COLUMN

【グループ会社インタビュー】株式会社フェイスフル 加藤 貴博 社長 ~前編~

  • INTERVIEW
2026.03.12

D-POPS GROUPでは、現在約25社のグループ会社が仲間となっています。
今回は、株式会社ディ・ポップスグループ 常務執行役員 経営企画室室長 及び 株式会社フェイスフル 代表取締役の加藤さんへインタビューいたしました。
(このインタビューは2025年12月に実施しました。)

◆入社の経緯

-杉原-
今回は、ディ・ポップスグループ 経営企画室室長でM&Aを担当されている加藤さんにお話を伺います。加藤さんは、グループ会社である株式会社フェイスフルの代表も務められています。本日はよろしくお願いいたします!

加藤さんは2006年8月にご入社されたと伺っていますが、それまでのご経歴と、入社の経緯を教えていただけますか?

-加藤-
前職は仙台の会計事務所で、財務コンサルタントとして医療法人の設立支援やメディカルモールの開業支援などを担当していました。そこで5年ほどがむしゃらに働きました。

当時は、成果を出せば出すほど給与に反映される報酬形態の会社で、23歳という若さで地方企業に関わらず、年収500万円ほど稼いでいたんです。今から20年前の物価感覚で言えば、かなり破格の待遇だったと思います。

ただ、若くして稼げるようになった分、いつの間にか意識の矢印が「お客様」ではなく「自分の収入」に向いてしまっていました。「このお客様なら、この位の保険を契約してもらえるな」と、自分の利益を優先して考えてしまう。そんな慢心があったのだと思います。

そんな時、学生時代のアルバイトから大変お世話になり、恩人が独立して事業を始められたんです。その社長は「加藤が頑張っているなら」と私の最初のお客様になってくれました。しかし、私が昇進したことで、直接その方を担当するポジションから外れてしまい、気持ちが離れてしまいました。しばらくして、彼の事業が行き詰まり、廃業してしまったんです。

普通高校で簿記を学び始めた頃、私は「将来、社長の役に立ちたい」という純粋な志を持っていました。それなのに、目先の利益に目が眩み、大切な恩人の変化にも気づけなかった。自分の慢心が招いた結果だと、激しい後悔に苛まれました。

「社長を外部コンサルタントとして遠くから支えるよりも、近くの1人の社長の右腕になったら、どれだけ社長を支え、事業をスケールできるだろう」と思って転職活動をはじめしました。

-杉原-
そのときに後藤社長に出会われたんですか。

-加藤-
はい。当時、ディ・ポップスともう一社の2社を受けていました。

もう一社の方は、内定後すぐに「今すぐ入社してほしい」という条件でした。しかし、当時の私はまだ仙台に住んでおり、娘が生まれる直前というタイミング。どうしても「3ヶ月待ってほしい」と伝えましたが、それでは難しいと断られてしまったんです。

一方、後藤社長は違いました。私の事情を正直に伝えると、「分かった。3ヶ月待つよ」と言ってくださったんです。その懐の深さに触れ、ディ・ポップスへの入社を決めました。

今でも忘れられないのは、面接の密度です。1次・2次と2回を行ったのですが、すべて後藤社長が自ら面接対応してくださり、それぞれ3時間以上、計6時間以上も将来の目標や想いを聞き、できる事をお伝えしました。あの濃厚な対話があったからこそ、この人の元で再出発しようと確信できました。

◆入社当時のディ・ポップスについて

-杉原-
3時間!すごいですね。加藤さんが2006年に入社した当時の役割は何だったんでしょうか?

-加藤-
当時の私の役割は「バックオフィス全般を任せたい」ということで、幹部候補として管理部採用でしたが、いざ入ってみると驚くような状態でした(笑)。

たとえば、全店舗の売上入金を私一人で担当していたんです。当時はまだ割賦販売(ローン)が普及していなかったので、各店舗の金庫には毎日何百万円もの現金が貯まっていました。それを回収して、店舗から一番近い銀行のATMまで運んで、後で分かる様に1日分ずつ入金するということをひたすらやっていました。5-6店舗回ると夕方になり、そこから帰社して、現金照合したり経理処理する日々です。

組織の雰囲気も、まさに戦場です。「生き残るためには隣の競合店を蹴落としてでも、結果を出す」という強烈な雰囲気を感じる競争の中にいました。正社員もアルバイトも派遣スタッフも関係なく、全員がひたすら目の前の販売台数(売上)だけを追いかけている、そんな時代でした。

-杉原-
管理体制も今とは全く違ったのでしょうね。

-加藤-
そうですね。当時は勤怠確認を出社FAXという仕組みでやっていました。スタッフが店舗に出勤したら本社にFAXを送る。そうしないと店が開いているかどうかも把握できなかったんです。それでも、お客様から本社に「今日、店が開いてないんだけど?」と電話がかかってくることがありました(笑)。

その後、ITシステムを導入しましたが、今度は店舗の外から勝手に打刻してしまうスタッフが出てきてしまって。結局打刻だけでは意味がないということになったんです。

そこで次に導入したのが、店舗のFAXを使って「朝のクレドテスト」に回答させるという方法でした。ところが、これも知恵が働く人がいて、なんとFAXのタイマー送信機能を使って不正をしようとする。まさに不正アクセスや不正打刻とのいたちごっこで、制度そのものを根底から考え直さなければならない時代でした。

-杉原-
そこからどのように今のような組織へと変わっていったのでしょうか。

-加藤-
大きく変わったのは、2007年から2008年頃にかけて新卒採用を始めたあたりからだと思います。それまでの数字さえ出せれば何をしてもいいという文化から、教育を受けた新卒社員が入ってくることで、組織の意識がガラッと変わっていきました。今振り返ると、あれが大きな転換点だったと思います。

-杉原-
加藤さん自身の考え方が変わったのはいつ頃だったのでしょうか。

-加藤-
はい、人生観が変わるような大きな変化がありました。 昔から後藤代表は、経営状況の報告で銀行などを訪問する際にも常に「誠実・謙虚・感謝」という言葉を聞かされていました。当時は正直なところ、私にとってはただの呪文のようにしか聞こえていなかったんです。でも、長年組織に向き合ってきた今では、あの言葉が本当に腹落ちして、深く納得できるようになりました。

◆組織の土台づくり

-杉原-
2017年のグループ経営移行前、ディ・ポップス時代には、経営企画としてありとあらゆる業務を担われていたそうですね。

-加藤-
はい。M&Aを本格化させるまでの約10年間は、とにかく組織の土台づくりに奔走しました。当時はまだ社労士さんとの契約もなく、労務管理も後藤代表のお母様が担当されていたような状態でしたから、まずはそこを専門的な制度に切り替えることから始めました。

他にも、現金管理のタイムラグをなくしてキャッシュフローを可視化したり、当時は存在しなかった実績管理の仕組みを作ったり。季節係数を盛り込んで店舗別の精緻な数字を算出したり、店舗別損益を管理したりと、経営判断をするための数字を一つずつ整備していったんです。

-杉原-
そうした緻密な制度設計がないと、現在の規模での経営は不可能ですよね。

-加藤-
おっしゃる通りです。ただ、一方で仕組みを整えながらも、ずっと大切にしてきたのは「店舗スタッフの感情移入接客」という現場の熱量と想いでした。 入社直後に、後藤代表と1週間かけて一緒に全店舗を回るオリエンテーションがあったんです。店舗の前で1時間ほど接客の様子を見ながら、後藤代表とディスカッションさせていただきました。。

後藤代表は、「あの店長は数字こそ平凡かもしれないけれど、お客様から圧倒的な支持を得ているんだ。見てごらん、お客様があんなに笑顔で帰っていく。店舗によって笑顔の形は違うけれど、あれがうちの強みなんだ」と教えてくれました。

ただ数字を管理するだけでなく、その裏側にある現場の温度感やお客様との絆を肌で感じさせてもらった。その経験があったからこそ、管理のための制度づくりだけでなく、心の通った組織運営の制度を意識できたのだと思います。

-杉原-
店舗の運営や、事業の現場に直接関わることはあったのでしょうか?

-加藤-
店舗のオペレーションを正確に把握するために、2週間だけ現場に入ったことがあります。現場でどこにどのような課題があるのか、その流れを一通り理解した上で、再び本社の業務に戻りました。

入社時は管理部という所属でしたが、私の出す提案が企画寄りであったり、工夫や改善を求められる内容が多かったりしたこともあって、「『経営企画』という名前に変えて、もっと外に出て動きなさい」とアドバイスをいただいたんです。そこから約10年間、経営企画として長く務めることになりました。

◆M&A戦略の始動とフェイスフルとの出会い

-杉原-
2017年にフェイスフルの代表取締役に就任されていますが、ここにはどのような背景があったのですか?

-加藤-
グループが売上100億円を達成した2015〜16年頃、販売制度の変更という大きな逆風が吹いたんです。3ヶ月で1億円の赤字を出すという、グループにとって2度目の大きな危機でした。

この時、当時の幹部メンバーたちが「守りに入るのではなく、挑戦する姿勢を見せよう」と、それぞれが新しい領域へ踏み出すことになりました。人事を担当していた堀さんが、グッド・クルーの社長として牽引したり、岩間さんがM&Aで譲受したジーネクストの社長に就任したり。藤田さんがアドバンサーを、保坂さんがSTAR CAREERを設立したりと、当時の幹部から大きく動き出しました。

その中で、私はM&Aの責任者を任されることになりました。

-杉原-
M&A戦略へと舵を切ったのは、必然だったのでしょうか。

-加藤-
そうですね、私が担当したのは自然な流れでした。後藤代表は以前からM&Aをやりたいと仰っていましたし、自社内のリソースだけで積み上げるビジネス(オーガニック成長)だけでは、成長の角度を劇的に上げることはできないという危機感がありました。労働集約型のモデルだけでは、成長を逆算して描くのが難しかった。そこで、M&Aを成長戦略の柱に据えることになったんです。

実はフェイスフルという会社も、私がM&A担当として譲り受けた会社の一つでした。

-杉原-
自らM&Aを決めた会社の代表に、そのまま就任されたわけですね。

-加藤-
はい。M&Aの1号案件はgraphDという会社で、そして2社目に買収したのがフェイスフルでした。自分で買収を提案して推した会社ですから、その後の舵取りも自ら引き受けることになったというのが代表就任の経緯です。

-杉原-
2015年から16年にかけて、組織のあり方が激変したのですね。

-加藤-
まさに、今のグループ経営の土台が作られたスタートの時期でした。

-杉原-
M&A担当として2社目に買収したのがフェイスフルとのことですが、当時の事業概要を教えてください。

-加藤-
実は、M&Aした直後数ヶ月でピボット(事業転換)を余儀なくされたんです。

当初、フェイスフルは記事制作代行の事業をメインで行っていました。ところが、そのタイミングでキュレーションメディアの信頼性問題が社会的に発生し、業界全体に激震が走ったんです。その煽りを私達も受けて、私たちの手がけていた記事も炎上してしまいました。

売上の7〜8割を占めていた主力事業が続けられない状況になり、一気に大赤字に転落。普通ならM&Aは失敗だったと諦めてしまうような局面でしたが、ここで撤退してしまえば次の一手が打てなくなります。そこで、不採算となった旧事業を切り離し、再起を図ることにしたんです。

◆持続可能なBtoBモデルの構築へ

-杉原-
そこからどうやって、現在の事業へと作り替えていったのですか?

-加藤-
現在に至るまでの事業は、買収したときの中身を引き継いだのではなく、完全にゼロから作り上げたものです。

当時、弊社の社外取締役でファインドスターグループの内藤社長が、取締役会で「既存のビジネスを少しずつずらしていくと、新しいビジネスチャンスが見つかるよ」というアドバイスをいただいていました。そこで、「もし自分たちが携帯電話を店舗販売していなかったら、何ができるだろう?」と考え、ターゲットを法人(BtoB)に絞った通信コンサルティングに振り切ることにしたんです。

新規事業を立ち上げたわけですが、当時、私はずっとディ・ポップスグループの役員で銀行担当も兼務していました。周囲からは「現場が疲弊しない、持続可能なビジネスを作ってくれ」という期待もあり、それなら「銀行をリファラルパートナー(紹介者)に迎えたモデル」がベストだと思い付き、ご提案してパートナーになっていただきました。

◆フェイスフルの強みと「働く仲間」への想い

-杉原-
現在のフェイスフルの事業を一言で表すと、どのような事業になりますか?

-加藤-
一言で言えば中小企業の支援事業です。もともとはメディア事業を譲り受けたわけですが、それをピボットし、全く新しい形で中小企業の課題解決を行う現在のコンサルティングモデルを構築しました。

-杉原-
数あるコンサルティング企業の中で、フェイスフルの強みはどこにあるのでしょうか。

-加藤-
やはり、長年携帯ショップを経験を積んできたスタッフがコンサルティング提案するので、ノウハウをすべて活かせることが、圧倒的な強みですね。 他社の法人向けOA機器サービス会社は、商材を売って終わりの売りっぱなしになりがちです。その後のフォローが難しいし、キャリアさんとの深い付き合いがないので、踏み込んだ調整も難しい。

私たちはキャリアさんとの強固なリレーションを背景に、公正中立な比較提案ができますし、何より現場を熟知したメンバーがそのまま移籍して活躍できる環境があります。

-杉原-
働くメンバーの環境という視点も、事業立ち上げの背景にあったのですね。

-加藤-
実は、そこには裏の目標もありました。店舗業務はどうしても土日がメインになりますが、BtoB(法人向け)事業であれば平日メインの働き方を作ってあげられる。

メンバーがキャリアアップしていく中で、より高い専門性を身につけ、付加価値を乗せていける。そんなBtoBの領域を深掘りすることで、働く仲間の将来の選択肢を広げたかったという想いがあります。

-杉原-
店舗での店舗営業(BtoC)から、法人営業(BtoB)への転換は、メンバーにとってかなり高いハードルだったのではないでしょうか?

-加藤-
そこはもう、今でも大きな葛藤があり、試行錯誤の連続です。営業スタイルも必要な知識も全く違いますから、その超えられない壁は想像以上に大きいものでした。

フェイスフルのメンバーは圧倒的にグループ内からの転籍組が多いのですが、最初から法人営業として募集し、専門特化して作られた組織とは立ち上がりの性質が異なります。いかにして店舗で培った接客力を、法人の課題解決力へと昇華させるか。そこは常に組織としての課題であり、挑戦でもありますね。

~後編に続く~

☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太

 

【株式会社ディ・ポップスグループ】
常務執行役員 経営企画室室長 加藤 貴博

【株式会社フェイスフル】
代表者:(共同)代表取締役 加藤 貴博
所在地:東京都渋⾕区渋⾕2-21-1 渋⾕ヒカリエ32階

次回後編のインタビューでは、
・M&A責任者としての奔走
・「人」を重視するD-POPS GROUPのM&A
・後藤代表が大切にする「気の流れ」
・「ベンチャーエコシステムの実現」に向けて
・5年後の理想の姿
などについてお伺いしています。

後編もぜひご覧ください!

関連記事

auプランに組み込まれた子どもの安全を守るアプリ「コドマモ」の挑戦|Adora株式会社・冨田社長インタビュー~Part3~
全3回にわたるインタビューの最終回となるPart3では、Adora株式会社の「人」と「文化」に迫ります。インドで出会ったCTOのSaurabhをはじめとする開発チームはなぜ名もなきスタートアップに参画したのか。エストニア留学で出会った仲間たちとの絆、「Sunny・System・Solid」という3つのバリューなど、インタビューの総まとめをお届けします。(このインタビューは2026年6月に実施しました。) ◆ 錦糸町のオフィスに込めた想い -杉原- ここのインタビュー場所は錦糸町のマンションの一室ですね。とても居心地よさそうで、お花もあって。この春に引っ越しされたとのことですが、なぜここを選んだのですか? -冨田- いくつか理由があります。もちろんメンバーみんなが来やすいというのもあります。ただ私個人の感覚として、キラキラしている場所よりも、錦糸町のほうが合っているなと思いました。錦糸町はスターバックスが5軒もあるほど栄えているのに、同時に人間らしい雰囲気も共存しています。 個人的に、お酒という毒を皆でシェアしながら絆を深めていって、「みんなで頑張ろうぜ」となるのが好きなんです。ほどほどにお酒を一緒に飲むことを大事にしたいと思っているので、居酒屋も近くにあって、みんなが来やすい錦糸町がいいなと思いました。 ◆ 平均年齢26〜27歳 — 未来を作るチームの構成 -杉原- この半年ほどで徐々にメンバーが増えましたね。現在のメンバー構成について、差し支えない範囲でご紹介いただけますか? -冨田- 正社員ベースでまだ10名以下という小さな会社ですが、人事担当が入ってくれたり、エンジニア中心の会社にビジネス開発・UX・公共政策担当のメンバーも加わったりと、徐々に会社らしくなってきました。バックオフィスのメンバーも入り、各ファンクションが揃いつつある感じです。若手が多い会社で、平均年齢は26〜27歳くらいでしょうか。インターン生の大学生も多いので、そちらも含めるともっと若くなりますね。 -杉原- 本当に未来を作るチームですね。以前一緒に飲んだ創業者CTOのSaurabhをはじめ、開発チームはインド人チームですよね。彼らの技術力はやはり凄いですか?また、なぜ日本のスタートアップに参画してくれたのでしょうか? -冨田- もちろん国籍による差よりも個人差の方が大きいとは思いますが、弊社のインド出身メンバーはみんな技術力も高いし、コミットメントと熱量が高いです。いいものを作りたいという当事者意識が強いと思います。 -杉原- 真面目で熱量が高くて、技術力だけでなく人としてもとても素敵な方たちですよね。 -冨田- そうですね。Saurabhの人柄が良いことが全ての源だと思います。人柄が良いから、良い人が集まってきているんだと思います。 -杉原- 当時まだ無名で、auとの提携も起きていなかったAdoraというスタートアップに、Saurabhをはじめとするインドチームはなぜ参画してくれたのでしょうか? -冨田- 私とSaurabhはインドのカフェで出会いました。私がその店でお客様にコーヒーやお茶を出すというアルバイトをしていた学生時代のことで、彼は常連のお客さんでした。本当に友達のような感じで始まった関係です。その縁でSaurabhが後輩や仲間を集めてきてくれたというのが経緯です。 -杉原- 冨田さんとSaurabhのカフェでの出会いが全ての始まりなんですね。Saurabhが会社に加わってくれたのはすんなりいきましたか? -冨田- 最初は別の会社で働きながらという状態でしたが、本当に序盤の序盤にフルタイムでコミットしてくれました。私を信頼してベットしてくれているわけですから、その信頼に応えられるように頑張らなければという気持ちは常にあります。人を信じるということをとても大事にしている人です。 ◆ エストニアの寮で一緒にうどんを作った仲間たち -杉原- 各役割のメンバーの中には、エストニア留学で出会った仲間たちもいますよね。どんな方たちですか? -冨田- UI・UXの責任者や人事の責任者とはエストニアで出会いました!私のいた寮で「日本が恋しいね」と言いながら一緒にうどんを作ったりしたこともあります(笑)。 彼らに限らず、一緒に働いてくれている人たちに対して「一緒に働いていて楽しい」「この人のために頑張りたい」と思える瞬間がたくさんあって、そういう感覚を個人的には大切にしています。私自身にもできないことがいろいろあるので、チームで補い合えている点に感謝しています。チームであるからこそできることを積み重ねていきたいですね。 ◆ 「Sunny・System・Solid」— 3つのバリューを策定 -杉原- そんな仲間たちと一緒に、先日ミッション・バリューを策定されたと伺いました。ぜひ今日ご紹介ください。 -冨田- 最近、スローガンとして3つのバリューを試験的に作り始めました。今年から運用しています。 3つとも「S」で始まる、覚えやすいものにしました。「Sunny」「System」「Solid」の3つです。 「Sunny」は、一緒に働いていて楽しいと思ってもらえる、応援したいと思ってもらえるような振る舞いをしようということです。 「System」はトヨタを意識したもので、「人を憎まず、仕組みを改善しよう」という考え方です。何か問題が起きた時に「誰が悪い」という話になると、指摘された人は否定された気分になってしまいます。でも目的語を人ではなく仕組みにすると、「じゃあどう改善しようか」という前向きな議論ができます。我々は社会に対して責任のある事業をやっているからこそ、心理的安全性を保ちながら間違いを間違いと言える環境が必要だと思っています。 「Solid」は、ちゃんとしよう、着実にやり切ろうということです。ベンチャーだから許されるということはなく、大企業の皆さんや自治体の皆さんと組んでいる以上、言ったことをきちんとやり切るという信頼が最も大切だと思っています。 -杉原- とても良いと思います。セキュリティサービスで、提携先が大企業という業態で「Solid」を掲げるのは非常に共感できますね。 ◆ 企業ホームページはあえて後回しにしてきた -杉原- ところで、Adoraさんはコドマモのサービスサイトはありますが、企業としての一般的なホームページがないですよね。理念やカルチャーを紹介する場があったほうがいいと思うのですが、あえて作っていないのには何か意図があるのですか? -冨田- そこを作る時間があったら、もっとユーザーが喜ぶことをやろうという考えで初期からやってきました。ホームページ作成の時間があるならバグを直そうというマインドですね。 ただこれからは、仲間を集めて大きく展開するためにも、企業サイトを作って人が集まりやすい場にする必要があると思っています。今まで怪しい会社に見えていたかもしれませんが(笑)、これから作っていくつもりです。(※現在会社ホームページは公開済み https://corporate.kodomamo.com/ja) -杉原- サービス開発を優先していたということですね。ホームページだけ立派で実態がないというスタートアップも世の中にはありますから(笑)、実態のものを作ることに集中していたのはむしろ正しいと思います。 ◆ 2026年〜2027年の目標 -杉原- 今年から来年にかけての目標や大きなイベントは何でしょうか? -冨田- 国内ではキャリアのショップでの販売をさらに強化していきたいと思っています。現在ユーザー数が30万人ほどになってきたところで、これを50万人、さらにその先へと伸ばしていきたいです。 海外では台湾でプロダクトマーケットフィットを確認しながら成功パターンを作り、インドネシア・イギリスなど様々な国での展開につなげていきたいと思っています。国内外での成果によって、社内外の期待を高めていける数値を作っていきたいですね。 また、より多くのステークホルダーの皆さんを巻き込んでいきたいと思っています。省庁との連携なども含めて、大きな社会実装・社会インパクトを生み出せるような1年にしたい。その広がりを見せていける1年にしたいというのが目標です。 一方で、カルチャーの構築と、大事にしたい価値観をより「Solid」にやっていくことも大事にしたいですね。人も丁寧に増やしながら、良い組織にしていきたいと思っています。 ◆ D-POPS GROUPの「ベンチャーエコシステム」への共感 -杉原- D-POPS GROUPが目指している「ベンチャーエコシステムの実現」に対して、共感する部分はどんなところですか? -冨田- 全般的にとても共感しています。1人でも1社でも、大きな社会的インパクトを生み出したり、社会課題を解決することはできないと思っています。1人で会社を作れないのと同様に、会社という単位だけでなく、さまざまなステークホルダーと一緒に解決しなければならないと思っています。 スタートアップだけでなく、その夢に賭ける投資家がいて、一緒にスタートアップの夢を社会に広げるために事業をやろうという大企業がいて、国としても良いことをやっているから応援しようという政府があって、大学が一緒に研究してくれて・・・そういうステークホルダーを全員で巻き込んで初めて、大きな社会課題を解決できると思っています。 弊社も創業当初から愛知県警にご協力いただいて共同開発を始めたり、大学とも連携してきたりと、1社だけでなく周りと一緒に補い合いながら頑張ることを意識してきた会社です。これからも、子ども・親子向けの安全な通信環境、そして人々を犯罪から守るために必要なエコシステムを弊社の側からも作っていければと思っています。それが全体的なベンチャーエコシステムの中で良い一例になれるんじゃないかと思っています。 -杉原- D-POPS GROUPはベンチャーエコシステムを作っていきたいと言っていますが、1社でプラットフォームを作ってその中でみんながエコシステムを作って循環していくというような形が理想ですよね。 -冨田- そうですね。最終的には自分たちにも良い形で返ってくるという考え方だと思います。私もそこはとても共感しています。 ◆ 読者へのメッセージ -杉原- 最後に、読者の方に一言お願いします。 -冨田- 大きな社会インパクトを生み出したいという気持ちを我々は強く持っています。そこに共感してくださる方には、メンバーとしてでも株主としてでも、どういった形であれ、一緒にこの夢を叶えるために動いていただけたら嬉しいです。 ディ・ポップスグループさんはとても良い株主なので、ぜひおすすめですよ(笑)。そして錦糸町は最高の町なので、ぜひ遊びに来てください! ☆インタビューアー 株式会社ディ・ポップスグループ アドバイザー 杉原 眼太 【Adora株式会社】 会社名:Adora株式会社 代表者:代表取締役 冨田 直人 設 立:2023年7月 サービスサイト:https://www.kodomamo.com Part1の記事はこちらからご確認ください。 Part2の記事はこちらからご確認ください。  
  • INTERVIEW
2026.07.27
auプランに組み込まれた子どもの安全を守るアプリ「コドマモ」の挑戦|Adora株式会社・冨田社長インタビュー~Part2~
全3回にわたるインタビューの第2回となるPart2では、「コドマモ」がauだけにとどまらず、ドコモ・ソフトバンクを含む3大キャリア全てとの協業へと広がった経緯、さらには韓国・台湾への海外展開の現状、「コドマモ for School」という学校向けサービスの取り組み、そして大人の詐欺対策という新たなフロンティアへの挑戦を紹介します。(このインタビューは2026年6月に実施しました。) ◆ 「コドマモ」加入後の状況と反響 ―杉原― サービスプラン組み込み後の「コドマモ」の評判はいかがですか?加入状況や現場の声などを、差し支えない範囲でご紹介いただけますか? ―冨田― 店頭でご案内いただいた結果、コドマモを利用し始める率がコツコツと上がってきています。使ってくださったユーザーが使い続けてくださっているということも数字に表れてきています。良いものとして受け止めていただけているという実感がありますね。 まだ改善できる余地はたくさんあります。営業現場の方が売りやすくなるための新機能開発や改善も続けていますし、現場へのインタビューも今後どんどんやっていく予定です。より本格的なユーザーの声、営業現場の声はこれから届いてくる感じですが、数字面ではすでにかなり良い傾向が出ています。 U12バリュープランに加入した人の中でコドマモにきちんとログインID登録している人の割合が、サービスリリース直後よりもだんだん上がってきています。 ―杉原― それはおそらく、営業現場でだんだん説明に慣れてきたこと、個人として使っている営業担当者が現れてきたことで、勧めやすくなってきたという面もあるのでは? ―冨田― そのような側面はあると思います。また、微力ながら弊社側でも改善を行なってまいりました。最初は店頭でご案内いただいて加入しようとしたときに、間違って有料プランに加入してしまうというケースが初期にありました。プランに組み込まれているので本来は無料で使えるはずなのに、通常のアプリストアの有料プランに入ってしまうという混乱です。 そのユーザーの声を受けて、オンボーディングの中でどちらから来たのかを確認し、auから来たユーザー向けの独自の導線を用意して、わかりやすく整理しました。その改善の結果、そういった声はだいぶ減ってきました。走りながら改善を繰り返してきたということですね。 ―杉原― アプリの完成度だけでなく、オペレーションの改善が利用者数を増やすために重要ですよね。 ◆ 3大キャリア全てとの協業へ拡大 ―杉原― KDDI様のauショップ各店で紹介されていることはもちろん素晴らしいのですが、NTTドコモ様、ソフトバンク様の系列ショップでも取り次ぎが広がっているそうですね。他の2社との協業状況はいかがでしょうか? ―冨田― 我々は大きな社会課題を解決するという意識でやっているので、複数の通信キャリア様とご一緒できることは、最初から目指していたことでもあります。最初にドコモショップでのお取り扱いが始まり、次にauで料金プランに組み込んでいただき、その後ソフトバンク様のショップでも全店取り扱いいただいています。 もちろん始まるまでにはいろいろな運用の調整があり、現場の方々が大変頑張ってくださいました。今では利用者数もしっかり増えてきていて、本当にありがたいですね。 ―杉原― ソフトバンクさんの販売店の取り次ぎ数、急激に伸びていますよね。 ―冨田― ものすごく伸びています。ソフトバンクC&Sの皆様のご尽力と、代理店の皆さんの頑張りで、今年の頭からぐっと勢いが出てきました。 ―杉原― au様との取り組みで経験したオペレーション上の課題以外に、NTTドコモ様、ソフトバンク様特有の課題にぶつかったりはしましたか? ―冨田― それぞれのキャリアがすでに展開されているサービスと競合しないようにするという点は特に意識しました。例えばソフトバンクさんには独自のセキュリティサービスがあるので、そういったものと競合しないか、互いに悪影響を与えないかということをテストしながら進めました。ただ一方的に「売ってください」というのではなく、お互いのために細かな調整をしながら進めているという感じです。 現場でバグやトラブルが出てしまうと、忙しい店頭の皆さんが案内したくなくなってしまいますから、そういったことが起きないよう、何かあればすぐに対応できる体制は常に整えています。 ◆ 韓国・台湾への海外展開の現状 ―杉原― 昨年にはコドマモの海外展開も開始されています。どの国に進出済みで、どのような状況か、簡単にご紹介いただけますか? ―冨田― 韓国と台湾に展開しています。実際にやってみて難しいことも色々ありましたが、モバイルアプリの良いところは、翻訳して広告を打って小さく検証するということが50〜100万円程度の予算でできるという点です。 韓国については、出してみた上でしっかりニーズがあることが確認されてきました。危険なチャットの検知機能が思った以上に刺さっています。最初は位置情報機能のほうがメインかと思っていたのですが、蓋を開けてみると最初から危険チャットの検知が購入の最大の理由になっていました。ユーザーインタビューをしていると、韓国の親御さんが「子どもがドラッグに関わっていないか心配」とおっしゃるケースもあり、日本では聞かないような声もあって、ローカルな課題感の違いを感じます。 ただ韓国ではLINEよりカカオトークが主流なのですが、カカオトークへの本格対応がまだできていない部分があります。これをやれば伸びるという感触はあるので、もう少しバージョンアップしてから本格的に広告費などを投じていきたいと考えています。 台湾はLINEが広く使われているので、今出してみて非常に低いコストでユーザーを獲得できています。市場ニーズも高く、日本以上にしっかり使ってくれる方もいらっしゃいます。これからさらに力を入れていきたいと思っています。台湾の次はタイなど、アジア各国へも広げていきたいですし、WhatsAppに対応できればインドネシアやイギリスをはじめとする様々な国への展開も見えてきます。 ―杉原― 本当に積極的ですね。創業した時から世界を見ていらっしゃいますよね。 ―冨田― この事業はグローバルに共通するニーズを解決できるものだと思っています。最初からそこを見据えています。日本からグローバルに頑張る事業が出てくると、やはり応援したくなりますよね。そうなれればいいなと思ってやっています。 ◆ 「コドマモ for School」— 自治体・学校向けの取り組み ―杉原― 足は長いですが、とても興味深い活動として、全国の自治体と連携した学校向けプラン「コドマモ for School」について簡単にご紹介いただけますか? ―冨田― 「コドマモ for School」は、学校で使用されている学習用タブレット端末に入れるサービスです。通常の「コドマモ」が親子のスマホに入れるサービスであるのに対し、「for School」はお子さんたちのタブレット端末の安全な利活用を促進するものです。 機能としては、性的な自撮り写真のやり取りや、いわゆる「裸の画像のやりとり(グルーミング)」を検知してアラートを出す機能や、ウェブサイトの見守り機能などがあります。基本的な機能は通常版と大きくは変わりませんが、ステークホルダーが自治体・教育委員会になるという点が異なります。 ―杉原― これまで通信キャリア3社と折衝してこられたわけですから、会社としての信頼度も大きく上がってきていますね。 ―冨田― 本当にありがたいことだと思っています。 ◆ 次の挑戦 — 大人向け詐欺対策サービスの開発 ―杉原― 続いて、コドマモに続く現在開発中の新サービスや新機能についてご紹介いただけますか? ―冨田― 今作っているのは、より広く一般向けに、SNSを通じた詐欺対策のサービスです。日本のみならず世界中で、特に投資詐欺やロマンス詐欺など、SNSやチャットを通じた詐欺が深刻な社会問題になっています。毎日何億円もの被害が発生している状況です。 電話詐欺は有名ですが、チャット経由の詐欺も非常に大きな問題です。弊社であればSNSにおける詐欺を検知できるという強みがあります。コドマモが子どもを対象にしているのに対し、大人の詐欺被害を検知して守るというサービスを絶賛開発中です。1日でも早くリリースできるように取り組んでいます。 一方で、詐欺被害に遭う方は自分からアプリをインストールしようとはなかなかならないので、子ども以上にステークホルダーの皆さんと一緒に動くことが重要だと考えています。様々な方にご意見をうかがいながら進めているところです。 ―杉原― こういうサービスを考えると、ますます大手企業との連携・提携ができる会社作りが重要になってきますね。 ―冨田― そうですね。弊社は技術力のある小さな開発チームではありますが、大企業さんや自治体さんと一緒に我々ならではの特徴を出しながら社会実装していくことが、大きな社会問題を解決するために不可欠だと思っています。 ☆インタビューアー 株式会社ディ・ポップスグループ アドバイザー 杉原 眼太 【Adora株式会社】 会社名:Adora株式会社 代表者:代表取締役 冨田 直人 設 立:2023年7月 サービスサイト:https://corporate.kodomamo.com/ja Part 3では、 ・平均年齢26〜27歳 — 未来を作るチームの構成 ・「Sunny・System・Solid」 — 3つのバリューを策定 ・ベンチャーエコシステムの実現について などについてお伺いしています。 Part3もぜひご覧ください! Part1の記事はこちらからご確認ください。  
  • INTERVIEW
2026.07.23
auプランに組み込まれた子どもの安全を守るアプリ「コドマモ」の挑戦|Adora株式会社・冨田社長インタビュー~Part1~
全3回にわたるインタビューの第1回となるPart1では、子ども向けSNS見守りアプリ「コドマモ」を開発・運営するAdora株式会社・冨田社長が語る、創業から現在に至るまでの急成長の軌跡に迫ります。株式会社ディ・ポップスグループが2024年7月に出資して以来の約2年間で何が変わったのか。auの新料金プラン「U12バリュープラン」への組み込みという異例の快挙はどのような経緯で実現したのか。泥臭く走り続けてきたスタートアップのリアルな歩みをお伝えします。(このインタビューは2026年6月に実施しました。) ◆ 出資から2年、創業から3年を振り返って ―杉原― 本日は、2024年7月に出資をさせていただき、ベンチャーエコシステムの仲間になっていただいた、Adora株式会社の冨田社長にインタビューさせていただきます。冨田社長には2024年9月にもインタビュー記事の作成にご協力いただいておりますが、その後も急成長を続ける「コドマモ」などについてさらに深掘りをさせていただきます。(前回の記事はこちらをご参照ください。) 冨田社長とは、2024年の5月に出会いましたよね。あれから2年が経ちました。また、2023年7月の創業からは約3年ですね。弊社の出資と協業開始からの約2年、そして創業以来の3年を振り返って、いかがですか?感想をお聞かせください。 ―冨田― そうですね。ご出資いただいたことで、社内のメンバーだけではなく社外の方も含めて「みんなの事業、みんなの会社」だという意識が改めて強くなりました。責任感をより強く持って頑張らなければという気持ちが湧いてきましたし、苦しいときもありながら、一生懸命泥臭くやってきたなと思います。気づけばあっという間でしたね。 ―杉原― 3年って長いですか?短いですか? ―冨田― 短いですね。やばいな、もっと頑張らなきゃなって感じです。 もちろん、できる限りすべてにおいてベストを尽くし続けてきたという自負はあります。ただ、後から振り返ればもっとこうすればよかったということはたくさんあります。でも、その時々のベストを尽くしてきたのは事実なので、仕事していたらあっという間だったというのが率直な感想ですね。 ―杉原― 2年間の事業の進み具合を振り返ると、ちょうど弊社が出資させていただいた頃は、本田圭佑さんのファンドからの資本調達活動を始めたばかりのフェーズでしたよね。そこから加速した感じはありますか? ―冨田― ありますね。あの頃はドコモショップさんとの取り組みも始まった時期で、売り上げもほとんどない状態でした。夢は語っているけれど、まだトラクションが全然ついてきていないという段階で、これはいけるのかなという感じでした。そんな段階で信じてコミットしていただいたことはとても嬉しかったです。 そこからドコモショップとの提携や有料サブスクの販売も始まり、徐々にトラクションが出てきました。出資いただいた時点では売り上げがほぼゼロだったところから、最初の1年はサービスを磨き続けること、ショップとの提携関係を構築することに注力していました。その1年間の下積みがあって、2025年の夏から秋ごろにぐっと売り上げが伸び、一気に10倍どころではない成長を遂げました。 3年間を振り返ると、準備期・資本調達期・加速期という流れがあって、2025年から2026年にかけてグッと実績が出てきたんじゃないかなと思います。 ◆ auの新料金プラン「U12バリュープラン」への組み込みという快挙 ―杉原― この間の最大のイベントといえば、主力サービス「コドマモ」がKDDI様のauスマートフォン向け2025年夏の新料金プラン「U12バリュープラン」に組み込まれたことではないでしょうか。 ―冨田― そうですね。もともとディ・ポップスさんの店舗での取り扱いは走っていたんですが、通信キャリアの料金プランに正式に組み込ませていただくのはこれが初めてのことで、本当に大きなイベントでした。 ―杉原― 創業からまだ2年半ほどの会社のサービスをauが料金プランに組み込むのは、かなり異例のことだと思います。世間にまだ普及していないブランドを大企業が採用するのはリスクもあると思いますが、どのような経緯でこの大きな提携が実現したのでしょうか? ―冨田― KDDIさんのほうで「子どもたちの安全を守るサービス」を探されていた中で、弊社のサービスを発見していただいたのがきっかけです。KDDIさんの社内でも、従来のフィルタリングにとどまらず、「スマホを禁止するのではなく、使わせながら守る」という本質的なアプローチが必要だというディスカッションがあったそうで、その中で弊社のサービスに目を留めていただいたとのことです。(KDDI記事:https://mugenlabo-magazine.kddi.com/list/adora/) ―杉原― KDDIさんが他のサービスも調査した上でAdora社を選んだ要因は何だと思いますか? ―冨田― 利用時間の管理サービスは他にもあるかもしれませんが、LINEをはじめとするSNSのチャットの見守りにしっかり力を入れているのは、今も市場で弊社だけだと思っています。日本で最も普及しているSNSのセキュリティ対策ができるというのは大きなポイントだったと思います。 また、愛知県警と連携していたり、国内のパートナーとの実績も積み上げてきていたことも評価されたのではないかと思います。もちろんKDDIさんとしても、ブランドイメージに関わる話ですから慎重に、本当に任せられるかをじっくり検討していただいた上での提携でした。 ―杉原― 単にサービスを紹介するだけでなく、開発も伴いますよね。 ―冨田― そうです。auのIDでログインできる連携機能なども実装しました。KDDIのユーザーさんがスムーズに加入できる仕組みを開発したというところです。 ◆ 他社には真似できない技術的優位性 ―杉原― コドマモにはAI技術やセキュリティ技術が深く組み込まれていますが、この技術力の高さが評価されたのでしょうか?特に優れていると考える技術的な優位性や、開発において特に工夫・苦労されたポイントを教えてください。 ―冨田― チャットを見守るというのはシンプルに聞こえますが、実際にそれを実現するためには、裏側でさまざまな技術が必要です。従来は分析が難しかったSNSのチャット内容を解析できるようにしたこと自体に大きなイノベーションがあります。 自然言語で危険かどうかを判定するモデルや、画像が不適切かどうかを判定するモデル、それを端末上で軽量に動かす仕組みなども開発しています。チャット自体を分析可能にするという、これまで誰もやってこなかったことを実現したというところが、大きな技術的優位性だと思っています。 それと同時に、使いやすいUI・UXへのこだわりも重要です。私自身も開発チームの中でコミットして、みんなの努力で磨いてきました。どんなに優れた技術でも使いやすくなければ社会実装されないと思っているので、わかりやすく使いやすいアプリにすることを常に意識してきました。 ―杉原― LINEなどのSNSのやりとりを読み取り、分析して危険なチャットを検知するこの仕組みは、他のスタートアップがすぐに作れるものではないという自信がありますか? ―冨田― はい。今ではAIが既存のアプリをさっと作れるようになっていますが、世の中にすでにあるものを作るのとは違います。まだ誰も作っていないものを実現するのはAIだけに任せても難しい。そこに我々の技術チームの強みがあると自負しています。 また、ユーザーインタビューやユーザーデータの分析を細かく積み重ねてきたことで、継続率(リテンションレート)も毎月上がり続けています。 ―杉原― 最近は安定し始めましたね。 ―冨田― 一般的なCtoCのサービスはリテンションレートがどんどん下がっていくことが多いのですが、弊社の場合は6か月ほどでしっかり下げ止まっています。適切なユーザーに刺さっているという検証ができているという意味では、プロダクトマーケットフィットに近い状態に来ているかなと思っています。技術力だけでなく、UXや総合的なブランディングも含めて、親御さんにとって使えるアプリができているということだと思います。 ―杉原― 難しい技術を極めるだけでなく、ユーザー目線で使えるものをという意識が、冨田社長の総合プロデューサーとしての役割なんですね。 ☆インタビューアー 株式会社ディ・ポップスグループ アドバイザー 杉原 眼太 【Adora株式会社】 会社名:Adora株式会社 代表者:代表取締役 冨田 直人 設 立:2023年7月 サービスサイト:https://www.kodomamo.com/about-us Part 2では、 ・「コドマモ」加入後の状況と反響 ・3大キャリア全てとの協業へ拡大 ・「コドマモ for School」— 自治体・学校向けの取り組み などについてお伺いしています。 Part2もぜひご覧ください!
  • INTERVIEW
2026.07.17
一覧を見る