COLUMN

D-POPS GROUPが目指すベンチャーエコシステムとは?

  • MEDIA
2025.01.20

ディ・ポップスグループでは、ベンチャーエコシステムを、「共通のアイデンティティと理念の元に集まり、革新性の高い事業モデルにより、社会課題解決に挑戦し続ける企業群の集合体を支える、成長と永続のためのプラットフォームのこと」、と捉えて、その理想の形の実現に向けて日々挑戦と努力を続けています。

以下、ベンチャーエコシステムについて、因数分解して解説してみます。

1. ベンチャー企業とは

コトバンクによれば、以下のように定義されています。

”産業構造の転換期には、産業の主役が交代し、最先端の分野でそれまでなかった新しいビジネスが生まれ、そして新しい市場が作り出される。そんな時代のニーズを背景に、独自の技術や製品で急成長していく企業を「ベンチャー企業」と呼んでいる。”

もう少し広く捉えると、その会社のトップを始め、社員にも挑戦する文化が浸透しており、独自のアイデアや事業モデルで、新しい領域に取り組む企業であれば、起業したてのスタートアップはもちろんのこと、大きく成長しようともそのスピリッツがあればベンチャー企業と言えるのではないでしょうか。

2. センミツとは

不動産業界においては、「商談が成立するのは1000件にせいぜい3つ程しかない」と言われており、そのことを指して”センミツ”と呼ぶそうです。また食品メーカーの業界においては、「1000件企画してもそのうちヒットして生き残るのはせいぜい3商品しかない」と言われており、この業界でも”センミツ”という言葉が使われます。

そして、ベンチャーキャピタル(VC)の業界では、「1000件面談して投資を検討したケースが3%、実際に投資したケースが1/3、無事exitしたケースが3割」という、あるファンドの事例データがあります。1000 x 0.03 x 1/3 x 0.3 = 0.3%、すなわち”センミツ”です。

このように、ベンチャー企業が成功する確率は極めて低いと言えます。

しかし、以下の心掛け次第で、その成功の確率を上げることはできます。

①誰にも負けない努力を継続する。
②同じ立場の仲間との学び合いや助け合いをする。
③相談できる先輩経営者やメンターによる支援を受ける。
④起業や新規事業の成功体験や失敗からの学びを活かす。

3. エコシステム(生態系)とは

ウィキペディアによれば、エコシステムとは生態系の訳で、それは、

”生態系(英: ecosystem)とは、生態学においての、生物群集やそれらをとりまく環境をある程度閉じた系であると見なしたときの呼称である。ある一定の区域に存在する生物と、それを取り巻く非生物的環境をまとめ、ある程度閉じた一つの系と見なすとき、これを生態系と呼ぶ。”

と定義されています。

これをビジネスの世界に反映して捉えるならば、物理的に一定の地域に集まる必要はないものの、一定の共通のアイデンティティと理念を持つ、企業群集と言えます。

ある森を想像した時、そこには種々な植物、その種子を運ぶ昆虫や小動物、それらを捕食する大型の動物らで構成されています。それらが相互に依存し合いながら、そして動物や植物はやがて朽ちて土になり、他者の栄養となるなどして、循環することにより、森は永続し、そして成長します。

この森を企業の集合体に置き換えた時、そして相互に影響し合いながら、成長し、そして永続するグループになることを目指したとき、それらは、ビジネスにおけるエコシステムを表わすのだと思います。

では、ビジネスのエコシステムとは具体的にはどのようなことでしょうか?

4. コラボレーション

エコシステム内の企業同士は、お互いを食い合う敵でも、競合でもありません。良い関係性を持ちながら、お互いにプラスに影響し合う仲間です。

その間では、次のような取り組みが、自然に発生します。

① 顧客開拓
お互いにとっての新規となる法人顧客や消費者顧客を紹介し合ったり、共同で新たな領域を開拓して新規顧客増を図る。(※単にお互いに仕事を発注し合うのではない)

② 協業
企業Aの新規商品やサービスを起業Bの既存の販売チャネルに乗せるなどして、販売の支援をする。その業務提携は、腹のさぐりあいではなく、双方が誠意をもって話し合い、理に適った条件で契約します。

③ 人材交流
CxOやエンジニア、マーケターなど、異なる企業の同じ立場や職種の者同士で人材の交流や情報交換を行い、刺激し合う。グループ内他企業への短期留学や出向、そして、人材の転籍なども含まれます。

④ 新規事業創出
グループ内の事業会社同士での協業や人材交流をしていく中で、様々な刺激を受けた結果、業務の効率化のアイデアや、新規事業創出のアイデア、新商品やサービスが生まれるなど、利益率の向上や、将来の成長の種が撒かれることがあります。

5. 学び合いと助け合い

企業経営は常に順調、順風満帆ということはありません。競合環境や市場の急激な変化などにより、大変厳しい状況に追い込まれることも多々あります。
荒波を乗り越えるには、お互いに学び合い、助け合う必要があります。

① 勉強会
専門性が求められる分野においては、関係会社で集まってお互いに教え合う勉強会を開いたり、グループ各社が集まって外部講師による学びの会を開いたりします。定期または不定期に懇親会を開き、その雑談の中から素晴らしいアイデアが出ることもあります。

② レンタル移籍
経理部門や営業部門など、ノウハウの伝授と吸収目的、また、新ルートや新システムの立ち上げ期など、一時的に企業Aで人員が不足する時に、その時期に人員に余裕がある企業Bから人材を送り、レスキューをすることもあります。企業Bが同じ状況になった時には、企業Aがヘルプ要員を送り込む、”お互い様”な関係が、エコシステム内では成り立ちます。

③ 共同採用活動
多数あるグループ内企業で合同説明会、といった形で、多くの人材を適材適所で採用するといった協業が考えられます。ただし、グループ内各社のアイデンティティと理念が一致している場合にのみ、その理念に共感した候補者が集まり、結果この活動が成り立ちます。

6. エコシステム内の循環

エコシステムの中は同じ規模、同じ業種の会社ばかりが集まっているのではありません。起業したばかりのスタートアップから、歴史ありながらも挑戦を続ける先輩起業まで多岐に渡ります。また前述したように、企業経営は常に順調、順風満帆ということはありません。残念ながら事業を畳まなければならない企業もゼロではありません。

そこで、エコシステムの特徴として、”循環”はとても重要です。

① ベンチャー
エコシステムにおける最も重要な役割を担うのが、新たな事業を起こすベンチャー企業です。森における種や卵に例えられます。社内起業や独立により、グループ内で資本関係を持ちつつ、独立することを奨励したり、理念が一致する優秀なベンチャーと出会ったら、出資を行い、グループとの資本関係を持ち、エコシステムに加わってもらいます。

② メンター
エコシステム内には、豊富な知識や経験を持つアドバイザーや顧問団の存在が欠かせません。森に例えれば、豊富な栄養を蓄え、水を供給するような樹齢何百年の大木のようです。長い年月により築かれた人脈のネットワークから顧客候補を紹介したり、事業戦略立案のための壁打ちに付き合ったり、グループ内各社の経営幹部向けに組織論や文化浸透の研修を行ったりします。

起業家にとって、例え誰にも負けない努力をするとしても、誰にも相談せずに単独で経営に取り組むのと、いつでも相談ができるメンターや先輩経営者がいるのとでは、その成功の確度は何倍にも違ってきます。

③ OBの存在
このように切磋琢磨し学び合い、そして支援を受けながら成長するにつれて、やがてグループ内には、上場や前向きな事業譲渡によりexitに成功する経営者も現われます。中には一旦その会社を離れるOBもいます。

しかし、理念が一致していますので、卒業してもOBは共通の仲間です。先ほどの勉強会に講師として登壇してもらったり、一時的な代打経営者として、成績が振るわない企業の再建に取り組んでもらうなどができます。

④ 再生と復活
残念ながら清算を避けられなくなった会社があったとします。しかし、その会社で働いていた社員の中には、どこでも通用する優秀な人もたくさんいます。また、倒産した会社の経営者も、経営には向かないが、リードエンジニアとしては物凄い能力がある人だったのかもしれません。

それらの人材は、役割を変えてグループ内の他企業に転籍したら、凄く貢献してくれるかもしれません。再出発や敗者復活により、エコシステム内の人材がなるべく輝き続ける仕組み、プラットフォームがエコシステムらしさ、と言えるでしょう。

7. ベンチャーエコシステムとは

以上、いくつかに分解して記述したことをまとめると、ベンチャーエコシステムとは、以下のように定義できます。

①挑戦し続けるスピリットがある企業の集合体
②学び合いと助け合いのネットワークが形成されている
③共通の理念の元に集まり同じ方向を向いた人材で構成される
④個々の成長や再生を繰り返しながら全体として成長を続ける
⑤内部から新たなベンチャーが産まれ、外部からも参画し増殖する
⑥環境の変化に対しては、グループ全体で団結して立ち向かう
⑦その集合体の成長を支えるプラットフォームである

(株)ディ・ポップスグループとそのエコシステムに参加する企業は共に学び合い、助け合いながら、社会になくてはならないプラットフォームとなるべく、日々努力を続けて参ります。
これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。

D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太

関連記事

D-POPS GROUPが考える「のれん」とは?「のれん償却」見直しの考察
ディ・ポップスグループは、「リアルビジネス × テクノロジー × グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、100年後も社会から必要とされ続けるベンチャーエコシステムの実現を目指しています。また、このベンチャーエコシステムの成長のために、既存事業のオーガニック成長、新規事業・新会社の設立、M&A、CVC、資本業務提携の5つの基本戦略を推進しております。 今回は、この5つの基本戦略の1つである「M&A」と関わりの深い会計における「のれん」について、その会計処理についてニュースとなっていることもあり、取り扱いたいと思います。特に、「のれん」の「非償却」の可能性についても、言及できればと思います。 「のれん」に関しては、2025年5月30日に「のれんの非償却の導入およびのれん償却費計上区分の変更」に関する要望が、日本の会計基準の設定主体であるASBJ(会計基準委員会)にテーマ受付表として提出されました。この要望は、経済同友会、スタートアップ関連13団体、スタートアップ有志35社、企業経営者有志138名の連名で提出され、首相の諮問機関である規制改革推進会議もこれをフォローし、さらにASBJの議論においても、スタートアップ関係者の問題意識が十分くみ取られ、適切な議論が行われるよう、検討プロセスも含めフォローする旨を公表しています。このことは、日経新聞にも「のれん償却の見直し、民間13団体など会計基準機構に提案」という見出しでニュースになりました。 1.「のれんの非償却の導入およびのれん償却費計上区分の変更」の要旨 なお、今回提出された要望の要旨は、以下のとおりです。 ①のれんの非償却を導入(選択制) のれんの償却と併せてのれんの非償却も認める選択制を適用する。 (遅くともスタートアップ育成5か年計画の終期である2027年度までに結論・措置に至るよう検討を要望) ②のれん償却費の計上区分変更 現在、販売費及び一般管理費として営業費用に計上しているのれんの償却費を営業外費用もしくは特別損失に計上する。 (2026年度の結論・措置の可能性も含めて検討を要望) 2.現在の日本の会計基準における「のれん」の定義と取り扱い 現在の日本の会計基準において、M&Aの代金のうち、対象企業の純資産額を上回る金額については、「のれん」として無形固定資産に計上したうえで、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、規則的に償却するとしています。例えば、純資産3億円の対象企業を10億円の代金でM&Aする場合、7億円が「のれん」として無形固定資産となります。またその際に、投資回収期間を7年と想定していたならば、この7億円の「のれん」を毎年1億円づつの定額、7年間で費用化(償却)することになります。 一方で、IFRS(国際会計基準)、米国会計基準においては、「のれん」について規則的な償却は行わず、「のれん」の価値が損なわれた時に減損処理を行う方法が採用されています。これが、今回提出された要望における「のれんの非償却」です。なお、減損処理とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合に、将来において確実に回収可能な額を除き、資産を費用化することをいいます。先ほどの例でいうと、7億円の無形固定資産が計上されていたが、対象企業が赤字決算続きとなり回復が見込めない場合には、価値が損なわれた、つまり投資額の回収が見込めなくなったとして、7億円の全額を一時に費用化することになります。 これまで、日本の会計基準は、企業の財務報告の透明性と比較可能性の向上を目的として、IFRSとの整合性を目指し基準の改訂を行ってきましたが、このように「のれん」の会計処理についてはIFRSと相違しています。そのため、M&Aを積極的に行っている上場企業では、この相違を理由として、IFRSに移行している企業も多くあると考えられます。IFRSへの移行には、会計コンサルティングの導入、会計監査報酬の増加といった追加コストはあるものの、それを上回るメリットがあると経営判断した上場企業もあるのではないでしょうか。 3.今回提出された要望の背景 政府は2022年に「スタートアップ5カ年計画」を策定していますが、この計画において、M&Aは、スタートアップのエグジット戦略(出口戦略)のみとしてだけではなく、既存の大企業とのオープンイノベーションの推進策として、その重要性について触れられています。(スタートアップを成長させるM&A) 今回提出された要望は、このスタートアップを成長させるM&Aの促進において、日本の会計基準における「のれん」の償却が、阻害要因になっているということを背景としています。すなわち、「のれん」が償却される場合には、営業費用(販売費及び一般管理費)に計上されるため営業利益がのれん償却による費用額の分、減少することとなりますが、これがM&A検討の障害や、M&Aを断念する理由となっているということを背景としています。 特にスタートアップについては、企業価値(M&A代金)に占める純資産額の割合が小さいことが多く、「のれん」は比較的多額となるケースがあります。また、日本の多くの成長企業において、企業価値の源泉であるコアコンピタンスが、人的資本(従業員の知識やスキル、経験)、知識資本(特許、商標、企業ノウハウ)で構成されていることが多いと考えられますが、スタートアップにおいては、その傾向はさらに強いと考えられます。今後ますますAI領域におけるスタートアップの増加が加速すれば、その傾向も加速的に強まっていくと考えられます。 このように人的資本、知識資本は、企業価値の源泉として極めて重要ですが、現在の会計基準では、これらの「自社で生み出された」無形資産は、原則として資産計上することが認められていません。これは、その価値を客観的に測定することが困難であること、また将来の収益の獲得への貢献が不確実であることなどが理由とされています。 このこともあり、非常に価値の高い人的資本、知識資本を有する企業は、企業価値(M&A代金)は高く評価されるものの、会計上の純資産額は小さいというケースが増加していくと考えられます。この結果、これらを対象企業とするM&Aにおいては、「のれん」は多額となっていく可能性は極めて高いと考えられますし、M&Aを行う企業は、その「のれん」の償却により、営業利益も圧迫される可能性も極めて高いと考えられます。 ところで、営業利益は、企業の本業における収益力を示す重要な指標であり、企業価値に大きな影響を与えるものではありますが、「のれん」の償却、非償却による営業利益の増減は、理論的には企業価値に直接的な影響を与えるものではありません。これは、理論的には企業が将来生み出すキャッシュ・フローにより企業価値は評価されますが、「のれん」の償却は現金支出を伴わない営業費用の計上であり、実際の事業活動から生じるキャッシュ・フローには影響しないためです。 それでもなお、「のれん」の償却による営業利益の圧迫が、M&A検討の障害や、M&Aを断念する理由となるのは、営業利益が企業の本業における収益力を示す重要な指標であり、実務においては理論を超えて企業価値評価に大きな影響を与えているということだと思います。 IFRSではこれまで、営業利益の明確な定義がなく、表示も義務付けされていなかったのですが、今後はその定義を明確化して、表示を義務付けすることを検討しています。このことも、営業利益という指標が、実務においては投資家にとって重要な情報であるということを示唆していると思われます。また、日本においては、IFRS適用企業の多くが、「営業利益」あるいはそれに類する項目を損益計算書に表示しています。 4.ベンチャーエコシステムの実現を目指すディ・ポップスグループが考える「のれん」とは ディ・ポップスグループも、財務状況や経営状況をステークホルダーに説明する義務を果たすうえで、「のれん」の償却、非償却の双方にメリット、デメリットがあることを十分に理解したうえで、「のれん」の非償却、もしくは、その選択制に賛同いたします。ディ・ポップスグループは、ベンチャーエコシステムの実現、成長の戦略の1つとして、M&Aも積極的に行ってきましたが、やはり「のれん」の償却による営業利益の圧迫が、ディ・ポップスグループが実現している企業成長を含めた経営状況の実態を適切に説明する阻害要因になっていると感じているからです。 また、「のれん」を償却する場合には、決算期ごとに「のれん」の額は償却により減少していきますが、一方で営業利益が圧迫されることにより純資産額の積み上げは少額となります。一方で、「のれん」を非償却とする場合には、減損処理を行うような経営状況にさえならなければ、「のれん」は多額のままとなり総資産額も多額となりますが、営業利益は圧迫されないため純資産額の積み上げも早くなります。 財務状況を表す貸借対照表における資産の本質は、平易にいうと、「企業が現在持っている、将来の稼ぐ力のもとになるもの」であり、そして、純資産額は、株主からの出資を除くと、「企業が獲得した利益の蓄積」を表していると考えます。 ディ・ポップスグループにおいては、M&Aでグループ企業としてベンチャーエコシステムに参画してもらう際には、投資額よりも多く将来の稼ぎ、つまり投資回収としてのキャッシュ・フローをもたらすことに確信をもっています。それは、戦略の1つであるコングロマリット・プレミアムによるグループシナジーがあるからであり、そして、ベンチャーエコシステムという共存共栄関係のなかでの事業成長により、このキャッシュ・フローが年々増加していくことを目指しています。 そのため、「のれん」が多額となったとしても、それは、M&A投資による将来の稼ぐ力を適切に表し、そのM&Aの投資回収が純資産の積み上げとなることは、獲得した利益の蓄積を適切に表すと考えるため、財務状況のステークホルダーへの説明においても適切であると考えます。 最後に、ディ・ポップスグループでは、M&Aを行う際に優れたビジネスモデルに着目する場合もありますが、多くの場合には優れた経営戦略を着実に実行する経営者の能力、ノウハウにより重点をおいています。これはディ・ポップスグループが目指すベンチャーエコシステムが、自立支援を重視し、独立した経営者集団であることを目指していることと関連しています。 つまり、コングロマリットプレミアムなビジネス環境を提供し、グループシナジーのなかで更なる自社の成長を望む経営者のためのエコシステムであり、そのため、基本的にはグループジョイン後も継続して自社の経営、成長にリードしていただきたいと考えています。 このような経営者が創ってきた企業は、ディ・ポップスグループにジョインする段階で、研究開発費、人材育成費、マーケティング投資など、将来の収益拡大や競争優位性の構築を目指すための戦略的な投資により、非常に価値の高い人的資本、知識資本が構築されています。 資産の本質は、「企業が現在持っている、将来の稼ぐ力のもとになるもの」であり、画期的な技術を開発するための研究開発費や、優秀な人材を育成するための研修費も、将来の収益増加に貢献するはずであるのに、前述のように、これらの「自社で生み出された」無形資産は、原則として資産計上することが認められていません。このことは、特に無形資産が企業価値の大部分を占める現代の知識集約型社会において、企業の財務諸表がその企業の真の価値や投資の実態を十分に反映していないという課題を生んでいると考えます。 このような状況下で、M&Aによってグループ参画した企業の「のれん」を償却することは、ある種の二重費用計上のような側面を持つ可能性があると考えています。なぜならば、「のれん」の大部分は、グループ企業が過去に人的資本や知識資本に投じた費用、「将来の企業成長のための投資となる費用」であり、資産として計上されなかったものが、M&Aによってようやく「のれん」という形で資産計上されたものと考えられるからです。つまり、過去に一度費用として処理された投資が、「のれん」の償却で再度費用となりかねないという問題があります。 これまで述べてきたように、ベンチャーエコシステムの実現を目指すディ・ポップスグループにとって、「のれん」の大部分の本質は、人的資本、知識資本であり、コングロマリットプレミアムのコアとなる重要な資産であると考えています。そして、これがグループシナジーに拍車をかけ、エコシステム内により多くのキャッシュ・フローが創出され、それがまた将来のエコシステムの成長のために投資されていくという好循環を生み出すことでイノベーションを加速し、日本の未来に貢献したいと考えています。 東京証券取引所のグロース市場の見直しにより、M&Aは、成長戦略の重要な柱として、エグジット戦略の1つとして、その重要性はますます高まっていくと考えられます。「M&A」と関わりの深い「のれん」の会計処理について、これから行われるASBJの検討内容に注目していきたいと思います。 これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。 D-POPS GROUP 執行役員 公認会計士 米谷好弘
  • MEDIA
2025.06.25
1人当たり売上高とは?効率という数字だけではない価値ある指標
ディ・ポップスグループは、「リアルビジネス × テクノロジー × グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、100年後も社会から必要とされ続ける「ベンチャーエコシステムの実現」を目指しています。今回は、会社経営として必須の生産性や効率性を測る上で非常に重要なポイントとなる「一人当たり売上高」について解説してまいります。 「一人当たり売上高」は業態により大きく異なり、小売店や飲食店といったリアルビジネスやSES/一般派遣等の派遣ビジネスの様な労働集約型の業態では低くなりますし、設備等に投資をする資本集約型のビジネスや、高度なスキルや知識を集めた知識集約型のビジネスになれば高くなりますので、業態を超えた比較だと業態の違いだから致し方ないという結論になりかねないため、今回は同業態での比較を行うことかつ、前回「在庫回転率」の話をしましたので、話に継続性がでる小売業に再度スポットをあて解説していきたいと思います。 1.PL改善の差別化を図る重要ポイント 前回は小売業を経営する上で大切にするポイントとして「在庫回転率」を例に取りました。「在庫回転率」はCFやBSに効いてくるものですが、今回取り上げる「一人当たり売上高」は結果的に数字上では営業利益つまりPLに効いてくる指標です。売上高、利益率、販売点数、販売単価等PLに効いてくる指標は沢山ありますが、なぜ「一人当たり売上高」が重要か、以下順をおってご説明いたします。 2.一人当たり売上高とは まず、一人当たり売上高とは、従業員1人当たりの生産性や効率性を測るための指標で限界値はありますが一人当たり売上高が高ければ高いほど良いとされます。一般的には年間の売上高を従業員数で割った計算式により算出されます。 例えば 年間4,000億円の売上高の会社で従業員が2,000人いれば、一人当たり売上高は2億円 年間400億円の売上高の会社で従業員が1,000人がいれば、一人当たり売上高は4千万円 となります。 今回例にとる小売業であれば約2,000万円が平均とされ、企業全体だと約3,800万円が平均とされています。 3.なぜ一人当たり売上高が重要か? 一人当たり売上高がなぜ重要か、以下の例を元に解説してみたいと思います。 扱い商品や規模が違う会社同士は比較の結果がわかりづらくなる為、前回の「在庫回転率」の時と同様に、同じ商品を販売していて、売上規模が同程度の家電販売店をモデルケースに解説していきたいと思います。(モデルケースの会社は架空の会社ですが、実際の会社がベースとなっております) 【モデルケース】 ①家電量販店B社  店舗数24店 従業員数5,000人 一人当たり売上高1.4憶 売上高7,500億円、経常利益600億円、経常利益率8% ②家電販売店C社  店舗数270店 従業員数11,500人 一人当たり売上高8,000万円 売上高9,000億円、経常利益260億円、経常利益率2.9% 今回モデルケースとして採用したB社は前回の「在庫回転率」で取り上げたB社と同じ会社(数字を最新のものに更新しました)、C社はB社のライバル会社として知られる会社です。 B社は都市型、C社は都市型と郊外型のミックスの会社で、主な違いは出店戦略の違いによる店舗数となりますが、今回見比べていただきたいポイントは従業員数と一人当たり売上高です。B社は7,500億円程度の売上を作る為に従業員を5,000人雇用し、C社は9,000億円程度の売上を作る為に従業員を11,500人雇用しています。年間の一人当たり売上高に換算するとB社は1.4億円、C社は8,000万円で従業員一人当たりの売上が年間6,000万円も違います。 この一人当たり売上高の差が人件費に直結しており、家電量販店の給与平均は大体どの会社も500万円程度のため、1人当り月の人件費を40万円と仮定し比較すると、B社では月の人件費総額が20億円、C社では月の人件費総額が46億円になり、月の差額で26億円も違います。この差を単純に年間にすると312億円になります。B社とC社の経常利益が340億円、経常利益率で5.1%の差がありますが、この差の大きな要因の1つが一人当たり売上高の差からくる人件費であることは明確かと思います。 ちなみに売上規模が違うため一人当たり売上高をベースに同じ規模として比較すると、C社の一人当たり売上高で従業員がB社同様5,000人の場合には、C社は売上4,000億円程度、経常利益率が同様とすると経常利益が116億円程度の会社でB社との経常利益の差は年間480億円ということになります。 また、C社が7,500億円の売り上げを作る場合で比較すると、従業員数は約9,400人必要で、B社とは4,400人差があり、月の人件費を40万円としたときのC社の月の人件費総額は約37億、B社との差は17億円にもなります。年間にすると204億円です。この差がどれだけ大きいかということがお分かりいただけると思います。 前回の「在庫回転率」の時もお話ししましたが、多少の違いはあれど、同じ商品を扱っている家電販売店業界ではB社、C社以外をみても売上総利益率は大体30%程度で、どの会社も同じような水準です。他の業態もそうかとおもいますが、同じ商品を扱っている業態で同じような売上規模だと売上総利益率に大きな差は出にくいと思います。 今回のB社、C社の比較の場合で、C社の売上をB社と同じ7,500億円と仮定した場合の人件費差額年間204億円は、売上総利益率に換算すると3%に相当します。同じものを販売する同業界、売上規模も同程度の会社間では売上総利益率で3%も差をつけるのはものすごく大変なことではないかと思います。 今回もわかりやすい例として一人当たり売上高を、同じ商品を販売していて、売上規模が同程度の家電販売店をモデルケースとして解説いたしましたが、同業界の競合他社とこれだけの経営効率の差は他の指標ではなかなか出ないと考えます。 今回のモデルケースの様な労働集約型のビジネスだけでなく、商品やノウハウで差別化ができる資本集約型や、知識集約型のビジネスでも、従業員を雇用する限り、従業員一人当たりの効率(一人当たり売上高)から逃げることはできません。業界水準を大きく上回る一人当たり売上高を実現することができれば、ビジネスをする上で避けて通れない競合他社との競争上において、大きなアドバンテージを持つことに直結していきます。 4.一人当たり売上高の上げ方 一人当たり売上高の重要性はご認識いただけたかと思いますので、一人当たり売上高を如何に上げるか?というお話をさせていただきます。 単純に人を減らせば一人当たり売上高が上がるのか?というと当たり前ですがそうではありません。一人当たり売上高が上がる会社としての仕組みが確立されていないと一人当たり売上高は上がりません。それどころか会社のサービスレベルが大きく低下し、会社存続の危機になりかねません。 一人当たり売上高が上がる会社としての仕組みは会社によりいろいろありますが、モデルケースとした小売業の例で見れば、出店リスクの少ない売上の小さな小型店を大量に出店するのではなく、売上の大きい大型店中心の出店戦略や、他社に先駆けECに傾注する戦略、物流網に投資による入出荷の効率化、テクノロジーの導入による仕入れ部門や経理部門等の間接部門の超スリム化、そして最大のポイントは一人当たり売上高の重要性の教育が従業員になされており、常に会社と従業員が生産性を高めるための創意工夫をし続ける血の通った経営をしていることかと思います。 経営効率を飛躍的に向上させる一人当たり売上高を向上させるには、ヒト×テクノロジー×経営戦略の掛け算の上に成り立つということになると思います。 5.まとめ 今回も、小売業をモデルケースに一人当たり売上高のお話をさせていただきました。例に出した小売業を含むリアルビジネスの様な労働集約型のビジネスだけでなく、資本集約型や知識集約型のビジネスでもビジネスはヒトにより成り立っています。このヒトの最適化こそが、一人当たり売上高として数値化され、特に労働集約型のビジネスでは、営業利益の最大化につながり、大きな競合他社とのアドバンテージポイントになります。 また、現在は人的資本経営という考え方が多くの会社に根付き、企業価値向上の為の経営手法としてディファクトスタンダードの1つになっています。この経営手法は会社と従業員が生産性を高めるための創意工夫をし続け、成長し続けることにポイントがあると思います。 つまりは、「一人当たり売上高」を追求することは、数字上の経営効率による企業価値向上と効率と、数字ではない人的資本経営による企業価値向上という両面の価値があると考えます。 繰り返しですが、ビジネスはヒトにより成り立っています。経営戦略を考えるのも、実行するのも、テクノロジーを使うのもすべてはヒトであります。その為に必要なものが、ヒト×テクノロジー×経営戦略の掛け算であると、ディ・ポップスグループは考えます。 その考えの元、ヒトが輝くため、また社会課題解決のために、ベンチャー企業に対して、出資を通じた支援と、効率という数字だけではない価値を通じたグループエコシステムの実現を目指しています。 これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。 D-POPS GROUP 常務執行役員 渡辺哲也
  • MEDIA
2025.06.20
会長の千本が、フロリダ大学で祝辞スピーチを行いました!
弊社の会長である千本 倖生が、5月1日にフロリダ大学の博士課程学位記授与式の祝辞スピーチを行いました。 千本は25歳の時に、フルブライト奨学生としてフロリダ大学へ留学し、電子工学の修士・博士(Ph.D.)の学位を取得しました。 未来あるフロリダ大学の学生に向けて、リスクをとることの重要性についてスピーチいたしました。 https://news.ufl.edu/2025/05/doctoral-ceremony-speech/?fbclid=IwY2xjawKOm6VleHRuA2FlbQIxMABicmlkETE2bUtYcE5BMldtaTM4V2xUAR6eVUiZ_6809OzFhN0O2hof0GXnh_D7zacVYurg6aJ0Wr7BXcsKhFNki7_9BQ_aem_Xwc2ax6JOlvX9ot15MbtaQ 【スピーチ内容 日本語訳】 フックス学長、ありがとうございます。 博士課程修了生の皆さん、本日は皆さんの輝かしい功績を称えることを光栄に思います。 履修課程を修了し、研究に打ち込み、学位論文審査に合格したことで、皆さんは思想的リーダー、革新者、そしてクリエイターへと成長しました。 皆さんの研究は、人工知能の発展、重力波の解明、詩への理解の深化、ハリケーン予報の向上、柑橘類のグリーニングの撲滅、そして想像を絶する方法で人類の生活の向上に貢献するでしょう。 世界は皆さんを必要としています。皆さんのアイデア、革新、そして創造力を必要としています。そして、皆さんが今、それらを共有する準備が整ったことを、大変嬉しく思います。 おめでとうございます! 皆さんの中には、私と同じように、故郷や家族から遠く離れて暮らしながら博士号を取得した留学生もいらっしゃるでしょう。子育てをしながら、あるいは高齢の両親の介護をしながら学位を取得した方もいらっしゃるでしょう。皆さんは皆、個人的な困難を乗り越えてここまで来られたのです。 卒業式のスピーチでは、皆さんに励ましの言葉やアドバイスを与えることが求められます。しかし、皆さんの今日の偉業に、私は大きな感銘を受けています。 そこで、アドバイスではなく、私自身の人生で学んだ3つの教訓を皆さんの参考になればと思い、お話ししたいと思います。 私の人生における最初の教訓は、自分を信じ、疑念を抱く人を無視することです。 キャリアの初期には、日本の国営通信事業者であるNTTで安定した職に就いていました。しかし、視野を広げたいと思い、NTTを辞め、フロリダ大学で修士号と博士号を取得しました。 それはリスクのある決断で、同僚たちも疑問を抱きました。 しかし、フロリダ大学で、人生を変える出来事が起こりました。電気工学とコンピュータ工学の優れた教授陣のおかげで、私は起業家精神とリスクを取る意欲を開花させました。そして、NTTに挑戦し、その独占状態を打破するスタートアップ企業を立ち上げるというアイデアを思いつきました。 卒業して日本に帰国してから数年後、私はそのスタートアップ企業を立ち上げる勇気を奮い起こしました。 当時の日本の企業文化は、終身雇用を重視していました。同僚たちは私がスタートアップ企業を立ち上げるなんて狂気の沙汰だと思って、そう言いました。 後にKDDIと改名された私のスタートアップ企業は、日本初の通信系スタートアップ企業となりました。NTTの独占状態に挑戦し、KDDIは時価総額800億ドル、従業員数6万人を超える企業へと成長しました。今日では、日本で2番目に大きな通信会社であり、アメリカのAT&Tに匹敵する存在です。 卒業生の皆さん、皆さんの中には、かつての私のように起業家になる人もいるでしょう。また、学者、科学者、企業経営者、あるいは公職に就く人もいるでしょう。 しかし、皆さんは皆、成功するリーダー、イノベーター、そしてクリエイターになれるのです。 自分を信じ、疑う者を無視しましょう。あなたの大胆さを批判する人たちは、あなたを愚か者と呼ぶかもしれません。しかし、後になって、彼らはあなたを英雄と呼ぶでしょう! 私の人生における二つ目の教訓です。 二つ目の教訓は、他人の言うことに耳を傾け、学び、力を得ることです。 これまでのキャリアの中で、私はしばしば誤解され、時には嘲笑されることもありました。しかし、私を支えてくれた人たちのおかげで、私は粘り強く頑張ることができました。 フロリダ大学を卒業する準備をしていた頃、アメリカの一流企業から魅力的なオファーを数多く受けました。通信事業のスタートアップのアイデアを夢見ていましたが、リスクが大きすぎると感じました。そこで、教授のドン・チャイルダース博士に、素晴らしい企業からオファーを受けたいと伝えました。 博士はこう言いました。「倖生、日本に帰って自分の国に貢献したいと思いませんか?」 チャイルダース博士は、私自身が気づいていなかった、私と私の未来の可能性を見出してくれました。そして、私を信じてくれました。 彼のおかげで、私はアメリカでの安全で平凡な企業生活ではなく、成功した起業家となり、日本で意義深く革新的な影響を与えることができました。 私生活でも励みになりました。 妻のフランシスに、とても快適で安全で、ありきたりな生活を捨てて、小さな会社を立ち上げる覚悟ができたと伝えた時、彼女はきっと嫌な顔をするだろうと思っていました。 しかし、彼女はこう言いました。「自分を信じて。リスクを取って。私はいつもあなたを応援しているわ。」 それは、これまで誰からも受けたことのない最高の励ましでした。卒業生の皆さん、成功への道はシンプルです。必要なのは、私の妻フランシスのようなパートナーを持つことです!パートナーは人生において最も重要な要素です。 ですから、もう一度、私の2つ目の教訓は、あなたを信じてくれるメンターや愛する人を見つけることです。彼らの話に耳を傾け、彼らから学び、彼らに頼りましょう。 この教訓にはもう一つの側面があります。それは、誰かがあなたを必要としている時に、その恩恵を他の人に還元することです。受け取ることばかり考える人ではなく、価値あるアドバイスと安心感を率先して与える人になりましょう。 「否定派」ではなく「賛成派」になりましょう。 私の3つ目、そして最も重要な教訓です。リスクを負いましょう。リスクを取ることは、あなた自身と世界にとって有益です。 私は、大きな成功のチャンスを見出したからこそ、KDDIを設立しました。 しかし同時に、イノベーションを阻害し、消費者の選択肢を制限し、価格を高騰させていたNTTの独占状態を打破したいとも思っていました。 コミュニケーションは、オープンで多様性に富み、可能性に満ち、貧困層や苦境に立たされている人々に寄り添うものであるべきだと信じています。 KDDIは、日本で貧困に苦しむ何百万人もの人々を支援しました。情報格差を埋め、必要な情報通信サービスを提供できない人々に不可欠なサービスを提供しました。企業としての機会を増やすことで、人々の機会も増やしました。収益を向上させることで、人々の生活も向上させました。 KDDIを退社後、私は複数の会社を立ち上げました。そして70歳の時、再生可能エネルギーのスタートアップ企業であるレノバに入社しました。レノバは、日本で先駆的なグリーンエネルギー企業の一つです。 なぜレノバを選んだのか?それは、財務的に優良な企業だったからです。 しかし、太陽光、風力、水力、地熱といった再生可能エネルギーは、私たちの未来の鍵となると信じています。再生可能エネルギーは、貴重な天然資源を枯渇させたり、気候変動を悪化させたりすることなく、増大する電力需要を満たすことができます。それは、地球を守ることを意味します。 私は10年間、レノバの会長を務めました。レノバでの勤務を通して、同社は日本を代表する再生可能エネルギー企業へと成長しました。さらに重要なのは、私たちの活動が化石燃料への依存度を低下させ、環境汚染を削減し、日本のエネルギー自給率の向上に貢献し続けていることです。 卒業生の皆さん、リスクを取ることは、金銭や名声、あるいは個人的な満足感のためだけではありません。社会と人類のよりよい未来を築くためです。社会の暗く苦しむ側面に、新鮮で力強い風を吹き込むことなのです。 なぜ82歳という年齢でリスクを取り続けるのでしょうか? それは、私をワクワクさせるからです。 たとえ失敗しても、新しいものを作ることが不可欠だと感じるからです。自分の肺を使って、世界に新鮮でより健全な空気を届けているのです。 つまるところ、私はより良い世界のためにリスクを取っています。社会に革命的な変化をもたらしたいのです。 卒業生の皆さん、博士号やその他の最終学位は、皆さんにとって価値のあるものです!皆さんは、聴覚学から動物学に至るまで、様々な分野で重要な貢献者となるでしょう。ビジネスマン、学者、公共政策の専門家、産業界のプロジェクトマネージャー、NGOのソーシャルワーカーなど、様々な分野で活躍するでしょう。 どんな道を歩むにせよ、皆さんには、世界をより良くするための大胆なアイデアを追求し、リーダーとなるためのツール、ネットワーク、そしてマインドセットが備わっています。 アイデアを追求してください。疑念を抱く人は無視してください。信じる人たちに囲まれ、彼らの話に耳を傾け、学び、頼ってください。 「否定派」ではなく「肯定派」になりましょう。 そして何よりも、リスクを恐れないでください。あなたのリスクは、他者、そして最終的にはあなた自身の利益になります。 未来は「待つ」ものではありません。「創造する」ものです。博士課程修了者の皆さん、私は心から、皆さんがより良い未来を創造してくれると信じています。 ありがとうございます。おめでとうございます。そして、頑張れゲイターズ! おめでとうございます!本当に誇りに思います!頑張ってください! 2025年5月1日(木)午前9時 スティーブン・C・オコンネル・センター フロリダ大学 アメリカ合衆国フロリダ州ゲインズビル
  • MEDIA
2025.06.03
一覧を見る