COLUMN

スタートアップからスケールアップへ! 共に成長し、進化し続けるエコシステムの実現 スタートアップエコシステム協会 代表理事 藤本あゆみさん【Part 3】

  • INTERVIEW
2026.04.07

今回は、一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事の藤本さんにインタビューさせて頂きました。
(このインタビューは2026年1月に実施いたしました。)

Part1Part2はこちらからご確認ください。

◆キャリアの原点:Googleで知ったゼロから作る楽しさ

-杉原-
少し話を戻しますが、私たちはGoogleに同年入社(2007年)でしたよね。 あの頃のGoogleはまだ本当にベンチャーで、何かあれば部署の垣根を越えて集まり、挑戦者の立場で取り組み、決して勝ち組企業といった雰囲気でもありませんでした。 その後、お互い近い時期にGoogleを離れ、藤本さんはお金のデザインを経てPlug and Playへと進まれましたが、常にスタートアップの現場にいらっしゃいます。

あえてお聞きしたいのですが、藤本さんはなぜ、一貫してそのようなキャリアを歩まれているのでしょうか?

-藤本-
やはり、一度あのGoogleでの体験をしてしまうと、出来上がったものに関わるよりゼロから作ることの楽しさが忘れられなくなってしまうんです。

Googleに入った当時、もっと早い段階で辞めていく先輩たちがいて、当時は不思議に思っていました。 でもその時、ある方に「いずれわかるよ。その時々のフェーズに必要な人が来るし、私はこの立ち上げのタイミングが好きなんだ」と言われたんです。今ならその気持ちが本当によくわかります。

-杉原-
藤本さんにとっての好きなタイミングとは、どのあたりなのでしょうか?

-藤本-
先輩たちは全く名前が知られていない時だったかもしれませんが、私の場合は少し芽が出てきたけれど、まだ何者でもないものに名前をつけて成長させていく、そのフェーズが自分自身の得意分野なのだと感じています。

お金のデザインでもまさにそれを再現しようとしていたのですが、次第に「1社だけでは、世の中の変化の速さに追いつけない」というジレンマを感じるようになりました。 そこで、自分自身が事業をやるのではなく、より多くの挑戦者を支援し、たくさんの成功を生み出していくために、エコシステムを構築する側へと舵を切ったんです。

◆ジェンダーギャップの解消:多様性が組織の成長を加速させる

-杉原-
0から1の先にあるスケールアップの役割をさらに深めたいという思いで、今の道を選ばれたのですね。

また、藤本さんはGoogle時代にWomen Willプロジェクトのパートナー担当も務められていました。 当時、私の友人たちも多く関わっていた素晴らしい活動でしたが、改めてどのような取り組みだったのでしょうか?
あわせて、スタートアップ界隈はどうしても男性中心になりがちですが、女性起業家が少ない現状をどう捉え、どのようなアプローチをされているのかも伺いたいです。

-藤本-
Women Willは、まだ世の中で女性活躍推進という言葉が一般的になる前からの取り組みでしたが、テクノロジーの力を使って女性をエンパワーしていくことが大きなポイントでした。
本来、スタートアップはテクノロジーを活用して自ら変化を作っていける場所ですから、性別や年齢に関わらず、活躍できるチャンスは非常に多いはずなんです。

この10年ほどで、起業家側も投資家側も着実に女性は増えていますが、世界的に見ても依然としてバランスが良くないことはグローバル共通の課題として問題視されています。

要因は様々ですが、例えば、資金調達の場で、女性起業家にしか投げられない質問というのがあります。
「結婚の予定は?」「子供はどうするの?」といった質問は、男性にはまず聞かれません。 リスクヘッジのつもりかもしれませんが、そうしたバイアスに捉われず、フラットにビジネスに向き合える環境にしていかなければなりません。

協会でも、金融庁とエコシステムにおけるジェンダーギャップの調査に取り組んだり、単独での調査も進めたりしています。 昨年から一昨年にかけてハラスメントの問題が注目されたこともあり、業界全体の危機意識は非常に高まっています。「正しくないことが行われているのは良くない」という認識が広がっているのは、改善への一歩だと感じます。

-杉原-
会社組織であればルールや目標で管理できますが、エコシステム全体の文化を変えるのは難しさもありますよね。

-藤本-
まさにそこが難しいところです。管理者がいないからこそ、30%という数字だけを追うのではなく、より多くの人が機会を得られるダイバーシティをどう担保するかが重要です。

最近では、イベントの登壇者の男女比や年齢、外国人のバランスを気にする主催者が増えてきました。 これが第一ステップとして非常に良い傾向です。
海外のアクセラレータープログラムなどでは、「採択時の男女バランスがどうなっているか」「候補者は少ないかもしれないが、単に見落としているだけではないか」といった支援側の努力が厳しく問われるようになっています。 日本でもこうしたアプローチが浸透していくことで、これからさらに改善されていくことを期待しています。

-杉原-
意識の有無に関わらず、これまでのスタートアップの場では、意識して探さなければ女性起業家の姿が見えにくいという現状がありましたよね。

-藤本-
はい。ただ、イノベーションの観点で言うと、チームが多様な会社の方が圧倒的に成長するという調査データも明確に出ています。

これまでの日本には初期フェーズでは価値観が同一なメンバーで走った方が早いという定説のようなものがありましたが、最近の別の調査ではそれも覆されています。 ものすごく初期の頃から多様な組織を作っておかないと、結果として会社を大きくしていくことはできない、ということがわかってきたんです。

先ほどお話ししたスケールアップを成功させようと思った時には、どのようなチーム、どのような組織環境になっているかが極めて重要になります。
もはやそれは、単なる女性か男性かという二元論の話ではありません。 国籍も含めた、より広い意味でのダイバーシティ(多様性)が、これからの日本のスタートアップが大きく飛躍するためには不可欠な要素になっていくと考えています。

-杉原-
ダイバーシティに関しては、非常に重要な視点だと思っています。 実際、広報活動が多様性に富んでいる企業は高く評価されるという調査結果も目にしました。

-藤本-
協会で行ったジェンダーギャップの調査でも、面白い結果が出ていました。 女性の方が不利益を被っているという認識がある一方で、実は男性側も生きづらさや言いたいことが言えない状況があるという実態が見えてきたんです。 どちらか一方が悪いということではなく、お互い様という感覚で理解し合うことが、これからの多様性のあり方なのだと感じています。

Google時代を振り返ると、本当に多様な人がいたので、相手のことはわからないという前提でコミュニケーションをしていました。 言わなくてもわかるよねという暗黙の了解が一切通用しないからこそ、理解しようと対話し、結果として物事が正しく進んでいました。

日本の場合、「わかっているはずだ」と進めてしまい、うまくいかないと「なぜわかってくれないんだ」と揉めてしまう。 わからなくて当たり前という前提でのコミュニケーションは、これからもっと必要になってくるはずです。

◆日本の次の強み:技術を「ビジネスにする力」と「伝える力」

-杉原-
確かに、多様な個性が集まるからこそ、世界に届く良いサービスが生まれるのですね。
それでは最後に、未来について伺いたいと思います。起業や新規事業という視点で、今後の日本において、どのような領域が成長の鍵になるとお考えですか?

-藤本-
世界各国を回る中で、日本の次の強みは何かを常に考えてきました。 その答えの一つは、やはり広い意味でのディープテックにあると確信しています。

日本は研究開発や技術力、シーズのレベルは非常に高いものを持っています。 ただ、現時点ではそれをビジネスとして成立させる力がまだ追いついていない。 その素晴らしい技術をいかにビジネスへと繋げていくかが、今後の日本の大きなチャンスになると考えています。

以前、韓国の支援者と話した際にも、「日本人はいいものを作れば認められると思っているよね。言わなきゃ良さは伝わらないのに」と指摘されたことがありました。 日本の奥ゆかしさかもしれませんが、ことスタートアップにおいては、それでは通用しません。

ただ、今の日本に伝える力やビジネスにする力が欠けているということは、逆に言えばそこを強化できれば、もっと大きなチャンスがあるということでもあります。

SaaSなどのサービス系ビジネスについても、同様で、世界の動きが早いです。 今の日本のサービスは、どうしても日本国内だけに閉じてしまいがちですが、先ほどお話ししたスケールという観点でこの壁を突破できれば、十分にチャンスはあるはずです。

-杉原-
その壁を突破するためにも、初期の頃からチームを多国籍な構成にすることで、この国とこの国で同時にスタートするという感覚を当たり前に持つことが重要になりそうですね。

-藤本-
まさにその通りだと思います。 諸外国ではそれが当たり前になっています。 まずは日本でと考えている間に、世界からは周回遅れになってしまうという危機感を持つべきです。

全てのサービスが海外展開すべきとは思いませんが、日本だけで閉じていると見えないことが多すぎます。 チームに多様な国籍のメンバーがいれば、自ずとスピード感や視点が変わり、グローバルな変化にも気づけるようになる。 そうした組織のあり方が、これからの日本のスタートアップの成長を左右するのだと感じています。

-杉原-
非常に参考になるお話です。続いては少し時流に合わせた質問なのですが、最近よくニュースや本でAIによって特定の職業がなくなるといった議論を耳にします。これについてはどう思われますか?

-藤本-
生成AIの影響は確かにわかりやすいものですが、これまでの歴史を振り返っても、なくなる職種もあれば、新しく生まれる職種も常にあったはずですよね。 ですが、今回は「AIに奪われる」「人間じゃない何かに取って代わられる」という感覚が強く、皆さん不安を感じているのだと思います。
ただ、大前提として全ては常に変化しているということが重要だと思います。

同時に、AIの台頭は今まで人間にしかできなかったこととは何なのかを改めて問い直すきっかけをくれているのではないでしょうか? 人間しかできないことに気づき、自分は何で貢献していくのか、どんなスキルを身につけるべきかを見極める良いタイミングだと思います。

ですから、別に怖いことは何もありません。どう使いこなすかにワクワクした方が楽しいですし、まずは使ってみればいいんです。

これはAIに限らず、新しいものに対する拒否反応を和らげていく必要があります。 「とりあえずやってみて、違ったらやめればいい」くらいの感覚でいい。 食わず嫌いで新しい可能性を自分から縮めてしまうのは、一番もったいないことだと思います。

◆支援者に必要な資質:誰よりも自らが成長し続けること

-杉原-
社会環境が激しく変化し、未来が刻々と書き換わっていく中で、個人もスタートアップもその変化に適応し、生き残っていくことが求められています。そうした中で、社会課題を解決し、成長を加速させるエコシステム作りを担う側、つまりアクセラレーターではなく、スケールアップを支援するスケーラーレーター(支援者)に求められる役割とは、どのようなものだと思われますか?

-藤本-
はい。インキュベーターであろうがスケーラレーターであろうが、共通して最も大切なのは自分たち自身が、誰よりも成長し続けることを徹底することだと思っています。
スタートアップの成長を支援している側が、自分自身は全く成長していなかったとしたら、支援を受ける側からすれば嫌ですよね。

残念ながら支援者の中には、新しいツールを一度も触ったことがなかったり、最新の情報を取りに行って勉強することを怠っていたりする層も一定数存在します。

ですが、支援者だからといって偉いわけでも、万能なわけでもありません。職種もスタートアップのあり方もどんどん変わっていく中で、支援者はスタートアップを超えるスピードで成長していることが非常に大事なのではないでしょうか。

同じことを続けていては、スタートアップからダサいと見放されてしまいます。私たちも「3年後には今とは全然違う話をしているはずだ」と言っていますが、それは決してブレているわけではなく、ポジティブな進化です。 変化を恐れず、自分自身を常に更新し続けること。それが、これからの時代のエコシステムを支える支援者に必要な資質だと思っています。

◆スタートアップエコシステムとは:全員が当事者として相互に作用し合う

-杉原-
最後に、藤本さんが考えるスタートアップエコシステムについて伺えますか?

-藤本-
本来、エコシステムという言葉には、有機的・無機的なものが相互に作用し合うという意味があります。 支援というのは、ともすれば支援する側からされる側への一方通行になりがちですが、真のエコシステムには相互作用が不可欠です。

スタートアップが真ん中にいて、周りがそれをお客様扱いして支援するのではなく、全員がエコシステムの当事者・構成者として動くこと。 全員が相互に影響を与え合いながら、エコシステム自体がどんどん成長していく。 つまり、構成員一人ひとりが成長し続けることが、エコシステムを豊かにしていく唯一の道なのだと考えています。

-杉原-
その思想は、まさに弊社の代表やメンバーが掲げているビジョンと完全に一致します。
私たちはベンチャーエコシステムの実現を掲げ、一方的な出資や管理ではなく、同じ目線で共に成長する仲間作りを目指しています。 グループ25社の事業で得た利益を次の世代へ投資し、出資先とも対等に学び合う。この私たちの取り組みについて、共感いただける点や協業の可能性などはありますか?

-藤本-
素晴らしい取り組みだと思います。私が取り組むスタートアップも、御社が掲げるベンチャーも、根底では重なり合って日本全体のエコシステムを形作っています。 大切なのは、誰が偉いかではなく、全員がビジネスを通じて社会に貢献し、共に発展していくという姿勢です。

そして、エコシステムによって支えられた人が、次は支援する側に回るペイ・フォワード(恩送り)の連鎖が生まれることが、あるべき姿だと思っています。

実は今、政府の支援が手厚くなったことで、一部では補助金をもらうためのビジネスをしてしまう、本来のポテンシャルよりも成長を抑えてしまうようなケースも見受けられます。

それは、世界のエコシステムのスピード感を知らないことで、自分の可能性を狭めてしまっている情報の損失です。 だからこそ、エコシステム同士が相互に作用し、豊かな知見が伝播していくことが重要なのです。

御社のような強い思想を持ったプレイヤーと私たちが手を取り合い、互いに成長しながら良い社会を作っていく。その思想の伝播こそが、これからの日本をアップデートしていく一番の原動力になると信じています。

☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太

 

【一般社団法人スタートアップエコシステム協会】
代表理事:藤本 あゆみ
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階
設 立:2022年3月30日
U R L:https://startupecosystem.org/

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2026.07.09
「起業したくなる国へ」一般社団法人スタートアップ協会・砂川大氏インタビュー|連続起業家が語る、スタートアップが自由に挑戦できるエコシステムの作り方~Part2~
全3回にわたるインタビュー Part2(Part1はこちら)では、スタートアップ協会が最も力を入れてきた政策提言の具体的な成果として、「ストックオプション改革」の全貌に迫ります。保管委託要件という知られざる制度の壁が、いかに起業家のリターンを「紙切れ」にしてきたか。そして砂川氏たちがどのようにしてその問題を政府に持ち込み、政策に盛り込むという成果を上げたのか——政策立案の裏側を詳しく語っていただきます。(このインタビューは2026年5月に実施しました。) ◆レピュテーションを積み上げる — 政府に「代表性」を認めてもらうための信用構築 —杉原— 25,000社を代表するとまではいかなくても、代表として政策提言をするためには、それなりの「顔」を見せる必要があると思うんですが、政府に対してどのように説明しているのですか? —砂川— レピュテーション(信用・評判)だと思います。少しずつ積み上げていくしかない。活動していく中で「こいつはまともだな」とみんなが評価していくし、透明性を担保しながら、重要な話をするときは理事会を通してガバナンスをしっかり取っています。会社のようにしっかりした仕組みで運営することで信用を作っていく。 今回、私も少し長期政権になってきたので、今年から共同代表になっていただいた方と一緒に、きちんとバトンパスをしていきたいと思っています。 ◆ストックオプション改革 —「紙切れ」を「リターン」に変えた政策提言 —杉原— 協会の活動として特に「政策提言関連」がユニークだと思います。具体的に日本のスタートアップ政策に影響を与えた、新制度作りに深く関わったという成果の例をご紹介いただけますか? —砂川— ストックオプション関連は非常に頑張って作りました。理由は明確で、スタートアップに優しいエコシステムを作るためには、まず希少性の高いリソースである起業家が、日本で起業したいと思うエコシステムでなければならない。そのためには、起業家たちがチャレンジした分ちゃんとリターンが行くように設計することが非常に大事です。 日本のストックオプションの歴史は「恐る恐る作ってきた」という感じで、アメリカと比べたら全く優遇されていない状況でした。リスクの高い船に乗るということは、それなりのリワードがあって然るべきです。給料も安い、チャレンジしなければならない、ではリターンはどこで得るかといったら、やはりストックオプションですよね。 ところが、設計通りにいかず紙切れになってしまうケースが非常に多かった。例えば、あまり知られていませんでしたが、以前は税制適格ストックオプションに「保管委託要件」という要件があって、それが故に保管委託を受けてくれる金融機関が必要だったんです。でも実態として受けてくれる金融機関がほとんどない。1社だけあったんですが、そこに預けるためには紙で株式発行が必要になり、それが他の全株式の発行も引き起こす。ものすごく大変なオペレーションになるんです。「こんなことやってられない」となりますよね。 こういう実務をやった人間じゃないと問題がわからない。我々が「実は出来ない」ということをちゃんと教えていかなければいけなかったんです。 —杉原— 米国だとIPO前にFacebookなどの株式をファンドに売ってエグジットしている人がいますね。日本ではあまり聞かなくて、みんなIPOを待っているような。 —砂川— それともう一つ、日本では退職するとストックオプションは原則として消えてしまいますが、外資では退職してもそれまで貢献した分は権利として残る(権利確定済みのストックオプションは維持される)んです。スタートアップに賭けて汗を流した時間が報われないというのは、リスクとリターンが全く合っていない。それを一つひとつ直しに行ったのが今回のストックオプション改革です。 —杉原— スタートアップで早い段階から関わっているリーダーたちにとって、ストックオプションによるリターンを得られるよう、4年間で変えてきたということですね。岸田内閣でのスタートアップ支援の動きについてはどうでしたか? —砂川— 岸田内閣の2〜3年目頃に「スタートアップ育成5か年計画」が策定されたんです。スタートアップ協会では、そこに本当に必要な内容を反映すべく働きかけたのです。その結果、140項目あるうちの10項目をドラフトさせていただくことができました。 そういうことを地道にやっていくんです。政策立案担当者もスタートアップのプロではないので、何をやらなければいけないか、何が引っかかっているか、どの条文がいけないか、スタートアップはどう思っているのか、アメリカではどうなっているか。そういったことを全部調べて、我々が持っていって「具体的にこういう風にしてほしい」と説明するわけです。 その後、自民党のスタートアップ議連(議員連盟)に持っていき、骨太の方針の中に反映いただき、骨太の方針が政府の方針として予算配分されるというプロセスをやっています。 —杉原— 今の話を聞いているだけで、協会の仕事はすごいエネルギーがかかりますね。ご自身の会社を経営しながらやっていたんですね。 —砂川— ありがたいことに、スマートラウンドの中に非常に優秀な人間がたくさんいたので、一時期は協会の仕事の方にかなり時間を振り向けたことがあります。かなりの時間を割いてやっていました。 ◆Googleに3日目で「3年で辞める」と宣言した連続起業家の本音 —杉原— 砂川さんは連続起業家ですよね。起業した位置情報サービスの株式会社ロケーションバリューをNTTドコモに売却し、ロックアップ後にGoogleに入社されています。そして早々と退社して2018年5月に起業されています。 —砂川— 実はGoogle入社3日目に中小企業向け営業部門の方々を集めてもらって講演したんですが、その時に「3年で辞める」と宣言しています。では、なぜGoogleに入ったかというと、優秀なエンジニアをスカウトするためだったんです(笑)。Googleの人事担当は苦笑いしていましたが。 最初のスタートアップで最も苦労したのが、優秀なエンジニアを探すことだったんです。ドコモに売却して「次もスタートアップをやろう」と思っていた時に、「Googleに誘われてたな」と思い出して話を聞きに行ったら、PM(プロダクトマネージャー)のポジションだったので、3年だけ行ってみるか、となったんです。 —杉原— そして2018年5月に株式会社スマートラウンドを起業されたと。読者の方のためにサービスについて簡単にご紹介いただけますか? —砂川— smartroundはスタートアップと投資家のための情報共有プラットフォームです。資金調達前と後で目的が異なります。 調達前は、いわゆるCRMです。スタートアップ側からすれば投資家を検索・管理して、交渉状況やデータ共有の状況を把握するツール。投資家側も同じで、スタートアップを発掘し、交渉状況や社内の投資委員会の通過状況を管理するためのツールとなります。 そして資金調達後は「機関決定」のためのツールです。投資契約書・株主間契約書がある場合、取締役会前にリードインベスターから事前承諾を取らなければならないのですが、承諾を取り付け、その後、取締役会にかけて、最後に株主総会にかけて期間決定をするというプロセスを、会社法に基づいてしっかり行うためのツールです。定款、登記簿、株主間契約書などを全てデータとして保持しておき、それを元に法律に準拠して何をしなければならないかを判別していく仕組みです。 最後はデータ共有で、VCは一つのファンドから100〜200社に投資するわけですが、各社の状況や権利関係を把握するのが実は非常に難しい。しかもスタートアップが提出する書類はフォーマットがバラバラだったり間違いがあったりする。それを全部統一して、オンラインプラットフォームでコントロールできるようにしているのがsmartroundです。 ◆smartround以前は全部エクセル — 日本VCエコシステムの遅れ —杉原— smartroundがなかった時代はどうしていたんですか? —砂川— 大手含めてみんなエクセルでした。アメリカでVCをやってきた人間からすると「何十年遅れてるんだ」という感じでしょうか。アメリカはもっとテクニカルにやっていたので。 なぜ日本のVCがそこまでやっていなかったかというと、成り立ちの問題があります。アメリカの場合は機関投資家(エンダウメントやペンションファンド)がVCにLP出資するので、VCも激詰めされてデータをちゃんと見ないといけない緊張感があります。日本の場合は事業会社がLPなので「ざっくりお任せ」的なところがある。そういうツールを作らないと要求に応えられないアメリカと、それほどでもない日本、という差がありました。 —杉原— ニーズはスタートアップにも投資家にもあるわけですね。今はどのくらい普及していますか? —砂川— ベンチャーキャピタルファンドで300近くに使っていただいていますし、スタートアップは7,500社になっています。 —杉原— その数はすごいですね。競合はあるんですか? —砂川— 米国には20社あります。最大手が「Carta(カルタ)」という会社で、それぐらいアメリカは成熟している。日本はスマートラウンドだけです。ただ、部分的にそれぞれに競合はいます。投資家側の投資管理だけをやっている会社、スタートアップ側のツールだけをやっている会社、ストックオプション管理だけをやっている会社など、パーツごとには競合がいますが、当社は全部を包括的にやっている唯一の会社です。 ネットワーク効果が非常に重要で、VCとスタートアップ両方が使っているから便利なんです。電話と一緒で、相手が電話を持っていなければ電話に意味はない。だから両側をやらないといけないと考えています。。 ~Part3へ続く~ ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太   【プロフィール】砂川 大 一般社団法人スタートアップ協会 代表理事 / 株式会社スマートラウンド 代表取締役CEO 三菱商事を経てハーバードMBA取得後、米国VCでディレクターとして勤務。帰国後に株式会社ロケーションバリューを創業しNTTドコモへ売却。Googleでアンドロイドの統括部長などを努めた後、、2018年に株式会社スマートラウンドを創業。2022年に一般社団法人スタートアップ協会を設立し代表理事に就任。スタートアップ育成5か年計画の策定にも関与するなど、日本のスタートアップ・エコシステム形成に取り組む。 一般社団法人スタートアップ協会:https://www.startup-kyokai.org/ 株式会社スマートラウンド:https://jp.smartround.com/corporate 次回・Part3では、 ・幅広い人脈の作り方 —「Facebookで友達だけど話したことない人とランチ」という企画 ・起業に否定的だった時代から東大生が普通に起業する時代へ ・ベンチャーエコシステムの実現について などについてお伺いしています。Part3もぜひご覧ください!
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2026.07.07
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