D-POPS GROUPでは、現在約23社のグループ会社が仲間となっています。
今回は、2018年にグループ入りした株式会社TFNの長岡 守 社長へ、インタビューしました。
前編の記事は、こちらからご確認ください。
◆事業売却について
-杉原-
そうだったんですね。
では、その通信事業の売却について、詳しく教えていただけますか?
-長岡-
通信事業の売却について考え始めたのが今年(2024年)の1月ぐらいでした。自社の事業を見つめ直して、 この後どうグロースさせるかというのは考えてたんですけど、先ほど言った通信の事業売却というのが頭の中によぎりました。
実際に動き始めたのが今年の6月です。実は 一旦コロナで通信事業が思いっきり悪くなった時に、一度後藤社長に打診してるんです。もう通信事業自体がこれだけ悪く、いつ世の中が元に戻るかわからないので、持ってること自体がリスクだと伝えたんです。その時は否定的な意見でした。なので僕も、やっぱり良くないよなと思って持ち帰ってるんですね。
それで今回6月に改めて打診しました。今回はもう自分の中で決めていたので、後藤社長がどうであれ、 自分の考えとしてもう1回伝えたら、後藤社長からいいんじゃないのといわれました。当然僕の考え的には別にこの事業がダメだから売ってるわけではなくて、あくまでも今回の譲渡先であればグロースできるかなと思える会社さんと巡り会えたので、譲渡を決めました。
-杉原-
今回の事業売却は、選択と集中ということですよね。今集中することを決めた事業というのは何でしょうか。
-長岡-
通販のモバイルアクセサリーの事業だけです。今は自転車やスーツケースなどいろいろと売っていますが、最終的にはモバイルアクセサリーに集約するっていう考えで、自社の製品であったりとか、他社の仕入れがあったりとか、もうフル活用して望んで行こうと思っています。
今、通販事業の中で僕が1番重要視しているのは、カスタマーサクセスです。早く作るとか、いいものを作るというのは当たり前のことであって、やっぱり最終的にはエンドユーザーの手元に届いて、うちの商品のファンになってくれるかだと思ってます。なのでモノづくりをするのであれば、売上が1位になるとか、市場で1位になるのも重要なんですけど、よりいいものを届けるという概念の方に進んでいきたいと思っています。
-杉原-
TFN社の事業を見ていて特徴的だなと思うのが、有名どころのデザインを作る権利を取得されていますよね。
-長岡-
そうですね。それは今仕入れ先として協力していただいてるところが、基本的には販権元なんですが、そことどうやって製品を開発していくかなどを一緒に考えているので、 別に全て自社で囲い込むというよりは、いろんなメーカーさんとか仕入れ先さんと協力しつつやっています。
そして、先ほどの話に戻るんですけど、我々は、その市場を調査するツールや売上を分析するツールなどは自社で内製しているので、それでメーカーさんの方により良いフィードバックができる。そうすると、多分、普通の販売先や業者よりも丁寧というか、違う形でしっかり報告ができる。 それができるので、いい相乗効果になると感じています。
◆社風、文化について
-杉原-
ありがとうございます。では続いての質問です。
TFN社の文化、社風はどんな感じなのでしょうか?
-長岡-
以前、TFNの顧問をやっていただいていた元ソフトバンクの常務を務められた後藤誠二さんに最初に言われたことは、「これから共感と共創の部分が必ず必要になってくる。 やっぱりお客様がいいと思っていただけるものとか共感してくれるものとか、そこがないとこの先ないよね」みたいなことを言っていただいたんです。
実はその当時は、本当にユーザーレビューがあんまり良くなかったんです。そこから、じゃあどうやってお客様に対して向きあっていこうか、どうやって良くしていこうかという「共感と共創」を大事にすると決めてから、すごく会社が変わっていったんですよね。なのでTFNの文化としては、お客様を見るということを今1番大事にしてます。
だから、例えば法人の販売先だったら、直接会いに行って商談をすることだし、憶測で決めない、そういうことっていうのはすごく重要視しています。さっきお話しした、システムで出したデータというのは当然見てるんですけど、データと、 直接会って商談する事実をちゃんと判断した上で動くっていうことはすごく気にしてます。
-杉原-
素晴らしい文化ですね。
では続いての質問です。ディ・ポップスグループに入ってから行った取り組みや、その中でグループにジョインをしていたからこそのメリットなどあれば教えてください。
-長岡-
多分これは人によって違うとは思うんですけど、僕の中で1番は考え方を学べたことです。
これは社内の中でもそう思うんですけど、人ってやるかやらないかとか、どういうことをやるかって、結局自分の意思次第かなと僕は思っているんです。
例えば、ディ・ポップスグループに入るのも僕が決めたことです。人から決められてディ・ポップスグループに入ったわけではないので。 やっぱこれって自分の会社でもすごく大切にしている概念です。ディ・ポップスグループに入ったことでその判断する考えの幅が広がりました。例えば先ほどお話ししたように、赤字に陥ったときに考える発想とかが、全然根底が違う。 でもそれも別に間違った根底じゃなくて、こういう概念ですねっていうところ。それをどう解釈するかって人次第だと僕は思うんです。
後藤社長ってEO(Entrepreneurs' Organization 起業家機構)の中で結構有名な方なんですけど、後藤社長を悪く言ってる人って僕は見たことがないです。 普通、人間って1人くらいは悪く言っている人がいると思うんです。でも僕は会ったことがないです、1回も。 これって結構奇跡だと思うんですよ。そんな方から考え方を学べる環境があることがありがたいです。
後藤社長は、僕の会社が赤字になろうが、信頼してくれる。でも信頼してくれているからやらなきゃいけないみたいな圧もあるし(笑)後藤社長がいるから、やっぱり背筋は伸びますよね。
あと、グループ会社のことは各代表に全て委ねているというやり方なので、そこもメリットですよね。グループ会社にはびっくりするほど来ないんです(笑) だけど、数字はすごいしっかり見られてるんですよね。
◆ベンチャーエコシステムの実現について
-杉原-
見られてますねー(笑)。
さて、ディ・ポップスグループは、ベンチャーエコシステムの実現を目指していますが、グループの中でコラボしたり取引した会社ってありますか?
-長岡-
僕はほぼないです。ただ、最近だとあるグループ会社の方が1人で通販を学びに来ていました。その会社の社長から突然連絡があって、「いつか通販をやってみたいと思っていて、一人預けるから、教えるとかではなく丁稚奉公させてくれないか」と。それで一人うちの会社に来たんですが、その方が本当に自分で頑張って、うちの社員に聞きまくって、当然僕もアドバイスしてました。
最後には、100万円ぐらい売上を出したはずです。事業PLが出たとかではないですが、社長も喜んでくれました。グループという関係がない会社同士だったら、じゃあ業務委託費はいくらにするか等の交渉が必要になりますが、グループだからできることですよね。
あと僕は、あんまり人に教えてもらうタイプじゃなくて、どちらかというと盗む方かなと思います。だから経営会議の報告を聞いているだけでも勉強になりますし、基本的に後藤社長がウォッチしてる会社は僕も見るようにしてるんです。
結局ビジネスモデルが良くないとM&AもCVCも成立しないと思うんですよね。 それを四六時中考えている後藤社長が何を考えているかを逆算していくと、多分その出資先が答えなんだと思うんです。 そういう観点で見ていると、後藤社長が今どんなビジネスモデルに注目しているのかがわかりますよね。
僕がこういうタイプだからかもしれないですが、 後藤社長と会うといつも本をいただくんです。すごいなと思うのが、多分僕が今欲してるであろう本をチョイスしてくださるんです。そして僕は必ず本を読んだ後に感想を言うんです。やっぱり後藤社長の経験の中で、多分僕がこう困ってるだろうとかっていうのは察知してくれて、そういう本をくださったり的確なアドバイスをいただけますね。
◆10年後の理想の姿
-杉原-
ありがとうございます。
では、TFN社の10年後の理想の姿を教えてください。
-長岡-
そうですね、いつかやってみたいこととしては、僕もグループ経営みたいなことはやってみたいなと思いますし、多分そこに行き着くんだろうなと感じているんです。
いろんな経営者を見て、例えば1事業だけで伸ばしてる人もいますが、本当に単一事業だけで何千億も作っていくって多分すごく難しいと思うんですよね。例えば飲食店でも、ラーメン屋さんで1兆円企業、多分作れないんですね。
僕がジョインした時はディ・ポップスという携帯ショップ事業がメインだったところから、今ではベンチャーエコシステムという、全然違うところにいるんです。でもやっぱりディ・ポップスグループの動きを見てると、多分後藤社長がやってる動きというのは、経営者としてその会社をグロースしていく上で1番グロースできる方法なのかなと思ってます。
なので、僕もそれが3社なのか2社なのか5社なのかわからないですけど、例えば今TFNでやってる通販、 その次にもし、じゃあこのスマートフォンの法人販売をする・システム開発を独立する・通販の代行業をするというような形ができたら、例えば通販でうまくいかなくなったとしてもシステム開発ではうまくいっているとか、通販の代行業の会社では事業利益が出てて助け合えるみたいな、 そういうところは自分の中でも作っていきたいなっていうのはありますね。それが10年かけてやりたいことかなと思います。
実際にこれ、今本当に絵を描きはじめたところなんです。先日経営陣で合宿を行ったんですが、その時も全部お題にして、ミッション・ビジョン・バリューを再度考えて認識合わせをしたり、報酬体系や待遇面についても考えてみたり。例えば今僕についてきてくれている役員もいつか別に事業会社を作ってTFN独自のグループ体になっていったらそれはそれでいいのかなと思っています。
別にディ・ポップスグループを真似したいわけでもないんです。正直、今回の事業譲渡の時なんて、売る側であっても着金した2日前ぐらいはまともに寝られないですからね。(笑)
10月は本当に元気がなかったんですが、昨日後藤社長の顔を見たらやっぱり気持ちが晴れました。後藤社長って強運を持ってるじゃないですか。もうなんか一緒にいるだけで相当元気になれるので、エネルギーをもらっていました。
-杉原-
後藤社長は本当に、いい気が流れている感じがしますよね。
-長岡-
本当にそうですね。それで昨日いただいた本のタイトル『運』という本だったのでやっぱり面白いなあと。こういう巡り合わせってあるんだなと思えます。 引き寄せの法則じゃないですけど、後藤社長は本当に強運を持っていると思える方ですね。
◆ホームページを訪問した読者に向けて一言
-杉原-
では最後に、このホームページを訪問した読者の方に向けて一言いただけますか。
-長岡-
今僕が目指してるものは、やっぱりいい会社を作ることだと思ってるんです。いい会社の定義って自分の中ではまだ見えてないんですけど、 こうやってグループ入りして、いろんなものから吸収して、いい会社をどう作っていくかというのが、今、僕のミッションなんです。
でも、そこにたどり着けたのは、グループ入りして、物事の考え方とか、人格形成の部分を学べたことが、僕はすごく大きかったんです。なので、後藤社長はめちゃくちゃお忙しいんですが、ぜひ街で見かけたら声をかけてみてください!もうポケモンかのようにゲットした方が絶対いいっすよ。捕まえないと絶対話してくれないんで!(笑)
☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太
【株式会社TFN】
代表者:代表取締役 長岡 守
所在地:東京都中央区東日本橋2丁目27番8号 アサノ東日本橋ビル1階
設 立:2015年11月25日
サイト:https://tfnmobile.com/