COLUMN

【グループ会社インタビュー】 株式会社ディ・ポップス 増田 将人 社長 ~後編~

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2025.05.07

D-POPS GROUPでは、現在約23社のグループ会社が仲間となっています。
今回は、ディ・ポップスグループの祖業である株式会社ディ・ポップスの増田 将人 社長へ、インタビューしました。
(こちらのインタビューは、2025年3月に実施しました。)

前編の記事は、こちらからご確認ください。

◆マーケット状況における戦略

-杉原-
キャリアやメーカーのEC直販や異業種からの中古端末の売買市場の増加などで、スマホの実店舗での販売という業態には逆風な時代と思われますが、そのマーケット状況における戦略の一端をご紹介いただけますか?

-増田-
ちょうどこの1年ぐらい、今後の戦略について結構議論しています。今やっている既存事業も素晴らしいものがたくさんあるんですよね。というのも、人々の生活に直結するので、扱ってる商品とかサービスというのは非常に魅力的だなという風に思います。ただ一方で、代理店という立ち位置になると、コントロールや経営がすごく難しいので、やっぱりそのバランスが非常に難しいなと感じます。

ここからの戦略で言うと、やはり通信です。通信全般というと結構幅広いんですが、もっと我々が取り扱うべき商品があるんです。自分たちで開発するものもあれば、仕入れるものもあるので、商品を増やしていきます。メイン商品とかクロスできるような商品を取り扱っていくっていうのがまず1つの方針です。

もう1個は、ユーザーのライフデザインです。要は生活に必要なもの、かつ課題解決が必要なものは何かを重点において議論しています。我々の店舗もそうですし、店舗がなくても何か我々が介入できるものはないかを今考えてやっています。

-杉原-
ちなみに「スマホ相談窓口」の事業はいかがですか?

-増田-
順調に伸びています。元々ガラケーやスマートフォンの普及期というのがずっとあって、現時点でもう普及し終わってるんですね。ただこれから製品として出てくるものが、5Gはもちろん6G、今だとAIを搭載してるスマホなどもあり、複雑になりすぎて使い方がわからない方も多いと思います。

そもそもLINEの使い方がわからない、マイナンバーの連携ってどうするんだろう、家の家電とつなげるIot製品を使いたいんだけど接続の仕方がわからないなどありますよね。

物は広がったけど使い方がわからないっていうのを、我々はリアルとオンライン含めてできるというのがニーズとしてはめちゃくちゃあるんです。

-杉原-
インターネットに弱い方、特にシニアの方などは、どこにも相談できないという方が増えてきていますよね。そういう方はTOP1のお店に駆け込めばお悩みを相談できる。有料でも、お金を払ってでも相談したい方はいらっしゃいますよね。

-増田-
そうですね。以前はボランティアでやってたんですけども、メリハリをつけなきゃいけないということもありますし、働いてるスタッフの技術などを向上させる中で賃金もアップしていく必要がありますから、プロとしてお客様に接客できるように有料のほうがいいだろうと考えています。我々もそのサービスを開発して、とにかく品質を上げていく・クオリティを上げていくということに注力しています。

最後3つ目は教育です。創業から考えたときに1番何がしたかったんだっけ、今も強みになっているものってなんだっけって考えた時に、やっぱり「人への教育」なんですよね。
創業者の後藤さんの思いとして「若者にチャンスを」から始まっているんです。私が代表を交代しましたけど、今もずっとそれが続いていて、結局人への教育がベースにあるんですよね。最後は人を残すと決めているんで、事業が発展し進化する中で当社の人財育成方針でもある「誠実さと技術を兼ね備えた指導者」を育てることが当社のDNAだと思うんですよね。

私は2024年の1年間ぐらいでグループ会長の千本さんと一緒に海外に行かせてもらえる中で、海外では人口は増えている国がある中、様々な面で日本のクオリティが高いなと思うことがあります。例えば、日本人のクオリティの高い教育や文化、サービス精神などは伝えていけるなという風に思ってる部分もあると思っています。

我々ディ・ポップスは何をする会社かというと、「人財教育する会社」だよねというのが、最近いろんなアイデアを出す中で原点回帰しました。
ディ・ポップスに入りたいとか、ディ・ポップスで仕事したいと心からわくわくして思うために、事業領域も成長し、自分自身を成長させたい、ディ・ポップスに入ったら成長できると思ってもらえるようにすることが必要だと思いました。

◆TOP1の販売・積極方針について

-杉原-
個人的に、昔の携帯電話代理店のイメージって「完全歩合制の実力主義だ!」というイメージがあるのですが、ディ・ポップスの自社ブランドショップTOP1ではどのような販売、接客方針なのですか?

-増田-
実力主義で勝負するのか、とにかく丁寧な販売をするのか、やっぱりここは1番難しいですね。というのも、やはり数を求めるとどうしても品質が下がるんですよね。そのため業界全体としても多くのコンプライアンス違反事案がありました。ただ、いくら良いことを言っても、結果が出なかったら支援されないじゃないですか。

なので強い営業組織を作ることと、心の教育を掛け合わせることが大切だと思います。理念やビジョンを伝えること。我々はちゃんと人を教育するし、その縁ある大切な人に対してちゃんと貢献する会社なんだから、ちゃんとクオリティあげてかなきゃいけないと思っています。要は人間関係の信頼土台があり、その上に専門スキルや事業環境をのせていけるかかどうかってことですね。

土台がない会社がたくさん昔ありましたよね。そういう会社は数をめっちゃ売ってました。一過性の収益が高く、我々よりも数字の面で貢献していたがいっぱいありましたけど、今では存続していないんです。

だけど品質をあげていきながら、顧客数や販売数も増やしていく必要があるので、ここを組織全体で強化して成長を目指して取り組んでいます。。

◆新商品「OTHEBES(アザベス)」について

-杉原-
だから理念経営・理念研修っていうのが生きてくるんですね。その販売方法だけでなく理念研修を経たそのスタッフさんがサービスをやってるから、生活、ライフサポート、ライフデザインの支援ができるようになるんですね。

今後戦略として「OTHEBES(アザベス)」というブランドを立ち上げて顧客基盤を強化していくと伺いましたが、具体的にOTHEBESついて教えてください。

-増田-
「OTHEBES」は3月にローンチしました。執行役員 営業本部長、そして商品開発・事業開発を行っている坂巻を中心に、まず第1弾として、Wi-Fiのレンタルと販売を行っています。OTHEBESとは「others(その他)」+「best(最高)」の造語です。

我々も店舗や商品がありますけど、今ある既存商品でもなかなかエンドユーザーに刺さらない、貢献できない部分ってまだありまして、そこの穴を埋めるのがこのOTHEBESなんですね。

今は第1弾で、Wi-Fiを取り扱っているんですが、今後は例えば、電話しか使わないという人も中にはいるので、電話だけの携帯を自社ブランドにしていく、プラス、いいとこどりできる組み合わせを作っていきたいと思います。

最近でも我々の中で合言葉のようになっているのですが「既存×既存は新規だ!」と。なのでこれを今とにかく現場の要望とお客様の要望を我々が分析する中で、これとこれを掛け合わせたらいけるんじゃないかなど検討しています。

-杉原-
企画もそうですし、現場でもそうですけど、これだけ扱う商品、キャリア、ハードウェア、ブランドが増えて、自社サービスも登場するとなったら、主体性を持った販売員じゃないと、お客様に何を提案しようかわからなくなってしまう危険性もあると思いますが、そこは大丈夫ですか?

-増田-
なので、ベースとしての教育を大事にしています。実はディ・ポップスって、今まで仕組みがそんなに無かったんです。なので、ここからはちゃんと仕組みを作って、人は忘れる生き物だということを前提に、覚えさせるんじゃなくて、もっとシンプルに伝えられるような仕組みを作るっていうのが今年のテーマでもあります。

人材教育×仕組み化。適材適所、役割分担も含めてやっていければ、もういけるイメージしかないですね!!(笑)

◆サッカーの活動について

-杉原-
いけるイメージしかない!いいですね!!
話は変わりますが、増田社長はサッカーうまいらしいですね!会社のフットサルクラブで汗をかいていらっしゃるとか。活動をご紹介いただけますか?

-増田-
元々はずっとサッカーを学生時代にやっていて、社会人になってからも趣味でずっとやっていました。
最初はディ・ポップスの社内のサークル活動としてやっていたんです。社内は月1回ぐらいやっていて、あとは僕もいろんな交流があるので、外部のメンバーともやっています。多分所属してるのは、メインは3、4個ぐらいあります。

社内だけに目を向けてると、毎回人数がギリギリだったんです。やりたいのにやれない。そんな時にふと考えたんです。どうせなら社内外ミックスしたらどうなんだろうと思って、ミックスしてやり始めたんです。主催は我々がやらせてもらって、うちの社員とディ・ポップスグループのメンバーにも声をかけて来てもらって、プラス、僕の知り合い、その中には元プロの方もいます。

あと、ディ・ポップスグループで投資したBLUEISHさんとのご縁もサッカーつながりだったので、スポーツってそういうご縁もあるんだなと思いました。

※ディ・ポップスグループは増田社長のサッカー仲間のご紹介で、BLUEISHに投資しました。
D-POPS GROUP、業界特化型AIワークフロー「Omni Workspace」を運営する株式会社BLUEISHへ出資

今までの人生も大体そういうことが多かったんです。
僕は千本さんが開催する千本経営塾に通っていて、その千本経営塾でお会いしたその理事の方がサッカーをやっていて、その方が僕が北京時代にお世話になったドイツ人のマネージャーと高校生の同級生だったんです。
その理事の方と意気投合して、その方が参加しているサッカーの練習に僕が参加するようになって、そこでBLUEISHの方に出会ったんです。

だけどこれって運もタイミングもあるなと思ってて、これが5年早かったら、多分出資とかの話にはならなかったと思うので。僕自身も今までいろんな経験をしてきて、今経営者という立場にもなっているのでいろんな会話ができて、ディ・ポップスグループにトスアップできたんですよね。

先ほど外部の方とやっていると話しましたが、知り合いの経営者の方とか、その社員さんの中でも役員の方や若手の方でも上手い人がいるんですよ。そして大体そういう人って仕事でも活躍している。なんか繋がるんですよね。これがめちゃくちゃいいですよね。

人間性が良くて、仲良くなれる共通点があって、専門分野やスキル、人脈は異なるものをもっているからいろんなつながりに発展しますね。

◆入社していただきたい学生について

-杉原-
来年度卒業の学生さんの就職活動が始まっている時期ですが、どのようなタイプの学生さんにディ・ポップスに入社していただきたいですか?新卒の学生さんにとって、ディ・ポップスの魅力ってどんなとこにありますか?

-増田-
うちの会社は、とにかく人がいいですね。自己肯定感が高いですし、行動力もあります。あとは周りに対しても手を差し伸べるというか、貢献心が強いんですよね。

プラスして、今のディ・ポップスとかディ・ポップスグループで言うと、経験や技術、人脈などをサポートしたりコーチングしたりできる環境を活用できるので、これ以上にいい環境ってそうそうないぞと思っています。なので、とにかく早く自分は挑戦して、知識だけじゃなく技術を得る、そして、人間力を磨いていく。最終的にはやっぱりマネージメントまでやってもらいたいですね。

我々は学歴はあんまり求めてないんです。ただ、自己肯定感が絶対高くないとダメですね。ネガティブな人はお互い厳しいかなと思います。自分はこんなことできませんみたいなふうに思われちゃうと、何もできなくなってしまうので。

◆「ベンチャーエコシステムの実現」に向けて

-杉原-
さて、D-POPS GROUPでは「ベンチャーエコシステムの実現を目指す」をスローガンにしていますがその目標に共感する部分はどんなところですか?ベンチャーエコシステム作りを意識した上での活動などはありますか?

-増田-
このエコシステムっていうのは、生きていく上で必要なものだと思うんですよね。というのも、やっぱり人間一人じゃ生きていけないですし、やっぱり誰と過ごすかとか、気づきの違いによって人生が絶対に変わるじゃないですか。それに加えて、できる限り早い方がいい。別に遅くても変わると思うんですけども、できる限り早く気づけた方が正しい選択に繋がると思うんです。

なので私自身も、ベンチャーエコシステムというのは必要不可欠だなと思います。自分の時間やお金を使ってでもお会いしたい人がこのエコシステムにはたくさんいるんで、このグループに入ることで、お金をもらいながら、仕事をしながら、そのコミュニティに属するって、普通じゃないと思うんですよ。

そこにいるだけじゃダメだということをしっかり認識してもらいたいなと思います。どうやって行動に移すかは自分次第なので。そのコミュニティにいるだけじゃなく、結局自分発信で、何か教えてもらうでもいいし、何か自分ができることに貢献するみたいな、そういう集団ができるといいんじゃないかなと思うんです。

◆5年後の理想の姿

-杉原-
素晴らしいですね!それではディ・ポップスという会社及び増田社長の5年後の理想の姿について教えてください。

-増田-
まずは会社がちゃんと成長している。そして顧客のライフデザイン、そして社員の自己実現をよりできるようなステージというのは、5年間で確実にできていると思うんです。それを国内外に展開していくことを目指します。

これが増田将人の生きている使命というかメッセージだと思っていて、自分自身がもっと大きくグローバルな視点で見た時に、じゃあどういったことをしなきゃいけないのかっていうのが、今そこを考えながらいろんな協議ができているんで、そこの実行フェーズがもう今年・来年だったりとかになってくると思うんで、多分会社が大きく変わってんじゃないですかね。

-杉原-
いいですね。では、その未来に向けての今後の課題を1つ挙げてください。

-増田-
日本でいうと強烈な人手不足ですよね。私も今子供が3人いますが、この子供たちが大きくなった時、20年後とか30年後って言ったら、かなり人口が減りますよね。8000万人とかなってしまうってなった時に、この日本の今までの文化だったり思いっていうのがどこまで継承できて、これから伝えていけるのかっていうことだと思うんですよね。

なので、やっぱり教育っていうものを自分たちが伝えていって、日本国民だけじゃなくて外国人に対してやっていけるのかみたいな。

あとは、明確に今わからないことではあるんですけど、もう1個は自然ですね。
今僕の中でも挑戦していくことの中で、既存事業とか情報とか通信と、1個はその人に対するパーソナルなところと、最後は自然環境保護だと思っているんです。今は何ができるのか明確にはなっていないですが、情報収集している感じなんです。

◆ホームページを訪問した読者に向けて一言

-杉原-
では最後に、このホームページを訪問した読者の方、一言お願いします。

-増田-
このベンチャーエコシステムというは、とにかくベンチャーエコシステムの中だけじゃなくて、強烈な利他精神が働いてるプロフェッショナル集団のエコシステムだと思ってるので、まず見て感じられる部分ってもうすでにあると思うんですよね。

そこから何か自分がいいなとか興味あるなと思ったら、ぜひ進んでみてもらって、何か直接お会いできるような機会を我々も望んでますし、ぜひ何かコンタクトいただけると嬉しいなと思いますね。

☆インタビューアー
D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太

 

【株式会社 ディ・ポップス】
代表者:代表取締役社長 増田 将人
所在地:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ32F
設 立:1998年2月
サイト:https://d-pops.co.jp/

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2026.07.17
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全3回にわたるインタビューの最終回となるPart3では、砂川大氏が日本のスタートアップ環境の「今」を率直に語ります。かつて三菱商事を辞めてベンチャーをやると批判された時代から、東大生が普通に起業する時代への変化。しかし日本がアメリカとの差をキャッチアップできていない構造的な理由。さらに、生成AIの台頭で全ての職業が変わっていく中で、それでも残るものとは何か。最後に、ディ・ポップスグループのベンチャーエコシステムへの共感について語っていただきます。(このインタビューは2026年5月に実施しました。) ◆幅広い人脈の作り方——「Facebookで友達だけど話したことない人とランチ」という企画 —杉原— 砂川さんのFacebookの投稿を拝見すると、幅広い影響力のある各界のリーダーたちとの人脈がおありですね。みなさんとはどのような形で出会い、どうお付き合いを広げてこられたのでしょうか? —砂川— 最初はFacebookに投稿していなかったんですよ。ちなみに全部ランチなんです。ディナーになると大体お酒が入るし、なんか長くグダグダしてしまって非効率だなと思い始めて。ランチだとお互い1時間ぴったりになるし、ものすごく要点だけの話で効率的だし、むしろランチの方がいいなと思うようになったんです。 —杉原— ランチされている方は元からのお知り合いなんですか? —砂川— 元からです。でも途中から「Facebookで友達になっているけどあまり話したことない人とランチに行く企画」を始めたんです。もったいないじゃないですか、ネットワークに入っているのに。私は実際に会った人しか友達申請を受け付けていないので、過去には会っているんですよ。でもどこで会ったかもよくわからない、誰かもよくわからないという人がいる。その人にメッセージを送って「ちょっと誰かわかんないんですけど、ランチ行きませんか?」って(笑)。 会ってみたら、登山家の人とか占い師とか、面白い人がどんどん出てくる。それをFacebookにアップするようになったら、友達になっている相手から「今度ランチしませんか?」と連絡が来るようになって、どんどん広がっていきました。別にブランディングをやっているわけじゃないんですよ。 —杉原— この活動は、ご自身の会社や協会の活動にもいい影響はありますか? —砂川— 狙ってはいないんですが、やはり何かしらの効果は当然あります。世の中ってストレートなメリットだけじゃないと思っているんですよ。ある人になにかしてあげて、その人がどこかで砂川のことを言ってくれて、面白いじゃんとなって、戻ってくる。そういうことが偶発的に起こる。でも決して狙ってるわけではないですよ。 ◆起業に否定的だった時代から東大生が普通に起業する時代へ — 急速に変わる日本の環境 —杉原— ここ数年、日本政府はスタートアップ支援の本気度が高まり、優秀な学生が大企業に就職せず起業を選んだり、スタートアップにインターンからそのまま転籍するケースが増えています。起業も数社経験し、エグジットにも成功した砂川さんから見て、現在の環境はどう見ていらっしゃいますか? —砂川— めちゃくちゃもり上がっていますよ。ロケーションバリューをやっていた頃は言われましたもん。「三菱商事を辞めてベンチャーで、いいんですか?」「何かしちゃったんですか?」みたいな、犯罪でも犯したかのような扱いでしたよ(笑)。当時の仲間たちを悪く言うつもりはないですが、立ち上げ当初は本当にいろんなハードシングスが起こりましたし、動物園みたいな世界でした。 今は東大卒の人が普通にうちに就職してきますし、在学中に起業する人も多い。むしろこれからそういう人の方が増えてくると思います。本当に起業しやすくなってきています。 —杉原— プレイヤーたちもどんどん変わってきている。起業の道も選びやすくなってきている。日本は他国に対して何年遅れぐらいまでキャッチアップしていますか? —砂川— 残念ながらキャッチアップはできていないです。構造の問題だと思っています。まず人材流動性が異常に低い。 もう一つ、ルールメーキングの話で言うと、アメリカは連邦政府なので会社法は州政府が作っています。各州がスタートアップを奪い合っているんですよ。競争原理が働いて、スタートアップ向けのルールがどんどん良くなっていく仕組みがビルトインされています。イーロン・マスクの会社が全部テキサスに移転したのも、カリフォルニアの税率が上がって企業がどんどん出ていっているのも、競争原理の結果です。 日本は一国一城なので競争原理が働かない。その結果、アメリカがトライアンドエラーで進歩している中で、日本はずっと昔の会社法を堅持したまま動かない。今、ミニマムタックスの問題を議論していて、アメリカで起業すればエクジット時に税金を払わなくていいものが、日本だと何億円も税金払わなければならないというケースもありえるんです。どちらで起業しますかと言ったら明白じゃないですか。スタートアップ育成5か年計画の趣旨に照らせばちぐはぐですよね、ということを、協会としては訴えています。 ◆機会と課題 —「ミクロでは戦える」、でもグローバル展開の壁をどう越えるか —杉原— 端的に言って、現状の日本のスタートアップ環境、スタートアップにとっての機会と課題をどうお考えですか? —砂川— 機会はすごくいっぱいあると思います。ミクロで言えばそれほど競争環境は厳しくない。例えば我々のサービスはアメリカに競合が20社あります。でも日本では今のところスマートラウンドだけ。円換算ではコストも安いし、同じことをやるならまず日本で勝てる可能性は十分にある。人材のクオリティも高い。信頼度も高い。幼少期からフィリピン、メキシコ、アメリカなど、いろんな国に住んで見てきた中で、日本はクオリティが高くて真面目で信用できる人が多い。しっかり成長できるスタートアップを作る機会はあると思います。 一方で大きな壁は、グローバルマーケットに行けないという問題です。日本は中途半端にいいマーケットなので、国内でそれなりに成長できてしまう。それで落ち着いてしまうと、グローバルサービスへはなかなか辿り着かない。ただ、言語の壁は多分あと2〜3年でなくなるんじゃないかと思っています。AIで同時通訳されますから。 グローバルが重要だと言っている人は多いんですが、それは外野の野次みたいなものなんですよ。グローバルに行ったことがある人間が言うならわかりますが、バッターボックスに立ったこともないのに野次を飛ばしているだけでは何も起こらない。本当に成功したアメリカの起業家を連れてきて、日本のスタートアップのアドバイザーになってもらわない限り、変えられないと思います。スマートラウンドは実際にアメリカで成功したゲーム会社の創業者をエンジェル投資家として迎えて、事あるごとにアドバイスをいただいています。目線が全然違います。 ◆「ゴールドラッシュでつるはしを売れ」— AIの時代に日本が狙うべき成長市場 —杉原— 日本のスタートアップ、これからの有望な成長市場はどのような分野だと思われますか? —砂川— 成長市場というのは、そこにあるものじゃなくて、我々が開拓しに行かなければならないものだと思っています。今、全ての世界はAIに設計されている状況の中に入っていて、例えばGeminiが強いと思うのは、Googleとして自前で発電所も持っているし、TPUも自分で作っている。AnthropicもChatGPTも電力は買わなければならないし、GPUはNVIDIAから買わなければならない——垂直統合できていないんです。Googleだけができている。 「ゴールドラッシュの時に金を掘りに行くんじゃなくて、つるはしを売れ」と言うじゃないですか。AIのつるはしって何だろうと考えるべきだと思っていて、それはエネルギーとチップセットです。核融合とか絶対に大事。そこでの優位性を勝ち取るために、色々な分野に少しずつ予算を分散させるのではなく、思いっきりそこに全部ぶち込むくらいのことをやらないといけない。 ◆生成AIで消える職業、残る職業 —「息子の就職アドバイスができない」本音 —杉原— 生成AIの登場と浸透によってビジネス環境が大きく変化しています。どのような職業が消え、どのような職業が残ると思いますか? —砂川— めちゃめちゃ難しいですね。正直、何も残らないんじゃないかとすら思っています。AnthropicがClaudeのFinanceバージョンを出したために、投資銀行でモデルを作っていた若手は基本的に職がなくなったようなものですし、Claude Legalが出て弁護士も青ざめているはず。しかも彼らは儲かりそうなホワイトカラーの高収入な職種をピンポイントで狙ってくる。全部やられたら何も残らないじゃないかという感じです。 すごく悩んだのが、息子への就職アドバイスです。私自身、三菱商事からハーバードMBA、VCインターン、マッキンゼーやUBSのようなインベストメントバンクも少し見てきた。全部なくなっていくんじゃないか、という状況ではまともにアドバイスできないですよね(笑)。 結局商社に行くことになったんですが、なぜそれがいいと思ったかというと、究極的には「人と人を繋ぐ仕事」はAIには作れないから。心を動かす、感動させる、「この人だから信頼できる」という、あの目の合わせ方や雰囲気の違いはAIにはわからない。そこだけは残るんじゃないかと思っています。 ◆「みんなで力を合わせないと何も変わらない」——ベンチャーエコシステムの実現について —杉原— 最後に、ディ・ポップスグループが目指す「ベンチャーエコシステムの実現」について、共感すること、協業できる領域などがあればお願いします。 —砂川— スタートアップ協会として、誰かを出し抜いてどうこうというつもりは一切ないんです。むしろ、みんなで力を合わせないと何も変わらないと思っているので、さっきも話したように、この団体とここでは協力する、全部それだと思っています。 我々は完全フリーハンドでみんなと組みに行きます。志が一緒で、スタートアップのエコシステムを1ミリでも底上げしたいと思っている人たちは「同志」ですから、ぜひ一緒にやりましょう。 ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太   【プロフィール】砂川 大 一般社団法人スタートアップ協会 代表理事 / 株式会社スマートラウンド 代表取締役CEO 三菱商事を経てハーバードMBA取得後、米国VCでディレクターとして勤務。帰国後に株式会社ロケーションバリューを創業しNTTドコモへ売却。Googleでアンドロイドの統括部長などを努めた後、、2018年に株式会社スマートラウンドを創業。2022年に一般社団法人スタートアップ協会を設立し代表理事に就任。スタートアップ育成5か年計画の策定にも関与するなど、日本のスタートアップ・エコシステム形成に取り組む。 一般社団法人スタートアップ協会:https://www.startup-kyokai.org/ 株式会社スマートラウンド:https://jp.smartround.com/corporate Part1の記事はこちらからご確認ください。 Part2の記事はこちらからご確認ください。
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2026.07.09
「起業したくなる国へ」一般社団法人スタートアップ協会・砂川大氏インタビュー|連続起業家が語る、スタートアップが自由に挑戦できるエコシステムの作り方~Part2~
全3回にわたるインタビュー Part2(Part1はこちら)では、スタートアップ協会が最も力を入れてきた政策提言の具体的な成果として、「ストックオプション改革」の全貌に迫ります。保管委託要件という知られざる制度の壁が、いかに起業家のリターンを「紙切れ」にしてきたか。そして砂川氏たちがどのようにしてその問題を政府に持ち込み、政策に盛り込むという成果を上げたのか——政策立案の裏側を詳しく語っていただきます。(このインタビューは2026年5月に実施しました。) ◆レピュテーションを積み上げる — 政府に「代表性」を認めてもらうための信用構築 —杉原— 25,000社を代表するとまではいかなくても、代表として政策提言をするためには、それなりの「顔」を見せる必要があると思うんですが、政府に対してどのように説明しているのですか? —砂川— レピュテーション(信用・評判)だと思います。少しずつ積み上げていくしかない。活動していく中で「こいつはまともだな」とみんなが評価していくし、透明性を担保しながら、重要な話をするときは理事会を通してガバナンスをしっかり取っています。会社のようにしっかりした仕組みで運営することで信用を作っていく。 今回、私も少し長期政権になってきたので、今年から共同代表になっていただいた方と一緒に、きちんとバトンパスをしていきたいと思っています。 ◆ストックオプション改革 —「紙切れ」を「リターン」に変えた政策提言 —杉原— 協会の活動として特に「政策提言関連」がユニークだと思います。具体的に日本のスタートアップ政策に影響を与えた、新制度作りに深く関わったという成果の例をご紹介いただけますか? —砂川— ストックオプション関連は非常に頑張って作りました。理由は明確で、スタートアップに優しいエコシステムを作るためには、まず希少性の高いリソースである起業家が、日本で起業したいと思うエコシステムでなければならない。そのためには、起業家たちがチャレンジした分ちゃんとリターンが行くように設計することが非常に大事です。 日本のストックオプションの歴史は「恐る恐る作ってきた」という感じで、アメリカと比べたら全く優遇されていない状況でした。リスクの高い船に乗るということは、それなりのリワードがあって然るべきです。給料も安い、チャレンジしなければならない、ではリターンはどこで得るかといったら、やはりストックオプションですよね。 ところが、設計通りにいかず紙切れになってしまうケースが非常に多かった。例えば、あまり知られていませんでしたが、以前は税制適格ストックオプションに「保管委託要件」という要件があって、それが故に保管委託を受けてくれる金融機関が必要だったんです。でも実態として受けてくれる金融機関がほとんどない。1社だけあったんですが、そこに預けるためには紙で株式発行が必要になり、それが他の全株式の発行も引き起こす。ものすごく大変なオペレーションになるんです。「こんなことやってられない」となりますよね。 こういう実務をやった人間じゃないと問題がわからない。我々が「実は出来ない」ということをちゃんと教えていかなければいけなかったんです。 —杉原— 米国だとIPO前にFacebookなどの株式をファンドに売ってエグジットしている人がいますね。日本ではあまり聞かなくて、みんなIPOを待っているような。 —砂川— それともう一つ、日本では退職するとストックオプションは原則として消えてしまいますが、外資では退職してもそれまで貢献した分は権利として残る(権利確定済みのストックオプションは維持される)んです。スタートアップに賭けて汗を流した時間が報われないというのは、リスクとリターンが全く合っていない。それを一つひとつ直しに行ったのが今回のストックオプション改革です。 —杉原— スタートアップで早い段階から関わっているリーダーたちにとって、ストックオプションによるリターンを得られるよう、4年間で変えてきたということですね。岸田内閣でのスタートアップ支援の動きについてはどうでしたか? —砂川— 岸田内閣の2〜3年目頃に「スタートアップ育成5か年計画」が策定されたんです。スタートアップ協会では、そこに本当に必要な内容を反映すべく働きかけたのです。その結果、140項目あるうちの10項目をドラフトさせていただくことができました。 そういうことを地道にやっていくんです。政策立案担当者もスタートアップのプロではないので、何をやらなければいけないか、何が引っかかっているか、どの条文がいけないか、スタートアップはどう思っているのか、アメリカではどうなっているか。そういったことを全部調べて、我々が持っていって「具体的にこういう風にしてほしい」と説明するわけです。 その後、自民党のスタートアップ議連(議員連盟)に持っていき、骨太の方針の中に反映いただき、骨太の方針が政府の方針として予算配分されるというプロセスをやっています。 —杉原— 今の話を聞いているだけで、協会の仕事はすごいエネルギーがかかりますね。ご自身の会社を経営しながらやっていたんですね。 —砂川— ありがたいことに、スマートラウンドの中に非常に優秀な人間がたくさんいたので、一時期は協会の仕事の方にかなり時間を振り向けたことがあります。かなりの時間を割いてやっていました。 ◆Googleに3日目で「3年で辞める」と宣言した連続起業家の本音 —杉原— 砂川さんは連続起業家ですよね。起業した位置情報サービスの株式会社ロケーションバリューをNTTドコモに売却し、ロックアップ後にGoogleに入社されています。そして早々と退社して2018年5月に起業されています。 —砂川— 実はGoogle入社3日目に中小企業向け営業部門の方々を集めてもらって講演したんですが、その時に「3年で辞める」と宣言しています。では、なぜGoogleに入ったかというと、優秀なエンジニアをスカウトするためだったんです(笑)。Googleの人事担当は苦笑いしていましたが。 最初のスタートアップで最も苦労したのが、優秀なエンジニアを探すことだったんです。ドコモに売却して「次もスタートアップをやろう」と思っていた時に、「Googleに誘われてたな」と思い出して話を聞きに行ったら、PM(プロダクトマネージャー)のポジションだったので、3年だけ行ってみるか、となったんです。 —杉原— そして2018年5月に株式会社スマートラウンドを起業されたと。読者の方のためにサービスについて簡単にご紹介いただけますか? —砂川— smartroundはスタートアップと投資家のための情報共有プラットフォームです。資金調達前と後で目的が異なります。 調達前は、いわゆるCRMです。スタートアップ側からすれば投資家を検索・管理して、交渉状況やデータ共有の状況を把握するツール。投資家側も同じで、スタートアップを発掘し、交渉状況や社内の投資委員会の通過状況を管理するためのツールとなります。 そして資金調達後は「機関決定」のためのツールです。投資契約書・株主間契約書がある場合、取締役会前にリードインベスターから事前承諾を取らなければならないのですが、承諾を取り付け、その後、取締役会にかけて、最後に株主総会にかけて期間決定をするというプロセスを、会社法に基づいてしっかり行うためのツールです。定款、登記簿、株主間契約書などを全てデータとして保持しておき、それを元に法律に準拠して何をしなければならないかを判別していく仕組みです。 最後はデータ共有で、VCは一つのファンドから100〜200社に投資するわけですが、各社の状況や権利関係を把握するのが実は非常に難しい。しかもスタートアップが提出する書類はフォーマットがバラバラだったり間違いがあったりする。それを全部統一して、オンラインプラットフォームでコントロールできるようにしているのがsmartroundです。 ◆smartround以前は全部エクセル — 日本VCエコシステムの遅れ —杉原— smartroundがなかった時代はどうしていたんですか? —砂川— 大手含めてみんなエクセルでした。アメリカでVCをやってきた人間からすると「何十年遅れてるんだ」という感じでしょうか。アメリカはもっとテクニカルにやっていたので。 なぜ日本のVCがそこまでやっていなかったかというと、成り立ちの問題があります。アメリカの場合は機関投資家(エンダウメントやペンションファンド)がVCにLP出資するので、VCも激詰めされてデータをちゃんと見ないといけない緊張感があります。日本の場合は事業会社がLPなので「ざっくりお任せ」的なところがある。そういうツールを作らないと要求に応えられないアメリカと、それほどでもない日本、という差がありました。 —杉原— ニーズはスタートアップにも投資家にもあるわけですね。今はどのくらい普及していますか? —砂川— ベンチャーキャピタルファンドで300近くに使っていただいていますし、スタートアップは7,500社になっています。 —杉原— その数はすごいですね。競合はあるんですか? —砂川— 米国には20社あります。最大手が「Carta(カルタ)」という会社で、それぐらいアメリカは成熟している。日本はスマートラウンドだけです。ただ、部分的にそれぞれに競合はいます。投資家側の投資管理だけをやっている会社、スタートアップ側のツールだけをやっている会社、ストックオプション管理だけをやっている会社など、パーツごとには競合がいますが、当社は全部を包括的にやっている唯一の会社です。 ネットワーク効果が非常に重要で、VCとスタートアップ両方が使っているから便利なんです。電話と一緒で、相手が電話を持っていなければ電話に意味はない。だから両側をやらないといけないと考えています。。 ~Part3へ続く~ ☆インタビューアー D-POPS GROUP アドバイザー 杉原 眼太   【プロフィール】砂川 大 一般社団法人スタートアップ協会 代表理事 / 株式会社スマートラウンド 代表取締役CEO 三菱商事を経てハーバードMBA取得後、米国VCでディレクターとして勤務。帰国後に株式会社ロケーションバリューを創業しNTTドコモへ売却。Googleでアンドロイドの統括部長などを努めた後、、2018年に株式会社スマートラウンドを創業。2022年に一般社団法人スタートアップ協会を設立し代表理事に就任。スタートアップ育成5か年計画の策定にも関与するなど、日本のスタートアップ・エコシステム形成に取り組む。 一般社団法人スタートアップ協会:https://www.startup-kyokai.org/ 株式会社スマートラウンド:https://jp.smartround.com/corporate 次回・Part3では、 ・幅広い人脈の作り方 —「Facebookで友達だけど話したことない人とランチ」という企画 ・起業に否定的だった時代から東大生が普通に起業する時代へ ・ベンチャーエコシステムの実現について などについてお伺いしています。Part3もぜひご覧ください!
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2026.07.07
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