COLUMN

『日経ビジネス』に代表後藤のインタビュー記事が掲載されました

  • MEDIA
2021.03.17

代表後藤のインタビュー記事が『日経ビジネス』に掲載されました。

 

「人材を育て企業理念を伝える 働く場だけにとどまらないオフィスの価値」

「日経ビジネス」は1969年に創刊された経済メディアです。国内経済メディアとして、27年連続で国内最多の読者にご購読されています(日本ABC協会認証部数)。2019年1月に電子版を創刊しました。

さらに、グループの経営リソースを活用する事で、グループ企業以外の革新的なビジネスモデルを創出し、時代を切り拓いていく将来有望なベンチャー企業にも積極的な投資を推進していく予定です。

協業体制を構築しながら、新たなビジネスを創出する事で相互に大きな飛躍を成し遂げたいと考えております。

関連記事

名経営者からの学び ー ”考え方が人生を分かつ”(中村天風)
ベンチャーエコシステムの実現のためには、起業から世界的大企業に育てるまでを行ってきた、過去の名経営者から謙虚に学ぶ姿勢が欠かせません。 「名経営者からの学び」シリーズでは、筆者が影響を受けた名経営者や思想家らの言葉をご紹介し、実体験からの想い、事業や実生活で活かされた事例などをご紹介していきます。 第三回目は、グループのアドバイザー、杉原が担当致します。 1. ”考え方が人生を分かつ”(中村天風) 心が、積極的か、あるいは消極的かで、人生に対する考え方がぜんぜん両極端に相違してきてしまう。心が積極的であれば、人生はどんな場合も明朗、颯爽溌剌(さっそうはつらつ)、勢いの満ちみちたものになりますけれども、反対に消極的だと、人生のすべてがずっと勢いをなくしてしまいます。人生を考える自分の心が消極的だと、すべてが哀れ惨憺(さんたん)、光のない、惨めなものに終わりはしませんか。 人生がたった一回かぎりである以上、たった今からでき得るかぎり完全な状態でいかされなければいけません。 ーー「中村天風 一日一話」(財団法人天風会 [編]、PHP研究所発行)より、原文のまま引用 2. この言葉を選んだ理由 私事ですが、1990年からこれまで一貫して、それぞれの時代において、”ベンチャー”と言われていた企業に勤めてきました。その中でも特に、現在のKDDIの前身にあたる第二電電での経験が、その後の仕事人としての基礎を作り、また、長年挑戦を続ける心の土台となった、”ベンチャー精神”を鍛えてくれたのだと、今でもあの時の経験に感謝をしています。 その、第二電電の創業者の稲盛和夫氏は、名経営者として、日本のみならず、中国や世界でも名が知られており、経営者らに尊敬されています。その稲盛和夫氏が影響を受けた思想家の一人が、この中村天風氏です。当時、上司や事業部長から、(当時流行った)ランチェスター戦略本やMBA本を読むことを勧められましたが、それよりも何よりも、真っ先に読むように言われたのが、この天風の書籍でした。 天風自身のロングセラー書籍には、「心を磨く」と「運命を拓く」ですが、一日一話形式で編集されたこの書物、「中村天風 一日一話」は、天風書籍のエッセンスを一話ごとに短く簡潔にした、非常に読み易い本です。”中村天風”という名前は聞いたことはあるが、まだ手にしたことがない、改めて読み返したいがどの本を読み返そうか、という方々には、まずこの本をと、お勧めしたい一冊として選びました。 ちなみに、今世界で最も名が知られたスポーツ選手の一人であり、日本人として誇らしいスーパースターである、大谷翔平選手がメジャーに行く前に天風の書籍を熟読していた、と話題になりました。 3. 自らの経験とこの思想への想い 90年代から2000年にかけて、社会人としてのイロハもまだ身に付いていない20代に、いきなり新規事業の立ち上げ部門(後にPHS事業となるDDIポケット電話準備室)に配属され、わずか6人の営業戦略の立ち上げ部隊の一員として、昼夜土日の境のないような激務をしていました。今だから言えますが、パワハラやワークライフバランスなどという言葉がまだ無くて、上司の命令は絶対、理不尽がまかり通る職場でした。 そのような、ややもすると不平不満を抱えたり、逃げ出したくなったりするような環境に放り込まれた身でも、私は物事の明るい面を見るように心掛け、困難を避けず、積極的な姿勢を保ち、人が見ていないところでも努力を続けることができました。それはひとえに、この天風本をバイブルにしていたから、と言っても過言ではありません。 この中村天風の書籍の中で度々触れられる、そして天風の代表的な思想である、”常に心を積極的に保つ”、という習慣を得たことで、あの時代だけでなく、その後の仕事人生に長く影響を与え、困難を乗り越える力を付け、チャンスを得て、数々の貴重な経験を積むことができました。 この「一日一話」の中には、表現は違えども、数々の積極思考の重要性、心の在り方の重要性を説く一節が散りばめられています。 いくつか挙げると、 ”心の思考が人生を創る” 「人間の健康も、運命も、心一つの置きどころ」心が積極的方向に動くのと、消極的方向に動くのとでは、天地の相違がある。 ”意志の力” 極限すれば、人生を幸福にするのも不幸にするのも、心の統制にかかっていると言ってもいいくらいなのである。この心に対する絶対の統制力を有する意志の力というものこそは、広い意味で、人を美しく向上させる原動力だと言える。 ”尊く、強く、正しく、清く” 自然法則にそむかないようにするには一体どうすればいいかというと、第一に「心」の態度を終始一貫いかなる場合があろうとも積極的であらしめることです。積極的であらしめるということは、尊く、強く、正しく、清く生きることなんであります。およそこのことぐらい人生および生命に対して大事なことはないのであります。 ”不平不満を口にしない” どんな場合があっても不平不満を口にしないこと。この不平不満が心の中にあると、どうしてもその言葉が積極的になりません。不平不満のある人は、始終上ばかり見て、下を見ないでいる。はたはみんな幸福で、自分だけがこの世の中で一番不幸な人間のように考えている。 ーー「中村天風 一日一話」より引用 これらの言葉に励まされ、自らを奮い立たせ、前向きに仕事に取り組んだおかげで、冷静に物事に対処し時代の流れを読むことができました。その後、PHSのモバイルインターネットサービスの立ち上げ、AOL社でのブロードバンドの立ち上げ、Napster社での音楽配信事業の立ち上げ、Google社での検索シェア向上の仕組み作りなどに従事して、インターネット業界の歴史と共に歩んでこられました。 現代のビジネスパーソンは、日々変化する、そして溢れる程の情報の洪水に揉まれています。日々の仕事で必要な知識だけでなく、生成AIやAIエージェント、AIロボティクス等、世界の最新の技術情報を追いかけなければなりません。また、自分の仕事が「AIに代替されてしまう職業」になるのではないか、と不安な気持ちを持たざるを得ないような環境に置かれています。 知識や情報を詰め込むことも、技術力を備えることも大事です。しかし、人間がAIと根本的に異なるもの、人間としての資産は、情報や知識ではなく、”心”です。技術や知識はその時代ごとに変わりますし、後から身に付けられます。しかし、前向きな心や積極的な考え方というものこそが、土台となり、時代の変化に関係なく自分の内面に積み重なる財産になるのだな、と私は思います。 今、私の手元に、もう20年程ずっと財布にしまっている、御守のような小さな紙の切れ端があります。そこには、自分でしたためた「生活信条七ヶ条」が記されています。 そのうちの最初の3条、 一、常に物事を前向きに考える 二、常に向上心を保ち勤勉を心掛ける 三、力の及ばぬことに不平不満を言わない は、すっかり自分の言葉、信条になりましたが、今思えば、この中村天風の書籍(及びカール・ヒルティの「幸福論」)から引用して簡素化した言葉だったということを思い出しました。 このような積極的思考法を世に広めてくれた、実業家であり、また思想家でもある中村天風氏に感謝します。 4. 読者の方々へのメッセージ 今回は、少し古い人物の著書を挙げさせていただきました。また、著名な経営者ではない、しかし、著名な経営者に影響を与えた思想家、という観点で選ばせていただきました。 筋違いな書籍ではないかな、と最初は思いましたが、誰もが知る大谷翔平選手が読んでいる、と聞いた時は、やっぱり普遍的な思想なんだな、と嬉しく思ったと同時に、スポーツ選手にも、そして経営者の皆さんにも響く言葉がたくさん詰め込まれているなと思ってご紹介致しました。 益々先が読めない時代になっていますが(ちなみに人類の歴史ではいつの時代もそう言われていた)、ここで紹介した中村天風氏の書籍を手に取っていただくことで、積極的な心の持ち方を保ち、前向きに元気はつらつとして、新規事業や起業した事業に取り組んでいく原動力になれば幸いです。 皆さんの仕事、事業、そして人生そのものが、明るく、幸福に満ち溢れたものでありますように! ディ・ポップスグループでは、「ベンチャーエコシステム作りを目指す」をビジョンに掲げ、エコシステム内の企業群が持続的に成長できる仕組みづくりと、アドバイザー陣による伴走支援に取り組んでいます。 ※詳しくはこちらをお読みください。「ベンチャーエコシステムとは?」 こちらの記事が、ベンチャー創業者および事業責任者の皆様にとって少しでもお役に立てたら大変嬉しく思います。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
  • MEDIA
2026.05.13
名経営者からの学び ー ”キャッシュベースで経営する”(稲盛和夫)
ベンチャーエコシステムの実現のためには、起業から世界的大企業に育てるまでを行ってきた、過去の名経営者から謙虚に学ぶ姿勢が欠かせません。 「名経営者からの学び」シリーズでは、筆者が影響を受けた名経営者や思想家らの言葉をご紹介し、実体験からの想い、事業や実生活で活かされた事例などをご紹介していきます。 第二回目は、グループのアドバイザー、米谷が担当致します。 1. ”キャッシュベースで経営する”(稲盛和夫) 「キャッシュベースの経営」というのは「お金の動き」に焦点をあてて、物事の本質にもとづいたシンプルな経営を行うことを意味している。会計はキャッシュベースで経営をするためのものでなければならないというのが、私の会計学の第一の基本原則である。 ーー「稲盛和夫の実学 経営と会計」(稲盛和夫著、日本経済新聞社発行)より、原文のまま引用 2. この言葉を選んだ理由 本作『実学』の初版が刊行された1998年当時、日本経済は「平成バブル」崩壊後の長いトンネルの中にありました。 このバブルの本質は所説あると思いますが、「キャッシュという現実から乖離した虚構」にほかならないと私は考えます。当時の社会は、不動産価格は永遠に上がり続けるという「土地神話」に踊らされ、実態のない不動産価格の膨張を背景に、手元にキャッシュを生む力(収益力)がなくても、虚構の資産価格さえあれば、それを担保として銀行借入という名のキャッシュを生み出すことができました。そして、キャッシュを生む力のない不動産を購入するために銀行借入をするという投機という逆回転の行きつく先に、虚構は崩壊し、膨大な借金(不良債権)を残して、この「平成バブル」は終焉を迎えます。 「実学」とは、単なる机上の論理ではなく、「現実に裏打ちされた学問」を意味します。 稲盛和夫氏がこの著書をあえて『実学』と名付けた背景には、こうした虚業に走った日本経済への強い危機感があったと思っています。 また、稲盛和夫氏は、商売の本質を「経営の要諦」の中で、「入るを量って、出ずるを制する」という言葉で表現されています。氏は、「入ってくるお金を最大限に増やし、出ていくお金を最小限に抑える。その差額が手元に残る。ただそれだけのことです」と語り、中学生でもわかるようなこの単純明快な事実こそが、経営の原点であると説いています。 しかし、社会が発展し、商取引や社会制度が高度に複雑化するにつれて、それらを映し出す鏡である「会計制度」もまた、「発生主義」や「時価会計」と難解なものへと姿を変えていき、時に現実の「お金の動き」を不透明にしてしまいます。 私は、監査法人での上場企業の監査、そして、上場企業での財務報告担当者という経歴を経て、そのような財務報告における「会計制度」の遵守は企業ガバナンスにおいては重要ではあるものの、企業の成長のためには商売の本質である「お金の動き」に沿った極力シンプルな管理会計こそが重要であると考えています。 そこで、今回は財務会計と管理会計の違いを整理しつつ、『実学』から私が学んだ管理会計のポイントをお伝えできればと思います。 3. 財務会計はステークホルダーのための会計、管理会計は経営者のための会計 財務会計は、株主や銀行、投資家といった外部の「読者(ステークホルダー)」に対して、自社の状況を報告するためのものです。そのため、そこには厳格なルールが存在し、目的が多くなればなるほど、ルールは複雑化していきます。 上場企業には、もっとも厳格なルールが適用されます。これは海外を含めた投資家という多数のステークホルダーが存在し、また「比較可能性」も重視されるからです。この「比較可能性」というのは、投資家が異なる企業同士を同じ尺度で比較できるようにするためのものです。例えば、同業種のA社とB社がバラバラな基準で利益を計算していては、投資家はどちらが優良な投資先か判断できません。だからこそ、非常に細かな厳格なルールに基づいた決算書の作成が求められ、その遵守状況を監査法人が厳格にチェックするのです。 上場企業ではない場合においても、財務会計が共通ルールに基づく、ステークホルダーという読者に対する自社の状況の報告であることには変わりません。 ・投資家に対しては、他社との比較のなかで収益性が高く、投資リターンの高い魅力的な企業であることの報告 ・株主に対しては、投資資本がいかに企業成長へ利用され、どれだけ効率よくリターンを生み出しているかの報告 ・銀行(債権者)に対しては、借りたお金を確実に返済できることを信頼性をもった報告 しかし、ここに一つの課題が生じます。これらの目的を果たすためにルールを精緻化すればするほど、財務会計は複雑なものになっていくのです。 結果として、商売の本質であるシンプルな「お金の動き」が見えにくくなってしまう。財務会計は、そのようなジレンマを常に抱えているのです。 一方で管理会計は、ルールに縛られることなく、経営者が採算を向上させ、自社を成長へと導くために自由に設計できる会計です。 財務会計が「外からの信頼」を支えるインフラであるならば、管理会計は、「ビジネスの成長の源泉や課題がどこにあり、採算を向上させるために資源をどこに集中的に投下すべきか」を判断し、自ら舵を切るための経営における「コックピットの計器」なのです。 では、経営者が把握するべき「コックピットの計器」を正しく機能させ、採算向上へと導くためには、どのような視点が必要なのでしょうか? 4. 『実学』から私が学んだ管理会計の4つのポイント 私が『実学』から学んだ管理会計のポイントは、以下の4点です。 ①「全員参加」を可能にする採算の見える化 稲盛和夫氏が提唱する「アメーバ経営」のように、組織の採算を細分化し、売上をあげる人から費用を使用する人に至るまで、全員が当事者意識を持って採算向上に取り組める状態をつくることです。 採算を責任者レベルまで細分化し、数字を「自分たちのこと」として捉えられるようにすれば、自ずと課題は明確になります。それこそが、限られた経営資源をどこに投下すべきかという「選択と集中」の判断を可能にする、管理会計の1つめのポイントなのです。 ②「土俵の真ん中で相撲をとる」ための今使える資金の管理 稲盛和夫氏の説く「土俵の真ん中で相撲をとる」経営とは、常に余裕を持った状態で冷静な判断を下すことです。そのために、「今、実際に使えるお金(余剰資金)がいくらあるのか」をその増減要因を含め把握できるキャッシュ・フロー管理こそが、管理会計の2つめのポイントです。 通常のキャッシュ・フロー計算書を作成するだけでは不十分だと私は考えています。事業の「利益」が、どのように「キャッシュ」へと結びついているのかを明確にしなければなりません。 また、売掛金、買掛金、未払金、および在庫の変動といった「運転資金」の動きを追い、賞与や法人税、配当金の支払いといった「将来の支出」に対して、今どれだけの資金を確保できているのかを可視化することです。 いわば、コックピットの「残燃料計」を常に正しく、かつ予測精度高く機能させること。それによって初めて、経営者は不測の事態に動じず、攻めの投資判断へと踏み出すことができるのです。 ③「筋肉質の経営」を支える投資回収の徹底 管理会計の3つめのポイントとして、単に投資効率(ROI)を計算するだけでなく、「これまで投じたお金が、澱みなく循環して戻ってきているか」を厳しく見極めることです。 稲盛和夫氏の有名な言葉に、製品であっても売れなくなったセラミックは「石ころ」と同じである、という「セラミック石ころ論」があります。これに倣えば、たとえ財務会計では「資産」として計上されていても、キャッシュ・フローを生み出さないものは、管理会計上は資産として捉えるべきではありません。 例えば、未完成のプロジェクトや製品に費やした労務費は、 財務会計上は「資産」として蓄積され、利益を押し上げる要因となりますが、それが現金化(売上の回収)されないのであれば、経営の実態としては単にキャッシュが流出した状態にある「贅肉」に他なりません。こうした「贅肉」を排除し、健全な循環を取り戻すためには、投資したキャッシュの動きを実数で追いかけなければなりません。 つまり、投資したキャッシュが「どれくらいの期間」で「どれほどの額」回収されたのか。そしてそれが「どれくらいの利益率(利回り)」を実現しているのかを常に把握することです。この徹底した管理こそが、重荷となる会社の「贅肉」を削ぎ落とし、会社を常に筋肉質な体質に保ち続けます。それが結果として、持続可能な成長へと繋がっていくのです。 ④「一対一対応の原則」を貫き「お金の動き」と整合させること 管理会計を機能させるための最後のポイントは、扱うすべての数字を「お金の動き」という事実と整合させることです。稲盛和夫氏は、これを「一対一対応の原則」と呼びました。私は、これは管理会計のみならず、財務会計の信頼性を支えるうえでも、本質的な重要なポイントであると考えます。 現代の財務会計は減損会計、時価会計など将来のキャッシュ・フローを見積りで織り込む複雑なものとなっています。しかし、どれほど会計制度が高度化しても、商売の本質がシンプルな「お金の動き」にあることに変わりはありません。「お金の動き」という事実の徹底した把握こそが、経営者が採算を向上させ、自社を成長へと導くための多くの洞察のスタートとなると私は思います。 5.読者の方へのメッセージ 経営という長距離飛行の中で、現在地を把握し、目的まで飛び続ける。そのために必要なのは、複雑な会計やファイナンスの理論ではなく、「お金の動き」という事実を映し出す「コックピットの計器」としての管理会計です。 たとえ激しい時代の変化の中で、視界が悪くなったときでも、この正確な計器さえあれば、迷うことなく成長への最適な航路を選び取り、加速し続けることができると思います。 ディ・ポップスグループでは、「ベンチャーエコシステム作りを目指す」をビジョンに掲げ、エコシステム内の企業群が持続的に成長できる仕組みづくりと、アドバイザー陣による伴走支援に取り組んでいます。 ※詳しくはこちらをお読みください。「ベンチャーエコシステムとは?」 こちらの記事が、ベンチャー創業者および事業責任者の皆様にとって少しでもお役に立てたら大変嬉しく思います。 D-POPS GROUP 執行役員 公認会計士 米谷好弘
  • MEDIA
2026.03.04
クロスセルとは?売上総利益を劇的に改善する具体策と成功事例を解説
今回は、企業の基本的な収益力を示す売上総利益に着目し、売上総利益の上げ方 その①として「クロスセル」について解説して参ります。 「クロスセル」とは、顧客が購入した商品やサービスに対し、関連する商品やサービスを追加で提案し顧客単価を上げ、売上を上げる手法です。牛丼屋で卵とサラダを、ハンバーガーショップでポテトとドリンクを勧められたりすることが最も一般的なクロスセルの事例と言えます。今回は小売業の事例を元に「クロスセル」を解説していきたいと思います。 1.経費も時間もかからずに絶大な効果が得られる手法 前回までに「在庫回転率」「一人当たり売上高」「坪効率」を取り上げ、会社経営をしていく上で利益を上げる手法として企業の収益力を示す売上総利益ではなく、あえてCFや経費(人件費、家賃)を取り上げました。同じような売上規模、同じような商品を扱う競争環境の中で同業他社と大きな差別化を図るためには売上総利益よりCFや経費に目を向けることが肝要であるからで、前回までに具体的事例をご説明いたしました。今回はCFや経費の重要性を理解いただいた上で、会社経営の本丸である売上総利益に着目して参ります。 売上総利益は非常に単純な指標で、売上高から原価を差し引いた利益のことで、粗利と言ったりもします。商品やサービスそのものが、独自性があり差別化されていれば、高い売上総利益を上げることができます。今回は独自性があり差別化された商品やサービスの作り方で売上総利益を上げる方法ではなく、同じような商品を扱う状況の中で、如何に売上総利益を上げるか?ということを取り上げて参ります。 今回取り上げる「クロスセル」は経費も時間もかからずに売上総利益に対し絶大な効果が得られる手法です。ではなぜ「クロスセル」が重要か、以下順を追ってご説明いたします。 2.クロスセルとは まず、クロスセルとは、顧客が購入した商品やサービスに対し、関連する商品やサービスを追加で提案したり品揃えをしたりすることで、顧客単価を上げたりリピート購入を増やすことで売上を上げる手法です。 例えば ・スーツを購入すれば、スーツに合ったネクタイを勧められる ・スマホを買えば、フィルム、ACアダプタ、保険、ウイルスソフトを勧められる ・カメラを買えば、レンズ、フィルター、メモリーカードを勧められる ・車を買えば、タイヤ、シート、ドラレコ、カーナビ、保険を勧められる といった様なことが代表的で、このほかにもクロスセルの事例は枚挙にいとまがありません。 上記の様に直接的に勧められなくても、パソコンやカメラの周辺機器の様に沢山の品揃えをすることで後から購入してもらえる状況を作るということも、広義の意味ではクロスセルと言えます。クロスセルは、リアル店であれば店員のトークで、WEBであれば商品リコメンドとして、商品やサービスを販売する業態や業種であればどの企業でも大なり小なり実践していると思います。 クロスセルは一見非常に地味ですが、売上総利益に対し絶大な効果を及ぼします。次項ではどのくらいの効果があるかを見ていきたいと思います。 3.なぜクロスセルが重要か? クロスセルの及ぼす効果とは いくつかの事例をもとにクロスセルの及ぼす効果を解説していきたいと思います。最初は、ある会社のある時期でのパソコンの利益をモデルケースに解説します。(モデルケースは架空の事例としていますが、実際の事例がベースとなっております。) モデルケース PC本体 売上総利益28億円 利益率20% 売上140億円 PC周辺/アクセサリー/関連商品 売上総利益 44億 利益率40% 売上110億円 (PC周辺/アクセサリー/関連商品とは、プリンター/ルーター/記録装置等の周辺機器、マウス/キーボート/バック等のアクセサリー、インク/紙等の消耗品、ブロードバンドの加入手数料、関連ソフト/関連書籍等を全て合算したものです。) この事例で見ていただきたいポイントは、利益額、売上高です。 顧客が最初に目的として購入するパソコンの利益は28億円。パソコンを購入と同時、もしくは購入した後に必要となるクロスセル対象商品であるPC関連商品合計の利益は44億円。実に16億円、比率にして157%も利益が違います。売上はPC本体が140億円、PC関連合計は110億円で、クロスセル対象商品であるPC関連商品合計の方が30億円も少ないにも関わらずです。 PCだけではありませんが、顧客が最初に目的として購入する商品の多くは、商品での競合や店舗での競合があり、それほど儲かりません。PC関連商品合計の様なクロスセル対象商品はすべてではありませんが、利益率の高い商品が多く、クロスセル対象商品を顧客が最初に目的として購入する商品の販売時やその後のリピートで一生懸命売ることが利益額的にも、効率を見た利益率の面でも、売上総利益を上げることに対し絶大な効果を発揮していることがお分かりいただけるかと思います。 上記事例はPCの事例だったので、次はスマホの事例を見てみましょう。 以下の事例はある会社のスマホ販売における1ヶ月の利益内訳です。(モデルケースは架空の事例としていますが、実際の事例がベースとなっております。) モデルケース スマホ販売総利益 9,000万円 スマホ本体の販売による利益 5,000万円 スマホ関連商品利益 4,000万円 (スマホ本体の販売による利益とは、スマホ本体を販売することにより得られる利益の合計、スマホ関連商品利益とはスマホ本体のクロスセルによりスマホ本体以外から得られる利益の合計です。) スマホ本体は、スマホの新規加入がPCに比べ利益があるので、顧客が目的として購入するスマホ本体の利益よりクロスセル対象商品であるスマホ関連商品の利益の方が多くなる、というところまでにはなっていませんが、全体の比率の45%が、スマホ関連商品の利益で占めています。顧客が目的として購入する商品の販売時に、クロスセル対象商品を一生懸命売ることで、売上総利益を上げることに対し、絶大な効果を発揮していることがこの事例でもお分かりいただけるかと思います。 上記2つの例からも分かる様に、クロスセルは売上総利益に対し絶大な効果を発揮するわけですが、クロスセルの最大のメリットは、追加の経費がほぼ掛からず、売上総利益の増加分=営業利益の増加につながるということです。 例えば店舗なら、売上を上げるために出店をしますが、家賃や人件費等の経費が追加でかかります。法人営業なら売上を上げるために営業マンを増強したり、広告費を追加したり、営業所を追加したりしますが、この分の経費が追加でかかります。店舗を増やしたり、営業マンを増強したり、広告費を増やしたりすることで、当然売上も売上総利益もいくらかは上がるでしょうが、この経費をかけた分を回収できる売上や売上総利益が上がる保証はありません。経費分が回収できず、営業利益ベースでは赤字だったという事例はたくさんあるのではないかと思います。 これがクロスセルだと追加の経費がほぼ掛かりません。クロスセルにより売上が上がり、売上総利益が上がると、追加の経費がほぼ無いので、上がった売上総利益がそのまま営業利益になるという、利益貢献度が抜群な手法であるわけです。 今回のモデルケースだけでなく、商品やサービスを販売するビジネスであれば、飲食でもアパレルでも、クロスセルを活用することで、顧客が目的として購入する商品やサービスで出す利益と同等か、それ以上の利益を上げることも可能で、全体の売上総利益の10%程度を底上げする程度なら、ハードルの低い取り組みで実現可能です。 さらに前述したように、追加の経費がほぼないので、売上総利益の底上げ分がそのまま営業利益になります。売上総利益や営業利益を上げたいと思うなら、出店や営業マンの増強、広告費の増加で新しい顧客を探すのではなく、最初にクロスセルで顧客単価を上げることをおススメいたします。クロスセルでの売上増加が営業利益まで直結して増加するためです。 同じような商品を扱う競合状況の中では、競合他社を大きく上回るクロスセルを実現すれば、売上総利益だけでなく、営業利益の面でも競合他社に大きなアドバンテージを持つことになります。クロスセルが経営に及ぼす効果が如何に大きいかおわかりいただけたのではないかと思います。 4.クロスセルで売上を上げるポイント クロスセルの重要性はご認識いただけたかと思いますので、クロスセルで売上を上げるポイントをいくつか紹介させていただきます。 クロスセルで売上を上げるポイント① クロスセルが成り立ちやすい商品を扱うということと、関連商品の品揃えをしっかりすることです。 分かり易い例でいえば、冷蔵庫や洗濯機は延長保証くらいしかクロスセルが成り立ちませんが、例に出したPCやスマホ、カメラ、車、スーツあたりはクロスセルの宝庫といえます。スーツを例にとると、ワイヤシャツ、ネクタイはもちろんのこと、スーツに合うカバンやベルト、靴等を品揃えすればクロスセルが成り立ちますし、ネクタイピンやシャツずれの防止グッズあたりもクロスセルにつながります。上記は例ですが、クロスセルが成り立つ商品を扱うことと、その関連商品の品揃えをしっかり行うことで、クロスセルによる売上は上がります。 クロスセルで売上を上げるポイント② クロスセルの重要性の教育が従業員になされており、常に会社と従業員がクロスセルを高めるために商品知識や接客トーク、接客技術を磨き、接客や展示、仕入れ等に対し創意工夫をし続ける血の通った経営をし続けることです。 なぜクロスセルの提案商品が必要なのか?を顧客の目線で説明できるトークを身に着け、提案商品が複数あれば提案の順番とどのタイミングで提案するかを考え、提案商品をどこに置くと効果的かを考え展示をしていく。このような創意工夫ができる会社とできない会社では、圧倒的な差が生まれてきます。 また、クロスセルで提案する商品は利益があればなんでもいいというわけではありません。関連性があり顧客メリットが無ければ、単なる無理やり販売になってしまい、購入体験における顧客満足を落とす結果になり、経営としてマイナスの結果になってしまいます。どの商品のどの部分に関連性があり顧客にメリットがあるのかを顧客の目線でストーリー化する必要があります。このようなことの実現にも、深い商品知識と創意工夫が不可欠であることは言うまでもありません。 クロスセルで売上を上げるポイント③ テクノロジーの活用です。 WEBで買い物をすれば過去の購買状況からレコメンドが出ますし、通信業界では接客中にシステムでレコメンド商品が上がってくるといった取り組みが始まっています。当然、誰がどのくらいクロスセルができているのかを可視化することも、テクノロジーの領域です。テクノロジーの例はこれだけではありませんが、テクノロジーを使いこなすことはクロスセルによる売上アップに欠かせない要素の一つであることは明確です。 以上、クロスセルで売上を上げるための代表的な例を3つほど紹介いたしました。 もちろんクロスセルで売上を上げるためのポイントは他にもございますが、最大のポイントは、クロスセルの重要性の教育がなされたヒトがテクノロジーを使いこなすことです。結果的には、クロスセルで売上を上げ経営効率を飛躍的に向上させることは、ヒト×テクノロジーの掛け算の上に成り立つということになると思います。 5.まとめ 今回は、クロスセルのお話をさせていただきました。クロスセルは経費も時間もかからずに売上総利益だけでなく、営業利益に対しても絶大な効果が得られる手法で、このクロスセルにより、顧客が目的として購入する商品やサービスの売上を最大化することこそが、売上総利益と営業利益の最大化につながり、競合他社との大きなアドバンテージポイントになることをご説明いたしました。 今回のクロスセルは、前回までにお話しした「在庫回転率」、「一人当たり売上高」、「坪効率」として取り上げた、在庫、人件費、家賃のCFや経費の後にあえて取り上げております。1番最初の「在庫回転率」から一連の流れとしてご一読いただきますと、経営のポイントがより見えてくると思います。まだお読みでない方は、是非ご一読いただけますと幸いです。 今回のクロスセルを通してディ・ポップスグループとしてお伝えしたいことは、前回までと同様ビジネスは、ヒトにより成り立っているということです。商品を購入いただくお客様もヒトであり、商品を販売する販売員も、テクノロジーを使うのも、すべてはヒトであります。AIをはじめとするテクノロジーを使いこなさなければビジネス上で競争に勝ち生き残ることはできないと思いますが、テクノロジーだけでは生き残ることはできないと思います。テクノロジーが良いから、経営戦略が良いから、ビジネスが成功するのではなく、ヒト×テクノロジー×経営戦略の掛け算が大切であるとディ・ポップスグループは考えます。 この考えの元、ディ・ポップスグループはヒトが輝くために、また社会課題解決のために、ベンチャー企業に対して、出資を通じた支援と、効率という数字だけではない価値を通じた、グループエコシステムの実現を目指しています。 これからもご支援、応援の程、よろしくお願いします。 D-POPS GROUP 常務執行役員 渡辺哲也
  • MEDIA
2026.02.12
一覧を見る