COLUMN

【グループ会社インタビュー】㈱STAR CAREER / ㈱graphD 保坂 龍政 社長 ~後編~

  • INTERVIEW
  • グループ企業
2024.11.08

D-POPS GROUPでは、現在約23社のグループ会社が仲間となっています。
今回は、2016年に株式会社 STAR CAREERを創業した保坂 龍政 社長へ、インタビューしました。

前編の記事は、以下のリンクからご確認ください。
https://d-pops-group.co.jp/column/star-career-interview-first-part/

 

◆市場環境

-杉原-
ありがとうございます。では次の質問ですが、STAR CAREERの場合は新卒が多いということなんですが、採用のトレンドとしてはいかがですか?

-保坂-
今後も売り手市場は基本的に継続するのは間違いありませんが、特に来年4月と再来年4月入社の方々の採用は、企業はとても苦労すると思います。

大手を含めてコロナで採用数を絞っていた会社が多く、人財が足りていない企業が多いので、新卒採用の需要がものすごく高まっている状態です。この状況は26年卒の採用まで続きそうです。

◆「キャリポ」のリリースについて

-杉原-
そんな中、7月1日に、就活をしながらポイ活ができるアプリ、「キャリポ」というアプリをリリースされましたよね。まず『キャリポ』についてご紹介いただけますか。

-保坂-
『キャリポ』というアプリは、いろいろな就活イベントが、このアプリの中に入っていて、就活生の方がアプリの中の就活イベントに参加すると電子マネーがポイントでもらえるという、ポイ活と就活を掛け算した今までにありそうでなかったアプリをリリースしました。

リリース後、学生側の反響もクライアント側の反響も非常に高いです。26年の卒業となる学生向けから対象となるので、ここからの動き出しに合わせていくといったところです。

-杉原-
今から本格的にプロモーションが開始ということですね。『キャリポ』の目標はあるんですか?

-保坂-
2025年度の計画としては、『キャリポ』は1万ダウンロードを目指しています。

毎年就活する層というのは、日本国内には45万人いるといわれているので、まずは1万ダウンロード、3年で15万ダウンロードというところを1つ目標にしています。

◆産学連携イベントについて

-杉原-
この『キャリポ』に関連してのつながりで、産学連携の活動であったり、大学で講演をされるというお話を伺ったのですが、詳しく教えていただけますか?

-保坂-
はい、ある大学の商学部の授業の一環として、肉フェスなどのイベント会場で縁日のブースを出し、ビジネスとしてどのように収益を上げていくのかを学ぶため、協賛活動も積極的に行っています。実際には、射的やヨーヨー釣りといったアトラクションの機材発注や景品選び、人員の手配、納期のスケジュール管理、当日の運営など多岐にわたる作業がありますが、学生の皆さんにとって貴重な実践経験になることを期待しています。

また、就活生に向けた講演なども積極的に行っていく予定ですが既に大学やハローワークからのご依頼もいただいている状況です。

私はもともと教員を志し教員免許を持っているので、ある意味夢が一つかなったことになります。

-杉原-
この活動を行う狙いというのはどんなところにあるんですか?

-保坂-
そもそも起業したことや、その後に就活カフェやキャリポというアプリを立ち上げたことも、社会で活躍する人財を事業を通して生み出していきたいという思いから始まりました。ありがたいことに、こうした活動に共感してくださる仲間が増え続けています。

まず『キャリポ』に関してで言うと、情報格差によって生じる就職の不平等を解消したいというコンセプトなのですが、色々な大学の教授や講師の方々から応援の声を頂戴しています。いち企業目線で物事を進めるのではなく、学生や学生団体、大学関係者まで広く指示してもらえるようなプロダクトを目指しています。多方面から『キャリポ』が便利で役に立つものになって欲しいですね。

-杉原-
それはすごいですね。努力しない人は広告にひたすらお金かければある程度取れるんですけど、そのお金に変わるものとしては、いろんな工夫だとか自分の汗というか足と汗で稼ぐというか、これは広告よりはるかに価値が高いですからね。サステナブルですしね。

-保坂-
はい。大学やハローワークで講師をする事は肩書きやブランディングではなく、単純に知ってもらいたいし、その活動の中で応援してくれる人も増えている実感があるためです。

あと、『情報格差で生じる就活の不平等の解消』これはメディアリリースしたものなんですけど、ある大学の学部長から、実際に地方大学では切実な問題で向き合わないといけない課題でもあるという言葉をもらいました。

例えば関東の場合、就活イベントやセミナーが開催されるとすれば東京のどこかで開催される事が多いのが実状です。栃木県在住の学生と東京都在住の学生が就活しよう・企業の説明会に行こう・就活イベントに行こうとなったときに、栃木県の学生も行こうと思ったら、当然行けるんですが、少なからず段取りが必要になってしまいます。東京に行ってる間に何件も回ろうとかって、そのアレンジしなきゃいけないというのはまず不便ですよね。

つまりその就活という短い時間の中で出会える企業数も、同時にその企業と面接などを通して会える機会が減れば、経験値も大きく差が出るんです。であれば、このアプリを通してオンラインでも参加ができるとか、オフラインに関しては我々の就活カフェのアドバイザーに、それぞれの学生さんにあったイベントの情報提供が出来るので、効率よくコスパ・タイパよく就活ができるという事も情報格差で生じる不平等解消にもつながると考えています。

-杉原-
首都圏と地方の情報格差は、どんな分野でもなんとかしなくちゃいけないという課題意識がみんなありますよね。その意識の浸透が大事で、とても素晴らしい事業ですね。

◆STAR CAREERの社風について

-杉原-
ガラッと話が変わるんですが、STAR CAREERはグループの中でも、性別関係なく、年齢も関係なく、いろんな人が活躍しているなという印象があります。ホームページや社内報などを見ると、みんなすごく笑顔がキラキラしていて魅力的なんですよね。ホームページのメッセージにも、「自分らしく輝ける」「お互いを受け入れて尊重する」というメッセージがありますが、保坂社長の中で意識している方針があるのか、「自分らしく輝ける」というメッセージを送るようになった背景等あればお聞かせ下さい。

-保坂-
そうですね、STAR CAREERのホームページに載っている本部のメンバーも現場のメンバーも、弊社のメンバーは基本的にみんなあの感じで間違いないと思います(笑)

でもそれは、後藤社長が築いてきた文化だと僕は思っています。

元々教師を目指していた私が、ディ・ポップスに入社した1番の決め手というのは、後藤社長から「これから30億円・100億円、そこからさらに300億円・1000億の会社を作っていく中で、若い人たちがとにかくチャレンジできる環境を作りたいと思っていて、そこに教師みたいな人がいたらとてもいいと思う。」というお言葉をいただいたことなんですね。

そういうのが基盤にあるので、今、後藤社長はグループ全体を率いていらっしゃって、ベンチャーエコシステムというところから起業家の社会貢献というと次なる大きな領域に行かれていらっしゃいます。

僕が意識してるのは後藤社長のその若い人たちがチャレンジして壁にぶつかりながら乗り越えていくステージを提供するという思いを、僕は伝承したいと思ってるんです。そしてこのスターキャリアで伝承したものを継続していくぞという思いでやってるので、若い人たちに向けてどんどんチャレンジできる環境を作る、壁にぶつかることの素晴らしさ伝える、と後藤社長がこう私に言ってくれたことをスターキャリアで実践してるだけなんですよね。

 

~D-POPS GROUP 後藤社長 インタビュー~
エコシステムにたどり着くまで、そしてこれから
https://d-pops-group.co.jp/philosophy/

 

-杉原-
なるほど、たしかにディ・ポップスから巣立っていった社長たちの会社のメンバーは、自然な笑顔の人が多い会社がほとんどですね。最近はディ・ポップス生え抜きではなくジョインしてくださった会社も多いですが、他のグループ会社の社長と語る機会とかもあるんですか?

-保坂-
あります!ディ・ポップスグループにジョインしてくれたいろんな会社の社長さんと仲良く交流させてもらっています。単純に僕は、ディ・ポップスグループに入ってくれた社長や会社の皆さんに興味があるんです。僕自身、ずっとディポップスの中にいるので、これから同じ仲間として、グループにジョインする前と後では、どのように見えるのかという事も知りたいです。

-杉原-
保坂社長のように、興味を持ってどんどん輪を広げていってくれる方がいるというのも重要ですよね。

 

◆「ベンチャーエコシステムの実現」について

-杉原-
先ほどお話にも合ったように、後藤社長を含めてディ・ポップスグループのメンバーとして、これからベンチャーエコシステムというキーワードを日本にどんどんどんどん広げていきたいと思ってるんですが、ベンチャーエコシステムの実現に対して共感できること、そして意識して活動してることなどございますか?

-保坂-
そうですね。ディ・ポップスグループは今ベンチャーエコシステムの実現に向けて動いていますが、元々私が入社したディ・ポップスから、若い人たちがチャレンジできるステージがありました。今のディ・ポップスグループでは、ディ・ポップスでのビジョンがもっと大きな世界観になったと思っています。基盤にあったディ・ポップスでの考えが、ディ・ポップスグループでもっと大きな世界観になったということなのも、心から共感をしています。

私が今目指しているものというのは、例えばディ・ポップスグループの本社がある渋谷ヒカリエという場所もそうですし、ディ・ポップスグループの中に様々な業種の会社があるので、渋谷ヒカリエという場所の提供やノウハウの提供だけではなくて、やっぱり各社のこれから中核になってくる社員の採用などをこのグループに入るとこういう場所が活用できる・ノウハウを得られる・採用難の市場感でも採用力が増す、みたいなものが伝えられるような形になってほしいので、そこまでしっかり確立したいと思っています。

-杉原-
今グループ会社23社あるので、「採用力はうちの会社がピカイチだ」とか「人の教育に関してはうちの会社がピカイチだ」とか「このバックエンドのシステムは任せてください」とか、各社苦手な部分も頼れる会社があるってベンチャーエコシステムならではですよね。

◆STAR CAREER・graphDの10年後の理想の姿

-杉原-
そんな保坂社長、そしてSTAR CAREER・graphDの10年後の理想の姿を教えてください。

-保坂-
シンプルに僕自身は、STAR CAREERとgraphDという会社、そしてこのディ・ポップスグループが目指してる世界観の実現にむけて、この2社の領域が僕自身に任せられた担当だと思ってやっています。例えばディ・ポップスグループがまた成長していく中でこういうことに困ってる、こういうことをやるやつがいないってなった時に、いつでもそこに対してやる準備ができる人間でありたいと思ってます。

-杉原-
その未来に向けて今取り組んでることや、課題などはありますか?

-保坂-
その課題について、この下期の10月から解消する動きを今取っているんです。

実はスターキャリアの各事業の責任者をやっていた部長以上のメンバーが全員、次世代に権限委譲を行いました。そして今まで部長の下で働いていたメンバーが実務の最終責任者で、それぞれクライアントにも動いて、メンバーフォローも自立してやっていくことにしました。

コア事業20年の企業生存率がどうしても低いのは、登りのエスカレーターの時に事業を立てても、それが安定期や停滞期に入ったときに先の波を乗り継いでいけないからだと思っているんです。なので、既存事業とコア事業とサブ事業を3つ作りつつ、モバイルからコールセンターやカスタマーサポート、バックオフィス事務とステージのバリエーションを広げる事ができたので、この今の波は既存事業としてこれからまだまだ育てていきます。

アップトレンドであったモバイルは今は安定期となりましたが、コールセンターやカスタマーサポートはDX化の波もあり今後も伸びていく事が予想されます。その既存事業の成長を今の若手に一気に任せることにしました。そして、次なる事業であるRPO事業やキャリポや就活カフェ事業を、これまでの役職者が行っていく。こういった事業を3年計画で、売上を目標値まで持ってってくださいという流れにして、今までの役職者が新事業の立ち上げ責任者・実務責任者としてやる体制に今回切り替わりました。

-杉原-
なるほど。会社の立ち上げの時にジョインした人たちが養ってきたものは、派遣事業を通してアントレプレナーシップを身につけてきたというか、新規事業開拓を勉強してきた・経験してきたということなんですよね。まさにベンチャーですよね。

-保坂-
そうですね。最近では、コロナで事業の転換を図るときに、新たな事業領域の拡大や人財育成、そこに紐づく評価制度をメンバー総力戦で作る事で形になってきたので、ここからは次世代のメンバーに事業を動していってもらうという判断をしました。

次は、キャリポやRPO事業のところをしっかり立ち上げることに注力していこうと思っています。そして3年間で現在派遣事業の粗利のシェア90%のところを50%にすることを目標にしています。新規事業と派遣事業の粗利シェアを半分ずつにするイメージです。

 

◆ホームページを訪問した読者の方へ、メッセージ

-杉原-
素晴らしい目標ですね。
では最後にこのホームページを訪問した読者の方に一言メッセージをいただけますでしょうか。

-保坂-
はい。ディ・ポップスグループの色々な方と話ていると、いつも感じる事があるんです。

例えば「俺は海賊王になる!」というセリフが有名な漫画があると思うんですが、その主人公は宝の島にたどり着いて、海賊王という称号を得るために目指していますよね。でも同じ船に乗ってるメンバーの中で実は海賊王になりたいと思ってるのはその主人公だけなんです。

あるメンバーは世界一の剣豪になるとか、また違うメンバーは世界中の海図を作れるようになるとか、実はそこにたどり着くという一つの目標に向けて頑張るんですけど、たどり着いて得たいものってみんな違うんですよね。僕はこのディ・ポップスグループってそういう場所だと思っているんです。

ベンチャーエコシステムのなかで、自分の実現したい夢をかなえる。そこにはたくさんの仲間がいるので、協力し合いながらお互いの夢をかなえていくことが出来る。これからもいろんなメンバーがベンチャーエコシステムの仲間になってくれることをとても楽しみにしています。

☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太

 

【株式会社STAR CAREER】
代表者:代表取締役 保坂 龍政
所在地:東京都渋谷区渋谷2-15-1渋谷クロスタワー25F
設 立:2016年 5月
サイト:https://star-career.co.jp/

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  • INTERVIEW
2026.04.28
英語嫌いから5,000時間の学習へ。スピークバディ立石社長がAI英会話で実現する「真の言語習得」~Part2~
Part1では、立石社長が5,000時間の学習を経て、英語の課題をテクノロジーで解決しようと決意した原点をご紹介しました。 続くPart2では、累計300社以上に導入され急成長を遂げる『AI英会話 スピークバディ』の核心に迫ります。『Duolingo』や『Speak』といった競合サービスとの決定的な違いはどこにあるのか。 「いつでも、どこでも、誰でも続けられる」だけでなく、日本人が本当に話せるようになるための独自の言語習得理論と、こだわりの設計思想を立石社長に語っていただきました。 (このインタビューは2026年3月に実施しました 。) ◆ 『AI英会話スピークバディ』とは──4つの優位性 -杉原- では、そのような経緯を経てここまで大きく育った『AI英会話スピークバディ』のサービス内容について、読者の方に向けてご説明いただけますか? -立石- 『AI英会話スピークバディ』は、従来の人間が相手の英会話レッスンではなく、AIのキャラクター(我々は「バディ」と呼んでいます)を相手に英会話のレッスンができるサービスです。ただキャラクターと応答するだけではなく、一つのストーリーの中で必要な英会話表現を学んでいくような設計になっています。それらの表現もレベル別に設定されているので、自分のレベルに合うキーフレーズをレッスンごとに学んでいけるのが特徴です。 なぜこれが対面の英会話よりも良いのか、という点には4つのポイントがあります。 1つ目は、いつでもどこでもできるという点。 2つ目は、コストの面でも、人間相手よりだいぶ抑えて学習ができる点。 3つ目は、特に日本人に多いのですが「人と英語を話して間違えるのは恥ずかしい」とか「外国の人と話すのが怖い」といった心理的不安の壁を超えられる点です。AI相手なら、それらを感じることなく堂々と間違えられる。 最後は学習効率です。AIで分析ができるので、人間の先生とレッスンをやるよりも、効率的な学習サイクルが作れる。この4つがAI英会話の優れているところです。 -杉原- いつでもどこでもというのは大きいですよね。 1レッスンはどのくらいで完結するのですか? -立石- そうですね、1レッスン15分ほどで完結します。実際、オンライン英会話のレッスンなのに「わざわざ服を着替えて、髪をセットして、お化粧をして・・・」と準備が必要なのが大変だというお客様の声もありました。そういった手間がなく、気軽にできるというメリットは確かにあると思います。 ◆ Duolingo・Speakと何が違うのか -杉原- 今、『Duolingo』や『Speak』といった類似サービスも増えています。スピークバディが、それら他のサービスと比べて「ここが優れている」「ここが特徴的だ」という点をご紹介いただけますか? -立石- 『Duolingo』については、我々もサービスとして非常にリスペクトしています。ただ、彼らはスピーキングというよりは、どちらかというと単語や文法を学ぶ、総合的な学習サービスだと捉えています。かつ、非常にゲーム性を重視されているので、入門・初心者の方には特に始めやすく、ゲーム感覚で他言語に触れる機会になると感じています。 一方で我々は、よりスピーキングに特化しています。日本の中学・高校で英語はある程度やってきたけれど、話せないという方々には、スピークバディの方が合っていると捉えています。 また、スピーキングという点ではアメリカ発のAI英会話アプリ『Speak』もありますが、彼らよりも我々が優れていると感じる点は、一つは使いやすさです。UI/UXが非常に使いやすく、続けやすい作りになっていること。もう一つは、言語習得理論に則って、ユーザーが本当に話せるようになるための設計をしっかりしていること。この2つを融合させている点が、我々が勝っているところだと考えています。 -杉原- 結構しつこく復習させられますもんね。忘れた頃に(笑)。 -立石- そうですね。復習についても「エビングハウスの忘却曲線」に則って、ちゃんと繰り返し学習して習得できるようにしています。様々な言語習得理論のノウハウを詰め込んでいるのは、我々の強みですね。 あとは名前の通り、バディがついているという点です。『Speak』などは比較的機械的な相手と話すイメージですが、AI英会話スピークバディはストーリー性があったり、具体的なキャラクター設定がそれぞれなされていたりします。現実的なシーン設定の中で、まるで人間のようなIP(キャラクター)と話すという世界観にしているので、そこが根本的な思想として違うかなと思っています。 -杉原- デザインについても、かなりキャラクターが立っていますよね。インド人訛りの上司が出てきたりしてすごく実世界に近い会話ができる感覚があります。全体的に一つの世界観の中にいるかのようなデザイン性を感じるのですが、ここはこだわりポイントなのですか? -立石- そうですね。うちはデザインには非常にこだわっている会社ですし、デザイナーが非常に優秀であるという自負があります。グッドデザイン賞も受賞しています。 実は、うちのデザイナーは現在全員が外国籍なんです。私自身、もともと欧米など海外のUI/UXデザインがすごく好きだったので、そうした外国籍のデザイナーに作ってもらっているのが一つの特徴ですね。 あとはやはり、創業当初から継続が大事だと考えている中で、継続の鍵は楽しさにあるというコンセプトを持っています。社内ではよくバディ感やバディネスと言っているのですが、キャラクターもそうですし、体験全体の中でそれらが感じられるかどうかを重視してこだわっています。 ◆ 300社超が導入──法人市場での急成長 -杉原- 法人顧客の開拓には実際に力を入れていらっしゃるんですか? どのような企業様が、どのような目的で導入されているのでしょうか。 -立石- ここ3年ぐらいは法人のお客様の開拓に非常に力を入れています。企業のグローバル化に伴うコミュニケーションの必要性から、累計の導入数は現在300社を超えています。自己啓発や福利厚生の一環でご導入いただくことが多いですね。 企業の種類としては、グローバル企業はもちろんですが、最近は人的資本経営の流れもあり、業種に関わらず「社員の自己啓発を応援したい」という企業様にご導入いただいています。英語ができるようになりたいという方は、どの会社にも必ずいらっしゃいますから。多い業種としてはIT、製造業、接客業などがありますが、我々は業種・職種別のコンテンツも提供しており、今後も法人向けのコンテンツは強化していく考えです。 -杉原- 導入企業からの反響はいかがですか? -立石- 導入いただいた法人のお客様からは、「社員の英語を話すことへの抵抗感がなくなった」とか、「英語のミーティングに積極的に参加できるようになった」といったお声をいただくのが、本当に嬉しいですね。よく人事や研修の担当者様がおっしゃってくださるのは、「こんなに英語研修で反響があったのは初めてだ」ということです。 -杉原- 社員の方から人事の方に、反響が届くのですね。 -立石- そもそも募集した際の応募人数が、想定の何倍も多いんです。対人の英会話研修に比べると、10倍ぐらいの人数が集まることもあります。やはり「気軽に始められる」という点が大きいのではないでしょうか。 実際、接客で必要というケースでは、ホテル業界などでも導入いただいています。インバウンド需要が増える中で、海外の旅行者の方がふらっとお店に来た時の英語アレルギーの壁を少しでも下げるのに、すごく役に立っているようです。 ◆ 従来の英語研修とは一線を画す、社員に優しい研修 -杉原- 大企業だと、英語研修に「TOEICで何点取らなきゃいけない」といった要件がついているケースも多いですよね。 -立石- そうなんです。これまでの英語研修って、受講すると「TOEICで何点取らなきゃいけない」とか「受講回数が少ないと自腹になる」といったものがありましたよね。その点スピークバディはコストを抑えてより幅広い方に使っていただけるのが一番の強みです。強制的な研修というよりは、福利厚生として「自分で選んで学習する」という形ですね。 -杉原- 継続率が高いからこそできることですね。法人顧客は今も伸びているのですか? -立石- はい、法人は今もすごく伸びています。もし英語研修で困っている会社様がいらっしゃったら、ぜひご紹介いただければ幸いです(笑)。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社スピークバディ】 会社名:株式会社スピークバディ 代表者:代表取締役 CEO 立石 剛史 所在地:東京都中央区日本橋3-14-3 +SHIFT 日本橋桜通り3階 設 立:2013年5月 コーポレートサイト:https://www.speakbuddy.com/   次回・Part3では、 ・資金ショート寸前に全員を集めた「正直な告白」 ・「自律と規律」を両立する偉大な会社づくり ・アジアのグローバル化を牽引するAI言語習得スタートアップへ などについてお伺いしています。Part3もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.04.21
英語嫌いから5,000時間の学習へ。スピークバディ立石社長がAI英会話で実現する「真の言語習得」~Part1~
D-POPS GROUPは、2025年12月に『AI英会話 スピークバディ』を運営する株式会社スピークバディへの出資を実施しました。(詳細はこちらをご覧ください。) なぜ、かつて学年最下位と言われるほど英語が苦手だった人物が、最先端のAI英会話サービスを創り上げたのでしょうか 。本連載(全3回)では、代表取締役・立石剛史社長の起業家としての軌跡と、同社が描く未来を紐解きます 。 Part1では、TOEIC280点から5,000時間の学習を経て、外資系投資銀行での経験や世界一周の旅からAI英会話の着想に至るまでの驚きのストーリーをお届けします 。 (このインタビューは2026年3月に実施しました 。) ◆ 高校で学年最下位だった英語との出会い -杉原- まず初めに、AI英会話スピークバディのアプリを開発したきっかけを教えていただけますか? -立石- なぜ英語というフィールドを選んだかというところですが、私自身、学生時代は英語が非常に苦手だったというところが大きいです。英語はずっと積み上げの学習が必要ですが、中学1年生の時に挫折してから、ずっとそのまま授業についていけませんでした。高校の時には、英語の先生に「学年で一番英語ができない」と言われるほどでした。 -杉原- 学年で一番英語ができなかった方が英会話アプリの会社の社長になられたんですね(笑)。 -立石- おっしゃる通りですね。高校時代はそうだったのですが、大学生の時の就職活動で外資系の投資銀行に内定をいただいて、そこで新卒のキャリアをスタートしたのが学習のきっかけになりました。 -杉原- 外資系企業なのに英語の面接はなかったのですか? -立石- 英語の面接、ありましたね。最終面接は、ボードルームで当時のシティグループ証券の社長と各部署の役員の方がずらりと並んでいるという場でした。当時はそういうプレッシャーに耐えられるかというところを問われていたのもありますし、投資銀行というのは「人」しか資産がないような業態なので、人格を見られるような場でもあったのだと思います。 その10対1の面接では、基本は日本語で進むのですが、最後に人事部長から「じゃあ英語で質問するから英語で答えて」と言われました。そこまではずっと日本人の面接官の方だったので、英語については「この人は慶應大学も出ているし、多分できるだろう」くらいの感じで進んでしまっていたんですね。 ですが、私は英語が全くできない、TOEICでも280点みたいなレベルだったので、人事部長から聞き取れない英語の質問が来たら必ずこう答えようと、自分の中で準備していたんです。 「I can’t speak English. But I will study hard. So, no problem!」 そこは自信を持って言ったんですけど、もうそれしか覚えていなくて。当時はそのフレーズを暗記するだけでも大変だったくらいなのですが、そうしたら、全員が凍りついてしまって。「えっ、何?」みたいな。「その英語力でここを受けたんだね。ここは外資系だよ、どうするの?」という話になりました。 ただ、就職活動は大学3年生の時にやったので、「ここから卒業まで1年間あります」と。私はその時、会計士の試験にその年の最年少で受かったばかりで、20歳だったのですが、1日14時間毎日勉強していたんです。勉強と寝る以外のこと、つまり風呂、食事、移動すべてを2時間で済ますというのをやっていたので、1日参考書1冊を終わらせるペースでいつも勉強していました。だから「ここから1年間あるので、英語なんて余裕です。嘘ではないです。」と、本気で思って言いました。 当時は、TOEICで750点ぐらい取れれば、英語なんてペラペラなんだろうなと思っていましたし、会計士試験のように「落ちたらまた1年間受けられない」という試験に比べたらプレッシャーも全然ない。「明日からやります」と言ったら、「なんかきみ、やりそうだな」と。それでも「さすがに落ちただろうな」とは思いました。外資系なのに英語ができないわけですから。 ただ、その日のうちに人事の方に呼ばれまして。当時のシティの社長が激押ししていたそうなんです。「ああいう人を取れといっていたよ。君、どんな話をしたの?」と言われたのですが、その時に言ったのは「僕は英語はできないかもしれませんが、人間の頭の能力にそんなに差がないということが、会計士試験の受験でよく分かりました。もう気合いの世界です。気合いを出せばやれないことがないということはよく分かったので、絶対やりきります」と言って。そうしたら社長が「ああいう面白いやつを一人取ろう」ということで、採用してもらえたという経緯がありました。 ◆ 5,000時間の学習が教えてくれた日本人の英語問題 -立石- そこから何年もかけてTOEICは満点にして、英検1級も取って、ここまで累計5,000時間ぐらい英語の学習をしてきました。 その5,000時間をかけて痛感したのは、「これは自分が就活の時に思っていたよりも、よっぽど大変だ」ということです。これは日本人の、本当に一番大きい課題かもしれないと僕は感じたんですよね。外資系で英語ができなくて苦労したのもそうですし、その後に日本の証券会社に転籍してからも、香港に駐在して中国語と英語を使って仕事をする機会がありました。語学ができないと全く仕事にならない。 香港では中国語もある程度やって、日常会話ぐらいはできるようになりましたが、やはり言葉が通じないと仕事になりません。日本人は非常に優秀なのですが、英語ができないということで、外資系時代も本社や他の海外支店の人たちから馬鹿にされているのが、すごく我慢ならなくて。グローバルで人々が集まって研修などをやると、日本人は全然英語ができなくて喋れないんだけれども、出すアウトプットは日本人が一番いいんです。 そういう中で、「日本人は優秀なのに英語ができないから馬鹿にされている」という現状を変えたいというのが、僕の根幹の思いとしてあります。僕自身は5,000時間を使いましたが、それは多くの人がやれることではない。その時間をとにかくテクノロジーの力で短縮したい。これが、英語をテーマに選んでAI英会話スピークバディを開発し始めた根本のところですね。 ◆ 『家で英語を話してくれるドラえもん』を作りたい -杉原- 起業したいという気持ちは、学生の頃からあったのですか? -立石- そうですね。就活の時に「この投資銀行で働いたら、将来自分が会社をやる時にも活きますか?」と質問していたのを覚えています。でも、その後ずっと7年間ぐらい激務をこなしていたので、すっかりそういう気持ちも忘れていました。ただ、世の中の役に立つようなサービスを自分も作りたいという気持ちがすごく強くなってきた時に、「元々自分は会社をやりたかったんだよな」というのを思い出しました。それで、海外転勤から帰ってきたタイミングで会社を辞めて起業しました。 辞めてからビジネスプランを考え出した、という形です。一度そういう背水の陣の状況に持っていって、そこから、とりあえずずっとやりたかった世界一周の旅に出て、旅をしながらプランを練りました。練りながら、世界一周をしながら自分でアプリ開発も並行して進めていたんです。その世界一周している時に作った英語学習アプリをリリースしたら、App Storeで総合ランキング1位を取りました。 -杉原- 総合ランキング1位は凄いですね! そのアプリは、今のスピークバディの原型になったようなものなのですか? -立石- そうですね、それがスピークバディの原型になったと思います。世界一周もしましたし、その時、短期留学もしたのですが、やっぱり海外にいながらも、英語での会話の相手が欲しいわけです。でも、いきなり英語で友達を作るのって、すごく大変じゃないですか。みんな簡単に「外国人の恋人を作ったらいい」と言いますが、僕も実際に行って作ろうとしてみたものの、そんなこと簡単にできるもんじゃない、というのを痛感しました(笑)。 それで、海外にいる時に「家に英語を話してくれるドラえもんがいたら、それでいいのにな」と思ったんです。その「英語で話してくれるドラえもん」を作りたい、というのが英会話サービスのスタートですね。 最初に出した英語学習アプリにも音声認識機能を入れていて、それは多分、日本で初めて英語音声認識の機能を入れたアプリだったと自負しています。ただ、当時の2014年頃の音声認識機能はまだ精度が低かったんです。しかし、そこから1、2年経つ中で、音声認識技術が飛躍的に良くなっているのを感じて、「これなら将来的にAIとの英会話が作れる」という確信が持てたので、2016年に今まで作っていたアプリを全部止めて、AI英会話に全集中し始めました。 ◆ 「どこがAIやねん」と言われた2016年の苦労 -杉原- 2016年に今の元となるアプリをリリースした時から、既にAIという言葉をつけていたのですか? -立石- そうですね。2016年にリリースした時も「AI英会話」という名前をつけていました。最初は資金もなかったのでクラウドファンディングから始めたのですが、それがすごくうまくいって400万円ほど集まったんです。その時から「AI英会話」という形で打ち出していました。 -杉原- 特に最近のAIの普及速度や進化の速度はものすごく早いですよね。言語系はこの1、2年で急激に発展していますが、立石さんはかなり先駆けですよね。 -立石- 当時はうちだけでしたね。ただ、リリース直後は結構悩まされました。「これのどこがAIなんだ」と、2016年当時はすごく言われましたね。「喋っても全然認識しないぞ」と。 当時の音声認識は、キャラクターと電子音声で話せるという程度のものでした。会話AIもまだ発展途上だったので、ツリー構造で「こう言ったらこう返す」とプログラムしているレベルで、今のようなフリートークは全然できなかったんです。それで「どこがAIやねん」というレビューがすごく増えてしまったので、実は2017年頃に一度AIの冠を外したんです。AIとつけると期待値が上がって星1レビューがつくので、一回外そうと。 ただ、2019年ぐらいから音声認識技術が劇的に良くなったのと、自社製の音声認識エンジンを作ったことで精度がぐっと上がったんです。そのあたりから、会話AIとしての質もだんだんと良くなってきました。 -杉原- 今は『バディチャット』などを体験すると、普通にくだらないことを言ってもちゃんと内容に合わせて返してくれますね。単なるパターン認識ではないですよね。 -立石- そうですね、脱線してもちゃんと返してくれます。今は「これはAIだ」と胸を張って言えるなと思ってやっています。2015、16年頃はハイプサイクルで言うところの過剰期待の時期で、AI、AIと盛り上がった後に幻滅期が来ましたよね。その時期は「何がAIだ、そんなのできっこない」とずっと言われ続けていたのですが、だんだんと本物になっていきました。 -杉原- 昔から取り組んでいる方からしたら、この数年のブームは「何を今さら」という感じですか? -立石- そうですね。予想通りだなという思いもありますし、一方でやっと気づいてくれたかと時間差を感じる部分もあります。実はGPTに関しても、私たちはGPT-2の時から「これ、すごい使えるね」と話していたんです。だから4.0になっても、私たちからすると「あの時から凄かったよね」という感覚なんです。 『音声認識』と『言語化して理解し返答するAI』、そして『ユーザーの英語レベルに合わせて問題を出す』という各要素がすべて噛み合い出したのが、ちょうどここ数年です。この数年で推論のレベルがガッと上がったので、今のバディチャットのようなレベルの高いフリートークを提供できるようになった。やっと時代がスピークバディに追いついてきたという感じですね。 ~Part2へ続く~ ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社スピークバディ】 会社名:株式会社スピークバディ 代表者:代表取締役 CEO 立石 剛史 所在地:東京都中央区日本橋3-14-3 +SHIFT 日本橋桜通り3階 設 立:2013年5月 コーポレートサイト:https://www.speakbuddy.com/ 次回・Part2では、 ・AI英会話スピークバディのサービス内容と4つの強み ・Duolingo・Speakとの差別化ポイント ・法人市場での急速な成長と導入企業の声 などについてお伺いしています。Part2もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.04.15
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