において重要な役割を果たします。

8.最後に

私たちの暮らしは、日々進化を遂げています。その中で、「デジタルポスティング」という新しい形の情報発信が、私たちの生活をより豊かで便利に、そして何よりも幸せにしてくれる存在として注目されています。この技術は、単なる広告手法の進化にとどまらず、人と人、人と地域、そして人と未来をつなぐ架け橋となる可能性を秘めています。

①人々の時間を大切にする
忙しい毎日の中で、私たちは限られた時間をどう使うかに悩むことが多いものです。デジタルポスティングは、必要な情報を的確に、そしてタイムリーに届けることで、無駄な時間を省きます。例えば、自分が住む地域のイベント情報やお得なキャンペーンがスマートフォンやデジタルサイネージを通じて瞬時に届く。これにより、わざわざ探し回る手間もなくなり、その分、大切な人との時間や自分自身のための時間を確保できます。

②地域とのつながりを深める
デジタルポスティングは、単なる情報発信ではありません。それは地域社会とのつながりを深める「絆」のようなものです。地元のお店やイベント情報が身近に届くことで、「こんな素敵なお店があったんだ」「こんなイベントが開催されているんだ」と新しい発見が生まれます。それはまるで、自分の街がもっと好きになり、もっと誇らしく思えるような感覚です。地域全体が活気づき、人々の心も温かくなる。そんな未来が広がっています。

③環境にも優しい選択肢
従来の紙媒体によるポスティングは、多くの資源を必要とし、その廃棄物も課題となっていました。しかしデジタルポスティングは、環境負荷を大幅に軽減します。「地球に優しい選択」をすることで、私たち一人ひとりが未来の子どもたちへ美しい地球を残す一助となる。それは小さな行動かもしれませんが、大きな幸福へとつながる一歩です。

④人生を彩る「偶然」の出会い
デジタルポスティングには、「偶然」という魔法があります。普段気づかなかった情報や、新しい趣味、新しい友人との出会い。それらはすべて、この技術によって生まれる可能性です。一見何気ない情報でも、それが誰かの人生を変えるきっかけになることだってあるでしょう。「あの日あの場所で見た情報のおかげで今がある」そんな感動的なストーリーが、これから世界中で生まれていくはずです。

⑤幸せと便利さが共存する社会へ
デジタルポスティングは、人々の日常を少しずつ変えながら、大きな幸福感をもたらします。それはただ便利さだけではなく、人々の心に寄り添い、新しい価値観やつながりを提供するものです。この技術によって、一人ひとりが自分らしく輝ける社会、誰もが笑顔で暮らせる未来が実現するでしょう。
私たちの生活にそっと寄り添いながら、大きな変革をもたらすデジタルポスティング。その可能性は無限大です。そしてそれは、私たち自身が幸せになるだけでなく、次世代へと続く「幸せのバトン」を渡していく道しるべとなります。この新しい技術によって描かれる未来には、人々の笑顔と希望があふれていることでしょう。

D-POPS GROUP アドバイザー S.S

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そんな訳はありません。Win-Winの関係を築くには、市場創出という理念の一致だけではなく、相手方にとっての金銭的なメリットも必要でした。協業パートナーからは、Chromeを製品にバンドルすることにかかるコスト相応かそれ以上の対価が求められました。以下、いくつかの支払いモデルを示します。 ① レベニューシェアモデル ② バンドル台数に応じた支払いモデル ③ アクティベーション件数に応じた支払いモデル ④ これらの複合 ①は、ポータルサイトとの協業で主流だったモデルで、検索連動型広告から得られる収益からお互いの取り分(xx%)を分け合うモデル。収益が大きければ支払いも大きくなります。逆に言えば、Chromeが使われなければ支払いもされません。PCメーカーなど、バンドルするための作業コストや製造負荷がかかる事業者は、そのコストの補填を要求するので、ディストリビューションモデルには適しませんでした。 ②は、Chromeブラウザをバンドルしたパソコンの台数に応じて支払うモデル。パソコンメーカーにとっては、この手数料を当てにして製造原価を下げることができるので望ましいと受け止められました。ただしChromeが全く使われなかった場合、Googleにとっては痛手です。バンドル手数料を支払っても、そのパソコンからは検索連動広告の収益があがらないので、支払った手数料が無駄になってしまうからです。 そこで③です。あらかじめバンドルされたChromeブラウザが、ユーザーの手に渡り、初回起動された(=アクティベーション)ことを検知したら、その台数分だけ、支払いの対象とするというモデルで、双方にとって納得感のあるモデルです。 少し細かくなってしまいましたが、ここからが重要なポイントです。 この場合の、一台あたりに支払う手数料は、いくらまでなら許容されるでしょうか? 相手に言われるがまま無制限に支払っていては、Googleにとっての利益が上がらずメリットがありません。一方で少なすぎては協業したい企業とのディールは成立しません。そのさじ加減は、適当な感覚で決めるものではなく、非常に綿密な計算のもと、限界値を割り出し、そこを念頭に入れながら交渉をしなければならないのです。 ここでは、非常にざっくりとした仮定の数字を使って説明をします。 日本における単位検索件数(1000件)あたりの広告売上=50円 Chromeユーザーの1ヶ月あたりの検索数=200回 日本における平均的なパソコンの買い替えまでの年数=5年 Chromeブラウザ1つから期待できる将来収益 =50円 ÷1000 x (200 x 12ヶ月) x 5年 = 600円 よって、一台のアクティベーションから、将来パソコンが買い換えられるまでの間に600円の収益が見込まれる。それをベースに、販管費や開発コストなどと必要な利益を考慮した結果、例えばその1/3である200円までが、協業相手に支払いできる限度額になる、といった具合になります。 実際には、検索数の増加率やパソコン毎のユーザ特性も勘案した綿密なシミュレーションの上で割り出されるし、限度額もそのマーケットの競争環境によって上下します。そしてパソコンメーカーあたりの新規出荷台数は年間何百万台もあり、手数料支払額は数十億円にもなるため、非常に慎重で大がかりなディールとなります。 ここで示したモデルのポイントは、あらかじめその製品から見込まれるLTVを把握して、そのうちの何%までなら販売コストとして支払うことができるか、というディールの限界条件を決めた上で、営業戦略や業務提携契約の交渉に入る必要がある、ということです。 5. サブスク事業やSaaS事業への応用 さて、Chromeブラウザを題材にしたディストリビューションビジネスのファイナンシャルモデルを例としてご紹介しましたが、この考え方は、決して古いものではなく、現在盛んに新規事業が立ち上がっているサブスクリプション型事業やSaaS事業や月額料金制のモバイルアプリの販売戦略とも大いに関連するのです。 前記の②、③の先払い方式では、GoogleはChromeをバンドルしたパソコンが使われ始めても当分の間は一台当たりで見れば赤字です。複数のメーカーと協業を開始してからの当初数年間は深く赤字を掘りました。 しかし、ある時から、あらかじめパソコンに忍び込ませていたChromeの存在を知ったユーザーが検索を使い始め、徐々に検索連動型広告からの収益が上がりました。そのパソコンの台数が市場に流通するに連れて、Chromeディストリビューションビジネスは黒字に転換し、その後の売り上げはずっとGoogleの手取りになったのです。また、一度使い慣れてしまえば、そのユーザーはパソコンを買い替えてもまたChromeを使いたくなるといった具合に、メインブラウザのIEからChromeへの切り替えが進んだのでした。 ・・・そして現代。市場に溢れる各種SaaSやサブスク事業も同様です。ディストリビューションビジネスのような協業パートナーを開拓できれば、プロダクトを市場に投下した当初は一時的に赤字になっても、いずれ黒字転換し、以降はその勢いが加速するという販売戦略が実現可能です。 ただし、このことが成り立つのは、 ① LTVの予測と綿密な計算により販路コストの限度額を割り出す ② ストックビジネスの基本である低い解約率を維持する ③ Win-Win関係が継続する協業パートナーを開拓する の3点がとても重要となります。 以上、(株)ディ・ポップスグループがその基本戦略で掲げている、ストックビジネスをどのように拡販するのか、その営業戦略の参考となり得る、ディストリビューションというビジネスモデルについて、解説させていただきました。読者の皆さんのビジネスのヒントになれば幸いです。 これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
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