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「登山と経営」ーベンチャー企業経営と登山との類似性

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2025.09.29

ディ・ポップスグループでは、ベンチャーエコシステムを、「共通のアイデンティティと理念の元に集まり、革新性の高い事業モデルにより、社会課題解決に挑戦し続ける企業群の集合体を支える、成長と永続のためのプラットフォームのこと」と捉え、その理想の形の実現に向けて日々挑戦と努力を続けています。
※詳しくはこちらをお読みください。「ベンチャーエコシステムとは?

今回の記事では、ベンチャー企業経営を登山に例えながら、その心構えや、地道な一歩の積み重ねやリスクへの対処の重要性などを記述します。

1. 登山と経営との類似性

登山家は、初めて登る大きな山の麓に立つと、思わず息を飲みます。その頂の高さ、そこまでの距離、そして険しさに心がざわつきます。期待と不安、ワクワクと怖さが入り混じった、何とも言えない感覚。まさに「武者震い」という言葉がぴったりです。

でも、いざ歩き出すと、山頂はすぐに視界から消えてしまいます。代わりに目に入るのは、足元の岩、濡れた木の根、分かれ道、急坂。体力を消耗しすぎないようペースを調整し、呼吸を意識しながら、一歩一歩を積み重ねていく。それと同時に、天候の急変や茂みの物音にも注意を巡らす。

登山というのは、派手さのない地味な営みの連続であり、また大きな危険を伴います。

この感覚は、「起業」や「ベンチャー企業での仕事」にとてもよく似ています。社会課題を解決するために掲げた、大きな目標を掲げながらも、日々の実務は地味で、予測不能で、簡単ではない。そして人生をかけて大きなリスクを背負います。

以下に登山と経営の類似性をいくつか例示します。

(1) 登山:準備 → 経営:ビジョン設定

登山には "準備" が欠かせません。どの山に登るのかを決め、地図を調べ、ルートを決め、アタックに必要な装備と体力を付ける。経営で言えば、それはビジョンの設定、資金や情報の収集、プロダクトの開発チームや営業体制の準備にあたります。

(2) 登山:パーティー → 経営:チーム編成

登山では仲間の存在も重要です。自分と同じくらいの体力で、登山スタイルや目的を共有できる人と登るのが理想です。これは、「誰を最初のバスに乗せるべきか」が重要であるとも言われるスタートアップや新規事業のチームビルディングとそっくりです。

(3) 登山:外部環境の把握 → 経営:市況の変化への対応

登山中は、常に外部環境に目を配る必要があります。突然の天候の変化、足元の不安定な岩場、見落としがちな分岐点。事業運営においては、市況の変化や競合の動き、見落としがちな製品の不具合や顧客の声といった“環境変数”にあたります。

(4) 登山:現在位置の把握 → 経営:KPIのトラッキング

実行フェーズにおいては現在地の把握も大事です。GPSで正確な現在位置と高度の把握、そして自身の心拍数や発汗量、時には血中酸素濃度のチェックが必要です。一方の経営では、KPIや財務データのチェック、メンバーの体調の把握などがそれに当たります。

(5) 登山:勇気ある下山 → 経営:事業撤退やピボット

そして、外部環境の変化や自身の体力の限界や怪我により、どうしても継続できないと判断したときは、勇気を持って引き返すことも選択肢に入ります。それは経営で言えば、事業撤退や縮小、もしくはピボット。いずれも命や株主やメンバーを守るためのリーダーとしての決断であり、時には後の大成功につながる英断となります。

(6) 諦めない心

そして最後に、挑戦する勇気、諦めない心、粘り強さというものが、登山にもベンチャー企業経営にも欠かせません。前項の勇気ある下山や事業撤退と相反するようですが、「もう無理」と思うか、「あと一歩」と思うかで、失敗と成功に大きく結果が分かれる場面が多々あります。この心の在り方はベンチャー企業運営にとっての重要な要素でもあります。

2. 座学と実践の大きな違い

現代は情報が洪水のように溢れています。経営者の自叙伝やそのノウハウ本、マーケティング本、MBA関連の書籍などは、数えきれないほど出版されています。その壮絶な経験を知ること、そして語ることで、あたかも自分もその一部であるかのような錯覚に陥ることがあります。事業運営に必要な知識を書物から学ぶことは決して無駄なことではありません。しかし、これらの考え方や物語を読むことは、登山に例えるならば「山の情報を読むこと」や「高い山を見たこと」にすぎません。

では、「登山の経験」とは何でしょうか?

それは、高尾山のような身近な山であっても、自分の足で一歩ずつ登り、汗をかき、息を切らし、頂上からの景色を肌で感じる体験です。途中で雨に降られ、道に迷い、足の痛みに耐えながら、それでも前に進む。その中で、「もう少し頑張ろう」と自分を鼓舞する力や「今日はここまでだ」と引き返す勇気が養われる。これらの感情や決断は、本を読んだだけでは決して得られません。

この体験こそが、私たちの仕事における「小さな実践」に例えられます。

一つひとつの顧客開拓、販路開拓、新規事業の立ち上げ、採用といった、「小さな登山」のような業務の実践の積み重ねが、やがて大きな山を登るための「筋力」となり、「判断力」となります。

頭の中にある情報と、身体で覚えた感覚は、全くの別物です。私たちは、知識だけでは決して経営者にはなれません。しかし、日々の業務で小さな山を登り続けることで、いつか大きな事業という山に挑む力が身につき、そして不断の努力により成功へと導かれます。

壮大な偉業も、まずは小さな一歩から始まり、そしてその積み重ねでこそ成し遂げられるのです。

3. 登山の足と経営能力の鍛え方

登山家の格言に、「山の足は山でしか鍛えられない」というものがあります。事業運営でも同じです。仕事の能力は、机上の学びだけでは決して高められません。

(1) ジムトレと山トレの違い

平らな道を何十キロもウォーキングしたり、ジムでランニングマシンで走ったり、バーベルで筋トレを繰り返しても、本物の「山を登る足」を作ることはできません。

登山道は、平坦な道だけではありません。木の根や細かな砂利で足を滑らして手を怪我をすることもあれば、浮石に足を置いてしまい捻挫することも、時には転倒して大怪我をすることもあります。急な坂を何百メートルも登り続けたり、岩山を登ったり下ったりする行為は、ジムでスクワットを繰り返しても都内のビルを何段登っても得られない、独特な負荷を体にかけるのです。

様々な山の、様々なコンディションでの登山の経験を繰り返していく中で、体幹や心肺機能は徐々に山に適応し、鍛えられていきます。それは、ジムでどれだけトレーニングを積んでも得られない、本物の「山登りの足」なのです。

(2) 仕事の能力は仕事でしか高められない

これは、仕事の能力にも同じことが言えます。

コンサルタントは、経営理論やSWOT分析やマーケットリサーチを駆使して、美しく完璧な事業戦略プランを描くことができます。ビジネススクールに通えば、多くのセオリーや成功事例を学び、中には交渉術の授業でロールプレイもするかもしれません。

しかしそれは、登山の例で挙げたジムでのトレーニングに過ぎません。

顧客との契約交渉が土壇場で破談になった際の絶望感と、また別の場では破断の原因を事前に回避して無事規約締結できた時の喜び。新規事業の資金調達がうまくいかず、撤退の決断を迫られた時の苦悩。チームメンバーとの意見衝突を、粘り強く対話して乗り越えた時の高揚感・・。

これらはすべて、教科書やロールプレイでは決して味わうことのできない、ビジネスという「実践的な山」でしか得られない経験です。

教科書と違い、実際の現場は一つとして型通りには進みません。ロールプレイと違い、ビジネスの現場の相手は真剣な、生身の人間です。市場環境も刻々と変化します。教科書に描かれた、完成した理論ができた当時と現在とでは、時間軸が数年から数十年ずれています。

現代の社会環境、技術的環境、競合環境においてのビジネス理論は、今、正に読者の皆さんがその事例を作っているところなのです。

そして、何度も様々なビジネスでの「山場」を経験するうちに、私たちは本物の事業運営のスキルを身につけていきます。失敗を繰り返す中で、成功への最短ルートを直感的に見つけ出す。顧客との対話から、言葉にはならない真のニーズを汲み取る。チームメンバーのわずかな表情の変化から、プロジェクトの危険な兆候を察知する。

これらの能力は、座学では絶対に身につかない、仕事を通してのみ鍛えられる「勘」や「判断力」なのです。

4. 備えの重要性

(1) 資金的な備え

登山において、荷物の重量は気になるところです。軽ければそれだけ体力の消耗が減り、長時間の行動が楽になります。しかし、軽さを追求しすぎてしまうと、命取りになることがあります。

気温や行動時間を考慮した十分な飲料水。計画上必要な食事。エネルギーを補給する行動食。いざという時のための雨具や救急セット。これらはどれも登山において欠かすことのできない備えです。予備の飲料、非常食、万が一に備えた装備があるかどうかで、緊急事態が発生した場合、その後の行動や判断は大きく変わります。そして何よりも、"心の余裕"がまったく違います。

これは、経営の世界でもまったく同じです。会社を軽く、効率的に回すことは大切ですが、バッファを削りすぎると、いざというときに耐えられません。

たとえば、ある日突然、製品の不具合が発覚して全品回収しなければならなくなったら。
あるいは、コロナ禍のように、社会経済活動が数ヶ月単位で止まってしまったら。
売上がゼロに近づく状況でも、半年間は生き延びられる運転資金が手元にある──
これは多くの経営の教科書や実務家が口を揃えて言う“最低ライン”です。

キャッシュの余裕があれば、"心の余裕”となり、危機の中でも冷静に動けます。

資金繰りに追われて判断を誤ることも減りますし、余裕があれば、社会全体が不安定な時に、攻めの一手を打つという挑戦をすることも可能となります。

(2) 人的リソースの備え

バッファが必要なのは、事業運転資金だけではありません。人的なリソースも同じです。人員をギリギリで回している組織は、休暇を取る余裕がなくなり、心身の疲労が蓄積します。
体力的にも精神的にも限界に近づけば、判断力や創造力は確実に落ち、離職リスクも高まります。こうした負のスパイラルに入ると、組織全体が疲弊してしまいます。

一方で、人員や時間にバッファのあるチームは違います。突然のトラブル対応や新しい挑戦にも柔軟に動けますし、改善活動や学びの時間を持つことができます。メンバーにとっての“心の余裕”は、組織全体の安定感につながります。

(3) バッファは重要な投資

登山では、非常用の水や食料、救急セットを持つことは「重くなるからやめよう」とは考えません。それは余計な負担ではなく、生きて帰るための最低限の備えだからです。

経営における現金の余力、人員の余裕、時間のバッファも同じです。平時には“無駄”に見えるかもしれませんが、有事にはそれが唯一の命綱になります。そしてその余裕こそが、次の一手を打つ原動力となり、新しい領域に挑戦するエネルギーとなるのです。

軽さと予備、すなわちバッファのバランスをどう取るか。登山でも経営でも、そこに真の力量が表れます。ゴールに辿り着くために、そして安全に帰るために。バッファを持つことは、”心の余裕”を生むという効果があり、事業運営において、運転資金と、共に働くメンバーの心の余裕は、成功に導くための戦略投資と言えるのです。

5. 登山も経営も判断の連続

登山では常に臨機応変な判断が求められます。どんなペースで登るべきか、どのタイミングで休憩を取るか、水分やエネルギーの補給をするか、自分の体の調子と現在位置から、自らが判断せねばなりません。そもそも、天候によっては登山自体を中止するという判断も自ら行う必要があります。

経営者の間ではトライアスロンというスポーツも人気があります。しかし、トライアスロンの場合は、「決められたルールの中で」、「順位を競うレース」、「万全に安全が確保された競技場での戦い」です。天候が悪い場合、中止するか否かの判断は運営側が行います。企業で言えば、「取締役会の決定により」と言ったらいいでしょうか。規定のある中で競い合うタイプの競技は、どちらかというと大企業の役員や雇われプロ経営者に向いているのではないでしょうか。

一方で登山は、「自然と向き合い、環境の変化に適応し、常に危険と向き合いながら、自分の判断で進む挑戦」と言えます。

設立間もないスタートアップ、誰も挑戦したことのなり領域に挑むベンチャーの経営者やその企業で働くビジネスパーソンの姿勢や考え方も同じです。日々難しい判断の連続、常にリスクと向き合いながら、絶え間ない努力を続け、大きな社会課題に挑む。

このように、ベンチャー企業経営は正に登山に例えられるのではないでしょうか。

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以上、(株)ディ・ポップスグループが取り組むベンチャー・エコシステムを実現する活動の参考として、ベンチャー企業経営の心構えを登山に例えて記述させていただきました。

これからもご支援、応援の程よろしくお願いします。

D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太

付録:ベンチャー・エコシステムのメンバーをサポートする杉原は、ベンチャー魂を示す活動として、「ユニコーンTシャツを着て日本百名山を踏破する」という挑戦に取り組んでいます。

 

 

 

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不採算事業から撤退できず赤字を拡大してしまったり、潜在的な問題を抱えたまま新規事業のスタートや新商品のリリースをしてしまったり、組織の価値観に合わない人材を採用し、後に大きな軋轢を生んでしまったりと、取り返しのつかない経営判断につながることがあります。 このようなことにならないよう、重要な決断をする際には、自分たちがサンクコストの罠にはまっていないかどうかを、経営者は特に意識し、冷静に判断をすることが求められます。 諦めてはいけない時に諦めないこと。そして、諦めるべき時には、それまで費やした時間やお金、努力に囚われず、潔く撤退すること。その両方ができてこそ、本当の意味で「不撓不屈の精神と、慎重な判断力を併せ持つ」ことになるのだと思います。 ———————— 以上、【百名山から学ぶベンチャー経営論】の第五部でした。 この挑戦も一年が過ぎました。タイトルは「百名山から学ぶ」としていますが、実は裏を返せば、私の想いとしては、「これまでのベンチャー経営の経験を登山にも適用して取り組めば、登山の素人でも短期間で百名山を踏破できる、ということを証明してみよう」というものでした。これまでのところ、大いにその経験が活かされていると思います。 次回は、「失敗から学び、成長を続ける」 をテーマに、場数を踏み、鍛錬を積み、一つ一つ学びながら、自らの成長を続けることについて考えてみたいと思います。 なお、シリーズのこれまでの記事をまだお読みでない方は、こちら↓をぜひお読みください。 第一部「頂を決め、準備する」第二部「計画は綿密に、実行は地道に」第三部「戦略・戦術・戦闘」第四部「アンテナを張り、センサーを研ぎ澄ませ」 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
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2026.09.17
【The Salons Japan】美容師の新しいカタチの独立開業支援サービス『THE SALONS』の心斎橋店・梅田茶屋町店を訪問!
2026年7月30日に資本業務提携企業のThe Salons Japan株式会社が運営する完全個室美容モール『THE SALONS』の心斎橋店と梅田茶屋町店にお邪魔してきました! 『THE SALONS』とは? 『THE SALONS』は、美容師やビューティシャンが月額賃料のみで自分だけの完全個室サロンをオープンできる、全く新しいカタチの独立開業支援サービス(モール型サロン)です。大きな特徴として、以下のポイントが挙げられます。 ・   低リスクで“自分のサロン”を持てる:初期費用0円から開業可能であり、資金に縛られず自身のタイミングで独立の夢を叶えることができます。 ・   あなたらしいサロンを叶える:内装から働き方まで全て自由となっており、美容室をはじめ、エステやネイルなど幅広い業種に対応しています。 ・   充実の設備と独立を支えるサポート体制:各区画にはフルフラットバックシャンプー台やシンク、照明、Wi-Fiが完備されており、光熱費や月300枚までのレンタルタオルも料金に含まれています。また、融資相談から将来の路面店出店までトータルで支援する体制が整っています。 一般的な半個室のシェアサロン(利用者契約)とは異なり、完全個室の独立店舗として「店舗出店契約」を結ぶため、1人のサロンオーナーとしての社会的信用が得られるのも大きな魅力となっています。 【THE SALONS 心斎橋店】 THE SALONS心斎橋店は、四ツ橋駅から徒歩1分、心斎橋駅から徒歩4分ととても通いやすい場所にあります。心斎橋駅からはクリスタ長堀の地下街を通って、北12番出口を出るとすぐの場所にあります。地下街にはいろいろなお店が並んでいるので、予約の時間まで少し余裕があるときでも楽しく過ごせそうだなと思いました! 訪れたのは平日だったこともあり、お休みの店舗も多く見られましたが、7月末時点で満室となっていました! 完全個室の独立型サロンで、美容師さんお一人で営業されている店舗も多いからか、お子様連れのお客様の姿もちらほら見かけました。気心の知れた美容師さんのもとであれば、安心してお子さんを連れて行けますよね。これもTHE SALONSならではの魅力だなと感じました。 【THE SALONS 梅田茶屋町店】 THE SALONS梅田茶屋町店は、大阪梅田駅から徒歩2分ととても通いやすい場所にあります! カラーやパーマは施術時間が長くなりがちで、待っている間についお腹が空いてしまうこともありますよね。そんなときに同じビル内にバーガーキングがあるのは心強いポイント。施術帰りはもちろん、待ち時間にサッと小腹を満たせるのも嬉しいところです。 梅田茶屋町店は、個室の広さや窓の角度などが部屋ごとに違っていて、同じ店舗の中でもサロンごとの雰囲気がまったく異なっているのが印象的でした。個室の形がそれぞれ違うからこそ、光の入り方や開放感など、自分にとってぴったりの空間を探すことができます! THE SALONSの各店舗には、あらかじめシンクとシャンプー台が備え付けられています。それ以外の家具などは自分の好みで自由に選べるので、水道まわりの心配をせずに、自分らしい店舗づくりが楽しめるのは嬉しいポイントだなと思いました。 今回心斎橋店と梅田茶屋町店を紹介してくださった、The Salons Japanの秋山さんには、店舗について詳しく教えて頂きました。ありがとうございました! 同社の取締役も務める、ディ・ポップスグループのアドバイザーの杉原と共に写真を撮らせていただきました。 ディ・ポップスグループは、「リアルビジネス × テクノロジー × グループシナジー」を掛け合わせた事業展開をしている会社の集合体で、100年後も社会から必要とされ続けるベンチャーエコシステムの実現を目指しています。 The Salons Japanもベンチャーエコシステムの仲間として精一杯応援してまいります。 ディ・ポップスグループ ブランド戦略室 川口
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2026.09.09
【百名山から学ぶベンチャー経営論】 第四部「アンテナを張り、センサーを研ぎ澄ませ」
ディ・ポップスグループは、「社会に変革をもたらす多数の成長ベンチャー(ユニコーン企業)を輩出する」というミッションを掲げ、「誠実・謙虚・感謝の心で、共に学び、共に成長する」をバリューとしています。 アドバイザーを務める杉原は、昨夏「ユニコーンTシャツを着て日本百名山100座を踏破する」という目標を掲げて以来、全国の山々を登り続け、執筆時点で53座まで登りました。本連載では、その挑戦の中で経験した成功や失敗、判断や学びを、ベンチャー経営や組織運営になぞらえながら考察しています。 山では、計画や装備が万全でも事故は起こります。その多くは、変化の兆候を見逃し、判断が遅れた時に起こります。第四部では、ベンチャー企業経営にも通じる、外部と内部の変化を察知し、適切な判断につなげることの重要性について考えてみます。 10. アンテナを張り巡らせよ ~外部環境の変化に敏感になれ~ バスケットボールや卓球などの屋内スポーツと登山の決定的な違いは、天候の影響を大きく受けること、そして自然が相手だということです。 登山の計画段階で、台風はもちろんのこと、暴風や雷の予報があれば登山を延期すべきことは明白です。しかし、予報段階をクリアして、いざ実行段階に入ってからも、山の天候は変わりやすく油断はできません。また、森深い山では最近特に話題の熊のみならず、猪や蜂やヒルなどに遭遇することもあります。岩山では突然の落石に見舞われることもあります。 それらに適切に対処することはもちろんですが、できるだけ事前に察知できることが理想です。 肌で感じる気温の急激な変化、ザワザワという笹の音、怪しい木の動き、小石が上から転がってくる音…。これらはその後の大きな危機が襲いかかる前兆かもしれません。 私自身も、晴れ予報の日の登山だったにも関わらず、突如としてガスが湧いて視界が真っ白になったために、道を誤り30分ほど道なき道を歩いてしまったことがあります。あの時は、視界が悪くなった段階で早めにGPSで現在地を確認すべきだったと反省しました。 また、笹の濃い山道を歩いている時、突然、笹がざわざわと揺れました。「ついに熊か」と身構え、一度立ち止まり、万が一熊だった場合にどう対処するかを頭の中で整理しました。結局、茂みから現れたのは大きな鹿でしたが、あの時も外部の小さな変化を見逃さないことの大切さを実感しました。 (左:ガスで視界不良となった岩道、中:後を付けられた猿、右:突如現れた鹿) このように、登山中は常に外部にアンテナを張り巡らせ続けなければならないのです。このアンテナの感度を高く保ち、そこで捉えた変化を素直に受け止め、適切に判断できるかどうか。それが、登山中の事故を未然に防げるかどうかを左右するのです。 このことは、ベンチャー経営にも例えられます。屋内スポーツをビジネススクールで学ぶ座学に例えるとすると、外部環境の影響を受ける屋外スポーツは実際の事業運営に、そして自然環境に左右される登山はベンチャー企業の経営に、より近いものだと思います。 企業が受ける外部環境、すなわち市況の変化、新技術の登場、法律の改正などからの影響は計り知れません。あらゆる企業は、外部環境の変化の中で事業を営んでいると言っても過言ではありません。顧客の反応が少し鈍くなった、利用率が減少に転じた、営業現場から同じ質問が増えてきた。こうした小さな変化は、大きな市場変化よりも早く現れることがあります。大企業でも影響を受けるくらいですので、ましてやベンチャー企業にとっては、存続が危ぶまれるほどの激しい変化もあるのです。最近では、AIエージェントの急速な普及、グローバルプラットフォーマーの勢力拡大、少子化、金利上昇による投資家の投資方針の変化などが挙げられます。 ベンチャーの経営チームは、これらの変化を敏感に察知すると共に、先手先手で戦略や計画を練り直し、適切に対処する。場合によっては、ピンチをチャンスに変えるほどの大胆な一手を打つ。その覚悟と行動力が求められるのです。 危機は、突然現れるように見えて、その多くは小さなサインを出しています。そのサインに気付けるかどうかが、登山でも経営でも、生き残る者とそうでない者を分けるのです。 11. センサーを研ぎ澄ませよ ~内部環境の変化に気が付け~ 外部環境の変化に目を向けることと同じくらい重要なのが、内部環境の変化に気付くことです。 登山における内部環境とは、ソロ登山であれば自分自身の、グループで登る場合には自分だけでなく、メンバー一人ひとりの調子やバイオデータの変化を指します。登山中は、自分の体が発するさまざまな情報を受け取るセンサーを持つ必要があります。 バイオデータの取得に関しては、最近、登山用アプリやスマートウォッチなどで、歩行ペースを確認したり、歩きながら心拍数を確認したり、休憩中に血中酸素濃度を測定したりできるようになりました。また、そういったデバイスでは測れない、膝や足腰の関節の調子、筋肉の疲労度、発汗量などの変化にも敏感である必要があります。 デジタル機器では測れない変化こそ、自分自身の感覚で捉えなければなりません。 私の場合、登山を始めたばかりで膝が今よりも弱かった頃は、山を登っている間に、「この調子で登り続けたら、下山できなくなる」と感じた日は、途中で勇気を持って下山に切り替えたことがあります。あのまま登り続けて、下山できなくなるよりも、はるかに正しい判断だったと思います。 (左:通常の登山中、中:異常な心拍数、右:2700m下での血中酸素濃度) 一方、ベンチャー経営においては、社長の体調を整えることはもちろん重要ですが、会社の内部環境の微妙な変化を察知することも重要です。 何気ない会話や挨拶が減った、オフィス内の整理整頓が乱れ始めた、ボトムアップで情報が上がってこなくなった、無断欠勤者や理由が不明確な退職者が増えてきた…。これらはいずれも会社が傾く前の予兆です。 経営者は、ビジネスのセンスだけでなく、こういった内部環境の変化に敏感に気付けるセンサーも持ち合わせていなければなりません。 そのセンサーが鈍いと、社長自身はエネルギーにあふれ、やる気に満ち、前を向いて邁進しているにもかかわらず、ふと立ち止まると、メンバーは誰一人ついてきていなかったとか、皆疲弊してパフォーマンスを発揮できなくなっていた、ということが起きがちです。 リーダーは前を見るだけでなく、社内全体を見渡し、小さな異変を見逃さない余裕を持たなければなりません。組織は突然崩れるのではなく、小さなほころびが積み重なった結果として崩れていくからです。 12. 重要な局面では特に冷静になれ ~状況を見極め、最善の一手を打て~ さて、張り巡らせたアンテナから情報を受け取り、研ぎ澄ませたセンサーが危険な信号を捉えたら、その時、どう対処すればよいのでしょうか。 登山においても経営においても、特に悪い情報、危険な信号を検知した時ほど、冷静になることが大事です。登山では、濃霧の中での道間違い、突然の土砂降り、岩場での捻挫や打撲、疲労による筋肉の痙攣など、さまざまな外部環境・内部環境の変化から生じる危機に直面します。 ベンチャー経営においても、AIの普及による顧客ニーズの劇的な変化、競合企業同士の合併発表、関連法規の変更、経営幹部の突然の退職、顧客情報の漏洩事故など、同じく様々な危険信号を受信します。 そんな時こそ、決してパニックに陥らず、冷静さを保ち、慎重かつ適切に判断し、その判断に基づいて迅速に行動することが求められます。パニックになり右往左往すれば、間違った方向にさらに進んだり、無駄な体力を消耗したり、怪我を悪化させたりすることにもなりかねません。 事が起きたら、まず一旦落ち着いて情報を集め、状況を把握し、分析する。次に、最悪の事態を想定しながら、それでも生き残る方法、登山であれば無事に下山する方法を考える。 そして、取るべき行動を決めたら、迅速に実行する。熟考は必要です。しかし、決めた後まで迷い続けていては、対応が遅れます。 私自身も、月山で雪渓を下山中に滑落したことがあります。その瞬間は頭が真っ白になりました。しかし、すぐに冷静さを取り戻し、這って安定した場所まで移動し、靴下を脱いで患部をチェックしました。パニックになって慌てて歩き出すのではなく、まず体の状態を確認し、山頂を目指すべきではないと冷静に判断し、しっかりと休みを取ってから下山を開始しました。 また久住山では、登頂に成功した後の下山中ということで疲労が溜まっていたとに加え、ガスによる視界不良、そして晴れていても間違えやすいという藪道が重なって、数度の道間違いを起こしました。いずれも立ち止まって現在位置を確認し、間違えたポイントまで引き返す、という鉄則を守ったことで事なきを得ました。 いずれも、焦って無理な行動を取っていたら、状態をさらに悪化させていたかもしれません。 (二度も道に迷った久住山の藪の道) これらは登山でもベンチャー経営でも同じです。重要な岐路を迎えた時、危険を察知した時ほど、冷静に対処し、最善のアクションを考え、行動に移すことが求められるのです。 日本百名山には様々なタイプの山があり、それぞれに様々な危険が潜んでいます。そしてその自然環境は季節により、日により変化するし、自分の体調も日々変わります。ベンチャー経営の現場においても、市場も、競合も、顧客も、そして社内のメンバーも日々変化しています。 アンテナを張り巡らせる。センサーを研ぎ澄ます。危険を察知した時ほど、慌てず冷静に状況を見極める。熟考した上で取るべき行動を決めたら、迅速に最善の一手を打つ。 これらの習慣が、ベンチャー企業が生き残り、飛躍的な成長を遂げるための土台となるのです。 ———————— 以上、【百名山から学ぶベンチャー経営】の第四部でした。 この挑戦も一年が過ぎました。当初は恐る恐る始めた本格的な登山ですが、今や全ての行程や景色を楽しめる余裕が出てきました。と同時に、挑戦する山も徐々に険しくなり、怪我や事故のリスクが高まってきました。 アンテナを張り、センサーを研ぎ澄ませて細心の注意を払いながら、諦めない心で、一座一座挑戦しながら、この連載を続けていきたいと思います。 次回は「不撓不屈と慎重さの両立」 をテーマに、「もう無理」と「あと一歩」が紙一重であること、大胆さと慎重さの両立、恐怖心を乗り越えることなどについて考えてみたいと思います。 D-POPS GROUP アドバイザー 杉原眼太
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