COLUMN

【エグゼクティブインタビュー】藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国日本大使)~後編~

  • INTERVIEW
2024.10.16

今回は、「ベンチャーエコシステムの実現」のため2023年4月よりディ・ポップスグループの顧問に就任していただいた藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国特命全権大使)へ、弊社代表取締役の後藤がインタビューいたしました。

今回はインタビューの後編になります。
前編は以下のURLからご覧ください。
【エグゼクティブインタビュー】藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国日本大使)~前編~

 

-後藤-
それでは次の質問です。

一般の日本の大企業(新日鉄や伊藤忠等)でも社外取締役をされた経験があられますが、外務省で仕事をすることと、大きな違いを感じられたこと、また共通するものと感じられたことは、どのようなことでしょうか?

-藤崎-
大企業と外務省で大きな違いを感じたところは、外務省にいるときは決断にあたって常に対外説明、つまりアカウンタビリティを考えていました。民間ではそこが違うと感じました。

役所におりますと、マスコミと国会というのにさらされて、ちょっとでも何か不備があると対外的に発表が必要になります。例えばどこかの税務署で30万円紛失した場合、それを発表しなかったら大騒ぎになる。そして、 隠蔽工作をした等と言われてしまいますよね。警察だってそうです。

一方で、民間会社で同様に30万円の紛失があった場合、紛失後にすぐに見つけたら、今後はしっかり管理するようにいわれるだけで済みますし、基本的には経営陣の判断でコントロールできる。

役所にいる私どもはそこにエネルギーをかけすぎてるなと思います。

もう一点違うところは、外務省は大企業に比べるとフラットな社会でした。若い人もトップの場に行き発言が許されていました。大企業はヒエラルキーが厳しいように思います。

-後藤-
私も、世の中ほとんどの会社がピラミッド構造になってるので、若い人がチャンスを持ってやろうとしても、特別にものすごい努力したりとか能力が高い人がいても、昇進するまでものすごく時間がかかる。だから、そういった世の中でも、「若者にチャンスがある会社もあるよ」という選択肢を作ってあげないと未来がないなと思いました。それが会社を創ったことの 理由の1つでもあります。

-藤崎-
そうですよね。それは本当に大事です。そうじゃないと海外に逃げちゃうよね、みんなね。

-後藤-
今はそこからさらに発展しています。若者にチャンスのある会社を作ろうっていうところから、今はとにかく日本に起業家を増やして、挑戦するカルチャーや、 懐の深い社会をどんどん広げていこうと思っています。そうすることで、若い人たちが選択肢を持って、どういう会社で働くとか、どういうところに挑戦するか、あるいは起業するっていうこと自体も世の中から称賛されるような社会を、作っていく必要があると思って今頑張ってるんですよね。

-後藤-

それでは、外務省で様々な国と交渉をされてきた藤崎さんにお聞きしたいのですが、

世界的な複数の大国と付き合う場合のパワーバランスの取り方に関して、グローバルの中で、日本のプレゼンスをしっかりと堅持し、向上させる上で、アメリカやEUとの関係、また他のBRICSなどの大国と、どのようにバランスを取るべきだとお考えでしょうか?

-藤崎-
最近大企業のトップと話したときに、「ウクライナや北朝鮮、中国の行動に鑑み、民主主義、平和など、性善説はここ10年は封印して、性悪説でいくべきではないか」と話されました。私は「いえそれは同時です。表向きは性善説ですが、裏では常に性悪説です。誰が何をしてくるかわからないという備えをするのが安全保障の考えです」と言いました。

日本が北朝鮮、ロシア、中国の隣国であることを考えると安全保障のために米国に依存せざるを得ません。しかしそれはまったく同じ政策をとらなければならないという意味ではありません。米国と違い日本はキューバ、イラン、ミャンマーと常に良好な関係を維持していますし、米国が出てもTPPやパリ協定を続けました。声高にいわずにうまくやっているのです。グローバルサウスもBRICSも決して一枚岩ではありません。そのうちのインド、南ア、ブラジルなどとはできるだけいい関係を構築していくことが大事です。

海外に行くと、日本に対しての信頼感とか良いイメージをもっているっていう人が多いですよね。なので、今のままで基本的にいいんじゃないだろうかと思っています。

ただ、気を付けていかなきゃいけないのは、インドですね。インドという国は、中国が悪者になってるおかげでいい国のようになっていますが、なかなかしたたかな国です。インドとは何回かしか交渉はしたことないですが、最も難しい交渉相手でした。

-後藤-
産経新聞の連載の中で、 日本が頼りないという風に国民は言うけれど、素晴らしい功績としては、戦後70年くらい、 戦争が1度もないことを挙げていましたよね。なるほど、確かに素晴らしい功績だなと思いました。

-後藤-

では続いての質問です。

日本はバブル崩壊後から、失われた30年とよく言われていますが、グローバルに見て、日本の経済成長や発展が遅れをとってしまったのは、なぜだと思われますか?米国の社会学者エズラ・ボーゲル氏の「Japan as Number One: Lessons for America」の著書が出版された時とは、大きく様変わりしたかと思います。

-藤崎-
そもそもナンバーワンになることもあり得ませんでした。こんな狭い国で資源もなくて、それでも1億人もの人が暮らしている。こんな狭い国土にいるところは、相当な食べ物などを輸入しなきゃいけないんだからナンバーワンになるはずがないのに。友人でしたから言いにくいですが、おだてて本を売ろうという戦略です。

日本は資源もなく背伸びしないことが大事です。米国に言われて産業政策をすっかりやめたのがよかったか。やはりシリコンバレーみたいなものを政府と経済界でつくるべきだったでしょう。

一方で、日本ほどクリーンで快適なところはないと思います。アカセキレイ(安全、確実、清潔、規律、礼節の頭文字)というソフト面が非常に素晴らしい国です。

日本は人口減少化と言いますが、小さな国土の日本に人口1億もの人は本当はいらないかもしれない。国の大きさはせいぜいカリフォルニア州くらいで、そこにアメリカの3分の1の人口がいるんですから。そして日本の80%は山なんです。もう少し、日本の人口は減ってもいいかもしれません。 

昔の自動車産業などのような国内市場なんかいらないんで、例えば台湾のTSMCやフィンランドのノキアのように、国内市場関係なく事業を起こしていく。そういうことも考えながら、産業政策というものを作っていくべきだったんじゃないかなと思うんです。だから、そういうまさにベンチャーなりそういうものをやるということを全然してこなかったのが、ここに繋がっちゃってるんじゃないかなと思いますけどね。

-後藤-
今慌ててというか、5年前ぐらいからですかね、もうとにかくスタートアップベンチャーを後押ししないといけないという流れがありますよね。 政府もそうですし、あと大企業もベンチャー投資を加速したりとか、今やっとという感じなので、本当だったら30年前に進めないといけなかったことが今やっと本腰が入ったと感じています。

-後藤-

それでは最後に、駐米大使時代様々なアメリカの大統領と仕事をされた藤崎さんですが、

これまでにお会いされたアメリカの歴代大統領、もしくは各国の大統領や首相の中で、最も印象深く、心に残っている方は、どなたでしょうか?またそれはなぜですか?

-藤崎-
まずビル・クリントン大統領はね、演説をしてると、400人の聴衆がいても、みんな自分に話してると感じてしまうような話術を持った人らしいんですよ。そして、彼のすごいところは、とんでもない秀才なんですよね。アメリカで1年で50人くらいしか選ばれないローズ・スカラーという大学の優等生しか利用できない奨学制度で、オックスフォード大学に行くんですね。 

ところが、この方は全然授業を聞いていなかったらしいんです。ただね、これは人から聞いた話なんですけど、その50人の秀才たちが 集まって、この中で将来アメリカのリーダーになる人は誰だろうと言ったら、多数が「クリントンだ」といったらしいんですね。

全然勉強してない。でも勉強はできる。それだけじゃなく、一種の人間力だったと思うんですね。秀才ばかり集まって多数がクリントンさんを指名したと言うのはすごい能力ですよね。

それともう1つ、私との関係で申しますと、 小渕元総理が亡くなった時、私は外務省の北米局長だったんです。そのときクリントンさんは小渕元総理のお葬式に来られました。 お葬式の後、赤坂の迎賓館でレセプションがあったんですね。私は北米局長だったので、アメリカの大統領を案内する係だったんです。私が先導役で、クリントンさんを案内しました。その時クリントンさんは、私の後姿を見ることがほとんどで、会話も少しだけだったんですね。

その4ヶ月後に、森元総理が沖縄サミットをやったんです。その時、平和の礎っていうところで、クリントンさんがスピーチをすることになっていました。 実はそのとき、クリントンさんは中東の和平交渉をやっていたので来られるかどうかわからなかったんですよ。でもなんとか来てくださってスピーチをされました。

そのあとクリントンさんと握手をするために列ができたんです。私は、1番前の列にいたんですが、地元の方が握手したいと前のほうに来られたので、私はあとでまた会談の時お話しするタイミングががあるから、どうぞと言って、席を譲って後ろに行ってたんですよ。そしたらクリントンさんが握手をされているときに、ぱっと私を見てね、「お前ここにいるのか!」って言ったんですよ。4ヶ月前に東京で先導役としてお会いしただけなのに、特別な記憶力をお持ちなのか、あるいはこの人は人たらしで有名だから、4人ごとくらいに声をかけていたのかもしれません(笑) そんな人間力のある方でした。

一方で、バラク・オバマ大統領はね、 やっぱり秀才なんですけど、 黒人の方ということもあってなのか、自分が秀才だということを印象づけることを大切にされる方でした。

クリントンさんは自分の秀才さを一切見せないですよね。ここは違いがあるなと思いました。

-後藤-
逆にもう元々能力が高い方だからこそ、脳ある鷹は爪を隠すというか。

-藤崎-
そうなんでしょうね、おそらく。そして白人でもあるしね。
オバマさんもね、とってもかっこよくて、大体出てくるとワイシャツを腕まくりしてるでしょ。だけどね、本当はものすごい詰めの鋭い人なんですよね。

 

-後藤-
本日はお忙しい中、お時間を作っていただき本当にありがとうございました。
たくさんの学びと刺激をいただきましたので、これからの日本社会のために必ずベンチャーエコシステムを作り上げたいと思います。

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【あとがき ~株式会社ディ・ポップスグループ 代表取締役 後藤和寛~】

日本の外交で最も重要とも言える駐米大使や在ジュネーブ国際機関日本政府代表部特命全権大使などを歴任された藤崎さんにインタビューさせて頂き、本当に重みのある素晴らしいお話や経験談、そしてアドバイスをたくさん頂く事が出来ました。

あまりに楽しみでワクワクが止まらず、前日は特に、夢の中でも質問させて頂きたいことが頭に浮かぶほどでした。そしてたくさんの質問に、真摯にお答え頂きましたが、そのお答えはどれも会社経営に相通じるものばかりでした。

非常に難しい外交や政治の中で決断を出していく事は、想像を絶するものがあります。経営でもあまりに様々な目の前の事象が、さらに複雑に絡み合っている中から、出来る限り適切な解を出すことが常に求められます。そんな中で、藤崎さんからお話頂いた経験談やアドバイスは、私や、今現在リーダー役を担っている方々だけでなく、未来にその役目を担う方々にも、大変参考になる金言ばかりでした。

こちらの記事では、ストレートな内容のお話も非常に多かったため、掲載が出来ないことも多かったですが(笑)、実際は記事の内容の10倍ほどのインタビューをさせて頂きました。現在でも日米協会の会長や、中曽根平和研究所の顧問(前理事長)など、重職をされていますが、これからの日本の未来のために、藤崎さんの知見や経験を次の若い世代に是非継承していって頂きたいと、切に感じるプライスレスな機会になりました。

最後に、貴重な機会を頂いたことに、心より感謝申し上げます。

 

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-長岡- 以前、TFNの顧問をやっていただいていた元ソフトバンクの常務を務められた後藤誠二さんに最初に言われたことは、「これから共感と共創の部分が必ず必要になってくる。 やっぱりお客様がいいと思っていただけるものとか共感してくれるものとか、そこがないとこの先ないよね」みたいなことを言っていただいたんです。 実はその当時は、本当にユーザーレビューがあんまり良くなかったんです。そこから、じゃあどうやってお客様に対して向きあっていこうか、どうやって良くしていこうかという「共感と共創」を大事にすると決めてから、すごく会社が変わっていったんですよね。なのでTFNの文化としては、お客様を見るということを今1番大事にしてます。 だから、例えば法人の販売先だったら、直接会いに行って商談をすることだし、憶測で決めない、そういうことっていうのはすごく重要視しています。さっきお話しした、システムで出したデータというのは当然見てるんですけど、データと、 直接会って商談する事実をちゃんと判断した上で動くっていうことはすごく気にしてます。 -杉原- 素晴らしい文化ですね。 では続いての質問です。ディ・ポップスグループに入ってから行った取り組みや、その中でグループにジョインをしていたからこそのメリットなどあれば教えてください。 -長岡- 多分これは人によって違うとは思うんですけど、僕の中で1番は考え方を学べたことです。 これは社内の中でもそう思うんですけど、人ってやるかやらないかとか、どういうことをやるかって、結局自分の意思次第かなと僕は思っているんです。 例えば、ディ・ポップスグループに入るのも僕が決めたことです。人から決められてディ・ポップスグループに入ったわけではないので。 やっぱこれって自分の会社でもすごく大切にしている概念です。ディ・ポップスグループに入ったことでその判断する考えの幅が広がりました。例えば先ほどお話ししたように、赤字に陥ったときに考える発想とかが、全然根底が違う。 でもそれも別に間違った根底じゃなくて、こういう概念ですねっていうところ。それをどう解釈するかって人次第だと僕は思うんです。 後藤社長ってEO(Entrepreneurs' Organization 起業家機構)の中で結構有名な方なんですけど、後藤社長を悪く言ってる人って僕は見たことがないです。 普通、人間って1人くらいは悪く言っている人がいると思うんです。でも僕は会ったことがないです、1回も。 これって結構奇跡だと思うんですよ。そんな方から考え方を学べる環境があることがありがたいです。 後藤社長は、僕の会社が赤字になろうが、信頼してくれる。でも信頼してくれているからやらなきゃいけないみたいな圧もあるし(笑)後藤社長がいるから、やっぱり背筋は伸びますよね。 あと、グループ会社のことは各代表に全て委ねているというやり方なので、そこもメリットですよね。グループ会社にはびっくりするほど来ないんです(笑) だけど、数字はすごいしっかり見られてるんですよね。 ◆ベンチャーエコシステムの実現について -杉原- 見られてますねー(笑)。 さて、ディ・ポップスグループは、ベンチャーエコシステムの実現を目指していますが、グループの中でコラボしたり取引した会社ってありますか? -長岡- 僕はほぼないです。ただ、最近だとあるグループ会社の方が1人で通販を学びに来ていました。その会社の社長から突然連絡があって、「いつか通販をやってみたいと思っていて、一人預けるから、教えるとかではなく丁稚奉公させてくれないか」と。それで一人うちの会社に来たんですが、その方が本当に自分で頑張って、うちの社員に聞きまくって、当然僕もアドバイスしてました。 最後には、100万円ぐらい売上を出したはずです。事業PLが出たとかではないですが、社長も喜んでくれました。グループという関係がない会社同士だったら、じゃあ業務委託費はいくらにするか等の交渉が必要になりますが、グループだからできることですよね。 あと僕は、あんまり人に教えてもらうタイプじゃなくて、どちらかというと盗む方かなと思います。だから経営会議の報告を聞いているだけでも勉強になりますし、基本的に後藤社長がウォッチしてる会社は僕も見るようにしてるんです。 結局ビジネスモデルが良くないとM&AもCVCも成立しないと思うんですよね。 それを四六時中考えている後藤社長が何を考えているかを逆算していくと、多分その出資先が答えなんだと思うんです。 そういう観点で見ていると、後藤社長が今どんなビジネスモデルに注目しているのかがわかりますよね。 僕がこういうタイプだからかもしれないですが、 後藤社長と会うといつも本をいただくんです。すごいなと思うのが、多分僕が今欲してるであろう本をチョイスしてくださるんです。そして僕は必ず本を読んだ後に感想を言うんです。やっぱり後藤社長の経験の中で、多分僕がこう困ってるだろうとかっていうのは察知してくれて、そういう本をくださったり的確なアドバイスをいただけますね。 ◆10年後の理想の姿 -杉原- ありがとうございます。 では、TFN社の10年後の理想の姿を教えてください。 -長岡- そうですね、いつかやってみたいこととしては、僕もグループ経営みたいなことはやってみたいなと思いますし、多分そこに行き着くんだろうなと感じているんです。 いろんな経営者を見て、例えば1事業だけで伸ばしてる人もいますが、本当に単一事業だけで何千億も作っていくって多分すごく難しいと思うんですよね。例えば飲食店でも、ラーメン屋さんで1兆円企業、多分作れないんですね。 僕がジョインした時はディ・ポップスという携帯ショップ事業がメインだったところから、今ではベンチャーエコシステムという、全然違うところにいるんです。でもやっぱりディ・ポップスグループの動きを見てると、多分後藤社長がやってる動きというのは、経営者としてその会社をグロースしていく上で1番グロースできる方法なのかなと思ってます。 なので、僕もそれが3社なのか2社なのか5社なのかわからないですけど、例えば今TFNでやってる通販、 その次にもし、じゃあこのスマートフォンの法人販売をする・システム開発を独立する・通販の代行業をするというような形ができたら、例えば通販でうまくいかなくなったとしてもシステム開発ではうまくいっているとか、通販の代行業の会社では事業利益が出てて助け合えるみたいな、 そういうところは自分の中でも作っていきたいなっていうのはありますね。それが10年かけてやりたいことかなと思います。 実際にこれ、今本当に絵を描きはじめたところなんです。先日経営陣で合宿を行ったんですが、その時も全部お題にして、ミッション・ビジョン・バリューを再度考えて認識合わせをしたり、報酬体系や待遇面についても考えてみたり。例えば今僕についてきてくれている役員もいつか別に事業会社を作ってTFN独自のグループ体になっていったらそれはそれでいいのかなと思っています。 別にディ・ポップスグループを真似したいわけでもないんです。正直、今回の事業譲渡の時なんて、売る側であっても着金した2日前ぐらいはまともに寝られないですからね。(笑) 10月は本当に元気がなかったんですが、昨日後藤社長の顔を見たらやっぱり気持ちが晴れました。後藤社長って強運を持ってるじゃないですか。もうなんか一緒にいるだけで相当元気になれるので、エネルギーをもらっていました。 -杉原- 後藤社長は本当に、いい気が流れている感じがしますよね。 -長岡- 本当にそうですね。それで昨日いただいた本のタイトル『運』という本だったのでやっぱり面白いなあと。こういう巡り合わせってあるんだなと思えます。 引き寄せの法則じゃないですけど、後藤社長は本当に強運を持っていると思える方ですね。 ◆ホームページを訪問した読者に向けて一言 -杉原- では最後に、このホームページを訪問した読者の方に向けて一言いただけますか。 -長岡- 今僕が目指してるものは、やっぱりいい会社を作ることだと思ってるんです。いい会社の定義って自分の中ではまだ見えてないんですけど、 こうやってグループ入りして、いろんなものから吸収して、いい会社をどう作っていくかというのが、今、僕のミッションなんです。 でも、そこにたどり着けたのは、グループ入りして、物事の考え方とか、人格形成の部分を学べたことが、僕はすごく大きかったんです。なので、後藤社長はめちゃくちゃお忙しいんですが、ぜひ街で見かけたら声をかけてみてください!もうポケモンかのようにゲットした方が絶対いいっすよ。捕まえないと絶対話してくれないんで!(笑)     ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社TFN】 代表者:代表取締役 長岡 守 所在地:東京都中央区東日本橋2丁目27番8号 アサノ東日本橋ビル1階 設 立:2015年11月25日 サイト:https://tfnmobile.com/
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2024.12.17
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D-POPS GROUPでは、現在約23社のグループ会社が仲間となっています。 今回は、2018年にグループ入りした株式会社TFNの長岡 守 社長へ、インタビューしました。 ◆設立経緯 -杉原- 今回は、TFNの長岡社長にインタビューさせていただきます。宜しくお願いします。 TFN社は設立から9年が経ちますね。まず最初に、長岡社長がTFNを設立された経緯や、それまでの経歴などを簡単に教えていただけますか? -長岡- はい。TFNを創業したのが2015年です。ソフトバンクC&S社に勤めていた2011年ぐらいに初めてクラウドSIMの技術を見ました。そのときに、 なんとか社内ベンチャーの立ち上げなどで事業ができないか色々検討をさせてもらっていたんですが、1度は諦めました。 その後2013年か2014年ぐらいに、もう1回そのクラウドSIMに出会うことがあって、 どうしてもクラウドSIMを事業としてやってみたいっていうのが強くありました。 あと、やっぱり起業家になりたいという思いの2つが合わさって、サラリーマンをやめて、自分で立ち上げたのが創業のきっかけです。 なので、今は通販をメインに事業をやっていますが、当時は通販をやりたいという考えではなく、クラウドSIM事業をやりたいという想いで、会社を辞めたのが1番です。 -杉原- そうなんですね。ディ・ポップスグループにグループ入りしたのはいつ頃なんでしょうか。 -長岡- 2018年です。 -杉原- 創業当時はクラウドSIMから始まったとのことでしたが、いつ頃から通販事業等を始められたんでしょうか。 -長岡- もともとなぜクラウドSIMに出会ったかというと、ソフトバンクC&Sの流通を担当していて、サラリーマン時代は結構長く、いろんな物販をやる上での商社的な役割をしてたので、とにかくたくさんのメーカーさんが提案に来るんです。 その一環として、クラウドSIMに出会ったというところなんですけど、あわせてスマートフォンのケースやPCサプライなどいろんなメーカーさんとも取引をしていたので、クラウドSIMがメインだったんですけど、プラスアルファ、通販も流行るかなという想いもあったので、じゃあこの事業もやっちゃえ!と思い、クラウドSIMとあわせて立ち上げました。 -杉原- なるほど、ではソフトバンク時代の付き合いのある方たちが応援してくれたんですね。 -長岡- そうです。独立してみたら、クラウドSIM以外にもたくさんの取引先が応援してくれて、その中には、9年前起業したとき以前からお付き合いの会社が、今もあるんです。 当然自分で中国に行ってものを作ったりとか、直接やり取りをしたりもできました。なので、もちろん新しいベンダーさんもたくさんいらっしゃいますが、国内の仕入れもそうなんですが、海外から直接買い付けるなど、その当時に知り合ってたところから紹介いただくこともあります。 ◆事業概要 -杉原- それはすごく大きな資産ですね。 では続いて、TFN社の事業概要を簡単にご紹介いただけますか? -長岡- 今現在は、ほぼ通販事業1本になっています。商材としてはスマートフォンのアクセサリーをターゲットとしてやっています。 冒頭でお話していたクラウドSIM事業をやっていた累計期間は6~7年でしたが現在はピポットして通販事業に注力しています。 創業当時は、クラウドSIMと通販の事業で会社を立ち上げました。通信事業をやるのって、莫大なお金がかかります。ただ僕も起業家としてかなり若かったので、 1番最初の資本政策がうまくいかなかったんです。その時、 現在ディ・ポップスグループで常務取締役を務める渡辺さんに、個人的にTFNに取締役としてジョインしていただき、事業のコンサルをお願いしていました。その一環で、この通信事業をよりグロースさせるために、ディ・ポップスグループに入らないかという打診があったんです。 当時はディ・ポップスグループのグループ会社もほとんどなく、生え抜きの社長たちはいましたが、外部でのグループ入りはほぼ初めてでした。 -杉原- そうだったんですね。現在、ディ・ポップスグループが目指す、ベンチャーエコシステム構想のきっかけだったのかもしれないですね。 -長岡- そうですね。そうやってディ・ポップスグループのグループ会社としてクラウドSIM事業を行っていたんですけど、今後どうやってグロースさせていこうかとなったときに、後藤社長からレンタルWiFiを取り扱う会社のM&Aを提案されました。その時印象的だったのが、本を3冊くださって、その本がPMIに関する本などだったんですね。そのあとM&A先の会社の社長と会って、あとは自分で判断しなさいという雰囲気でした。 当時は正直無茶ぶりだなと思ったんですが、本をすべて読んで、自分で交渉をし契約書も作成して、グループからの借り入れではありますが資金調達も自社で行って、無事に契約となりました。 そして、その半年後ぐらいに、 元々ディ・ポップスグループにあったレンタルWiFi事業のany-fiを引き継いで、渋谷の宮益坂でレンタルルーターの店舗をやっていました。そこからだんだん、WiFi事業を加えていきました。 逆に通販の方は、創業のころから着々と商品ラインナップを増やしていました。 うちの会社の特徴としては、企業文化としてDXやITを率先して取り入れていたので、早い段階から通販のシステム開発を自社で行っていました。それが成長の支えになっていたなと感じます。 -杉原- そのあとコロナになるのでしょうか。買い取り事業はコロナ中に始められたと伺いました。 -長岡- そうです。コロナ前までは、通信と通販が順調に成長してくれて、通信事業をM&Aして、まあまあ数字も良かったという時に、コロナになりました。 M&Aして1年経たない頃だったので、コロナになって1ヶ月で4000万~5000万くらいPLが赤字になって、もう、本当にどうしていいのかわかんなかったですね。 今でも覚えていますが、後藤社長に電話して、会社が大きく赤字になってもうリストラも含めて考えなきゃいけないという相談をしたんです。そのとき後藤社長に言われたのが、「人を切る社長なんだね、 それしかできないんだね。」というようなことを言われたんです。 いや、僕はグループのためにという概念で、 どうやってPLを黒字にするのか考えた一環のリストラでしたが、 後藤社長は多分見てる視点がちょっと違ったんでしょうね。リストラをすることは多分簡単だし、PLをすぐに黒字にすることも簡単ではあるとは思うんです。 ただ、どちらかというと、一度リストラをしたら、リストラした社長にしかならない。 それが一生ついてまわるけど大丈夫なんだよね、という。社員からもリストラした社長だと思われる。なので、逆にどうやってグロースさせるかということを考えた方がいいんじゃないかという風に言っていただいたんです。 幸い通販事業の方は、コロナの時の巣ごもり需要でそれなりに売れたんです。なので通信事業が本当にほぼ0になった状況ではあったんですが、なんとか食いつなぐことができたという状況でした。ただ、相当苦しかったです。 とにかくもう何か新しいことを始めるしかなかったんですけど、 1番早いのは、通販で思いっきり製品を増やしていくという選択肢だったんですよ。 当時、渡辺さんと仕入れ先をどうにか増やしていこうとか、仕入れ先を増やす=家電を取り扱ったり、やっぱり有名メーカーの製品をどうやって引っ張るかというのに注力していくんですけど、やっぱりいろんな人に紹介してもらっても、口座なんか一切開かないんですよ。やばいなと。 でも、世の中で家電を売ってる人って結構いるんですよ。だからなにかあるんだろうなと思っていたんです。 そんなときに、本当にたまたまお酒の席で、相手の人が「ポイ活やってるんだよね。」という言葉が僕の耳に入ってきたんです。「ポイ活って何?」ときいたら、「物を買ってポイントを得て、それをメルカリなどで売るということをやっている」と聞きました。「すごいね。それで月いくら儲けてるの?」ときいたら、「50万円ぐらいですかね」みたいなことをぽっというんです。この子が10人いたら、俺の会社復活できんじゃんと思って、そこから調べたんですよ。 そこで今のお取引先様であるとか、通販会社で家電を取り扱っているいろんなとこに直接現地を回って、何時間か張り付いてずっと見てて、どこから納品されてるんだろうとずっと見ていたら、通常の仕入れ先じゃないなということに気がついたんです。そこからSNSなどでいろんな情報を掘り下げていってたら、これ買い取りじゃんっていうところにたどり着いちゃったんです。 ここからは早かったですね。1週間後にはウェブサイトが完成してました。そこでやるぞー!となりました。 そこからオンライン版の買い取りをはじめて、もう当時、店舗を借りるお金もないんで、そのまま本社でやり始めたんです。それで一気に人気になったんですが、本社のオーナーさんから普通借家の事務所は店舗にしてはいけないので、このまま続けるなら出ていくか店舗を借りるかにしてくださいと言われて、すぐに店舗を借りました。 店舗を借りたあとから、買取事業が一気に1年間で18億円ぐらいにグロースしたので、 ディ・ポップスグループの支援もあって、 なんとか黒字化しました。 ただ結果的には、買取事業も実は今年の2月でもう閉じるんです。そもそも薄利だったので。ただ、一旦コロナを脱するための事業としては、運が良かったと言うしかないでしょうね。 -杉原- 運だけで片付けちゃいけないと思いますよ。なんとしてもこの逆風を乗り越えるために、脳みそがちぎれるほど考えて考えて、観察して、素早く実行して 立ち上げた事業で、何とかして乗り越えられた。素晴らしいですね。 そして、軌道に乗った買取事業をこれからも続けていけばいいじゃん、と考え てしまうのかなと思いきや、思い切ってやめる決断をした。 -長岡- そうですね。これは後藤社長から紹介していただいた他の経営者の方を見ていても、やっぱり最後は、売上よりも利益だし、それで社員に還元していい会社にしていかなきゃいけないと考えた時に、やっぱり買い取りとかも、結局は自社のサービスではないんですよね。例えば取引先の状況が変わってくると、当然その変化に自社もあおりをくらってしまう。やっぱり最終的には自社のサービスであるとか自社の製品というのに寄せていきたいという想いが自分の中でも願望としてありました。なので、どんどんピポットすることを決めていくという形です。 ◆自社開発について -杉原- その頃からなんでしょうか。自転車やスーツケースなど、 いろんなものを自社で開発、制作されていましたが、いつ頃から通販の商品を作り始めたのでしょうか。 -長岡- 実は創業当時からやっていました。過去には体重計や美容ローラーなど、ほんとにずっと商品開発をしていて、もともと何かを作ることは大好きだったので、 今でも続けています。自転車を作ったきっかけは、何の製品を作ろうかとなったときに、社内でたまたま自転車が欲しいという人がいただけなんです。それで作ってみたら当たったという感じでした。 -杉原- そうだったんですね。実際いろいろな事業をやる中で、TFN社はたくさんの経験とノウハウを積み上げてきたんですね。そんなTFN社の強みはどういうところでしょうか。 -長岡- 運用やフローの構築ですかね。フローを構築してシステムに落とすということをとにかく徹底してやっているので、やっぱそこが1番強いと思っています。 -杉原- 通販のシステムを自社で開発されているとのことでしたが、その特徴について教えていただけますか? -長岡- そうですね。今通販の店舗数が、もう12店舗ぐらいになっているんです。それを運用上、売上を即時に集計したりとか、 スピーディーに商品登録をしたりできるシステムって、確かに世の中にはあるんですけど、やっぱり使い勝手がいい部分・悪い部分と、いい部分が、すごくあったんですよね。例えば、その外部システムだと、使えはするんだけど、どうしても80点しか取れないという状況だったんです。だったら自社で全部作り上げた方が早い。 それを創業の時から、1番最初はシステムを開発するというよりは、MicrosoftのAccessベースで自分で作ってたんですけど、やっぱりもうこれが追いつかなくなってきたので、システム開発を自社でやっていこうと決めました。システムに投資して自動化した方が、絶対伸びていく過程の中で得だなと。 そして、将来的には会社にたまった自社開発のノウハウをソフトウェアとして売るのか、もしくはコンサルとして他社に入るのかなど、いろんなことに繋がるかなと思ったので、システム開発にも注力してきました。 -杉原- 強みを活かして事業を広げてきたんですね。それで紆余曲折があって、コロナ禍の荒波を乗り越えて、 やっとこの嵐が収まった。そこで深く考えて今年戦略をバシッと定めて通販事業のみという形になったんですね。 -長岡- はい。僕自身アイデアを出すことが好きだし、 やると決めたら実行も早いんです。ただ、やっぱり事業があまりにも分散しすぎだなということは自分の中でずっと考えていました。 僕はどちらかというと、20億円の事業を3つ作って60億円にするよりも、やっぱり1個の事業でどうやって60億円になるかということをもっと考えていきたい、ランチェスターでやっていきたいと考えていました。その考えがより濃くなって、 元々1番得意なものってなんだろうと考えると、通販・物販だったんです。 それに集中するために、今回通信事業の売却を決めました。   ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社TFN】 代表者:代表取締役 長岡 守 所在地:東京都中央区東日本橋2丁目27番8号 アサノ東日本橋ビル1階 設 立:2015年11月25日 サイト:https://tfnmobile.com/     次回後編のインタビューでは、 ・事業売却について ・社風、文化について ・ベンチャーエコシステムの実現について ・「ベンチャーエコシステムの実現」について ・10年後の理想の姿 などについてお伺いしています。 後編もぜひご覧ください!    
  • INTERVIEW
2024.12.13
【グループ会社インタビュー】 ㈱エー・アンド・ケー・コム 谷口 一也 社長 窪田 康之 専務
D-POPS GROUPでは、現在約23社のグループ会社が仲間となっています。 今回は、2023年にグループ入りした株式会社 エーアンドケーコムの谷口 一也 社長・窪田 康之 専務へ、インタビューしました。   ◆グループ入り・経営者就任の経緯 -杉原- 今回は、株式会社エー・アンド・ケー・コムの谷口社長と窪田専務にインタビューさせていただきます。宜しくお願い致します。 エー・アンド・ケー・コムは、2023年12月にディ・ポップスグループ入りされたんですよね。 もともとは創業者の方がいらっしゃって、グループ入りをきっかけにお二人に経営のバトンを回された。その経緯を教えていただけますか? -谷口- M&Aを考えているという話は聞いていました。というのも実は別のM&A案件が更に1年前にあったんですが、その案件はなくなったんです。しかしその後また同様の動きをされてるのはよく知りませんでしたね。 2023年9月頃のある時、M&Aの話が具体化してきて、候補何社かあるうちの1社でディ・ポップスグループの後藤社長と会ってほしいというお話を受け、谷口・窪田の2人でこの渋谷ヒカリエの本社に来たことがありました。ただ、そのときは数ある中の1社という感覚だったので、そのあと時が流れ11月頃、「ディ・ポップスグループにM&A決まったから」という話を受けました。我々としては正直「え!」という驚きでした。 そこからすぐ創業者が退任するとの話を受けました。「退任してその後の経営はどうされるんですか?」と伺ったら、「私が社長で、窪田を専務で今後の会社をお願いしたい」ということでした。驚きはありましたが、いずれにしろそれを聞いて「じゃあ私たちも辞めます」という考えはなかったので、「やります」とだけ伝えました。 ただ実際に社長と専務になるとしても、私たちは会社経営は一切やったことがなかったので、正直交代後の方がいろいろありましたね。。。 -杉原- それは驚きも大きかったですよね。もともと前体制のとき、お二人は営業部門長と管理部門長で幹部だったわけじゃないですか。実質現場はお二人で回していたんですよね。 そこから、12月に社長と専務就任ということが決まり、そのお話を聞いてからの数ヶ月というのはどういう変化があったのでしょうか。 -谷口- まず1番初めに取り組んだことは、財務数値の確認です。それまでは売上総利益まで私たちも把握していましたが、その先の営業損益は、創業者のみ把握している部分だったので、今まで見ていなかった部分まですべて開示してもらい細かい確認作業を行いました。 他にも銀行からの借入れも創業者に確認をしながら、何のために借りたのか、いつまでに返す必要があるのかなども把握、管理していきました。それでも実態がわからない部分も出てきたので、都度税理士さんに相談し教えていただきながら今に至ります。 -杉原- 窪田専務はいかがですか。M&Aや経営についてどのような心境だったのでしょうか。 -窪田- そうですね、今谷口社長が言っていたような、お金のところが1番動きが見えてよかったというのはありますが、その全体像を理解するまでは時間が必要でした。 それと、契約締結後すぐ2023年12月6日に、ディ・ポップスグループのグループ総会があり、そこで挨拶をしてほしいと話がありました。私たちもまだ契約したばかり引継ぎもこれからという混乱した状態で、早速役員として挨拶と会社紹介をするという場面では正直戸惑いました(笑) ◆ディ・ポップスグループの印象 -杉原- それ以降、グループにジョインして10か月ほど経ちますが、実際にジョインしてからのディ・ポップスグループの印象はどうでしたか? -谷口- グループにジョインして最初の頃は、勝手がわからずどうしたらいいのかなと思っていたところは正直あります。グループ会社もたくさんありますので、各社の社長さん含めていろいろな方とコミュニケーションをどう取っていくべきなのか初めはわからないところがありました。 ただ今は、いろいろなグループ会社の社長さんなど、いろいろな方とコミュニケーションを取らせていただいて関係値もできて来ました。 じゃあそれを今後ベンチャーエコシステムにどう活かすというか、どういうところに繋げていけるのかというところは次のステップかなと感じています。 それと、若いメンバーがたくさんいらっしゃるので、我々の世代よりも若い人たちの刺激を受けるという意味ではよかったなと。そして弊社の若いメンバーに関しても、M&Aをしたことでモチベーションが上がったなという実感もあります。 窪田さんはどうですか? -窪田- はい。今まで自己流でやってきたところも多くありましたので、視野が少し狭かった部分に気がつきました。そしていろいろな事業の会社の代表者、メンバーと話していてとても刺激を受けますし、話題も情報もたくさん教えてくれるので、そういった意味でも視野が広がりました。 今後は我流ではなく専門的に改善していかなくてはならない点もあるなという気づきがありましたね。 -杉原- 人材系など他のグループ会社と定期的にミーティングをされていると伺いましたが、ほかのグループ会社からするとお二人のほうが先輩なので、教える領域などあるのではないでしょうか? -窪田- そうですね。採用に関しては、弊社は広告媒体を使ってずっとやってきたんですが、 グループ会社さんはどちらかというと人材紹介会社を使って採用活動を行っていると聞きましたので、広告媒体での採用手法や利用媒体について共有しています。グループ会社の中でも広告媒体を強化したという会社さんがいらっしゃいました。 -杉原- そうやって学びあえるのはいいですよね。そういう意味では、これから徐々にこのコラボが生まれていくといいですよね。 -谷口- そうですね。ベンチャーエコシステムの流れを活用して、 例えば人材会社間で、人材をどうグループ内で共有できるかとか、グループの中で繋いでいけるか等考えられたらいいなと思います。あとは採用がグループ全体でどういうことが出来るかなど、コラボできていけたらと考えています。 ◆エー・アンド・ケー・コムの事業概要 -杉原- ありがとうございます。では次に、エー・アンド・ケー・コムの事業概要について教えてください。 -谷口- 人材ビジネスをやってる会社で、基本は人材派遣、人材紹介、業務請負、販促イベント、この4本柱で運営してる事業になります。取引先としては、大手の家電メーカー、家電量販店、通信キャリアなどになります。 もともと、量販店で家電を販売するスタッフをメインに行うところが最初のスタートだったんですが、それが広がって今の事業になりました。 -杉原- 実際会社を引き継いで経営をすることになり、この間10ヶ月で変えたこと、もしくは変えなかったことってどんなことがありますか。 -谷口- 私は、基本的には変わってないと思っています。今までと同じことをやってるだけなんですけれど、それでも経営者になったっていうことは、冒頭にお伝えしたように、 会社の運営・経営状況っていうのを、お金の部分含め細かく見るようになって、その先のどういうところをどう削減するべきなのかとかを深く捉えるようにはなったかなと思っています。 なのでこれからはお金の流れを注視しながら、今度は投資をするためにどういうことが必要なのかという点が今の段階です。 -杉原- 窪田さんは、いかがですか。 -窪田- そうですね。私も基本変わってないんですが、逆に変えないように意識しているというか、実務に携わることや、 チェックは目を光らせることとか、従業員の顔を見て会話をすることとか、経営者だからといって態度が変わるようなことがないように意識はしてますね。 変えたこととしては、これまで朝1番に出社していたんですけど、それをちょっとやめました。あまり圧にならないよう、 時間的に余裕を持った方がいいかななど、あえて意識してやっていますね。 -杉原- エー・アンド・ケー・コムのコアメンバーというのは何人ぐらいなんですか。 -窪田- 40名です。 -杉原- この新体制で一緒にやっていきましょうとなったときに、ある程度減る可能性はあると思うんですが、 これが何人ぐらいが自分たちから見たら一緒にやっていこうと思うメンバーなんですか。 -窪田- 全員です。 -谷口- その40名というのは、正社員という意味では、現場にも正社員がいますので、 現場を含めて一緒にやっていこうっていうところは変わらないと思います。本部で言うと20名弱いるので、まずはこのメンバーがよりモチベーションを上げていかなきゃいけない点があります。この10月から組織編成をしましたので、すっきり落ち着いてきました。 -杉原- M&A後って一般的には何かしら変わることがあると思うんですよね。体制が変わって翌月から、100%でスタートだとはならないので、 10か月ぐらいかかったって感じですよね。これからに期待したいと思います。 ◆人材派遣業界の動向 -杉原- 人材派遣、人材紹介、業務請負、販促イベントの業界のトレンドって何かありますか。実際今人材業界は追い風・向かい風などありますか。 -谷口- 向かい風ですかね。ご存じの通り人材不足といわれていて、 やっぱり需要はあるんですけど、なかなか供給ができないっていうところはあります。採用も、良い人材の取り合いっていうところで、リファラルで人を集めてるような感じがちょっと強い状況にあるんですけど、 なかなか厳しいなと感じています。仕事(需要)はたくさんあるんですけど供給(人材)が足りてません。 -杉原- そこも聞きたかったところです。仕事はあるんですよね、ニーズがあるので。イベントで考えると、今の時代何でもオンラインで買える一方で、やっぱリアルでも買うとか、その説明を受けながら買うといういう体験っはなくならないと私は思うんですけども、そういう意味でのニーズとして、メーカーさんからの要望というのは続いているんですか。 -谷口- そうですね、続いています。リアルで購入したいというニーズは基本的に変わらないと思います。 -窪田- あと、家電量販店も結構変わってきていて、 ライフスタイル提案とか、飲食店やアパレルとの共同出店とかで変わってきてるんで、そういった意味でも、人が集まるところがどんどん特化・集約している気がするんですよね。家電、通信は比較的落ち着いてますけど、今後もニーズは続くという点は、各取引先の情報からは感じます。 -杉原- コロナ中はやっぱり厳しかったですか。 -谷口- それがそうでもなかったんです。お店の一時閉店などいろいろありましたけど、コロナ渦の支援や施策もあったので、乗り切れました。 今や家電量販店はライフライン全般を扱うお店なので途絶えさせてはいけないという感じでした。 -杉原- エー・アンド・ケー・コムさんの採用の部分の向かい風はどういったところで感じていましたか。 -窪田- 働くメンバーは、ベテランもいれば、中堅・若手もいて、家電では40代以上の中高年や60代以上の高齢の方も多いです。やはり通信も家電も商品・サービスが複雑化してますし、時代の流れとしても 営業とか販売の仕事はちょっと・・っといわれることが増えてきていますかね。 -谷口- 逆に登録型派遣では人がなかなか集まってこないとなると、どういった事業で売上を作ろうかなという課題もあります。派遣ではなく委託という選択肢をすると、再委託でいろんな協力会社さんにお願いをして、そこから人材をあげてもらって売上をつくる傾向もありますね。 それだと売上は立つけど利益が薄くなるので、本来の人材ビジネスの姿に戻さないといけないという課題はありますよね。 -窪田- あとは、外国籍の方の活用ですよね。外国籍の方はネットワークをすごいもってるんですね。コミュニケーションと就業サポートをすれば、紹介で人材も増えていくような仕組みはできるかなと思います。 -杉原- 採用が難しいというところで、御社なりの今の取り組みとか工夫などありますか。 -窪田- 強化している点が3点あります。 まず、自社採用ホームページを作り、高額な広告媒体に頼らず採用できる仕組みを構築しています。 次に、先ほどの外国籍の方の話じゃないですけど、お仕事を探している方を紹介してもらうという制度を強化しているという点です。 あとは、新卒採用です。弊社では現時点で2025年4月に7名が入社予定なので、まず現場に入って業界や実務を経験してもらい、そこから本社配属に上がってくる仕組みで現場力を強化していきます。 ◆世代ギャップについて -杉原- さっき触れたような話なんですけども、若手が多いこのディ・ポップスグループの中で、世代の時代のギャップを感じることありますか。工夫されていること等あれば教えてください。 -谷口- そうですね、世代のギャップは当然持って当たり前とは思っているんですけど、指導の仕方には気を付けていますね。教え方とか指摘の仕方1つにしてもですけど、昔と同じやり方ではダメというところはもう体感してるので(笑)、どうやってやっていくのがいいのか。全く何も言わないのは良くないというのもありますし、そういった部分でのギャップを感じながらやってるというのが結構メインテーマかなと思います。 -窪田- そういった意味では、その人がどうしたいのか、どうしてほしいのかという点には気づけるようにしたいと思います。例えば、厳しく指導してほしいタイプなのか、それだと耐えられないのでソフトな方がいいタイプなのかっていうのを察しながら接するようにしています。比較的後者の方が多いんですけど、ただ中には成り上がりたいという若手もいると思うので、 そのコミュニケーションを間違えないようにしています。 -杉原- あとお2人が、突然引き継ぐことが発表されて、社長や専務として 失敗することもあるかもしれないけど、挑戦している姿を見せてるだけでも、メンバーは感じるところがあるんじゃないでしょうかね。 -谷口- そう思ってくれていたらありがたいですけどね。ただ正直複雑だったんじゃないのかなと、勝手に思ったこともありますけどね。やっぱりメンバーにしてみれば、 突然M&Aによって会社が変わって、創業者や社長が退任していくことを、私たちとは別の立場でメンバーも「え?」と思ったことはあるんじゃなかったのかな。後日話してみてやっぱりそう感じてるメンバーは多かったので。 -杉原- では別の聞き方をすると、ディ・ポップスグループは、ベンチャー魂に溢れて、若くて、起業したいって思う人もいたりする。そんな環境のグループに入ったことで、メンバーの皆さんの変化などを感じることはありましたか。 -窪田- そうですね。例えば採用ミーティングでいうと、「負けたくない」というか、ライバルを意識しているなあと感じた点はありますね。また、グループ内でもしかしたらFA制度を活用して転籍ができるという制度があることもそうですよね。 他にも、持株会の話では何人か積極的な参加者がいたりとか、新しい発見もありましたね。 ◆「ベンチャーエコシステムの実現」について -杉原- なるほど、様々な変化のあった約1年でしたね。続いて大事な質問です。ディ・ポップスグループが目指している「ベンチャーエコシステムの実現」に対して、まずどんな風に感じていらっしゃいますか。 -谷口- そうですね、非常に良いものだと思っています。じゃあ私たちに何ができるかっていうところで言うと、当然グループ内でのエコシステムなので、 例えば、我々の社員を、グループ会社さんに提供しながらやっていくとか。例えばディ・ポップスの携帯ショップでは研修システムがあるというお話も聞いたので、我々の新入社員や社員研修として参加させてもらうとか、逆も然りですが、そういったところもエコシステムの1つになるのではと思います。 あとは、DXの部分です。。。弊社はDXに弱いので、それをこう、どういったところで、どういったグループ会社さんにお願いをしてできるのか等相談させていただきたいと思います。 -窪田- 私は、逆の意味で言えば、ベンチャーってやっぱり失敗するリスクもあるという中で、何かトラブルや良くない場合に助け合うみたいな部分も裏メニューとしてあるのかなと感じています。いい時だけじゃないので悪い時には支えあえるような。 -杉原- ありがたいコメントですね。さて、ではエー・アンド・ケー・コムさんの10年後の理想の姿を教えてください。 -谷口- やはり人材の育成が必要ですよね。新しい主力メンバーを今以上に増やしていきたいいと思いますので、その人材の育成が一つあります。 それと10年後の家電業界がどうなっているかも正直わからないですし、通信業界も今後も堅調に続いていくとは思うんですけど、どうなっていくかは見えないという流れで、これまではこの2本柱でずっとやってきましたので、それだけだと厳しいのは永遠の課題でした。もう1、2本大きい柱を立てていかないと、 これ以上の成長はないと思っていますので、10年後はそういう柱を増やし、 売上も3年以内に30億を目指してやっているので、それ以上に売上を増やしていけるような10年後であってほしいと思いますね。 -杉原- 素晴らしい。それに向けての課題はありますか。 -谷口- やっぱり採用力であったり、営業力もそうですし、さっき言ったような人材の育成っていう、どうしていくかというところを課題としてあげたいと思いますね。 あとは今多様性の時代の中で、エー・アンド・ケー・コムを選んでくれたからには愛社精神を持ってもらえるような会社にして行けたらなと思います。当然グループ内転籍などもいいですが、エー・アンド・ケー・コムへの思いを持ったメンバーが増えていけばいいなと考えています。 ◆ホームページを訪れた読者の方へ一言 -杉原- 最後に、このホームページを訪れた読者の方へ一言お願いします。 -谷口- それではせっかくなのでエー・アンド・ケー・コムのメンバーに対して伝えたいと思います。私は現在54歳ですが、この年でも気持ちを切らさず頑張っています。若いみんなに負けじと頑張るので、これを見て、さらに頑張ってもらえる気持ちになってもらえたらありがたいと思います。 -窪田- そうですね、ディ・ポップスグループの仲間になったので、メンバーにはこの機会をチャンスととらえてどんどん挑戦をして何かをつかんでほしいなあと思います。あと、ディ・ポップスグループのみなさんって笑顔で明るいですよね。本当は大変な苦労もされていると思いますが、ポジティブで、悪口とかもきかなくて、みんな笑顔で接してくれるというところはすごく見習いたいです。そういう雰囲気が私自身好きですし、A&Kもそうしていきます。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社エー・アンド・ケー・コム】 代表者:代表取締役社長 谷口 一也 所在地:東京都新宿区新宿5-16-11 新宿光ビル3F/4F 設 立:2001年1月 サイト:https://www.a-kcom.co.jp/
  • INTERVIEW
2024.12.03
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