COLUMN

英語嫌いから5,000時間の学習へ。スピークバディ立石社長がAI英会話で実現する「真の言語習得」~Part3~

  • INTERVIEW
2026.04.28

全3回にわたるインタビューの最終回となるPart3では、創業から13年の歩みの中で直面した最大の危機を振り返ります。
キャッシュ残り3ヶ月という極限状態を、全社員への正直な告白でどう乗り越えたのか。そして、10カ国以上の多国籍チームが体現する自律と規律を両立した組織文化、さらにはアジアのグローバル化を牽引するという壮大な未来ビジョンまでをお聞きしました。
D-POPS GROUPとの出会いが、同社の「ユニコーンへの挑戦」をどう加速させるのか。その全貌を公開します 。
(このインタビューは2026年3月に実施しました 。)

◆ 起業して分かった「1年がものすごく長い」という感覚

-杉原-
設立からちょうど13年が経ちますが、この間にはコロナ禍などもありました。この13年の中で、立石社長ご自身や会社として、どのような成長や壁があったのでしょうか?

-立石-
設立自体は結構前になりますが、最初の3年ほどはAI英会話以外の英語学習アプリを作っていましたし、自分の個人資本で運営していました。AI英会話を本格的に始めて、ベンチャーキャピタルの方々からご出資いただいた2016年頃から、状況がガラッと変わったという感覚があります。

そういう意味では、道のりとしては結構長かったなと思いますし、起業して驚くのは「1年がものすごく長い」ということですね。年を取ると1年が短く感じるというジャネーの法則がありますよね。私も投資銀行で7年目ぐらいになった時は、同僚と「もう1年終わっちゃうね」と話していました。それは、それまで経験してきたことで大体の仕事がこなせるようになってしまい、新しい刺激が減っていたからだと思うんです。

ところが起業すると、次から次へと新しい課題が出てきます。その都度、新しいスキルを身につけたり解決策を考えたりしなければならないので、本当に1年がものすごく長く感じます。それを10年以上続けてきたので、非常に長く、かつ面白いプロセスでした。

コロナ禍についても、始まった当初は、いわゆる巣ごもり需要で、AI英会話もすごく恩恵を受けたんです。ただ、海外に行けない時間が長く続くと、悲しいことに日本人は英語学習をしなくなってしまった。「出張もない、外国人も日本に来ない、旅行にも行けない」という状況で、英語について考える機会が激減してしまった。その時期は英語学習業界全体が低迷し、我々にとっても非常に大変な時期でした。でも、今はしっかり需要が戻っています。

◆ 最大の危機 ─ キャッシュ残り3ヶ月で全社員に「正直な告白」

-杉原-
これまでの歴史の中で、あえて一つ挙げるとすれば、最も苦労した大きな壁は何でしたか?
また、その壁をどう乗り越えたのでしょうか?

-立石- 
やはり、資金調達の前段階で、会社のランウェイ(資金が尽きるまでの期間)が限られているという状況ですね。そうなると私自身もそうですし、社員もみんな焦るわけです。ベンチャーの場合、成長のためにどんどん採用を加速させている中で、「資金を集めなければならない」という課題と「組織をまとめなければならない」という課題が一気に押し寄せた時は、本当に大変でしたね。

AIサービスの開発というのは、最初はなかなか人間を超えられないので、数年間は鳴かず飛ばずの時期が続くんです。でもある時、急に「人間を超え始めたな」というポイントが来て、ググッと伸びる。その転換点だった2019年頃が、一番苦労した時期でした。

ちょうどシリーズAの資金調達をする直前で、会社のキャッシュが残り3ヶ月ほどになっていたんです。私は資金調達に奔走して死に物狂いなのですが、当時のメンバーはどこかのほほんとしているように見えて。その温度差に、当時は耐えられなくなってしまったんです。

それまでは、メンバーに財務的な心配をさせたくないという思いから、具体的な数字や資金繰りの話は共有していませんでした。でも、もう限界だと思い、全員を集めて正直に話しました。「今、会社にキャッシュがいくらあって、毎月これだけ減っている。割り算するとあと3ヶ月だ」と。「うちは25日が支払い日だから、この月までは払える。けれど、3ヶ月後のこの日の給料は払えません」ということも正直に伝えました。

話す前は、リスクも感じていました。蜘蛛の子を散らすように、みんな去っていくかもしれないなと。でも、このままの温度差で続けることはできないと思ったので、すべてを共有してみることにしたんです。

結果として、残念ながら一人は辞めてしまいましたが、残りの10名のメンバーは「なんとか乗り切りましょう」と言って頑張ってくれたんです。あの時は本当に、みんなものすごく踏ん張ってくれました。そこで温度差がなくなり、私自身も「みんなこれで頑張ってくれるんだ」と勇気をもらいました。まずは自分の元上司の方に頭を下げてブリッジ融資をお願いし、ランウェイを3ヶ月ほど延ばしました。そして、その3ヶ月の間に新しく開発した機能が、見事に当たったんです。

そこからKPIがぐわっと伸びて、売上も上がりました。そうなると「これなら出資するよ」と言っていただけるようになり、シリーズAで約3億円を調達することができました。あの時が一番しんどかったですね。それ以来、今は細かい費用についてもできるだけ共有するようにしています。キャッシュが今いくらあるのか、といったことも含めてですね。

-杉原-
そうすることで、社員の皆さんも「同じ船に乗っている」という実感を持てるのではないでしょうか。

-立石- 
そうですね。結局、同じ情報を持っていないと同じ意思決定にはたどり着けません。情報をオープンにすれば、最終的には認識が合うと信じています。

◆ 社員の3分の1が外国籍 ─ 10カ国以上の多国籍チームが生む強みと苦労

-杉原-
ところで、スピークバディさん自体、社内が非常にグローバルですよね。この多国籍チームであることのメリットや楽しさ、そこから生まれる独自の文化などはありますか?また、逆に苦労されていることなどもあれば教えてください。

-立石- 
今、社員の3分の1ほどが外国籍で、出身国でいうと10カ国以上のメンバーが在籍しています。かなりバラバラですね(笑)。ダイバーシティと言うと聞こえはいいのですが、実際にまとめるのはものすごく大変です。考え方も価値観も、みんなバラバラですから。そこは本当に苦労するところではあります。

ただ、メリットとしては、自分たちにはなかったような考え方が自然と入ってくるという点があります。日本人の常識にとらわれない発想や、海外の進んでいる部分を柔軟に取り入れられるのは一つの魅力ですね。あとは、やはり語学の会社ですので、入社する日本人のメンバーも「英語を学んできた」「国際的なチームで働きたい」という志向の人間が多いんです。そういったメンバーにとって、外国籍のメンバーと国際的なチームで働ける環境があることは、一つの喜びになっていると感じます。

また、先ほどのデザイナーもそうですが、エンジニアなどの日本国内では人口が少ない職種についても、外国籍まで視野を広げることで優秀な人材を採用できるというのは、経営上の大きな強みだと思っています。全社会議なども英語と日本語の両方で行う必要があるので、同時通訳を入れたりして運営は結構大変ですが(笑)。

◆ D-POPS GROUPとの出会い

-杉原-
先日、弊社での事業説明会と懇親会にご参加いただきました。あの日のイベントはいかがでしたか?
(事業説明会の様子はこちらから)

-立石-
まずは、あれだけの人数の方々が集まってくださったことに、すごく驚きました。皆さん経営者ですからね。そのレベルの方々があれだけ集まって、我々の話をしっかりと聞いて質問をしてくださったり、協業の提案やアイデアをたくさんくださったりしたのが印象的でした。

説明会の時はまだ少し距離があるように感じた部分もあったのですが、懇親会になってお酒も入り、こちらの身の上話や皆さんの考えを聞き出してから、一気に仲間に入れていただいたような感覚になりました。御社はすごくファミリー感のある会社なのだなと強く感じました。

実は今、研究開発段階にあるリリース前の機能があるんです。説明会でそのアイデアをお話ししたところ、皆さんの反響がものすごく強かった。一緒に参加した執行役員の森本とも「あれは当たるね」と話していました。あれだけ強い反応が返ってくるということは、この方向性は間違いないぞ、とありがたい確信に変わったんです。

-杉原-
スピークバディさんには、すでに数多くの支援者や出資企業がいらっしゃる中で、今回私たちの出資を受け入れていただいた理由と、実際に受け入れて良かったと思われる点があれば教えてください。

-立石-
やはり後藤社長や杉原さんはじめ、関わる方々が我々の話を非常に真剣に聞いてくださる方々だなと感じ、一緒に成長していきたいと思えたのが一番の理由です。それと、ディ・ポップスグループさんは非常にユニークな会社ですよね。私自身も「こういう会社を作りたい」と思わせてくれる要素がすごく多いんです。

資金調達の際、チームのメンバーにも「自分が心から尊敬できる経営者の方に株主になっていただきたいし、そういう会社を目指していきたいから、ディ・ポップスグループさんからの出資は絶対に受けたい」と伝えていました。素直に「ぜひ出していただきたい、学びがある」と思えました。

◆ 「自律も高く、規律も高い」偉大な会社へ

-杉原-
弊社が目指している「ベンチャーエコシステムの実現」というビジョンについて、共感する部分や思うところはありますか?

-立石- 
何よりも「ユニコーンを作る」という志に強く共感しています。実は私、もともとPCにステッカーを貼るタイプではないんですよ(笑)。「せっかくの綺麗なパソコンが汚れてしまう」と思っていたのですが、御社のユニコーンのステッカーはデザインが純粋にかっこいいですし、何より「ユニコーンになってくれ」という期待を込めていただいている。その志を忘れないためのリマインダーとして、今は大切に手元(PC)に貼っています。

-杉原- 
自社のステッカーすら貼っていない綺麗なPCなのに、有難いです(笑)。
では、スピークバディさんが目指す5年後、10年後の未来の姿を教えてください。

-立石-
私たちのビジョンである『アジアのグローバル化を牽引するAI言語習得スタートアップ』という姿を5年スパンで目指しつつ、ミッションである『真の言語習得を実現し、人生の可能性と選択肢を広げる』ということを10年スパンで実現していきたいと考えています。

最近、特に意識しているのは「偉大な会社を作りたい」ということです。抽象的ではありますが、「この会社があってよかった」と皆さんに言っていただけるような存在になりたい。そのために、自分たちのミッションやビジョン、バリューを改めて信じ抜くことが大事だと、一周回って感じています。

また、組織としては昨年1年で規律をかなり強化しました。スタートアップは自由で自律的な組織であることが多く、我々もフルリモート中心のハイブリッドで働いています。私自身、本来はルールをあまり作りたくない人間なのですが、規模が60人を超えてくると、どうしてもミスや事故が起きてしまいます。そこで規律やアカウンタビリティ(説明責任)を強く求めるように舵を切りました。

最近読んだ本に、「自律も高いが規律も高い会社こそが偉大な会社になれる」という話があり、非常に共感したんです。自律だけ、あるいは規律だけでは不十分で、その両方を高い次元で両立させたい。その先にビジョンの達成があると思っています。

-杉原-
自律と規律は相反するようでいて、実は共存するものですよね。Googleなども、自由に見えてガバナンスや目標達成への意識は凄まじく高い。どう働くかは自由だけれど、ミッションに対する責任は徹底している。そこは表裏一体ですね。

-立石-
おっしゃる通りです。今回のオフィス移転やカルチャー醸成へのこだわりも、間違いなくその一環ですね。

◆ アジアから世界へ ─アジアのグローバル化を牽引する

-杉原-
アジアをはじめ、海外展開も計画や視野に入っているのでしょうか?

-立石-
そうですね。以前に台湾市場に挑戦して今は一度止めている状態ではありますが、今後も機会を見定めて、まずは東アジア、その次は東南アジアへとサービスを広げていきたいです。ゆくゆくはヨーロッパなど、世界中に広げていきたいと考えています。

-杉原-
東南アジアだけでも6億人以上の人口がいますからね。

-立石- 
ええ、市場としても非常に魅力的です。世界中で英語で苦労している人は何十億人もいますから、そこに対して価値を届けていきたいですね。まず日本で成功して、そこから広げていくと。

◆ 読者の方々へ ─「今までとは違う英語学習を」

-杉原- 
最後に、この記事を読んでいる方々へ一言お願いします。このコラムは、経営者や起業家、投資家といったプロの目線を持つ方々がじっくり読んでくださっています。

-立石-
今、AIの進化の凄まじさは誰もが毎日感じていることだと思います。そういう時代だからこそ、従来のやり方を疑い、変えてみる姿勢が問われていると感じます。英語学習についても、ぜひ今までとは違った新しいやり方にトライしてみていただきたいです。

ポジショントークに聞こえるかもしれませんが、AIの力で海外との仕事がやりやすくなっていく中で、ビジネスパーソンにおける英語の重要性は今後ますます高まっていくはずです。今の若者世代は英語ができるのが当たり前という層も増えています。現役世代で活躍されている皆様も、そうした若い世代に負けずに英語をブラッシュアップして、自分なりの英語を身につけるために、ぜひスピークバディを活用いただければ嬉しいです。

☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太

【株式会社スピークバディ】
会社名:株式会社スピークバディ
代表者:代表取締役 CEO 立石 剛史
所在地:東京都中央区日本橋3-14-3 +SHIFT 日本橋桜通り3階
設 立:2013年5月
コーポレートサイト:https://www.speakbuddy.com/

Part1の記事はこちらからご確認ください。
Part2の記事はこちらからご確認ください。

関連記事

auプランに組み込まれた子どもの安全を守るアプリ「コドマモ」の挑戦|Adora株式会社・冨田社長インタビュー~Part3~
全3回にわたるインタビューの最終回となるPart3では、Adora株式会社の「人」と「文化」に迫ります。インドで出会ったCTOのSaurabhをはじめとする開発チームはなぜ名もなきスタートアップに参画したのか。エストニア留学で出会った仲間たちとの絆、「Sunny・System・Solid」という3つのバリューなど、インタビューの総まとめをお届けします。(このインタビューは2026年6月に実施しました。) ◆ 錦糸町のオフィスに込めた想い -杉原- ここのインタビュー場所は錦糸町のマンションの一室ですね。とても居心地よさそうで、お花もあって。この春に引っ越しされたとのことですが、なぜここを選んだのですか? -冨田- いくつか理由があります。もちろんメンバーみんなが来やすいというのもあります。ただ私個人の感覚として、キラキラしている場所よりも、錦糸町のほうが合っているなと思いました。錦糸町はスターバックスが5軒もあるほど栄えているのに、同時に人間らしい雰囲気も共存しています。 個人的に、お酒という毒を皆でシェアしながら絆を深めていって、「みんなで頑張ろうぜ」となるのが好きなんです。ほどほどにお酒を一緒に飲むことを大事にしたいと思っているので、居酒屋も近くにあって、みんなが来やすい錦糸町がいいなと思いました。 ◆ 平均年齢26〜27歳 — 未来を作るチームの構成 -杉原- この半年ほどで徐々にメンバーが増えましたね。現在のメンバー構成について、差し支えない範囲でご紹介いただけますか? -冨田- 正社員ベースでまだ10名以下という小さな会社ですが、人事担当が入ってくれたり、エンジニア中心の会社にビジネス開発・UX・公共政策担当のメンバーも加わったりと、徐々に会社らしくなってきました。バックオフィスのメンバーも入り、各ファンクションが揃いつつある感じです。若手が多い会社で、平均年齢は26〜27歳くらいでしょうか。インターン生の大学生も多いので、そちらも含めるともっと若くなりますね。 -杉原- 本当に未来を作るチームですね。以前一緒に飲んだ創業者CTOのSaurabhをはじめ、開発チームはインド人チームですよね。彼らの技術力はやはり凄いですか?また、なぜ日本のスタートアップに参画してくれたのでしょうか? -冨田- もちろん国籍による差よりも個人差の方が大きいとは思いますが、弊社のインド出身メンバーはみんな技術力も高いし、コミットメントと熱量が高いです。いいものを作りたいという当事者意識が強いと思います。 -杉原- 真面目で熱量が高くて、技術力だけでなく人としてもとても素敵な方たちですよね。 -冨田- そうですね。Saurabhの人柄が良いことが全ての源だと思います。人柄が良いから、良い人が集まってきているんだと思います。 -杉原- 当時まだ無名で、auとの提携も起きていなかったAdoraというスタートアップに、Saurabhをはじめとするインドチームはなぜ参画してくれたのでしょうか? -冨田- 私とSaurabhはインドのカフェで出会いました。私がその店でお客様にコーヒーやお茶を出すというアルバイトをしていた学生時代のことで、彼は常連のお客さんでした。本当に友達のような感じで始まった関係です。その縁でSaurabhが後輩や仲間を集めてきてくれたというのが経緯です。 -杉原- 冨田さんとSaurabhのカフェでの出会いが全ての始まりなんですね。Saurabhが会社に加わってくれたのはすんなりいきましたか? -冨田- 最初は別の会社で働きながらという状態でしたが、本当に序盤の序盤にフルタイムでコミットしてくれました。私を信頼してベットしてくれているわけですから、その信頼に応えられるように頑張らなければという気持ちは常にあります。人を信じるということをとても大事にしている人です。 ◆ エストニアの寮で一緒にうどんを作った仲間たち -杉原- 各役割のメンバーの中には、エストニア留学で出会った仲間たちもいますよね。どんな方たちですか? -冨田- UI・UXの責任者や人事の責任者とはエストニアで出会いました!私のいた寮で「日本が恋しいね」と言いながら一緒にうどんを作ったりしたこともあります(笑)。 彼らに限らず、一緒に働いてくれている人たちに対して「一緒に働いていて楽しい」「この人のために頑張りたい」と思える瞬間がたくさんあって、そういう感覚を個人的には大切にしています。私自身にもできないことがいろいろあるので、チームで補い合えている点に感謝しています。チームであるからこそできることを積み重ねていきたいですね。 ◆ 「Sunny・System・Solid」— 3つのバリューを策定 -杉原- そんな仲間たちと一緒に、先日ミッション・バリューを策定されたと伺いました。ぜひ今日ご紹介ください。 -冨田- 最近、スローガンとして3つのバリューを試験的に作り始めました。今年から運用しています。 3つとも「S」で始まる、覚えやすいものにしました。「Sunny」「System」「Solid」の3つです。 「Sunny」は、一緒に働いていて楽しいと思ってもらえる、応援したいと思ってもらえるような振る舞いをしようということです。 「System」はトヨタを意識したもので、「人を憎まず、仕組みを改善しよう」という考え方です。何か問題が起きた時に「誰が悪い」という話になると、指摘された人は否定された気分になってしまいます。でも目的語を人ではなく仕組みにすると、「じゃあどう改善しようか」という前向きな議論ができます。我々は社会に対して責任のある事業をやっているからこそ、心理的安全性を保ちながら間違いを間違いと言える環境が必要だと思っています。 「Solid」は、ちゃんとしよう、着実にやり切ろうということです。ベンチャーだから許されるということはなく、大企業の皆さんや自治体の皆さんと組んでいる以上、言ったことをきちんとやり切るという信頼が最も大切だと思っています。 -杉原- とても良いと思います。セキュリティサービスで、提携先が大企業という業態で「Solid」を掲げるのは非常に共感できますね。 ◆ 企業ホームページはあえて後回しにしてきた -杉原- ところで、Adoraさんはコドマモのサービスサイトはありますが、企業としての一般的なホームページがないですよね。理念やカルチャーを紹介する場があったほうがいいと思うのですが、あえて作っていないのには何か意図があるのですか? -冨田- そこを作る時間があったら、もっとユーザーが喜ぶことをやろうという考えで初期からやってきました。ホームページ作成の時間があるならバグを直そうというマインドですね。 ただこれからは、仲間を集めて大きく展開するためにも、企業サイトを作って人が集まりやすい場にする必要があると思っています。今まで怪しい会社に見えていたかもしれませんが(笑)、これから作っていくつもりです。(※現在会社ホームページは公開済み https://corporate.kodomamo.com/ja) -杉原- サービス開発を優先していたということですね。ホームページだけ立派で実態がないというスタートアップも世の中にはありますから(笑)、実態のものを作ることに集中していたのはむしろ正しいと思います。 ◆ 2026年〜2027年の目標 -杉原- 今年から来年にかけての目標や大きなイベントは何でしょうか? -冨田- 国内ではキャリアのショップでの販売をさらに強化していきたいと思っています。現在ユーザー数が30万人ほどになってきたところで、これを50万人、さらにその先へと伸ばしていきたいです。 海外では台湾でプロダクトマーケットフィットを確認しながら成功パターンを作り、インドネシア・イギリスなど様々な国での展開につなげていきたいと思っています。国内外での成果によって、社内外の期待を高めていける数値を作っていきたいですね。 また、より多くのステークホルダーの皆さんを巻き込んでいきたいと思っています。省庁との連携なども含めて、大きな社会実装・社会インパクトを生み出せるような1年にしたい。その広がりを見せていける1年にしたいというのが目標です。 一方で、カルチャーの構築と、大事にしたい価値観をより「Solid」にやっていくことも大事にしたいですね。人も丁寧に増やしながら、良い組織にしていきたいと思っています。 ◆ D-POPS GROUPの「ベンチャーエコシステム」への共感 -杉原- D-POPS GROUPが目指している「ベンチャーエコシステムの実現」に対して、共感する部分はどんなところですか? -冨田- 全般的にとても共感しています。1人でも1社でも、大きな社会的インパクトを生み出したり、社会課題を解決することはできないと思っています。1人で会社を作れないのと同様に、会社という単位だけでなく、さまざまなステークホルダーと一緒に解決しなければならないと思っています。 スタートアップだけでなく、その夢に賭ける投資家がいて、一緒にスタートアップの夢を社会に広げるために事業をやろうという大企業がいて、国としても良いことをやっているから応援しようという政府があって、大学が一緒に研究してくれて・・・そういうステークホルダーを全員で巻き込んで初めて、大きな社会課題を解決できると思っています。 弊社も創業当初から愛知県警にご協力いただいて共同開発を始めたり、大学とも連携してきたりと、1社だけでなく周りと一緒に補い合いながら頑張ることを意識してきた会社です。これからも、子ども・親子向けの安全な通信環境、そして人々を犯罪から守るために必要なエコシステムを弊社の側からも作っていければと思っています。それが全体的なベンチャーエコシステムの中で良い一例になれるんじゃないかと思っています。 -杉原- D-POPS GROUPはベンチャーエコシステムを作っていきたいと言っていますが、1社でプラットフォームを作ってその中でみんながエコシステムを作って循環していくというような形が理想ですよね。 -冨田- そうですね。最終的には自分たちにも良い形で返ってくるという考え方だと思います。私もそこはとても共感しています。 ◆ 読者へのメッセージ -杉原- 最後に、読者の方に一言お願いします。 -冨田- 大きな社会インパクトを生み出したいという気持ちを我々は強く持っています。そこに共感してくださる方には、メンバーとしてでも株主としてでも、どういった形であれ、一緒にこの夢を叶えるために動いていただけたら嬉しいです。 ディ・ポップスグループさんはとても良い株主なので、ぜひおすすめですよ(笑)。そして錦糸町は最高の町なので、ぜひ遊びに来てください! ☆インタビューアー 株式会社ディ・ポップスグループ アドバイザー 杉原 眼太 【Adora株式会社】 会社名:Adora株式会社 代表者:代表取締役 冨田 直人 設 立:2023年7月 サービスサイト:https://www.kodomamo.com Part1の記事はこちらからご確認ください。 Part2の記事はこちらからご確認ください。  
  • INTERVIEW
2026.07.27
auプランに組み込まれた子どもの安全を守るアプリ「コドマモ」の挑戦|Adora株式会社・冨田社長インタビュー~Part2~
全3回にわたるインタビューの第2回となるPart2では、「コドマモ」がauだけにとどまらず、ドコモ・ソフトバンクを含む3大キャリア全てとの協業へと広がった経緯、さらには韓国・台湾への海外展開の現状、「コドマモ for School」という学校向けサービスの取り組み、そして大人の詐欺対策という新たなフロンティアへの挑戦を紹介します。(このインタビューは2026年6月に実施しました。) ◆ 「コドマモ」加入後の状況と反響 ―杉原― サービスプラン組み込み後の「コドマモ」の評判はいかがですか?加入状況や現場の声などを、差し支えない範囲でご紹介いただけますか? ―冨田― 店頭でご案内いただいた結果、コドマモを利用し始める率がコツコツと上がってきています。使ってくださったユーザーが使い続けてくださっているということも数字に表れてきています。良いものとして受け止めていただけているという実感がありますね。 まだ改善できる余地はたくさんあります。営業現場の方が売りやすくなるための新機能開発や改善も続けていますし、現場へのインタビューも今後どんどんやっていく予定です。より本格的なユーザーの声、営業現場の声はこれから届いてくる感じですが、数字面ではすでにかなり良い傾向が出ています。 U12バリュープランに加入した人の中でコドマモにきちんとログインID登録している人の割合が、サービスリリース直後よりもだんだん上がってきています。 ―杉原― それはおそらく、営業現場でだんだん説明に慣れてきたこと、個人として使っている営業担当者が現れてきたことで、勧めやすくなってきたという面もあるのでは? ―冨田― そのような側面はあると思います。また、微力ながら弊社側でも改善を行なってまいりました。最初は店頭でご案内いただいて加入しようとしたときに、間違って有料プランに加入してしまうというケースが初期にありました。プランに組み込まれているので本来は無料で使えるはずなのに、通常のアプリストアの有料プランに入ってしまうという混乱です。 そのユーザーの声を受けて、オンボーディングの中でどちらから来たのかを確認し、auから来たユーザー向けの独自の導線を用意して、わかりやすく整理しました。その改善の結果、そういった声はだいぶ減ってきました。走りながら改善を繰り返してきたということですね。 ―杉原― アプリの完成度だけでなく、オペレーションの改善が利用者数を増やすために重要ですよね。 ◆ 3大キャリア全てとの協業へ拡大 ―杉原― KDDI様のauショップ各店で紹介されていることはもちろん素晴らしいのですが、NTTドコモ様、ソフトバンク様の系列ショップでも取り次ぎが広がっているそうですね。他の2社との協業状況はいかがでしょうか? ―冨田― 我々は大きな社会課題を解決するという意識でやっているので、複数の通信キャリア様とご一緒できることは、最初から目指していたことでもあります。最初にドコモショップでのお取り扱いが始まり、次にauで料金プランに組み込んでいただき、その後ソフトバンク様のショップでも全店取り扱いいただいています。 もちろん始まるまでにはいろいろな運用の調整があり、現場の方々が大変頑張ってくださいました。今では利用者数もしっかり増えてきていて、本当にありがたいですね。 ―杉原― ソフトバンクさんの販売店の取り次ぎ数、急激に伸びていますよね。 ―冨田― ものすごく伸びています。ソフトバンクC&Sの皆様のご尽力と、代理店の皆さんの頑張りで、今年の頭からぐっと勢いが出てきました。 ―杉原― au様との取り組みで経験したオペレーション上の課題以外に、NTTドコモ様、ソフトバンク様特有の課題にぶつかったりはしましたか? ―冨田― それぞれのキャリアがすでに展開されているサービスと競合しないようにするという点は特に意識しました。例えばソフトバンクさんには独自のセキュリティサービスがあるので、そういったものと競合しないか、互いに悪影響を与えないかということをテストしながら進めました。ただ一方的に「売ってください」というのではなく、お互いのために細かな調整をしながら進めているという感じです。 現場でバグやトラブルが出てしまうと、忙しい店頭の皆さんが案内したくなくなってしまいますから、そういったことが起きないよう、何かあればすぐに対応できる体制は常に整えています。 ◆ 韓国・台湾への海外展開の現状 ―杉原― 昨年にはコドマモの海外展開も開始されています。どの国に進出済みで、どのような状況か、簡単にご紹介いただけますか? ―冨田― 韓国と台湾に展開しています。実際にやってみて難しいことも色々ありましたが、モバイルアプリの良いところは、翻訳して広告を打って小さく検証するということが50〜100万円程度の予算でできるという点です。 韓国については、出してみた上でしっかりニーズがあることが確認されてきました。危険なチャットの検知機能が思った以上に刺さっています。最初は位置情報機能のほうがメインかと思っていたのですが、蓋を開けてみると最初から危険チャットの検知が購入の最大の理由になっていました。ユーザーインタビューをしていると、韓国の親御さんが「子どもがドラッグに関わっていないか心配」とおっしゃるケースもあり、日本では聞かないような声もあって、ローカルな課題感の違いを感じます。 ただ韓国ではLINEよりカカオトークが主流なのですが、カカオトークへの本格対応がまだできていない部分があります。これをやれば伸びるという感触はあるので、もう少しバージョンアップしてから本格的に広告費などを投じていきたいと考えています。 台湾はLINEが広く使われているので、今出してみて非常に低いコストでユーザーを獲得できています。市場ニーズも高く、日本以上にしっかり使ってくれる方もいらっしゃいます。これからさらに力を入れていきたいと思っています。台湾の次はタイなど、アジア各国へも広げていきたいですし、WhatsAppに対応できればインドネシアやイギリスをはじめとする様々な国への展開も見えてきます。 ―杉原― 本当に積極的ですね。創業した時から世界を見ていらっしゃいますよね。 ―冨田― この事業はグローバルに共通するニーズを解決できるものだと思っています。最初からそこを見据えています。日本からグローバルに頑張る事業が出てくると、やはり応援したくなりますよね。そうなれればいいなと思ってやっています。 ◆ 「コドマモ for School」— 自治体・学校向けの取り組み ―杉原― 足は長いですが、とても興味深い活動として、全国の自治体と連携した学校向けプラン「コドマモ for School」について簡単にご紹介いただけますか? ―冨田― 「コドマモ for School」は、学校で使用されている学習用タブレット端末に入れるサービスです。通常の「コドマモ」が親子のスマホに入れるサービスであるのに対し、「for School」はお子さんたちのタブレット端末の安全な利活用を促進するものです。 機能としては、性的な自撮り写真のやり取りや、いわゆる「裸の画像のやりとり(グルーミング)」を検知してアラートを出す機能や、ウェブサイトの見守り機能などがあります。基本的な機能は通常版と大きくは変わりませんが、ステークホルダーが自治体・教育委員会になるという点が異なります。 ―杉原― これまで通信キャリア3社と折衝してこられたわけですから、会社としての信頼度も大きく上がってきていますね。 ―冨田― 本当にありがたいことだと思っています。 ◆ 次の挑戦 — 大人向け詐欺対策サービスの開発 ―杉原― 続いて、コドマモに続く現在開発中の新サービスや新機能についてご紹介いただけますか? ―冨田― 今作っているのは、より広く一般向けに、SNSを通じた詐欺対策のサービスです。日本のみならず世界中で、特に投資詐欺やロマンス詐欺など、SNSやチャットを通じた詐欺が深刻な社会問題になっています。毎日何億円もの被害が発生している状況です。 電話詐欺は有名ですが、チャット経由の詐欺も非常に大きな問題です。弊社であればSNSにおける詐欺を検知できるという強みがあります。コドマモが子どもを対象にしているのに対し、大人の詐欺被害を検知して守るというサービスを絶賛開発中です。1日でも早くリリースできるように取り組んでいます。 一方で、詐欺被害に遭う方は自分からアプリをインストールしようとはなかなかならないので、子ども以上にステークホルダーの皆さんと一緒に動くことが重要だと考えています。様々な方にご意見をうかがいながら進めているところです。 ―杉原― こういうサービスを考えると、ますます大手企業との連携・提携ができる会社作りが重要になってきますね。 ―冨田― そうですね。弊社は技術力のある小さな開発チームではありますが、大企業さんや自治体さんと一緒に我々ならではの特徴を出しながら社会実装していくことが、大きな社会問題を解決するために不可欠だと思っています。 ☆インタビューアー 株式会社ディ・ポップスグループ アドバイザー 杉原 眼太 【Adora株式会社】 会社名:Adora株式会社 代表者:代表取締役 冨田 直人 設 立:2023年7月 サービスサイト:https://corporate.kodomamo.com/ja Part 3では、 ・平均年齢26〜27歳 — 未来を作るチームの構成 ・「Sunny・System・Solid」 — 3つのバリューを策定 ・ベンチャーエコシステムの実現について などについてお伺いしています。 Part3もぜひご覧ください! Part1の記事はこちらからご確認ください。  
  • INTERVIEW
2026.07.23
auプランに組み込まれた子どもの安全を守るアプリ「コドマモ」の挑戦|Adora株式会社・冨田社長インタビュー~Part1~
全3回にわたるインタビューの第1回となるPart1では、子ども向けSNS見守りアプリ「コドマモ」を開発・運営するAdora株式会社・冨田社長が語る、創業から現在に至るまでの急成長の軌跡に迫ります。株式会社ディ・ポップスグループが2024年7月に出資して以来の約2年間で何が変わったのか。auの新料金プラン「U12バリュープラン」への組み込みという異例の快挙はどのような経緯で実現したのか。泥臭く走り続けてきたスタートアップのリアルな歩みをお伝えします。(このインタビューは2026年6月に実施しました。) ◆ 出資から2年、創業から3年を振り返って ―杉原― 本日は、2024年7月に出資をさせていただき、ベンチャーエコシステムの仲間になっていただいた、Adora株式会社の冨田社長にインタビューさせていただきます。冨田社長には2024年9月にもインタビュー記事の作成にご協力いただいておりますが、その後も急成長を続ける「コドマモ」などについてさらに深掘りをさせていただきます。(前回の記事はこちらをご参照ください。) 冨田社長とは、2024年の5月に出会いましたよね。あれから2年が経ちました。また、2023年7月の創業からは約3年ですね。弊社の出資と協業開始からの約2年、そして創業以来の3年を振り返って、いかがですか?感想をお聞かせください。 ―冨田― そうですね。ご出資いただいたことで、社内のメンバーだけではなく社外の方も含めて「みんなの事業、みんなの会社」だという意識が改めて強くなりました。責任感をより強く持って頑張らなければという気持ちが湧いてきましたし、苦しいときもありながら、一生懸命泥臭くやってきたなと思います。気づけばあっという間でしたね。 ―杉原― 3年って長いですか?短いですか? ―冨田― 短いですね。やばいな、もっと頑張らなきゃなって感じです。 もちろん、できる限りすべてにおいてベストを尽くし続けてきたという自負はあります。ただ、後から振り返ればもっとこうすればよかったということはたくさんあります。でも、その時々のベストを尽くしてきたのは事実なので、仕事していたらあっという間だったというのが率直な感想ですね。 ―杉原― 2年間の事業の進み具合を振り返ると、ちょうど弊社が出資させていただいた頃は、本田圭佑さんのファンドからの資本調達活動を始めたばかりのフェーズでしたよね。そこから加速した感じはありますか? ―冨田― ありますね。あの頃はドコモショップさんとの取り組みも始まった時期で、売り上げもほとんどない状態でした。夢は語っているけれど、まだトラクションが全然ついてきていないという段階で、これはいけるのかなという感じでした。そんな段階で信じてコミットしていただいたことはとても嬉しかったです。 そこからドコモショップとの提携や有料サブスクの販売も始まり、徐々にトラクションが出てきました。出資いただいた時点では売り上げがほぼゼロだったところから、最初の1年はサービスを磨き続けること、ショップとの提携関係を構築することに注力していました。その1年間の下積みがあって、2025年の夏から秋ごろにぐっと売り上げが伸び、一気に10倍どころではない成長を遂げました。 3年間を振り返ると、準備期・資本調達期・加速期という流れがあって、2025年から2026年にかけてグッと実績が出てきたんじゃないかなと思います。 ◆ auの新料金プラン「U12バリュープラン」への組み込みという快挙 ―杉原― この間の最大のイベントといえば、主力サービス「コドマモ」がKDDI様のauスマートフォン向け2025年夏の新料金プラン「U12バリュープラン」に組み込まれたことではないでしょうか。 ―冨田― そうですね。もともとディ・ポップスさんの店舗での取り扱いは走っていたんですが、通信キャリアの料金プランに正式に組み込ませていただくのはこれが初めてのことで、本当に大きなイベントでした。 ―杉原― 創業からまだ2年半ほどの会社のサービスをauが料金プランに組み込むのは、かなり異例のことだと思います。世間にまだ普及していないブランドを大企業が採用するのはリスクもあると思いますが、どのような経緯でこの大きな提携が実現したのでしょうか? ―冨田― KDDIさんのほうで「子どもたちの安全を守るサービス」を探されていた中で、弊社のサービスを発見していただいたのがきっかけです。KDDIさんの社内でも、従来のフィルタリングにとどまらず、「スマホを禁止するのではなく、使わせながら守る」という本質的なアプローチが必要だというディスカッションがあったそうで、その中で弊社のサービスに目を留めていただいたとのことです。(KDDI記事:https://mugenlabo-magazine.kddi.com/list/adora/) ―杉原― KDDIさんが他のサービスも調査した上でAdora社を選んだ要因は何だと思いますか? ―冨田― 利用時間の管理サービスは他にもあるかもしれませんが、LINEをはじめとするSNSのチャットの見守りにしっかり力を入れているのは、今も市場で弊社だけだと思っています。日本で最も普及しているSNSのセキュリティ対策ができるというのは大きなポイントだったと思います。 また、愛知県警と連携していたり、国内のパートナーとの実績も積み上げてきていたことも評価されたのではないかと思います。もちろんKDDIさんとしても、ブランドイメージに関わる話ですから慎重に、本当に任せられるかをじっくり検討していただいた上での提携でした。 ―杉原― 単にサービスを紹介するだけでなく、開発も伴いますよね。 ―冨田― そうです。auのIDでログインできる連携機能なども実装しました。KDDIのユーザーさんがスムーズに加入できる仕組みを開発したというところです。 ◆ 他社には真似できない技術的優位性 ―杉原― コドマモにはAI技術やセキュリティ技術が深く組み込まれていますが、この技術力の高さが評価されたのでしょうか?特に優れていると考える技術的な優位性や、開発において特に工夫・苦労されたポイントを教えてください。 ―冨田― チャットを見守るというのはシンプルに聞こえますが、実際にそれを実現するためには、裏側でさまざまな技術が必要です。従来は分析が難しかったSNSのチャット内容を解析できるようにしたこと自体に大きなイノベーションがあります。 自然言語で危険かどうかを判定するモデルや、画像が不適切かどうかを判定するモデル、それを端末上で軽量に動かす仕組みなども開発しています。チャット自体を分析可能にするという、これまで誰もやってこなかったことを実現したというところが、大きな技術的優位性だと思っています。 それと同時に、使いやすいUI・UXへのこだわりも重要です。私自身も開発チームの中でコミットして、みんなの努力で磨いてきました。どんなに優れた技術でも使いやすくなければ社会実装されないと思っているので、わかりやすく使いやすいアプリにすることを常に意識してきました。 ―杉原― LINEなどのSNSのやりとりを読み取り、分析して危険なチャットを検知するこの仕組みは、他のスタートアップがすぐに作れるものではないという自信がありますか? ―冨田― はい。今ではAIが既存のアプリをさっと作れるようになっていますが、世の中にすでにあるものを作るのとは違います。まだ誰も作っていないものを実現するのはAIだけに任せても難しい。そこに我々の技術チームの強みがあると自負しています。 また、ユーザーインタビューやユーザーデータの分析を細かく積み重ねてきたことで、継続率(リテンションレート)も毎月上がり続けています。 ―杉原― 最近は安定し始めましたね。 ―冨田― 一般的なCtoCのサービスはリテンションレートがどんどん下がっていくことが多いのですが、弊社の場合は6か月ほどでしっかり下げ止まっています。適切なユーザーに刺さっているという検証ができているという意味では、プロダクトマーケットフィットに近い状態に来ているかなと思っています。技術力だけでなく、UXや総合的なブランディングも含めて、親御さんにとって使えるアプリができているということだと思います。 ―杉原― 難しい技術を極めるだけでなく、ユーザー目線で使えるものをという意識が、冨田社長の総合プロデューサーとしての役割なんですね。 ☆インタビューアー 株式会社ディ・ポップスグループ アドバイザー 杉原 眼太 【Adora株式会社】 会社名:Adora株式会社 代表者:代表取締役 冨田 直人 設 立:2023年7月 サービスサイト:https://www.kodomamo.com/about-us Part 2では、 ・「コドマモ」加入後の状況と反響 ・3大キャリア全てとの協業へ拡大 ・「コドマモ for School」— 自治体・学校向けの取り組み などについてお伺いしています。 Part2もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.07.17
一覧を見る