COLUMN

スタートアップからスケールアップへ! 共に成長し、進化し続けるエコシステムの実現 スタートアップエコシステム協会 代表理事 藤本あゆみさん【Part 2】

  • INTERVIEW
2026.04.02

今回は、一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事の藤本さんにインタビューさせて頂きました。
(このインタビューは2026年1月に実施いたしました。)

Part1はこちらからご確認ください。

◆成果と多様性:500名以上が集う『スタートアップエコシステムサミット』

-杉原-
政府や自治体もスタートアップ支援を掲げていますが、自治体が直接スタートアップの株式に投資することは難しい側面もありますよね。 ですが、確かに採用という形であれば支援が可能です。 また、金融機関が資金提供だけでなく、営業活動にまで伴走しているケースもあり、そうした動きは素晴らしいと感じます。

お話にあった活動の中でも、特に「情報の格差をなくす」という2番目の取り組みには非常に興味がありますが、これまでの活動全体を通して、具体的な事例や成果があれば教えていただけますか?

-藤本-
はい。やはり『スタートアップエコシステムサミット』が一番の成果であり、事例になるのかなと思っています。 すでに4年ほど継続して開催していますが、昨年は初めてグローバル・ラウンドテーブルを実施しました。 日本には海外のエコシステム関係者もたくさん来ていますが、意外と一堂に会して一緒に取り組むような場がなかったので、そこに集まってもらう機会を作ったんです。

Summit全体では昨年は500人から600人ほどの方々が参加されました。 国内のあらゆるプレイヤーが混じり合っている、その参加者自体の多様さこそが、まさにエコシステムを体現している成果だと言えるのではないでしょうか。

-杉原-
数百人もの各方面の人たちが一つの場に集まるだけでも、本当にすごいことですよね。

-藤本-
そうですね。毎年どんどん広がっている実感があります。 最初の頃はとにかく支援者だけで100人ほどから始めたのですが、そこから「やはりスタートアップにも参加してほしい」「地方自治体とも情報を連携したほうがいい」「全省庁にも来てほしい」と、どんどん触れ合いが増えて、毎年多様性が増しています。

同じことを繰り返すのではなく、参加する皆さんがエコシステムの成長を体験できる場であってほしいという想いがあるからこそ、私たちは毎年、違うことに挑戦したいと考えています。

確実に規模が大きくなり、多様さが増していることは参加されている方も実感してくださっています。 ある種同窓会のような側面もありつつ、エコシステムの進化を感じ、スタートアップが新しい情報をすべて見つけられるような場所でありたいですね。

現在は、東京都に支援いただいている有楽町のTokyo Innovation Base(TIB)を活用したり、運営面でも連携したりしながら活動を広げています。

◆海外との連携:支援者同士が繋がるグローバルな場

-杉原-
スタートアップエコシステム協会は一般社団法人ですので、利益を出すことが目的ではなく、非常に純度の高い、志のある活動をされていますよね。 運営メンバーも、Google出身の方など非常に優秀な方々が集まって活動されている印象です。

先ほどのスタートアップエコシステムサミットですが、特に前回、昨年10月に開催されたイベントについてお伺いします。ホームページを拝見したのですが、こちらは東京都が主催し、協会が深く関わったグローバル向けのイベントですよね。 開催の経緯や、実際の反響はいかがでしたか?

-藤本-
そうですね、昨年のイベントは特にグローバルの視点が非常に良かったと感じています。 通常、ベンチャーキャピタルなどが主催するイベントや、東京都の『SusHi Tech Tokyo』などには海外からも多くの人が来ますが、意外と支援者同士がじっくり話す機会は少ないんです。

その時は、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど各国の支援関係者方々や、大規模な施設運営、アクセラレーションプログラムを担当している当事者たちに来ていただきました。 「シンガポールでは今、どのようなスタートアップ支援がメインなのか」「フランスではどのような変化が起きているのか」といった話を、本人の口から直接聞く機会を作れたのは非常に意義があったと思います。

また、私は毎年新しい取り組みをするのが好きなので、去年は『トライアングルセッション』という、登壇者3名とモデレーター1名で行う形式を導入しました。 法務・アクセラレーター・起業家教育等といった特定のテーマを決め、1セッション15分という短時間で、鋭く当事者の取り組みを話してもらいます。

一昨年までは、10名ほどが登壇する大きな単位でセッションを行っていましたが、それだとどうしても内容が広くなりすぎてしまいます。 参加者からは「もっとこの部分が聞きたい」「同じテーマで3社の異なる知見を聞いて、その違いを知りたい」というニーズがありました。

当初、この形式を提案した時は、登壇者の方々も東京都の担当者も「15分で何ができるのかイメージがわかない」と困惑されていました。 しかし、実際にやってみると非常に好評でした。 その場で全てを語り尽くすのではなく、そこでエッセンスを掴んでもらって、その後で直接話をしたり情報を見に行ったりするためのきっかけを作ること。 それこそが一番大事だと考えていたので、それが実現できたのが昨年の大きな進化でした。

-杉原-
15分という短時間のセッション形式は、他の講演の場でも活用できそうですね。

-藤本-
はい、もちろんです。よかったら他の人たちにもどんどん使ってもらいたいと思っています。 私たち協会では、昨年から今年にかけて『エコシステム調査』を継続しており、昨年は20か国ほど現地を回って調査を行いました。 そこで目にした各国のカンファレンス、ワークショップ、様々なプログラムの取り組みなどは、私たちだけが知っていても意味がないと考えています。 「自分たちはやらなかったけれど、海外にはこんな運営の仕方があったよ」といったアイデアを出し、それを他の誰かが実行してくれることが大切なんです。

-杉原-
登壇の依頼をする際などは、相手が多忙な方だと躊躇することもあるかと思いますが、スムーズに進むものなのですか?

-藤本-
はい、そこはやはりこれまでの積み重ねの賜物だなと感じています。 皆さん「協会がやるイベントだから間違いない」と恐らく信頼してくださっていて、登壇を依頼するとすぐに決まることが多いですね。「検討します」というよりは、「その方向で行きましょう」と快諾してくださいます。 設立時のサポーターの方々をはじめ、皆さんがこの活動の必要性を感じてくださっているからこそだと思います。

またこうして依頼に応じてくださるのは、私たちが非営利で活動していることも大きいと思います。 これを事業として儲けたいわけではなく、純粋にエコシステムのために動いている。協会のイベントを通じて、それぞれの事業者がやっている取り組みが外に広まるきっかけになればと考えています。 これがもし、特定の民間企業の事業としての協力依頼だったら、なかなかこうはいかないでしょうね。

◆世界の潮流:スタートアップからスケールアップへ

-杉原-
協会のレポートも拝見しましたが、世界を回られた中で感じた大きな潮流について伺いたいです。 その中で、これまでのスタートアップ支援から『スケールアップ支援』へと変化が起きているという指摘がありました。 この潮流は、今まさに起きていることなのでしょうか?

-藤本-
はい、この2年ほどで世界的に『スケールアップ』という言葉が非常に増えています。 以前はスタートアップというカテゴリーの中に含まれていましたが、今は『スタートアップス』と『スケールアップス』という2つの名詞として切り分けられるようになっています。 いろんな国で、スタートアップ政策とスケールアップ政策の2つが語られるようになっているのが現状です。

-杉原-
なぜ、そのように切り分けて支援する必要が出てきたのでしょうか?

-藤本-
例えば、スタートアップ政策を始めて10年ほど経つフランスでは、いわゆるユニコーンと呼ばれる急成長企業が出てきました。 税金を投入して支援する期待として、雇用や税収を最大化するには、やはり一定規模まで会社を育てきる必要があります。
スタートアップは裾野を広げる活動ですが、スケールアップはGoogleのような巨大企業を目指す高さを出す活動です。 この両者では必要な支援策が全く異なるため、あえて切り出して議論されるようになりました。

-杉原-
日本でいうグロースとはまた違うニュアンスなのでしょうか?

-藤本-
日本ではよくグロースと言われますが、世界で言われるスケールアップとの違いは成長の角度です。 グロースが線形の成長を指すのに対し、スケールアップは非線形(Jカーブ)の急成長を指します。 長い時間をかけて成長するのではなく、今必要とされているのは、爆発的な急成長を遂げるスケールアップスをどう作るか、という議論です。

日本もこの1年ほどで、名前こそ違えど高さを出す(急成長させる)ことの重要性に気づき始めています。 まだ政策として完全に落とし込まれてはいませんが、先行する数か国の事例を見ながら、日本でもこれから変わっていくはずです。

実は、東京都はここでも先行していました。 昨年の10月の戦略発表の際、すでにスタートアップス、スケールアップスという言葉を初めて並べて使っていたんです。

◆新会社設立の背景:日本が世界に負けないためのスピード感

-杉原-
素晴らしいですね。そのスケールアップにフォーカスした取り組みを行うべく、名倉さんと新たに『FoundersNation』という会社を設立されましたよね。 この新会社は、一般社団法人スタートアップエコシステム協会とどのように住み分けをされているのでしょうか?

-藤本-
スタートアップエコシステム協会は、特定の業界や特定のスタートアップを個別に支援することはしません。 あくまでエコシステムの発展のために活動する組織であり、もっと全体感を重視した取り組みを行っています。

ただ、活動を続ける中で、個別のスタートアップや特定の業界に関する相談もたくさんいただくようになりました。 ですが、協会の立場としては「特定の個別支援はできない」とお断りせざるを得ず、動けないことへのジレンマをずっと感じていたんです。

特にスケールアップの潮流が顕著になってからは、より強く危機感を抱くようになりました。 というのも、エコシステムという土壌を作るのには非常に長い時間がかかります。 スケールアップを生み出すためのエコシステムを構築することはもちろん可能ですが、それを待っていたら、日本は世界に負けてしまうという切実な思いがありました。

今、その領域のプレイヤーが圧倒的に少ない中で、時間を待っている余裕はありません。 それならば、協会とはまた別の組織として、営利企業という形でスケールアップ支援に特化した活動を行うべきだと考え、新会社を設立しました。

~Part3へ続く~

☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太

 

【一般社団法人スタートアップエコシステム協会】
代表理事:藤本 あゆみ
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階
設 立:2022年3月30日
U R L:https://startupecosystem.org/

次回Part3のインタビューでは、
・Googleで知ったゼロから作る楽しさ
・ジェンダーギャップの解消
・日本の次の強み:技術を「ビジネスにする力」と「伝える力」
・スタートアップエコシステムとは
などについてお伺いしています。

Part3もぜひご覧ください!

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英語嫌いから5,000時間の学習へ。スピークバディ立石社長がAI英会話で実現する「真の言語習得」~Part3~
全3回にわたるインタビューの最終回となるPart3では、創業から13年の歩みの中で直面した最大の危機を振り返ります。 キャッシュ残り3ヶ月という極限状態を、全社員への正直な告白でどう乗り越えたのか。そして、10カ国以上の多国籍チームが体現する自律と規律を両立した組織文化、さらにはアジアのグローバル化を牽引するという壮大な未来ビジョンまでをお聞きしました。 D-POPS GROUPとの出会いが、同社の「ユニコーンへの挑戦」をどう加速させるのか。その全貌を公開します 。 (このインタビューは2026年3月に実施しました 。) ◆ 起業して分かった「1年がものすごく長い」という感覚 -杉原- 設立からちょうど13年が経ちますが、この間にはコロナ禍などもありました。この13年の中で、立石社長ご自身や会社として、どのような成長や壁があったのでしょうか? -立石- 設立自体は結構前になりますが、最初の3年ほどはAI英会話以外の英語学習アプリを作っていましたし、自分の個人資本で運営していました。AI英会話を本格的に始めて、ベンチャーキャピタルの方々からご出資いただいた2016年頃から、状況がガラッと変わったという感覚があります。 そういう意味では、道のりとしては結構長かったなと思いますし、起業して驚くのは「1年がものすごく長い」ということですね。年を取ると1年が短く感じるというジャネーの法則がありますよね。私も投資銀行で7年目ぐらいになった時は、同僚と「もう1年終わっちゃうね」と話していました。それは、それまで経験してきたことで大体の仕事がこなせるようになってしまい、新しい刺激が減っていたからだと思うんです。 ところが起業すると、次から次へと新しい課題が出てきます。その都度、新しいスキルを身につけたり解決策を考えたりしなければならないので、本当に1年がものすごく長く感じます。それを10年以上続けてきたので、非常に長く、かつ面白いプロセスでした。 コロナ禍についても、始まった当初は、いわゆる巣ごもり需要で、AI英会話もすごく恩恵を受けたんです。ただ、海外に行けない時間が長く続くと、悲しいことに日本人は英語学習をしなくなってしまった。「出張もない、外国人も日本に来ない、旅行にも行けない」という状況で、英語について考える機会が激減してしまった。その時期は英語学習業界全体が低迷し、我々にとっても非常に大変な時期でした。でも、今はしっかり需要が戻っています。 ◆ 最大の危機 ─ キャッシュ残り3ヶ月で全社員に「正直な告白」 -杉原- これまでの歴史の中で、あえて一つ挙げるとすれば、最も苦労した大きな壁は何でしたか? また、その壁をどう乗り越えたのでしょうか? -立石-  やはり、資金調達の前段階で、会社のランウェイ(資金が尽きるまでの期間)が限られているという状況ですね。そうなると私自身もそうですし、社員もみんな焦るわけです。ベンチャーの場合、成長のためにどんどん採用を加速させている中で、「資金を集めなければならない」という課題と「組織をまとめなければならない」という課題が一気に押し寄せた時は、本当に大変でしたね。 AIサービスの開発というのは、最初はなかなか人間を超えられないので、数年間は鳴かず飛ばずの時期が続くんです。でもある時、急に「人間を超え始めたな」というポイントが来て、ググッと伸びる。その転換点だった2019年頃が、一番苦労した時期でした。 ちょうどシリーズAの資金調達をする直前で、会社のキャッシュが残り3ヶ月ほどになっていたんです。私は資金調達に奔走して死に物狂いなのですが、当時のメンバーはどこかのほほんとしているように見えて。その温度差に、当時は耐えられなくなってしまったんです。 それまでは、メンバーに財務的な心配をさせたくないという思いから、具体的な数字や資金繰りの話は共有していませんでした。でも、もう限界だと思い、全員を集めて正直に話しました。「今、会社にキャッシュがいくらあって、毎月これだけ減っている。割り算するとあと3ヶ月だ」と。「うちは25日が支払い日だから、この月までは払える。けれど、3ヶ月後のこの日の給料は払えません」ということも正直に伝えました。 話す前は、リスクも感じていました。蜘蛛の子を散らすように、みんな去っていくかもしれないなと。でも、このままの温度差で続けることはできないと思ったので、すべてを共有してみることにしたんです。 結果として、残念ながら一人は辞めてしまいましたが、残りの10名のメンバーは「なんとか乗り切りましょう」と言って頑張ってくれたんです。あの時は本当に、みんなものすごく踏ん張ってくれました。そこで温度差がなくなり、私自身も「みんなこれで頑張ってくれるんだ」と勇気をもらいました。まずは自分の元上司の方に頭を下げてブリッジ融資をお願いし、ランウェイを3ヶ月ほど延ばしました。そして、その3ヶ月の間に新しく開発した機能が、見事に当たったんです。 そこからKPIがぐわっと伸びて、売上も上がりました。そうなると「これなら出資するよ」と言っていただけるようになり、シリーズAで約3億円を調達することができました。あの時が一番しんどかったですね。それ以来、今は細かい費用についてもできるだけ共有するようにしています。キャッシュが今いくらあるのか、といったことも含めてですね。 -杉原- そうすることで、社員の皆さんも「同じ船に乗っている」という実感を持てるのではないでしょうか。 -立石-  そうですね。結局、同じ情報を持っていないと同じ意思決定にはたどり着けません。情報をオープンにすれば、最終的には認識が合うと信じています。 ◆ 社員の3分の1が外国籍 ─ 10カ国以上の多国籍チームが生む強みと苦労 -杉原- ところで、スピークバディさん自体、社内が非常にグローバルですよね。この多国籍チームであることのメリットや楽しさ、そこから生まれる独自の文化などはありますか?また、逆に苦労されていることなどもあれば教えてください。 -立石-  今、社員の3分の1ほどが外国籍で、出身国でいうと10カ国以上のメンバーが在籍しています。かなりバラバラですね(笑)。ダイバーシティと言うと聞こえはいいのですが、実際にまとめるのはものすごく大変です。考え方も価値観も、みんなバラバラですから。そこは本当に苦労するところではあります。 ただ、メリットとしては、自分たちにはなかったような考え方が自然と入ってくるという点があります。日本人の常識にとらわれない発想や、海外の進んでいる部分を柔軟に取り入れられるのは一つの魅力ですね。あとは、やはり語学の会社ですので、入社する日本人のメンバーも「英語を学んできた」「国際的なチームで働きたい」という志向の人間が多いんです。そういったメンバーにとって、外国籍のメンバーと国際的なチームで働ける環境があることは、一つの喜びになっていると感じます。 また、先ほどのデザイナーもそうですが、エンジニアなどの日本国内では人口が少ない職種についても、外国籍まで視野を広げることで優秀な人材を採用できるというのは、経営上の大きな強みだと思っています。全社会議なども英語と日本語の両方で行う必要があるので、同時通訳を入れたりして運営は結構大変ですが(笑)。 ◆ D-POPS GROUPとの出会い -杉原- 先日、弊社での事業説明会と懇親会にご参加いただきました。あの日のイベントはいかがでしたか? (事業説明会の様子はこちらから) -立石- まずは、あれだけの人数の方々が集まってくださったことに、すごく驚きました。皆さん経営者ですからね。そのレベルの方々があれだけ集まって、我々の話をしっかりと聞いて質問をしてくださったり、協業の提案やアイデアをたくさんくださったりしたのが印象的でした。 説明会の時はまだ少し距離があるように感じた部分もあったのですが、懇親会になってお酒も入り、こちらの身の上話や皆さんの考えを聞き出してから、一気に仲間に入れていただいたような感覚になりました。御社はすごくファミリー感のある会社なのだなと強く感じました。 実は今、研究開発段階にあるリリース前の機能があるんです。説明会でそのアイデアをお話ししたところ、皆さんの反響がものすごく強かった。一緒に参加した執行役員の森本とも「あれは当たるね」と話していました。あれだけ強い反応が返ってくるということは、この方向性は間違いないぞ、とありがたい確信に変わったんです。 -杉原- スピークバディさんには、すでに数多くの支援者や出資企業がいらっしゃる中で、今回私たちの出資を受け入れていただいた理由と、実際に受け入れて良かったと思われる点があれば教えてください。 -立石- やはり後藤社長や杉原さんはじめ、関わる方々が我々の話を非常に真剣に聞いてくださる方々だなと感じ、一緒に成長していきたいと思えたのが一番の理由です。それと、ディ・ポップスグループさんは非常にユニークな会社ですよね。私自身も「こういう会社を作りたい」と思わせてくれる要素がすごく多いんです。 資金調達の際、チームのメンバーにも「自分が心から尊敬できる経営者の方に株主になっていただきたいし、そういう会社を目指していきたいから、ディ・ポップスグループさんからの出資は絶対に受けたい」と伝えていました。素直に「ぜひ出していただきたい、学びがある」と思えました。 ◆ 「自律も高く、規律も高い」偉大な会社へ -杉原- 弊社が目指している「ベンチャーエコシステムの実現」というビジョンについて、共感する部分や思うところはありますか? -立石-  何よりも「ユニコーンを作る」という志に強く共感しています。実は私、もともとPCにステッカーを貼るタイプではないんですよ(笑)。「せっかくの綺麗なパソコンが汚れてしまう」と思っていたのですが、御社のユニコーンのステッカーはデザインが純粋にかっこいいですし、何より「ユニコーンになってくれ」という期待を込めていただいている。その志を忘れないためのリマインダーとして、今は大切に手元(PC)に貼っています。 -杉原-  自社のステッカーすら貼っていない綺麗なPCなのに、有難いです(笑)。 では、スピークバディさんが目指す5年後、10年後の未来の姿を教えてください。 -立石- 私たちのビジョンである『アジアのグローバル化を牽引するAI言語習得スタートアップ』という姿を5年スパンで目指しつつ、ミッションである『真の言語習得を実現し、人生の可能性と選択肢を広げる』ということを10年スパンで実現していきたいと考えています。 最近、特に意識しているのは「偉大な会社を作りたい」ということです。抽象的ではありますが、「この会社があってよかった」と皆さんに言っていただけるような存在になりたい。そのために、自分たちのミッションやビジョン、バリューを改めて信じ抜くことが大事だと、一周回って感じています。 また、組織としては昨年1年で規律をかなり強化しました。スタートアップは自由で自律的な組織であることが多く、我々もフルリモート中心のハイブリッドで働いています。私自身、本来はルールをあまり作りたくない人間なのですが、規模が60人を超えてくると、どうしてもミスや事故が起きてしまいます。そこで規律やアカウンタビリティ(説明責任)を強く求めるように舵を切りました。 最近読んだ本に、「自律も高いが規律も高い会社こそが偉大な会社になれる」という話があり、非常に共感したんです。自律だけ、あるいは規律だけでは不十分で、その両方を高い次元で両立させたい。その先にビジョンの達成があると思っています。 -杉原- 自律と規律は相反するようでいて、実は共存するものですよね。Googleなども、自由に見えてガバナンスや目標達成への意識は凄まじく高い。どう働くかは自由だけれど、ミッションに対する責任は徹底している。そこは表裏一体ですね。 -立石- おっしゃる通りです。今回のオフィス移転やカルチャー醸成へのこだわりも、間違いなくその一環ですね。 ◆ アジアから世界へ ─アジアのグローバル化を牽引する -杉原- アジアをはじめ、海外展開も計画や視野に入っているのでしょうか? -立石- そうですね。以前に台湾市場に挑戦して今は一度止めている状態ではありますが、今後も機会を見定めて、まずは東アジア、その次は東南アジアへとサービスを広げていきたいです。ゆくゆくはヨーロッパなど、世界中に広げていきたいと考えています。 -杉原- 東南アジアだけでも6億人以上の人口がいますからね。 -立石-  ええ、市場としても非常に魅力的です。世界中で英語で苦労している人は何十億人もいますから、そこに対して価値を届けていきたいですね。まず日本で成功して、そこから広げていくと。 ◆ 読者の方々へ ─「今までとは違う英語学習を」 -杉原-  最後に、この記事を読んでいる方々へ一言お願いします。このコラムは、経営者や起業家、投資家といったプロの目線を持つ方々がじっくり読んでくださっています。 -立石- 今、AIの進化の凄まじさは誰もが毎日感じていることだと思います。そういう時代だからこそ、従来のやり方を疑い、変えてみる姿勢が問われていると感じます。英語学習についても、ぜひ今までとは違った新しいやり方にトライしてみていただきたいです。 ポジショントークに聞こえるかもしれませんが、AIの力で海外との仕事がやりやすくなっていく中で、ビジネスパーソンにおける英語の重要性は今後ますます高まっていくはずです。今の若者世代は英語ができるのが当たり前という層も増えています。現役世代で活躍されている皆様も、そうした若い世代に負けずに英語をブラッシュアップして、自分なりの英語を身につけるために、ぜひスピークバディを活用いただければ嬉しいです。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社スピークバディ】 会社名:株式会社スピークバディ 代表者:代表取締役 CEO 立石 剛史 所在地:東京都中央区日本橋3-14-3 +SHIFT 日本橋桜通り3階 設 立:2013年5月 コーポレートサイト:https://www.speakbuddy.com/ Part1の記事はこちらからご確認ください。 Part2の記事はこちらからご確認ください。
  • INTERVIEW
2026.04.28
英語嫌いから5,000時間の学習へ。スピークバディ立石社長がAI英会話で実現する「真の言語習得」~Part2~
Part1では、立石社長が5,000時間の学習を経て、英語の課題をテクノロジーで解決しようと決意した原点をご紹介しました。 続くPart2では、累計300社以上に導入され急成長を遂げる『AI英会話 スピークバディ』の核心に迫ります。『Duolingo』や『Speak』といった競合サービスとの決定的な違いはどこにあるのか。 「いつでも、どこでも、誰でも続けられる」だけでなく、日本人が本当に話せるようになるための独自の言語習得理論と、こだわりの設計思想を立石社長に語っていただきました。 (このインタビューは2026年3月に実施しました 。) ◆ 『AI英会話スピークバディ』とは──4つの優位性 -杉原- では、そのような経緯を経てここまで大きく育った『AI英会話スピークバディ』のサービス内容について、読者の方に向けてご説明いただけますか? -立石- 『AI英会話スピークバディ』は、従来の人間が相手の英会話レッスンではなく、AIのキャラクター(我々は「バディ」と呼んでいます)を相手に英会話のレッスンができるサービスです。ただキャラクターと応答するだけではなく、一つのストーリーの中で必要な英会話表現を学んでいくような設計になっています。それらの表現もレベル別に設定されているので、自分のレベルに合うキーフレーズをレッスンごとに学んでいけるのが特徴です。 なぜこれが対面の英会話よりも良いのか、という点には4つのポイントがあります。 1つ目は、いつでもどこでもできるという点。 2つ目は、コストの面でも、人間相手よりだいぶ抑えて学習ができる点。 3つ目は、特に日本人に多いのですが「人と英語を話して間違えるのは恥ずかしい」とか「外国の人と話すのが怖い」といった心理的不安の壁を超えられる点です。AI相手なら、それらを感じることなく堂々と間違えられる。 最後は学習効率です。AIで分析ができるので、人間の先生とレッスンをやるよりも、効率的な学習サイクルが作れる。この4つがAI英会話の優れているところです。 -杉原- いつでもどこでもというのは大きいですよね。 1レッスンはどのくらいで完結するのですか? -立石- そうですね、1レッスン15分ほどで完結します。実際、オンライン英会話のレッスンなのに「わざわざ服を着替えて、髪をセットして、お化粧をして・・・」と準備が必要なのが大変だというお客様の声もありました。そういった手間がなく、気軽にできるというメリットは確かにあると思います。 ◆ Duolingo・Speakと何が違うのか -杉原- 今、『Duolingo』や『Speak』といった類似サービスも増えています。スピークバディが、それら他のサービスと比べて「ここが優れている」「ここが特徴的だ」という点をご紹介いただけますか? -立石- 『Duolingo』については、我々もサービスとして非常にリスペクトしています。ただ、彼らはスピーキングというよりは、どちらかというと単語や文法を学ぶ、総合的な学習サービスだと捉えています。かつ、非常にゲーム性を重視されているので、入門・初心者の方には特に始めやすく、ゲーム感覚で他言語に触れる機会になると感じています。 一方で我々は、よりスピーキングに特化しています。日本の中学・高校で英語はある程度やってきたけれど、話せないという方々には、スピークバディの方が合っていると捉えています。 また、スピーキングという点ではアメリカ発のAI英会話アプリ『Speak』もありますが、彼らよりも我々が優れていると感じる点は、一つは使いやすさです。UI/UXが非常に使いやすく、続けやすい作りになっていること。もう一つは、言語習得理論に則って、ユーザーが本当に話せるようになるための設計をしっかりしていること。この2つを融合させている点が、我々が勝っているところだと考えています。 -杉原- 結構しつこく復習させられますもんね。忘れた頃に(笑)。 -立石- そうですね。復習についても「エビングハウスの忘却曲線」に則って、ちゃんと繰り返し学習して習得できるようにしています。様々な言語習得理論のノウハウを詰め込んでいるのは、我々の強みですね。 あとは名前の通り、バディがついているという点です。『Speak』などは比較的機械的な相手と話すイメージですが、AI英会話スピークバディはストーリー性があったり、具体的なキャラクター設定がそれぞれなされていたりします。現実的なシーン設定の中で、まるで人間のようなIP(キャラクター)と話すという世界観にしているので、そこが根本的な思想として違うかなと思っています。 -杉原- デザインについても、かなりキャラクターが立っていますよね。インド人訛りの上司が出てきたりしてすごく実世界に近い会話ができる感覚があります。全体的に一つの世界観の中にいるかのようなデザイン性を感じるのですが、ここはこだわりポイントなのですか? -立石- そうですね。うちはデザインには非常にこだわっている会社ですし、デザイナーが非常に優秀であるという自負があります。グッドデザイン賞も受賞しています。 実は、うちのデザイナーは現在全員が外国籍なんです。私自身、もともと欧米など海外のUI/UXデザインがすごく好きだったので、そうした外国籍のデザイナーに作ってもらっているのが一つの特徴ですね。 あとはやはり、創業当初から継続が大事だと考えている中で、継続の鍵は楽しさにあるというコンセプトを持っています。社内ではよくバディ感やバディネスと言っているのですが、キャラクターもそうですし、体験全体の中でそれらが感じられるかどうかを重視してこだわっています。 ◆ 300社超が導入──法人市場での急成長 -杉原- 法人顧客の開拓には実際に力を入れていらっしゃるんですか? どのような企業様が、どのような目的で導入されているのでしょうか。 -立石- ここ3年ぐらいは法人のお客様の開拓に非常に力を入れています。企業のグローバル化に伴うコミュニケーションの必要性から、累計の導入数は現在300社を超えています。自己啓発や福利厚生の一環でご導入いただくことが多いですね。 企業の種類としては、グローバル企業はもちろんですが、最近は人的資本経営の流れもあり、業種に関わらず「社員の自己啓発を応援したい」という企業様にご導入いただいています。英語ができるようになりたいという方は、どの会社にも必ずいらっしゃいますから。多い業種としてはIT、製造業、接客業などがありますが、我々は業種・職種別のコンテンツも提供しており、今後も法人向けのコンテンツは強化していく考えです。 -杉原- 導入企業からの反響はいかがですか? -立石- 導入いただいた法人のお客様からは、「社員の英語を話すことへの抵抗感がなくなった」とか、「英語のミーティングに積極的に参加できるようになった」といったお声をいただくのが、本当に嬉しいですね。よく人事や研修の担当者様がおっしゃってくださるのは、「こんなに英語研修で反響があったのは初めてだ」ということです。 -杉原- 社員の方から人事の方に、反響が届くのですね。 -立石- そもそも募集した際の応募人数が、想定の何倍も多いんです。対人の英会話研修に比べると、10倍ぐらいの人数が集まることもあります。やはり「気軽に始められる」という点が大きいのではないでしょうか。 実際、接客で必要というケースでは、ホテル業界などでも導入いただいています。インバウンド需要が増える中で、海外の旅行者の方がふらっとお店に来た時の英語アレルギーの壁を少しでも下げるのに、すごく役に立っているようです。 ◆ 従来の英語研修とは一線を画す、社員に優しい研修 -杉原- 大企業だと、英語研修に「TOEICで何点取らなきゃいけない」といった要件がついているケースも多いですよね。 -立石- そうなんです。これまでの英語研修って、受講すると「TOEICで何点取らなきゃいけない」とか「受講回数が少ないと自腹になる」といったものがありましたよね。その点スピークバディはコストを抑えてより幅広い方に使っていただけるのが一番の強みです。強制的な研修というよりは、福利厚生として「自分で選んで学習する」という形ですね。 -杉原- 継続率が高いからこそできることですね。法人顧客は今も伸びているのですか? -立石- はい、法人は今もすごく伸びています。もし英語研修で困っている会社様がいらっしゃったら、ぜひご紹介いただければ幸いです(笑)。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社スピークバディ】 会社名:株式会社スピークバディ 代表者:代表取締役 CEO 立石 剛史 所在地:東京都中央区日本橋3-14-3 +SHIFT 日本橋桜通り3階 設 立:2013年5月 コーポレートサイト:https://www.speakbuddy.com/   次回・Part3では、 ・資金ショート寸前に全員を集めた「正直な告白」 ・「自律と規律」を両立する偉大な会社づくり ・アジアのグローバル化を牽引するAI言語習得スタートアップへ などについてお伺いしています。Part3もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.04.21
英語嫌いから5,000時間の学習へ。スピークバディ立石社長がAI英会話で実現する「真の言語習得」~Part1~
D-POPS GROUPは、2025年12月に『AI英会話 スピークバディ』を運営する株式会社スピークバディへの出資を実施しました。(詳細はこちらをご覧ください。) なぜ、かつて学年最下位と言われるほど英語が苦手だった人物が、最先端のAI英会話サービスを創り上げたのでしょうか 。本連載(全3回)では、代表取締役・立石剛史社長の起業家としての軌跡と、同社が描く未来を紐解きます 。 Part1では、TOEIC280点から5,000時間の学習を経て、外資系投資銀行での経験や世界一周の旅からAI英会話の着想に至るまでの驚きのストーリーをお届けします 。 (このインタビューは2026年3月に実施しました 。) ◆ 高校で学年最下位だった英語との出会い -杉原- まず初めに、AI英会話スピークバディのアプリを開発したきっかけを教えていただけますか? -立石- なぜ英語というフィールドを選んだかというところですが、私自身、学生時代は英語が非常に苦手だったというところが大きいです。英語はずっと積み上げの学習が必要ですが、中学1年生の時に挫折してから、ずっとそのまま授業についていけませんでした。高校の時には、英語の先生に「学年で一番英語ができない」と言われるほどでした。 -杉原- 学年で一番英語ができなかった方が英会話アプリの会社の社長になられたんですね(笑)。 -立石- おっしゃる通りですね。高校時代はそうだったのですが、大学生の時の就職活動で外資系の投資銀行に内定をいただいて、そこで新卒のキャリアをスタートしたのが学習のきっかけになりました。 -杉原- 外資系企業なのに英語の面接はなかったのですか? -立石- 英語の面接、ありましたね。最終面接は、ボードルームで当時のシティグループ証券の社長と各部署の役員の方がずらりと並んでいるという場でした。当時はそういうプレッシャーに耐えられるかというところを問われていたのもありますし、投資銀行というのは「人」しか資産がないような業態なので、人格を見られるような場でもあったのだと思います。 その10対1の面接では、基本は日本語で進むのですが、最後に人事部長から「じゃあ英語で質問するから英語で答えて」と言われました。そこまではずっと日本人の面接官の方だったので、英語については「この人は慶應大学も出ているし、多分できるだろう」くらいの感じで進んでしまっていたんですね。 ですが、私は英語が全くできない、TOEICでも280点みたいなレベルだったので、人事部長から聞き取れない英語の質問が来たら必ずこう答えようと、自分の中で準備していたんです。 「I can’t speak English. But I will study hard. So, no problem!」 そこは自信を持って言ったんですけど、もうそれしか覚えていなくて。当時はそのフレーズを暗記するだけでも大変だったくらいなのですが、そうしたら、全員が凍りついてしまって。「えっ、何?」みたいな。「その英語力でここを受けたんだね。ここは外資系だよ、どうするの?」という話になりました。 ただ、就職活動は大学3年生の時にやったので、「ここから卒業まで1年間あります」と。私はその時、会計士の試験にその年の最年少で受かったばかりで、20歳だったのですが、1日14時間毎日勉強していたんです。勉強と寝る以外のこと、つまり風呂、食事、移動すべてを2時間で済ますというのをやっていたので、1日参考書1冊を終わらせるペースでいつも勉強していました。だから「ここから1年間あるので、英語なんて余裕です。嘘ではないです。」と、本気で思って言いました。 当時は、TOEICで750点ぐらい取れれば、英語なんてペラペラなんだろうなと思っていましたし、会計士試験のように「落ちたらまた1年間受けられない」という試験に比べたらプレッシャーも全然ない。「明日からやります」と言ったら、「なんかきみ、やりそうだな」と。それでも「さすがに落ちただろうな」とは思いました。外資系なのに英語ができないわけですから。 ただ、その日のうちに人事の方に呼ばれまして。当時のシティの社長が激押ししていたそうなんです。「ああいう人を取れといっていたよ。君、どんな話をしたの?」と言われたのですが、その時に言ったのは「僕は英語はできないかもしれませんが、人間の頭の能力にそんなに差がないということが、会計士試験の受験でよく分かりました。もう気合いの世界です。気合いを出せばやれないことがないということはよく分かったので、絶対やりきります」と言って。そうしたら社長が「ああいう面白いやつを一人取ろう」ということで、採用してもらえたという経緯がありました。 ◆ 5,000時間の学習が教えてくれた日本人の英語問題 -立石- そこから何年もかけてTOEICは満点にして、英検1級も取って、ここまで累計5,000時間ぐらい英語の学習をしてきました。 その5,000時間をかけて痛感したのは、「これは自分が就活の時に思っていたよりも、よっぽど大変だ」ということです。これは日本人の、本当に一番大きい課題かもしれないと僕は感じたんですよね。外資系で英語ができなくて苦労したのもそうですし、その後に日本の証券会社に転籍してからも、香港に駐在して中国語と英語を使って仕事をする機会がありました。語学ができないと全く仕事にならない。 香港では中国語もある程度やって、日常会話ぐらいはできるようになりましたが、やはり言葉が通じないと仕事になりません。日本人は非常に優秀なのですが、英語ができないということで、外資系時代も本社や他の海外支店の人たちから馬鹿にされているのが、すごく我慢ならなくて。グローバルで人々が集まって研修などをやると、日本人は全然英語ができなくて喋れないんだけれども、出すアウトプットは日本人が一番いいんです。 そういう中で、「日本人は優秀なのに英語ができないから馬鹿にされている」という現状を変えたいというのが、僕の根幹の思いとしてあります。僕自身は5,000時間を使いましたが、それは多くの人がやれることではない。その時間をとにかくテクノロジーの力で短縮したい。これが、英語をテーマに選んでAI英会話スピークバディを開発し始めた根本のところですね。 ◆ 『家で英語を話してくれるドラえもん』を作りたい -杉原- 起業したいという気持ちは、学生の頃からあったのですか? -立石- そうですね。就活の時に「この投資銀行で働いたら、将来自分が会社をやる時にも活きますか?」と質問していたのを覚えています。でも、その後ずっと7年間ぐらい激務をこなしていたので、すっかりそういう気持ちも忘れていました。ただ、世の中の役に立つようなサービスを自分も作りたいという気持ちがすごく強くなってきた時に、「元々自分は会社をやりたかったんだよな」というのを思い出しました。それで、海外転勤から帰ってきたタイミングで会社を辞めて起業しました。 辞めてからビジネスプランを考え出した、という形です。一度そういう背水の陣の状況に持っていって、そこから、とりあえずずっとやりたかった世界一周の旅に出て、旅をしながらプランを練りました。練りながら、世界一周をしながら自分でアプリ開発も並行して進めていたんです。その世界一周している時に作った英語学習アプリをリリースしたら、App Storeで総合ランキング1位を取りました。 -杉原- 総合ランキング1位は凄いですね! そのアプリは、今のスピークバディの原型になったようなものなのですか? -立石- そうですね、それがスピークバディの原型になったと思います。世界一周もしましたし、その時、短期留学もしたのですが、やっぱり海外にいながらも、英語での会話の相手が欲しいわけです。でも、いきなり英語で友達を作るのって、すごく大変じゃないですか。みんな簡単に「外国人の恋人を作ったらいい」と言いますが、僕も実際に行って作ろうとしてみたものの、そんなこと簡単にできるもんじゃない、というのを痛感しました(笑)。 それで、海外にいる時に「家に英語を話してくれるドラえもんがいたら、それでいいのにな」と思ったんです。その「英語で話してくれるドラえもん」を作りたい、というのが英会話サービスのスタートですね。 最初に出した英語学習アプリにも音声認識機能を入れていて、それは多分、日本で初めて英語音声認識の機能を入れたアプリだったと自負しています。ただ、当時の2014年頃の音声認識機能はまだ精度が低かったんです。しかし、そこから1、2年経つ中で、音声認識技術が飛躍的に良くなっているのを感じて、「これなら将来的にAIとの英会話が作れる」という確信が持てたので、2016年に今まで作っていたアプリを全部止めて、AI英会話に全集中し始めました。 ◆ 「どこがAIやねん」と言われた2016年の苦労 -杉原- 2016年に今の元となるアプリをリリースした時から、既にAIという言葉をつけていたのですか? -立石- そうですね。2016年にリリースした時も「AI英会話」という名前をつけていました。最初は資金もなかったのでクラウドファンディングから始めたのですが、それがすごくうまくいって400万円ほど集まったんです。その時から「AI英会話」という形で打ち出していました。 -杉原- 特に最近のAIの普及速度や進化の速度はものすごく早いですよね。言語系はこの1、2年で急激に発展していますが、立石さんはかなり先駆けですよね。 -立石- 当時はうちだけでしたね。ただ、リリース直後は結構悩まされました。「これのどこがAIなんだ」と、2016年当時はすごく言われましたね。「喋っても全然認識しないぞ」と。 当時の音声認識は、キャラクターと電子音声で話せるという程度のものでした。会話AIもまだ発展途上だったので、ツリー構造で「こう言ったらこう返す」とプログラムしているレベルで、今のようなフリートークは全然できなかったんです。それで「どこがAIやねん」というレビューがすごく増えてしまったので、実は2017年頃に一度AIの冠を外したんです。AIとつけると期待値が上がって星1レビューがつくので、一回外そうと。 ただ、2019年ぐらいから音声認識技術が劇的に良くなったのと、自社製の音声認識エンジンを作ったことで精度がぐっと上がったんです。そのあたりから、会話AIとしての質もだんだんと良くなってきました。 -杉原- 今は『バディチャット』などを体験すると、普通にくだらないことを言ってもちゃんと内容に合わせて返してくれますね。単なるパターン認識ではないですよね。 -立石- そうですね、脱線してもちゃんと返してくれます。今は「これはAIだ」と胸を張って言えるなと思ってやっています。2015、16年頃はハイプサイクルで言うところの過剰期待の時期で、AI、AIと盛り上がった後に幻滅期が来ましたよね。その時期は「何がAIだ、そんなのできっこない」とずっと言われ続けていたのですが、だんだんと本物になっていきました。 -杉原- 昔から取り組んでいる方からしたら、この数年のブームは「何を今さら」という感じですか? -立石- そうですね。予想通りだなという思いもありますし、一方でやっと気づいてくれたかと時間差を感じる部分もあります。実はGPTに関しても、私たちはGPT-2の時から「これ、すごい使えるね」と話していたんです。だから4.0になっても、私たちからすると「あの時から凄かったよね」という感覚なんです。 『音声認識』と『言語化して理解し返答するAI』、そして『ユーザーの英語レベルに合わせて問題を出す』という各要素がすべて噛み合い出したのが、ちょうどここ数年です。この数年で推論のレベルがガッと上がったので、今のバディチャットのようなレベルの高いフリートークを提供できるようになった。やっと時代がスピークバディに追いついてきたという感じですね。 ~Part2へ続く~ ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社スピークバディ】 会社名:株式会社スピークバディ 代表者:代表取締役 CEO 立石 剛史 所在地:東京都中央区日本橋3-14-3 +SHIFT 日本橋桜通り3階 設 立:2013年5月 コーポレートサイト:https://www.speakbuddy.com/ 次回・Part2では、 ・AI英会話スピークバディのサービス内容と4つの強み ・Duolingo・Speakとの差別化ポイント ・法人市場での急速な成長と導入企業の声 などについてお伺いしています。Part2もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.04.15
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