COLUMN

創業社長にも求められる営業スキル ーベンチャー成長の壁を突破する「経営思考の営業」

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2026.02.05

ディ・ポップスグループでアドバイザーとしてベンチャー支援に携わる中で、多くの創業者が直面する壁があります。それは『営業』です。 本稿では、伴走支援する中で有用性を実感した、経営者こそ持つべき営業スキルについて解説します。

営業は創業後の成長を支える基盤

企業の成長過程において、営業活動は避けて通れない機能です。法人向け事業はもちろん、消費者向け事業においても、販路開拓、業務提携、アライアンス構築といった局面では必ず「営業活動」が発生します。市場に優れたプロダクトを投入しただけで自然に売上が立つ時代は終わり、顧客との対話設計そのものが競争優位を生む時代に入っています。

特に創業期・成長初期のベンチャー企業では、営業専門部隊を持つ以前に、創業者自身が最前線に立つことが少なくありません。資金調達、パートナー獲得、大口顧客の開拓など、重要局面ほど創業者が商談の中心に立つ現実があります。

豊富な営業経験のある創業者であれば、その経験値が武器になります。一方で、技術者やプロダクト開発出身の創業者にとって、営業は「不得意領域」と捉えられがちです。しかし現実には、事業の初期成長を決定付けるのは、プロダクトの完成度以上に「顧客との対話の質」であることが多いのです。

本稿では、営業責任者のみならず、創業者自身にも参考にしていただける、三つの「経営思考の営業スキル」をご紹介します。

1.「傾聴の姿勢」と「売ろうとしない勇気」

先日、珍しくスマホに一本の電話が入りました。出資及び事業推進の伴走をしている、B2B向けのソリューションベンチャーの創業社長からの、嬉しい報告でした。

それは、大手企業から契約の内示を獲得できたという知らせでした。数ヶ月前まで契約が思うように進まず、悔しさを滲ませていた彼の声には、明らかな達成感が宿っていました。私は祝福の言葉を伝えると共に、これは単なる幸運の産物ではない、営業における「姿勢」を変えた結果であり、今後の活動に向けての大きな一歩だと伝えました。

彼は、今回の商談を振り返った際、以前は無料トライアル後に早期の本契約を迫り、相手の懸念が十分に解消されないまま、自社都合で前進しようとしていたことが、失注の要因だったと自己分析していました。

今回はそのアプローチを改め、導入判断を急がせず、商談相手が検討すべき論点を共に整理し、次回までの「宿題」を設定することで自然に次回の対話へとつなげました。その結果、商談が一歩一歩前に進み、今回の内示獲得へと至りました。

注目すべきは、特別なクロージング技術を用いたわけではない点です。
むしろ、過剰に売り込もうとする前のめりな姿勢を意識的に控えた点でした。

実は、4ヶ月前、私は彼に見込み顧客となり得る企業を紹介すると共に、その商談に同席しました。しかし、その商談での彼のふるまいに思うところがあり、その終了後にやや強い口調で助言を行いました。「営業で最も重要なのは、契約を取ることではなく、破断させないことです」と。

彼の商談に決定的に欠けていたのが、「傾聴の姿勢」でした。
単に相手の話を黙って聞く事ではありません。
・どこで言葉を選んでいるか
・言外の含みはないか
・少し首をかしげた
このような微妙な反応を読み取りながら、”対話”を進める姿勢のことです。

多くの営業担当者は契約に向けて商談を前進させることを目的とします。しかし、実際には相手が安心して検討を継続できる状態を維持することこそが、本質的な役割です。判断を急かされると人は思考を止めるか拒絶反応を示し、結果として静かなフェードアウトが起こります。「持ち帰って検討します」で終わる商談は、概ね失注に終わります。

従って、相手の疑問を即座に潰そうとせず、次に何を考えるべきかを共に整理し、十分な検討時間を提供しながら、相手のゴールを念頭に対話を続けることが求められます。

一般に「できる営業」は知識が豊富で、反応が早く、即答できる人物像として語られがちです。しかし、顧客から信頼を得るのは、話を遮らず、思考の間を許容し、不明点を認め、次回までに調べてくる、といった、誠実な姿勢を持つ人物です。

冒頭の彼は、この失敗した商談以降、明らかに顧客への向き合い方が変わったのです。数ヶ月後、彼が得たのは単なる契約ではなく、相手の話を聴けるようになった実感、急がなくても前進できる成功体験、そして再現性ある営業感覚でした。

傾聴の姿勢があるからこそ、「今は売り込みをしない」という判断が可能になります。

営業に課題を感じる起業家ほど、自身が相手の話を聴こうとしているのか、それとも自分の話を聞かせようとしているのかを問い直す必要があります。その違いに気づいたとき、営業の質が確実に変わり始めることでしょう。

2.「課題起点」の質問力

営業で成果を分けるのは話術の巧拙ではありません。かつて事業開発およびB2B営業を長く務めていた私が常にゴールに置いていたのは、「相手の経営課題を言語化していただく」という一点でした。

シンプルに言うならば、「御社の経営課題は何ですか?」というキラー質問です。

経営者には企業の経営課題を、マーケティング責任者にはブランド戦略上の課題を、人事責任者には人材育成の課題を、情報システム責任者には社内ITの課題を問いかける。この問いに辿り着くことが、特に初回商談のゴールでした。

もちろん、初対面で唐突に課題を尋ねても容易には答えていただけません。信頼関係を築き、安心して話せる空気を醸成し、自然な対話の流れの中で最終的にこの問いへ至ることが重要です。

その関係構築ができた上で、適切なタイミングで適切な質問を行った結果、相手の課題が言語化された瞬間、営業は「一方的な売り込み」から「共同検討」へと質的転換を遂げます。自社の商品やサービスは、解決手段の候補として自然に議題に上がるのです。

成果が出ない営業の多くは、課題を聴かぬまま説明を開始します。会社紹介と自己紹介、商品説明、市場優位性、同一業界での導入事例、導入に必要なコストと時間、などを型通りに語り、「だから弊社の商品は御社でも役立つはずです」と結ぶ。

しかし、その時相手の頭に浮かぶのは「本当に今必要か」「誇張はないか」「データに誤りはないか」といった検証思考です。そして最悪の場合「断る理由」 を探すスイッチが入ります。経営にも事業にもゴールがあり、それに無関係な商品を導入する理由はありません。

だからこそ、営業が最初に行うべきは相手のゴールと課題を理解することです。

また、現実には、初回から決裁権限者に会えるとは限りません。その場合は担当者の業務目標や達成上の課題を尋ねます。担当者は経営課題全体を語れなくとも、自身の業務上の悩みや課題は語れます。その課題解決を共に考え、自社の提供価値がどこで貢献できるかを探索する。この積み重ねが、やがて決裁者との対話へとつながります。

課題が共有されていない段階で、機能一覧や価格表を提示しても意味はありません。

どの課題に、どの程度効くのかが腹落ちした後に初めて具体的なサービス内容を語ればよいのです。順序を誤らないだけで、商談の進行は大きく変わります。相手が関心を持つ機能に絞れば説明時間は短縮され、空いた時間を建設的な共同検討に充てられます。また、有効な導入事例は必ずしも同業界とは限らず、類似課題を解決した他業界事例の方が響く場合も少なくありません。

結局のところ、すべては傾聴の姿勢に帰着します。

相手の立場に立ち、真剣に話を聴く姿勢があれば、適切な問いは自然に生まれます。「話が上手い営業」ではなく「聴き上手な営業」が選ばれる理由はここにあります。

3.「断る勇気」と「撤退する勇気」

B2B営業において、すべての案件を受注できる営業こそ理想だと考える人は少なくありません。しかし現実には、それは必ずしも優れた営業とは言えません。長期的に企業と組織を守る営業とは、取らない案件を見極め、必要であれば断る判断ができる営業です。

営業現場では、「取りたいが、取ってはいけない」と感じる瞬間が確かに存在します。

過度な個別カスタマイズを当然視する相手、一方的な要求を押し通そうとする姿勢、企業文化として浸透する尊大な態度、価値を理解せず価格のみを追求する責任者。こうした案件を取り続けると、高コスト体質を生み、開発・サポート・経営層を巻き込む間接コストと精神的消耗を招きます。結果として受注が企業負担となることすらあります。

営業には忍耐が必要ですが、すべてのストレスを受け入れる必要はありません。理不尽な要求、通じない交渉、人としての敬意を欠く応対、単なる価格比較のための交渉。これらを無理に前進させることは、組織全体の損失につながります。

不健全なディールを途中で堰き止めることもまた営業スキルの一つです。

「弊社の方針とは合わないため今回は辞退します」。こうした意思表示は失礼でも敵対でもなく、境界線を示す誠実さの表現です。何でも引き受ける企業より、できることとできないことを明確に示す企業の方が、長期的には信頼を獲得します。

撤退の意思決定はリーダーの責務でもあります。

私自身、価格競争が過熱し利益が見込めない大型案件から意図的に降りる決断を本社経営陣と合意のうえで行った経験があります。それは「負けを認める」のではなく、「勝っても損をする勝負から自ら降りる」経営判断でした。また、基本的なビジネスマナーを著しく欠く企業には営業活動を停止する決断を下したこともあります。企業文化は必ず業績に現れます。取引先を選ぶことは、自社の文化を守る行為でもあります。

この考え方は新規営業に限りません。
既存顧客にも撤退すべき相手は存在します。

手間ばかりかかり収益性の低い顧客、合意したはずの事項の実行努力をしない顧客、傾く事業の立て直しの意思を欠く顧客、常に否定から入る顧客。こうした関係を「お客様は神様」とばかりに抱え続けることは、企業の未来を削る選択です。

契約更新時に更新を辞退する判断も、健全な経営には必要です。

興味深いことに、断る勇気を持つ企業ほど結果として良い顧客が集まります。自社文化に合い、対等な敬意を持ち、価値を理解し、成長努力を続ける顧客との関係は単なる取引を超えた信頼関係になります。そしてその顧客は、価格ではなく価値で選び、長期的なファンとなります。

営業は選ばれる仕事であると同時に、付き合う相手を選ぶ仕事でもあります。断る勇気と撤退する勇気は冷酷さではなく、会社と社員と未来を守るための責任ある判断です。本当に価値ある関係に資源を集中することこそが、次の成長を生む営業の姿であり、「経営思考」ではないでしょうか。

結び:営業スキルは経営スキルの一部である

本稿で紹介した三つのスキル、

傾聴の姿勢と売ろうとしない勇気
課題起点の質問力
断る勇気と撤退の勇気

これらはいずれも、単なる営業テクニックではありません。経営者や営業責任者が市場に真摯に向き合いながら、限られた経営資源を正しく配分するための経営思考です。

優れたプロダクトがあっても、優れた対話設計がなければ市場には届きません。
営業活動とは、事業成長の最前線に立つ経営活動そのものです。

ディ・ポップスグループでは、「ベンチャーエコシステム作りを目指す」をビジョンに掲げ、エコシステム内の企業群が持続的に成長できる仕組みづくりと、アドバイザー陣による伴走支援に取り組んでいます。
※詳しくはこちらをお読みください。「ベンチャーエコシステムとは?

エコシステム内の企業がこの「経営思考の営業」を実践できるよう、引き続き支援を続けてまいります。本稿が、ベンチャー創業者および事業責任者の皆様の実践的な一助となれば幸いです。

D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太

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坪効率とは?「場所の最適化」が営業利益を最大化する
ディ・ポップスグループは、「リアルビジネス × テクノロジー × グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、100年後も社会から必要とされ続けるベンチャーエコシステムの実現を目指しています。 今回は、「リアルビジネス」である店舗経営に必須の、店舗の効率性や収益性を測る上で非常に重要なポイントとなる「坪効率」について解説してまいります。 「坪効率」は一坪当たりの売上高のことで、業態や業種により異なります。来店頻度の高い食品スーパーや高単価商材を扱う百貨店や家電量販店が一般的に一坪当り売上高の高い坪効率の良い業態とされています。今回は同業態かつ同立地での会社比較を行うことかつ、前々回「在庫回転率」、前回「一人当たり売上高」の話をしましたので、話に継続性がでる家電量販店に再度スポットをあて「坪効率」を解説していきたいと思います。 1.店舗経営の3種の神器とも言える指標の1つ 前々回は「在庫回転率」を、前回は「一人当たり売上高」を例にとりました。「在庫回転率」はその名の通り在庫で、主にCFやBSに効いてくるもので、「一人当たり売上高」は主に人件費に絡むもので、PLに効いてくる指標であることは解説しましたが、今回取り上げる「坪効率」は主に家賃に絡み、人件費同様PLに効いてくる指標です。 今回の「坪効率」で店舗経営の3種の神器とも言える指標である、在庫、人件費、家賃の3つが出そろいます。前々回の「在庫回転率」や前回の「一人当たり売上高」をまだお読みでない方は、この機会にぜひご一読いただけると幸いです。ではなぜ「坪効率」が重要か、以下順をおってご説明いたします。 2.坪効率とは まず、坪効率とは、一坪当りの売上高を指し店舗の生産性を示す指標で、坪効率が高いほど良いとされます。一般的には年間の売上高を売り場面積(坪単位)で割った計算式より算出されます。 例えば 年間500億円の売上高の店舗で売り場面積が4,000坪であれば、坪効率は1,250万円 年間15億円の売上高の店舗で売り場面積が1,000坪であれば、坪効率は150万円 年間4億円の売上高の店舗で売り場面積が80坪であれば、坪効率は500万円 年間2.5億円の売上高の店舗で売り場面積が50坪であれば、坪効率は500万円 となります。 坪効率は業態や業種により平均が大きく異なり、業界平均もあまり公表されておりません。郊外型の家電量販店で150万円程度、ホームセンターで50万円程度、コンビニで500万円程度、ドラックストアで400万円程度が平均とされております。扱い商品の購入頻度、単価、大きさといった商品特性と、都市型か郊外型といった立地により主に変わってきます。 立地に関しては、立地の違いは家賃に違いがでるため、例えば都市型と郊外型の比較では、郊外型の坪効率は悪いけど都市型に比べ家賃が極端に安いという状況が起こりうるので、単純に坪効率だけで効率比較ができないという点を考慮する必要があります。 3.なぜ坪効率が重要か? では坪効率がなぜ重要か、以下の例を元に解説してみたいと思います。 上記での解説通り、都心型、郊外型等の出店場所と扱い商品が違う会社同士は比較しても家賃と単価が異なり有効な比較対象とならないため、の前回の「1人当り売上高」の時と同様に、同じ商品を販売していて、同じ都市型に立地している家電販売店をモデルケースに解説していきたいと思います。(モデルケースの会社は架空の会社ですが、実際の会社がベースとなっております) モデルケース 【家電量販店B社】 店舗数24店、売り場面積75,000坪、坪効率10,093千円、売上高7,500億円、経常利益500億円、経常利益率6.7% 【家電販売店C社】 店舗数45店、売り場面積74,000坪、坪効率6,002千円、売上高4,400億円、経常利益40億円、経常利益率0.9% 今回モデルケースとして採用したB社は前回の「1人当たり売上高」で取り上げたB社と同じ会社です。C社は前回の「1人当たり売上高」で取り上げたC社と同じ会社ですが、C社は沢山の屋号をもつグループ経営の会社ですので、今回は都市型店舗の屋号だけを切り抜いて取り上げました。各種数字は坪効率の年度のものに合わせたことと、売り場面積は坪効率と売上から逆算して算出しています。B社とC社はライバル会社として知られる会社で、どちらも都市型に出店しており、新宿等の大都市では隣接して出店している会社です。 今回見比べていただきたいポイントは売り場面積、坪効率です。 B社は7,500億円程度の売上を作る為に売り場面積を75,000坪使用し、C社は4,400億円程度の売上を作る為に売り場面積を74,000坪使用しています。坪効率に換算するとB社は10,093千円、C社は6,002千円です。両社とも非常に高い坪効率を誇る会社ですが、B社とC社の売り場面積はほぼ同じ75,000坪程度ですので、B社とC社の坪効率の差額4,091千円を売り場面積75,000坪に換算すると、3,000億円以上の差がでます。 この差が売り上げの差であり、売上総利益率を家電量販店の平均的な数字30%として両社とも計算すると、売上総利益では900億円近い差が出ます。家賃に相当する金額に換算することは非常に困難でここでは行いませんが、どちらも都市型店舗で同じような場所に出店しているため、仮に同じ額の家賃がかかっていいたとすると、この売上総利益の差がそのまま利益の差につながります。B社とC社の経常利益の差が460億円、経常利益率で5.8%の差がありますが、この差の大きな要因の一つが坪効率であることは明確かと思います。 前回の「1人当たり売上高」の時もお話ししましたが、多少の違いはあれども同じ商品を扱っている家電販売店業界ではB社、C社以外をみても売上総利益率は大体30%程度で、どの会社も同じような水準です。業界問わず、同じ商品を扱っている業態で同じような売上規模だと売上総利益率に大きな差は出にくいと思います。 今回のB社、C社の比較の場合で、前述しておりますが、売上総利益率を30%と仮定した坪効率からくる売上総利益で約900億円の差が生じます。同じ商品を扱い、同じような立地に出店し、同じような売り場面積を使用しているにも関わらず、競合他社とこれだけの経営効率の差が出るのは、坪効率以外では「在庫回転率」、「一人当たり売上高」くらいしかでないのではないかと考えます。 今回のモデルケースだけでなく、店舗を構えるビジネスであれば、飲食でもアパレルでも、スーパーでも店舗を構える限り、店舗一坪当たりの売上高(坪効率)から逃げることはできません。同等の立地に出店し競合他社を大きく上回る坪効率を実現することができれば、ビジネスをする上で避けて通れない競合他社との競争において、大きなアドバンテージを持つことに直結していきます。 4.坪効率を上げるポイント 坪効率の重要性はご認識いただけたかと思いますので、坪効率を如何に上げるか?というお話をさせていただきます。坪効率を上げるポイントはいくつかございますので以下に代表例を挙げてみたいと思います。 坪効率を上げるポイント① 購入頻度が高い、又は単価が高い商品を扱うということです。食料品や日用品の様に単価が安くても購入頻度が高いと坪効率は上がりやすく、ブランド品の様に単価が高い商品は、購入頻度が低くても購入頻度の低さをはじき返すだけの購入単価があるので坪効率が上がりやすいです。地域密着型のドラックストアが品揃えとしてドラックより購入頻度が高い食品や日用品の扱いをしているのは、坪効率の観点から考えると当を得た商品展開と言えますし、家電量販店が品揃えを増やし購入頻度が高い消耗品と単価が高いハード品をMIXさせて扱うということも坪効率の観点から考えると当を得た商品展開と言えます。 坪効率を上げるポイント② 扱う商品の大きさとお店全体を無駄にしないということです。要は小型の商品を隙間なく展示することです。ドンキホーテやコンビニ、ドラックストア、都市型家電量販店をみれば一目瞭然で、一部の店には大型商品がありますが、小型商品が中心で隙間なくそれこそ天井までびっしり並べられています。 このような展開は坪効率の観点から考えると当を得た商品展開です。家電量販店がわかりやすいので例にとりますと、現状家電量販店は都市型が○○カメラで郊外型が○○電機という屋号に大きくは分類されるわけですが、なぜこうなったかというと、昔の都市型店舗はどの店舗も非常に小さく、冷蔵庫や洗濯機を置いたら数台で店舗が埋まってしまう店舗でした。結果、都市型店舗はカメラや時計、ポータブル機器、理美容機器、小型のOA機器等が販売の中心になり、郊外型店舗は家賃が安い為、坪効率の悪さを跳ね返せるので冷蔵庫や洗濯機等の大型商品が中心になったことは、坪効率の観点から考えると必然の結果と言えます。 ちなみに昔は都市型で冷蔵庫や洗濯機等の大型商品中心の店がたくさんありました。秋葉原を見ればわかりますが、現状では体力のある大型店に集約され、0ではありませんがほとんど残っていません。これも坪効率の観点から考えると必然の結果と言えます。 坪効率を上げるポイント③ クロスセル、アップセルを行い購入単価を上げることです。クロスセル、アップセルは店舗の努力で大きく変えることができます。スーツを買いに行けば多くの店でスーツにあったワイシャツやネクタイを進められますし、パソコンを買いに行けば多くの店でセレロンの様な安いCPUを搭載した安いモデルではなく、コアiシリーズの様な性能の高いCPUを搭載したモデルを勧められます。 全社がクロスセルで後者がアップセルです。アップセルで購入単価は変えることができ、単価が上がれば坪効率が上がります。また、クロスセルで購入点数を増やすことができ、購入点数が増えれば一人当たりの購入単価が上がり坪効率は上がります。 上記が坪効率を上げるための代表的な例です。もちろん坪効率を上げるためのポイントは他にもございますが、最大のポイントは「在庫回転率」、「一人当たり売上高」と同様に坪効率の重要性の教育が従業員になされており、常に会社と従業員が坪効率を高めるための仕入れや、展示、接客に創意工夫をし続ける血の通った経営を在庫や売上点数/売上単価の可視化がきるテクノロジーを使い実現させることだと思います。 結果的には、経営効率を飛躍させる坪効率の向上も、ヒト × テクノロジー × 経営戦略の掛け算の上に成り立つということになると思います。 5.まとめ 今回は、坪効率のお話をさせていただきました。店舗ビジネスで場所を使わないビジネスは存在しません。この場所の最適化こそが、坪効率として数値化され営業利益の最大化につながり、同じような場所に出店する競合他社との大きなアドバンテージポイントになります。 坪効率は、商品の単価、大きさ、購入頻度といった商品特性、品揃えを増やしお店に隙間なく陳列すると品揃えと陳列手法、クロスセル/アップセルに代表される接客技術で大きく変えることができます。つまりは、扱い商品のコンセプトを決める会社と仕入れ、陳列、接客を具体的に行う従業員が常に生産性を高めるための創意工夫をし続けることが坪効率を上げるポイントになるということです。 今回の坪効率で、店舗経営の3種の神器とも言える指標である、在庫、人件費、家賃の3つが出そろいました。前々回の「在庫回転率」前回の「一人当たり売上高」から一連の流れとしてご一読いただきますと店舗経営ポイントがより見えてくると思います。 ディ・ポップスグループとして、「在庫回転率」「一人当たり売上高」「坪効率」の3部作を通じお伝えしたいことは、ビジネスはヒトにより成り立っているということです。商品を購入いただくお客様もヒトであり、経営戦略を考えるもの、テクノロジーを使うのもすべてはヒトであります。 AIをはじめとするテクノロジーを使いこなさなければ、ビジネス上で競争に勝ち生き残ることはできないと思いますが、テクノロジーだけでも生き残ることはできないと思います。テクノロジーが良いから、経営戦略が良いから、ビジネスが成功するのではなく、ヒト × テクノロジー × 経営戦略の掛け算が大切であるとディ・ポップスグループは考えます。 この考えの元、ディ・ポップスグループはヒトが輝くために、また社会課題解決のためにベンチャー企業に対して、出資を通じた支援と効率という数字だけではない価値を通じたベンチャーエコシステムの実現を目指しています。 これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。 D-POPS GROUP 常務執行役員 渡辺哲也
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2026.01.15
年末のご挨拶
師走の候、今年も残すところあと僅かとなりました。 今年も1年を通して、「ベンチャーエコシステムを実現する」というビジョンに向けて、グループの仲間と共に最大限の挑戦をして参りました。 1998年の創業から、100億企業を実現するまでは、祖業の2社に経営資源を集中し事業を拡大して参りましたが、20周年を機に、本格的なグループ会社経営に移行し、さらにその後は、「ベンチャーエコシステムを創造すること」(エコシステム経営)に全ての力を注ぎ、現在は、グループ会社25社、投資会社35社体制となりました。やっと今、ベンチャーエコシステムの実現というビジョンのスタートラインに立ったと思っています。 これまでの弊社の取組み、そして社会的な仕組みとしてのベンチャーエコシステムをより広く世の中に伝え、何よりも起業家・経営者がインスピレーションを得て成長し、未来が変わる、そんなターニングポイントになるような1日を提供しようと1年前に決断し、長い準備期間を経て、今年10月2日には「ベンチャーエコシステムサミット2025」をシェラトン都ホテル東京(白金)で開催致しました。総勢270名の方々に参加頂き、とても大きな反響を頂く事ができ、安堵するとともに大変嬉しく思っております。参加された方々の中から、未来に飛躍的な成長を実現し、将来、ユニコーン企業が出てくることを、非常に楽しみにしております。 ベンチャー企業の経営は、本当に一筋縄ではいかず、非常に複雑で難易度が高いものであります。未来に上場を実現し、100億企業、さらにユニコーン級の企業になっていくスタートアップは本当に一握りです。だからこそ、支援体制を整え、伴走していくことで、一つ一つの大きな壁を力強く乗り越えていけるよう、起業家・経営者の皆さんを後方支援していくことが、我々ベンチャーエコシステムとしての大きなミッションです。 これからさらに志やポテンシャルの高い起業家や経営者、そして我々が注力すべきフィールドで高度なビジネスモデルを確立しているベンチャー企業に仲間になって頂き、5年以内にグループ会社、投資会社、資本業務提携会社を100社体制にし、真の意味で、世の中になくてはならないベンチャー支援のプラットフォーム=ベンチャーエコシステムを実現することで、社会に貢献して参ります。 この1年間で、新会社の設立、CVC、資本業務提携により、新たな仲間が9社加わりました。半数の会社がAI企業またはAIをフル活用した企業、また残りの半数が激変する社会のニーズや時代の要請に応えるような新たなビジネスモデルを確立した企業です。起業家、ビジネスモデル、経営戦略、どれをとっても、素晴らしいポテンシャルを感じる企業ばかりです。 次世代の若者、さらにその先の世代の若者が挑戦し易い環境やステージをより一層整えることで、「挑戦するカルチャー」を世の中に広め、「懐の深い社会の実現」を目指して参りたいと思います。 また、今年も例年同様に、公益財団法人「こどもたちと共に歩む会」を通して、全国の児童心理治療施設27カ所に寄付を行うことが出来ました。またその他にも、ライツオンチルドレンやボンドプロジェクト、千本財団など合計7カ所の児童養護施設やNGO団体を支援させて頂きました。毎年、たくさんの起業家や経営者の方々に、ご賛同頂き、多額の寄付を頂いております。ベンチャーエコシステムサミットでも参加者の皆さんから総額256万円の寄付が集まりました。改めて、この場をお借りして、御礼を伝えさせて頂きます。本当に有難うございました。今後もより一層、未来の日本を担う子供達の支援を強化して参りたいと思います。 引き続き、ディ・ポップスグループ、そしてベンチャーエコシステムの仲間と共に、高い志と大きなビジョンで、一意専心、尽力してまいりますので、変わらぬご支援、ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。 益々の皆様の繁栄を心より祈念しております。良い年をお迎えください。 ディ・ポップスグループ 代表 後藤 和寛
  • MEDIA
2025.12.26
名経営者からの学び ー ”道”(松下幸之助)
ディ・ポップスグループでは、ベンチャーエコシステムを、「共通のアイデンティティと理念の元に集まり、革新性の高い事業モデルにより、社会課題解決に挑戦し続ける企業群の集合体を支える、成長と永続のためのプラットフォームのこと」と捉え、その理想の形の実現に向けて日々挑戦と努力を続けています。 ※詳しくはこちらをお読みください。「ベンチャーエコシステムとは?」 その実現のためには、起業から世界的大企業に育てるまでを行ってきた、過去の名経営者から謙虚に学ぶ姿勢が欠かせません。 「名経営者からの学び」シリーズでは、筆者が影響を受けた名経営者や思想家らの言葉をご紹介し、実体験からの想い、事業や実生活で活かされた事例などをご紹介していきます。 第一回目は、グループのアドバイザー、杉原が担当致します。 1. ”道”(松下幸之助) 自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、他の人には歩めない。自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。淡々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。 この道が果たしてよいのか悪いのか、思案に余るときもあろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか。 あきらめろと言うのではない。いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、ともかくもこの道を休まず歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道ではないか。自分だけに与えられているかけがえのない道ではないか。 他人の道に心をうばわれ、思案にくれてたちすくんでいても、道はすこしもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。 それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。 ーー「道をひらく」(松下幸之助著、PHP研究所発行)より、原文のまま引用 2. この言葉を選んだ理由 これまでに多くのビジネス書、経営関連本、MBA関連本、未来予測本を乱読してきました。その中で、いくつかはその年のベストセラーになったものの、その数年だけのブームに終わったり、未来予測は外れたり(それもまた勉強にはなるが)、名経営者と言われた人がその後凋落したり逮捕されたりというケースも、ありました。 一方で、著者の方が亡くなった後も、長年ベストセラーであり続けるような名著と呼ばれる本は、時代が変わっても普遍的に重要なポイントを教えてくれる、誰にとってもバイブルや羅針盤とも言える本であり、定期的に立ち止まって読み返すべき、価値ある書籍です。 「道をひらく」は、パナソニックホールディングスを一代で築き上げ、その後の数多くの経営者らに影響を与えた、松下幸之助氏のベストセラー本です。私は、折り目や蛍光ペンだらけとなって読み倒した本と、改めて購入した、きれいな本を持っていますが、改めて読むと、経験を積んだからこそ深く共感できることや、今でも新鮮であり、新たな気付きを与えてくれる書籍です。 その本の正に最初のページのタイトルが、”道”です。 この機会に、この本を初めて手に取った30数年前の思いを振り返りたいと思います。 3. 自らの経験とこの言葉への想い 「道をひらく」を購入したのは、会社員となってまだ間もない、20代前半だったと思います。私はその当時、明確なキャリアプランを描けておらず、起業するほどの強い情熱や社会課題意識もなく、何となく会社員を選んでいた、主体性に欠ける若者でした。 そして、運の悪いことに?その時代、すなわち昭和から平成にかけては、「24時間働けますか?」というフレーズのCMが流行るなど、とてもブラックな(笑)環境で、連日、満員の通勤電車に乗って7時半に出社、終電やタクシーで帰るという生活で、じっくりとキャリアをデザインしたり、起業プランを練ったりする熱意も余裕もない若者でした。 この本を読み始めた時に、まず、この「広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。淡々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。この道が果たしてよいのか悪いのか、思案に余るときもあろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう」という冒頭の文を読んだ時に、泣きそうになった覚えがあります。・・いや実際泣いていた気がします。心身共に疲れていたのでしょう。 しかし、その後に続く、「道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ」という言葉が心に響き、その言葉に奮い立たされ、この後に続く数々の言葉に励まされ、「何としてでも自分だけの道を切り開いていこう、決して逃げず、諦めず、歩みを止めず、たとえそれが険しくても、自分だけの道を作って行こう」と決心することができた、という思い出があります。 あの時代背景の中で、ある人は失踪してしまい、ある人は自分の意見や意志は捨て言われたことだけをやる姿勢になり、またある人はストレス解消のため、度が過ぎる酒や煙草やギャンブルに走ってしまったりと、険しすぎる道から脱落していく先輩方や同僚達の姿を見ました。 が、私はこの「道をひらく」に出会い、その中の数々の言葉を信じて歩み続けたおかげで、目の前の道を踏み外すことなく、そして新しい道を作っていくことができました。 そして徐々に・・といっても30年程もかかってしまいましたが、自分の道、すなわち社会における役割が、「数多くの国内・海外ベンチャー企業の立ち上げ期とその後の栄枯盛衰の期間に従事してきた経験を通して、ベンチャー起業家やそこで働く人々をサポートする伴走者」という役割ではないか、と思うに至ったのです。 「それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる」という言葉の通り、20代、下っ端で四苦八苦していた頃には上記のような役割、すなわち自分の道、はイメージなどできませんでした。しかしその後の人生において、逃げずに、常に与えられた環境で与えられた目標を達成し、自ら発案し行動を起こし、そしてまた新時代の潮流を感じたら勇気をもってその領域に挑戦する、ということを続けた結果、「新たな道が開けた」という経験をたくさん積み重ねることができました。 不安とコンプレックスの塊だった10代から20代前半を経て、しかしこの本のこの言葉に出会い、その後の人生を歩み、今日この記事を書いていて改めて思います。「歩み続ける者には、必ず道は開ける」のだと。そして、自分の道を切り開いてきた結果、「深い喜びも生まれてくる」のだと。 この本を世に出してくれた松下幸之助氏に感謝すると共に、これまで、登りも下りもあった険しい道を、かきわけ、切り開いてきた自分自身を、今なら褒められるなと感じています。 4. 読者の方々へのメッセージ 自分に与えられた道、すなわち人生という道は、他人と比べるものではありません。他人の人生を羨んだり妬んだり、輝かしい経歴の有名人と比較して嘆いたり、逆に自慢したり過度に誇ったりするべきものではありません。ただ、自分なりに歩み続け、努力し続ける。 あらかじめゴールを立てて歩むことが理想的でしょう。でも、ゴールが明確でない道に価値が無いということではないと思います。今はゴールが見えていなくても、しっかりと歩み続ける中で、突如明確になることもあります。 人生は選択の連続だと言われるように、自分の道にも定期的に分かれ道、すなわち右に行くか左に行くかの選択を迫られるシーンが登場するものです。また乗り越えねばならない大きな壁が登場するものです。それらの選択と挑戦の連続の結果、自分だけの道が描かれます。 舗装された、もしくは決められたレールの上を歩むのか、より険しく先が見えないけれども大きな可能性を秘めた道を選ぶのか。 時代は常に変化します。特にAIがどんどん浸透する今後の10年は激動になると思います。そんな時代背景の中で築いていく道は、ある人にとっては突如途切れてしまうような困難なものに、またある人にとっては新時代を切り開くものにもなり得ます。 ぜひ、AI時代を大きなチャンスにすべく、そして後に「深い喜びが生まれる」ような、自分自身の道を切り開いて下さい。 以上、こちらの記事が、少しでも皆様のお役に立てたら大変嬉しく思います。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
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2025.12.03
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