COLUMN

【エグゼクティブインタビュー】藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国日本大使)~前編~

  • INTERVIEW
2024.10.03

今回は、ベンチャーエコシステムの実現のため2023年4月よりディ・ポップスグループの顧問に就任していただいた藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国特命全権大使)へ、弊社代表取締役の後藤がインタビューいたしました。

藤崎 一郎 顧問のご経歴はこちらからご覧いただけます。
https://d-pops-group.co.jp/company/board-member/

 

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-後藤-
今回は、藤崎さんと対談をさせて頂く機会をいただきありがとうございます。

藤崎さんの著書「まだ間に合う」や産経新聞の連載記事「話の肖像画」を一通り読ませていただいて、改めて大使のご経験や知見、見識の深さを感じております。今回外交の話や国際関係の話などの質問を少し入れさせていただいたんですけど、浅はかな知識で質問するのが恐れ多いところもありましたし、改めて、やはり経営者は経営に集中すべきだなと思いました。連載記事を読ませていただきながら、こんなに深いところからのインタビューのお答えがあるんだなという部分に驚きました。

-藤崎-
例えばどういうところですか?

-後藤-
様々な点でありますが、直近の産経新聞の連載でいうと、鄧小平さんの韜光養晦についての記事を読んで考えさせられるところがありました。

我々も今年、ディ・ポップスグループのコーポレートサイトを本格的なものにリニューアルしました。各社のコーポレートサイトはあったのですが、やはり成長の過程において、どこから圧力が来るかもわからないので、ディ・ポップスグループのウェブサイトは簡略化した内容のものしかなかったんですね。グループ全体を大きく見せてるっていうのはなく、水面下でグループを拡大させていたんです。

今年、グループ会社が20社、投資会社を入れると50社近くなってきたので、初めてコーポレートサイトにディ・ポップスグループの今の動きを大きく打ち出しました。 ほとんどの方はいつの間にここまで拡大したのかと驚かれています。

その他にもなるほどと思ったのが、よく日本国内だと、日本がアメリカに対してものを申す力が弱いのではないかという話もありますが、たしかにそれは北朝鮮があって、ロシアがあって、中国があってとなったら、やはり日米は常に蜜月関係を維持することがいいのかもしれませんね。

-藤崎-
だってね、世界中にこのような国はほかにないんですから。オーストラリアやフィリピンだって違うし、イギリスやフランスとも違うし。そして日本を守ろうと言ってくれてる国は1つだけなんですから。どうしても喧嘩するわけにいかないですよね。ただね、みんな遠慮しすぎてる面も正直言ってあるんですよ。だから私は、外務省の中でもあまり遠慮するなという意見を持っていましたから、「アメリカ担当がそんなこと言うの?」とも言われました。

-後藤-
それはそうですよね。やはりアメリカとはしっかりとグリップしてるっていうのが表向きで、あとは何か交渉したいとか話したいことがあったら、裏でしっかり話せばいいですもんね。

-藤崎-
そうですね。それはおそらく民間会社だってそうで、あるいは銀行さんともそうですよね。

-後藤-
はい。そのインタビューを拝読しながら、例えば駐米大使という職務って、相当な人間力だとか、信頼感とか安心感がある人じゃないとできないものだなと思うんです。

まず最初の質問ですが、過去の重職はどれをとっても、大きなリーダーシップが必要とされることが多かったと思います。藤崎大使のリーダーシップ論をお聞かせ頂けますか?

-藤崎-
率直に言うと私は本当のトップではなく、つまり社長ではなく、総理大臣や大臣でもなくて、 外務省の局長とか審議官とか、あるいは、大使は日本という旗を立ててますけども、 最終的な意思決定者は東京にいて、それが総理大臣であったり、大臣であったりするわけです。なのでリーダーという意味で私は、本当は特命全権ではないんですよね。

ですから、 そういう組織の代表として何を考えていたかという点でお話いたします。

まず1つは、そのチームをうまく使っていかなきゃいけないということです。これがなかなか難しいのは、大使館というところは財務省や経産省・農水省など、外務省だけじゃなくいろいろな人がいます。自分が人事権を持ってない中でグループをまとめていかなきゃいけない。全部必ずしも自分で人を選んでるわけではないわけですね。

だからその中でどうやって輪を保ち、職務にあたっていくかということで、1番大事にしていたことがあります。私は外務省出身なんですが、外務省の人間だけで話をすることは絶対しないようにして経産省や財務省など、必ずみんな入れて会話をするように心がけました。
そして、やはり大事なのは適材適所でキーマンを持ってくることで、自分がお願いしたいポストには、自分自身が安心できる人を持ってくるというようにはしていました。

というのも、組織の中ではやはり、情報の勝負でもあるわけですね。意思決定がピラミッドのようにきちんとなってるわけではないんです。なので、自分を飛び越していろんな情報が行き来しないように、自分が信頼できる人を持ってくるということは考えてました。

2つ目に、私が思う立派なリーダーというのは、後継者を育てていくということができる人です。偉いリーダーでも後継者を育てないで辞めるときよそから人を連れてきて失敗しちゃうとか、そのような状況を見てると、あれはまずいんだろうなという風に思いますね。

それから3つ目、 リーダーは、他の人が「えっ!」と思うぐらい少し先のことを考えて手を打つことが重要です。そのためには、おそらく後藤さんもそうでしょうけど、いろんな業界の人と会ったり、いろんなものに目を通したりして、「勘」を養っていくことが大切ですよね。
「勘」というとなんとなくいい加減に聞こえますけど、いろんな情報や経験や人脈から湧き上がるもので、何が浮かんでくるかが重要ですね。人はデータブックではないので、たくさんデータを持ってることがいいわけじゃない。このデータの中からにじみ上がってくるものは何かっていうことを掴む。そういう勘や先見性というところがリーダーには必要ですね。

それから4つ目、リーダーで大事なことは、もうこれはどんな組織でもそうですけど、 タイミングを見計らっての決断ができるということですね。じっくり考えすぎちゃってタイミングを失ってしまったらしょうがないし、しかし、あんまり勇み足すぎてもしょうがない。赤信号ではなくて、黄色信号ぐらいでわたる。どのくらいの信号なら渡れるかな、緑信号ならみんな渡るけど、それでは意味がない。そこの見極めの決断が重要ですね。

そして最後は、レビューです。一度成功したら大丈夫だということじゃなくて、常に進捗を確認して、何かおかしなところがないだろうかということを見る。 これもおそらく、人によってタイプが違います。

-後藤-
私もよく「人間コンピューター」という言葉使うんですが、 それだけの情報とか、いろんなデータとか、様々なものが頭に入っていて、何気なく決断してるわけじゃなくて、あらゆる莫大な情報から適切な答えを出そうとしています。

-藤崎-
本当にそうだと思いますね。だから、おそらく人によってうまくいかない方は、データの詰め込みだけは得意だという方がいらっしゃいますよね。受験勉強はものすごく得意だったのに、データの取り出しの方がうまくいかないと。そんな方に何か質問すると、「第1章には1から10項目あります。第2章には・・・」と。そんなこと聞いていなくて、何が答えかって聞きたいんだ。というように、あまりにも図書館みたいになっちゃってる方もいらっしゃいます。そうじゃなくて、後藤さんがおっしゃったように、 入れることも大事なんだけど、取り出すところなんですよね。おそらくそこは勘に近いものだと思いますよね。

-後藤-
経営の面白さって多分そこにあるかもしれなくて、単純に、例えば本当に頭がいいとか、ただ単にリーダーシップがあるとか、何か1つに特定された人がずば抜けると、もうその人に勝ち目がなくなる。ですが経営は総合力で、 あらゆるものの集大成としての結果なので、逆に言うと、その総合力的なところに自信があればだれにでもチャンスがあります。

-藤崎-
おそらく、常に勉強したり、 本を読んで吸収しようとしなくても、歩きながらとかお風呂でとか、なんかぼーっとしているときにはっと思いついたりするものですよね。もちろん何も考えていないと何も浮かんでこないですけど。一定の量を入れといたら、今度は浮かんでくるのを待つっていう方がいいのかもしれないですよね。

-後藤-
そうですね。私も経営者になって初めのころ、全然経営というものがわからなかった時はものすごいインプットをしましたけど、 今は逆にインプットの量は調整したりしていますね。

-後藤-
では、次の質問です。

駐米大使やジュネーブ国際機関日本政府代表部大使など、各国との調整や交渉が必要な場面が多々あったと思います。どのように舵取りをされていたのか、お聞かせ頂けますか?藤崎大使ならではの、交渉術や調整の仕方など、意識されていることがあれば、是非ご教授下さい。

-藤崎-
交渉においては、トップとして前面に出て、ワンボイスを心がけていました。
外務審議官として交渉したのが1番多かったんですが、自由貿易協定の交渉で経産省や農水省などたくさんの人を連れて行ったときには、「とにかく喋るのは私だけだから、一切口を出すな」と言い、その代わりしょっちゅう休憩を取るようにして、朝や昼にみんなで相談しながらやるから、交渉の場ではとにかく喋るのは私だけにさせろということを全体の会議で伝えていました。そのあとの個別会議は彼らに任せて、個別分科会には一切私は行きませんでした。

それからもう1つは、相手のトップとの関係性を作ることです。まず初めの朝食は補佐なども連れて行かず2人だけで取り、やっぱりなんとなく感じを掴む。それから、日本に彼らが来た時は、2人だけで酒を飲みに行くなどして、個人的関係をつくるのが大切ですね。それはおそらく会社でも同じですよね。3人対3人のときと、1対1ではやっぱり違いますもんね。

-後藤-
もうその通りですね。ご回答いただく内容は、かなり多くのことが経営と相通じていきますよね。

-後藤-
それでは次の質問に移らせていただきます。

人間性や人間力は、どのように鍛錬し、磨き上げて、身に付けられたのでしょうか?次世代の人に伝えたいと思う事があれば、是非アドバイスをお願いします。

-藤崎-
本当にこれは謙遜じゃなく、未熟で道遠しです。ただ人と会う時、相手に関心を持ち、上から目線で自分の話ばかりしないようにはしています。

例えば私の父はね、一生懸命人間力の鍛錬について考えて、なんかいろんなことをやったり、人間力を磨くような本をたくさん読んだりしてましたけど、 私は正直言ってなかなかそういうところに至らず、日々もがいていたんです。

父は美学があってですね、細かいことにこだわらない、そして 自分からは何かをやりたいと手を挙げないという人だったんです。父の仕事であった最高裁判事は70歳で終わるんですけど、70歳で終わると大体みんな弁護士になれるんですよ。しかし、一切弁護士もやらない。彼はね、散歩と テレビばかり見て、あとはその仏教の本を読んだりして、なんかそういう感じでしたね。私は全然そういうところに、日々遠くて。今でも学校に行って授業したり、そんなことばかりしています。

-後藤-
でも、本来人間力がある方が自ら人間性を磨いてますって言わないですよね。自然体でやりながら、いつの間にかすごい人間力を身につけるものですよね。

 

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次回後編のインタビューでは、
・日本の大企業と外務省との違い
・世界的な複数の大国と付き合う場合のパワーバランスの取り方
・アメリカの歴代大統領で印象に残っている方
などについてお伺いしています。

後編もぜひご覧ください!

 

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D-POPS GROUPでは、現在約23社のグループ会社が仲間となっています。 今回は、2016年に株式会社 STAR CAREERを創業した保坂 龍政 社長へ、インタビューしました。 前編の記事は、以下のリンクからご確認ください。 https://d-pops-group.co.jp/column/star-career-interview-first-part/ --------------------------------------------------------------------------------------- ◆市場環境 -杉原- ありがとうございます。では次の質問ですが、STAR CAREERの場合は新卒が多いということなんですが、採用のトレンドとしてはいかがですか? -保坂- 今後も売り手市場は基本的に継続するのは間違いありませんが、特に来年4月と再来年4月入社の方々の採用は、企業はとても苦労すると思います。 大手を含めてコロナで採用数を絞っていた会社が多く、人財が足りていない企業が多いので、新卒採用の需要がものすごく高まっている状態です。この状況は26年卒の採用まで続きそうです。 ◆「キャリポ」のリリースについて -杉原- そんな中、7月1日に、就活をしながらポイ活ができるアプリ、「キャリポ」というアプリをリリースされましたよね。まず『キャリポ』についてご紹介いただけますか。 -保坂- 『キャリポ』というアプリは、いろいろな就活イベントが、このアプリの中に入っていて、就活生の方がアプリの中の就活イベントに参加すると電子マネーがポイントでもらえるという、ポイ活と就活を掛け算した今までにありそうでなかったアプリをリリースしました。 リリース後、学生側の反響もクライアント側の反響も非常に高いです。26年の卒業となる学生向けから対象となるので、ここからの動き出しに合わせていくといったところです。 -杉原- 今から本格的にプロモーションが開始ということですね。『キャリポ』の目標はあるんですか? -保坂- 2025年度の計画としては、『キャリポ』は1万ダウンロードを目指しています。 毎年就活する層というのは、日本国内には45万人いるといわれているので、まずは1万ダウンロード、3年で15万ダウンロードというところを1つ目標にしています。 ◆産学連携イベントについて -杉原- この『キャリポ』に関連してのつながりで、産学連携の活動であったり、大学で講演をされるというお話を伺ったのですが、詳しく教えていただけますか? -保坂- はい、ある大学の商学部の授業の一環として、肉フェスなどのイベント会場で縁日のブースを出し、ビジネスとしてどのように収益を上げていくのかを学ぶため、協賛活動も積極的に行っています。実際には、射的やヨーヨー釣りといったアトラクションの機材発注や景品選び、人員の手配、納期のスケジュール管理、当日の運営など多岐にわたる作業がありますが、学生の皆さんにとって貴重な実践経験になることを期待しています。 また、就活生に向けた講演なども積極的に行っていく予定ですが既に大学やハローワークからのご依頼もいただいている状況です。 私はもともと教員を志し教員免許を持っているので、ある意味夢が一つかなったことになります。 -杉原- この活動を行う狙いというのはどんなところにあるんですか? -保坂- そもそも起業したことや、その後に就活カフェやキャリポというアプリを立ち上げたことも、社会で活躍する人財を事業を通して生み出していきたいという思いから始まりました。ありがたいことに、こうした活動に共感してくださる仲間が増え続けています。 まず『キャリポ』に関してで言うと、情報格差によって生じる就職の不平等を解消したいというコンセプトなのですが、色々な大学の教授や講師の方々から応援の声を頂戴しています。いち企業目線で物事を進めるのではなく、学生や学生団体、大学関係者まで広く指示してもらえるようなプロダクトを目指しています。多方面から『キャリポ』が便利で役に立つものになって欲しいですね。 -杉原- それはすごいですね。努力しない人は広告にひたすらお金かければある程度取れるんですけど、そのお金に変わるものとしては、いろんな工夫だとか自分の汗というか足と汗で稼ぐというか、これは広告よりはるかに価値が高いですからね。サステナブルですしね。 -保坂- はい。大学やハローワークで講師をする事は肩書きやブランディングではなく、単純に知ってもらいたいし、その活動の中で応援してくれる人も増えている実感があるためです。 あと、『情報格差で生じる就活の不平等の解消』これはメディアリリースしたものなんですけど、ある大学の学部長から、実際に地方大学では切実な問題で向き合わないといけない課題でもあるという言葉をもらいました。 例えば関東の場合、就活イベントやセミナーが開催されるとすれば東京のどこかで開催される事が多いのが実状です。栃木県在住の学生と東京都在住の学生が就活しよう・企業の説明会に行こう・就活イベントに行こうとなったときに、栃木県の学生も行こうと思ったら、当然行けるんですが、少なからず段取りが必要になってしまいます。東京に行ってる間に何件も回ろうとかって、そのアレンジしなきゃいけないというのはまず不便ですよね。 つまりその就活という短い時間の中で出会える企業数も、同時にその企業と面接などを通して会える機会が減れば、経験値も大きく差が出るんです。であれば、このアプリを通してオンラインでも参加ができるとか、オフラインに関しては我々の就活カフェのアドバイザーに、それぞれの学生さんにあったイベントの情報提供が出来るので、効率よくコスパ・タイパよく就活ができるという事も情報格差で生じる不平等解消にもつながると考えています。 -杉原- 首都圏と地方の情報格差は、どんな分野でもなんとかしなくちゃいけないという課題意識がみんなありますよね。その意識の浸透が大事で、とても素晴らしい事業ですね。 ◆STAR CAREERの社風について -杉原- ガラッと話が変わるんですが、STAR CAREERはグループの中でも、性別関係なく、年齢も関係なく、いろんな人が活躍しているなという印象があります。ホームページや社内報などを見ると、みんなすごく笑顔がキラキラしていて魅力的なんですよね。ホームページのメッセージにも、「自分らしく輝ける」「お互いを受け入れて尊重する」というメッセージがありますが、保坂社長の中で意識している方針があるのか、「自分らしく輝ける」というメッセージを送るようになった背景等あればお聞かせ下さい。 -保坂- そうですね、STAR CAREERのホームページに載っている本部のメンバーも現場のメンバーも、弊社のメンバーは基本的にみんなあの感じで間違いないと思います(笑) でもそれは、後藤社長が築いてきた文化だと僕は思っています。 元々教師を目指していた私が、ディ・ポップスに入社した1番の決め手というのは、後藤社長から「これから30億円・100億円、そこからさらに300億円・1000億の会社を作っていく中で、若い人たちがとにかくチャレンジできる環境を作りたいと思っていて、そこに教師みたいな人がいたらとてもいいと思う。」というお言葉をいただいたことなんですね。 そういうのが基盤にあるので、今、後藤社長はグループ全体を率いていらっしゃって、ベンチャーエコシステムというところから起業家の社会貢献というと次なる大きな領域に行かれていらっしゃいます。 僕が意識してるのは後藤社長のその若い人たちがチャレンジして壁にぶつかりながら乗り越えていくステージを提供するという思いを、僕は伝承したいと思ってるんです。そしてこのスターキャリアで伝承したものを継続していくぞという思いでやってるので、若い人たちに向けてどんどんチャレンジできる環境を作る、壁にぶつかることの素晴らしさ伝える、と後藤社長がこう私に言ってくれたことをスターキャリアで実践してるだけなんですよね。   ~D-POPS GROUP 後藤社長 インタビュー~ エコシステムにたどり着くまで、そしてこれから https://d-pops-group.co.jp/philosophy/   -杉原- なるほど、たしかにディ・ポップスから巣立っていった社長たちの会社のメンバーは、自然な笑顔の人が多い会社がほとんどですね。最近はディ・ポップス生え抜きではなくジョインしてくださった会社も多いですが、他のグループ会社の社長と語る機会とかもあるんですか? -保坂- あります!ディ・ポップスグループにジョインしてくれたいろんな会社の社長さんと仲良く交流させてもらっています。単純に僕は、ディ・ポップスグループに入ってくれた社長や会社の皆さんに興味があるんです。僕自身、ずっとディポップスの中にいるので、これから同じ仲間として、グループにジョインする前と後では、どのように見えるのかという事も知りたいです。 -杉原- 保坂社長のように、興味を持ってどんどん輪を広げていってくれる方がいるというのも重要ですよね。   ◆「ベンチャーエコシステムの実現」について -杉原- 先ほどお話にも合ったように、後藤社長を含めてディ・ポップスグループのメンバーとして、これからベンチャーエコシステムというキーワードを日本にどんどんどんどん広げていきたいと思ってるんですが、ベンチャーエコシステムの実現に対して共感できること、そして意識して活動してることなどございますか? -保坂- そうですね。ディ・ポップスグループは今ベンチャーエコシステムの実現に向けて動いていますが、元々私が入社したディ・ポップスから、若い人たちがチャレンジできるステージがありました。今のディ・ポップスグループでは、ディ・ポップスでのビジョンがもっと大きな世界観になったと思っています。基盤にあったディ・ポップスでの考えが、ディ・ポップスグループでもっと大きな世界観になったということなのも、心から共感をしています。 私が今目指しているものというのは、例えばディ・ポップスグループの本社がある渋谷ヒカリエという場所もそうですし、ディ・ポップスグループの中に様々な業種の会社があるので、渋谷ヒカリエという場所の提供やノウハウの提供だけではなくて、やっぱり各社のこれから中核になってくる社員の採用などをこのグループに入るとこういう場所が活用できる・ノウハウを得られる・採用難の市場感でも採用力が増す、みたいなものが伝えられるような形になってほしいので、そこまでしっかり確立したいと思っています。 -杉原- 今グループ会社23社あるので、「採用力はうちの会社がピカイチだ」とか「人の教育に関してはうちの会社がピカイチだ」とか「このバックエンドのシステムは任せてください」とか、各社苦手な部分も頼れる会社があるってベンチャーエコシステムならではですよね。 ◆STAR CAREER・graphDの10年後の理想の姿 -杉原- そんな保坂社長、そしてSTAR CAREER・graphDの10年後の理想の姿を教えてください。 -保坂- シンプルに僕自身は、STAR CAREERとgraphDという会社、そしてこのディ・ポップスグループが目指してる世界観の実現にむけて、この2社の領域が僕自身に任せられた担当だと思ってやっています。例えばディ・ポップスグループがまた成長していく中でこういうことに困ってる、こういうことをやるやつがいないってなった時に、いつでもそこに対してやる準備ができる人間でありたいと思ってます。 -杉原- その未来に向けて今取り組んでることや、課題などはありますか? -保坂- その課題について、この下期の10月から解消する動きを今取っているんです。 実はスターキャリアの各事業の責任者をやっていた部長以上のメンバーが全員、次世代に権限委譲を行いました。そして今まで部長の下で働いていたメンバーが実務の最終責任者で、それぞれクライアントにも動いて、メンバーフォローも自立してやっていくことにしました。 コア事業20年の企業生存率がどうしても低いのは、登りのエスカレーターの時に事業を立てても、それが安定期や停滞期に入ったときに先の波を乗り継いでいけないからだと思っているんです。なので、既存事業とコア事業とサブ事業を3つ作りつつ、モバイルからコールセンターやカスタマーサポート、バックオフィス事務とステージのバリエーションを広げる事ができたので、この今の波は既存事業としてこれからまだまだ育てていきます。 アップトレンドであったモバイルは今は安定期となりましたが、コールセンターやカスタマーサポートはDX化の波もあり今後も伸びていく事が予想されます。その既存事業の成長を今の若手に一気に任せることにしました。そして、次なる事業であるRPO事業やキャリポや就活カフェ事業を、これまでの役職者が行っていく。こういった事業を3年計画で、売上を目標値まで持ってってくださいという流れにして、今までの役職者が新事業の立ち上げ責任者・実務責任者としてやる体制に今回切り替わりました。 -杉原- なるほど。会社の立ち上げの時にジョインした人たちが養ってきたものは、派遣事業を通してアントレプレナーシップを身につけてきたというか、新規事業開拓を勉強してきた・経験してきたということなんですよね。まさにベンチャーですよね。 -保坂- そうですね。最近では、コロナで事業の転換を図るときに、新たな事業領域の拡大や人財育成、そこに紐づく評価制度をメンバー総力戦で作る事で形になってきたので、ここからは次世代のメンバーに事業を動していってもらうという判断をしました。 次は、キャリポやRPO事業のところをしっかり立ち上げることに注力していこうと思っています。そして3年間で現在派遣事業の粗利のシェア90%のところを50%にすることを目標にしています。新規事業と派遣事業の粗利シェアを半分ずつにするイメージです。   ◆ホームページを訪問した読者の方へ、メッセージ -杉原- 素晴らしい目標ですね。 では最後にこのホームページを訪問した読者の方に一言メッセージをいただけますでしょうか。 -保坂- はい。ディ・ポップスグループの色々な方と話ていると、いつも感じる事があるんです。 例えば「俺は海賊王になる!」というセリフが有名な漫画があると思うんですが、その主人公は宝の島にたどり着いて、海賊王という称号を得るために目指していますよね。でも同じ船に乗ってるメンバーの中で実は海賊王になりたいと思ってるのはその主人公だけなんです。 あるメンバーは世界一の剣豪になるとか、また違うメンバーは世界中の海図を作れるようになるとか、実はそこにたどり着くという一つの目標に向けて頑張るんですけど、たどり着いて得たいものってみんな違うんですよね。僕はこのディ・ポップスグループってそういう場所だと思っているんです。 ベンチャーエコシステムのなかで、自分の実現したい夢をかなえる。そこにはたくさんの仲間がいるので、協力し合いながらお互いの夢をかなえていくことが出来る。これからもいろんなメンバーがベンチャーエコシステムの仲間になってくれることをとても楽しみにしています。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太   【株式会社STAR CAREER】 代表者:代表取締役 保坂 龍政 所在地:東京都渋谷区渋谷2-15-1渋谷クロスタワー25F 設 立:2016年 5月 サイト:https://star-career.co.jp/
  • INTERVIEW
2024.11.08
【グループ会社インタビュー】㈱STAR CAREER / ㈱graphD 保坂 龍政 社長 ~前編~
D-POPS GROUPでは、現在約23社のグループ会社が仲間となっています。 今回は、2016年に株式会社 STAR CAREERを創業した保坂 龍政社長へ、インタビューしました。 --------------------------------------------------------------------------------------- ◆STAR CAREER設立の経緯 -杉原- 今回は、STAR CAREERの保坂社長にインタビューさせていただきます。宜しくお願いします。 まず現在STAR CAREERの社長を務められていますが、STAR CAREERの社長を務めることになった経緯を教えていただけますか。 -保坂- はい。STAR CAREERは2016年に創業しました。 私は2006年にディ・ポップスに入社し、店舗責任者や統括部長をしていました。実は2014年〜2015年あたりから、ディ・ポップスを創業し現在ディ・ポップスグループの代表を務める後藤社長が、ディ・ポップスのメンバー向けに後藤塾を実施していました。 意味合いとしては起業家養成塾のような形でしたので、ディ・ポップスの店舗のメンバーも後藤塾に参加していました。後藤塾でMVPをとり、社内起業家第1弾となったのが現在アドバンサーの会長を務める藤田さんだったんですね。 実は私はその後藤塾には一度も出ていなくて、どちらかというとディ・ポップスの中で「起業家になりたい」「グループ会社を作りたい」というメンバーを応援する側の立場だったんです。 ある日後藤社長から、ディ・ポップスが売上高100億円を達成して、次の300億円・500億円・1000億円を目指していく中でグループ会社構想を立ち上げまして、「人材系の新たなグループ会社を作ろうと思っているんだ」というお話を受けたんです。その時に私は「〇〇くんなんかいいんじゃないですか?」っていうふうにメンバーを推薦していたんですね。 そしたら後藤社長から、「保坂くんは自分で手を挙げたりしないの?」と言われまして。「いや僕はどちらかというと、今このディ・ポップスが300億円・500億円となるために、全力で若いメンバー引き連れて実現させますから!」っていうお話をしていました。 それでその日の夜に、定期的に飲んでるディ・ポップスの後輩メンバーに、実は今日後藤社長からこんなお話があったんだ、でも俺断ったよと。みんなと一緒に次の300億円・500円達成していきたいからと伝えたら、「何やってるんですか!やってくださいよ!こっちは任せて背中見せてくださいよ!」と言われて、確かにみんなの言うとおりだなと思い、次の日後藤社長に、「昨日の件ぜひ僕にやらせてください」と言ったところからスタートしました。 -杉原- ディ・ポップスでの経験って経営に活かされましたか? -保坂- 活かされています。当時の店舗というのが独立採算制になっていて、売上・粗利がいくらで、店舗の人件費でキャンペーンを独自で入れたりするなどやっていたので、ある意味プチバーチャル経営のような形を取っていました。 ですので店長次第でめちゃめちゃ黒字になったり赤字になったりもする。そういった販売台数や契約台数だけじゃなくて、経営をその個店ごとにしてたんです。店舗でプチ経営をやっていたので、今の経営に非常に活かされているなと思います。 -杉原- 店舗で経営を学べるというのは非常に勉強になりますね。ちなみに、その時点でディ・ポップス以外に何社グループ会社があったんですか? -保坂- 当時はまだグッド・クルーとアドバンサーだけでした。 -杉原- なるほど、それでは人材会社で3社目ということだったんですね。 -保坂- 実は当時、アドバンサーは人材会社じゃなかったんです。スマートフォンのリユースの会社でした。その後ピボットして今の人材会社になりました。 -杉原- そうだったんですね!では当時グッド・グルーとSTAR CAREERではどういった違いがあったんでしょうか。 -保坂- 2つありました。まず1つ目は、STAR CAREERはモバイルだけではなくて、箱型のストアビジネス、つまりオリンピックを見越してホテルであったり飲食店であったり、そこの接客と店舗運営に特化した人材派遣を行うというコンセプトで立ち上げました。 あともう1つは、当時、グッド・クルーが採用に苦戦している時期があり年間30名〜40名の採用が続いていました。後藤社長の発案により「じゃあ保坂くん、100人採用やろう」というミッションをいただきました。結果として4月にSTAR CAREERに新卒が社員107人、入社することとなります。 ただこれは面白いことに、次の年にグッド・クルーが今度100人採用できたんです。ここは後藤社長の戦略で、競わせながら成長させていこうと考えていたんだと思います。 創業してすぐ採用活動を行い新卒107人入社というところで結構ハードだったんですが、11月ぐらいに後藤社長から、「来年4月からM&Aで入ってくる会社があるんだけど、そこもやってもらおうかな」と言われました。創業当時は、私含めて2人だけで最初立ち上げてるので、マジですかと思いながらも「やります!」とお伝えして、現在のgraphDの経営もやることになりました。 -杉原- すごいスピード感のある展開ですね!ボールを投げられたらなんでもこなこなせるというか、こなそうとするというタイプなんですね。 -保坂- それが最高ですよね。「便利なやつ」って思われたいですね。 -杉原- とっても重要なことですよね。会社の中の幹部って、トップから見たら「便利な人」は絶対に必要で、その人にどんどん仕事が投げられる。投げられれば投げられるほどその人は鍛えられるし経験ができる。幹部にとっておいしい話なんですけど、グループ会社経営でも似たようなようなところがありますよね。社長としても1つの組織を回しているけど、グループの代表からしたら「便利なやつ」と思われることが大切というか。 -保坂- そうですね、もうすごい嬉しかったですね。逆に4月に新卒107人入ってくるのに、4月に新しい会社が設立されちゃうってまじか~と思いつつ(笑) ◆STAR CAREERの事業 -杉原- それでは次に、STAR CAREER社の事業概要を簡単にご紹介いただけますか? -保坂- 2024年現在においては、就活カフェを運営する総合人材サービス会社です。就活カフェというものを軸として、人材派遣業・人材紹介業・採用代行業の3本立てで経営しています。 -杉原- そうなんですね。就活カフェというのは事業の核となるんですね。 -保坂- おっしゃる通りです。企業が人材採用するには、マイナビなどの媒体に出して応募を待つか、もしくは人材紹介会社にお願いして人財を送ってもらうかだと思うんですけれども、やっぱり学生求職者から見た時に、媒体でもない・人材紹介会社でもない、ここに問い合わせしてみようというプラットフォームが就活カフェの立ち位置です。 -杉原- 学生求職者の方は、就活カフェをどうやって知ることが出来るんですか? -保坂- 基本的には我々が学生団体とのパートナー契約をやっていますので、例えば ラオスとかカンボジアとかの難民支援をしている学生団体さんとか、保護犬・保護猫活動を行う学生団体さんなどいろいろな団体があるんですが、彼らはミーティングをする場所を我々の就活カフェでやれるように開放して、活動するための場所の提供であったりとか、定期的に彼らの活動資金として、協賛金を1口5万円とか10万円みたいにスポンサーとして提供する。 代わりに学生団体に登録してる学生さんが、我々の就活カフェでイベントやる時とか、説明会をやる時に来てくれるというような関係になってます。 -杉原- その就活カフェによる就活支援事業を核として、主には学生さんを採用や、紹介をしたりされているんですね。自社で採用する場合は学生を含め、若手の方が多いと思うんですが、研修や教育はどのようにされているんでしょうか。 -保坂- まず内定者研修・入社研修入社してから、月1回の集合研修を1年間やっています。 他のグループ会社やグループ外の人材派遣会社も同じような会社はいっぱいありますが、我々の派遣先への出勤日数は他社よりも1日少ないんですね。ある意味出勤として研修しているので、派遣先に行くのは減ることになります。 メンバーに対して内定から入社のタイミングでずっと言っているのは、「仕事っていうのは、やりたいことをやるためには、できることが増えてくればいつの間にかやりたいことができるようになってる」という話をしています。 レベルとスキルというのがあるとして、結構みんなスキルを求めたがるんです。資格を取るとか留学をするとか。スキルをあげたいと言う人が多いですし、スキルってのは強い武器だと思います。だけど、ドラクエで例えると、レベル1の子がレベル50の強い武器(スキル)を持ったとしても使いこなせないですよね。自分自身のレベルを上げていかないとそのスキルは活かせないので、まずは社会的に市場価値を上げるためにスキルを上げるだけじゃなくて、まず1年間で自分自身のレベルを上げようと。 自分自身をレベル10→レベル20→レベル30にしてスキルも磨きなさいというようなレベルとスキルの話をしています。なので、どちらかというと店舗で働きなさいではなくて、店舗でいろんな壁にぶつかったりするけど、そこに心の向き合い方とか周りへの協力の仰ぎ方とか、自分自身のレベルが上がることで仕事ってできるようになってくので、それを月1回の研修の中で伝えていますね。 -杉原- 素晴らしいですね。レベルを上げていく中で身につくものの方が、資格を取るなど先にスキルを磨くよりもよっぽど濃いですよね。資格が無駄だとは思ってはいないんですが、英語でいうと喋れないのにTOICE990点ですっていう人よりも、仕事で英語を使うなど場数を踏んでいくことで英語を使いこなしたビジネスパーソンになっていく・その過程で試験を受けてやってみたら点数が上がったというほうが自分の自信にも繋がるし、価値としても絶対高いですよね。 ◆コロナ禍の苦難 -杉原- では次の質問です。その人材会社を経営して8年経ったと思いますが、この直近の事業運営はどうでしたか。そして3年前のコロナ禍のとき、会社の状況はいかがでしたか。 -保坂- コロナ禍のときは、一度、会社の方向性を揺るがすほどのダメージを受けました。もともとストアビジネスというところで、ホテルや飲食店の派遣事業をやろうとしていたのがオリンピックがなくなってしまい・・・。 そもそもSTAR CAREERのロゴマークの星の色には1つ1つ意味があって、例えば、ホテル・ブライダル・アパレル・飲食・携帯ショップなど5領域の接客に特化した派遣事業という意味でスタートしたんですが、コロナで見通しが見えずらくなってしまった事業はホームページなどこの意味を掲載していたものはすべて削除することになりました。同時にそのタイミングで開始した事業が就活カフェ事業です。 長いコロナ期間によって人々はライフスタイルや人生観に大きな転機を迎えました。特に私たちは接することの多い就活生はまさに大学1年生の時にコロナがはじまり、コロナが5類に分類されたタイミングで4年生。面接で学生時代にやりきったことは?と聞かれても困ってしまう事でしょう。コロナと同時に始まったこの就活カフェ事業は、事業領域から自分の選択肢を広げる・人生の選択肢をカラフルにしてほしいという思いを込めたものへと変革をしました。 ただ、就活カフェの立ち上げ当初は、ホテルや飲食を目指して入社した方から、「もともと聞いていた話と違う、最初はこう言ったからこの会社入ったのに、なんだやらないんだ」と辞めていくメンバーも少なからずいましたが、その本質であった【人と人を繋ぐ】という軸は変えずにコロナ禍で大きく市場が拡大した非対面のコールセンターや在宅でのカスタマーサポートにも取り組んでいきました。また対面においてもコロナの収束に合わせ、オフィス事務の領域にも進出しています。今ではメンバー自身が自らの成長に合わせた環境の提供という概念に加え、人生設計によって働き方のバリエーションの提供という意味合いも強くなりました。 結果としてコロナによって私たちが再認識した事はBtoCでもBtoBでも結局そこに人と人の繋がりがあって、例えばお店で自分のところに来てくれるのは、「この人だったらなんとかしてくれるかも」と店舗に来てくれる。そしてBtoBもそこに人と人がいるので、納期やばいな、これでも◯◯さんにお願いしたらなんとか頑張ってくれるかもしれないって連絡が来るわけじゃないですか、結局。だとすれば、やっぱり仕事は人と人なんですよね。 最初、新卒で入社した時は、もうガンガン働きます!と言っていたメンバーも結婚して産休・育休から戻ってきてくれて、変わらず頑張りますという人も、もう少しバランスを取って働きたいとか、働きたいけどこういう形だったら働ける人も全員正解だと思うんです。 もっと年収を上げに行きたいのか、それともプライベートを充実させていきたい・家族重視でいきたいのかなどいろんなことがが出てきた時に、その社内の中でバリエーションを作ってあげたい、長く安心して働ける会社にしたい、これが自分の人生をカラフルにしてほしいというロゴに込められた新しい意味と思いです。 また、業績に関しては、コロナ前より業態そのものが変化しているのでトップラインは一時的に落ちてはいるものの、営業利益は以前より良くなっています。 -杉原- 素晴らしいですね。大変な時期があったけど、それを乗り越えて今少しずつ骨太の事業形態に切り替えつつあるんですね。 -保坂- そうですね。今はモバイル派遣よりも、コールセンターやバックオフィスの方が、派遣する人数が多くなったので、ある意味グループ会社のリスクポートフォリオは広がったかなと思っています。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社STAR CAREER】 代表者:代表取締役 保坂 龍政 所在地:東京都渋谷区渋谷2-15-1渋谷クロスタワー25F 設 立:2016年 5月 サイト:https://star-career.co.jp/ --------------------------------------------------------------------------------------- 次回後編のインタビューでは、 ・市場環境 ・「キャリポ」のリリースについて ・産学連携イベントについて ・STAR CAREERの社風について ・「ベンチャーエコシステムの実現」について ・その他 などについてお伺いしています。 後編もぜひご覧ください!    
  • INTERVIEW
  • グループ企業
2024.10.25
【エグゼクティブインタビュー】藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国日本大使)~後編~
今回は、「ベンチャーエコシステムの実現」のため2023年4月よりディ・ポップスグループの顧問に就任していただいた藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国特命全権大使)へ、弊社代表取締役の後藤がインタビューいたしました。 今回はインタビューの後編になります。 前編は以下のURLからご覧ください。 【エグゼクティブインタビュー】藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国日本大使)~前編~   --------------------------------------------------------------------------------------- -後藤- それでは次の質問です。 一般の日本の大企業(新日鉄や伊藤忠等)でも社外取締役をされた経験があられますが、外務省で仕事をすることと、大きな違いを感じられたこと、また共通するものと感じられたことは、どのようなことでしょうか? -藤崎- 大企業と外務省で大きな違いを感じたところは、外務省にいるときは決断にあたって常に対外説明、つまりアカウンタビリティを考えていました。民間ではそこが違うと感じました。 役所におりますと、マスコミと国会というのにさらされて、ちょっとでも何か不備があると対外的に発表が必要になります。例えばどこかの税務署で30万円紛失した場合、それを発表しなかったら大騒ぎになる。そして、 隠蔽工作をした等と言われてしまいますよね。警察だってそうです。 一方で、民間会社で同様に30万円の紛失があった場合、紛失後にすぐに見つけたら、今後はしっかり管理するようにいわれるだけで済みますし、基本的には経営陣の判断でコントロールできる。 役所にいる私どもはそこにエネルギーをかけすぎてるなと思います。 もう一点違うところは、外務省は大企業に比べるとフラットな社会でした。若い人もトップの場に行き発言が許されていました。大企業はヒエラルキーが厳しいように思います。 -後藤- 私も、世の中ほとんどの会社がピラミッド構造になってるので、若い人がチャンスを持ってやろうとしても、特別にものすごい努力したりとか能力が高い人がいても、昇進するまでものすごく時間がかかる。だから、そういった世の中でも、「若者にチャンスがある会社もあるよ」という選択肢を作ってあげないと未来がないなと思いました。それが会社を創ったことの 理由の1つでもあります。 -藤崎- そうですよね。それは本当に大事です。そうじゃないと海外に逃げちゃうよね、みんなね。 -後藤- 今はそこからさらに発展しています。若者にチャンスのある会社を作ろうっていうところから、今はとにかく日本に起業家を増やして、挑戦するカルチャーや、 懐の深い社会をどんどん広げていこうと思っています。そうすることで、若い人たちが選択肢を持って、どういう会社で働くとか、どういうところに挑戦するか、あるいは起業するっていうこと自体も世の中から称賛されるような社会を、作っていく必要があると思って今頑張ってるんですよね。 -後藤- それでは、外務省で様々な国と交渉をされてきた藤崎さんにお聞きしたいのですが、 世界的な複数の大国と付き合う場合のパワーバランスの取り方に関して、グローバルの中で、日本のプレゼンスをしっかりと堅持し、向上させる上で、アメリカやEUとの関係、また他のBRICSなどの大国と、どのようにバランスを取るべきだとお考えでしょうか? -藤崎- 最近大企業のトップと話したときに、「ウクライナや北朝鮮、中国の行動に鑑み、民主主義、平和など、性善説はここ10年は封印して、性悪説でいくべきではないか」と話されました。私は「いえそれは同時です。表向きは性善説ですが、裏では常に性悪説です。誰が何をしてくるかわからないという備えをするのが安全保障の考えです」と言いました。 日本が北朝鮮、ロシア、中国の隣国であることを考えると安全保障のために米国に依存せざるを得ません。しかしそれはまったく同じ政策をとらなければならないという意味ではありません。米国と違い日本はキューバ、イラン、ミャンマーと常に良好な関係を維持していますし、米国が出てもTPPやパリ協定を続けました。声高にいわずにうまくやっているのです。グローバルサウスもBRICSも決して一枚岩ではありません。そのうちのインド、南ア、ブラジルなどとはできるだけいい関係を構築していくことが大事です。 海外に行くと、日本に対しての信頼感とか良いイメージをもっているっていう人が多いですよね。なので、今のままで基本的にいいんじゃないだろうかと思っています。 ただ、気を付けていかなきゃいけないのは、インドですね。インドという国は、中国が悪者になってるおかげでいい国のようになっていますが、なかなかしたたかな国です。インドとは何回かしか交渉はしたことないですが、最も難しい交渉相手でした。 -後藤- 産経新聞の連載の中で、 日本が頼りないという風に国民は言うけれど、素晴らしい功績としては、戦後70年くらい、 戦争が1度もないことを挙げていましたよね。なるほど、確かに素晴らしい功績だなと思いました。 -後藤- では続いての質問です。 日本はバブル崩壊後から、失われた30年とよく言われていますが、グローバルに見て、日本の経済成長や発展が遅れをとってしまったのは、なぜだと思われますか?米国の社会学者エズラ・ボーゲル氏の「Japan as Number One: Lessons for America」の著書が出版された時とは、大きく様変わりしたかと思います。 -藤崎- そもそもナンバーワンになることもあり得ませんでした。こんな狭い国で資源もなくて、それでも1億人もの人が暮らしている。こんな狭い国土にいるところは、相当な食べ物などを輸入しなきゃいけないんだからナンバーワンになるはずがないのに。友人でしたから言いにくいですが、おだてて本を売ろうという戦略です。 日本は資源もなく背伸びしないことが大事です。米国に言われて産業政策をすっかりやめたのがよかったか。やはりシリコンバレーみたいなものを政府と経済界でつくるべきだったでしょう。 一方で、日本ほどクリーンで快適なところはないと思います。アカセキレイ(安全、確実、清潔、規律、礼節の頭文字)というソフト面が非常に素晴らしい国です。 日本は人口減少化と言いますが、小さな国土の日本に人口1億もの人は本当はいらないかもしれない。国の大きさはせいぜいカリフォルニア州くらいで、そこにアメリカの3分の1の人口がいるんですから。そして日本の80%は山なんです。もう少し、日本の人口は減ってもいいかもしれません。  昔の自動車産業などのような国内市場なんかいらないんで、例えば台湾のTSMCやフィンランドのノキアのように、国内市場関係なく事業を起こしていく。そういうことも考えながら、産業政策というものを作っていくべきだったんじゃないかなと思うんです。だから、そういうまさにベンチャーなりそういうものをやるということを全然してこなかったのが、ここに繋がっちゃってるんじゃないかなと思いますけどね。 -後藤- 今慌ててというか、5年前ぐらいからですかね、もうとにかくスタートアップベンチャーを後押ししないといけないという流れがありますよね。 政府もそうですし、あと大企業もベンチャー投資を加速したりとか、今やっとという感じなので、本当だったら30年前に進めないといけなかったことが今やっと本腰が入ったと感じています。 -後藤- それでは最後に、駐米大使時代様々なアメリカの大統領と仕事をされた藤崎さんですが、 これまでにお会いされたアメリカの歴代大統領、もしくは各国の大統領や首相の中で、最も印象深く、心に残っている方は、どなたでしょうか?またそれはなぜですか? -藤崎- まずビル・クリントン大統領はね、演説をしてると、400人の聴衆がいても、みんな自分に話してると感じてしまうような話術を持った人らしいんですよ。そして、彼のすごいところは、とんでもない秀才なんですよね。アメリカで1年で50人くらいしか選ばれないローズ・スカラーという大学の優等生しか利用できない奨学制度で、オックスフォード大学に行くんですね。  ところが、この方は全然授業を聞いていなかったらしいんです。ただね、これは人から聞いた話なんですけど、その50人の秀才たちが 集まって、この中で将来アメリカのリーダーになる人は誰だろうと言ったら、多数が「クリントンだ」といったらしいんですね。 全然勉強してない。でも勉強はできる。それだけじゃなく、一種の人間力だったと思うんですね。秀才ばかり集まって多数がクリントンさんを指名したと言うのはすごい能力ですよね。 それともう1つ、私との関係で申しますと、 小渕元総理が亡くなった時、私は外務省の北米局長だったんです。そのときクリントンさんは小渕元総理のお葬式に来られました。 お葬式の後、赤坂の迎賓館でレセプションがあったんですね。私は北米局長だったので、アメリカの大統領を案内する係だったんです。私が先導役で、クリントンさんを案内しました。その時クリントンさんは、私の後姿を見ることがほとんどで、会話も少しだけだったんですね。 その4ヶ月後に、森元総理が沖縄サミットをやったんです。その時、平和の礎っていうところで、クリントンさんがスピーチをすることになっていました。 実はそのとき、クリントンさんは中東の和平交渉をやっていたので来られるかどうかわからなかったんですよ。でもなんとか来てくださってスピーチをされました。 そのあとクリントンさんと握手をするために列ができたんです。私は、1番前の列にいたんですが、地元の方が握手したいと前のほうに来られたので、私はあとでまた会談の時お話しするタイミングががあるから、どうぞと言って、席を譲って後ろに行ってたんですよ。そしたらクリントンさんが握手をされているときに、ぱっと私を見てね、「お前ここにいるのか!」って言ったんですよ。4ヶ月前に東京で先導役としてお会いしただけなのに、特別な記憶力をお持ちなのか、あるいはこの人は人たらしで有名だから、4人ごとくらいに声をかけていたのかもしれません(笑) そんな人間力のある方でした。 一方で、バラク・オバマ大統領はね、 やっぱり秀才なんですけど、 黒人の方ということもあってなのか、自分が秀才だということを印象づけることを大切にされる方でした。 クリントンさんは自分の秀才さを一切見せないですよね。ここは違いがあるなと思いました。 -後藤- 逆にもう元々能力が高い方だからこそ、脳ある鷹は爪を隠すというか。 -藤崎- そうなんでしょうね、おそらく。そして白人でもあるしね。 オバマさんもね、とってもかっこよくて、大体出てくるとワイシャツを腕まくりしてるでしょ。だけどね、本当はものすごい詰めの鋭い人なんですよね。   -後藤- 本日はお忙しい中、お時間を作っていただき本当にありがとうございました。 たくさんの学びと刺激をいただきましたので、これからの日本社会のために必ずベンチャーエコシステムを作り上げたいと思います。 ---------------------------------------------------------------------------------------   【あとがき ~株式会社ディ・ポップスグループ 代表取締役 後藤和寛~】 日本の外交で最も重要とも言える駐米大使や在ジュネーブ国際機関日本政府代表部特命全権大使などを歴任された藤崎さんにインタビューさせて頂き、本当に重みのある素晴らしいお話や経験談、そしてアドバイスをたくさん頂く事が出来ました。 あまりに楽しみでワクワクが止まらず、前日は特に、夢の中でも質問させて頂きたいことが頭に浮かぶほどでした。そしてたくさんの質問に、真摯にお答え頂きましたが、そのお答えはどれも会社経営に相通じるものばかりでした。 非常に難しい外交や政治の中で決断を出していく事は、想像を絶するものがあります。経営でもあまりに様々な目の前の事象が、さらに複雑に絡み合っている中から、出来る限り適切な解を出すことが常に求められます。そんな中で、藤崎さんからお話頂いた経験談やアドバイスは、私や、今現在リーダー役を担っている方々だけでなく、未来にその役目を担う方々にも、大変参考になる金言ばかりでした。 こちらの記事では、ストレートな内容のお話も非常に多かったため、掲載が出来ないことも多かったですが(笑)、実際は記事の内容の10倍ほどのインタビューをさせて頂きました。現在でも日米協会の会長や、中曽根平和研究所の顧問(前理事長)など、重職をされていますが、これからの日本の未来のために、藤崎さんの知見や経験を次の若い世代に是非継承していって頂きたいと、切に感じるプライスレスな機会になりました。 最後に、貴重な機会を頂いたことに、心より感謝申し上げます。  
  • INTERVIEW
2024.10.16
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