COLUMN

【ベンチャーエコシステム事例】CRMシステム開発と顧客のファン化-スマホ相談窓口 TOP1-

  • グループ企業
2025.08.13

株式会社ディ・ポップス(以下ディ・ポップス社)では、ベンチャーエコシステムを活用し、CRM開発をすることで、より顧客に寄り添った店舗づくりに取り組みました。
グループ会社との共同開発により、自社だけでは解決できなかった大きな課題を解決することができました。

本記事では、当社で抱えていた課題とベンチャーエコシステムを活用して課題解決にいたるまでについてまとめます。

1.携帯電話販売代理店の課題

携帯販売代理店は、消費者の携帯電話契約や端末購入の窓口として重要な役割を担っていますが、近年、様々な課題に直面しています。

①収益性と競争激化
日本国内の携帯電話普及率は非常に高く、新規契約の獲得が難しくなっています。市場が飽和状態にあるため大幅な契約件数の増加は見込みにくくなっています。
また、通信料の値下げと販売奨励金の減少や、各キャリアのオンライン販売強化、MVNO(格安SIM)の普及により、低価格な料金プランへの移行が進むことで、代理店の収益性が低下する原因となっています。

②複雑化する商品と顧客対応の難しさ
各通信キャリアの料金プランは非常に多岐にわたり、すべてのプランを理解し顧客に最適なプランを提案することが難しくなっています。特に、高齢者層など、ICTリテラシーが低い利用者にとっては、プラン変更やキャリア乗り換えの手続きが複雑で難しく、丁寧なサポートが求められます。

また、単なる新規契約獲得だけでなく、顧客の満足度を高めるための継続的なサポートが求められています。

③人材に関する課題
店舗での接客業務では、複雑な商品知識嫌顧客対応スキルが求められるため、人材の確保と育成が喫緊の課題です。また、定期的にメンバーの異動があることで、ご契約いただいたお客様の情報を正確に管理することが難しい状況で、認識の相違による「言った」「言わない」というトラブルが発生するケースもありました。

④アナログな店舗運営
各通信キャリアで、オンラインでの手続きやサポートが増える中で、ディ・ポップス社の「スマホ相談窓口 TOP1」では、来店予約方法が電話か来店の2択のみであったり、お客様からの問い合わせ内容をシステムで記録する手段がなく、用紙に手書きで書き残す等、アナログな方法で店舗を運営していました。

⑤顧客情報が通信キャリアに帰属
携帯販売代理店で各通信キャリアの契約手続きを行う場合、お客様の情報は各通信キャリアから支給された専用の機器にて手続きをします。そのため、顧客情報は通信キャリアに帰属し、代理店独自のサービスを提供する場合には、自社でCRM等のシステムを準備する必要があります。

これらの課題に対し、携帯販売代理店は、単なる販売拠点から、地域におけるサービス拠点や、より専門的な相談窓口へと役割を変化させていくことが求められています。

2.CRM活用による顧客のファン化の必要性

上記課題から、携帯販売代理店でリアル店舗を運営していくにあたり、下記の必要性について仮説を立てました。

①CRMと感情移入接客の融合による顧客のファン化
私たちは、接客をする上で「感情移入接客®」をモットーとしています。単なるニーズのヒアリングだけではなく、相手と心が通う関係構築をつくることを重視していますが、CRMを活用することで、そのお客様との応対履歴やお好み・ご利用状況を把握し、永続的に「スマホ相談窓口 TOP1」のファンとなっていただくことが必要です。

②アナログからDX化による効率化
世間のDX化が進む中、我々もユーザーニーズに合わせて来店予約や顧客情報の管理等のDX化・シームレス化が必要です。

③リアル店舗だからこそできるわかりやすい料金・サービス説明
「スマホ相談窓口 TOP1」は、複数の通信キャリアを中立公正にご案内できるリアル店舗だからこそ、各通信キャリアを比較し、お客様にピッタリなプランやサービスのご提案をすることが必要です。

④「スマホ使い方サポート」による専門店との差別化
ディ・ポップス独自のサービスである「スマホ使い方サポート」は、通信キャリアや端末・サービスの種類を問わず、スマホの操作や設定などの使い方をサポートするサービスです。

各通信キャリアも同様のサービスを提供していますが、その通信キャリアのサービスのみのサポートに限定されるなどの制限があります。複数の通信キャリアを取り扱っているからこそ、専門店と差別化を図れる独自のサービスを活用する事が必要です。

上記のような仮説を立てましたが、ディ・ポップスでは2020年8月に、他業種でシステム開発をしていたメンバーを元にIT部門を発足したものの、当初は社内メンバーのITリテラシーも低く、システムの開発やCRMに関するノウハウもありませんでした。

3.CRMシステム開発と顧客情報の活用

上記の仮説を解決するために「ベンチャーエコシステム」を活用した戦略を立てました。

CRMシステム開発と顧客情報を自社で活用できる状態にするために、グループ会社に協力を仰ぎ、下記戦略を立てました。

①CRMシステム開発による顧客情報の管理と運用
「スマホ相談窓口 TOP1」で契約できる通信会社すべてに対応し、顧客情報の管理だけでなく、来店予約情報・ご案内内容・書面データ・エビデンスの一元化など、スムーズにご案内できる環境を作るためのCRMシステムを開発する。

②セールスブック導入による通信キャリア比較の仕組化
各通信キャリアの料金プラン改定やサービス追加等の変化に柔軟に対応し、顧客に最適なプランをご案内するために、各通信キャリアの料金プランやサービスを比較できる「セールスブック」を導入する。

③CRMデータの活用による顧客のファン化
ご契約時にご加入いただいた料金プランや割引サービス、携帯電話(スマホ)の購入サポート加入状況により、一定期間を経過すると料金が上がってしまうお客様や、料金プラン改定によりプランの見直しをしたほうがよいお客様を見つけ出すこと。また、契約したその時だけでなく、常に最適なプランになるよう、継続でサポートをし続け、永続的に当社店舗をご利用いただける環境を作る。

上記の戦略を元に、グループ会社「株式会社テックビーンズ」「株式会社アットマーク・ソリューション」協力の元、CRMシステムの開発を進めました。

4.来店予約の開発からCRM開発・セールスブック運用

ここまでの、課題・仮説・戦略を元に、約4年かけて以下の開発・運用を進めました。

①来店予約システムの開発(2021年8月リリース)
まず初めに、株式会社テックビーンズ協力の元「来店予約システム」の開発に着手し、2021年8月にCRMシステム「DAMO」と「来店予約管理」機能をリリースしました。それまでは店頭もしくはお電話での予約しかできませんでしたが、コーポレートサイトやGBP(Googleビジネスプロフィール)へ掲載することで、WEBからのご予約を促せる環境を作りました。

②セールスブックの導入と運用(2023年3月リリース)
次に、お客様へ最適な通信会社と料金プランをご案内するための説明資料となる「セールスブック」を導入しました。まず、店舗メンバーやマネージャーと話し合いの上お客様へご案内する流れを洗い出し、お客様が理解しやすい流れのベースを作成しました。そして、それぞれの項目の中に、料金表や画像(絵)を入れながら「比較して選べる」説明ツールを作りました。このセールスブックは、使いながらよりわかりやすく新人メンバーでも説明しやすいツールになるよう、現在でも日々ブラッシュアップしています。

③CRMシステムの開発(2023年10月リリース)
来店予約管理機能に続き、2023年10月に株式会社テックビーンズ協力の元「ヒアリングシート(ご利用状況)」「お客様カルテ(通信キャリア契約状況)」「商談メモ(対応履歴)」「架電管理(電話対応管理)」機能をリリースしました。また、2024年3月に株式会社アットマーク・ソリューション協力の元「商談結果(ご契約情報)」機能をリリースしました。上記のリリースにより、お客様のご利用状況の確認、各通信キャリアの契約状況、当店での契約・対応内容を一元化することができました。

④CRMデータ入力の仕組化とデータ活用
上記のリリースにより、お客様のご利用状況の確認、各通信キャリアの契約状況、当店での契約・対応内容を一元化することができましたが、運用方法や入力方法の浸透が課題となりました。そこで、運用の流れをまとめた「運用マニュアル」を作成し、お客様へのご案内内容の最適解を見つけお客様へご案内できるよう週次で「データ集計・配信」を実施しています。

5.【顧客数5万人突破】来店予約から店舗対応のシームレス化

2021年8月に、来店予約機能をリリースしてから2025年5月末時点で管理顧客数が5万人を突破しました。また、来店予約から店舗でのご案内まで、シームレスに対応できるようになり、お客様のご要望やご利用状況についても、わざわざ引継ぎすることなく、エビデンスを残すことができるようになりました。

また、CRMシステムを活用する中で新たな課題を発見することができました。

①CRM管理の目的・運用の浸透
便利なシステムがリリースとなった一方で、今までのやり方からなかなか脱却できないことや、人によって運用の流れが変わることもあり、CRM管理の目的の理解に対する教育や、運用方法の統一化が新たな課題です。

②顧客情報の活用
また、管理されている顧客情報について、どのようにお客様へ最適解をご案内していくのかが今後の大きな課題です。

6.まとめ|ベンチャーエコシステム活用による可能性

本記事では、ベンチャーエコシステムを活用した「CRM(顧客管理システム)開発」と、より「顧客に寄り添った店舗づくり」への取り組みについてまとめました。

今回の取り組みは、自社で課題と感じていながらも、自社にはリソースがなく解決することが難しいと感じ、長年解決できずにいたことが解決する道につながりました。

ディ・ポップスグループ内のベンチャーエコシステムの活用により、中にはたった数か月で開発が進むものもあり、ベンチャーエコシステムの強みを再認識しました。
また、一度協業したから終わりということではなく、運用していくにあたり、日々改善が必要となり、グループ会社に協業できる環境があることの強さを感じました。

ディ・ポップス社では、引き続きベンチャーエコシステムの無限の可能性を活用し、より「感情移入接客®」を体現できる店舗づくりと、お客様に「スマホ相談窓口 TOP1」のファンになっていただける環境づくりに取り組んでまいります。

株式会社ディ・ポップス 営業本部 営業企画部/メディア営業部 マネージャー 石井花奈

 

【株式会社 ディ・ポップス】
代表者:代表取締役社長 増田 将人
所在地:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ32F
設 立:1998年2月
サイト:https://d-pops.co.jp/

 

 

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2025.12.18
【ベンチャーエコシステム事例】オンラインの壁を越えろ!『コドマモ』を全国の携帯ショップに広めた3社の挑戦
「子どもは学校でいじめられていないか?」 多くの保護者が抱えるこの不安を、AIの力で解消するペアレンタルコントロールアプリ『コドマモ』。 この革新的なサービスが今、全国の携帯ショップで存在感を高めています。これは、サービス提供元のAdora株式会社と、携帯ショップ事業で豊富なノウハウを持つ株式会社ディ・ポップス、そして全国の携帯ショップに強固なネットワークを持つアドバンサー株式会社の3社が、互いの強みを活かした戦略的パートナーシップを構築した結果です。 本記事では、ベンチャーエコシステムの同志である3社が、いかにして『コドマモ』を日本中に広めるという課題に挑み、解決へと導いたのかをまとめます。 【課題】『コドマモ』の認知度向上という壁 ①コドマモというサービスとは? Adoraが提供するペアレンタルコントロールアプリ『コドマモ』は、子どもの安全を守る革新的なサービスです。具体的には、お子さまと保護者のスマホにインストールしておくと、お子さまが危険なチャットに巻き込まれていることを検知したり、スマホの使いすぎを防ぐスクリーンタイムの制限をかけたり、歩きスマホの防止をしたりすることができます。 しかし、サービス提供開始当初、大きな課題に直面していました。それは、いかにして『コドマモ』の存在を必要とする人々に知ってもらうか、という認知度の壁でした。 ②当時のコドマモと顧客の接点は? 当時のコドマモと顧客との接点は、主にオンラインチャネルとアプリ内に限定されていました。SNSやウェブ広告を通じて公式サイトへの誘導を図るものの、受動的な広告配信だけでは、潜在顧客にリーチするのは困難でした。また、アプリ内のチャット機能は、既にサービスを知っているユーザーへのサポートに留まり、新規顧客との接点にはなり得ませんでした。「子どもは学校でいじめられていないか?」という不安を抱える多くの保護者がいる一方で、『コドマモ』がその解決策となりうることを知る機会が圧倒的に不足していたのです。この状況を打開しなければ、サービスが本当の意味で社会に貢献することはできませんでした。 【仮説】全国の携帯ショップが潜在顧客との接点となる 上記の課題を解決するため、私たちは仮説を立てました。それは、全国に広がる携帯ショップこそが、『コドマモ』と顧客を結びつける最適なタッチポイントになるのではないか、というものです。この仮説の実現には、「携帯ショップ運営のノウハウを持つディ・ポップス」と「全国の携帯ショップに強固なつながりを持つアドバンサー」の支援が不可欠でした。 携帯ショップで『コドマモ』を案内することには、多くのメリットがあります。 ①顧客との直接的な接点 子どもが初めてスマートフォンを持つ際など、来店した保護者に直接『コドマモ』を提案できます。 ②専門スタッフによるサポート 料金プランが複雑なように、多くのアプリの中から最適なものを選び、設定をサポートして欲しいというニーズは少なくありません。専門知識を持つスタッフが、親と子の両方のスマートフォンでアプリを使えるようにサポートできます。 ③継続的な相談窓口 サービス利用後に困りごとが生じた際も、店舗に直接相談できる安心感を提供できます。 オンラインだけでは解決できない課題に対し、リアル店舗での「face-to-face」の価値を最大限に活かすという構想は、D-POPS GROUPの事業展開の根幹である「リアル×テクノロジー×グループシナジー」を体現したものです。 【戦略】「販路拡大」「システム連携」「販売スキーム構築」という3本柱で全国展開へ 仮説を現実のものとするため、私たちは3つの柱からなる戦略を構築しました。 ①販路拡大 全国に約7,000店舗あるキャリアショップの中でも、圧倒的な店舗数を誇るドコモショップでの取り扱いを目指しました。そのためには、大手通信キャリアが設けている「独自商材申請制度」を活用する必要がありました。この制度は、販売店が独自の商品・サービスを取り扱う際に必要な承認プロセスです。ディ・ポップスが運営するドコモショップから申請を提出し、承認後にアドバンサーが持つ人材派遣先のネットワークを通じて、全国のドコモショップへの営業活動を展開する、という戦略を描きました。 ②システム連携 『コドマモ』は当初、アプリ内課金のみで、携帯ショップでの販売には適していませんでした。アプリ内課金という仕組みでは、店舗ごとの販売実績を正確に把握できず、決済手数料の高さから販売店への十分なインセンティブも提供できなかったのです。この課題を解決するため、私たちは販売店のビジネスモデルに寄り添ったシステム連携を模索し、販売実績の可視化と適切なインセンティブを実現する仕組みを構築しました。 ③販売スキーム構築 携帯ショップでの販売ノウハウが豊富なディ・ポップスのトップセールスメンバーとの協議を通じて、最も効果的な販売スキームを確立しました。具体的には、フィルタリングサービスの案内が義務付けられている18歳未満のお客様への提案と組み合わせることです。このスキームにより、保護者が子どものスマホの安全対策を考える、まさにその瞬間、コドマモを自然な形で選択肢として提案できるスキームを構築しました。 これらの戦略は、3社が密に連携することで、単なる計画から実行可能な全国展開へと昇華しました。 【実行】ベンチャーエコシステムが加速させた成長軌道 ここまでの課題・仮説・戦略を元に実行した内容を時系列でまとめました。 2024年7月: ディ・ポップスグループがAdoraに出資。 ※Adora株式会社への出資 プレスリリース 2024年8月: Adora、ディ・ポップス、アドバンサーの3社によるプロジェクトチームが発足。 2024年10月:スマホ相談窓口 TOP1での販売開始(2024年10月1日~) 最初のステップとして、ディ・ポップスの自社店舗『スマホ相談窓口 TOP1』で販売を開始。販売ノウハウを蓄積し、販促物をグループ会社のgraphDで制作しました。 2024年10月下旬:ディ・ポップスの運営するドコモショップでの独自商材申請の承認 蓄積した「販売ノウハウ」とドコモショップでの「独自商材申請の承認」を武器に全国のドコモショップへの営業を開始。「社会意義と収益性を兼ね備えた、スマホとセットで売りやすい商品」として多くの販売店から好意的な反応を得ました。 2025年2月:ディ・ポップスの運営する楽天モバイルショップでの独自商材申請の承認 将来的な店舗拡大を見据え、新たな販路を確保しました。 このように、ディ・ポップスグループのベンチャーエコシステムが、Adoraの成長を加速させる強力なエンジンとなりました。 【成果・次への挑戦】ドコモショップ約300店舗への拡大と、今後の課題 2024年11月から本格的に開始したドコモショップ向け販路拡大は、わずか1年足らずで約300店舗での取り扱いを実現しました。この急速な拡大は、3社の連携がもたらした大きな成果です。 しかし、次なる課題も見えてきました。それは、導入店舗での獲得数の向上です。導入店舗数が増える一方で、各店舗での獲得件数にはばらつきが生じています。この課題に対し、全国に拠点を置くアドバンサーが、携帯ショップでの販売経験を持つメンバーでサポートチームを新設しました。獲得に伸び悩む店舗への個別サポートを通じて、全体の底上げを図っています。 また、ディ・ポップスとアドバンサーの提携先であるMVNO企業や端末メーカーなど、さらなるパートナー企業への導入支援もAdoraと共同で進めています。 【まとめ】ベンチャーエコシステムが拓く、成長への無限の可能性 本記事では、ベンチャーエコシステムの同志である3社が連携することで、1社だけでは解決が困難だった『コドマモ』の認知度向上という課題に挑み、大きな成果を上げた事例をまとめました。 今回の取り組みは、単なる資金提供に留まらず、グループ内の各企業が持つ専門性とリソースを結集させることで、ベンチャー企業の成長を力強く支援する、新しい成功モデルといえるのでははいでしょうか。ディ・ポップスグループは、これからもベンチャーエコシステムの無限の可能性を活用し、社会に貢献する新たな価値を創出し続けます。 株式会社ディ・ポップス 坂巻彰一/アドバンサー株式会社 細田修平・大橋二三
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2025.10.30
【グループ会社インタビュー】株式会社プラスト 山下 友由 社長 真崎 二郎 専務 ~後編~
D-POPS GROUPでは、現在約24社のグループ会社が仲間となっています。 今回は、2024年9月にグループジョインした株式会社プラストの山下 友由 社長と真崎 二郎 専務へ、インタビューしました。 (こちらのインタビューは、2025年7月に実施しました。) 前編の記事は、こちらからご確認ください。 ◆導入事例のインタビュービデオについて -杉原- プラストのHP上に公開されている導入事例のインタビュービデオを拝見したのですが、あるお客様が、「社員の方が女性の方も男性の方も皆いい人柄で、なんか、会社の良さが、なんなら社長の良さがすごいよく分かって・・」とおっしゃっている姿がとても印象的でした。営業の方の誠実な姿勢が会社のブランドそのものになっている感じがしました。 -山下- ありがとうございます。お客様は商品やサービスを導入する前は『プラストに任せて大丈夫だろうか?』『同業種の経営者は導入して実際にどう感じているんだろう。』と心配をされる方も少なくはありません。そんな不安を少しでも解消していただくためにはお客様の声だと考えました。最初は、当たり前ですが0からお客様の声を1社1社にお願いして集めていきました。 徐々にそういったインタビューの件数が増えてくると、自社を客観視できるといいますか、例えば、なぜ当社とお付き合いをしていただけたのかとか、具体的にどのようにサポートをすればお客様が喜んでくださるとか今後のお客様へのサポートの方法の参考になってきました。「このように対応したらお客様は助かるよと言ってくださるんだ。」「こんな感じで一緒にお店のことを考えたらオーナーに喜んでいただけるんだ。」というような気づきがありました。 そしてインタビュー動画を視聴してみると、自分たちの強みとかも改めてお客様に教えていただけたりするので、「あ、ここがうちの強みなんだ」ということを理解できるし、じゃあここをもっとチームの強みとして出していこうと思えるなと感じています。 -杉原- 日本マーケティングリサーチ機構(JMRO)では『店舗アプリ制作部門 導入して良かったお客様の声公開インタビュー数』、『ホームページ制作部門 導入して良かったお客様の声公開インタビュー数』の2部門でNO.1を獲得されていましたね。 これだけのインタビューをされているのはすごいことだと思います。どうやってインタビューをされているんですか。 -山下- 実は契約の段階で、「もし導入して成果が出て満足したと感じていただけた場合、導入後のお客様のインタビューに後日ご協力をお願いしてもよろしいでしょうか?」というようなお話をさせていただいたり、契約書にそのお願いの内容も入れているんです。 お客様からは、『いい作品に仕上がったらいいよ』『効果が出たらうちも嬉しいし、その時はバンバン営業で使ってくれていいよ!』とおっしゃっていただけることが多いですね。正直恥ずかしいからちょっと遠慮するよと言われることが無いとは言えないですけどね。インタビュー動画に関してもほぼ当社のメディア制作課の映像チームで作っています。 -杉原- 素晴らしいですね。その動画を見たお客様や社員の皆さんはどんな反応をされるんですか。 -山下- まず社員については、社内のslackで、導入事例インタビューチャンネルのようなものを作っていて、インタビューが出た時は全社にインタビューが共有されます。 オフィスにあるモニターでも流れているものはあると思うんですけど、インタビューを全社で共有して、このサポートをしてくれているのは誰で、アポイントのご縁を繋げたのは誰で、営業担当は誰だということをみんなが知ることができて、この人のサポートはこんな風にしてくれてるんだ、とかがお客様が語ってくださることでわかるんです。 普段はは部署が違う人や営業職の人達はサポートチームがどれだけお客様に寄り添って仕事をしてくれているかというのをそこまで詳しくは知らないんです。 サポートについて触れてくれているお客様だと名指しで話してくれることがあるので、サポート担当やいい営業をしている担当にもスポットライトが当たるんですよね。 また、商談時に動画を視聴していただいたお客様の場合は、視聴後に『わかりました。御社に任せますよ』とおっしゃっていただけるケースもあったり、後日やっぱり導入しますとお電話をいただくことも少なくはないので、そういうお客様は導入後にいいお付き合いが出来るイメージが沸いてくださったんだと思います。 -杉原- そういう意味では、獲得に行く営業だけじゃなく、サポートの人も、社内の営業の人も、みんなに光が当たるように仕組み化していらっしゃるんですね。 -山下- そうですね。営業職だけでなく、普段数値化されないけれど大事な仕事をしてくれている従業員に光が当たるような仕組みづくりをすることにおいては、真崎と一緒に常に意識をしているかもしれないです。 もちろん営業会社だと営業が評価されやすいという面はあるとは思います。でも営業職だけが光が当たるよりはそれぞれの任された大事なポジションで頑張ってる人たちにしっかりと光が当たるようにした方が、全社がより一層盛り上がるなとは思っています。 -杉原- 経理とか人事とか、お客様と接点のないバックオフィスの人たちも重要ですよね。そういう方たちにも社内で光をあてる取り組みをされているんですか? -山下- 月間MVPというものをやっていまして、各事業部や部署から今月1番輝いていた人を選出しています。 月間MVPは、大体会社全体で15名程候補者が選出されます。その中からトップセールス賞、事業部MVP、そしてプラスト月間MVPを1名決定しています。最終的に受賞者については表彰状や副賞を授与していて、その結果をinstagramなど社外にも公開しています。公開する際にも本人やご家族、友人がそのSNSをみて『いい仕事をして活躍しているんだな』と思えるような取り上げ方も意識して広報担当が作成をしてくれています。 6月は日々みんなのシステム周りの相談にのってくれたり、今回の本社移転の時に土日も返上して対応してくれた情報システムチームのリーダーが全社のMVPでした。 時には営業成績がぶっちぎりのトップ営業マンがMVPをとったり、お客様から評価が高かったサポート担当がMVPをとったりなど、いろいろあります。 ◆社名の由来 -杉原- とても良い取り組みを聞くことができて良かったです。 続いての質問です。ミッション・バリューのページで、社名の由来としてPlan、Unique、Solution、これら全ての円を包括する形でTrustの円が覆っていることが印象的です。先のお客様の声にあるように、Plust社の皆さんとお客様との間に強い信頼関係が築かれているように思えます。 この理念のあたりを詳しくご説明いただけますか? -山下- Planは、お客様に対して目線合わせたプランを提供することで全力で取り組む。Uniqueは、お客様に対しての提案も我々独自のユニークな視点で提案していく。Solutionは、お客様の抱える問題を解決する。この3つの言葉の頭文字であるPLUS(プラス)というものを全力で取り組むことによって、最終的にお客さんからのTrust=信頼を勝ち取る。そんな意味を込めて社名を作っています。 これは設立からずっとそうで、先ほど理念を深く浸透させずに日々の経営をしていたというお話をさせていただきましたが、実は理念そのものはちゃんとあったんです。 ただ、その理念を日頃の事業に落とすと、掲げた理念と当時の現場との間にに大きなギャップが差があって、私が経営者として今よりももっと未熟で、それをうまく連動させられなかったんですよね。 -杉原- 社名の意味は設立時に決めていらっしゃったんですね。ミッションや理念は設立時と今も変わらないのですか? -山下- 基本的な理念の大元の部分は変わっていないんですけど、ミッションとか言語化とかビジョン・バリューなどは、3年くらい前に真崎と各事業部責任者たちが一緒に話し合って、半年がかりぐらいで完成させてくれました。バリューまで実現できるようなものを作るために、それぞれ立場が違う責任者たちが集まってそれを作って、一冊の本にしたんです。 バリューを決めるときも、「なんかプラストとしてこういう言葉をよくみんな使ってるよね」とか、「これってうちっぽくていいよね」とかいう感じのことを文字にしていきましたね。 -真崎- そうですね。理念も、最初はふわっと理念があったとしても、誰もそこを見たり、目指したりはしていなかったんです。 でも人も増えてきて、それではいけないよねという話で、山下からそういう機会を設けていただいて、理念屋ミッションなどを作るプロジェクトをやりました。 プラストとして大事にしなきゃいけないものは何なのか、プラストというみんなの幸せの基盤を続けていくにはどうしたらいいのかというのを、もう永遠のテーマにしたというところで理念を作って、ブランドブックという形で残しました。 ブランドブックができてからは、新しく入ってきた人にも伝えやすくなりました。ブランドブックを見せて「これを目指してます」と、これに共感できる人だけプラストで働いてほしいという風に伝えられるようになりました。採用の面でも、プラストの理念やミッション、ビジョン、5つのバリューなどを見て共感してくれて応募してくれる方もいらっしゃいます。 ◆地域貢献継続支援プロジェクト -杉原- HP上では広範囲の社会貢献活動の歴史を見ることができるのですが(過去累計約4千万円)、どういった想いで、これらの寄付や支援活動をされてきたのでしょうか? -山下- この活動は【地域貢献継続支援プロジェクト】という名称のプロジェクトなんですが、実は私達の日々の仕事というのは、言い方がよくないかもしれませんが、【究極のワンパターン】の仕事とも言えるんですよね。 営業活動して、丁寧にアポイントを取って、熱意をもって商談して、しっかりサポートをする、お客様のHPをご満足いただけるように制作するなど。 その日々の仕事に、もっと大義といいますか、自分たちが日々取り組んでいる仕事は世の中の役に立っていたり、誰かの幸せに繋がっているんだという風に思えた方が、より真剣に目の前の仕事に向き合えるんじゃないかなと思うんです。 あと、気持ち的にも、自分の仕事が誰かから『ありがとう』と言われると嬉しかったりするじゃないですか。ですので私達がやっていることはとても微力かもしれませんが、寄付や活動を通じて少しは困っている人たちの役に立っている実感があるといいなと思っています。 だから、純粋なボランティアに取り組んでいる方々のマインドとは少し違うかもしれないですね。 そういう意味では、少しでも誰かが喜んでくれたらいいなと感じられる。ただ、それを誰かが喜んでくれるからといって、自分たちのビジネスで利益を減らして、自分たちのビジネスがうまくいかなくなることはちょっと違うな、あまり格好よくないなと思うんです。 だからしっかり利益を上げて、普通は片方しかできないようなことを両方できたら、それは格好いいんじゃないかと。そう考えたらこれは絶対両方やることに意味があって、利益をしっかり出して、従業員の給与を還元して、会社としてはビジネスを成長させながら世の中に貢献することをやるという、これだったら誰も文句ないでしょっていうものをやりたいなと思っています。 これは可能な限り限りずっと続けていきたい活動です。 -杉原- 素晴らしい活動ですね。 続いての質問です。今年の5月に本社を移転しましたね。どんなコンセプトで新オフィスはデザインされたのでしょうか? -山下- 今回は同じビル内で11年ぶりの本社拡大リニューアルなんですが、各地域に営業所がある中で『ここが本社だ!』と思えるオフィスにしたいなと思ったんですよね。 内装もとことん業者の方と話し合ってこだわりましたが、ただ、おしゃれにしたい、かっこよくしたいというわけではなく、理念やブランドブックを反映させたものにさせたいなと考えました。 いろんな業者さんと色々話し合ったりして作って、今後長く使うものだと思ったので、派手ではなく、やっぱり出社したくなるような気がいい明るいオフィスにしたい。落ち着いてて、なんだか信頼がにじみ出ている。日々ストレスが溜まる仕事もたくさんあるので、せめて本社にいると少しでも癒される時間があったりとか、よりアイデアが出てくるような環境であったりなど、長く飽きないデザインにしたいと思って作りました。 ◆成長のための決断 -杉原- ありがとうございます。ところで、昨年秋にディ・ポップスグループ入りするご決断をされましたが、優良企業のプラスト社さんには当時多数の企業からM&Aのオファーがあったのではと容易に想像ができます。ディ・ポップスグループ入りをご決断された一番の要因は何だったのでしょうか? -山下- やっぱり後藤社長じゃないですかね。他にもいろいろな上場企業の社長や役員の方とお会いして本当に素晴らしい方がたくさんいらっしゃったんですけど、うちのグループをこうしてほしいとか、こういう分野で活躍してほしいみたいなお話はされますが、私やプラストがどうしていきたいかという質問はあんまりされなかったんです。 真崎にも話はしてるんですけど、会社を立ち上げた創業者である自分にとって、たとえ大企業であろうとどこかのグループに入るということは、実は簡単な決断ではなくて。 それに、もしその決断をするのであれば、本当にプラストや会社で働く従業員のみんなにとって明るい未来に繋がっていくようなグループ入りじゃないと意味がないなと考えていたんです。 その中で後藤社長は唯一、「山下さんは今後どうされていきたいんですか。」ということをメインで聞いてくださって、その私の想いをまず先に聞いてくださったことがとても嬉しくて、自分自身も経営者として更に成長していきたいし、理念を実現できるように会社ももっともっと発展させていきたい、その上で実はこういうことを考えてて、こういうことが今後将来的に悩むと思ったので、なんてお話をしました。 その中で何回かお会いしてお食事もさせていただいたりする中で、後藤社長から『今後も山下さん主導でプラストの経営はお任せします。ディ・ポップスグループは山下さんや皆さんが目指すプラストの発展と飛躍を後方から支援する強力な応援団としてありたいと思っています。』ということをおっしゃっていただけて、その言葉は私の中で凄く大きく、今後一緒にお仕事させていただくイメージがすごく湧きました。 それもあってほぼほぼ気持ち的にも後藤社長と、ディ・ポップスグループと共に会社を発展させていく決断をしかけた時に、真崎と2人で食事に行って、グループ入りを考えていること、今後考えていることを色々と伝え、相談したところ、真崎も賛成してくれました。 社内に展開したのは、9月の決算が終わって10月くらいから、社員に説明しました。段階を追って7回ぐらい説明しましたね。 -杉原- 真崎さんは、山下社長からグループジョインの話を聞かれてどう思われましたか? -真崎- 最初に山下から聞いた時は、会社も人が増えてきて、我々だけでこのままずっと何年も続けていくには考えなきゃいけないねというところに差し掛かってきて、山下も色々考えていたときでした。そんな時に話を突然聞かされて、今後出てくる様々な問題を解決するには、やっぱりグループ入りが最善の策なんだなと思いました。いろいろとお話を聞かせていただいて、納得はしていたので。 それと、今までもそうなんですけど、山下が認めたというか、惚れた方っていうのは、大体素晴らしい方たちだったので、そこは間違いないなっていう信頼がありました。私はその時後藤社長とは面識が全然なかったんですけど、そのあたりは全く心配していませんでした。 -杉原- グループ入りの調印の日の夜に千本会長主催のチャリティパーティーがあって、その日に山下社長と真崎さんも参加されたんですよね。 -真崎- そうでしたね。私が埼玉のオフィスで仕事していたら電話がかかってきて、今からすぐに日本橋に来てくれといわれました。(笑)そんなすごい人のパーティがあるのかと思って即日本橋に行って参加させていただきましたけど、行ったら参加者の方もすごい方ばかりでしたね。でも素晴らしい会に参加して、貴重なお話をお聞きすることができてとても良かったです。 ◆「ベンチャーエコシステムの実現」に向けて -杉原- D-POPS GROUPでは、「ベンチャーエコシステムの実現を目指す」をスローガンにしていますがその目標に共感する部分はどんなところですか?共にベンチャーエコシステム作りを目指す上での意識や活動などはありますか? -山下- ベンチャーエコシステムに関しては、我々プラストとしてのグループ会社が今3社ある中で、ある意味小さいベンチャーシステムがうちのグループ内でもあるので、協力しながら仕事することによって、事業部の垣根を超えてシナジーが生まれることを実感しています。 ホームページのサポートメンバーがOA機器であるセキュリティ商材を販売したりとか、ホームページを作りたいという企業さんでいらっしゃった時に紹介が生まれたりとか、そういったことが事業部の垣根を超えて起こってること考えると、グループがやろうとしてるベンチャーエコシステムが、外に請求書が出てるものを、グループ内で請求書が回るようになったりするだけでもお金が回ってもきますし、新たなビジネスが生まれるかもしれないしということはすごく共感はできるので、この仕組みが会社が倒産せずに生き残っていける1つの方法としていいんだろうなということを自分たちの経営の中でも感じてますね。 ◆5年後の理想の姿 -杉原- ありがとうございます。プラスト社の5年後の理想の姿を教えていただけますか? -山下- 理想はやっぱり今以上に多くの人にプラストで働いてて良かったなって思える人が増えていることが理想です。 売上はあくまでも目的ではなく手段と考えていますので、これぐらいの売上になってたいとか、こうなってたいってのは正直そこまで意識をしていないかもしれません。 ただ、自分自身も一緒に働くみんなにとっても自分たちのバリューである「最新が最高」であり続けたいなということにはこだわっていたので、『あの頃は良かった』『あの時は私は凄かったのよ。』と過去の栄光やいい思い出話でお酒を飲むより、チャレンジを沢山して失敗も重ねつつ、今よりも多くの従業員のみんなと共に、今の自分達が過去最高のプラストだよねっていうことを5年後も笑って話していたいなと思います。 -杉原- では、従業員や関わる人たちみんなが幸せと思える未来に向けての課題と取り組みを挙げていただけますか。 -真崎- 今まで20年やってこられたっていうことと共通するんですけど、あまり未来っていうのを考えてこなかったというか、いい意味で、過去の未来ではなくて、今現在がどうなのか、今現在が1番じゃないとダメだよねという考え方なんですよね。 なので、あんまり先を見すぎるのも良くないし、過去は絶対に振り返ってはいけないと思うんですけど、今現在幸せなのか、過去最高なのかというのを意識しながら、1年1年積み重ねてきた結果が今なんじゃないかなと思っています。 この5年後というと、もちろん経営側としては考えていかなきゃいけないんですけど、数字的な目標はあまりなくて、ひとつだけ言えることは、業績は可能な限り毎年過去を更新し続けていきたいなっていうのがありますね。 -山下- 実は5年計画、10年計画を立てていた時期もあったんですけど、リーマンショック、東日本大震災が発生したり、コロナ渦があったりとか、また能登半島地震があったり、数年ごとに予期せぬことが起こっていて計画通りにいかないんですよね。その経験から、地味ではありますが、ベストを尽くし毎日を積み重ねていく、そんなことを地味に継続し続けることが結局は明るい未来に繋がっていく最短の方法なのではないかとこの21年で感じています。 ◆ホームページを訪問した読者に向けて一言 -杉原- では最後に、このホームページを訪問した読者の方に一言お願いいたします。 -山下- じゃあ、私はグループにジョインすることを少し検討している創業社長に向けてお話します。私のような創業社長は長年自分たちでやってきて途中でグループに入ることになると、結構抵抗ある方もいらっしゃると思います。 私もその抵抗があって、いろんな葛藤があったんですけど、D-POPS GROUPは本当に経営を任せてもらえる。 かつその応援団としてバックでしっかり支えてくれるっていう、そういう風な意識を持ちながら、より自分たちのこの会社が成長することを支えてくれるようなグループだと思ってるので、もし検討をしてる人がいたら1回話聞いてみてもいいんじゃないかなとは思いますし、もしそういった素晴らしい方がグループに加わってくれるとこちらも刺激になるので、ますますちょっと面白くなるかなと思ってますので、もしご縁があったらぜひよろしくお願いします。 -真崎- D-POPS GROUPに入って、素晴らしい経営者の方やアドバイザーの方たちがいらっしゃるので、そういった方たちから貴重なアドバイスをいただけるっていうのが、今までになかったプラスの強みになってくるんじゃないかなと思います。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太   【株式会社プラスト】 代表者:代表取締役 山下 友由 所在地:埼玉県さいたま市中央区新都心11-2 明治安田生命さいたま新都心ビル20階・23階 設 立:平成16年10月22日 U R L:https://www.plust.jp/
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2025.09.25
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