COLUMN

スタートアップからスケールアップへ! 共に成長し、進化し続けるエコシステムの実現 スタートアップエコシステム協会 代表理事 藤本あゆみさん【Part 3】

  • INTERVIEW
2026.04.07

今回は、一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事の藤本さんにインタビューさせて頂きました。
(このインタビューは2026年1月に実施いたしました。)

Part1Part2はこちらからご確認ください。

◆キャリアの原点:Googleで知ったゼロから作る楽しさ

-杉原-
少し話を戻しますが、私たちはGoogleに同年入社(2007年)でしたよね。 あの頃のGoogleはまだ本当にベンチャーで、何かあれば部署の垣根を越えて集まり、挑戦者の立場で取り組み、決して勝ち組企業といった雰囲気でもありませんでした。 その後、お互い近い時期にGoogleを離れ、藤本さんはお金のデザインを経てPlug and Playへと進まれましたが、常にスタートアップの現場にいらっしゃいます。

あえてお聞きしたいのですが、藤本さんはなぜ、一貫してそのようなキャリアを歩まれているのでしょうか?

-藤本-
やはり、一度あのGoogleでの体験をしてしまうと、出来上がったものに関わるよりゼロから作ることの楽しさが忘れられなくなってしまうんです。

Googleに入った当時、もっと早い段階で辞めていく先輩たちがいて、当時は不思議に思っていました。 でもその時、ある方に「いずれわかるよ。その時々のフェーズに必要な人が来るし、私はこの立ち上げのタイミングが好きなんだ」と言われたんです。今ならその気持ちが本当によくわかります。

-杉原-
藤本さんにとっての好きなタイミングとは、どのあたりなのでしょうか?

-藤本-
先輩たちは全く名前が知られていない時だったかもしれませんが、私の場合は少し芽が出てきたけれど、まだ何者でもないものに名前をつけて成長させていく、そのフェーズが自分自身の得意分野なのだと感じています。

お金のデザインでもまさにそれを再現しようとしていたのですが、次第に「1社だけでは、世の中の変化の速さに追いつけない」というジレンマを感じるようになりました。 そこで、自分自身が事業をやるのではなく、より多くの挑戦者を支援し、たくさんの成功を生み出していくために、エコシステムを構築する側へと舵を切ったんです。

◆ジェンダーギャップの解消:多様性が組織の成長を加速させる

-杉原-
0から1の先にあるスケールアップの役割をさらに深めたいという思いで、今の道を選ばれたのですね。

また、藤本さんはGoogle時代にWomen Willプロジェクトのパートナー担当も務められていました。 当時、私の友人たちも多く関わっていた素晴らしい活動でしたが、改めてどのような取り組みだったのでしょうか?
あわせて、スタートアップ界隈はどうしても男性中心になりがちですが、女性起業家が少ない現状をどう捉え、どのようなアプローチをされているのかも伺いたいです。

-藤本-
Women Willは、まだ世の中で女性活躍推進という言葉が一般的になる前からの取り組みでしたが、テクノロジーの力を使って女性をエンパワーしていくことが大きなポイントでした。
本来、スタートアップはテクノロジーを活用して自ら変化を作っていける場所ですから、性別や年齢に関わらず、活躍できるチャンスは非常に多いはずなんです。

この10年ほどで、起業家側も投資家側も着実に女性は増えていますが、世界的に見ても依然としてバランスが良くないことはグローバル共通の課題として問題視されています。

要因は様々ですが、例えば、資金調達の場で、女性起業家にしか投げられない質問というのがあります。
「結婚の予定は?」「子供はどうするの?」といった質問は、男性にはまず聞かれません。 リスクヘッジのつもりかもしれませんが、そうしたバイアスに捉われず、フラットにビジネスに向き合える環境にしていかなければなりません。

協会でも、金融庁とエコシステムにおけるジェンダーギャップの調査に取り組んだり、単独での調査も進めたりしています。 昨年から一昨年にかけてハラスメントの問題が注目されたこともあり、業界全体の危機意識は非常に高まっています。「正しくないことが行われているのは良くない」という認識が広がっているのは、改善への一歩だと感じます。

-杉原-
会社組織であればルールや目標で管理できますが、エコシステム全体の文化を変えるのは難しさもありますよね。

-藤本-
まさにそこが難しいところです。管理者がいないからこそ、30%という数字だけを追うのではなく、より多くの人が機会を得られるダイバーシティをどう担保するかが重要です。

最近では、イベントの登壇者の男女比や年齢、外国人のバランスを気にする主催者が増えてきました。 これが第一ステップとして非常に良い傾向です。
海外のアクセラレータープログラムなどでは、「採択時の男女バランスがどうなっているか」「候補者は少ないかもしれないが、単に見落としているだけではないか」といった支援側の努力が厳しく問われるようになっています。 日本でもこうしたアプローチが浸透していくことで、これからさらに改善されていくことを期待しています。

-杉原-
意識の有無に関わらず、これまでのスタートアップの場では、意識して探さなければ女性起業家の姿が見えにくいという現状がありましたよね。

-藤本-
はい。ただ、イノベーションの観点で言うと、チームが多様な会社の方が圧倒的に成長するという調査データも明確に出ています。

これまでの日本には初期フェーズでは価値観が同一なメンバーで走った方が早いという定説のようなものがありましたが、最近の別の調査ではそれも覆されています。 ものすごく初期の頃から多様な組織を作っておかないと、結果として会社を大きくしていくことはできない、ということがわかってきたんです。

先ほどお話ししたスケールアップを成功させようと思った時には、どのようなチーム、どのような組織環境になっているかが極めて重要になります。
もはやそれは、単なる女性か男性かという二元論の話ではありません。 国籍も含めた、より広い意味でのダイバーシティ(多様性)が、これからの日本のスタートアップが大きく飛躍するためには不可欠な要素になっていくと考えています。

-杉原-
ダイバーシティに関しては、非常に重要な視点だと思っています。 実際、広報活動が多様性に富んでいる企業は高く評価されるという調査結果も目にしました。

-藤本-
協会で行ったジェンダーギャップの調査でも、面白い結果が出ていました。 女性の方が不利益を被っているという認識がある一方で、実は男性側も生きづらさや言いたいことが言えない状況があるという実態が見えてきたんです。 どちらか一方が悪いということではなく、お互い様という感覚で理解し合うことが、これからの多様性のあり方なのだと感じています。

Google時代を振り返ると、本当に多様な人がいたので、相手のことはわからないという前提でコミュニケーションをしていました。 言わなくてもわかるよねという暗黙の了解が一切通用しないからこそ、理解しようと対話し、結果として物事が正しく進んでいました。

日本の場合、「わかっているはずだ」と進めてしまい、うまくいかないと「なぜわかってくれないんだ」と揉めてしまう。 わからなくて当たり前という前提でのコミュニケーションは、これからもっと必要になってくるはずです。

◆日本の次の強み:技術を「ビジネスにする力」と「伝える力」

-杉原-
確かに、多様な個性が集まるからこそ、世界に届く良いサービスが生まれるのですね。
それでは最後に、未来について伺いたいと思います。起業や新規事業という視点で、今後の日本において、どのような領域が成長の鍵になるとお考えですか?

-藤本-
世界各国を回る中で、日本の次の強みは何かを常に考えてきました。 その答えの一つは、やはり広い意味でのディープテックにあると確信しています。

日本は研究開発や技術力、シーズのレベルは非常に高いものを持っています。 ただ、現時点ではそれをビジネスとして成立させる力がまだ追いついていない。 その素晴らしい技術をいかにビジネスへと繋げていくかが、今後の日本の大きなチャンスになると考えています。

以前、韓国の支援者と話した際にも、「日本人はいいものを作れば認められると思っているよね。言わなきゃ良さは伝わらないのに」と指摘されたことがありました。 日本の奥ゆかしさかもしれませんが、ことスタートアップにおいては、それでは通用しません。

ただ、今の日本に伝える力やビジネスにする力が欠けているということは、逆に言えばそこを強化できれば、もっと大きなチャンスがあるということでもあります。

SaaSなどのサービス系ビジネスについても、同様で、世界の動きが早いです。 今の日本のサービスは、どうしても日本国内だけに閉じてしまいがちですが、先ほどお話ししたスケールという観点でこの壁を突破できれば、十分にチャンスはあるはずです。

-杉原-
その壁を突破するためにも、初期の頃からチームを多国籍な構成にすることで、この国とこの国で同時にスタートするという感覚を当たり前に持つことが重要になりそうですね。

-藤本-
まさにその通りだと思います。 諸外国ではそれが当たり前になっています。 まずは日本でと考えている間に、世界からは周回遅れになってしまうという危機感を持つべきです。

全てのサービスが海外展開すべきとは思いませんが、日本だけで閉じていると見えないことが多すぎます。 チームに多様な国籍のメンバーがいれば、自ずとスピード感や視点が変わり、グローバルな変化にも気づけるようになる。 そうした組織のあり方が、これからの日本のスタートアップの成長を左右するのだと感じています。

-杉原-
非常に参考になるお話です。続いては少し時流に合わせた質問なのですが、最近よくニュースや本でAIによって特定の職業がなくなるといった議論を耳にします。これについてはどう思われますか?

-藤本-
生成AIの影響は確かにわかりやすいものですが、これまでの歴史を振り返っても、なくなる職種もあれば、新しく生まれる職種も常にあったはずですよね。 ですが、今回は「AIに奪われる」「人間じゃない何かに取って代わられる」という感覚が強く、皆さん不安を感じているのだと思います。
ただ、大前提として全ては常に変化しているということが重要だと思います。

同時に、AIの台頭は今まで人間にしかできなかったこととは何なのかを改めて問い直すきっかけをくれているのではないでしょうか? 人間しかできないことに気づき、自分は何で貢献していくのか、どんなスキルを身につけるべきかを見極める良いタイミングだと思います。

ですから、別に怖いことは何もありません。どう使いこなすかにワクワクした方が楽しいですし、まずは使ってみればいいんです。

これはAIに限らず、新しいものに対する拒否反応を和らげていく必要があります。 「とりあえずやってみて、違ったらやめればいい」くらいの感覚でいい。 食わず嫌いで新しい可能性を自分から縮めてしまうのは、一番もったいないことだと思います。

◆支援者に必要な資質:誰よりも自らが成長し続けること

-杉原-
社会環境が激しく変化し、未来が刻々と書き換わっていく中で、個人もスタートアップもその変化に適応し、生き残っていくことが求められています。そうした中で、社会課題を解決し、成長を加速させるエコシステム作りを担う側、つまりアクセラレーターではなく、スケールアップを支援するスケーラーレーター(支援者)に求められる役割とは、どのようなものだと思われますか?

-藤本-
はい。インキュベーターであろうがスケーラレーターであろうが、共通して最も大切なのは自分たち自身が、誰よりも成長し続けることを徹底することだと思っています。
スタートアップの成長を支援している側が、自分自身は全く成長していなかったとしたら、支援を受ける側からすれば嫌ですよね。

残念ながら支援者の中には、新しいツールを一度も触ったことがなかったり、最新の情報を取りに行って勉強することを怠っていたりする層も一定数存在します。

ですが、支援者だからといって偉いわけでも、万能なわけでもありません。職種もスタートアップのあり方もどんどん変わっていく中で、支援者はスタートアップを超えるスピードで成長していることが非常に大事なのではないでしょうか。

同じことを続けていては、スタートアップからダサいと見放されてしまいます。私たちも「3年後には今とは全然違う話をしているはずだ」と言っていますが、それは決してブレているわけではなく、ポジティブな進化です。 変化を恐れず、自分自身を常に更新し続けること。それが、これからの時代のエコシステムを支える支援者に必要な資質だと思っています。

◆スタートアップエコシステムとは:全員が当事者として相互に作用し合う

-杉原-
最後に、藤本さんが考えるスタートアップエコシステムについて伺えますか?

-藤本-
本来、エコシステムという言葉には、有機的・無機的なものが相互に作用し合うという意味があります。 支援というのは、ともすれば支援する側からされる側への一方通行になりがちですが、真のエコシステムには相互作用が不可欠です。

スタートアップが真ん中にいて、周りがそれをお客様扱いして支援するのではなく、全員がエコシステムの当事者・構成者として動くこと。 全員が相互に影響を与え合いながら、エコシステム自体がどんどん成長していく。 つまり、構成員一人ひとりが成長し続けることが、エコシステムを豊かにしていく唯一の道なのだと考えています。

-杉原-
その思想は、まさに弊社の代表やメンバーが掲げているビジョンと完全に一致します。
私たちはベンチャーエコシステムの実現を掲げ、一方的な出資や管理ではなく、同じ目線で共に成長する仲間作りを目指しています。 グループ25社の事業で得た利益を次の世代へ投資し、出資先とも対等に学び合う。この私たちの取り組みについて、共感いただける点や協業の可能性などはありますか?

-藤本-
素晴らしい取り組みだと思います。私が取り組むスタートアップも、御社が掲げるベンチャーも、根底では重なり合って日本全体のエコシステムを形作っています。 大切なのは、誰が偉いかではなく、全員がビジネスを通じて社会に貢献し、共に発展していくという姿勢です。

そして、エコシステムによって支えられた人が、次は支援する側に回るペイ・フォワード(恩送り)の連鎖が生まれることが、あるべき姿だと思っています。

実は今、政府の支援が手厚くなったことで、一部では補助金をもらうためのビジネスをしてしまう、本来のポテンシャルよりも成長を抑えてしまうようなケースも見受けられます。

それは、世界のエコシステムのスピード感を知らないことで、自分の可能性を狭めてしまっている情報の損失です。 だからこそ、エコシステム同士が相互に作用し、豊かな知見が伝播していくことが重要なのです。

御社のような強い思想を持ったプレイヤーと私たちが手を取り合い、互いに成長しながら良い社会を作っていく。その思想の伝播こそが、これからの日本をアップデートしていく一番の原動力になると信じています。

☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太

 

【一般社団法人スタートアップエコシステム協会】
代表理事:藤本 あゆみ
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階
設 立:2022年3月30日
U R L:https://startupecosystem.org/

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2026.04.28
英語嫌いから5,000時間の学習へ。スピークバディ立石社長がAI英会話で実現する「真の言語習得」~Part2~
Part1では、立石社長が5,000時間の学習を経て、英語の課題をテクノロジーで解決しようと決意した原点をご紹介しました。 続くPart2では、累計300社以上に導入され急成長を遂げる『AI英会話 スピークバディ』の核心に迫ります。『Duolingo』や『Speak』といった競合サービスとの決定的な違いはどこにあるのか。 「いつでも、どこでも、誰でも続けられる」だけでなく、日本人が本当に話せるようになるための独自の言語習得理論と、こだわりの設計思想を立石社長に語っていただきました。 (このインタビューは2026年3月に実施しました 。) ◆ 『AI英会話スピークバディ』とは──4つの優位性 -杉原- では、そのような経緯を経てここまで大きく育った『AI英会話スピークバディ』のサービス内容について、読者の方に向けてご説明いただけますか? -立石- 『AI英会話スピークバディ』は、従来の人間が相手の英会話レッスンではなく、AIのキャラクター(我々は「バディ」と呼んでいます)を相手に英会話のレッスンができるサービスです。ただキャラクターと応答するだけではなく、一つのストーリーの中で必要な英会話表現を学んでいくような設計になっています。それらの表現もレベル別に設定されているので、自分のレベルに合うキーフレーズをレッスンごとに学んでいけるのが特徴です。 なぜこれが対面の英会話よりも良いのか、という点には4つのポイントがあります。 1つ目は、いつでもどこでもできるという点。 2つ目は、コストの面でも、人間相手よりだいぶ抑えて学習ができる点。 3つ目は、特に日本人に多いのですが「人と英語を話して間違えるのは恥ずかしい」とか「外国の人と話すのが怖い」といった心理的不安の壁を超えられる点です。AI相手なら、それらを感じることなく堂々と間違えられる。 最後は学習効率です。AIで分析ができるので、人間の先生とレッスンをやるよりも、効率的な学習サイクルが作れる。この4つがAI英会話の優れているところです。 -杉原- いつでもどこでもというのは大きいですよね。 1レッスンはどのくらいで完結するのですか? -立石- そうですね、1レッスン15分ほどで完結します。実際、オンライン英会話のレッスンなのに「わざわざ服を着替えて、髪をセットして、お化粧をして・・・」と準備が必要なのが大変だというお客様の声もありました。そういった手間がなく、気軽にできるというメリットは確かにあると思います。 ◆ Duolingo・Speakと何が違うのか -杉原- 今、『Duolingo』や『Speak』といった類似サービスも増えています。スピークバディが、それら他のサービスと比べて「ここが優れている」「ここが特徴的だ」という点をご紹介いただけますか? -立石- 『Duolingo』については、我々もサービスとして非常にリスペクトしています。ただ、彼らはスピーキングというよりは、どちらかというと単語や文法を学ぶ、総合的な学習サービスだと捉えています。かつ、非常にゲーム性を重視されているので、入門・初心者の方には特に始めやすく、ゲーム感覚で他言語に触れる機会になると感じています。 一方で我々は、よりスピーキングに特化しています。日本の中学・高校で英語はある程度やってきたけれど、話せないという方々には、スピークバディの方が合っていると捉えています。 また、スピーキングという点ではアメリカ発のAI英会話アプリ『Speak』もありますが、彼らよりも我々が優れていると感じる点は、一つは使いやすさです。UI/UXが非常に使いやすく、続けやすい作りになっていること。もう一つは、言語習得理論に則って、ユーザーが本当に話せるようになるための設計をしっかりしていること。この2つを融合させている点が、我々が勝っているところだと考えています。 -杉原- 結構しつこく復習させられますもんね。忘れた頃に(笑)。 -立石- そうですね。復習についても「エビングハウスの忘却曲線」に則って、ちゃんと繰り返し学習して習得できるようにしています。様々な言語習得理論のノウハウを詰め込んでいるのは、我々の強みですね。 あとは名前の通り、バディがついているという点です。『Speak』などは比較的機械的な相手と話すイメージですが、AI英会話スピークバディはストーリー性があったり、具体的なキャラクター設定がそれぞれなされていたりします。現実的なシーン設定の中で、まるで人間のようなIP(キャラクター)と話すという世界観にしているので、そこが根本的な思想として違うかなと思っています。 -杉原- デザインについても、かなりキャラクターが立っていますよね。インド人訛りの上司が出てきたりしてすごく実世界に近い会話ができる感覚があります。全体的に一つの世界観の中にいるかのようなデザイン性を感じるのですが、ここはこだわりポイントなのですか? -立石- そうですね。うちはデザインには非常にこだわっている会社ですし、デザイナーが非常に優秀であるという自負があります。グッドデザイン賞も受賞しています。 実は、うちのデザイナーは現在全員が外国籍なんです。私自身、もともと欧米など海外のUI/UXデザインがすごく好きだったので、そうした外国籍のデザイナーに作ってもらっているのが一つの特徴ですね。 あとはやはり、創業当初から継続が大事だと考えている中で、継続の鍵は楽しさにあるというコンセプトを持っています。社内ではよくバディ感やバディネスと言っているのですが、キャラクターもそうですし、体験全体の中でそれらが感じられるかどうかを重視してこだわっています。 ◆ 300社超が導入──法人市場での急成長 -杉原- 法人顧客の開拓には実際に力を入れていらっしゃるんですか? どのような企業様が、どのような目的で導入されているのでしょうか。 -立石- ここ3年ぐらいは法人のお客様の開拓に非常に力を入れています。企業のグローバル化に伴うコミュニケーションの必要性から、累計の導入数は現在300社を超えています。自己啓発や福利厚生の一環でご導入いただくことが多いですね。 企業の種類としては、グローバル企業はもちろんですが、最近は人的資本経営の流れもあり、業種に関わらず「社員の自己啓発を応援したい」という企業様にご導入いただいています。英語ができるようになりたいという方は、どの会社にも必ずいらっしゃいますから。多い業種としてはIT、製造業、接客業などがありますが、我々は業種・職種別のコンテンツも提供しており、今後も法人向けのコンテンツは強化していく考えです。 -杉原- 導入企業からの反響はいかがですか? -立石- 導入いただいた法人のお客様からは、「社員の英語を話すことへの抵抗感がなくなった」とか、「英語のミーティングに積極的に参加できるようになった」といったお声をいただくのが、本当に嬉しいですね。よく人事や研修の担当者様がおっしゃってくださるのは、「こんなに英語研修で反響があったのは初めてだ」ということです。 -杉原- 社員の方から人事の方に、反響が届くのですね。 -立石- そもそも募集した際の応募人数が、想定の何倍も多いんです。対人の英会話研修に比べると、10倍ぐらいの人数が集まることもあります。やはり「気軽に始められる」という点が大きいのではないでしょうか。 実際、接客で必要というケースでは、ホテル業界などでも導入いただいています。インバウンド需要が増える中で、海外の旅行者の方がふらっとお店に来た時の英語アレルギーの壁を少しでも下げるのに、すごく役に立っているようです。 ◆ 従来の英語研修とは一線を画す、社員に優しい研修 -杉原- 大企業だと、英語研修に「TOEICで何点取らなきゃいけない」といった要件がついているケースも多いですよね。 -立石- そうなんです。これまでの英語研修って、受講すると「TOEICで何点取らなきゃいけない」とか「受講回数が少ないと自腹になる」といったものがありましたよね。その点スピークバディはコストを抑えてより幅広い方に使っていただけるのが一番の強みです。強制的な研修というよりは、福利厚生として「自分で選んで学習する」という形ですね。 -杉原- 継続率が高いからこそできることですね。法人顧客は今も伸びているのですか? -立石- はい、法人は今もすごく伸びています。もし英語研修で困っている会社様がいらっしゃったら、ぜひご紹介いただければ幸いです(笑)。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社スピークバディ】 会社名:株式会社スピークバディ 代表者:代表取締役 CEO 立石 剛史 所在地:東京都中央区日本橋3-14-3 +SHIFT 日本橋桜通り3階 設 立:2013年5月 コーポレートサイト:https://www.speakbuddy.com/   次回・Part3では、 ・資金ショート寸前に全員を集めた「正直な告白」 ・「自律と規律」を両立する偉大な会社づくり ・アジアのグローバル化を牽引するAI言語習得スタートアップへ などについてお伺いしています。Part3もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.04.21
英語嫌いから5,000時間の学習へ。スピークバディ立石社長がAI英会話で実現する「真の言語習得」~Part1~
D-POPS GROUPは、2025年12月に『AI英会話 スピークバディ』を運営する株式会社スピークバディへの出資を実施しました。(詳細はこちらをご覧ください。) なぜ、かつて学年最下位と言われるほど英語が苦手だった人物が、最先端のAI英会話サービスを創り上げたのでしょうか 。本連載(全3回)では、代表取締役・立石剛史社長の起業家としての軌跡と、同社が描く未来を紐解きます 。 Part1では、TOEIC280点から5,000時間の学習を経て、外資系投資銀行での経験や世界一周の旅からAI英会話の着想に至るまでの驚きのストーリーをお届けします 。 (このインタビューは2026年3月に実施しました 。) ◆ 高校で学年最下位だった英語との出会い -杉原- まず初めに、AI英会話スピークバディのアプリを開発したきっかけを教えていただけますか? -立石- なぜ英語というフィールドを選んだかというところですが、私自身、学生時代は英語が非常に苦手だったというところが大きいです。英語はずっと積み上げの学習が必要ですが、中学1年生の時に挫折してから、ずっとそのまま授業についていけませんでした。高校の時には、英語の先生に「学年で一番英語ができない」と言われるほどでした。 -杉原- 学年で一番英語ができなかった方が英会話アプリの会社の社長になられたんですね(笑)。 -立石- おっしゃる通りですね。高校時代はそうだったのですが、大学生の時の就職活動で外資系の投資銀行に内定をいただいて、そこで新卒のキャリアをスタートしたのが学習のきっかけになりました。 -杉原- 外資系企業なのに英語の面接はなかったのですか? -立石- 英語の面接、ありましたね。最終面接は、ボードルームで当時のシティグループ証券の社長と各部署の役員の方がずらりと並んでいるという場でした。当時はそういうプレッシャーに耐えられるかというところを問われていたのもありますし、投資銀行というのは「人」しか資産がないような業態なので、人格を見られるような場でもあったのだと思います。 その10対1の面接では、基本は日本語で進むのですが、最後に人事部長から「じゃあ英語で質問するから英語で答えて」と言われました。そこまではずっと日本人の面接官の方だったので、英語については「この人は慶應大学も出ているし、多分できるだろう」くらいの感じで進んでしまっていたんですね。 ですが、私は英語が全くできない、TOEICでも280点みたいなレベルだったので、人事部長から聞き取れない英語の質問が来たら必ずこう答えようと、自分の中で準備していたんです。 「I can’t speak English. But I will study hard. So, no problem!」 そこは自信を持って言ったんですけど、もうそれしか覚えていなくて。当時はそのフレーズを暗記するだけでも大変だったくらいなのですが、そうしたら、全員が凍りついてしまって。「えっ、何?」みたいな。「その英語力でここを受けたんだね。ここは外資系だよ、どうするの?」という話になりました。 ただ、就職活動は大学3年生の時にやったので、「ここから卒業まで1年間あります」と。私はその時、会計士の試験にその年の最年少で受かったばかりで、20歳だったのですが、1日14時間毎日勉強していたんです。勉強と寝る以外のこと、つまり風呂、食事、移動すべてを2時間で済ますというのをやっていたので、1日参考書1冊を終わらせるペースでいつも勉強していました。だから「ここから1年間あるので、英語なんて余裕です。嘘ではないです。」と、本気で思って言いました。 当時は、TOEICで750点ぐらい取れれば、英語なんてペラペラなんだろうなと思っていましたし、会計士試験のように「落ちたらまた1年間受けられない」という試験に比べたらプレッシャーも全然ない。「明日からやります」と言ったら、「なんかきみ、やりそうだな」と。それでも「さすがに落ちただろうな」とは思いました。外資系なのに英語ができないわけですから。 ただ、その日のうちに人事の方に呼ばれまして。当時のシティの社長が激押ししていたそうなんです。「ああいう人を取れといっていたよ。君、どんな話をしたの?」と言われたのですが、その時に言ったのは「僕は英語はできないかもしれませんが、人間の頭の能力にそんなに差がないということが、会計士試験の受験でよく分かりました。もう気合いの世界です。気合いを出せばやれないことがないということはよく分かったので、絶対やりきります」と言って。そうしたら社長が「ああいう面白いやつを一人取ろう」ということで、採用してもらえたという経緯がありました。 ◆ 5,000時間の学習が教えてくれた日本人の英語問題 -立石- そこから何年もかけてTOEICは満点にして、英検1級も取って、ここまで累計5,000時間ぐらい英語の学習をしてきました。 その5,000時間をかけて痛感したのは、「これは自分が就活の時に思っていたよりも、よっぽど大変だ」ということです。これは日本人の、本当に一番大きい課題かもしれないと僕は感じたんですよね。外資系で英語ができなくて苦労したのもそうですし、その後に日本の証券会社に転籍してからも、香港に駐在して中国語と英語を使って仕事をする機会がありました。語学ができないと全く仕事にならない。 香港では中国語もある程度やって、日常会話ぐらいはできるようになりましたが、やはり言葉が通じないと仕事になりません。日本人は非常に優秀なのですが、英語ができないということで、外資系時代も本社や他の海外支店の人たちから馬鹿にされているのが、すごく我慢ならなくて。グローバルで人々が集まって研修などをやると、日本人は全然英語ができなくて喋れないんだけれども、出すアウトプットは日本人が一番いいんです。 そういう中で、「日本人は優秀なのに英語ができないから馬鹿にされている」という現状を変えたいというのが、僕の根幹の思いとしてあります。僕自身は5,000時間を使いましたが、それは多くの人がやれることではない。その時間をとにかくテクノロジーの力で短縮したい。これが、英語をテーマに選んでAI英会話スピークバディを開発し始めた根本のところですね。 ◆ 『家で英語を話してくれるドラえもん』を作りたい -杉原- 起業したいという気持ちは、学生の頃からあったのですか? -立石- そうですね。就活の時に「この投資銀行で働いたら、将来自分が会社をやる時にも活きますか?」と質問していたのを覚えています。でも、その後ずっと7年間ぐらい激務をこなしていたので、すっかりそういう気持ちも忘れていました。ただ、世の中の役に立つようなサービスを自分も作りたいという気持ちがすごく強くなってきた時に、「元々自分は会社をやりたかったんだよな」というのを思い出しました。それで、海外転勤から帰ってきたタイミングで会社を辞めて起業しました。 辞めてからビジネスプランを考え出した、という形です。一度そういう背水の陣の状況に持っていって、そこから、とりあえずずっとやりたかった世界一周の旅に出て、旅をしながらプランを練りました。練りながら、世界一周をしながら自分でアプリ開発も並行して進めていたんです。その世界一周している時に作った英語学習アプリをリリースしたら、App Storeで総合ランキング1位を取りました。 -杉原- 総合ランキング1位は凄いですね! そのアプリは、今のスピークバディの原型になったようなものなのですか? -立石- そうですね、それがスピークバディの原型になったと思います。世界一周もしましたし、その時、短期留学もしたのですが、やっぱり海外にいながらも、英語での会話の相手が欲しいわけです。でも、いきなり英語で友達を作るのって、すごく大変じゃないですか。みんな簡単に「外国人の恋人を作ったらいい」と言いますが、僕も実際に行って作ろうとしてみたものの、そんなこと簡単にできるもんじゃない、というのを痛感しました(笑)。 それで、海外にいる時に「家に英語を話してくれるドラえもんがいたら、それでいいのにな」と思ったんです。その「英語で話してくれるドラえもん」を作りたい、というのが英会話サービスのスタートですね。 最初に出した英語学習アプリにも音声認識機能を入れていて、それは多分、日本で初めて英語音声認識の機能を入れたアプリだったと自負しています。ただ、当時の2014年頃の音声認識機能はまだ精度が低かったんです。しかし、そこから1、2年経つ中で、音声認識技術が飛躍的に良くなっているのを感じて、「これなら将来的にAIとの英会話が作れる」という確信が持てたので、2016年に今まで作っていたアプリを全部止めて、AI英会話に全集中し始めました。 ◆ 「どこがAIやねん」と言われた2016年の苦労 -杉原- 2016年に今の元となるアプリをリリースした時から、既にAIという言葉をつけていたのですか? -立石- そうですね。2016年にリリースした時も「AI英会話」という名前をつけていました。最初は資金もなかったのでクラウドファンディングから始めたのですが、それがすごくうまくいって400万円ほど集まったんです。その時から「AI英会話」という形で打ち出していました。 -杉原- 特に最近のAIの普及速度や進化の速度はものすごく早いですよね。言語系はこの1、2年で急激に発展していますが、立石さんはかなり先駆けですよね。 -立石- 当時はうちだけでしたね。ただ、リリース直後は結構悩まされました。「これのどこがAIなんだ」と、2016年当時はすごく言われましたね。「喋っても全然認識しないぞ」と。 当時の音声認識は、キャラクターと電子音声で話せるという程度のものでした。会話AIもまだ発展途上だったので、ツリー構造で「こう言ったらこう返す」とプログラムしているレベルで、今のようなフリートークは全然できなかったんです。それで「どこがAIやねん」というレビューがすごく増えてしまったので、実は2017年頃に一度AIの冠を外したんです。AIとつけると期待値が上がって星1レビューがつくので、一回外そうと。 ただ、2019年ぐらいから音声認識技術が劇的に良くなったのと、自社製の音声認識エンジンを作ったことで精度がぐっと上がったんです。そのあたりから、会話AIとしての質もだんだんと良くなってきました。 -杉原- 今は『バディチャット』などを体験すると、普通にくだらないことを言ってもちゃんと内容に合わせて返してくれますね。単なるパターン認識ではないですよね。 -立石- そうですね、脱線してもちゃんと返してくれます。今は「これはAIだ」と胸を張って言えるなと思ってやっています。2015、16年頃はハイプサイクルで言うところの過剰期待の時期で、AI、AIと盛り上がった後に幻滅期が来ましたよね。その時期は「何がAIだ、そんなのできっこない」とずっと言われ続けていたのですが、だんだんと本物になっていきました。 -杉原- 昔から取り組んでいる方からしたら、この数年のブームは「何を今さら」という感じですか? -立石- そうですね。予想通りだなという思いもありますし、一方でやっと気づいてくれたかと時間差を感じる部分もあります。実はGPTに関しても、私たちはGPT-2の時から「これ、すごい使えるね」と話していたんです。だから4.0になっても、私たちからすると「あの時から凄かったよね」という感覚なんです。 『音声認識』と『言語化して理解し返答するAI』、そして『ユーザーの英語レベルに合わせて問題を出す』という各要素がすべて噛み合い出したのが、ちょうどここ数年です。この数年で推論のレベルがガッと上がったので、今のバディチャットのようなレベルの高いフリートークを提供できるようになった。やっと時代がスピークバディに追いついてきたという感じですね。 ~Part2へ続く~ ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太 【株式会社スピークバディ】 会社名:株式会社スピークバディ 代表者:代表取締役 CEO 立石 剛史 所在地:東京都中央区日本橋3-14-3 +SHIFT 日本橋桜通り3階 設 立:2013年5月 コーポレートサイト:https://www.speakbuddy.com/ 次回・Part2では、 ・AI英会話スピークバディのサービス内容と4つの強み ・Duolingo・Speakとの差別化ポイント ・法人市場での急速な成長と導入企業の声 などについてお伺いしています。Part2もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.04.15
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