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【百名山から学ぶベンチャー経営論】 第三部「戦略・戦術・戦闘」

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2026.08.12

ディ・ポップスグループは、「社会に変革をもたらす多数の成長ベンチャー(ユニコーン企業)を輩出する」というミッションを掲げ、「誠実・謙虚・感謝の心で、共に学び、共に成長する」をバリューとしています。

アドバイザーを務める杉原は、昨夏「ユニコーンTシャツを着て日本百名山100座を踏破する」という目標を掲げて以来、全国の山々を登り続け、執筆時点で48座まで登りました。本連載では、その挑戦の中で経験した成功や失敗、判断や学びを、ベンチャー経営や組織運営になぞらえながら考察しています。

第一部では、目指す頂き(ビジョン)を定めることの大切さと、その実現に向けた準備について、第二部では、計画は綿密に、実行段階では地道な歩みに集中することについて記しました。

今回第三部は、事業における戦略・戦術・戦闘のそれぞれの意味と重要性を、百名山への挑戦と照らして考察してみます。

7. まず、戦略を立てよ
~事業戦略無き起業は無謀~

昨年の夏、「アラカンで日本百名山を踏破する」という目標(ビジョン)を立てましたが、同時にその実現方法を深く考えました。アラカン、すなわち還暦前後で達成するには、今後3年から4年、62歳前後までに完了する計画を立てれば良い。しかし、低山しか登っていない素人が、そのような短期間で、非常に困難な山も含む日本中の100座の山に登り切れるのだろうか?と思いました。

そこでまず、全ての山について、様々な書籍やメディアから情報を収集しました。
・標高および難易度は?(コース定数という参考数字が公開されている)
・各山に適した季節は?(冬期は登頂不可または危険という山が多い)
・連続で登れる山は?(縦走したり車で移動して連日で登れる山々もある)
・早めに登っておきたい山は?(経験としてや山の魅力を知る目的で)

その調査が終わった後に、私が考えた戦略はこうです。
①コース定数の低い山から順次挑戦し、徐々に知識・技術・体力を付けていく
②分散する地方の名山をまず攻め、難易度の高いアルプス山脈は後半にアタックする
③移動に時間を要する東北や九州では、一度の遠征で複数の山を登る
④季節が制限される山は優先的に予定を決め、早めに宿と移動手段を予約する
⑤経験を積みながら、体を鍛え、課題を発見し、必要装備などを学んでいく

この戦略に基づいて、全ての山に関して、今後3~4年の間でいつ頃登るのか、どれとどれをセットで登るのか、どんな移動手段を使うべきか、などを地図帳やメモアプリに記録しました。そして、まず2025年中に登る山に関して、登山口までの移動手段と必要時間、登山にかかる時間や難易度を考慮して、前章で記述したように個々の計画を立てたのでした。

これまでに48座まで登ることができ、今ではコース定数と等高線地図を読めば大体どれくらいの難易度なのかが予想できるようになりました。また、疲労蓄積のパターンや自分なりの回復の方法なども学んできました。

既に約半数の山を登れた訳ですが、困難な山は後半に取ってあるので、これからが正念場、それこそ山場だと思っています。しかし、今ではこの戦略の正しさに自信を持っており、今後待ち構えている難攻な山々に挑戦する準備が整ってきたと思えます。


(全ての山について難易度と標高を調べ、3~4年での登頂計画を立ててから実行した)

このように、十分な情報収集をし、熟考した上で戦略を立てること、そしてその戦略に基づいて計画を立てることは、ベンチャー企業の経営においても最も重要な活動です。

ベンチャー企業では、「良い製品を作れば売れる」と考えがちです。しかし実際には、「誰に」「どの市場で」「どのような販売方法で」勝負するかという戦略が結果を大きく左右します。価格設定もその戦略の重要な要素です。

成長市場や解決されていない社会課題が明確である市場(機会)においては、既に先行する会社(脅威)があるか、またはいずれは必ず競合事業者が現れます。その上で自社の強みや弱みを整理して、それに基づいて戦略を立てる。また、会社のメンバ―全員が同じ方向に向かって努力していけるよう、一定期間後の売上や顧客数などの明確なマイルストーンを立てる。

創業者とその経営メンバーは、寝ても覚めても戦略を考えることが、創業初期における最も重要なアクションの一つです。

もちろん、いざ実行段階に入ったら、外部環境や内部環境の変化により戦略の立て直しを余儀なくされることもあります。が、だからといって、戦略無きまま、感覚で事業を立ち上げ、進めていくという起業は、無謀と言えます。

成功する事業の裏には、経営陣全員が頭がパンクするくらいに考えに考え抜かれた戦略があるものです。

百名山は、勢いだけでは登り切れません。事業もまた、情熱だけでは成長しません。高く険しい頂を目指すのであれば、まず戦略を立てること。挑戦は、その一歩を踏み出す前から始まっています。

8. 弱みを補うギアを持て
〜己を理解した戦術が勝率を上げる〜

私は、登山にハマる前まではジム通いが趣味で、主に上半身を中心に筋トレをしてきました。そのため、筋肉量が多い上半身に重心が偏っています。また、幼少期にやせ型だったために骨格が細く、下半身、特に膝や足首が細くて痛めやすいという、登山には向いていない体付きをしています。

前章で記した戦略に基づき、百名山の中でも難易度の低い山から順次登り始めた当初、下山時に膝痛が起きることがよくありました。

そこで考えた”戦術”は、「登山用のストックと上半身の力に頼る」ということと、「どんな山でも必ず膝と足首をテーピングで保護する」ということ。

登山を始めた頃の私は、「ストックを使わない方が格好いい」と思っていました。しかし、それは私にとっての正解ではありませんでした。見栄を張らず、膝が弱いという自分の弱点を認め、自分に合った戦術を選んだことが、結果的には正解でした。

今では常にストックを使い、上半身の力にも頼りながら登っています。また、様々なテーピングの製品や巻き方を研究して、今の形に辿り着きました。この戦術により、ほぼ、膝痛を起こすことなく、3日連続で三座の百名山に登る挑戦もできるようになりました。


(いつも頼りにするストック、怪我予防の膝テーピング、急な下りには膝サポーター)

では、振り返って、経営における戦術とは?

ベンチャー企業も、素人登山愛好家だった私のように、創業当初からすべてを備えているわけではありません。営業が弱い会社もあれば、資金力に乏しい会社もあります。だからこそ、自社の弱点を理解し、それを補う戦術を考えることが重要になります。

戦術とは、自社の弱みを補い、強みを最大限に生かすための具体的な工夫です。

・社長はエンジニアで、開発チーム作りには自信があるが、営業力が弱い
→経験豊富な営業責任者を採用する
・チーム全体が若くて経験が浅いため、信用を得られ難い
→各界で実績と人脈が豊富な著名な顧問を迎え入れる
・資金力と人材の豊富さで先行する競合企業に劣る
→大手企業と提携する

現実的には、製品群毎に、企業のステージが変わる毎に、また市場におけるポジションにより、様々な戦術が考えられます。大きな方針とも言える戦略と異なり、戦術とは、事業を進めていく中で適宜組み立てていくべきもので、その時々でベストな戦術を編み出していかねばなりません。そのためには、自社の弱点から目を背けず、それを補う方法を考え続けること。そして、その判断を下せる創業者の覚悟が求められます。

登山では、ストックやテーピングは決して「弱さの象徴」ではありません。自分を知り、その弱点を補うための戦術です。

事業も同じです。強い会社とは、弱点がない会社ではありません。弱点を理解し、それを補う戦術を持っている会社です。

9. 道具には使い慣れておけ
〜戦闘には使い慣れた武器・ツールが欠かせない〜

十分に練った戦略の上で、己を理解した戦術を定め、いざ登山をする訳ですが、登山においては、その山のタイプや季節、天候によって、様々な道具を使います。

雨具やヘッドライトはもちろん、岩場ではハイカットシューズやグローブ、落石の恐れがある山ではヘルメット、雪山ではチェーンスパイクやアイゼン、ピッケルなどを適切に選ばなければなりません。私自身も、山に応じて4〜5足の登山靴を履き分けています。

しかし、これらの必要な道具を用意するだけでは戦闘準備ができているとは言えません。

戦闘では、「持っていること」よりも、「使いこなせること」の方が重要です。

新しい靴、初めて使うアイゼン、初めて使うストック。いずれの道具も、十分に使いこなせるようになってから、本番の山に挑むようにすべきです。

そういう私も、購入してまだ慣れていない登山靴でハードな雪山に登り、滑落して足を捻挫してしまいました。いつもの靴だったらまた違ったのでは、と深く反省しています。「新しい道具なのだから、きっと以前より安全だろう。」そう考えましたが、間違っていました。性能よりも、身体が覚えていることの方が重要でした。

戦略、戦術が正しくとも、戦闘準備ができていなければ、勝てる戦いも負けてしまいます。

野球選手にとってのグローブ、サッカー選手にとってのシューズ、登山家にとっての各種道具。使い慣れた道具を使いこなしてこそ、困難な戦いに挑む準備ができるというものです。


(履きなれた登山靴、手放せないストック、使い慣れていないアイゼン)

そして、道具を用意すること、それ以上にその道具に使い慣れておくことの重要さは、ベンチャー経営でも同様です。

・ロールプレイを繰り返して、提案を身体で覚える。
・AIツールは、十分に検証してから、自分達の武器として使いこなす。
・新しい営業手法は、小さく試してから全社、全顧客に展開する。
・新しい制度は、運用を想定したリハーサルを経て導入する。

例えば上記に挙げたように、机上だけで考えた提案をそのまま顧客にぶつける、十分に使いこなせていないAIツールで重要なレポートを作成する、流行の制度を十分な準備なく導入するといった、行き当たりばったりなことをしていては、戦略が正しくとも、戦術が自社に相応しくとも、戦闘力は上がりません。

AIを使いこなすこと自体は戦略ではありません。
営業の勝ちパターンを身につけることも戦術そのものではありません。
それらは、戦略と戦術を現場で実現するための戦闘能力です。

これらは事業を前に進めるための効率化や成功確率アップの手段の一つに過ぎません。しかし、その道具を使いこなせれば、一人一人の能力が決して高くはないチームでも、大きな成果を出すことができるのです。

まだ小さくて、信用も弱く、リソースも足りないベンチャー企業にとって重要なことは、まず、戦略を土台におき、己を理解した上で適宜戦術を考え、その上で、個々の戦闘能力を高めて、事業活動を推進していくということではないでしょうか。

ベンチャー企業における戦略・戦術・戦闘は、次のように捉えることができると思います。

戦略とは、目指す頂へたどり着くための全体設計。

戦術とは、自分や自社の強み・弱みを踏まえ、最善の戦い方を選ぶこと。

戦闘とは、その戦略と戦術を、現場で確実に実行する力。

この三つが噛み合って初めて、困難な頂にも、険しい市場にも挑むことができるのです。

————————
以上、【百名山から学ぶベンチャー経営】の第三部でした。

この挑戦も約半数となり、これからは更に険しい山に挑戦していきます。また怪我をせぬように、細心の注意を払いながら、諦めない心で、一座一座最終ゴールに向けて積み重ねていきながら、リアルタイムにこの連載を続けていきたいと思います。

次回は「アンテナを張り巡らせよ」をテーマに、外部環境、内部環境に目を配ること、重要な局面での判断などについて考えてみたいと思います。

D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太

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2026.06.10
アップセルとは? ~売上総利益を劇的に改善する方法② アップセルとクロスセルの違い~
アップセルとは、顧客が購入しようとしている商品やサービスよりも、高機能だったり高品質だったりする高単価の商品を提案し顧客単価を上げ売上を上げる手法です。家電量販店などでより高性能のCPUを搭載したパソコンを勧めたりすることが最も一般的なアップセルの事例と言えます。 今回も小売業の事例を元に、企業の基本的な収益力を示す売上総利益に着目し、売上総利益の上げ方 その②として「アップセル」について解説してまいります。 1.経費も時間もかからずに絶大な効果が得られる手法 前回は「クロスセル」を取り上げ、会社経営の本丸である売上総利益に着目したわけですが、今回も売上総利益の上げ方 その②として「アップセル」を取り上げ、引き続き売上総利益に着目して参ります。 以下復習ですが、売上総利益は非常に単純な指標で、売上高から原価を差し引いた利益のことで粗利と言ったりもします。アップルや任天堂の様に商品やサービスそのものが、独自性があり差別化されていれば競争の非常に少ない世界で高い売上総利益を上げることができます。 今回も独自性があり差別化された商品やサービスの作り方で売上総利益を上げる方法ではなく、同じような商品を扱う競争環境の中で、如何に売上総利益を上げるか?ということを取り上げて参ります。今回取り上げるアップセルは、前回のクロスセル同様経費も時間もかからずに売上総利益に対し絶大な効果が得られる手法です。 ではなぜアップセルが重要か?クロスセルとの違いは何か?を以下順を追ってご説明いたします。 2.アップセルとは まず、アップセルとは、顧客が購入しようとしている商品やサービスに対し、高機能・高品質などの高単価の商品を提案し顧客単価を上げ売上を上げる手法です。 【例】 スーツを購入しようとすれば、 ブランド品や、良い生地を使った高単価のスーツを勧められる スマホを購入しようとすれば、 メモリの大きいモデルやカメラ機能の高い高単価のPROモデルを勧められる エアコンを購入しようとすれば、 省エネ性能の高いモデルやセンサー機能の付いた高単価モデルを勧められる 車を購入しようとすれば、 SUVやミニバンタイプ、ハイブリット車といった高単価車を勧められる といった様なことが代表的で、このほかにもアップセルの事例は枚挙にいとまがありません。上記の様に直接的に勧められなくても、例えば洗剤などの日用品の様に、大容量商品や2個セットの様に、通常品より1個単価を安くしてまとめて量や数を売ることもアップセルと言えます。 アップセルとなりえる商品やサービスは、リアル店であれWEB店であれメインの位置におかれ、メーカーとしては広告を行うメイン商品になり、店員のオススメやWEBのリコメンド商品となり、一般の普及モデルから高機能や高品質をうたい提案される商品やサービスになります。 商品やサービスを販売する業態や業種であれば、ほとんどの企業でアップセルとなりえる商品やサービスをもち、アップセルを実践していると思います。アップセルは成功させれば、売上総利益に対し絶大な効果を及ぼします。 次項ではなぜアップセルは効果があるのかを、クロスセルとの違いを含めて見ていきたいと思います。 3.なぜアップセルが重要か? 売上と売上総利益から見るアップセル そもそもアップセルは売上を上げ、売上総利益を上げることを目的とした手法の一つです。なぜアップセルが重要か?と考える際には、売上の構成要素と売上総利益の構成要素に着目する必要があります。 売上を構成する要素は2つあり、1つが数量、もう1つが単価です。以下の例を見てみましょう。 【例】 1台10万円のPCが100台売れると売上は1000万円 これを1台20万円のPCにアップセルできると100台売って売上は2000万円 これを1台20万円のPCに60台アップセルでき60台しか売れなくても売上は1200万円 売上を上げるには、顧客に商品を購入いただく必要があるわけですが、同じ数を販売してもアップセルにより単価が向上していれば売上は高くなります。アップセルの結果として販売数が低くなっても単価が向上しているため売上が高くなります(上記の例では単価が倍なので、販売数が元の単価の50%以上売ることができれば、売上が上がります。) 数量と単価が売上を構成する要素であり、この組み合わせが売上になっているということを理解すると効率的に売上を上げることが出来ます。 よくあることですが、販売数だけをみて販売数を上げようとすると、思いつく対策の1番はディスカウント、つまり安売りですが、10万円のPCを2割引きの8万で売り、20万円のPC100台の売上を稼ぐには250台を売らなければなりません。 さらに重要になるのが売上総利益を構成する要素で、売上から原価を引いたものが売上総利益なわけですが、上記の例を売上総利益にしたものを見てみましょう(以下は利益率を同じ30%として例にしています) 【例】 1台10万円で原価7万円のPCが100台売れると売上は1000万円、利益は300万円 1台20万円の原価14万円のPCが100台売れると売上は2000万円、利益は600万円 上記の10万円のPCを8万円で250台売れると売上は2000万円、利益は250万円 売上を上げるためにディスカウントをして販売をした結果、仮に売れて販売数が上がり売上が上がっても利益はディスカウントする前より減ってしまいます。売上から原価を引いたものが売上総利益の構成要素なわけで、この組み合わせが売上総利益になっているということを理解すると効率的に売上総利益を上げることが出来るわけです。 では、ディスカウントすると利益が下がるから違う方法で販売数を上げようとすると、ECなら広告費を追加したり、店舗なら出店をしたり、法人営業なら営業マンを増強したりすることが一般的な対策になると思いますが、この対策だと売上総利益は増えますが、経費が増えるのでその先の営業利益が減ってしまう可能性が非常に高くなります。 上記の例でおわかりいただけたと思いますが、結局機能や品質をしっかり顧客に伝えるアップセルをしっかりやることが、売上を上げ、売上総利益を上げる最も有効な手段の1つといえるわけです。 4.アップセルとクロスセルの違いとは ではアップセルで顧客にどんどん単価の高い商品を提案すればいいのか?そういうわけではありません。例えば軽自動車を買いに来た人にレクサスをお勧めしてもまず売れないでしょう。顧客の予算に合わせ的確なメリットを提示したアップセルで無ければ単なる無理やり販売になってしまい購入体験における顧客満足を落とす結果になり経営としてマイナスの結果になってしまいます。 高機能、高品質をお勧めするアップセルに限界がでた場合に、売上を上げる力を発揮するのが前回解説したクロスセルです。 クロスセルは、前回解説しており詳細は省きますが、顧客が購入した商品やサービスに対し、関連する商品やサービスを追加で提案することで、買い上げ点数を増やし顧客単価を上げることで売上を上げる手法です。 【前章の例を使い説明すると】 1台10万円のPCを100台売ると売上は1000万円、利益率が30%で利益が300万円 これを1台20万円のPCに60台アップセル、10万のPCが40台売れ合計100台で売上は1600万円、利益率が30%で利益が480万円 アップセルだけだとここで終了になりますが ここに、無線ルーター、記憶装置、マウス、セキュリティソフト等の周辺機器が一緒に売れ 合計単価が3万円で販売数の50%に添付、利益率50%とすると 50組×3万円=売上150万円、利益75万円となり PCの売上にプラスすると売上1750万円、利益が555万円になります 1台10万円のPCをただ100台売るだけと比べ、アップセルとクロスセルを組み合わせることで、売上が1.75倍、利益では1.85倍にすることができます。 前章で売上を構成する要素は単価と数量である旨解説いたしましたが、単価を上げることに効果があるのがアップセル、数量を上げることに効果があるのがクロスセルというわけです。 単価と数量の組み合わせが売上になっており、アップセルとクロスセルで単価と数量を最大化しかつ無理が無いように最適化できると、ただ販売するだけにくらべ飛躍的かつ効率的に売上を上げることが出来ます。さらにどちらの手法もディスカウントをして数量を上げる手法ではないため売上だけでなく売上総利益も確実に上げることが出来るわけです。 アップセルとクロスセルは経費も時間もかからずに売上だけでなく売上総利益に対しても絶大な効果が得られる手法であることはご理解いただけたかと思います。ここでアップセルとクロスセルの違いを以下にまとめてみます。 【アップセル】 目的 顧客単価の向上により売上を上げる 提案 高機能/高品質/大容量等による価値のある商品/サービスの提案 【クロスセル】 目的 顧客購入点数の向上により購入数を増やし売上を上げる 提案 関連性の高い商品/サービス等を追加で購入することにより価値を生む提案 上記の様にまとめられます。 アップセル、クロスセルは売上を構成する要素の単価と数量にそれぞれ違う手法で効果を発揮することで売上をあげ、ディスカウントをする手法ではないため、売上総利益の構成要素にも影響せず、さらに広告費や人件費、家賃といった経費も増えないため売上増加が営業利益まで直結して増加する利益を上げるための最も有効な手段の1つです。どちらも地味ですが経営に及ぼす効果は絶大と言い切ってよいと思います。 5.まとめ 今回は、アップセルの効果とクロスセルとの違いについてお話をさせていただきました。 アップセルもクロスセルも非常に地味ではありますが、それぞれの重要性の教育が従業員になされ、無理やり販売にならないように顧客メリットを明確に提示でき、いろいろなテクノロジーを使いこなすことで売上や利益の最大化に絶大な効果が得られる手法であります。 広告出稿、出店、営業人員を増やす等の経費を伴う行動をする前に、アップセルとクロスセルで売上、利益を最大化しておくことが効率的に利益を出すための経営ポイントになります。 今回のアップセルと前回のクロスセルは、過去にお話しした「在庫回転率」「一人当たり売上高」「坪効率」として取り上げた、在庫、人件費、家賃のCFや経費の後にあえて取り上げております。1番最初の「在庫回転率」から一連の流れとしてご一読いただきますと経営のポイントがより見えてくると思います。まだお読みでない方は是非ご一読いただけますと幸いです。 今回のアップセルを通してディ・ポップスグループとしてお伝えしたいことは、これまで同様ビジネスはヒトにより成り立っているということです。商品を購入いただくお客様もヒトであり、商品を販売する販売員も、テクノロジーを使うのもすべてはヒトであります。 AIをはじめとするテクノロジーを使いこなさなければビジネス上で競争に勝ち生き残ることはできないと思いますがテクノロジーだけでは生き残ることはできないと思います。テクノロジーが良いから、経営戦略が良いから、ビジネスが成功するのではなく、ヒト × テクノロジー × 経営戦略の掛け算が大切であるとディ・ポップスグループは考えます。 この考えの元、ディ・ポップスグループはヒトが輝くために、また社会課題解決のためにベンチャー企業に対して、出資を通じた支援と効率という数字だけではない価値を通じたグループエコシステムの実現を目指しています。 これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。 D-POPS GROUP 常務執行役員 渡辺哲也
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2026.05.20
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