COLUMN

起業家マインドが未来を拓く ~D-POPS GROUPの理念と共鳴する生き方~

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2025.08.20

近年、AI技術の進展、グローバル市場の複雑化、価値観の多様化などにより、社会構造は大きく変容しています。安定という概念そのものが揺らぎ、過去の成功体験が通用しない時代に突入しました。

このような不確実性の時代において、求められているのは「自らの人生を経営する力」です。これは経営者だけに限られた話ではありません。企業に属するビジネスマン、学生、家庭を支える主婦・主夫など、すべての人々に共通して必要なマインドセット、それが“起業家マインド”です。

1.起業家マインドとは何なのか

起業家マインドとは、事業創造のスキルを指すものではありません。むしろその本質は、自己の意志で物事を捉え、主体的に行動し、環境に対して影響を与えようとする姿勢にあります。
以下に、起業家マインドを構成する主要な要素を示します。

  • 価値創造の起点になる力:課題やニーズを捉え、ゼロから価値を生み出す視点
  • 行動への転換力:思考を行動に変え、検証を通じて学ぶフットワークの軽さ
  • 失敗許容性:失敗を終点とせず、学習と成長の起点として再定義できる柔軟性
  • 自責思考:他責にせず、変化の主語を「自分」として捉える覚悟
  • 未来志向の共創力:孤立せず、ビジョンに共鳴する他者と価値を共に築く力

これらの素養を持つ個人は、変化に強く、また周囲に対してポジティブな波及効果を生み出します。

2.D-POPS GROUPが描く未来と起業家マインドの融合

D-POPS GROUPは、「社会になくてはならないベンチャーエコシステムの実現」という理念を掲げ、テクノロジーと人間性を融合したビジネスモデルの構築に取り組んでいます。

最大の特徴は、グループ各社および投資先が有機的に連携する「ベンチャーエコシステム」の構築にあります。これは、単に資本を提供するのではなく、戦略・財務・法務・HRなど多面的な支援を通じて、企業の成長を加速させるプラットフォームです。

このエコシステムに流れる思想の中核にあるのが、起業家マインドの醸成です。
D-POPS GROUPは、以下の点において、マインドの変革を促す環境を提供しています。

  • 実践的な支援体制:バックオフィス支援と現場伴走型の支援が両立
  • 共創的な関係性:グループ横断的な協業による知見・人材・アセットの共有
  • 挑戦を推奨する文化:「失敗を許容する組織風土」が組織的に存在

このような環境下では、組織の一員でありながら「自らの事業を担う」感覚を持った人材が育ちやすく、企業全体としてのレジリエンスが高まります。

3.起業は「孤独な戦い」ではなくなった

従来、起業とは孤高の選択であり、個人のリスクテイクが強く求められるものでした。
しかし、現在のスタートアップ環境は大きく変化しています。

今日の起業は「個人の能力」よりも、「共創による進化」が重視されます。
D-POPS GROUPのようなエコシステムは、その象徴的存在です。

  • 専門性の高いプロフェッショナルチームによる多面的支援
  • 成長意欲の高い事業者同士のネットワークと協業機会
  • 社会課題に取り組む企業同士の連携による新市場創出

もはや「ひとりでリスクを背負う時代」ではありません。信頼と対等性に基づくエコシステムの中で、「自ら考え、行動する個人」が多くの選択肢と資源を得られる時代です。

4.起業家マインドは再現可能な能力である

「起業家マインドは才能だ」と捉えられがちですが、これは誤解です。
本質的には、日々の思考習慣と行動習慣の積み重ねによって、誰もが養うことが可能な“スキルセット”です。
具体的には以下の行動変容が挙げられます。

  • 課題思考への転換:「できない理由」を並べる代わりに、「どうすれば実現可能か」で思考する
  • 反応よりも選択を重視:感情的反応ではなく、意図的な選択によって日々の行動を設計する
  • 失敗の捉え直し:失敗を「終わり」ではなく「データ」として蓄積し、次に活かす
  • 外部評価よりも内的動機:他者の視線よりも、自分の可能性に対する期待とワクワク感を重視する

これらの思考習慣は、短期的成果よりも中長期的な自己成長と信頼形成をもたらします。

5.主体性の回復が、次の時代をつくる

現代社会では、「正解」を外部に求める姿勢が根深く残っています。
しかし、既存のレールをなぞるだけでは、予測不能な時代に対応することは困難です。

大切なのは、「自分の人生の主語を、他人から自分に取り戻すこと」。

D-POPS GROUPのエコシステムは、こうした「主体的に生きる個人」にとって最適な環境です。
依存ではなく、共創を。競争ではなく、共進を。私たちはその土壌をつくり続けています。

6.すべての人が「起業家」になれる時代

変化の激しい現代において、最大の資産は“変化を対応できる自己変容力”です。
D-POPS GROUPは、「挑戦する人材」が安全に育ち、実践を通じて進化できるエコシステムを提供しています。

重要なのは、起業するか否かではありません。
重要なのは、「自分の人生を、他人任せにしないこと」。

自分の人生を「自分がデザインすること」

私たちは、選択肢が無限にある多様性な時代に生きています。
だからこそ、自由と同時に「選ぶ責任」も問われています。

そして、未来を選び、舵を取るのは他でもない自分自身です。

これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。

D-POPS GROUP アドバイザー S.S.

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【百名山から学ぶベンチャー経営論】 第一部「頂を決め、準備する」
ディ・ポップスグループは、「社会に変革をもたらす多数の成長ベンチャー(ユニコーン企業)を輩出する」というミッションを掲げ、「誠実・謙虚・感謝の心で、共に学び、共に成長する」をバリューとしています。 アドバイザーとして従事する杉原は、昨年の夏に立山へ登ったことをきっかけに、「ユニコーンTシャツを着て日本百名山100座を踏破する」という目標を掲げ、仕事の合間を縫って全国の山々を登り続けています。 本連載では、「共に学び、共に成長する」というバリューを体現する取り組みとして、その挑戦の中で経験した成功や失敗、計画や準備、判断や撤退の大切さなどを、ベンチャー経営や組織運営になぞらえながら考察していきます。 登山も経営も、目指す頂を定め、計画(戦略)と準備を整え、一歩ずつ前進していく営みです。この連載が、皆様自身の仕事や挑戦を考えるきっかけになれば幸いです。 今回は第一部として、ベンチャー経営を登山に例えながら、ビジョンの重要性と、その実現に向けて必要な準備について考えてみたいと思います。 1. 登るべき頂(ビジョン)を決める ~ ビジョンなき挑戦は続かない ~ ダイエットのために何となくウォーキングを始める。観光で訪れた街で、旅先で小高い山に登って市内を展望する。健康や観光のためにはもちろんいい運動にはなります。しかし、それだけでは「挑戦」と呼ぶには少し物足りません。目指す頂や、一連の山を明確に設定した挑戦の方が、達成した時の喜びは大きく、学びも多く、経験としても深く残ります。 ベンチャー経営も似ているのではないでしょうか?何となく「社長をやりたい」「お金持ちになりたい」という動機だけでは、社会に価値を生む大きな事業を育てることは難しいでしょう。 事業を興すには、明確なビジョンと具体的な目標を描く必要があります。 経営者だけでなく、ビジネスパーソンや職人も同じ。将来こういうキャリアを歩みたい、◯◯のプロになりたい。そうした目標を明確に持つことで、人は必要な学びや経験を自ら取りに行くようになります。 私事ですが、一年前までは体脂肪燃焼のためくらいの気持ちで高尾山や大山などに登る、軽いハイカーでした。しかし、昨年の夏、初めて訪れた富山県で、その険しさを知らないまま立山の最高峰に登った時に、人生が変わりました。 薄い酸素でふらふらになりながら辿り着いた山頂で、360度に広がる山々を見た時、「もっと難しい山にも挑戦したい」という感情が一気に湧き上がりました。 そしてある日、「日本百名山」という書籍に出会い、一気に読み終えた頃には、私の中のベンチャー魂に再び火が付いていました。 「アラカンで日本百名山を完登する」 という、明確な目標を持つに至ったのです。 (立山の雄岳頂上からの眺めと目指すきっかけとなった日本百名山の本) 昨年8月のその日以来、コツコツ登り続けて、執筆現在で41座(山の数え方)に登頂しました。当時は全くの素人でしたので、低い山でもクタクタになっていましたが、徐々に体力が付いて、高い山、険しい山にも登れるようになりました。 今でもまだまだ体力にも登山技術にも課題はありますが、登頂を重ねるに連れ、登山への情熱は高まるばかりです。百名山という目標を持たなければ、私はここまで登れなかったと思います。 ベンチャー経営も同じ。創業時のビジョンが明確であるほど、必要な準備をする原動力になりますし、困難に立ち向かう力になります。 また、ビジョンは、ただ掲げるだけでは不十分です。「創業◯年までに売上◯◯億円」「◯年までに会員数◯百万人」といった、具体的で挑戦的、かつ現実的な目標に落とし込むことで、人も組織も初めて動き出します。 2. 目指す山に必要な体力と技術を備える 〜資本と差別化要素が肝となる〜 山に登り慣れていない素人が、最難関の奥穂高岳や剱岳、何日もかかる幌尻岳などにいきなり挑戦しても、登頂できないどころか命に関わる危険を招き、結果として周囲にも大きな負担をかけてしまいます。 目指す頂に立つには、相応の体力を備える必要があります。そして、岩場の歩き方、鎖場の登り方などの登山技術も必要です。それらを準備せず挑戦するのは、勇気や大胆さとして称賛されることではなく、未熟さや無謀さの表れです。 ビジネスパーソンにも体力や気力が必要です。しかしここでは起業という視点で例えたいと思います。事業会社、特に立ち上げ間もない会社にとっての体力とは、運転資金に例えられます。 小さな個人事業主ならば自己資金だけで起業できるでしょう。しかし、社会課題を解決する大きな事業やプラットフォーム事業を興すには、巨額の運転資金を集めなければなりません。優れた技術やサービスを持っていても、資金が尽きれば事業は継続できません。 高い山に挑むには強い体力が必要なように、大きな事業に挑むには大きな資金が必要となるのです。資本政策を計画し、必要なタイミングで必要な資金を確保すること。それは創業期の経営者にとって極めて重要な仕事です。 (阿蘇山の岩場・木曽駒ケ岳 宝剣岳の岩場・西日本最高峰 石鎚山の鎖場) 一方、登山技術は、経営者個人で言えば「経営能力」、企業全体で見れば「競争優位性」にあたります。 市場ニーズがあるとしても、他社が簡単に模倣できるような製品やサービスでは生き残れません。ましてや新しい価値を提供するサービスを立ち上げる(険しい山に登る)となれば、これまでにない、そして他社が容易に追随できないような特別な何かを持っていなければなりません。 「その特別な何か」は事業領域や製品カテゴリ毎、企業毎に異なりますが、創業期のベンチャーは、自社にしかない強みを見極め、磨き、守り続けること。それが、高い山に挑むための「技術」を身につけることに相当するのです。 3. 目指す山に必要十分な装備を備える 〜経営に必要十分なリソースを揃える〜 登山において重要なのは、目指す山に応じた装備を用意することです。冬山には冬山に、岩山には岩山に必要な装備がありますし、万が一に備えて救急セットや常備薬、防寒具、雨具、行動食、非常食…とたくさんあります。また山では水はとても貴重です。 ところが、装備は多ければ多い程良いというものでもありません。 何でもかんでも積んで何十キロにもなっては、それを背負う自分の体力が持ちません。目指す山のレベルに十分以上の装備を背負う必要はないのです。 (三連座登山に向けての装備品) ベンチャー経営にとっても経営リソースの確保は最重要課題の一つです。そして、経営リソースに大きく占めるのが人員です。また、モノ作りの事業であれば工場や製造機械などもそれにあたります。人材や設備だけでなく、制度や仕組みもまた、事業を支える重要なリソースです。 開発、営業、財務、法務、カスタマーサクセス、セキュリティ。事業が成長すればするほど、必要な機能は増えていきます。製造業であれば設備投資も必要になりますし、制度設計のために外部専門家の力を借りたくなる場面もあるでしょう。 ところが、欲しいだけ、どんどんと採用したり購入したり外注したら、運転資金が尽きてしまいます。それは、重すぎる装備を背負って体力を消耗する登山にも似ています。 回している事業の規模、目指す目標に”必要かつ十分な”リソースの確保、というバランス感覚が重要です。 創業間もないベンチャーに必要なのは、何でも抱え込むことではありません。同じ船に乗る信頼できる人材を集め、それぞれが得意分野を持つ少数精鋭のチームをつくることなのです。 ———————— 以上、【百名山から学ぶベンチャー経営】の第一部でした。 私自身、「日本百名山100座踏破」という目標に向かって、まだ道半ばです。 だからこそ、この連載では完成された成功談ではなく、挑戦の途中で感じた迷いや失敗、判断や学びを、できるだけ率直にお伝えしていきたいと思います。 また、日本百名山への挑戦を題材に、ベンチャー経営や組織運営に通じる考え方や判断のあり方について考察していきたいと思います。 次回は「計画は緻密に、実行は地道に」をテーマに、目標達成のための戦略と計画の必要性と、一方で日々の地道な仕事の重要性について考えてみたいと思います。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太 注:以前執筆した「登山と経営」はダイジェスト版で、本連載では、百名山挑戦の進捗に合わせてより詳しく書いていきます。また登頂した山々の写真も順次掲載していきます。
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2026.06.10
アップセルとは? ~売上総利益を劇的に改善する方法② アップセルとクロスセルの違い~
アップセルとは、顧客が購入しようとしている商品やサービスよりも、高機能だったり高品質だったりする高単価の商品を提案し顧客単価を上げ売上を上げる手法です。家電量販店などでより高性能のCPUを搭載したパソコンを勧めたりすることが最も一般的なアップセルの事例と言えます。 今回も小売業の事例を元に、企業の基本的な収益力を示す売上総利益に着目し、売上総利益の上げ方 その②として「アップセル」について解説してまいります。 1.経費も時間もかからずに絶大な効果が得られる手法 前回は「クロスセル」を取り上げ、会社経営の本丸である売上総利益に着目したわけですが、今回も売上総利益の上げ方 その②として「アップセル」を取り上げ、引き続き売上総利益に着目して参ります。 以下復習ですが、売上総利益は非常に単純な指標で、売上高から原価を差し引いた利益のことで粗利と言ったりもします。アップルや任天堂の様に商品やサービスそのものが、独自性があり差別化されていれば競争の非常に少ない世界で高い売上総利益を上げることができます。 今回も独自性があり差別化された商品やサービスの作り方で売上総利益を上げる方法ではなく、同じような商品を扱う競争環境の中で、如何に売上総利益を上げるか?ということを取り上げて参ります。今回取り上げるアップセルは、前回のクロスセル同様経費も時間もかからずに売上総利益に対し絶大な効果が得られる手法です。 ではなぜアップセルが重要か?クロスセルとの違いは何か?を以下順を追ってご説明いたします。 2.アップセルとは まず、アップセルとは、顧客が購入しようとしている商品やサービスに対し、高機能・高品質などの高単価の商品を提案し顧客単価を上げ売上を上げる手法です。 【例】 スーツを購入しようとすれば、 ブランド品や、良い生地を使った高単価のスーツを勧められる スマホを購入しようとすれば、 メモリの大きいモデルやカメラ機能の高い高単価のPROモデルを勧められる エアコンを購入しようとすれば、 省エネ性能の高いモデルやセンサー機能の付いた高単価モデルを勧められる 車を購入しようとすれば、 SUVやミニバンタイプ、ハイブリット車といった高単価車を勧められる といった様なことが代表的で、このほかにもアップセルの事例は枚挙にいとまがありません。上記の様に直接的に勧められなくても、例えば洗剤などの日用品の様に、大容量商品や2個セットの様に、通常品より1個単価を安くしてまとめて量や数を売ることもアップセルと言えます。 アップセルとなりえる商品やサービスは、リアル店であれWEB店であれメインの位置におかれ、メーカーとしては広告を行うメイン商品になり、店員のオススメやWEBのリコメンド商品となり、一般の普及モデルから高機能や高品質をうたい提案される商品やサービスになります。 商品やサービスを販売する業態や業種であれば、ほとんどの企業でアップセルとなりえる商品やサービスをもち、アップセルを実践していると思います。アップセルは成功させれば、売上総利益に対し絶大な効果を及ぼします。 次項ではなぜアップセルは効果があるのかを、クロスセルとの違いを含めて見ていきたいと思います。 3.なぜアップセルが重要か? 売上と売上総利益から見るアップセル そもそもアップセルは売上を上げ、売上総利益を上げることを目的とした手法の一つです。なぜアップセルが重要か?と考える際には、売上の構成要素と売上総利益の構成要素に着目する必要があります。 売上を構成する要素は2つあり、1つが数量、もう1つが単価です。以下の例を見てみましょう。 【例】 1台10万円のPCが100台売れると売上は1000万円 これを1台20万円のPCにアップセルできると100台売って売上は2000万円 これを1台20万円のPCに60台アップセルでき60台しか売れなくても売上は1200万円 売上を上げるには、顧客に商品を購入いただく必要があるわけですが、同じ数を販売してもアップセルにより単価が向上していれば売上は高くなります。アップセルの結果として販売数が低くなっても単価が向上しているため売上が高くなります(上記の例では単価が倍なので、販売数が元の単価の50%以上売ることができれば、売上が上がります。) 数量と単価が売上を構成する要素であり、この組み合わせが売上になっているということを理解すると効率的に売上を上げることが出来ます。 よくあることですが、販売数だけをみて販売数を上げようとすると、思いつく対策の1番はディスカウント、つまり安売りですが、10万円のPCを2割引きの8万で売り、20万円のPC100台の売上を稼ぐには250台を売らなければなりません。 さらに重要になるのが売上総利益を構成する要素で、売上から原価を引いたものが売上総利益なわけですが、上記の例を売上総利益にしたものを見てみましょう(以下は利益率を同じ30%として例にしています) 【例】 1台10万円で原価7万円のPCが100台売れると売上は1000万円、利益は300万円 1台20万円の原価14万円のPCが100台売れると売上は2000万円、利益は600万円 上記の10万円のPCを8万円で250台売れると売上は2000万円、利益は250万円 売上を上げるためにディスカウントをして販売をした結果、仮に売れて販売数が上がり売上が上がっても利益はディスカウントする前より減ってしまいます。売上から原価を引いたものが売上総利益の構成要素なわけで、この組み合わせが売上総利益になっているということを理解すると効率的に売上総利益を上げることが出来るわけです。 では、ディスカウントすると利益が下がるから違う方法で販売数を上げようとすると、ECなら広告費を追加したり、店舗なら出店をしたり、法人営業なら営業マンを増強したりすることが一般的な対策になると思いますが、この対策だと売上総利益は増えますが、経費が増えるのでその先の営業利益が減ってしまう可能性が非常に高くなります。 上記の例でおわかりいただけたと思いますが、結局機能や品質をしっかり顧客に伝えるアップセルをしっかりやることが、売上を上げ、売上総利益を上げる最も有効な手段の1つといえるわけです。 4.アップセルとクロスセルの違いとは ではアップセルで顧客にどんどん単価の高い商品を提案すればいいのか?そういうわけではありません。例えば軽自動車を買いに来た人にレクサスをお勧めしてもまず売れないでしょう。顧客の予算に合わせ的確なメリットを提示したアップセルで無ければ単なる無理やり販売になってしまい購入体験における顧客満足を落とす結果になり経営としてマイナスの結果になってしまいます。 高機能、高品質をお勧めするアップセルに限界がでた場合に、売上を上げる力を発揮するのが前回解説したクロスセルです。 クロスセルは、前回解説しており詳細は省きますが、顧客が購入した商品やサービスに対し、関連する商品やサービスを追加で提案することで、買い上げ点数を増やし顧客単価を上げることで売上を上げる手法です。 【前章の例を使い説明すると】 1台10万円のPCを100台売ると売上は1000万円、利益率が30%で利益が300万円 これを1台20万円のPCに60台アップセル、10万のPCが40台売れ合計100台で売上は1600万円、利益率が30%で利益が480万円 アップセルだけだとここで終了になりますが ここに、無線ルーター、記憶装置、マウス、セキュリティソフト等の周辺機器が一緒に売れ 合計単価が3万円で販売数の50%に添付、利益率50%とすると 50組×3万円=売上150万円、利益75万円となり PCの売上にプラスすると売上1750万円、利益が555万円になります 1台10万円のPCをただ100台売るだけと比べ、アップセルとクロスセルを組み合わせることで、売上が1.75倍、利益では1.85倍にすることができます。 前章で売上を構成する要素は単価と数量である旨解説いたしましたが、単価を上げることに効果があるのがアップセル、数量を上げることに効果があるのがクロスセルというわけです。 単価と数量の組み合わせが売上になっており、アップセルとクロスセルで単価と数量を最大化しかつ無理が無いように最適化できると、ただ販売するだけにくらべ飛躍的かつ効率的に売上を上げることが出来ます。さらにどちらの手法もディスカウントをして数量を上げる手法ではないため売上だけでなく売上総利益も確実に上げることが出来るわけです。 アップセルとクロスセルは経費も時間もかからずに売上だけでなく売上総利益に対しても絶大な効果が得られる手法であることはご理解いただけたかと思います。ここでアップセルとクロスセルの違いを以下にまとめてみます。 【アップセル】 目的 顧客単価の向上により売上を上げる 提案 高機能/高品質/大容量等による価値のある商品/サービスの提案 【クロスセル】 目的 顧客購入点数の向上により購入数を増やし売上を上げる 提案 関連性の高い商品/サービス等を追加で購入することにより価値を生む提案 上記の様にまとめられます。 アップセル、クロスセルは売上を構成する要素の単価と数量にそれぞれ違う手法で効果を発揮することで売上をあげ、ディスカウントをする手法ではないため、売上総利益の構成要素にも影響せず、さらに広告費や人件費、家賃といった経費も増えないため売上増加が営業利益まで直結して増加する利益を上げるための最も有効な手段の1つです。どちらも地味ですが経営に及ぼす効果は絶大と言い切ってよいと思います。 5.まとめ 今回は、アップセルの効果とクロスセルとの違いについてお話をさせていただきました。 アップセルもクロスセルも非常に地味ではありますが、それぞれの重要性の教育が従業員になされ、無理やり販売にならないように顧客メリットを明確に提示でき、いろいろなテクノロジーを使いこなすことで売上や利益の最大化に絶大な効果が得られる手法であります。 広告出稿、出店、営業人員を増やす等の経費を伴う行動をする前に、アップセルとクロスセルで売上、利益を最大化しておくことが効率的に利益を出すための経営ポイントになります。 今回のアップセルと前回のクロスセルは、過去にお話しした「在庫回転率」「一人当たり売上高」「坪効率」として取り上げた、在庫、人件費、家賃のCFや経費の後にあえて取り上げております。1番最初の「在庫回転率」から一連の流れとしてご一読いただきますと経営のポイントがより見えてくると思います。まだお読みでない方は是非ご一読いただけますと幸いです。 今回のアップセルを通してディ・ポップスグループとしてお伝えしたいことは、これまで同様ビジネスはヒトにより成り立っているということです。商品を購入いただくお客様もヒトであり、商品を販売する販売員も、テクノロジーを使うのもすべてはヒトであります。 AIをはじめとするテクノロジーを使いこなさなければビジネス上で競争に勝ち生き残ることはできないと思いますがテクノロジーだけでは生き残ることはできないと思います。テクノロジーが良いから、経営戦略が良いから、ビジネスが成功するのではなく、ヒト × テクノロジー × 経営戦略の掛け算が大切であるとディ・ポップスグループは考えます。 この考えの元、ディ・ポップスグループはヒトが輝くために、また社会課題解決のためにベンチャー企業に対して、出資を通じた支援と効率という数字だけではない価値を通じたグループエコシステムの実現を目指しています。 これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。 D-POPS GROUP 常務執行役員 渡辺哲也
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2026.05.20
名経営者からの学び ー ”考え方が人生を分かつ”(中村天風)
ベンチャーエコシステムの実現のためには、起業から世界的大企業に育てるまでを行ってきた、過去の名経営者から謙虚に学ぶ姿勢が欠かせません。 「名経営者からの学び」シリーズでは、筆者が影響を受けた名経営者や思想家らの言葉をご紹介し、実体験からの想い、事業や実生活で活かされた事例などをご紹介していきます。 第三回目は、グループのアドバイザー、杉原が担当致します。 1. ”考え方が人生を分かつ”(中村天風) 心が、積極的か、あるいは消極的かで、人生に対する考え方がぜんぜん両極端に相違してきてしまう。心が積極的であれば、人生はどんな場合も明朗、颯爽溌剌(さっそうはつらつ)、勢いの満ちみちたものになりますけれども、反対に消極的だと、人生のすべてがずっと勢いをなくしてしまいます。人生を考える自分の心が消極的だと、すべてが哀れ惨憺(さんたん)、光のない、惨めなものに終わりはしませんか。 人生がたった一回かぎりである以上、たった今からでき得るかぎり完全な状態でいかされなければいけません。 ーー「中村天風 一日一話」(財団法人天風会 [編]、PHP研究所発行)より、原文のまま引用 2. この言葉を選んだ理由 私事ですが、1990年からこれまで一貫して、それぞれの時代において、”ベンチャー”と言われていた企業に勤めてきました。その中でも特に、現在のKDDIの前身にあたる第二電電での経験が、その後の仕事人としての基礎を作り、また、長年挑戦を続ける心の土台となった、”ベンチャー精神”を鍛えてくれたのだと、今でもあの時の経験に感謝をしています。 その、第二電電の創業者の稲盛和夫氏は、名経営者として、日本のみならず、中国や世界でも名が知られており、経営者らに尊敬されています。その稲盛和夫氏が影響を受けた思想家の一人が、この中村天風氏です。当時、上司や事業部長から、(当時流行った)ランチェスター戦略本やMBA本を読むことを勧められましたが、それよりも何よりも、真っ先に読むように言われたのが、この天風の書籍でした。 天風自身のロングセラー書籍には、「心を磨く」と「運命を拓く」ですが、一日一話形式で編集されたこの書物、「中村天風 一日一話」は、天風書籍のエッセンスを一話ごとに短く簡潔にした、非常に読み易い本です。”中村天風”という名前は聞いたことはあるが、まだ手にしたことがない、改めて読み返したいがどの本を読み返そうか、という方々には、まずこの本をと、お勧めしたい一冊として選びました。 ちなみに、今世界で最も名が知られたスポーツ選手の一人であり、日本人として誇らしいスーパースターである、大谷翔平選手がメジャーに行く前に天風の書籍を熟読していた、と話題になりました。 3. 自らの経験とこの思想への想い 90年代から2000年にかけて、社会人としてのイロハもまだ身に付いていない20代に、いきなり新規事業の立ち上げ部門(後にPHS事業となるDDIポケット電話準備室)に配属され、わずか6人の営業戦略の立ち上げ部隊の一員として、昼夜土日の境のないような激務をしていました。今だから言えますが、パワハラやワークライフバランスなどという言葉がまだ無くて、上司の命令は絶対、理不尽がまかり通る職場でした。 そのような、ややもすると不平不満を抱えたり、逃げ出したくなったりするような環境に放り込まれた身でも、私は物事の明るい面を見るように心掛け、困難を避けず、積極的な姿勢を保ち、人が見ていないところでも努力を続けることができました。それはひとえに、この天風本をバイブルにしていたから、と言っても過言ではありません。 この中村天風の書籍の中で度々触れられる、そして天風の代表的な思想である、”常に心を積極的に保つ”、という習慣を得たことで、あの時代だけでなく、その後の仕事人生に長く影響を与え、困難を乗り越える力を付け、チャンスを得て、数々の貴重な経験を積むことができました。 この「一日一話」の中には、表現は違えども、数々の積極思考の重要性、心の在り方の重要性を説く一節が散りばめられています。 いくつか挙げると、 ”心の思考が人生を創る” 「人間の健康も、運命も、心一つの置きどころ」心が積極的方向に動くのと、消極的方向に動くのとでは、天地の相違がある。 ”意志の力” 極限すれば、人生を幸福にするのも不幸にするのも、心の統制にかかっていると言ってもいいくらいなのである。この心に対する絶対の統制力を有する意志の力というものこそは、広い意味で、人を美しく向上させる原動力だと言える。 ”尊く、強く、正しく、清く” 自然法則にそむかないようにするには一体どうすればいいかというと、第一に「心」の態度を終始一貫いかなる場合があろうとも積極的であらしめることです。積極的であらしめるということは、尊く、強く、正しく、清く生きることなんであります。およそこのことぐらい人生および生命に対して大事なことはないのであります。 ”不平不満を口にしない” どんな場合があっても不平不満を口にしないこと。この不平不満が心の中にあると、どうしてもその言葉が積極的になりません。不平不満のある人は、始終上ばかり見て、下を見ないでいる。はたはみんな幸福で、自分だけがこの世の中で一番不幸な人間のように考えている。 ーー「中村天風 一日一話」より引用 これらの言葉に励まされ、自らを奮い立たせ、前向きに仕事に取り組んだおかげで、冷静に物事に対処し時代の流れを読むことができました。その後、PHSのモバイルインターネットサービスの立ち上げ、AOL社でのブロードバンドの立ち上げ、Napster社での音楽配信事業の立ち上げ、Google社での検索シェア向上の仕組み作りなどに従事して、インターネット業界の歴史と共に歩んでこられました。 現代のビジネスパーソンは、日々変化する、そして溢れる程の情報の洪水に揉まれています。日々の仕事で必要な知識だけでなく、生成AIやAIエージェント、AIロボティクス等、世界の最新の技術情報を追いかけなければなりません。また、自分の仕事が「AIに代替されてしまう職業」になるのではないか、と不安な気持ちを持たざるを得ないような環境に置かれています。 知識や情報を詰め込むことも、技術力を備えることも大事です。しかし、人間がAIと根本的に異なるもの、人間としての資産は、情報や知識ではなく、”心”です。技術や知識はその時代ごとに変わりますし、後から身に付けられます。しかし、前向きな心や積極的な考え方というものこそが、土台となり、時代の変化に関係なく自分の内面に積み重なる財産になるのだな、と私は思います。 今、私の手元に、もう20年程ずっと財布にしまっている、御守のような小さな紙の切れ端があります。そこには、自分でしたためた「生活信条七ヶ条」が記されています。 そのうちの最初の3条、 一、常に物事を前向きに考える 二、常に向上心を保ち勤勉を心掛ける 三、力の及ばぬことに不平不満を言わない は、すっかり自分の言葉、信条になりましたが、今思えば、この中村天風の書籍(及びカール・ヒルティの「幸福論」)から引用して簡素化した言葉だったということを思い出しました。 このような積極的思考法を世に広めてくれた、実業家であり、また思想家でもある中村天風氏に感謝します。 4. 読者の方々へのメッセージ 今回は、少し古い人物の著書を挙げさせていただきました。また、著名な経営者ではない、しかし、著名な経営者に影響を与えた思想家、という観点で選ばせていただきました。 筋違いな書籍ではないかな、と最初は思いましたが、誰もが知る大谷翔平選手が読んでいる、と聞いた時は、やっぱり普遍的な思想なんだな、と嬉しく思ったと同時に、スポーツ選手にも、そして経営者の皆さんにも響く言葉がたくさん詰め込まれているなと思ってご紹介致しました。 益々先が読めない時代になっていますが(ちなみに人類の歴史ではいつの時代もそう言われていた)、ここで紹介した中村天風氏の書籍を手に取っていただくことで、積極的な心の持ち方を保ち、前向きに元気はつらつとして、新規事業や起業した事業に取り組んでいく原動力になれば幸いです。 皆さんの仕事、事業、そして人生そのものが、明るく、幸福に満ち溢れたものでありますように! ディ・ポップスグループでは、「ベンチャーエコシステム作りを目指す」をビジョンに掲げ、エコシステム内の企業群が持続的に成長できる仕組みづくりと、アドバイザー陣による伴走支援に取り組んでいます。 ※詳しくはこちらをお読みください。「ベンチャーエコシステムとは?」 こちらの記事が、ベンチャー創業者および事業責任者の皆様にとって少しでもお役に立てたら大変嬉しく思います。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
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2026.05.13
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