COLUMN

【投資先インタビュー】スマートフォン時代における「位置情報」ビッグデータ化への挑戦 クロスロケーションズ株式会社 小尾 一介社長

INTERVIEW
2024.09.19

先日弊社は、人流データ分析プラットフォーム 及び スマホの位置情報データを利用した広告配信サービスを提供するクロスロケーションズ株式会社へ出資を行い、ベンチャーエコシステムの仲間として歩み始めました。

☆クロスロケーションズ株式会社への出資に関するプレスリリースはこちら
https://d-pops-group.co.jp/column/x-locations/

 

今回は、クロスロケーションズ株式会社の創業者である小尾一介社長へ、創業の経緯や人流分析プラットフォーム「Location AI Platform®(LAP)」等についてお伺いしました。

 

①創業のきっかけは?

スマートフォンが普及し、誰もがスマホアプリを通じて「位置情報(緯度経度データ)」を利用した便利なサービスを利用できる時代になりました。それらサービスの裏側では膨大な位置情報データがビッグデータとしてネットの中に存在しています。これまで単なる「ログデータ」として見過ごされていた位置情報も、近年のMobile Internet、GPS、GIS、AIの技術革新により、新たにデータの収集・解析ができるようになったことで、統計モデル化や可視化、インサイトの抽出が可能となり、その価値は今後ますます高まっていきます。

当社は、検索エンジンや生成AIのように、「膨大なデータから有用な情報を引き出し、活用する新たな時代」が到来したと確信し、この情報を生活やビジネスに役立てるためのプラットフォームが必要と考えて、そのビジョンを実現するためにクロスロケーションズを設立しました。

 

②サービスの概要を一言で簡単にご紹介ください

クロスロケーションズが提供する人流分析プラットフォーム「Location AI Platform®(LAP)」は、位置情報ビッグデータをAIで解析し、人流データの可視化と分析を提供するサービスです。

また、人流データを活用した広告サービスでは、ターゲットの移動履歴に基づいて効果的な広告配信を提供しており、インバウンド広告や分析など、訪日外国人の行動データを活用し、旅行者向けのマーケティングや観光施策の最適化を支援しています。

 

③ここがどんな類似会社よりも優れている、というポイントは?

クロスロケーションズの最も強みのあるポイントは以下の通りです。

1.偏りのない包括的なデータソース(標本データ)を使用

分析の基となる標本データではスマートフォンがGPS衛星の信号から取得したデータをメインとして、特定のキャリアやアプリに依存しないデータを利用しています。コロナ以前からさまざまなデータソースを統合し、包括的な位置情報データ収集して分析を行っており、偏りのない正確な人流データを提供できる点が他社と異なる強みです。

2.高精度な位置情報データと独自のAI解析技術。個人情報の懸念無し

位置情報ビッグデータを高頻度で収集・解析し、独自のAIアルゴリズムを活用することで、精度の高い分析結果とインサイト(人々のリアルな行動を見える化)を把握できる独自のプラットフォーム(LAP)を提供しています。スマホからの位置情報ビッグデータの取得と分析を完全分離することで個人情報に抵触する懸念はなく、ピンポイント地点の分析・可視化も可能です。

3.国内最大級の位置情報データを活用したスマホ広告サービス

高精度な人流データとAI解析を組み合わせることで、特定のエリアや行動パターンに基づいたスマホ広告(ジオターゲティング広告)を提供しています。また、需要が高まる訪日外国人(インバウンド)向けの行動データを国内最大級に保持し、効果的なインバウンド広告やプロモーションの設計が可能です。地域や観光施設ごとのデータに基づき、最適なタイミングと場所で広告を展開することで無駄のないマーケティングを実現します。

 

④起業以来、最も苦労したことは?

ベンチャー企業として、限られたリソース(資金や人材など)の中で、ビッグデータの蓄積、独自アルゴリズムの開発や独自のユーザーインターフェースの継続的な開発を行い、新たに登場した「人流データ」の有用性を企業に伝え、採用してもらうこと。

サービスの市場提供開始時期がコロナ禍期と重なったこと。

 

⑤株主に対して最も期待することは?

「人流データ」は今後、経済や社会活動において極めて基礎的(ファンダメンタル)なデータとなることが確実です。その有用性を広める活動にぜひご支援をお願いしたいと考えています。

 

⑥D-POPS GROUPからの出資を受けて良かったことは?

グループ傘下の各種事業会社、投資先ベンチャー企業においても当社のサービスが広く活用されて、当社も含め、それぞれの企業の事業発展の契機になる機会となったことです。

 

⑦ベンチャーエコシステムの実現に対して共感する部分はどんなところですか?

スタートアップ、ベンチャーはそれぞれ独力で事業成長することに注力しているわけですが、エコシステムに繋がることで情報、機会などを共有できるのでそうした場の実現に共感しました。

 

⑧理想とする10年後の会社とは?

グローバル企業

 

⑨その未来に向けての今後の課題は?

技術開発とパートナー作りです。
パートナーとしては当社製品のリセラーパートナーのみならず、当社の人流分析プラットフォーム上でサードパーティーとしてエコシステムを構成するパートナーも募集して行きます。

 

⑩最後に一言

ディ・ポップスグループさんには当社のミッションにご賛同をいただき、資金、事業育成の両面でご支援をいただきまして誠にありがとうございます。

 

【クロスロケーションズ株式会社】

代表者:代表取締役 小尾 一介
所在地:東京都渋谷区恵比寿南1丁目2-9 小林ビル6階
設 立:2018年1月
コーポレートサイト:https://www.x-locations.com/

関連記事

【投資先インタビュー】『美容師の真の独立』を目指す The Salons Japan株式会社 清水 秀仁 社長・窪島 剣璽 取締役
先日弊社は、完全個室型のビューティーモール®️を運営するThe Salons Japan株式会社と資本業務提携を行い、ベンチャーエコシステムの仲間として歩み始めました。 ☆The Salons Japan株式会社との資本業務提携に関するプレスリリースはこちら https://d-pops-group.co.jp/column/the-salons-japan/   今回は、The Salons Japan株式会社の創業者である清水秀仁 社長と窪島剣璽 取締役へ、創業の経緯や完全個室型のビューティーモール®️「THE SALONS」への思い等をお伺いしました。   ①創業のきっかけは? 創業メンバーの高原が、当時のサロンオーナーであった清水に、全米で美容室のあり方を変えたSOLA SALONSのビジネスモデルを話したことがことがきっかけです。美容師である代表の清水とは古くからの友人なのですが、初めてその話を聞いた時に日本にはないとても面白いビジネスモデルだと思い、すぐに2人でロサンゼルスの視察に向かい、帰国後にすぐにThe Salons Japan株式会社を創業いたしました。   ②サービスの概要を一言で簡単にご紹介ください 1室ごとにシャンプー台や椅子、鏡を備えた区画が並ぶ完全個室型美容モールです。美容師やビューティシャンは大きな初期費用を払うことなく、一等地で自分のサロンを持つことが出来ます。また月額費用のみで売上手数料がないので、頑張れば頑張った分だけ自分の収入を増やすことも可能です。THE SALONSはシェアサロンや業務委託サロンと違い、美容師、ビューティシャンがローリスクかつ本当の意味での独立ができるよう支援するサービスとなっております。   ③ここがどんな類似会社よりも優れている、というポイントは? 弊社は完全個室美容モールを国内で最初に立ち上げましたが、シェアサロンなどの事業は行なっておらず、美容モール事業に特化した会社経営を行なってまいりました。言い換えれば、会社の全リソースを「美容師の真の独立」のために注いでいることになります。そのため私たちは、路面店出店に向けてTHE SALONSを卒業する美容師の皆さんも全力で応援しており、そのブレない想いが他類似会社との違いであり強みではないかと考えています。 ④起業以来、最も苦労したことは? 日本では前例のない美容モールという業態であったため、1店舗目となる表参道店では、不動産オーナーに業態を理解していただくのに苦労いたしました。   ⑤株主に対して最も期待することは? 幅広いビジネスを手がけるD-POPS GROUPのアセットや、知見を活用させていただき、同じ船に乗っている仲間として美容業界を変えていきたいです。   ⑥D-POPS GROUPからの出資を受けて良かったことは? 今回の出資は、取締役でも参画いただくことになった杉原氏と、創業メンバーの窪島とのご縁で実現しました。後藤社長率いるD-POPS GROUPはグループ会社が多く、様々な事業経験をもつメンバーの皆様がいらっしゃいます。そのノウハウを惜しみなく共有いただいていることへの感謝とともに、企業成長のために必要なことを一緒になって考えてくださる真のパートナーを得られたことは本当によかったと思っております。   ⑦ベンチャーエコシステムの実現に対して共感する部分はどんなところですか? 私たちは課題の多い美容業界をより働きやすい業界に変えていきたいという思いで、The Salons Japan株式会社を創業いたしました。それは、美容業界のエコシステムを作っていくということとも言えます。もちろんビジネスなのでお金は重要ですが、D-POPS GROUPの「スタートアップにとって、より良い社会を作っていく」という私たちの創業理念とも通ずるその強い思いに、大いに共感いたしました。 ⑧創業者お二人の出会いは? まだ20代の時に夜の六本木のクラブで出会いました。それ以来、遊び仲間として青春を共にいたしました。こうして一緒に会社を経営することになるとは思っておりませんでしたが、長く時間を共にしてきた信頼関係は、会社経営にも大いに役立つと思っております。   ⑨お互いが自分より優れているポイントは? 現役美容師でもある清水は、美容室経営、店舗、美容師に関すること。窪島は、ITや財務に関すること。それぞれ自分が得意とする専門分野を持っています。お互いを信頼しあうことで、自分の得意分野に集中することができています。   ⑩お二人が理想とする10年後の会社とは? より生き生きと働く美容師が増えてくる美容業界において、美容師に最も信頼される会社になりたいと思います。   ⑪その未来に向けての今後の課題は? 美容業界には、ここでは書ききれないほど多くの課題が残っています。私たちの創業以来の信念でもある美容師ファーストをしっかりと胸に刻んで会社経営を行なっていくことで、その課題もクリアしていけると考えております。 ⑫最後に一言何でも 改めてD-POPS GROUPの仲間となれたことを誇りに思いますし、今後一緒に成長していけることをとても楽しみにしております! 一緒にThe Salons Japanのメンバーとして未来を作っていただける仲間も絶賛募集中です!!   【The Salons Japan株式会社】 代表者:代表取締役社長/CEO 清水 秀仁 所在地:東京都世田谷区松原2-43-11 キッドアイラックビルヂング 2F 設 立:2018年11月30日 サイト:https://www.thesalons.co/
INTERVIEW
2024.10.08
【エグゼクティブインタビュー】藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国日本大使)~前編~
今回は、ベンチャーエコシステムの実現のため2023年4月よりディ・ポップスグループの顧問に就任していただいた藤崎 一郎 顧問(元在アメリカ合衆国特命全権大使)へ、弊社代表取締役の後藤がインタビューいたしました。 藤崎 一郎 顧問のご経歴はこちらからご覧いただけます。 https://d-pops-group.co.jp/company/board-member/   ---------------------------------------------------------------------------------------   -後藤- 今回は、藤崎さんと対談をさせて頂く機会をいただきありがとうございます。 藤崎さんの著書「まだ間に合う」や産経新聞の連載記事「話の肖像画」を一通り読ませていただいて、改めて大使のご経験や知見、見識の深さを感じております。今回外交の話や国際関係の話などの質問を少し入れさせていただいたんですけど、浅はかな知識で質問するのが恐れ多いところもありましたし、改めて、やはり経営者は経営に集中すべきだなと思いました。連載記事を読ませていただきながら、こんなに深いところからのインタビューのお答えがあるんだなという部分に驚きました。 -藤崎- 例えばどういうところですか? -後藤- 様々な点でありますが、直近の産経新聞の連載でいうと、鄧小平さんの韜光養晦についての記事を読んで考えさせられるところがありました。 我々も今年、ディ・ポップスグループのコーポレートサイトを本格的なものにリニューアルしました。各社のコーポレートサイトはあったのですが、やはり成長の過程において、どこから圧力が来るかもわからないので、ディ・ポップスグループのウェブサイトは簡略化した内容のものしかなかったんですね。グループ全体を大きく見せてるっていうのはなく、水面下でグループを拡大させていたんです。 今年、グループ会社が20社、投資会社を入れると50社近くなってきたので、初めてコーポレートサイトにディ・ポップスグループの今の動きを大きく打ち出しました。 ほとんどの方はいつの間にここまで拡大したのかと驚かれています。 その他にもなるほどと思ったのが、よく日本国内だと、日本がアメリカに対してものを申す力が弱いのではないかという話もありますが、たしかにそれは北朝鮮があって、ロシアがあって、中国があってとなったら、やはり日米は常に蜜月関係を維持することがいいのかもしれませんね。 -藤崎- だってね、世界中にこのような国はほかにないんですから。オーストラリアやフィリピンだって違うし、イギリスやフランスとも違うし。そして日本を守ろうと言ってくれてる国は1つだけなんですから。どうしても喧嘩するわけにいかないですよね。ただね、みんな遠慮しすぎてる面も正直言ってあるんですよ。だから私は、外務省の中でもあまり遠慮するなという意見を持っていましたから、「アメリカ担当がそんなこと言うの?」とも言われました。 -後藤- それはそうですよね。やはりアメリカとはしっかりとグリップしてるっていうのが表向きで、あとは何か交渉したいとか話したいことがあったら、裏でしっかり話せばいいですもんね。 -藤崎- そうですね。それはおそらく民間会社だってそうで、あるいは銀行さんともそうですよね。 -後藤- はい。そのインタビューを拝読しながら、例えば駐米大使という職務って、相当な人間力だとか、信頼感とか安心感がある人じゃないとできないものだなと思うんです。 まず最初の質問ですが、過去の重職はどれをとっても、大きなリーダーシップが必要とされることが多かったと思います。藤崎大使のリーダーシップ論をお聞かせ頂けますか? -藤崎- 率直に言うと私は本当のトップではなく、つまり社長ではなく、総理大臣や大臣でもなくて、 外務省の局長とか審議官とか、あるいは、大使は日本という旗を立ててますけども、 最終的な意思決定者は東京にいて、それが総理大臣であったり、大臣であったりするわけです。なのでリーダーという意味で私は、本当は特命全権ではないんですよね。 ですから、 そういう組織の代表として何を考えていたかという点でお話いたします。 まず1つは、そのチームをうまく使っていかなきゃいけないということです。これがなかなか難しいのは、大使館というところは財務省や経産省・農水省など、外務省だけじゃなくいろいろな人がいます。自分が人事権を持ってない中でグループをまとめていかなきゃいけない。全部必ずしも自分で人を選んでるわけではないわけですね。 だからその中でどうやって輪を保ち、職務にあたっていくかということで、1番大事にしていたことがあります。私は外務省出身なんですが、外務省の人間だけで話をすることは絶対しないようにして経産省や財務省など、必ずみんな入れて会話をするように心がけました。 そして、やはり大事なのは適材適所でキーマンを持ってくることで、自分がお願いしたいポストには、自分自身が安心できる人を持ってくるというようにはしていました。 というのも、組織の中ではやはり、情報の勝負でもあるわけですね。意思決定がピラミッドのようにきちんとなってるわけではないんです。なので、自分を飛び越していろんな情報が行き来しないように、自分が信頼できる人を持ってくるということは考えてました。 2つ目に、私が思う立派なリーダーというのは、後継者を育てていくということができる人です。偉いリーダーでも後継者を育てないで辞めるときよそから人を連れてきて失敗しちゃうとか、そのような状況を見てると、あれはまずいんだろうなという風に思いますね。 それから3つ目、 リーダーは、他の人が「えっ!」と思うぐらい少し先のことを考えて手を打つことが重要です。そのためには、おそらく後藤さんもそうでしょうけど、いろんな業界の人と会ったり、いろんなものに目を通したりして、「勘」を養っていくことが大切ですよね。 「勘」というとなんとなくいい加減に聞こえますけど、いろんな情報や経験や人脈から湧き上がるもので、何が浮かんでくるかが重要ですね。人はデータブックではないので、たくさんデータを持ってることがいいわけじゃない。このデータの中からにじみ上がってくるものは何かっていうことを掴む。そういう勘や先見性というところがリーダーには必要ですね。 それから4つ目、リーダーで大事なことは、もうこれはどんな組織でもそうですけど、 タイミングを見計らっての決断ができるということですね。じっくり考えすぎちゃってタイミングを失ってしまったらしょうがないし、しかし、あんまり勇み足すぎてもしょうがない。赤信号ではなくて、黄色信号ぐらいでわたる。どのくらいの信号なら渡れるかな、緑信号ならみんな渡るけど、それでは意味がない。そこの見極めの決断が重要ですね。 そして最後は、レビューです。一度成功したら大丈夫だということじゃなくて、常に進捗を確認して、何かおかしなところがないだろうかということを見る。 これもおそらく、人によってタイプが違います。 -後藤- 私もよく「人間コンピューター」という言葉使うんですが、 それだけの情報とか、いろんなデータとか、様々なものが頭に入っていて、何気なく決断してるわけじゃなくて、あらゆる莫大な情報から適切な答えを出そうとしています。 -藤崎- 本当にそうだと思いますね。だから、おそらく人によってうまくいかない方は、データの詰め込みだけは得意だという方がいらっしゃいますよね。受験勉強はものすごく得意だったのに、データの取り出しの方がうまくいかないと。そんな方に何か質問すると、「第1章には1から10項目あります。第2章には・・・」と。そんなこと聞いていなくて、何が答えかって聞きたいんだ。というように、あまりにも図書館みたいになっちゃってる方もいらっしゃいます。そうじゃなくて、後藤さんがおっしゃったように、 入れることも大事なんだけど、取り出すところなんですよね。おそらくそこは勘に近いものだと思いますよね。 -後藤- 経営の面白さって多分そこにあるかもしれなくて、単純に、例えば本当に頭がいいとか、ただ単にリーダーシップがあるとか、何か1つに特定された人がずば抜けると、もうその人に勝ち目がなくなる。ですが経営は総合力で、 あらゆるものの集大成としての結果なので、逆に言うと、その総合力的なところに自信があればだれにでもチャンスがあります。 -藤崎- おそらく、常に勉強したり、 本を読んで吸収しようとしなくても、歩きながらとかお風呂でとか、なんかぼーっとしているときにはっと思いついたりするものですよね。もちろん何も考えていないと何も浮かんでこないですけど。一定の量を入れといたら、今度は浮かんでくるのを待つっていう方がいいのかもしれないですよね。 -後藤- そうですね。私も経営者になって初めのころ、全然経営というものがわからなかった時はものすごいインプットをしましたけど、 今は逆にインプットの量は調整したりしていますね。 -後藤- では、次の質問です。 駐米大使やジュネーブ国際機関日本政府代表部大使など、各国との調整や交渉が必要な場面が多々あったと思います。どのように舵取りをされていたのか、お聞かせ頂けますか?藤崎大使ならではの、交渉術や調整の仕方など、意識されていることがあれば、是非ご教授下さい。 -藤崎- 交渉においては、トップとして前面に出て、ワンボイスを心がけていました。 外務審議官として交渉したのが1番多かったんですが、自由貿易協定の交渉で経産省や農水省などたくさんの人を連れて行ったときには、「とにかく喋るのは私だけだから、一切口を出すな」と言い、その代わりしょっちゅう休憩を取るようにして、朝や昼にみんなで相談しながらやるから、交渉の場ではとにかく喋るのは私だけにさせろということを全体の会議で伝えていました。そのあとの個別会議は彼らに任せて、個別分科会には一切私は行きませんでした。 それからもう1つは、相手のトップとの関係性を作ることです。まず初めの朝食は補佐なども連れて行かず2人だけで取り、やっぱりなんとなく感じを掴む。それから、日本に彼らが来た時は、2人だけで酒を飲みに行くなどして、個人的関係をつくるのが大切ですね。それはおそらく会社でも同じですよね。3人対3人のときと、1対1ではやっぱり違いますもんね。 -後藤- もうその通りですね。ご回答いただく内容は、かなり多くのことが経営と相通じていきますよね。 -後藤- それでは次の質問に移らせていただきます。 人間性や人間力は、どのように鍛錬し、磨き上げて、身に付けられたのでしょうか?次世代の人に伝えたいと思う事があれば、是非アドバイスをお願いします。 -藤崎- 本当にこれは謙遜じゃなく、未熟で道遠しです。ただ人と会う時、相手に関心を持ち、上から目線で自分の話ばかりしないようにはしています。 例えば私の父はね、一生懸命人間力の鍛錬について考えて、なんかいろんなことをやったり、人間力を磨くような本をたくさん読んだりしてましたけど、 私は正直言ってなかなかそういうところに至らず、日々もがいていたんです。 父は美学があってですね、細かいことにこだわらない、そして 自分からは何かをやりたいと手を挙げないという人だったんです。父の仕事であった最高裁判事は70歳で終わるんですけど、70歳で終わると大体みんな弁護士になれるんですよ。しかし、一切弁護士もやらない。彼はね、散歩と テレビばかり見て、あとはその仏教の本を読んだりして、なんかそういう感じでしたね。私は全然そういうところに、日々遠くて。今でも学校に行って授業したり、そんなことばかりしています。 -後藤- でも、本来人間力がある方が自ら人間性を磨いてますって言わないですよね。自然体でやりながら、いつの間にかすごい人間力を身につけるものですよね。   ---------------------------------------------------------------------------------------   次回後編のインタビューでは、 ・日本の大企業と外務省との違い ・世界的な複数の大国と付き合う場合のパワーバランスの取り方 ・アメリカの歴代大統領で印象に残っている方 などについてお伺いしています。 後編もぜひご覧ください!  
INTERVIEW
2024.10.03
【投資先インタビュー】AIを活用して子供たちを守る!Adora株式会社 冨田直人社長
先日弊社は、AIを活用したペアレンタルコントロールアプリ「コドマモ」の開発及び運営を行うAdora株式会社へ出資を行い、ベンチャーエコシステムの仲間として歩み始めました。 ☆Adora株式会社への出資に関するプレスリリースはこちら https://d-pops-group.co.jp/column/adora/   今回は、Adora株式会社の創業者である冨田直人社長へ、創業の秘話やペアレンタルコントロールアプリ「コドマモ」に対する思い等についてお伺いしました。   ①創業のきっかけは? 愛知県警から私が客員教員として勤めていた藤田医科大学に「子どもがSNSで犯罪などに巻き込まれているからテクノロジーを活用するいいアイデアはないか」というご相談をいただき、愛知県警と藤田医科大学と私たちで連携してコドマモを作り始めることになりました。 ☆愛知県警察 アプリ「コドマモ」の紹介 https://www.pref.aichi.jp/police/anzen/shounenhikou/shounen/kodomamo2023.html ②サービスの概要を一言で簡単にご紹介ください お子さまのスマホ利用に関する保護者の心配ごとをAIを活用してまるっと解決する、いわゆるペアレンタルコントロールのサービスです。具体的には、お子さまと保護者のスマホにインストールしておくと、お子さまが危険なチャットに巻き込まれていることを検知したり、スマホの使いすぎを防ぐスクリーンタイムの制限をかけたり、歩きスマホの防止をしたりすることができます。   ③ここがどんな類似会社よりも優れている、というポイントは? お子さまの危険なチャットの検知、歩きスマホの防止、危険な自撮りの検知などの、既存の主なペアレンタルコントロールアプリには搭載されていない一方で、保護者の強いペインを解決できる機能がある点で優れています。   ④起業以来、最も苦労したことは? 「何が求められているユーザー体験なのか」という点を突き詰めて考えることに苦労しました(いまも苦労しつづけています)。 例えば、ペルソナの例に「中学生の子どもを持つ母親」がありますが、私はそのペルソナには当てはまらないため(これは客観的にユーザーの観察ができ、自分のn=1の確証バイアスに囚われずにすむ、という点ではメリットだと感じていますが)、とにかく多くの情報収集やインタビュー、データ分析をチームで行い「良いUX」を作ることに全力を尽くしてきました。 また、プライバシーを重要視した設計になるように、尽力してきました。例えば、お子さまのチャットや撮影した画像は、端末上(ローカル)で機械学習モデルがその危険性を判定することで、私たちのサーバーには元データが送られることなくプライバシーが守られる設計になっています。   ⑤株主に対して最も期待することは? 有識者や業界のキーパーソンや企業などをご紹介いただくことについて、最も期待しています。   ⑥D-POPS GROUPからの出資を受けて良かったことは? 携帯販売代理店でコドマモをご案内していただくためにディ・ポップスグループのグループ会社の皆さんにお会いし、アドバンサーの細田社長や大橋さん、ディ・ポップス 営業本部長の坂巻さんなどをはじめとする方々に、信じられないくらい多くのサポートをしていただいており、出資を受けてよかったと感じています。また、ディ・ポップスグループの後藤社長からの業界知見に基づくアドバイスをいただいたり、アドバイザーである杉原さんからご人脈を生かした有識者の方々をご紹介していただいたりしており、大変助かっております。 ☆アドバンサー株式会社 https://advancer.co.jp/ ☆株式会社ディ・ポップス https://d-pops.co.jp/   ⑦ベンチャーエコシステムの実現に対して共感する部分はどんなところですか? ディ・ポップスグループの方々とお話ししていると「エコシステムのため」という言葉をよく聞くのですが、エコシステム全体のために活動することが善であると信じて動かれていることが伝わってきます。深い社会課題の解決には、1社で成果を出すだけでなく、他の企業や、行政・研究機関など様々なステークホルダーと連携することが重要だと、日々事業を運営しながら感じるので、私もその姿勢に共感すると共に、見習っていかなくてはと思っています。 ※チームメンバーとの共同生活の様子   ⑧理想とする10年後の会社とは? 世界中で大きなスケール感を持って社会課題解決できている会社になりたいと考えています。   ⑨その未来に向けての今後の課題は? まずは、日本や韓国でPMFした後、アジアを中心にグロースしていきたいと考えています。   ⑩最後に一言 ディ・ポップスグループからの出資受け入れはオススメです!!   【Adora株式会社】 代表者:代表取締役社長 冨田 直人 所在地:東京都世田谷区 設 立:2023年7月 コドマモサイト:https://www.kodomamo.com/
AI
2024.09.10
一覧を見る