COLUMN

在庫回転率とは?~小売業の隠れたプラットフォーム~

  • MEDIA
2025.02.28

ディ・ポップスグループは、「リアルビジネス × テクノロジー × グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、100年後も社会から必要とされ続けるベンチャーエコシステムの実現を目指しています。今回は、その中でも最初に掲げている「リアルビジネス」を行う上での重要なポイントとなる「在庫回転率」について解説してまいります。

「リアルビジネス」といっても多種多様なビジネスがあります。今回は「在庫回転率」のお話になるため「リアルビジネス」の中でも、在庫をもちビジネスを行う小売業にスポットをあて解説していきたいと思います。

 

1.小売業を経営する上で着目してもらいたいポイント
小売業を経営する上で大切にするポイントは沢山あります。売上高、利益率、販売点数、販売単価、等など、、、、数あるポイントがあるなかで、小売業を経営する上で着目すべきポイントとは何か?ズバリ在庫回転率ではないかと思います。なぜ在庫回転率が重要か、以下順をおってご説明いたします。

2.在庫回転率とは
まず、在庫回転率とは、商品の在庫が売上に対して適性であるかを判断する指標で、限界値はありますが回転率が高ければ高いほど良いとされます。一般的には年間の売上高を期末の在庫高で割った計算式により算出されます。

例えば
年間6000億円の売上高の会社で在庫が2000億円あれば、在庫回転率は3回転/年
年間400億円の売上高の会社で在庫が20億円であれば、在庫回転率は20回転/年
となります。

小売業の中でも業態により違いますが、一般的には年間12回転以上が(1ヶ月の売上で在庫の金額が賄える水準)標準的と言われています。

3.なぜ在庫回転率が重要か?
在庫回転率がなぜ重要か、以下の例を元に解説してみたいと思います。

扱い商品や業界が違う会社同士は比較がしにくくわかりづらいので、比較がしやすい様に同じ商品を販売していて、売上規模が同程度の家電販売店をモデルケースに解説していきたいと思います。(モデルケースの会社は架空の会社ですが、実際の会社がベースとなっております。)

【モデルケース】
・家電販売店A社 店舗数550店 従業員数16000人(内臨時従業員8500人)
売上高7300億円、売上総利益2080億円、利益率28.5%、経常利益350億円、
経常利益率4.8%、在庫高1600億円、在庫回転率4.6回転/年
・家電量販店B社 店舗数24店 従業員数5000人
売上高7500億円、売上総利益2250億、利益率30%、経常利益550億円、
経常利益率7.3%、在庫高380億円、在庫回転率18回転/年

家電販売店業界の中で収益ベースでは1位、2位の会社といっても過言ではない非常に優秀な会社がA社、B社です。A社は郊外型、B社は都市型で主な違いは立地による店舗数となりますが、見比べていただき一番違うポイントとしてみていただきたいのが、在庫高とそれに伴う在庫回転率です。

どちらも売り上げは7000億円程度ですが、A社は7000億円程度の売上を作る為に保持している在庫が1600億円、B社は7000億円程度の売上を作る為に保持している在庫が380億円で在庫高が1220億円も違います。在庫が1220億円違うということは、単純に考えればA社は在庫で、B社は現金で持っていると考えることができます。在庫回転率の4倍程度の差が、が大きなキャッシュフローの差につながっています。

ちなみにA社の時価総額は2600億円程度ですのでB社との在庫回転率から生み出される在庫の差額(1220億円)が時価総額の半分くらいになるというと、この差がどれだけ大きいかということがお分かりいただけると思います。

多少の違いがあれど、同じ商品をあつかっている家電販売店業界ではA社、B社以外をみても、売上総利益率は大体28-30%程度でどの会社も同じような水準となっています。家電販売店だけでなく、他の業態もそうかと思いますが、同じ商品をあつかっている業態で同じような売上規模だと売上総利益率に大きな差は出にくいです。

A社、B社の比較の場合でも売上総利益率の差は1.5%程度、額で100億円/年程度の差となりこれも非常に大きな数字ではあるものの、在庫回転率からでる差である1220億と比べると売上総利益率の差は、10分1以下のインパクトであると考えることが出来ると思います(在庫回転率でのキャッシュの差を売上総利益の差で解消するには単純に考えて12年かかるためです)。

今回はわかりやすい例として、同じ商品を販売していて、売上規模が同程度の家電販売店をモデルケースとして解説いたしましたが、店舗を作り、在庫を仕入れ、従業員を雇う等、キャッシュが先行してかかる業態である小売業で重要な指標の1つは間違いなく在庫回転率です。今回のモデルケースの様に同じ商品を扱っている業界はもちろん、商品そのもので差別化ができ、売上総利益で大きく差をつけることができるアパレルや製造小売でも、小売業では在庫は必要で在庫から逃げることはできません。

業界水準を大きく上回る在庫回転率を実現することができれば、ビジネスをする上で避けて通れない競合他社との競争上において、大きなアドバンテージを持つことに直結していきます。

4.在庫回転率の上げ方
在庫回転率の重要性はご認識いただけたかと思いますので、在庫回転率を如何に上げるか?というお話をさせていただきます。単純に在庫を減らせば在庫回転率が上がるのか?というとそうではありません。当たり前ですがただ在庫減らすだけだと売れる商品からなくなり売上が減るので在庫も減りますが、在庫回転率は上がりません。それどころかお客様の欲しい商品が無いお店となり、店舗存続の危機になりかねません。

「言うは易く行うは難し」なことではありますが、売れる商品を売れるタイミングで売れるだけ仕入れるという当たり前なことを実現することが在庫回転率の向上につながります。

在庫回転率の高い会社は例外なく、テクノロジーにより在庫数や販売数の可視化が出来ており、自動化も進みタイムリーに売れる商品を売れるだけ仕入れています。また、物流網に投資がなされており店舗で商品が売れてから次の商品が入荷するまでのリードタイムをできる限り短くすることも実現しています。

そして最大のポイントはテクノロジーや物流の様な仕組みだけでなく、会社全体にキャッシュフローで経営していくための在庫回転率の重要性の教育がなされており、テクノロジーや物流を教育の行き届いた従業員が血の通った運営をしています。

ヒト×テクノロジー×仕組みの掛け算こそが、在庫回転率を向上させるポイントなります。

5.まとめ
今回は「リアルビジネス」の中で、小売業を行う上でのポイントなる在庫回転率のお話をさせていただきました。小売業を経営されている方の多くは、売上や売上総利益率を追いかけているかと思います。もちろん売上が無ければそもそも収入がないので成り立ちませんし、売上総利益率1%ではさすがにビジネスを成り立たせるのは難しいと思います。

こういった極端な例はさておき、小売業は商品をお客様に購入いただき成り立っています。お客様の欲しい商品が欲しい時にあるということが必須でその為に商品を先に購入し在庫として店舗に置いています。この在庫の最適化こそが、在庫回転率として数値化され、キャッシュフローの最大化につながり、他のポイントとは比べ物にならないほどの競合他社とのアドバンテージポイントになります。

売上や売上総利益率と比べ表に出てくることが少ない、まさに小売業の隠れたプラットフォームといえると思います。

現在「リアルビジネス」を生かすためには、テクノロジーや仕組みは必須です。ただ、テクノロジーや仕組みを使うのはヒトであり、「リアルビジネス」の最後のお客様接点もヒトであります。結局「リアルビジネス」を生かすためには、1人1人のヒトの力を最大限に生かした、ヒト×テクノロジー×仕組みの掛け算であると、ディ・ポップスグループは考えます。

その考えの元、ヒトが輝くため、また社会課題解決のために「リアルビジネス」を行っているベンチャー企業に対して、出資を通じた支援と「リアルビジネス」の価値を通じたグループエコシステムの実現を目指しています。

これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。

D-POPS GROUP 常務執行役員 渡辺哲也

関連記事

D-POPS GROUPのCVC投資活動について~エコシステムの仲間探し~
ディ・ポップスグループでは、ベンチャーエコシステムを、「共通のアイデンティティと理念の元に集まり、革新性の高い事業モデルにより、社会課題解決に挑戦し続ける企業群の集合体を支える、成長と永続のためのプラットフォームのこと」と捉え、その理想の形の実現に向けて日々挑戦と努力を続けています。 ※詳しくはこちらをお読みください。「ベンチャーエコシステムとは?」 その活動の一貫として、年間で産み出された利益を元手に、ベンチャー企業への支援、すなわちCVC投資活動を行っています。以下、その活動についてご説明致します。 1. 投資基準 多くの事業会社がCVC投資活動を行っていますが、一般的にはその利益への貢献や投資先の成功確率は低いものです。ただ、当グループとしては、単なる利益追求のための投資ではなく、エコシステムの仲間作りである事と、20社以上の事業会社から構成されるグループ(投資会社を含めると50社以上のグループ)と共に成長する事を重視して基本方針を立て、それに基づいた活動をしています。 (1)事業領域 ①「リアルビジネス x テクノロジー x グループシナジー」そして何よりもその土台となる「x ヒト」これらの要素が複数あることを大切にしています。 グループの祖業が、携帯ショップ事業やそこから派生した人材ビジネス、そしてさらにソリューション事業、テクノロジー事業と発展してきたため、当グループでは祖業であるリアル、つまり実店舗や土地に関わり形ある物を扱うというような経済活動に、他社にはない強みを持っています。AIがどれだけ普及しても、最後のチューニング部分は人が必要です。むしろ未来は人間力がより重要になってくるでしょう。AIはあくまでも人の能力を最大限に活かすツールであると考え、人を活かす取り組みを応援したいと考えています。そして最後に、それらのベースにはテクノロジーを活用していることを重視しています。 これら全てが揃う必要はありませんが、複数ある、もしくはこのいずれかに強烈な強みがあるかどうかを、まず最初に確認しております。 ②ICT・DX領域に注力していることが望ましい 必須条件ではありませんが、グループ各社とのシナジーの産み出し易さを考慮すると、情報通信業に関連する事業、DX領域に取り組んでいる企業であれば、知見の共有やグループ内での協業、そして、タッグを組んで営業活動をするといったシナジーが期待できます。 ③取り組むべき社会課題であるか、また市場成長性の高さ 当グループは、”企業は社会の公器である”と考え、ただ儲かりさえすればいい、という考え方でビジネスを行っていません。それが本当に取り組むべき社会課題なのかどうかは重要な検討項目になります。また、その市場が成長しているかどうか、その成長領域の中で対象企業の競争優位性が明確にあるか、は当然のこととして検討の対象となります。 (2)理想とする創業者像 エコシステムの成長のためには、多様性はもちろん重要ですが、多様性を尊重しつつも、外してはいけない「人物像」というものがあります。D-POPS GROUPでは、投資対象企業の創業者と経営陣の方々が、次のような人物像であるかどうかを、仲間に入って頂く上で、重要な判断材料としています。 ①社会貢献意識、社会を変革する志の高い起業家 ②何事にも挑戦する、アントレプレナー精神がある ③誠実、謙虚、感謝、正直、倹約、粘り強さ、という姿勢 (3)ステージとモデル 一般的なVCファンドが明確に規定する、資金調達のステージや事業モデルには強い拘りはありません。シードからシリーズA、B、そしてレイターまで、幅広く支援しています。また、B2CかB2Bかについても、グループ内にはいずれのモデルの企業もあり、またアドバイザー陣も様々な経験を積んできているので、希望に応じて伴走することが可能です。 ただ一つモデルに関して拘りがあるとすれば、ストック型の収益モデルであり、尚且つプラットフォーム型のビジネスモデルであるかどうかはチェックさせて頂いています。グループの、人を大切にする、顧客との長期的な関係作りを重視する文化、そしてエコシステム全体の安定成長のためには、積み上げ式 且つ プラットフォーム型の事業モデルであることが望ましいと考えているからです。 2. 2024年度の投資実績 2024年以前からもディ・ポップスグループではCVC投資活動を行ってきましたが、特に2024年度からは、投資委員会を設け、この投資方針に準ずる形で活動を進めています。すなわち、全ての候補企業につき、投資委員会で審議をし、全員一致した場合のみ代表取締役に申請をし、適切なデューデリジェンスを実施し、全て合格となった場合のみ、出資契約を締結する、というプロセスを踏みました。その結果、2024年度は以下の8社のベンチャー企業に出資を実施しました。(2024年3月~2025年2月末) ①(株)フラクトライト https://fluctlight.ai/ 「人々の豊かな暮らしを実現するために、AIをつかった便利なサービスを開発し、日本の人材不足を解決します」を社是とし、生成AI技術を用いた新サービスの開発に取り組んでいます。 ②The Salons Japan(株)(※資本業務提携) https://www.thesalons.co/ 「美容師に、真の独立を」を社是とし、完全個室美容モール『THE SALONS』を展開・運営する、正にリアルなビジネスであり、また専門スキルを持つ人を応援する企業です。 ③Adora(株) https://www.kodomamo.com/ AIを活用したペアレンタルコントロールアプリ「コドマモ」の開発及び運営を行うベンチャー企業で、子供を守る、AIを駆使している、という点で投資方針に合致しました。 ④クロスロケーションズ(株) https://www.x-locations.com/ 「多種多様な位置情報や空間情報を意味のあるかたちで結合・解析・可視化し、誰でも活用できるようにすること」を掲げ、既に多くの顧客を抱え、投資基準にも合致しました。 ⑤(株)Lezily https://corp.lezily.com/ 「脱”気合いと根性”を目指した日本初のメンタル版パーソナルトレーニング」により、世の中からメンタル不調者を無くす事を目指しています。人を大切にする想いに共感しました。 ⑥(株)BLUEISH https://www.blueish.co.jp/ 「AIで未来を創造し、ビジネスの可能性を無限に広げる」を理念に掲げ、業務プロセスの効率化を支援します。経営陣の人柄とAIに関する知見の深さに惹かれ出資を決めました。 ⑦(株)Payke https://payke.co.jp/ 訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke」の開発・運営を行う企業。そのアプリは最も訪日外国人に使われているアプリの一つで正にリアルと人を象徴する事業です。 ⑧(株)ワークポート https://www.workport.co.jp/ 「限りなく誠実に、極めて合理的に。人と企業をありたい未来へつなぐ。」をパーパスに掲げる人材紹介・育成の企業です。”働く人の頼れる港”作りを応援します。 これまでの投資ポートフォリオ企業はこちらをご覧ください。 https://d-pops-group.co.jp/group/ https://d-pops-group.co.jp/press-release/ 3. 出資後の伴走活動 当グループのCVC活動においては、特に出資先への伴走、すなわち事業運営のサポートを大事にしています。ほんの一端ですが、そのような伴走活動の一部をご紹介します。 (1)グループ会社での試験的導入 Lezily社、クロスロケーションズ社、BLUEISH社のサービス・商品をグループ会社の一部でテスト利用させていただき、その使用感のフィードバックをしたり、営業開拓先のヒントを得たりして、協業の準備をしました。 (2)グループ会社との協業 Adora社とはディ・ポップスが運営するTOP1ショップ全店で契約取次をする他、グループのアドバンサーの支援により、全国のキャリアショップや量販店スマホショップでの取り扱いの交渉をしています。また、BLUEISH社とは、グループのA社とB社とで新ソリューションを開発する取り組みも行っています。 (3)新規顧客と協業先の開拓 ほぼ全ての投資先に関して、その新規顧客候補となる企業や、代理店候補となる大手企業をご紹介してきました。アドバイザー陣の幅広い人脈と、エコシステム内で同じ社会課題に取り組む企業があるおかげで、比較的スムーズにお繋ぎ活動が進んでいます。 (4)その他経営相談 一見するとシナジーが無さそうに見えるThe Salons Japan社ですが、その店舗(美容モール)の開拓とサブリースモデルは、正に不動産業です。そしてディ・ポップスが行ってきた携帯ショップ網の拡大も同じく不動産業とも言えます。その経営者同士の定期的な壁打ちがブランド力を高める店舗開発に活かされています。 このようにして、ベンチャー企業にはやや足りない、人的リソース、顧客基盤、組織力、人脈、経験といったものを注ぐことで、新たにエコシステムの仲間入りした企業の支援に心血を注いでいます。ディ・ポップスグループのCVC投資活動では、資金支援だけでなく、むしろそれ以上に、この伴走活動を重視しています。 4. 未来構想 「ベンチャーエコシステムとは?」のコラム記事で記載したように、ディ・ポップスグループでは、エコシステム内でのコラボレーションや、学び合いと助け合いをとても大事にしています。その具現化として、最近では次のような活動も始めました。 (1)事業紹介&懇親会イベント 新たに出資したスタートアップの創業者の方に登壇いただき、その事業説明と質疑応答のイベント、それに続く夜の懇親会、というパッケージを始めました。当グループの各社のリーダー達は、アントレプレナー精神に溢れる人ばかりなので、躍進中のベンチャーのモデル、凄まじい苦境を乗り越えた逸話、個性豊かな起業家達の話は大いに興味を持ちます。彼らの話から刺激を受け、また、良い質問により新しいアイデアの種をお互いに見つける、良いきっかけとなりました。そして夜は居酒屋に移り、参加者皆で囲んで更に質問責めとなり(笑)、二度盛り上がりました。 これまでにBLUEISH社の為藤社長とPayke社の古田社長にご登壇いただきましたが、できればこのような勉強会を毎月一回程度開催していき、数多くのエコシステム内の企業に登壇して頂き、様々な軸で勉強会を開いていきたいと考えています。 また、エコシステム全体が成長し永続するための施策として、出資比率に関わらず、将来的には以下のような活動も加えていきたいと考えます。 (2)交流 CxOやエンジニア、マーケターなど、異なる企業の同じ立場や職種のメンバー同士で人材の交流や情報交換を行い、刺激し合う。エコシステム内での短期留学や出向、そして人材の転籍なども可能な仕組み作りをしていきたいと考えます。 (3)互助 経理部門や営業部門など、ノウハウの伝授と吸収目的、また、新チャネルや新システムの立ち上げ期など、一時的に企業Aで人員が不足する時に、その時期に人員に余裕がある企業Bから人材を送り、レスキューをすることもあります。企業Bが同じ状況になった時には、企業Cがヘルプ要員を送り込む、”お互い様”な関係が、エコシステム内では成り立ちます。 (4)OB・OG いずれグループ内には、上場や前向きな事業譲渡によりexitに成功する経営者も現われるでしょう。中にはその会社を卒業するメンバーもいます。しかし、企業理念や誠実・謙虚・感謝といった人としての理念が一致していればこそ、卒業してもOB・OGは共通の仲間です。先ほどの勉強会に講師として登壇してもらったり、成績が振るわない企業の再建に一時的な代打経営者として取り組んでもらうなどができます。 —- 以上、(株)ディ・ポップスグループが取り組むベンチャーエコシステムを実現する活動の一環として、CVC投資活動のその方針と2024年度の実績について、簡単にご紹介させていただきました。 これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
  • MEDIA
2025.05.12
デジタルポスティングがもたらす日本社会への貢献とは?
ディ・ポップスグループは、「リアルビジネス × テクノロジー × グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、100年後も社会から必要とされ続けるベンチャーエコシステムの実現を目指しています。 今回は、その中でも最初に掲げている「リアルビジネス × テクノロジー」の分野で当社の出資先であるクロスロケーションズやPaykeの人流データ分析プラットフォーム 及び スマホの位置情報データを活用した「デジタルポスティング」の可能性について書いていきたいと思います。 デジタルポスティングとは従来の紙媒体を用いた広告配信をデジタル技術に置き換えたものであり、ターゲティング精度や効果測定能力を飛躍的に向上させる広告手法です。 1.デジタルポスティングの概要 デジタルポスティングは、位置情報、行動履歴、購買データなどのデジタルデータを活用し、特定のターゲット層にパーソナライズされた広告を配信する仕組みです。この手法は、企業が顧客との接点を最適化し、ROI(投資対効果)を最大化するための重要なツールとなっています。 2.戦略的意義 ①ターゲティングの精緻化 デジタルポスティングでは、AIやデータ分析技術を駆使して顧客セグメントを細分化し、適切なタイミングで適切なメッセージを届けることが可能です。これにより、従来の一律的な広告配信から脱却し、顧客体験の質を向上させます。 ②オペレーショナル効率の向上 紙媒体や人的リソースへの依存が減少し、広告運用コストが削減されます。また、リアルタイムで配信状況や効果測定が可能なため、PDCAサイクルを迅速に回すことができます。 ③競争優位性の構築 デジタルポスティングは単なる広告手法ではなく、企業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として位置付けられます。これにより、顧客理解を深め、新たな収益モデルや事業機会を創出することが可能です。 3.実装における課題と成功要因 ①課題 データプライバシーへの配慮や社内人材のスキル不足が障壁となる場合があります。 ②成功要因 「コアテクノロジー近代化」や「データ主導型意思決定」の推進が鍵です。 デジタルポスティングは単なる技術導入ではなく、企業全体の競争力強化につながる戦略的アプローチです。その実現には、高度なデータ活用能力と組織変革が不可欠です。 4.ターゲティング精度とROIの向上 データやAI技術を活用し、顧客セグメントに基づいた精緻なターゲティングが可能となり、広告効果を最大化します。効果測定が容易であり、広告投資対効果(ROI)の向上が期待できます。 5.組織変革と競争優位性の確立 デジタルポスティングは単なる広告手法ではなく、企業全体のデジタル変革を加速させるツールとして位置付けられています。経営層から現場まで全社的な変革を支援し、クライアント企業が競争優位性を確立することを目指しています。 6.デジタルポスティングを導入する効果 ①顧客体験の向上と収益増加 デジタルポスティングを活用することで、顧客ジャーニーを再構築し、パーソナライズされた広告配信が可能になります。これにより、顧客満足度が向上します。 ②コスト削減と効率化 紙媒体や人的リソースへの依存を減らし、広告運用コストを削減できます。また、プロセスの自動化により、運用効率が大幅に向上します。 ③データ活用による意思決定の強化 デジタルポスティングでは、膨大なデータを分析し、ターゲット層の行動やニーズを深く理解することで、戦略的なマーケティングが可能です。 7.持続可能性の向上 紙媒体を使用しないため環境負荷が軽減され、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)目標達成にも寄与します。これらの利益により、デジタルポスティングは企業の成長と持続的競争力強化において重要な役割を果たします。 8.最後に 私たちの暮らしは、日々進化を遂げています。その中で、「デジタルポスティング」という新しい形の情報発信が、私たちの生活をより豊かで便利に、そして何よりも幸せにしてくれる存在として注目されています。この技術は、単なる広告手法の進化にとどまらず、人と人、人と地域、そして人と未来をつなぐ架け橋となる可能性を秘めています。 ①人々の時間を大切にする 忙しい毎日の中で、私たちは限られた時間をどう使うかに悩むことが多いものです。デジタルポスティングは、必要な情報を的確に、そしてタイムリーに届けることで、無駄な時間を省きます。例えば、自分が住む地域のイベント情報やお得なキャンペーンがスマートフォンやデジタルサイネージを通じて瞬時に届く。これにより、わざわざ探し回る手間もなくなり、その分、大切な人との時間や自分自身のための時間を確保できます。 ②地域とのつながりを深める デジタルポスティングは、単なる情報発信ではありません。それは地域社会とのつながりを深める「絆」のようなものです。地元のお店やイベント情報が身近に届くことで、「こんな素敵なお店があったんだ」「こんなイベントが開催されているんだ」と新しい発見が生まれます。それはまるで、自分の街がもっと好きになり、もっと誇らしく思えるような感覚です。地域全体が活気づき、人々の心も温かくなる。そんな未来が広がっています。 ③環境にも優しい選択肢 従来の紙媒体によるポスティングは、多くの資源を必要とし、その廃棄物も課題となっていました。しかしデジタルポスティングは、環境負荷を大幅に軽減します。「地球に優しい選択」をすることで、私たち一人ひとりが未来の子どもたちへ美しい地球を残す一助となる。それは小さな行動かもしれませんが、大きな幸福へとつながる一歩です。 ④人生を彩る「偶然」の出会い デジタルポスティングには、「偶然」という魔法があります。普段気づかなかった情報や、新しい趣味、新しい友人との出会い。それらはすべて、この技術によって生まれる可能性です。一見何気ない情報でも、それが誰かの人生を変えるきっかけになることだってあるでしょう。「あの日あの場所で見た情報のおかげで今がある」そんな感動的なストーリーが、これから世界中で生まれていくはずです。 ⑤幸せと便利さが共存する社会へ デジタルポスティングは、人々の日常を少しずつ変えながら、大きな幸福感をもたらします。それはただ便利さだけではなく、人々の心に寄り添い、新しい価値観やつながりを提供するものです。この技術によって、一人ひとりが自分らしく輝ける社会、誰もが笑顔で暮らせる未来が実現するでしょう。 私たちの生活にそっと寄り添いながら、大きな変革をもたらすデジタルポスティング。その可能性は無限大です。そしてそれは、私たち自身が幸せになるだけでなく、次世代へと続く「幸せのバトン」を渡していく道しるべとなります。この新しい技術によって描かれる未来には、人々の笑顔と希望があふれていることでしょう。 D-POPS GROUP アドバイザー S.S
  • MEDIA
2025.04.23
D-POPS GROUPが目指すベンチャーエコシステムとは?
ディ・ポップスグループでは、ベンチャーエコシステムを、「共通のアイデンティティと理念の元に集まり、革新性の高い事業モデルにより、社会課題解決に挑戦し続ける企業群の集合体を支える、成長と永続のためのプラットフォームのこと」、と捉えて、その理想の形の実現に向けて日々挑戦と努力を続けています。 以下、ベンチャーエコシステムについて、因数分解して解説してみます。 1. ベンチャー企業とは コトバンクによれば、以下のように定義されています。 ”産業構造の転換期には、産業の主役が交代し、最先端の分野でそれまでなかった新しいビジネスが生まれ、そして新しい市場が作り出される。そんな時代のニーズを背景に、独自の技術や製品で急成長していく企業を「ベンチャー企業」と呼んでいる。” もう少し広く捉えると、その会社のトップを始め、社員にも挑戦する文化が浸透しており、独自のアイデアや事業モデルで、新しい領域に取り組む企業であれば、起業したてのスタートアップはもちろんのこと、大きく成長しようともそのスピリッツがあればベンチャー企業と言えるのではないでしょうか。 2. センミツとは 不動産業界においては、「商談が成立するのは1000件にせいぜい3つ程しかない」と言われており、そのことを指して”センミツ”と呼ぶそうです。また食品メーカーの業界においては、「1000件企画してもそのうちヒットして生き残るのはせいぜい3商品しかない」と言われており、この業界でも”センミツ”という言葉が使われます。 そして、ベンチャーキャピタル(VC)の業界では、「1000件面談して投資を検討したケースが3%、実際に投資したケースが1/3、無事exitしたケースが3割」という、あるファンドの事例データがあります。1000 x 0.03 x 1/3 x 0.3 = 0.3%、すなわち”センミツ”です。 このように、ベンチャー企業が成功する確率は極めて低いと言えます。 しかし、以下の心掛け次第で、その成功の確率を上げることはできます。 ①誰にも負けない努力を継続する。 ②同じ立場の仲間との学び合いや助け合いをする。 ③相談できる先輩経営者やメンターによる支援を受ける。 ④起業や新規事業の成功体験や失敗からの学びを活かす。 3. エコシステム(生態系)とは ウィキペディアによれば、エコシステムとは生態系の訳で、それは、 ”生態系(英: ecosystem)とは、生態学においての、生物群集やそれらをとりまく環境をある程度閉じた系であると見なしたときの呼称である。ある一定の区域に存在する生物と、それを取り巻く非生物的環境をまとめ、ある程度閉じた一つの系と見なすとき、これを生態系と呼ぶ。” と定義されています。 これをビジネスの世界に反映して捉えるならば、物理的に一定の地域に集まる必要はないものの、一定の共通のアイデンティティと理念を持つ、企業群集と言えます。 ある森を想像した時、そこには種々な植物、その種子を運ぶ昆虫や小動物、それらを捕食する大型の動物らで構成されています。それらが相互に依存し合いながら、そして動物や植物はやがて朽ちて土になり、他者の栄養となるなどして、循環することにより、森は永続し、そして成長します。 この森を企業の集合体に置き換えた時、そして相互に影響し合いながら、成長し、そして永続するグループになることを目指したとき、それらは、ビジネスにおけるエコシステムを表わすのだと思います。 では、ビジネスのエコシステムとは具体的にはどのようなことでしょうか? 4. コラボレーション エコシステム内の企業同士は、お互いを食い合う敵でも、競合でもありません。良い関係性を持ちながら、お互いにプラスに影響し合う仲間です。 その間では、次のような取り組みが、自然に発生します。 ① 顧客開拓 お互いにとっての新規となる法人顧客や消費者顧客を紹介し合ったり、共同で新たな領域を開拓して新規顧客増を図る。(※単にお互いに仕事を発注し合うのではない) ② 協業 企業Aの新規商品やサービスを起業Bの既存の販売チャネルに乗せるなどして、販売の支援をする。その業務提携は、腹のさぐりあいではなく、双方が誠意をもって話し合い、理に適った条件で契約します。 ③ 人材交流 CxOやエンジニア、マーケターなど、異なる企業の同じ立場や職種の者同士で人材の交流や情報交換を行い、刺激し合う。グループ内他企業への短期留学や出向、そして、人材の転籍なども含まれます。 ④ 新規事業創出 グループ内の事業会社同士での協業や人材交流をしていく中で、様々な刺激を受けた結果、業務の効率化のアイデアや、新規事業創出のアイデア、新商品やサービスが生まれるなど、利益率の向上や、将来の成長の種が撒かれることがあります。 5. 学び合いと助け合い 企業経営は常に順調、順風満帆ということはありません。競合環境や市場の急激な変化などにより、大変厳しい状況に追い込まれることも多々あります。 荒波を乗り越えるには、お互いに学び合い、助け合う必要があります。 ① 勉強会 専門性が求められる分野においては、関係会社で集まってお互いに教え合う勉強会を開いたり、グループ各社が集まって外部講師による学びの会を開いたりします。定期または不定期に懇親会を開き、その雑談の中から素晴らしいアイデアが出ることもあります。 ② レンタル移籍 経理部門や営業部門など、ノウハウの伝授と吸収目的、また、新ルートや新システムの立ち上げ期など、一時的に企業Aで人員が不足する時に、その時期に人員に余裕がある企業Bから人材を送り、レスキューをすることもあります。企業Bが同じ状況になった時には、企業Aがヘルプ要員を送り込む、”お互い様”な関係が、エコシステム内では成り立ちます。 ③ 共同採用活動 多数あるグループ内企業で合同説明会、といった形で、多くの人材を適材適所で採用するといった協業が考えられます。ただし、グループ内各社のアイデンティティと理念が一致している場合にのみ、その理念に共感した候補者が集まり、結果この活動が成り立ちます。 6. エコシステム内の循環 エコシステムの中は同じ規模、同じ業種の会社ばかりが集まっているのではありません。起業したばかりのスタートアップから、歴史ありながらも挑戦を続ける先輩起業まで多岐に渡ります。また前述したように、企業経営は常に順調、順風満帆ということはありません。残念ながら事業を畳まなければならない企業もゼロではありません。 そこで、エコシステムの特徴として、”循環”はとても重要です。 ① ベンチャー エコシステムにおける最も重要な役割を担うのが、新たな事業を起こすベンチャー企業です。森における種や卵に例えられます。社内起業や独立により、グループ内で資本関係を持ちつつ、独立することを奨励したり、理念が一致する優秀なベンチャーと出会ったら、出資を行い、グループとの資本関係を持ち、エコシステムに加わってもらいます。 ② メンター エコシステム内には、豊富な知識や経験を持つアドバイザーや顧問団の存在が欠かせません。森に例えれば、豊富な栄養を蓄え、水を供給するような樹齢何百年の大木のようです。長い年月により築かれた人脈のネットワークから顧客候補を紹介したり、事業戦略立案のための壁打ちに付き合ったり、グループ内各社の経営幹部向けに組織論や文化浸透の研修を行ったりします。 起業家にとって、例え誰にも負けない努力をするとしても、誰にも相談せずに単独で経営に取り組むのと、いつでも相談ができるメンターや先輩経営者がいるのとでは、その成功の確度は何倍にも違ってきます。 ③ OBの存在 このように切磋琢磨し学び合い、そして支援を受けながら成長するにつれて、やがてグループ内には、上場や前向きな事業譲渡によりexitに成功する経営者も現われます。中には一旦その会社を離れるOBもいます。 しかし、理念が一致していますので、卒業してもOBは共通の仲間です。先ほどの勉強会に講師として登壇してもらったり、一時的な代打経営者として、成績が振るわない企業の再建に取り組んでもらうなどができます。 ④ 再生と復活 残念ながら清算を避けられなくなった会社があったとします。しかし、その会社で働いていた社員の中には、どこでも通用する優秀な人もたくさんいます。また、倒産した会社の経営者も、経営には向かないが、リードエンジニアとしては物凄い能力がある人だったのかもしれません。 それらの人材は、役割を変えてグループ内の他企業に転籍したら、凄く貢献してくれるかもしれません。再出発や敗者復活により、エコシステム内の人材がなるべく輝き続ける仕組み、プラットフォームがエコシステムらしさ、と言えるでしょう。 7. ベンチャーエコシステムとは 以上、いくつかに分解して記述したことをまとめると、ベンチャーエコシステムとは、以下のように定義できます。 ①挑戦し続けるスピリットがある企業の集合体 ②学び合いと助け合いのネットワークが形成されている ③共通の理念の元に集まり同じ方向を向いた人材で構成される ④個々の成長や再生を繰り返しながら全体として成長を続ける ⑤内部から新たなベンチャーが産まれ、外部からも参画し増殖する ⑥環境の変化に対しては、グループ全体で団結して立ち向かう ⑦その集合体の成長を支えるプラットフォームである (株)ディ・ポップスグループとそのエコシステムに参加する企業は共に学び合い、助け合いながら、社会になくてはならないプラットフォームとなるべく、日々努力を続けて参ります。 これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
  • MEDIA
2025.01.20
一覧を見る